特許第6786855号(P6786855)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6786855
(24)【登録日】2020年11月2日
(45)【発行日】2020年11月18日
(54)【発明の名称】電子レンジ用紙カップボトム潰し金型
(51)【国際特許分類】
   B31B 50/62 20170101AFI20201109BHJP
【FI】
   B31B50/62
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-81923(P2016-81923)
(22)【出願日】2016年4月15日
(65)【公開番号】特開2017-189956(P2017-189956A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2019年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(72)【発明者】
【氏名】菅原 学
(72)【発明者】
【氏名】伊従 晃章
(72)【発明者】
【氏名】小泉 忠理
【審査官】 長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第05324249(US,A)
【文献】 特開2015−101357(JP,A)
【文献】 特開2014−169092(JP,A)
【文献】 特開昭52−009071(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B31B 50/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙カップの底部を押し潰して溶着成形するための金型であって、
金型は受け型のアンビルと、押し型の超音波ホーンを備えており、
受け型のアンビルは、下から紙カップの円筒形の側面と円形の底面を支えるものであり、押し型の超音波ホーンは、上から超音波を加えながら、紙カップの底部を押し潰すものであり、
また真空脱気装置を備え、受け型のアンビルの上から見て中央部に、紙カップ底面を吸着する真空吸着孔を有し、
さらに、前記押し型の超音波ホーンによる押し潰し前に、一旦紙カップの底面をだめ押しする機構を有することを特徴とする、電子レンジ用紙カップボトム潰し金型。
【請求項2】
前記受け型のアンビルの、上から見て中央部の内部に、冷却水の流路が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電子レンジ用紙カップボトム潰し金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙カップボトムつぶし金型に関するものである。とくに電子レンジ対応の紙カップの成形において、受け型であるアンビルに紙カップを被せ、上から押し型のホーンで紙カップのボトム部分に、超音波を加えながらヒートシールするとともに押し潰す際の、受け型あるいは押し型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子レンジは、火を用いない安全性と、加熱時間が短くてすむ便利さなどの特徴を有するために、家庭用として、あるいは業務用として広く用いられている。それに伴って、たとえば食品などを紙カップに入れて、電子レンジの調理をして食用に供することのできる商品も開発されている。
【0003】
電子レンジ用の紙カップは、カップの側面を円筒形に成形し、底面の円をカップの側面に取り付けて製造される。ところが、ボトムスリーブと呼ばれる、側面の上げ底部分は、電子レンジ加熱に際して、内容物と直接接していないために100℃以上に加熱されて焦げが発生する場合がある。この電子レンジ加熱による焦げの発生を回避するため、一般にヒートシールとともにボトム潰しを行なって、側面と底面を接続し一体化することが行なわれている。
【0004】
すなわち、ヒートシールする溶着部にホットエアーを吹きつけ加熱し、側面と底面を巻き込むようにサイドカールして一体化させた後、超音波による振動を与えながら、受け型と押し型の間でプレスして、ボトム部を押し潰して成形する工程をとることが一般的である。
【0005】
しかしながら、このときボトム周囲に超音波による振動を加えるために、その振動によって底面が発熱する現象が発生し、この発熱によって、とくに底面の円の中心部においては、熱の集中によって発泡するなどの不良が発生するおそれがある。
【0006】
特許文献1には、電子レンジ用の紙カップの製造方法に関して、底部の下面において側面と底面が一体に密着シールされることを示しているが、このとき加えた熱や、ワークの発熱による発泡不良についての対策については考慮の対象とされていない。
【0007】
また、特許文献2には、紙容器を組み立てる際の部材の溶着に関して、超音波による溶着が示されているが、この場合においても発熱による発泡不良の対策については考慮の対象とされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2012−240695号公報
【特許文献2】特開2013−249117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はかかる状況に鑑みてなされたものであり、電子レンジ用紙カップのボトム潰し金型において、超音波による紙カップの底面中心部への発熱の集中に起因する、発泡不良を防止することができる金型の提供を可能にすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、紙カップの底部を押し潰して溶着成形するための金型であって、
金型は受け型のアンビルと、押し型の超音波ホーンを備えており、
受け型のアンビルは、下から紙カップの円筒形の側面と円形の底面を支えるものであり、押し型の超音波ホーンは、上から超音波を加えながら、紙カップの底部を押し潰すものであり、
また真空脱気装置を備え、受け型のアンビルの上から見て中央部に、紙カップ底面を吸着する真空吸着孔を有し、
さらに、前記押し型の超音波ホーンによる押し潰し前に、一旦紙カップの底面をだめ押しする機構を有することを特徴とする、電子レンジ用紙カップボトム潰し金型である。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、前記受け型のアンビルの、上から見て中央部の内部に、冷却水の流路が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電子レンジ用紙カップボトム潰し金型である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電子レンジ用紙カップのボトム潰し金型において、超音波による紙カップの底面中心部への発熱の集中に起因する、発泡不良を防止することができる金型の提供が可能である。
【0014】
とくに請求項2に記載の発明によれば、電子レンジ用紙カップのボトム潰しを行なう前に、だめ押し機構によるだめ押しで、受け型のアンビルと、紙カップ底面との間隙を小さくして熱の集中を抑制することが可能であるため、超音波による紙カップの底面中心部への発熱の集中に起因する、発泡不良を防止することができる金型の提供が可能である。
【0015】
また、とくに請求項3に記載の発明によれば、受け型のアンビルに冷却水の流路を設けて、アンビルを冷却することができるために、紙カップ底面の過熱を防止することが可能であるため、超音波による紙カップの底面中心部への発熱の集中に起因する、発泡不良を防止することができる金型の提供が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は本発明に係る電子レンジ用紙カップボトム潰し金型の、一般的な実施態様を説明するための模式図である。
図2図2は本発明に係る電子レンジ用紙カップボトム潰し金型の、真空脱気装置を備えた実施態様を説明するための断面模式図である。
図3図3は本発明に係る電子レンジ用紙カップボトム潰し金型の、だめ押し機構を備えた実施態様を説明するための断面模式図である。
図4図4は本発明に係る電子レンジ用紙カップボトム潰し金型の、冷却水の流路を備えた実施態様を説明するための断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について、図1図4を参照しながら詳細な説明を加える。ただし本発明はここに示す例にのみ限定されるものではない。
【0018】
図1は本発明に係る電子レンジ用紙カップボトム潰し金型の、一般的な実施態様を説明するための模式図である。電子レンジ用紙カップ(1)は、円筒形の側面(11)および円形の底面(10)を有しており、一般的な紙カップと異なり、電子レンジ調理に伴う加
熱防止のために、ボトム部(5)をヒートシールして溶着するとともに潰して成形される。
【0019】
この、電子レンジ用紙カップボトム潰し金型は、紙カップ(1)のボトム部(5)を押し潰して溶着成形するための金型であって、金型は受け型のアンビルと(2)押し型の超音波ホーン(3)から構成される。
【0020】
受け型のアンビル(2)は、下から紙カップの円筒形の側面(11)と円形の底面(10)を支えるものであり、ボルト(13)等で固定することができる。
【0021】
押し型の超音波ホーン(3)は、上から超音波を加えながら、紙カップ(1)のボトム部(5)を押し潰すものであり、上下に可動である。
【0022】
紙カップ(1)は、紙カップ用の積層体からなるブランクスを材料としてなり、表裏にはヒートシール可能なシーラント層を有している。紙カップ(1)のボトム部(5)の押し潰しは、ヒートシールするボトム部(5)にホットエアーを吹きつけ加熱し、側面(11)と底面(10)を巻き込むようにサイドカールして一体化させた後、押し型の超音波ホーン(3)で超音波による振動を与えながら、受け型のアンビル(2)と押し型の超音波ホーン(3)の間でプレスして、ボトム部(5)を押し潰して成形する。
【0023】
シーラント層の材質としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−メタアクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
【0024】
これら、シーラント層に使用可能な材料は、加熱によって軟化、溶融し、シーラントとして、溶融接着に寄与する半面、過度の熱によって発泡することがある。また、超音波によってもその振動エネルギーによって、境界面では強力な摩擦熱が発生して、溶融接着を可能にする。
【0025】
また、超音波による溶融接着は、生産性に優れコストが安いなどの利点を持ち、加えて仕上がりの品質がよく、強度も優れるなど多くの利点を持つため、電子レンジ用紙カップに適した加工方法として用いることができる。半面振動が伝播、あるいは集中する部分において過熱するおそれがある。
【0026】
本発明は、このときの超音波に起因する、円形の底面(10)中央部の加熱、発泡を防止することできる、電子レンジ用紙カップボトム潰し金型の提供を可能にしようとするものである。
【0027】
図2は本発明に係る電子レンジ用紙カップボトム潰し金型の、真空脱気装置を備えた実施態様を説明するための断面模式図である。本発明において、受け型のアンビル(2)に、紙カップ底面(10)を吸着するための真空脱気装置(6)を備える。また真空脱気装置(6)は、真空吸着孔(4)を、受け型のアンビル(2)上面の中央部表面に有する。
【0028】
真空吸着孔(4)からは、受け型のアンビル(2)上面の中央部と紙カップ底面の間の空気(14)を脱気して、真空脱気装置(6)を経由して空気(7)を外部に排出するこ
とができる。これによって、紙カップ底面(10)を受け型のアンビル(2)の上面に密着させ固定させることができる。
【0029】
紙カップ底面(10)を受け型のアンビル(2)の上面に密着させ固定させることによって、紙カップボトム潰しに際して、押し型の超音波ホーン(3)による超音波の振動を円形の底面(10)において抑制することが可能となり、紙カップ底面(10)中央部の過熱、発泡を抑えることができる。
【0030】
超音波は、押し型の超音波ホーン(3)によって加えられるが、紙カップ(1)のボトム部(5)は円形であるため、加えられた超音波は円形の底面(10)の中央部に集中して過熱、発泡の原因になっているため、固定によって底面(10)の中央部の振動を抑制することが、過熱、発泡の防止に効果的である。
【0031】
図3は本発明に係る電子レンジ用紙カップボトム潰し金型の、だめ押し機構を備えた実施態様を説明するための断面模式図である。図3に示した実施態様において、だめ押し機構(8)は、押し型の超音波ホーン(3)による押し潰しが行なわれるまえに、紙カップ底面(10)を受け型のアンビル(2)の表面に押し付けて、受け型のアンビル上面の中央部と紙カップ底面の間の空気(14)を抜き、間隙を小さくすることができる。これによって押し潰しに際して、超音波に起因する底面中央部の熱の集中を緩和することができる。
【0032】
だめ押し機構(8)の形状および駆動方式に付いては、特段の制約を設けるものではなく,押し型の超音波ホーン(3)による押し潰しが行なわれるまえに、紙カップ底面(10)を受け型のアンビル(2)の表面に押し付け、間隙を小さくすることが可能であれば、その方式は任意である。
【0033】
図4は本発明に係る電子レンジ用紙カップボトム潰し金型の、冷却水の流路を備えた実施態様を説明するための断面模式図である。本発明において、受け型のアンビル(2)の、上から見て中央部の内部に、冷却水(15)の流路(16)を設けることができる。
【0034】
この構造は、受け型のアンビル(2)の、上から見て中央部を、冷却することが可能になるため、冷却によって紙カップの底面(10)の中央部の過熱、それによる発泡の防止に効果的である。
【0035】
冷却水(15)の流路(16)は、受け型のアンビル(2)に内部で上から見て中央部に、円形の底面中心部の表面が冷却可能に設ければよく、また冷却は、冷却水(15)を用いることができるほか、円形の底面中心部の表面が冷却可能であれば、水以外でも使用可能な冷媒を適宜選択して用いるのでもかまわない。
【0036】
このように、本発明によれば、紙カップ底面を真空吸着で固定して振動を抑制する方法で発泡不良を防止する方法であり、また超音波の振動エネルギーを印加する前に、だめ押しで紙カップ底面と受け型のアンビルとの間隙を小さくして、超音波の振動の伝播、集中を抑制する方法が可能であり、受け型のアンビルの冷却によって、超音波の振動エネルギーによる加熱を防止することが可能である。
【0037】
すなわち、本発明によれば電子レンジ用紙カップのボトム潰し金型において、超音波による紙カップの底面中心部への発熱の集中に起因する、発泡不良を防止することができる金型の提供が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・紙カップ
2・・・受け型のアンビル
3・・・押し型の超音波ホーン
4・・・真空吸着孔
5・・・カップボトム部
6・・・真空脱気装置
7・・・空気
8・・・だめ押し機構
10・・・底面
11・・・側面
13・・・ボルト
14・・・受け型のアンビル上面の中央部と紙カップ底面の間の空気
15・・・冷却水
16・・・流路
図1
図2
図3
図4