特許第6790718号(P6790718)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6790718
(24)【登録日】2020年11月9日
(45)【発行日】2020年11月25日
(54)【発明の名称】採水具
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/14 20060101AFI20201116BHJP
   G01N 33/24 20060101ALI20201116BHJP
   E02D 1/06 20060101ALI20201116BHJP
【FI】
   G01N1/14 Z
   G01N33/24 E
   E02D1/06
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-208853(P2016-208853)
(22)【出願日】2016年10月25日
(65)【公開番号】特開2018-72035(P2018-72035A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2019年9月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】松尾 暢
(72)【発明者】
【氏名】及川 隆仁
(72)【発明者】
【氏名】中本 健二
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健一
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 中国特許出願公開第101985833(CN,A)
【文献】 特開平11−006777(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3186017(JP,U)
【文献】 特開平03−041340(JP,A)
【文献】 特開2016−098554(JP,A)
【文献】 特表平05−506899(JP,A)
【文献】 特開2007−126914(JP,A)
【文献】 特開2003−139665(JP,A)
【文献】 特公昭48−034194(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00 − 1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地中の間隙水を採取するための採水具であって、
吸引口及び吐出口を有するポンプと、
一端が前記ポンプの前記吸引口に接続され、他端が先鋭な形状を呈して地中に埋設される直線状に延伸する第1中空管と、
一端が前記ポンプの前記吐出口に接続され、他端が開口する第2中空管と、
を備え、
前記第1中空管は、
直線状に延伸する第1中空管本体と、
前記第1中空管の前記他端をなすべく前記第1中空管本体に取り外し可能に装着され、先端に近づくほど径が小さくなるように錐形に形成されてなる先端カバーと、
前記第1中空管本体の側面において、前記先端カバーの近傍に形成され、地中から前記間隙水を採取する採水口と、
前記採水口から流入する間隙水が通過するように前記第1中空管本体に収容されるポーラスストーンと
を有して構成され、
前記第1中空管本体及び前記先端カバーには、前記先端カバーを前記第1中空管本体に装着した際に、前記ポーラスストーンが前記採水口を塞ぐ位置で固定されるように挟持するストッパが形成されてなり、
前記第2中空管の前記他端から、前記第1中空管に取り込まれた前記間隙水が排出される
ことを特徴とする採水具。
【請求項2】
請求項1に記載の採水具であって、
前記第1中空管は、前記採水口と前記第1中空管の前記一端との間の側面部分において、前記第1中空管の延伸方向と交差する方向に互いに逆向きに延伸してなる一対の延伸棒を有する
ことを特徴とする採水具。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の採水具であって、
前記ポンプの前記吐出口に、通水性を有する第2フィルタ部材が装着されてなる
ことを特徴とする採水具。
【請求項4】
請求項1〜のいずれかに記載の採水具であって、
前記採水口は、前記第1中空管の側面部分において、前記第1中空管の周方向に隣接するように形成される複数のスリット状の開口部である
ことを特徴とする採水具。
【請求項5】
請求項1〜のいずれかに記載の採水具であって、
前記ポンプは手動ポンプである
ことを特徴とする採水具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、採水具に関する。
【背景技術】
【0002】
電力会社は、日々、電力設備の敷地内や建設予定地、周辺地域において、様々な環境調査を行っている。そのような調査の一つとして、海岸や湖、河川等におけるヘドロ地盤から間隙水を採取して、溶存酸素量等の水質を調査することがある。
【0003】
間隙水を採取する際には、多くの場合、採水地点として定めた箇所に穴を掘り、穴に染み出してきた間隙水をシリンジに吸い出して所定の容器に回収する。しかしながらこのような方法では、必要量の間隙水を採取するために長時間を要することになる。
【0004】
一方で、シリンジを用いずに間隙水を採取することが可能な技術として、例えば特許文献1のような技術が開発されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−349884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1にも記載されているように、シリンジを用いずに間隙水を採取する場合には、採水に用いる器具を地中に埋設する際の設置作業が煩雑であり、そのための作業負担が発生する。
【0007】
本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、地中から容易にかつ効率的に間隙水を採取することが可能な採水具を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの側面に係る採水具は、地中の間隙水を採取するための採水具であって、吸引口及び吐出口を有するポンプと、一端が前記ポンプの前記吸引口に接続され、他端が先鋭な形状を呈して地中に埋設される直線状に延伸する第1中空管と、一端が前記ポンプの前記吐出口に接続され、他端が開口する第2中空管と、を備え、前記第1中空管は、直線状に延伸する第1中空管本体と、前記第1中空管の前記他端をなすべく前記第1中空管本体に取り外し可能に装着され、先端に近づくほど径が小さくなるように錐形に形成されてなる先端カバーと、前記第1中空管本体の側面において、前記先端カバーの近傍に形成され、地中から前記間隙水を採取する採水口と、前記採水口から流入する間隙水が通過するように前記第1中空管本体に収容されるポーラスストーンと、を有して構成され、前記第1中空管本体及び前記先端カバーには、前記先端カバーを前記第1中空管本体に装着した際に、前記ポーラスストーンが前記採水口を塞ぐ位置で固定されるように挟持するストッパが形成されてなり、前記第2中空管の前記他端から、前記第1中空管に取り込まれた前記間隙水が排出される。
【0009】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明を実施するための形態の欄の記載、及び図面の記載等により明らかにされる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、地中から容易にかつ効率的に間隙水を採取することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る採水具の全体構成を示す図である。
図2】本実施形態に係る第1中空管を説明するための図である。
図3】本実施形態に係る第1中空管を説明するための図である。
図4】本実施形態に係る第1中空管を説明するための図である。
図5】本実施形態に係る第2濾過フィルタを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書および添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0013】
図1に、本発明の実施形態に係る採水具1000の全体構成図を示す。採水具1000は、地面Gから間隙水を採取する装置であり、例えば河川や湖の付近のような水分含有量が比較的多いヘドロ地域の地面Gから間隙水を採取する装置である。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係る採水具1000は、ポンプ300と、第1中空管100と、第2中空管200と、を有して構成される。
【0015】
<ポンプ>
ポンプ300は、間隙水収容室310と負圧生成部340と通気栓350とを有して構成される。
【0016】
負圧生成部340は、樹脂製で可撓性を有する中空の部材であり、採水を行う作業者が負圧生成部340の側面部分を手で押圧することで内容積が縮小し、そして作業者が負圧生成部340の側面部分から手を放すことで内容積が拡張して元に戻る。
【0017】
通気栓350は、負圧生成部340の内部を外気と連通させるか遮断するかを切り替えるための栓であり、通気栓350を閉めると負圧生成部340は外気と遮断され、開けると負圧生成部340は外気と連通する。
【0018】
間隙水収容室310は、金属製あるいは樹脂製の変形しにくい素材からなる中空の部材であり、吸引口320及び吐出口330が形成されると共に、負圧生成部340と連通している。また吸引口320及び吐出口330には、それぞれ、間隙水収容室310の内部と外部との気圧差に応じて開閉する不図示の逆止弁が設けられており、吸引口320に設けられる逆止弁は、吸引口320を通じて外部から間隙水収容室310の内部に流入する向きにのみ間隙水を流し、吐出口330に設けられる逆止弁は、吐出口330を通じて間隙水収容室310の内部から外部に流出する向きにのみ間隙水を流す。
【0019】
そして通気栓350が閉められた状態で負圧生成部340の内容積が縮小すると、間隙水収容室310の内圧が上昇して正圧となり、吸引口320の逆止弁が閉じると共に、吐出口330の逆止弁が開く。そしてこのため、間隙水収容室310から吐出口330を通じて間隙水が排出される。逆に、通気栓350が閉められた状態で負圧生成部340の内容積が拡張すると、間隙水収容室310の内圧が減少して負圧となり、吸引口320の逆止弁が開くと共に、吐出口330の逆止弁が閉じる。そしてこのため、間隙水が吸引口320を通じて間隙水収容室310に流入する。
【0020】
<第1中空管>
第1中空管100は、第1中空管本体130と、一対の延伸棒120と、先端カバー140と、ポーラスストーン150と、を有して構成されている。
【0021】
第1中空管100は、直線状に延伸する金属製の中空管であり、一端がポンプ300の吸引口320に着脱可能に接続されている。そして第1中空管100の他端は、先端に近づくほど径が小さくなるように錐形に形成された金属製の先端カバー140を有して構成されている。
【0022】
そして第1中空管100の第1中空管本体130は、側面部分に、第1中空管100の延伸方向と交差する方向に互いに逆向きに延伸してなる一対の延伸棒120が接続されている。この延伸棒120は、後述する採水口110と、吸引口320に接続される第1中空管100の一端との間に位置するように設けられる。
【0023】
作業員は、先端カバー140を地面Gに突き立てた状態で、この一対の延伸棒120を把持して下向きに力を加えることにより、図1に示すように、第1中空管100は先端カバー140を先頭にして地中に沈下していく。このように、本実施形態に係る採水具1000は、一対の延伸棒120を有して構成されることにより、地中への埋設作業を容易に行うことが可能となる。また採水具1000は、先端カバー140が先鋭な形状を呈するように形成されていることにより、より少ない力で第1中空管100を地中に埋設することが可能となり、作業負担を軽減することが可能となる。
【0024】
上述したように、第1中空管100には採水口110が形成されている。採水口110は、間隙水を採取する際に地中に埋まる位置に形成される。本実施形態では、採水口110は、第1中空管本体130の側面において、先端カバー140の近傍に形成されている。このため、作業員が第1中空管100を地中に押し込むことにより、採水口110が地中に埋まる。そして地中から染み出してくる間隙水が、採水口110を通じて第1中空管100の内部に流入する。
【0025】
この時に作業員がポンプ300を操作して、負圧生成部340の内容積を繰り返し増減させると、吸引口320及び吐出口330の逆止弁の働きにより、第1中空管100内に流入した間隙水が間隙水収容室310に順次継続的に吸い上げられ、そして吐出口330から吐出される。
【0026】
また第1中空管100の内部には、図2及び図3に示すように、採水口110から流入する間隙水がポンプ300に吸い上げられる際に通過する位置にポーラスストーン150(通水性を有する第1フィルタ部材)が収容されている。本実施形態に係る採水具1000では、ポーラスストーン150は、採水口110が形成される位置に収容されている。このような態様により、採水口110から第1中空管100に流入する間隙水に混入している土や砂、その他の不純物を効果的に除去することができる。
【0027】
また採水口110は、第1中空管100の側面部分において、第1中空管100の周方向に隣接するように形成される複数のスリット状の開口部111により構成されている。このような態様により、土壌に混入している石やガラスによるポーラスストーン150への接触を減らし、ポーラスストーン150を割れや欠け、削れから保護することが可能となる。
【0028】
また図2に示すように、第1中空管100は、先端カバー140が第1中空管本体130から取り外し可能に構成されている。先端カバー140及び第1中空管本体130にはそれぞれ対応する形状にネジ山及びネジ溝が形成してあり、先端カバー140を開方向に回すと、第1中空管本体130から先端カバー140を取り外すことができる。また先端カバー140を閉方向に回すと、第1中空管本体130に先端カバー140を装着することができる。
【0029】
このように構成することにより、第1中空管100へのポーラスストーン150の装着及び取り外しを容易に行うことができる。そしてこれにより、例えば、採水地の土質に応じて目の細かさの異なる他のポーラスストーン150に交換することや、目詰まりを起こしたポーラスストーン150を新たなポーラスストーン150に交換することが容易に行え、採水作業の効率を向上させることができる。また先端カバー140が破損あるいは変形した場合であっても、容易に新しい先端カバー140に交換することが可能となる。あるいは土壌の特性に合わせて、形状の異なる先端カバー140に交換することもできる。
【0030】
また図3に示すように、第1中空管本体130及び先端カバー140には、ポーラスストーン150を第1中空管100の内部で採水口110を塞ぐような位置で固定するためのストッパ131、141が形成されている。すなわち、ストッパ131及びストッパ141は、第1中空管本体130に先端カバー140が装着された際に、ポーラスストーン150を上下両方向から挟持するように固定することで、採水口110を塞ぐような位置でポーラスストーン150を固定する。このような態様により、第1中空管100の内部において、ポーラスストーン150を所定位置に容易に固定することが可能となる。
【0031】
また第1中空管100の先端カバー140は、図1図3に示したような先端に近づくほど径が小さくなるような錐形以外にも、例えば図4に示すような、円筒側面の先端部に複数の尖形部が形成されるような形状としても良い。このような態様によっても、第1中空管100を地中に埋設する際に、これらの複数の尖形部によって地面Gが掘削されていくため、第1中空管100の地中への埋設作業を容易に行うことが可能となる。
【0032】
また図4に示す先端カバー140を用いた場合には、ストッパ141で囲まれる部分に形成される開口部分からも地中の間隙水が第1中空管100の内部に流入する。これにより、単位時間あたりに第1中空管100に流入する間隙水の水量を増やすことができるため、より効率的に間隙水の採水を行うことが可能となる。
【0033】
<第2中空管>
第2中空管200は、一端がポンプ300の吐出口330に接続され、他端が開口する例えば樹脂製の中空管である。そして第2中空管200の他端の開口部から排出される間隙水を所定の容器に回収することで、地中の間隙水を採取することができる。
【0034】
図5に示すように、第2中空管200の上記一端及び間隙水収容室310の吐出口330の周囲にはそれぞれ対応する形状にネジ山及びネジ溝が形成してあり、第2中空管200を開方向に回すと、間隙水収容室310から第2中空管200を取り外すことができる。また第2中空管200を閉方向に回すと、第2中空管200を間隙水収容室310に取り付けることができる。
【0035】
また図5に示すように、間隙水収容室310の吐出口330には、通水性を有する濾過フィルタ(第2フィルタ部材)360が装着されている。このような態様により、ポンプ300から吐出された間隙水に混入している土や砂等の不純物を除去することが可能となる。
【0036】
濾過フィルタ360は、図5に示すように、第2中空管200を間隙水収容室310に装着する際に、間隙水収容室310の吐出口330を塞ぐように装着される。そして濾過フィルタ360は、間隙水収容室310から第2中空管200を取り外すことにより、容易に間隙水収容室310から取り外すことができる。このような態様により、濾過フィルタ360の交換を容易に行うことが可能となる。
【0037】
以上、本実施形態に係る採水具1000について説明したが、本実施形態に係る採水具1000によれば、シリンジを用いずに済み、また第1中空管100の先端が先鋭な形状を呈しているため、採水口110を容易に地中に埋め込むことができる。このため、容易かつ効率的に間隙水を採取することが可能となる。またポンプ300が手動型であるため、軽量で持ち運びも容易であり、作業負担の軽減を図ることも可能である。
【0038】
なお上記実施形態では、採水口110は複数のスリット状の開口部111から構成されている場合を例示したが、開口部111はスリット状でなくても、例えば円形、楕円形、方形あるいはメッシュであっても良い。
【0039】
上述した実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0040】
100 第1中空管
110 採水口
111 開口部
120 延伸棒
130 第1中空管本体
131 ストッパ
140 先端カバー
141 ストッパ
150 ポーラスストーン
200 第2中空管
300 ポンプ
310 間隙水収容室
320 吸引口
330 吐出口
340 負圧生成部
350 通気栓
360 濾過フィルタ
1000 採水具
G 地面
図1
図2
図3
図4
図5