特許第6794748号(P6794748)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6794748
(24)【登録日】2020年11月16日
(45)【発行日】2020年12月2日
(54)【発明の名称】ロータおよび回転電気機械
(51)【国際特許分類】
   H02K 1/22 20060101AFI20201119BHJP
   H02K 1/32 20060101ALI20201119BHJP
   H02K 1/27 20060101ALI20201119BHJP
【FI】
   H02K1/22 A
   H02K1/32 Z
   H02K1/27 501Z
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-194043(P2016-194043)
(22)【出願日】2016年9月30日
(65)【公開番号】特開2018-57233(P2018-57233A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年7月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥山 祥孝
(72)【発明者】
【氏名】安田 善紀
(72)【発明者】
【氏名】平野 正樹
【審査官】 宮崎 賢司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−042123(JP,A)
【文献】 特開2001−186701(JP,A)
【文献】 特開2010−220388(JP,A)
【文献】 特開2015−042122(JP,A)
【文献】 米国特許第06047460(US,A)
【文献】 特開2013−099221(JP,A)
【文献】 特開2013−099222(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 1/22
H02K 1/27
H02K 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に設けられた軸孔(40)と該軸孔(40)の周囲に設けられた磁石孔(45)とを有するロータコア(20)と、
上記磁石孔(45)に充填されるボンド磁石(30)とを備え、
上記磁石孔(45)は、上記ロータコア(20)の回転中心(O)へ向けて凸となるように形成され、
上記ロータコア(20)は、少なくとも上記軸孔(40)と上記磁石孔(45)の最内周部との間に設けられて熱伝導を阻害する阻害部(50)を有し
上記阻害部(50)は、上記ロータコア(20)の回転中心(O)を軸とする円弧状に形成され、
上記阻害部(50)の内周縁は、上記軸孔(40)の内周面と間隔をおいて上記軸孔(40)の内周面に沿うように円弧状に形成され、
上記阻害部(50)の外周縁は、該阻害部(50)の周方向の端部から中央部へ向かうに連れて該阻害部(50)の内周縁との間の径方向距離が次第に長くなるように円弧状に形成されている
ことを特徴とするロータ。
【請求項2】
請求項1において、
上記阻害部(50)は、上記軸孔(40)と上記磁石孔(45)との間において周方向に延伸している
ことを特徴とするロータ。
【請求項3】
請求項2において、
上記阻害部(50)の径方向長さは、上記軸孔(40)と上記磁石孔(45)との間の径方向距離に反比例するように該阻害部(50)の延伸方向において変化している
ことを特徴とするロータ。
【請求項4】
請求項1において、
上記阻害部(50)は、上記軸孔(40)の周囲を囲う円環状に形成されている
ことを特徴とするロータ。
【請求項5】
請求項1〜3のいずれか1項において、
上記阻害部(50)は、上記ロータコア(20)を軸方向に貫通する貫通孔(51)によって構成されている
ことを特徴とするロータ。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項において、
上記阻害部(50)は、上記ロータコア(20)の薄肉部(52)によって構成され、
上記ロータコア(20)は、軸方向に積層された複数の積層板(21)によって構成され、
上記ロータコア(20)の薄肉部(52)は、上記複数の積層板(21)の薄肉部(22)によって構成されている
ことを特徴とするロータ。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか1項に記載のロータと、
上記ロータが挿通されるステータ(11)とを備えている
ことを特徴とする回転電気機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ロータおよび回転電気機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動機や発電機などの回転電気機械の一例として、ロータコアに磁石が埋め込まれたロータを備えた回転電気機械(いわゆる埋込磁石モータ)が知られている。また、回転電気機械のロータの製造工程において、ロータコアに駆動軸を焼き嵌めして固定することが知られている。例えば、特許文献1には、加熱装置を用いてロータコアの内径を加熱して拡径させ、その内径が拡径されたロータコアにシャフト(駆動軸)を焼き嵌めして締結させることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−84312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなロータにおいて、ロータコアの回転中心へ向けて凸となるように磁石孔をロータコアに形成し、その磁石孔にボンド磁石を充填することが考えられる。このような構成では、ボンド磁石の最内周部(ロータコアの回転中心に最も近い部分)がロータコアの内周面に最も近くなっているので、ロータコアの内周面からボンド磁石の最内周部へ向けて熱が伝わりやすくなっている。そのため、ロータコアに駆動軸を焼き嵌めするためにロータコアの内周面を高温で加熱すると、ロータコアの内周面の温度上昇に伴ってボンド磁石の最内周部が高温となり、ボンド磁石の最内周部に溶融や劣化が生じるおそれがある。
【0005】
そこで、この発明は、ロータコアの内周面の温度上昇に伴うボンド磁石の最内周部の高温化を抑制することが可能なロータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の発明は、中央部に設けられた軸孔(40)と該軸孔(40)の周囲に設けられた磁石孔(45)とを有するロータコア(20)と、上記磁石孔(45)に充填されるボンド磁石(30)とを備え、上記磁石孔(45)は、上記ロータコア(20)の回転中心(O)へ向けて凸となるように形成され、上記ロータコア(20)は、少なくとも上記軸孔(40)と上記磁石孔(45)の最内周部との間に設けられて熱伝導を阻害する阻害部(50)を有し、上記阻害部(50)は、上記ロータコア(20)の回転中心(O)を軸とする円弧状に形成され、上記阻害部(50)の内周縁は、上記軸孔(40)の内周面と間隔をおいて上記軸孔(40)の内周面に沿うように円弧状に形成され、上記阻害部(50)の外周縁は、該阻害部(50)の周方向の端部から中央部へ向かうに連れて該阻害部(50)の内周縁との間の径方向距離が次第に長くなるように円弧状に形成されていることを特徴とするロータである。
【0007】
上記第1の発明では、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部(ロータコア(20)の回転中心(O)に最も近い部分)との間に熱伝導を阻害する阻害部(50)を設けることにより、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)の最内周部へ向けて熱を伝えにくくすることができる。
【0008】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記阻害部(50)は、上記軸孔(40)と上記磁石孔(45)との間において周方向に延伸していることを特徴とするロータである。
【0009】
上記第2の発明では、ロータコア(20)の内周面から磁石孔(45)へ向けて放射状に(径方向に)向かう熱伝導を阻害することができる。これにより、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)へ向けて熱を伝えにくくすることができる。
【0010】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記阻害部(50)の径方向長さは、上記軸孔(40)と上記磁石孔(45)との間の径方向距離に反比例するように該阻害部(50)の延伸方向において変化していることを特徴とするロータである。
【0011】
上記第3の発明では、軸孔(40)と磁石孔(45)との間の径方向距離が短くなるに連れて、軸孔(40)と磁石孔(45)との間において熱が伝わりやすくなる傾向にある。また、阻害部(50)の径方向長さが長くなる連れて、軸孔(40)と磁石孔(45)との間において熱が伝わりにくくなる傾向にある。したがって、軸孔(40)と磁石孔(45)との間の径方向距離に反比例するように阻害部(50)の延伸方向において阻害部(50)の径方向長さを変化させることにより、ロータコア(20)の内周面から磁石孔(45)へ向けて放射状に(径方向に)向かう熱伝導を効果的に阻害することができる。
【0012】
第4の発明は、上記第1の発明において、上記阻害部(50)は、上記軸孔(40)の周囲を囲う円環状に形成されていることを特徴とするロータである。
【0013】
上記第4の発明では、阻害部(50)を円環状に形成することにより、ロータコア(20)の内周面から径方向外方へ向かう熱伝導を全周に亘って阻害することができる。これにより、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)へ向けて熱を伝えにくくすることができる。
【0014】
第5の発明は、上記第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、上記阻害部(50)は、上記ロータコア(20)を軸方向に貫通する貫通孔(51)によって構成されていることを特徴とするロータである。
【0015】
上記第5の発明では、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間に阻害部(50)を構成する貫通孔(51)を設けることにより、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間における熱抵抗を高くすることができる。これにより、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間における熱伝導を阻害することができるので、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)の最内周部へ向けて熱を伝えにくくすることができる
【0016】
の発明は、上記第1〜第4の発明のいずれか1つにおいて、上記阻害部(50)は、上記ロータコア(20)の薄肉部(52)によって構成され、上記ロータコア(20)は、軸方向に積層された複数の積層板(21)によって構成され、上記ロータコア(20)の薄肉部(52)は、軸方向に並ぶ上記複数の積層板(21)の薄肉部(22)によって構成されていることを特徴とするロータである。
【0017】
上記第の発明では、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間に阻害部(50)を構成するロータコア(20)の薄肉部(52)を設けることにより、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間における熱抵抗を高くすることができる。具体的には、軸方向に並ぶ複数の積層板(21)の薄肉部(22)の間に空隙(空気層)を形成することができるので、阻害部(50)を構成するロータコア(20)の薄肉部(52)の熱抵抗値を高くすることができる。これにより、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間における熱伝導を阻害することができるので、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)の最内周部へ向けて熱を伝えにくくすることができる。
【0018】
の発明は、上記第1〜第の発明のいずれか1つであるロータと、上記ロータが挿通されるステータ(11)とを備えていることを特徴とする回転電気機械である。
【0019】
上記第8の発明では、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の最内周部の高温化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0020】
第1,第5,第6の発明によれば、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)の最内周部へ向けて熱を伝えにくくすることができるので、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の最内周部の高温化を抑制することができる。
【0021】
第2の発明によれば、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)へ向けて熱を伝えにくくすることができるので、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の高温化を抑制することができる。
【0022】
第3の発明によれば、ロータコア(20)の内周面から磁石孔(45)へ向けて放射状に(径方向に)向かう熱伝導を効果的に阻害することができるので、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の高温化を効果的に抑制することができる。
【0023】
第4の発明では、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)へ向けて熱を伝えにくくすることができるので、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の高温化を抑制することができる。
【0024】
の発明によれば、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の最内周部の高温化を抑制することができるので、ボンド磁石(30)の高温化に起因する回転電気機械の性能劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、実施形態による回転電気機械の構成を例示する横断面図である。
図2図2は、実施形態によるロータの構成を例示する平面図である。
図3図3は、実施形態によるロータの構成を例示する縦断面図である。
図4図4は、磁石温度の時間変化を例示するグラフである。
図5図5は、ロータの変形例1について説明するための部分縦断面図である。
図6図6は、ロータの変形例2について説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、実施の形態を図面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0027】
(回転電気機械)
図1は、実施形態による回転電気機械(1)の構成例を示している。回転電気機械(1)は、ロータ(10)とステータ(11)と駆動軸(12)とを備えている。この例では、回転電気機械(1)は、埋込磁石モータ(IPMモータ)を構成している。なお、図1は、回転電気機械(1)の概略横断面図であり、図2は、ロータ(10)の概略平面図である。また、図1では、図示の簡略化のため、ハッチングを省略している。
【0028】
〔ステータ〕
ステータ(11)には、ロータ(10)が挿通される。ステータ(11)は、ステータコア(15)とコイル(16)とを備えている。ステータコア(15)は、円筒状に形成されてケーシング(2)内に固定されるバックヨーク部(17)と、バックヨーク部(17)の内周面から径方向に延びる複数(この例では6つ)のティース部(18)とを有している。コイル(16)は、ティース部(18)に巻回されている。
【0029】
〔ロータ〕
図2は、実施形態によるロータ(10)の構成を例示している。ロータ(10)は、ロータコア(20)と、複数(この例では4つ)のボンド磁石(30)とを備えている。
【0030】
〈ロータコア〉
ロータコア(20)は、円柱状に形成されている。例えば、ロータコア(20)は、電磁鋼板をプレス加工によって打ち抜いて複数の積層板(円盤)を作製し、複数の積層板を軸方向に積層することにより構成されている。また、ロータコア(20)は、軸孔(40)と、複数(この例では4つ)の磁石孔(45)とを有している。
【0031】
軸孔(40)は、ロータコア(20)の中央部に設けられてロータコア(20)を軸方向に貫通している。そして、軸孔(40)には、駆動軸(12)が挿通されて固定されている。具体的には、駆動軸(12)は、焼き嵌めによって軸孔(40)に固定されている。
【0032】
複数の磁石孔(45)は、軸孔(40)の周囲に設けられてロータコア(20)を軸方向に貫通している。具体的には、複数の磁石孔(45)は、ロータコア(20)の回転中心(O)周りに所定のピッチ(この例では90度ピッチ)で配列されている。
【0033】
また、磁石孔(45)は、ロータコア(20)の回転中心(O)へ向けて凸となるように形成されている。この例では、磁石孔(45)は、逆円弧状に形成されている。
【0034】
〈ボンド磁石〉
複数のボンド磁石(30)は、複数の磁石孔(45)にそれぞれ充填されている。この例では、ボンド磁石(30)は、ネオジム鉄ボロン系の磁石の粉末やフェライト磁石の粉末などの磁石粉末を含有する溶融樹脂(溶融状態の熱可塑性樹脂)を磁石孔(45)に射出し、溶融樹脂を充填させて固化させることにより、ロータコア(20)に埋設されている。また、複数のボンド磁石(30)は、それぞれの外周面および内周面が磁極面(S極面/N極面)を構成し、且つ、ロータ(10)の周方向に異なる磁極(S極/N極)が交互に並ぶように、着磁されている。
【0035】
〈阻害部〉
また、ロータコア(20)は、阻害部(50)を有している。この例では、ロータコア(20)は、複数の磁石孔(45)にそれぞれ対応する複数(この例では4つ)の阻害部(50)を有している。阻害部(50)は、少なくとも軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間に設けられ、熱伝導を阻害するように構成されている。なお、磁石孔(45)の最内周部は、磁石孔(45)のロータコア(20)の回転中心(O)に最も近い部分のことであり、この例では、磁石孔(45)に充填されたボンド磁石(30)の磁極中心線(ML)と交差している部分に相当する。
【0036】
また、この例では、阻害部(50)は、軸孔(40)と磁石孔(45)との間において周方向に延伸している。そして、阻害部(50)の周方向の中央部は、磁石孔(45)に充填されたボンド磁石(30)の磁極中心線(ML)上に位置している。なお、磁石孔(45)の周方向の中央部(すなわちボンド磁石(30)の周方向の中央部)も、磁石孔(45)に充填されたボンド磁石(30)の磁極中心線(ML)上に位置している。
【0037】
また、この例では、ロータコア(20)の回転中心(O)を軸とする阻害部(50)の周方向の一端から他端までの角度(阻害部(50)の周方向長さに対応する角度、以下「阻害部(50)の角度(θ1)」と記載)は、ロータコア(20)の回転中心(O)を軸とする磁石孔(45)の周方向の一端から他端までの角度(磁石孔(45)の周方向長さに対応する角度、以下「磁石孔(45)の角度(θ2)」と記載)と同一となっている。すなわち、阻害部(50)の角度(θ1)の範囲は、磁石孔(45)の角度(θ2)の範囲と一致している。なお、阻害部(50)の角度(θ1)は、磁石孔(45)の角度(θ2)よりも大きくなっていてもよい。すなわち、阻害部(50)の角度(θ1)の範囲は、磁石孔(45)の角度(θ2)の範囲を内包していてもよい。
【0038】
また、この例では、阻害部(50)の径方向長さは、軸孔(40)と磁石孔(45)との間の径方向距離に反比例するように阻害部(50)の延伸方向において変化している。具体的には、ロータコア(20)の回転中心(O)から阻害部(50)内の任意点を通過して径方向外方へ延びる径方向直線において、軸孔(40)と磁石孔(45)との間の距離(径方向距離)が短くなるに連れて阻害部(50)の一端から他端までの長さ(径方向長さ)が長くなる。
【0039】
なお、この例では、磁石孔(45)の周方向の端部から中央部へ向かうに連れて、軸孔(40)と磁石孔(45)との間の径方向距離が次第に短くなっている。そして、阻害部(50)の周方向の端部から中央部へ向かうに連れて、阻害部(50)の径方向長さが次第に長くなっている。具体的には、この例では、阻害部(50)は、ロータコア(20)の回転中心(O)を軸とする円弧状に形成されている。そして、阻害部(50)の内周縁は、軸孔(40)の内周面と間隔をおいて軸孔(40)の内周面に沿うように円弧状(回転中心(O)を軸とする真円の円弧状)に形成されている。一方、阻害部(50)の外周縁は、阻害部(50)の周方向の端部から中央部へ向かうに連れて阻害部(50)の内周縁との間の径方向距離が次第に長くなるように円弧状(楕円の円弧状)に形成されている。
【0040】
また、この例では、阻害部(50)は、ロータコア(20)に設けられた貫通孔(51)によって構成されている。貫通孔(51)は、ロータコア(20)を軸方向に貫通している。この例では、貫通孔(51)の内部は、空隙(空気層)となっている。
【0041】
〔ロータに対する駆動軸の焼き嵌め〕
次に、ロータ(10)に対する駆動軸(12)の焼き嵌めについて説明する。
【0042】
焼き嵌め工程では、ロータコア(20)の軸孔(40)に加熱器(図示を省略)が挿通されてロータコア(20)の内周面(軸孔(40)を構成する内周面)が高温で加熱される。これにより、ロータコア(20)の軸孔(40)が膨張してロータコア(20)の内径(すなわち軸孔(40)の内径)が増加する。
【0043】
次に、ロータコア(20)の軸孔(40)から加熱器(図示を省略)が取り出される。そして、ロータコア(20)の軸孔(40)に駆動軸(12)が挿通された後に、ロータコア(20)が冷却される。これにより、ロータコア(20)の軸孔(40)が縮小してロータコア(20)の内径が減少し、駆動軸(12)がロータコア(20)に固定される。
【0044】
〔焼き嵌め工程における磁石温度の変化〕
次に、図4を参照して、焼き嵌め工程における磁石温度(ボンド磁石(30)の温度)の変化について説明する。図4において、破線は、ロータコア(20)に阻害部(50)が設けられていないロータ(ロータ(10)の比較例)におけるボンド磁石(30)の最内周部の温度の時間変化を示し、実線は、この実施形態によるロータ(ロータコア(20)に阻害部(50)が設けられているロータ(10))におけるボンド磁石(30)の最内周部の温度の時間変化を示している。
【0045】
焼き嵌め工程において、ロータコア(20)の内周面に加えられた熱は、ロータコア(20)の内周面から径方向外方へ向けて放射状に伝えられる。なお、ボンド磁石(30)の最内周部がロータコア(20)の内周面に最も近くなっているので、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)の最内周部へ向けて熱が伝わりやすくなっている。そのため、ロータコア(20)に阻害部(50)が設けられていないロータ(ロータ(10)の比較例)では、ロータコア(20)に駆動軸(12)を焼き嵌めするためにロータコア(20)の内周面を高温で加熱すると、図4の破線で示すように、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴ってボンド磁石(30)の最内周部が高温となる。この場合、ボンド磁石(30)の最内周部に溶融や劣化が生じるおそれがある。
【0046】
一方、この実施形態によるロータ(10)では、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間に熱伝導を阻害する阻害部(50)を設けられているので、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)の最内周部へ向けて熱が伝わりにくくなっている。そのため、図4の実線で示すように、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の最内周部の高温化が抑制される。
【0047】
〔実施形態による効果〕
以上のように、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部(ロータコア(20)の回転中心(O)に最も近い部分)との間に熱伝導を阻害する阻害部(50)を設けることにより、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)の最内周部へ向けて熱を伝えにくくすることができる。これにより、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の最内周部の高温化を抑制することができる。
【0048】
また、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の最内周部の高温化を抑制することができるので、ボンド磁石(30)の高温化に起因する回転電気機械(1)の性能劣化を抑制することができる。
【0049】
また、軸孔(40)と磁石孔(45)との間において周方向に延伸するように阻害部(50)を形成することにより、ロータコア(20)の内周面から磁石孔(45)へ向けて放射状に(径方向に)向かう熱伝導を阻害することができる。これにより、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)へ向けて熱を伝えにくくすることができ、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の高温化を抑制することができる。
【0050】
また、阻害部(50)の角度(ロータコア(20)の回転中心(O)を軸とする阻害部(50)の周方向の一端から他端までの角度(θ1))を磁石孔(45)の角度(ロータコア(20)の回転中心(O)を軸とする磁石孔(45)の周方向の一端から他端までの角度(θ2))よりも大きくする(または同一にする)ことにより、ロータコア(20)の内周面から磁石孔(45)へ向けて放射状に(径方向に)向かう熱伝導を磁石孔(45)の周方向の全長に亘って阻害することができる。これにより、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の高温化をボンド磁石(30)の周方向の全長に亘って抑制することができる。
【0051】
なお、ロータ(10)では、軸孔(40)と磁石孔(45)との間の径方向距離が短くなるに連れて、軸孔(40)と磁石孔(45)との間において熱が伝わりやすくなる傾向にある。また、阻害部(50)の径方向長さが長くなる連れて、軸孔(40)と磁石孔(45)との間において熱が伝わりにくくなる傾向にある。したがって、軸孔(40)と磁石孔(45)との間の径方向距離に反比例するように阻害部(50)の延伸方向において阻害部(50)の径方向長さを変化させることにより、ロータコア(20)の内周面から磁石孔(45)へ向けて放射状に(径方向に)向かう熱伝導を効果的に阻害することができる。これにより、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の高温化を効果的に抑制することができる。
【0052】
また、貫通孔(51)によって阻害部(50)を構成する(すなわち、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間に阻害部(50)を構成する貫通孔(51)を設ける)ことにより、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間における熱抵抗を高くすることができる。これにより、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間における熱伝導を阻害することができるので、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)の最内周部へ向けて熱を伝えにくくすることができる。
【0053】
(ロータの変形例1)
図5に示すように、阻害部(50)は、ロータコア(20)の薄肉部(52)によって構成されていてもよい。なお、ロータコア(20)の薄肉部(52)の厚み(軸方向長さ)は、ロータコア(20)の他の部分(薄肉部(52)を除く部分)の厚みよりも薄くなっている。
【0054】
また、図5に示すように、ロータコア(20)は、軸方向に積層された複数の積層板(21)によって構成されていてもよい。そして、ロータコア(20)の薄肉部(52)は、軸方向に並ぶ複数の積層板(21)の薄肉部(22)によって構成されていてもよい。なお、積層板(21)の薄肉部(22)の厚み(軸方向長さ)は、積層板(21)の他の部分よりも薄くなっている。図5の例では、複数の積層板(21)は、それぞれ同一の形状(円盤形状)を有しており、それぞれの薄肉部(22)が軸方向に並ぶように積層されている。
【0055】
以上のように、ロータコア(20)の薄肉部(52)によって阻害部(50)を構成する(すなわち、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間に阻害部(50)を構成するロータコア(20)の薄肉部(52)を設ける)ことにより、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間における熱抵抗を高くすることができる。これにより、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間における熱伝導を阻害することができるので、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)の最内周部へ向けて熱を伝えにくくすることができる。
【0056】
また、軸方向に並ぶ複数の積層板(21)の薄肉部(22)によってロータコア(20)の薄肉部(52)を構成することにより、軸方向に並ぶ複数の積層板(21)の薄肉部(22)の間に空隙(空気層)を形成することができるので、阻害部(50)を構成するロータコア(20)の薄肉部(52)の熱抵抗値を高くすることができる。これにより、軸孔(40)と磁石孔(45)の最内周部との間における熱伝導を阻害することができるので、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)の最内周部へ向けて熱を伝えにくくすることができる。
【0057】
(ロータの変形例2)
図6に示すように、阻害部(50)を構成するロータコア(20)の薄肉部(52)は、軸孔(40)の周囲を囲う円環状に形成されていてもよい。
【0058】
以上のように、阻害部(50)を円環状に形成することにより、ロータコア(20)の内周面から径方向外方へ向かう熱伝導を全周に亘って阻害することができる。これにより、ロータコア(20)の内周面からボンド磁石(30)へ向けて熱を伝えにくくすることができるので、ロータコア(20)の内周面の温度上昇に伴うボンド磁石(30)の高温化を抑制することができる。
【0059】
(その他の実施形態)
以上の説明において、磁石孔(45)が逆円弧状に形成されている場合を例に挙げたが、磁石孔(45)は、逆円弧状に限らず、V字状に形成されていてもよいし、U字状に形成されていてもよいし、逆ハの字状に形成されていてもよい。
【0060】
また、以上の説明では、貫通孔(51)の内部が空隙(空気層)となっている場合を例に挙げたが、貫通孔(51)の内部に高熱抵抗部材(ロータコア(20)の熱抵抗値よりも高い熱抵抗値を有する材料によって構成された部材)が充填されていてもよい。
【0061】
また、以上の実施形態および変形例を適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態および変形例は、本質的に好ましい例示であって、この発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0062】
以上説明したように、上述のロータは、電動機や発電機などの回転電気機械に適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 回転電気機械
2 ケーシング
10 ロータ
11 ステータ
12 駆動軸
15 ステータコア
16 コイル
17 バックヨーク部
18 ティース部
20 ロータコア
21 積層板
22 薄肉部
30 ボンド磁石
40 軸孔
45 磁石孔
50 阻害部
51 貫通孔
52 薄肉部
図1
図2
図3
図4
図5
図6