特許第6790549号(P6790549)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790549
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】ゴルフボール
(51)【国際特許分類】
   A63B 37/00 20060101AFI20201116BHJP
【FI】
   A63B37/00 114
   A63B37/00 656
   A63B37/00 654
   A63B37/00 538
   A63B37/00 144
   A63B37/00 332
   A63B37/00 422
   A63B37/00 328
   A63B37/00 418
   A63B37/00 140
   A63B37/00 136
【請求項の数】6
【全頁数】37
(21)【出願番号】特願2016-146185(P2016-146185)
(22)【出願日】2016年7月26日
(65)【公開番号】特開2018-15104(P2018-15104A)
(43)【公開日】2018年2月1日
【審査請求日】2019年5月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183233
【氏名又は名称】住友ゴム工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107940
【弁理士】
【氏名又は名称】岡 憲吾
(74)【代理人】
【識別番号】100120938
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 教郎
(74)【代理人】
【識別番号】100122806
【弁理士】
【氏名又は名称】室橋 克義
(74)【代理人】
【識別番号】100168192
【弁理士】
【氏名又は名称】笠川 寛
(74)【代理人】
【識別番号】100174311
【弁理士】
【氏名又は名称】染矢 啓
(74)【代理人】
【識別番号】100182523
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 由賀里
(74)【代理人】
【識別番号】100195590
【弁理士】
【氏名又は名称】中尾 博臣
(72)【発明者】
【氏名】瀧原 広規
(72)【発明者】
【氏名】佐嶌 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】三村 耕平
【審査官】 松山 紗希
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−087925(JP,A)
【文献】 特開2012−040373(JP,A)
【文献】 特開2008−000389(JP,A)
【文献】 特開2006−218294(JP,A)
【文献】 特開2011−030909(JP,A)
【文献】 特開2013−009916(JP,A)
【文献】 国際公開第2014/193776(WO,A1)
【文献】 特開2010−088676(JP,A)
【文献】 特開2009−195670(JP,A)
【文献】 特開2011−161229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアと、このコアの外側に位置する1又は2以上の中間層と、これら中間層の外側に位置するカバーとを備えたゴルフボールであって、
上記コアにおける中心のショアC硬度Ho及び表面のショアC硬度Hs、上記中間層の中で最も硬度が小さい層のショアC硬度Hm(min)、並びに上記カバーのショアC硬度Hcが、下記数式(1)から(4)を満たし、
Hs − Ho > 15 (1)
Hc − Hm(min) > 20 (2)
−10 < Hm(min) − Ho < 15 (3)
5 < Hc − Hs < 20 (4)
上記カバーの硬度Hcが、上記中間層の中で硬度が最も大きい層のショアC硬度Hm(max)よりも大きく、
その表面に複数のディンプルを有しており、
上記ゴルフボールの仮想球の表面積に対する、上記ディンプルの面積の合計の比率Soが、81.0%以上であり、
円形ディンプルである場合はこの円の直径であり非円形ディンプルである場合はこの非円形ディンプルの面積と同じ面積を有する円形ディンプルの円の直径であるところのディンプルの直径が上記ゴルフボールの直径の9.60%以上10.37%以下であるディンプルの数の、ディンプルの総数に対する比率Rsが、50%以上であり、
上記ディンプルの直径が、上記ゴルフボールの直径の10.10%以上10.37%以下であるディンプルの数の、ディンプルの総数に対する比率Rs’が、50%以上であり、
上記仮想球の半球のディンプルパターンが、互いに回転対称である3つのユニットからなり、
それぞれのユニットのディンプルパターンが、互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなり、
下記数式(5)及び(9)を満たすゴルフボール。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 273 (5)
Rs’ ≧ −2.2 ・ So + 252 (9)
【請求項2】
上記カバーの厚みと上記全ての中間層の厚みとの合計が、2.8mm以下である請求項1に記載のゴルフボール。
【請求項3】
下記数式(6)を満たす請求項1又は2に記載のゴルフボール。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 278 (6)
【請求項4】
下記数式(7)を満たす請求項3に記載のゴルフボール。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 283 (7)
【請求項5】
それぞれのディンプルの最深部の、上記仮想球の表面からの深さが、0.10mm以上0.65mm以下である請求項1から4のいずれかに記載のゴルフボール。
【請求項6】
上記ディンプルの総容積が450mm以上750mm以下である請求項1から5のいずれかに記載のゴルフボール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフボールに関する。詳細には、本発明は、コア、1又は2以上の中間層、カバー及びディンプルを有するゴルフボールに関する。
【背景技術】
【0002】
ゴルフボールに対するゴルフプレーヤーの最大の関心事は、飛距離である。プレーヤーは特に、ドライバーショットでの飛距離を重視する。飛行性能の改良に関する種々の提案が、なされている。特開2010−188199公報には、表面の硬度が大きく中心の硬度が小さなコアを有するゴルフボールが開示されている。このゴルフボールがドライバーで打撃されたときのスピン速度は、小さい。
【0003】
ゴルフボールは、その表面に多数のディンプルを備えている。ディンプルは、飛行時のゴルフボール周りの空気の流れを乱し、乱流剥離を起こさせる。この現象は、「乱流化」と称される。乱流化によって空気のゴルフボールからの剥離点が後方にシフトし、抗力が低減される。乱流化によってバックスピンに起因するゴルフボールの上側剥離点と下側剥離点とのズレが助長され、ゴルフボールに作用する揚力が高められる。優れたディンプルは、よりよく空気の流れを乱す。優れたディンプルは、大きな飛距離を生む。
【0004】
ディンプルに関する種々の提案が、なされている。特開2009−172192公報には、ディンプルがランダムに配置されたゴルフボールが開示されている。このゴルフボールのディンプルパターンは、ランダムパターンと称されている。ランダムパターンは、ゴルフボールの飛行性能に寄与しうる。特開2012−10822公報にも、ランダムパターンを有するゴルフボールが開示されている。
【0005】
特開2007−175267公報には、高緯度領域のユニット数と低緯度領域のユニット数とが異なるディンプルパターンが、開示されている。特開2007−195591公報には、低緯度領域におけるディンプルの種類数が、高緯度領域におけるディンプルの種類数よりも多いディンプルパターンが、開示されている。特開2013−153966公報には、ディンプルの密度が大きく、かつディンプルのサイズのばらつきが小さなディンプルパターンが、開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−188199公報
【特許文献2】特開2009−172192公報
【特許文献3】特開2012−10822公報
【特許文献4】特開2007−175267公報
【特許文献5】特開2007−195591公報
【特許文献6】特開2013−153966公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ゴルフでは、ウッドタイプクラブ、アイアンタイプクラブ、ハイブリッドタイプクラブ(ユーティリティ)、パター等によってゴルフボールが打撃される。打撃時の打球感は、プレーヤーの関心事である。概してプレーヤーは、打球感がソフトなゴルフボールを望んでいる。
【0008】
ウッドタイプクラブ、アイアンタイプクラブ又はハイブリッドタイプクラブでの打撃では、ミスショットの頻度が大きい。従ってプレーヤーは、これらのクラブでゴルフボールを打撃したときの打球感には、鈍感である。
【0009】
一方、パッティングでは、パターのスイートスポットでゴルフボールが打撃されることが多い。プレーヤーは、パッティングでの打球感には敏感である。プレーヤーは、パッティングでソフトな打球感が得られるゴルフボールを望んでいる。
【0010】
本発明の目的は、ドライバーショットでの飛行性能とパッティングでの打球感とに優れたゴルフボールの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係るゴルフボールは、コアと、このコアの外側に位置する1又は2以上の中間層と、これら中間層の外側に位置するカバーとを備える。コアにおける中心のショアC硬度Ho及び表面のショアC硬度Hs、中間層の中で最も硬度が小さい層のショアC硬度Hm(min)、並びにカバーのショアC硬度Hcは、下記数式(1)から(4)を満たす。
Hs − Ho > 15 (1)
Hc − Hm(min) > 20 (2)
−10 < Hm(min) − Ho < 15 (3)
5 < Hc − Hs < 20 (4)
カバーの硬度Hcは、中間層の中で硬度が最も大きい層のショアC硬度Hm(max)よりも大きい。このゴルフボールは、その表面に複数のディンプルを有する。このゴルフボールの仮想球の表面積に対する、ディンプルの面積の合計の比率Soは、81.0%以上である。その直径がゴルフボールの直径の9.60%以上10.37%以下であるディンプルの数の、ディンプルの総数に対する比率Rsは、50%以上である。この仮想球の半球のディンプルパターンは、互いに回転対称である3つのユニットからなる。それぞれのユニットのディンプルパターンは、互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなる。このゴルフボールは、下記数式(5)を満たす。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 273 (5)
【0012】
好ましくは、カバーの厚みと全ての中間層の厚みとの合計は、2.8mm以下である。
【0013】
好ましくは、ゴルフボールは、下記数式(6)を満たす。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 278 (6)
【0014】
好ましくは、ゴルフボールは、下記数式(7)を満たす。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 283 (7)
【0015】
好ましくは、その直径がゴルフボールの直径の10.10%以上10.37%以下であるディンプルの数の、ディンプルの総数に対する比率Rs’は、50%以上である。好ましくは、ゴルフボールは、下記数式(8)を満たす。
Rs’ ≧ −2.2 ・ So + 245 (8)
【0016】
好ましくは、ゴルフボールは、下記数式(9)を満たす。
Rs’ ≧ −2.2 ・ So + 252 (9)
【0017】
好ましくは、それぞれのディンプルの最深部の、仮想球の表面からの深さは、0.10mm以上0.65mm以下である。
【0018】
好ましくは、ディンプルの総容積は、450mm以上750mm以下である。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るゴルフボールは、ドライバーで打撃されたときの反発性能に優れる。このゴルフボールがドライバーで打撃されたときのスピン速度は、小さい。さらに、このゴルフボールのディンプルパターンは、空力特性に優れる。このゴルフボールは、ドライバーで打撃されたときの飛行性能に優れる。
【0020】
このゴルフボールがパターで打撃されたときの衝撃は、小さい。このゴルフボールがパターで打撃されたときの打球感は、ソフトである。
【0021】
このゴルフボールは、ドライバーで打撃されたときの飛行性能とパターで打撃されたときの打球感との、両方に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本発明の一実施形態に係るゴルフボールが示された断面図である。
図2図2は、図1のゴルフボールが示された平面図である。
図3図3は、図2のゴルフボールが示された正面図である。
図4図4は、図1のゴルフボールの一部が示された拡大断面図である。
図5図5は、比率So及び比率Rsの関係が示されたグラフである。
図6図6は、比率So及び比率Rs’の関係が示されたグラフである。
図7図7は、本発明の実施例2に係るゴルフボールが示された平面図である。
図8図8は、図7のゴルフボールが示された正面図である。
図9図9は、本発明の実施例3に係るゴルフボールが示された平面図である。
図10図10は、図9のゴルフボールが示された正面図である。
図11図11は、本発明の実施例4に係るゴルフボールが示された平面図である。
図12図12は、図11のゴルフボールが示された正面図である。
図13図13は、比較例1に係るゴルフボールが示された平面図である。
図14図14は、図13のゴルフボールが示された正面図である。
図15図15は、比較例2に係るゴルフボールが示された平面図である。
図16図16は、図15のゴルフボールが示された正面図である。
図17図17は、比較例3に係るゴルフボールが示された平面図である。
図18図18は、図17のゴルフボールが示された正面図である。
図19図19は、比較例4に係るゴルフボールが示された平面図である。
図20図20は、図19のゴルフボールが示された底面図である。
図21図21は、図19のゴルフボールが示された右側面図である。
図22図22は、図19のゴルフボールが示された正面図である。
図23図23は、図19のゴルフボールが示された左側面図である。
図24図24は、図19のゴルフボールが示された背面図である。
図25図25は、比較例5に係るゴルフボールが示された平面図である。
図26図26は、図25のゴルフボールが示された正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0024】
図1に示されたゴルフボール2は、球状のコア4と、このコア4の外側に位置する中間層6と、この中間層6の外側に位置するカバー8とを備えている。このゴルフボール2は、その表面に複数のディンプル10を有している。ゴルフボール2の表面のうちディンプル10以外の部分は、ランド12である。このゴルフボール2は、カバー8の外側にペイント層及びマーク層を備えているが、これらの層の図示は省略されている。ゴルフボール2が、コア4と中間層6との間に、他の層を備えてもよい。ゴルフボール2が、中間層6とカバー8との間に、他の層を備えてもよい。
【0025】
このゴルフボール2の直径は、40mm以上45mm以下が好ましい。米国ゴルフ協会(USGA)の規格が満たされるとの観点から、直径は42.67mm以上が特に好ましい。空気抵抗抑制の観点から、直径は44mm以下がより好ましく、42.80mm以下が特に好ましい。このゴルフボール2の質量は、40g以上50g以下が好ましい。大きな慣性が得られるとの観点から、質量は44g以上がより好ましく、45.00g以上が特に好ましい。USGAの規格が満たされるとの観点から、質量は45.93g以下が特に好ましい。
【0026】
コア4は、ゴム組成物が架橋されることで形成されている。好ましい基材ゴムとして、ポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体及び天然ゴムが例示される。反発性能の観点から、ポリブタジエンが好ましい。ポリブタジエンと他のゴムとが併用される場合、ポリブタジエンが主成分であることが好ましい。具体的には、全基材ゴムに対するポリブタジエンの比率は、50質量%以上が好ましく、80質量%以上が特に好ましい。シス−1,4結合の比率が80%以上であるポリブタジエンが、特に好ましい。
【0027】
コア4のゴム組成物は、好ましくは、共架橋剤を含む。反発性能の観点から好ましい共架橋剤は、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸の、1価又は2価の金属塩である。好ましい共架橋剤として、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、メタクリル酸亜鉛及びメタクリル酸マグネシウムが例示される。反発性能の観点から、アクリル酸亜鉛及びメタクリル酸亜鉛が特に好ましい。
【0028】
ゴム組成物が、炭素数が2から8であるα,β−不飽和カルボン酸と、酸化金属とを含んでもよい。両者はゴム組成物中で反応し、塩が得られる。この塩が、共架橋剤として機能する。好ましいα,β−不飽和カルボン酸として、アクリル酸及びメタクリル酸が挙げられる。好ましい酸化金属として、酸化亜鉛及び酸化マグネシウムが挙げられる。
【0029】
ゴルフボール2の反発性能の観点から、共架橋剤の量は、基材ゴム100質量部に対して10質量部以上が好ましく、15質量部以上が特に好ましい。パッティングでのソフトな打球感の観点から、この量は50質量部以下が好ましく、45質量部以下が特に好ましい。
【0030】
好ましくは、コア4のゴム組成物は、有機過酸化物を含む。有機過酸化物は、架橋開始剤として機能する。有機過酸化物は、ゴルフボール2の反発性能に寄与する。好適な有機過酸化物として、ジクミルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン及びジ−t−ブチルパーオキサイドが例示される。特に汎用性の高い有機過酸化物は、ジクミルパーオキサイドである。
【0031】
ゴルフボール2の反発性能の観点から、有機過酸化物の量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上が特に好ましい。パッティングでのソフトな打球感の観点から、この量は3.0質量部以下が好ましく、2.8質量部以下がより好ましく、2.5質量部以下が特に好ましい。
【0032】
好ましくは、コア4のゴム組成物は、有機硫黄化合物を含む。有機硫黄化合物には、ナフタレンチオール系化合物、ベンゼンチオール系化合物及びジスルフィド系化合物が含まれる。
【0033】
ナフタレンチオール系化合物として、1−ナフタレンチオール、2−ナフタレンチオール、4−クロロ−1−ナフタレンチオール、4−ブロモ−1−ナフタレンチオール、1−クロロ−2−ナフタレンチオール、1−ブロモ−2−ナフタレンチオール、1−フルオロ−2−ナフタレンチオール、1−シアノ−2−ナフタレンチオール及び1−アセチル−2−ナフタレンチオールが例示される。
【0034】
ベンゼンチオール系化合物として、ベンゼンチオール、4−クロロベンゼンチオール、3−クロロベンゼンチオール、4−ブロモベンゼンチオール、3−ブロモベンゼンチオール、4−フルオロベンゼンチオール、4−ヨードベンゼンチオール、2,5−ジクロロベンゼンチオール、3,5−ジクロロベンゼンチオール、2,6−ジクロロベンゼンチオール、2,5−ジブロモベンゼンチオール、3,5−ジブロモベンゼンチオール、2−クロロ−5−ブロモベンゼンチオール、2,4,6−トリクロロベンゼンチオール、2,3,4,5,6−ペンタクロロベンゼンチオール、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンチオール、4−シアノベンゼンチオール、2−シアノベンゼンチオール、4−ニトロベンゼンチオール及び2−ニトロベンゼンチオールが例示される。
【0035】
ジスルフィド系化合物として、ジフェニルジスルフィド、ビス(4−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3−クロロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(4−フルオロフェニル)ジスルフィド、ビス(4−ヨードフェニル)ジスルフィド、ビス(4−シアノフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,6−ジクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(3,5−ジブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−クロロ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−5−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2−シアノ−4−クロロ−6−ブロモフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,5,6−テトラクロロフェニル)ジスルフィド、ビス(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)ジスルフィド及びビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)ジスルフィドが例示される。
【0036】
ゴルフボール2の反発性能の観点から、有機硫黄化合物の量は、基材ゴム100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上が特に好ましい。パッティングでのソフトな打球感の観点から、この量は1.5質量部以下が好ましく、1.0質量部以下がより好ましく、0.8質量部以下が特に好ましい。2以上の有機硫黄化合物が、併用されてもよい。ナフタレンチオール系化合物とジスルフィド系化合物とが併用されることが、好ましい。
【0037】
好ましくは、コア4のゴム組成物は、カルボン酸又はカルボン酸塩を含む。カルボン酸又はカルボン酸塩を含むコア4では、中心付近の硬度が小さい。このコア4は、外剛内柔構造を有する。このコア4を有するゴルフボール2がドライバーで打撃されたときのスピン速度は、小さい。スピン速度が小さなゴルフボール2では、大きな飛距離が得られる。好ましいカルボン酸として、安息香酸が例示される。好ましいカルボン酸塩として、オクタン酸亜鉛及びステアリン酸亜鉛が例示される。ゴム組成物が安息香酸を含むことが、特に好ましい。カルボン酸及び/又はカルボン酸塩の量は、基材ゴム100質量部に対して1質量部以上20質量部以下が好ましい。
【0038】
コア4のゴム組成物が、比重調整等を目的とした充填剤を含んでもよい。好適な充填剤として、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。充填剤の量は、コア4の意図した比重が達成されるように適宜決定される。このゴム組成物が、硫黄、老化防止剤、着色剤、可塑剤、分散剤等の各種添加剤を適量含んでもよい。このゴム組成物が、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末を含んでもよい。
【0039】
コア4の直径は、38.0mm以上が好ましい。直径が38.0mm以上であるコア4を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、直径は38.5mm以上がより好ましく、39.5mm以上が特に好ましい。中間層6及びカバー8が十分な厚みを有しうるとの観点から、この直径は41.0mm以下が好ましく、40.5mm以下が特に好ましい。
【0040】
コア4の質量は、10g以上40g以下が好ましい。コア4の架橋温度は、140℃以上180℃以下である。コア4の架橋時間は、10分以上60分以下である。コア4が2以上の層を有してもよい。コア4が、その表面にリブを備えてもよい。コア4が中空であってもよい。
【0041】
このゴルフボール2では、コア4の表面の硬度Hsとコア4の中心の硬度Hoとの差(Hs−Ho)は、15を超える。換言すれば、このゴルフボール2は、下記の数式(1)を満たす。
Hs − Ho > 15 (1)
上記数式(1)を満たすコア4は、いわゆる外剛内柔構造を有する。このコア4を有するゴルフボール2がドライバーで打撃されたとき、スピンが抑制される。このコア4を有するゴルフボール2がドライバーで打撃されたとき、大きな打ち出し角度が得られる。
【0042】
ドライバーショットでは、適度な弾道高さ及び適度な滞空時間が必要である。大きなスピン速度で弾道高さ及び滞空時間を達成するゴルフボール2では、落下後のランが小さい。大きな打ち出し角度で弾道高さ及び滞空時間を達成するゴルフボール2では、落下後のランが大きい。飛距離の観点から、大きな打ち出し角度で弾道高さ及び滞空時間を達成するゴルフボール2が好ましい。外剛内柔構造を有するコア4は、前述の通り、大きな打ち出し角度及び小さなスピン速度に寄与しうる。このコア4を有するゴルフボール2は、飛行性能に優れる。
【0043】
飛行性能の観点から、差(Hs−Ho)は17以上が好ましく、19以上が特に好ましい。コア4の製作の容易の観点から、差(Hs−Ho)は50以下が好ましく、45以下が特に好ましい。
【0044】
反発性能の観点から、中心硬度Hoは40以上が好ましく、43以上がより好ましく、46以上が特に好ましい。スピン抑制の観点及びパッティングでの打球感の観点から、硬度Hoは60以下が好ましく、57以下がより好ましく、54以下が特に好ましい。
【0045】
硬度Hoは、自動硬度計(H.バーレイス社の商品名「デジテストII」)に取り付けられたショアC型硬度計によって測定される。この硬度計が、ゴルフボール2が切断されて得られる半球の断面中心に押しつけられる。測定は、23℃の環境下でなされる。
【0046】
スピン抑制の観点から、表面硬度Hsは70以上が好ましく、72以上がより好ましく、74以上が特に好ましい。ゴルフボール2の耐久性の観点から、硬度Hsは90以下が好ましく、88以下がより好ましく、86以下が特に好ましい。
【0047】
硬度Hsは、自動硬度計(H.バーレイス社の商品名「デジテストII」)に取り付けられたショアC型硬度計によって測定される。この硬度計が、コア4の表面に押しつけられる。測定は、23℃の環境下でなされる。
【0048】
中間層6は、コア4とカバー8との間に位置している。中間層6は、熱可塑性樹脂組成物から成形されている。この樹脂組成物の基材ポリマーとして、アイオノマー樹脂、熱可塑性ポリエステルエラストマー、熱可塑性ポリアミドエラストマー、熱可塑性ポリウレタンエラストマー、熱可塑性ポリオレフィンエラストマー及び熱可塑性ポリスチレンエラストマーが例示される。特に、アイオノマー樹脂が好ましい。アイオノマー樹脂は、高弾性である。アイオノマー樹脂を含む中間層6を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。
【0049】
アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。併用される場合は、反発性能の観点から、アイオノマー樹脂が基材ポリマーの主成分とされる。全基材ポリマーに対するアイオノマー樹脂の比率は50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、85%以上が特に好ましい。
【0050】
好ましいアイオノマー樹脂として、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸との二元共重合体が挙げられる。好ましい二元共重合体は、80質量%以上90質量%以下のα−オレフィンと、10質量%以上20質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸とを含む。この二元共重合体は、反発性能に優れる。好ましい他のアイオノマー樹脂として、α−オレフィンと炭素数が3以上8以下のα,β−不飽和カルボン酸と炭素数が2以上22以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとの三元共重合体が挙げられる。好ましい三元共重合体は、70質量%以上85質量%以下のα−オレフィンと、5質量%以上30質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸と、1質量%以上25質量%以下のα,β−不飽和カルボン酸エステルとを含む。この三元共重合体は、反発性能に優れる。二元共重合体及び三元共重合体において、好ましいα−オレフィンはエチレン及びプロピレンであり、好ましいα,β−不飽和カルボン酸はアクリル酸及びメタクリル酸である。特に好ましいアイオノマー樹脂は、エチレンとアクリル酸との共重合体である。特に好ましい他のアイオノマー樹脂は、エチレンとメタクリル酸との共重合体である。
【0051】
二元共重合体及び三元共重合体において、カルボキシル基の一部は金属イオンで中和されている。中和のための金属イオンとして、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン、亜鉛イオン、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン及びネオジムイオンが例示される。中和が、2種以上の金属イオンでなされてもよい。ゴルフボール2の反発性能及び耐久性の観点から特に好適な金属イオンは、ナトリウムイオン、亜鉛イオン、リチウムイオン及びマグネシウムイオンである。
【0052】
アイオノマー樹脂の具体例として、三井デュポンポリケミカル社の商品名「ハイミラン1555」、「ハイミラン1557」、「ハイミラン1605」、「ハイミラン1706」、「ハイミラン1707」、「ハイミラン1856」、「ハイミラン1855」、「ハイミランAM7311」、「ハイミランAM7315」、「ハイミランAM7317」、「ハイミランAM7329」及び「ハイミランAM7337」;デュポン社の商品名「サーリン6120」、「サーリン6910」、「サーリン7930」、「サーリン7940」、「サーリン8140」、「サーリン8150」、「サーリン8940」、「サーリン8945」、「サーリン9120」、「サーリン9150」、「サーリン9910」、「サーリン9945」、「サーリンAD8546」、「HPF1000」及び「HPF2000」;並びにエクソンモービル化学社の商品名「IOTEK7010」、「IOTEK7030」、「IOTEK7510」、「IOTEK7520」、「IOTEK8000」及び「IOTEK8030」が挙げられる。2種以上のアイオノマー樹脂が併用されてもよい。
【0053】
中間層6の樹脂組成物が、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーを含んでもよい。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーは、ハードセグメントとしてのポリスチレンブロックと、ソフトセグメントとを備えている。典型的なソフトセグメントは、ジエンブロックである。ジエンブロックの化合物として、ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン及び2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンが例示される。ブタジエン及びイソプレンが好ましい。2以上の化合物が併用されてもよい。
【0054】
スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SIBS)、SBSの水添物、SISの水添物及びSIBSの水添物が含まれる。SBSの水添物として、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)が挙げられる。SISの水添物として、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)が挙げられる。SIBSの水添物として、スチレン−エチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEEPS)が挙げられる。
【0055】
ゴルフボール2の反発性能の観点から、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーにおけるスチレン成分の含有率は10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、15質量%以上が特に好ましい。ゴルフボール2の打球感の観点から、この含有率は50質量%以下が好ましく、47質量%以下がより好ましく、45質量%以下が特に好ましい。
【0056】
本発明において、スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーには、SBS、SIS、SIBS、SEBS、SEPS及びSEEPSからなる群から選択された1種又は2種以上と、オレフィンとのアロイが含まれる。このアロイ中のオレフィン成分は、他の基材ポリマーとの相溶性向上に寄与すると推測される。このアロイは、ゴルフボール2の反発性能に寄与しうる。炭素数が2以上10以下のオレフィンが好ましい。好適なオレフィンとして、エチレン、プロピレン、ブテン及びペンテンが例示される。エチレン及びプロピレンが特に好ましい。
【0057】
ポリマーアロイの具体例として、三菱化学社の商品名「ラバロンT3221C」、「ラバロンT3339C」、「ラバロンSJ4400N」、「ラバロンSJ5400N」、「ラバロンSJ6400N」、「ラバロンSJ7400N」、「ラバロンSJ8400N」、「ラバロンSJ9400N」及び「ラバロンSR04」が挙げられる。スチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの他の具体例として、ダイセル化学工業社の商品名「エポフレンドA1010」及びクラレ社の商品名「セプトンHG−252」が挙げられる。
【0058】
パッティングでの打球感の観点から、全基材ポリマーに対するスチレンブロック含有熱可塑性エラストマーの比率は5質量%以上が好ましく、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が特に好ましい。ゴルフボール2の反発性能の観点から、この比率は70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、55質量%以下が特に好ましい。
【0059】
中間層6の樹脂組成物が、比重調整等を目的とした充填剤を含んでもよい。好適な充填剤として、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸カルシウム及び炭酸マグネシウムが例示される。この樹脂組成物が、充填剤として、高比重金属からなる粉末を含んでもよい。高比重金属の具体例として、タングステン及びモリブデンが挙げられる。充填剤の量は、中間層6の意図した比重が達成されるように適宜決定される。この樹脂組成物が、着色剤、架橋ゴム粉末又は合成樹脂粉末を含んでもよい。ゴルフボール2の色相が白である場合、典型的な着色剤は二酸化チタンである。
【0060】
中間層6の硬度Hmは、40以上90以下が好ましい。硬度Hmが40以上である中間層6を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、硬度Hmは50以上がより好ましく、55以上が特に好ましい。硬度が90以下である中間層6を有するゴルフボール2は、パッティングでの打球感に優れる。この観点から、硬度Hmは85以下がより好ましく、83以下が特に好ましい。ゴルフボール2が2以上の中間層6を有する場合、各中間層6の硬度が上記範囲内であることが好ましい。
【0061】
硬度Hmは、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して測定される。自動硬度計(H.バーレイス社の商品名「デジテストII」)に取り付けられたショアC型硬度計により、硬度Hmが測定される。測定には、熱プレスで成形された、中間層6と同一の材料からなる、厚みが約2mmであるシートが用いられる。測定に先立ち、シートは23℃の温度下に2週間保管される。測定時には、3枚のシートが重ね合わされる。
【0062】
本実施形態では、中間層の数は、1である。従って、中間層の中で最も硬度が小さい層のショアC硬度Hm(min)は、前述の硬度Hmと等しい。中間層の中で硬度が最も大きい層のショアC硬度Hm(max)は、前述の硬度Hmと等しい。本実施形態では、硬度Hm(min)は、硬度Hm(max)と等しい。
【0063】
中間層6の厚みTmは、0.3mm以上2.5mm以下が好ましい。厚みTmが0.3mm以上である中間層6を有するゴルフボール2は、パッティングでの打球感に優れる。この観点から、厚みTmは0.5mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。厚みTmが2.5mm以下である中間層6を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。この観点から、厚みTmは2.0mm以下がより好ましく、1.8mm以下が特に好ましい。厚みTmは、ランド12の直下において測定される。ゴルフボール2が2以上の中間層を有する場合、各中間層の厚みが上記範囲内であることが好ましい。
【0064】
カバー8は、マーク層及びペイント層を除けば、最も外側の層である。カバー8は、樹脂組成物から成形されている。この樹脂組成物の好ましい基材ポリマーは、アイオノマー樹脂である。アイオノマー樹脂を含むカバー8を有するゴルフボール2は、反発性能に優れる。中間層6に関して前述されたアイオノマー樹脂が、カバー8に用いられうる。
【0065】
アイオノマー樹脂と他の樹脂とが併用されてもよい。アイオノマー樹脂と併用される樹脂として、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリスチレンが例示される。併用される場合は、反発性能の観点から、アイオノマー樹脂が基材ポリマーの主成分とされる。基材ポリマーの全量に対するアイオノマー樹脂の量の比率は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が特に好ましい。
【0066】
カバー8の樹脂組成物が、着色剤、充填剤、分散剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光剤、蛍光増白剤等を適量含んでもよい。ゴルフボール2の色相が白である場合、典型的な着色剤は二酸化チタンである。
【0067】
スピン抑制の観点から、カバー8のショアC硬度Hcは76以上が好ましく、79以上がより好ましく、82以上が特に好ましい。パッティングでの打球感の観点から、この硬度Hcは97以下が好ましく、95以下がより好ましく、93以下が特に好ましい。
【0068】
カバー8の硬度Hcは、「ASTM−D 2240−68」の規定に準拠して測定される。自動硬度計(H.バーレイス社の商品名「デジテストII」)に取り付けられたショアC型硬度計により、硬度Hcが測定される。測定には、熱プレスで成形された、カバー8と同一の材料からなる、厚みが約2mmであるシートが用いられる。測定に先立ち、シートは23℃の温度下に2週間保管される。測定時には、3枚のシートが重ね合わされる。
【0069】
ゴルフボール2の反発性能の観点から、カバー8の厚みTcは0.5mm以上が好ましく、0.7mm以上がより好ましく、0.8mm以上が特に好ましい。パッティングでの打球感の観点から、この厚みTcは2.0mm以下が好ましく、1.5mm以下がより好ましく、1.0mm以下が特に好ましい。厚みTcは、ランド12の直下において測定される。
【0070】
カバー8の形成には、射出成形法、圧縮成形法等の既知の手法が採用されうる。カバー8の成形時に、成形型のキャビティ面に形成されたピンプルにより、ディンプル10が形成される。
【0071】
ゴルフボール2の圧縮変形量Sbは、2.5mm以上4.5mm以下が好ましい。圧縮変形量Sbが2.5mm以上であるゴルフボール2は、パッティングでの打球感に優れる。この観点から、圧縮変形量Sbは2.7mm以上が好ましく、2.8mm以上が特に好ましい。圧縮変形量Sbが4.5mm以下であるゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛行性能に優れる。この観点から、圧縮変形量Sbは4.0mm以下がより好ましく、3.8mm以下が特に好ましい。
【0072】
圧縮変形量の測定には、YAMADA式コンプレッションテスターが用いられる。このテスターでは、ゴルフボール2が金属製の剛板の上に置かれる。このゴルフボール2に向かって金属製の円柱が徐々に降下する。この円柱の底面と剛板との間に挟まれたゴルフボール2は、変形する。ゴルフボール2に98Nの初荷重がかかった状態から1274Nの終荷重がかかった状態までの円柱の移動距離が、測定される。初荷重がかかるまでの円柱の移動速度は、0.83mm/sである。初荷重がかかってから終荷重がかかるまでの円柱の移動速度は、1.67mm/sである。
【0073】
このゴルフボール2では、カバー8の硬度Hcと、中間層6の中で最も硬度が小さい層の硬度Hm(min)との差(Hc−Hm(min))は、20より大きい。換言すれば、このゴルフボール2は、下記数式(2)を満たす。
Hc − Hm(min) > 20 (2)
上記数式(2)を満たすゴルフボール2がドライバーで打撃されたときのスピン速度は、小さい。このゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛行性能に優れる。この観点から、差(Hc−Hm(min))は22以上がより好ましく、24以上が特に好ましい。パッティングでの打球感の観点から、差(Hc−Hm(min))は42以下が好ましく、40以下がより好ましく、38以下が特に好ましい。
【0074】
このゴルフボール2では、中間層の中で最も硬度が小さい層の硬度Hm(min)とコア4の中心硬度Hoとの差(Hm(min)−Ho)は、−10を超えて15未満である。換言すれば、このゴルフボール2は、下記数式(3)を満たす。
−10 < Hm(min) − Ho < 15 (3)
差(Hm(min) − Ho)が−10を超えるゴルフボール2がドライバーで打撃されたときのスピン速度は、小さい。このゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛行性能に優れる。この観点から、差(Hm(min)−Ho)は−8以上がより好ましく、−6以上が特に好ましい。差(Hm(min)−Ho)が15未満であるゴルフボール2は、パッティングでの打球感に優れる。この観点から、差(Hm(min)−Ho)は13以下がより好ましく、12以下が特に好ましい。
【0075】
このゴルフボール2では、カバー8の硬度Hcとコア4の表面硬度Hsとの差(Hc−Hs)は、5を超えて20未満である。換言すれば、このゴルフボール2は、下記数式(4)を満たす。
5 < Hc − Hs < 20 (4)
差(Hc−Hs)が5を超えるゴルフボール2がドライバーで打撃されたときのスピン速度は、小さい。このゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛行性能に優れる。この観点から、差(Hc−Hs)は6以上がより好ましく、7以上が特に好ましい。差(Hc−Hs)が20未満であるゴルフボール2がドライバーで打撃されたときのスピン速度は、小さい。このゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛行性能に優れる。この観点から、差(Hc−Hs)は19以下がより好ましく、18以下が特に好ましい。
【0076】
カバー8の硬度Hcは、中間層の中で硬度が最も大きい層の硬度Hm(max)よりも大きい。硬度Hcが硬度Hm(max)よりも大きいゴルフボール2がドライバーで打撃されたときのスピン速度は、小さい。このゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛行性能に優れる。この観点から、差(Hc−Hm(max))は5以上が好ましく、15以上がより好ましく、20以上が特に好ましい。パッティングでの打球感の観点から、差(Hc−Hm(max))は45以下が好ましく、40以下がより好ましく、38以下が特に好ましい。
【0077】
中間層6とカバー8との合計の厚みTTは、2.8mm以下が好ましい。厚みTTが2.8mm以下であるゴルフボール2は、パッティングでの打球感に優れる。この観点から、厚みTTは2.6mm以下がより好ましく、2.4mm以下が特に好ましい。ゴルフボール2の耐久性の観点から、厚みTTは1.0mm以上が好ましく、1.4mm以上がより好ましく、1.6mm以上が特に好ましい。2以上の中間層を有するゴルフボール2では、厚みTTは、カバー8の厚みと全ての中間層の厚みとの合計である。
【0078】
図2及び3に示されるように、ディンプル10の輪郭は円である。このゴルフボール2は、直径が4.60mmであるディンプルAと、直径が4.50mmであるディンプルBと、直径が4.35mmであるディンプルCと、直径が4.00mmであるディンプルDと、直径が3.00mmであるディンプルEとを有している。ディンプル10の種類数は、5である。ゴルフボール2が円形ディンプル10に代えて、又は円形ディンプル10と共に、非円形ディンプルを有してもよい。
【0079】
ディンプルAの数は24個であり、ディンプルBの数は12個であり、ディンプルCの数は252個であり、ディンプルDの数は24個であり、ディンプルEの数は12個である。ディンプル10の総数は、324個である。これらのディンプル10とランド12とにより、ディンプルパターンが形成されている。
【0080】
図4には、ディンプル10の中心及びゴルフボール2の中心を通過する平面に沿った、ゴルフボール2の断面が示されている。図4における上下方向は、ディンプル10の深さ方向である。図4において二点鎖線14で示されているのは、仮想球である。仮想球14の表面は、ディンプル10が存在しないと仮定されたときのゴルフボール2の表面である。仮想球14の直径は、ゴルフボール2の直径と同一である。ディンプル10は、仮想球14の表面から凹陥している。ランド12は、仮想球14の表面と一致している。本実施形態では、ディンプル10の断面形状は、実質的に円弧である。
【0081】
図4において矢印Dmで示されているのは、ディンプル10の直径である。この直径Dmは、ディンプル10の両側に共通する接線Tgが画かれたときの、一方の接点Edと他方の接点Edとの距離である。接点Edは、ディンプル10のエッジでもある。エッジEdは、ディンプル10の輪郭を画定する。図4において両矢印Dp1で示されているのは、ディンプル10の第一深さである。この第一深さDp1は、ディンプル10の最深部と仮想球14の表面との距離である。図4において両矢印Dp2で示されているのは、ディンプル10の第二深さである。この第二深さDp2は、ディンプル10の最深部と接線Tgとの距離である。
【0082】
それぞれのディンプル10の直径Dmは、2.0mm以上6.0mm以下が好ましい。直径Dmが2.0mm以上であるディンプル10は、ドライバーショットでの乱流化に寄与する。この観点から、直径Dmは2.5mm以上がより好ましく、2.8mm以上が特に好ましい。直径Dmが6.0mm以下であるディンプル10は、実質的に球であるというゴルフボール2の本質を損ねない。この観点から、直径Dmは5.5mm以下がより好ましく、5.0mm以下が特に好ましい。
【0083】
非円形ディンプルの場合、この非円形ディンプルの面積と同じ面積を有する円形ディンプル10が仮想される。この仮想されたディンプル10の直径が、非円形ディンプルの直径と見なされる。
【0084】
ディンプル10の直径Dmの、ゴルフボール2の直径に対する比率Pdは、9.60%以上10.37%以下が好ましい。この比率が9.60%以上であるディンプル10は、ドライバーショットでの乱流化に寄与する。この観点から、比率Pdは9.90%以上がより好ましく、10.10%以上が特に好ましい。この比率Pdが10.37%以下であるディンプル10は、実質的に球であるというゴルフボール2の本質を損ねない。この観点から、比率Pdは10.32%以下がより好ましく、10.27%以下が特に好ましい。
【0085】
比率Pdが9.60%以上10.37%以下であるディンプル10の数の、ディンプル10の総数に対する比率Rsは、50%以上が好ましい。比率Rsが50%以上であるディンプルパターンは、ドライバーショットでの乱流化に寄与する。この観点から、比率Rsは60%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。比率Rsが100%であってもよい。
【0086】
比率Pdが10.10%以上10.37%以下であるディンプル10の数の、ディンプル10の総数に対する比率Rs’は、50%以上が好ましい。比率Rs’が50%以上であるディンプルパターンはドライバーショットでの乱流化に寄与する。この観点から、比率Rs’は60%以上がより好ましく、70%以上が特に好ましい。比率Rs’が100%であってもよい。
【0087】
比率Pdが10.37%を超えるディンプル10の数の、ディンプル10の総数に対する比率は、50%未満が好ましい。この比率が50%未満であるディンプルパターンでは、ディンプルパターンの設計の自由度が高く、従ってランド12の幅が過大となりにくい。この観点から、この比率は30%以下がより好ましく、10%以下が特に好ましい。この比率がゼロであってもよい。
【0088】
飛行中のゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル10の第一深さDp1は0.10mm以上が好ましく、0.13mm以上がより好ましく、0.15mm以上が特に好ましい。飛行中のゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、第一深さDp1は0.65mm以下が好ましく、0.60mm以下がより好ましく、0.55mm以下が特に好ましい。
【0089】
ディンプル10の面積sは、無限遠からゴルフボール2の中心を見た場合の、ディンプル10の輪郭に囲まれた領域の面積である。円形ディンプル10の場合、面積Sは下記数式によって算出される。
S = (Dm / 2) * π
【0090】
図2及び3に示されたゴルフボール2では、ディンプルAの面積は16.62mmであり、ディンプルBの面積は15.90mmであり、ディンプルCの面積は14.86mmであり、ディンプルDの面積は12.57mmであり、ディンプルEの面積は7.07mmである。
【0091】
本発明では、全てのディンプル10の面積Sの合計の、仮想球14の表面積に対する比率は、占有率Soと称される。十分な乱流化が得られるとの観点から、占有率Soは81.0%以上が好ましく、82.0%以上が特に好ましい。占有率は、95%以下が好ましい。図2及び3に示されたゴルフボール2では、ディンプル10の合計面積は4721.1mmである。このゴルフボール2の仮想球14の表面積は5728.0mmなので、占有率は82.4%である。
【0092】
十分な占有率が達成されるとの観点から、ディンプル10の総数Nは250個以上が好ましく、280個以上がより好ましく、300個以上が特に好ましい。個々のディンプル10が乱流化に寄与しうるとの観点から、総数Nは450個以下が好ましく、400個以下がより好ましく、380個以下が特に好ましい。
【0093】
本発明において「ディンプルの容積」とは、仮想球14の表面とディンプル10の表面とに囲まれた部分の容積を意味する。飛行中のゴルフボール2のホップが抑制されるとの観点から、ディンプル10の総容積は450mm以上が好ましく、480mm以上がより好ましく、500mm以上が特に好ましい。飛行中のゴルフボール2のドロップが抑制されるとの観点から、総容積は750mm以下が好ましく、730mm以下がより好ましく、710mm以下が特に好ましい。
【0094】
図5に示されたグラフにおいて、横軸はディンプル10の占有率Soである。このグラフにおいて、縦軸は、比率Pdが9.60%以上10.37%以下であるディンプル10の数の、ディンプル10の総数に対する比率Rsである。このグラフにおいて符号L1で示される直線は、下記の数式で表される。
Rs = −2.5 ・ So + 273
このグラフにおいて、直線L1よりも上側のゾーンにプロットされるゴルフボール2は、下記数式(5)を満たす。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 273 (5)
上記数式(5)を満たすゴルフボール2では、乱流化が促進される。このゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛行性能に優れる。
【0095】
図5のグラフにおいて符号L2で示される直線は、下記の数式で表される。
Rs = −2.5 ・ So + 278
このグラフにおいて、直線L2よりも上側のゾーンにプロットされるゴルフボール2は、下記数式(6)を満たす。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 278 (6)
上記数式(6)を満たすゴルフボール2では、乱流化が促進される。このゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛行性能に優れる。
【0096】
図5のグラフにおいて符号L3で示される直線は、下記の数式で表される。
Rs = −2.5 ・ So + 283
このグラフにおいて、直線L3よりも上側のゾーンにプロットされるゴルフボール2は、下記数式(7)を満たす。
Rs ≧ −2.5 ・ So + 283 (7)
上記数式(7)を満たすゴルフボール2では、乱流化が促進される。このゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛行性能に優れる。
【0097】
図6に示されたグラフにおいて、横軸はディンプル10の占有率Soである。このグラフにおいて、縦軸は、比率Pdが10.10%以上10.37%以下であるディンプル10の数の、ディンプル10の総数に対する比率Rs’である。このグラフにおいて符号L4で示される直線は、下記の数式で表される。
Rs’ = −2.2 ・ So + 245
このグラフにおいて、直線L4よりも上側のゾーンにプロットされるゴルフボール2は、下記数式(8)を満たす。
Rs’ ≧ −2.2 ・ So + 245 (8)
上記数式(8)を満たすゴルフボール2では、乱流化が促進される。このゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛行性能に優れる。
【0098】
図6のグラフにおいて符号L5で示される直線は、下記の数式で表される。
Rs’ = −2.2 ・ So + 252
このグラフにおいて、直線L5よりも上側のゾーンにプロットされるゴルフボール2は、下記数式(9)を満たす。
Rs’ ≧ −2.2 ・ So + 252 (9)
上記数式(9)を満たすゴルフボール2では、乱流化が促進される。このゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛行性能に優れる。
【0099】
図3に示されるように、ゴルフボール2(又は仮想球14)の表面は、赤道Eqにより、2つの半球HEに区画されうる。具体的には、表面は、北半球NHと南半球SHとに区画されうる。それぞれの半球HEは、ポールPを有している。ポールPは、ゴルフボール2のための成形型の、最も深い点に対応する。
【0100】
図2には、北半球が示されている。南半球は、図2のディンプルパターンがポールPを中心として回転させられたパターンを有する。図2に示された線分S1、S2及びS3のそれぞれは、ポールPから延びている。線分S1と線分S2との、ポールPにおける角度は、120°である。線分S2と線分S3との、ポールPにおける角度は、120°である。線分S3と線分S1との、ポールPにおける角度は、120°である。
【0101】
ゴルフボール2(又は仮想球14)の表面のうち、線分S1、線分S2及び赤道Eqで囲まれたゾーンは、第一球面三角形T1である。ゴルフボール2(又は仮想球14)の表面のうち、線分S2、線分S3及び赤道Eqで囲まれたゾーンは、第二球面三角形T2である。ゴルフボール2(又は仮想球14)の表面のうち、線分S3、線分S1及び赤道Eqで囲まれたゾーンは、第三球面三角形T3である。それぞれの球面三角形は、ユニットである。この半球HEは、3つのユニットに区画されうる。
【0102】
第一球面三角形T1のディンプルパターンが、2つのポールPを結ぶ直線を軸として120°回転させられると、第二球面三角形T2のディンプルパターンと、実質的に重なる。第二球面三角形T2のディンプルパターンが、2つのポールPを結ぶ直線を軸として120°回転させられると、第三球面三角形T3のディンプルパターンと、実質的に重なる。第三球面三角形T3のディンプルパターンが、2つのポールPを結ぶ直線を軸として120°回転させられると、第一球面三角形T1のディンプルパターンと、実質的に重なる。換言すれば、半球のディンプルパターンは、互いに回転対称である3つのユニットからなる。
【0103】
半球HEのディンプルパターンが、2つのポールPを結ぶ直線を軸として120°回転させられたパターンは、回転前のディンプルパターンと実質的に重なる。半球HEのディンプルパターンは、120°回転対称である。
【0104】
図2に示された線分S4は、ポールPから延びている。線分S4と線分S1との、ポールPにおける角度は、60°である。線分S4と線分S2との、ポールPにおける角度は、60°である。線分S4により、第一球面三角形T1(ユニット)は、小さな球面三角形T1a及び他の小さな球面三角形T1bに区画されうる。球面三角形T1a及び球面三角形T1bは、小ユニットである。
【0105】
両ポールPを結ぶ直線及び線分S4を含む平面に対して、球面三角形T1aのディンプルパターンが反転させられたパターンは、球面三角形T1bのディンプルパターンと実質的に重なる。換言すれば、それぞれのユニットのディンプルパターンは、互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなる。
【0106】
同様に、第二球面三角形T2のディンプルパターンも、互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなる。第三球面三角形T3のディンプルパターンも、互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなる。この半球HEのディンプルパターンは、6個の小ユニットからなる。
【0107】
本発明者が得た知見によれば、半球のディンプルパターンが互いに120°回転対称である3つのユニットからなり、それぞれのユニットのディンプルパターンが互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなるゴルフボール2では、乱流化が促進される。このゴルフボール2は、ドライバーショットでの飛行性能に優れる。
【実施例】
【0108】
以下、実施例によって本発明の効果が明らかにされるが、この実施例の記載に基づいて本発明が限定的に解釈されるべきではない。
【0109】
[実施例1]
100質量部のハイシスポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、25.5質量部のアクリル酸亜鉛、12質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド、0.9質量部のジクミルパーオキサイド、0.1質量部の2−ナフタレンチオール及び2質量部の安息香酸を混練し、ゴム組成物Iを得た。このゴム組成物Iを共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、160℃で20分間加熱して、直径が38.6mmであるコアを得た。所定の質量のコアが得られるように、硫酸バリウムの量を調整した。
【0110】
26質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7337」)、26質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、48質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(前述の「ラバロンT3221C」)、4質量部の二酸化チタン及び0.2質量部の光安定剤(城北化学工業社の商品名「JF−90」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物(a)を得た。この樹脂組成物(a)を射出成形法にてコアの周りに被覆し、中間層を形成した。この中間層の厚みは、1.0mmであった。
【0111】
55質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、45質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン1555」)、4質量部の二酸化チタン及び0.2質量部の光安定剤(城北化学工業社の商品名「JF−90」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物(e)を得た。それぞれが半球状キャビティを備え、キャビティ面に多数のピンプルを備えた上型及び下型からなるファイナル金型に、コア及び中間層からなる球体を投入した。樹脂組成物(e)を射出成形法にて中間層の周りに被覆し、カバーを形成した。このカバーの厚みは、1.05mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。
【0112】
このカバーの周りに二液硬化型ポリウレタンを基材とするクリアー塗料を塗装し、直径が約42.7mmであり質量が約45.6gである実施例1のゴルフボールを得た。このゴルフボールの、ディンプル仕様D1の詳細が、下記の表4及び6に示されている。
【0113】
[実施例2−4及び比較例1−3]
ディンプルの仕様を下記の表8及び9に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例2−4及び比較例1−3のゴルフボールを得た。ディンプルの仕様の詳細が、下記の表4−7に示されている。それぞれのゴルフボールにおいて、半球のディンプルパターンは、互いに回転対称である3つのユニットからなる。それぞれのユニットのディンプルパターンは、互いに鏡面対称である2つの小ユニットからなる。半球における小ユニットの数は、6である。
【0114】
[比較例4及び5]
ディンプルの仕様を下記の表9に示される通りとした他は実施例1と同様にして、比較例4及び5のゴルフボールを得た。ディンプルの仕様の詳細が、下記の表5及び7に示されている。比較例4に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2013−153966公報の実施例1に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例4に係るゴルフボールの半球のディンプルパターンは、回転対称ではない。比較例5に係るゴルフボールのディンプルパターンは、特開2013−153966公報の比較例1に係るゴルフボールのディンプルパターンと同じである。比較例5に係るゴルフボールの半球のディンプルパターンは、回転対称ではない。
【0115】
[実施例5−8及び比較例6−12]
コア、中間層及びカバーの仕様を下記の表10−12に示される通りとした他は実施例1と同様にして、実施例5−8及び比較例6−12のゴルフボールを得た。コアの仕様の詳細が、下記の表1−2に示されている。中間層及びカバーの仕様の詳細が、下記の表3に示されている。
【0116】
[実施例9]
100質量部のハイシスポリブタジエン(JSR社の商品名「BR−730」)、22.5質量部のアクリル酸亜鉛、12質量部の酸化亜鉛、適量の硫酸バリウム、0.5質量部のジフェニルジスルフィド、0.9質量部のジクミルパーオキサイド、0.1質量部の2−ナフタレンチオール及び2質量部の安息香酸を混練し、ゴム組成物IIを得た。このゴム組成物IIを共に半球状キャビティを備えた上型及び下型からなる金型に投入し、160℃で20分間加熱して、直径が36.6mmであるコアを得た。所定の質量のコアが得られるように、硫酸バリウムの量を調整した。
【0117】
26質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7337」)、26質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、48質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(前述の「ラバロンT3221C」)、4質量部の二酸化チタン及び0.2質量部の光安定剤(城北化学工業社の商品名「JF−90」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物(a)を得た。この樹脂組成物(a)を射出成形法にてコアの周りに被覆し、第一中間層を形成した。この第一中間層の厚みは、1.0mmであった。
【0118】
43質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7337」)、40質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、17質量部のスチレンブロック含有熱可塑性エラストマー(前述の「ラバロンT3221C」)、4質量部の二酸化チタン及び0.2質量部の光安定剤(城北化学工業社の商品名「JF−90」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物(c)を得た。この樹脂組成物(c)を射出成形法にて第一中間層の周りに被覆し、第二中間層を形成した。この第二中間層の厚みは、1.0mmであった。
【0119】
55質量部のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミランAM7329」)、45質量部の他のアイオノマー樹脂(前述の「ハイミラン1555」)、4質量部の二酸化チタン及び0.2質量部の光安定剤(城北化学工業社の商品名「JF−90」)を二軸混練押出機で混練し、樹脂組成物(e)を得た。それぞれが半球状キャビティを備え、キャビティ面に多数のピンプルを備えた上型及び下型からなるファイナル金型に、コア、第一中間層及び第二中間層からなる球体を投入した。樹脂組成物(e)を射出成形法にて第二中間層の周りに被覆し、カバーを形成した。このカバーの厚みは、1.05mmであった。カバーには、ピンプルの形状が反転した形状を有するディンプルが形成された。
【0120】
このカバーの周りに二液硬化型ポリウレタンを基材とするクリアー塗料を塗装し、直径が約42.7mmであり質量が約45.6gである実施例9のゴルフボールを得た。このゴルフボールの、ディンプル仕様D1の詳細が、下記の表4及び6に示されている。
【0121】
[フライトテスト]
ゴルフラボラトリー社のスイングマシンに、ドライバー(ダンロップスポーツ社の商品名「XXIO9」、シャフト硬度:R、ロフト角:10.5°)を装着した。ヘッド速度が40m/secである条件でゴルフボールを打撃した。打撃直後のボール速度及びスピン速度を測定した。さらに、飛距離を測定した。飛距離は、打撃地点とボールが静止した地点との距離である。12回の測定で得られたデータの平均値が、下記の表8−11に示されている。
【0122】
[打球感]
20名のプレーヤーにパターにてゴルフボールを打撃させ、打球感を聞き取った。「打球感がソフトである」と答えたゴルファーの数に基づき、下記の格付けを行った。
A:16人以上
B:10−15人
C:3−9人
D:2人以下
この結果が、下記の表8−11に示されている。
【0123】
【表1】
【0124】
【表2】
【0125】
【表3】
【0126】
【表4】
【0127】
【表5】
【0128】
【表6】
【0129】
【表7】
【0130】
【表8】
【0131】
【表9】
【0132】
【表10】
【0133】
【表11】
【0134】
【表12】
【0135】
表8−12に示されるように、各実施例のゴルフボールは、ドライバーショットにおける飛行性能及びパッティングにおける打球感に優れている。この評価結果から、本発明の優位性は明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明に係るゴルフボールは、ゴルフコースでのプレイ、ドライビングレンジでのプラクティス等に適している。
【符号の説明】
【0137】
2・・・ゴルフボール
4・・・コア
6・・・中間層
8・・・カバー
10・・・ディンプル
12・・・ランド
14・・・仮想球
図1
図2
図3
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図5
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