【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための本発明に係る管理装置の特徴構成は、
複数種の運転パターンのうちのいずれかを加熱運転ごとに選択しながら前記加熱運転を繰り返し行うバッチ運転を行う加熱設備を監視する管理装置であって、
前記加熱設備におけるプロセス値を入力可能な入力部と、
入力される前記プロセス値を蓄積的に記憶する記憶部と、
前記記憶部に記憶された前記プロセス値から、前記バッチ運転において前記加熱運転が行われた加熱運転区間を抽出する区間抽出部と、
前記区間抽出部で抽出された前記加熱運転区間における前記プロセス値の経時的変化であるプロセス値変化パターンを特定する区間特定部と、
前記区間特定部により特定された各プロセス値変化パターンに基づいて、所定期間の前記バッチ運転の間の各加熱運転に対応する各加熱運転区間を、同種の前記プロセス値変化パターンを有するものごとにグループ分けして、複数のグループに分類する区間分類部と、を備え
、
前記入力部は、前記加熱設備に投入される投入エネルギー量も入力可能であり、
前記記憶部は、入力される前記投入エネルギー量も蓄積的に記憶し、
分類された複数の前記グループごとに、当該グループに属する各加熱運転区間における前記プロセス値変化パターンに基づき、当該グループにおける平均プロセス値変化パターンを生成し、且つ、当該グループに属する各加熱運転区間における前記投入エネルギー量のプロファイルに基づき、当該グループにおける平均的な前記投入エネルギー量のプロファイルを生成する判定基準生成部と、
前記区間抽出部で抽出された判定対象とする前記加熱運転区間である判定対象区間について、前記判定対象区間における前記プロセス値変化パターンと複数の前記グループのそれぞれにおける前記平均プロセス値変化パターンとの比較に基づいて、複数の前記グループのうちで前記判定対象区間が属する所属グループを判定する分類判定部と、
前記判定対象区間における前記投入エネルギー量のプロファイルと前記分類判定部で判定された前記所属グループにおける平均的な前記投入エネルギー量のプロファイルとの比較に基づいて、前記加熱設備の状態を判定する状態判定部と、を備える点にある。
【0008】
上記構成によれば、予め識別条件を定めることなく、単に、各加熱運転区間を同種のプロセス値変化パターンを有するものごとにグループ分けすることで、運転パターンの識別を可能にしてある。つまり、同種の運転パターンであればその運転パターンで運転した各加熱運転におけるプロセス値変化パターンは同種のプロセス値変化パターンを示すこととなり、また、異なる運転パターンで運転を行えば、その加熱運転におけるプロセス値変化パターン(例えば温度)は異なるものとなるため、プロセス値変化パターンに基づいて運転パターンの区別が可能となる。そのため、同種のプロセス値変化パターンを有するもので各加熱運転区間を分類すれば、それぞれ異なる種類のプロセス値変化パターンを有する複数のグループが形成され、その各グループは複数種の運転パターンのいずれかに対応するグループとなる。このように、上記構成によれば、加熱設備ごとに識別条件や方法を変更する必要なく、加熱運転における運転パターンごとに各加熱運転区間を識別することができ、その結果、運転パターンごとに各加熱運転区間のプロセス値変化パターンを蓄積して記憶することができる。したがって、上記構成によれば、加熱運転における運転パターンの識別を汎用性高く行うことができる。
また、この構成によれば、各グループにおける平均プロセス値変化パターンを判定対象区間がいずれのグループ(運転パターン)に属するかの判定基準とし、各グループにおける平均的な投入エネルギー量のプロファイルを加熱設備の状態を判定するための判定基準とすることで、加熱設備の状態の異常を早期に検知することが可能となる。
【0009】
本発明に係る管理装置の更なる特徴構成は、前記区間特定部は、前記プロセス値変化パターンとして、前記プロセス値の定常値、前記定常値の継続時間、前記定常値に至るまでの前記プロセス値の増加率、及び、前記定常値に至るまでの時間、の少なくともいずれか一つを特定する点にある。
【0010】
この構成によれば、簡易な基準により運転パターンの識別が可能となる。
【0011】
本発明に係る管理装置の更なる特徴構成は、前記区間特定部は、移動平均法に基づく平滑化処理を行って前記プロセス値変化パターンを特定する点にある。
【0012】
この構成によれば、不定期に生じ得る外乱の影響をプロセス値変化パターンから除去することができる。
【0013】
本発明に係る管理装置の更なる特徴構成は、前記区間分類部におけるグループ分けの基準が変更可能である点にある。
【0014】
プロセス値変化パターンにはある程度の誤差が生じ得るものであるが、この構成によれば、その誤差にあわせてグループ分けの基準を変更することで、運転パターンや加熱設備ごとの誤差の大きさに対応することが可能となる。
【0015】
本発明に係る管理装置の更なる特徴構成は、前記プロセス値の経時的変化を示すグラフを表示する表示体に対する画像処理によって前記プロセス値を取得し、前記入力部に前記プロセス値を入力する画像処理器を備える点にある。
【0016】
プロセス値を取得する際、必ずしもデジタルデータで取得されず、加熱設備によっては、例えばペンレコーダーにより表示体としての紙等の印刷物にプロセス値の経時的変化が記録されているように、アナログなデータでプロセス値が記録されている場合もあるところ、この構成によれば、表示体に記録されたアナログなデータであっても、画像処理器によりデジタルデータに変換でき、簡便なデータ取得が可能となる。
【0019】
本発明に係る管理装置の更なる特徴構成は、前記判定基準生成部は、各加熱運転区間における前記投入エネルギー量の変化パターンを各加熱運転区間における前記投入エネルギー量のプロファイルとして、各加熱運転区間における前記投入エネルギー量の変化パターンに基づいて、各グループにおける平均的な前記投入エネルギー量のプロファイルとしての平均投入エネルギー量変化パターンを生成し、前記状態判定部は、前記判定対象区間における前記投入エネルギー量の変化パターンと前記分類判定部で判定された前記所属グループにおける前記平均投入エネルギー量変化パターンとに基づいて、前記加熱設備の状態を判定する点にある。
【0020】
この構成によれば、確実性高く加熱設備の状態を判定することができる。
【0021】
上記目的を達成するための本発明に係る管理システムの特徴構成は、
本発明に係るいずれかの管理装置と、少なくとも一つの前記加熱設備と、を備える管理システムであって、
前記加熱設備の側から、ネットワークを介して、取得した前記プロセス値を前記管理装置の前記入力部に入力可能である点にある。
【0022】
この構成によれば、ネットワークを介して簡易にプロセス値を管理装置に入力することができる。
【0023】
上記目的を達成するための本発明に係る管理システムの特徴構成は、
本発明に係る管理装置と、少なくとも一つの前記加熱設備と、を備える管理システムであって、
前記加熱設備の側から、ネットワークを介して、取得した前記プロセス値を前記管理装置の前記入力部に入力可能であり、
前記管理装置は、前記ネットワークを介して、前記状態判定部の判定結果に応じて、前記加熱設備の側に警報を通知する点にある。
【0024】
この構成によれば、ネットワークを介して簡易にプロセス値を管理装置に入力することができ、且つ、加熱設備の側に加熱設備の異常を素早く通知することができる。
【0025】
上記目的を達成するための本発明に係る管理方法の特徴構成は、
複数種の運転パターンのうちのいずれかを加熱運転ごとに選択しながら前記加熱運転を繰り返し行うバッチ運転を行う加熱設備を監視する管理方法であって、
前記加熱設備におけるプロセス値
及び前記加熱設備に投入される投入エネルギー量を取得するステップと、
取得した前記プロセス値
及び前記投入エネルギー量を蓄積的に記憶するステップと、
記憶された前記プロセス値から、前記バッチ運転において前記加熱運転が行われた加熱運転区間を抽出するステップと、
抽出された前記加熱運転区間における前記プロセス値の経時的変化であるプロセス値変化パターンを特定するステップと、
特定された各プロセス値変化パターンに基づいて、所定期間の前記バッチ運転の間の各加熱運転に対応する各加熱運転区間を、同種の前記プロセス値変化パターンを有するものごとにグループ分けして、複数のグループに分類するステップと、
分類された複数の前記グループごとに、当該グループに属する各加熱運転区間における前記プロセス値変化パターンに基づき、当該グループにおける平均プロセス値変化パターンを生成し、且つ、当該グループに属する各加熱運転区間における前記投入エネルギー量のプロファイルに基づき、当該グループにおける平均的な前記投入エネルギー量のプロファイルを生成するステップと、
抽出された判定対象とする前記加熱運転区間である判定対象区間について、前記判定対象区間における前記プロセス値変化パターンと複数の前記グループのそれぞれにおける前記平均プロセス値変化パターンとの比較に基づいて、複数の前記グループのうちで前記判定対象区間が属する所属グループを判定するステップと、
前記判定対象区間における前記投入エネルギー量のプロファイルと判定された前記所属グループにおける平均的な前記投入エネルギー量のプロファイルとの比較に基づいて、前記加熱設備の状態を判定するステップと、を有する点にある。
【0026】
この構成によれば、本発明に係る管理装置により得られる作用効果を好適に得ることができる。