特許第6798376号(P6798376)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6798376
(24)【登録日】2020年11月24日
(45)【発行日】2020年12月9日
(54)【発明の名称】着座用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/64 20060101AFI20201130BHJP
【FI】
   B60N2/64
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2017-51329(P2017-51329)
(22)【出願日】2017年3月16日
(65)【公開番号】特開2018-154179(P2018-154179A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年9月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牛山 剛志
(72)【発明者】
【氏名】佐橋 英雄
【審査官】 齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−094037(JP,A)
【文献】 特開平11−137364(JP,A)
【文献】 特開2009−066128(JP,A)
【文献】 特開2016−002861(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0052434(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/00−90
B68G 5/00−7/12
A47C 7/40
A47C 27/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨格部材であるシートフレームにクッション体であるパッドを被せ、該パッドの外表面に表皮であるシートカバーを被せて成る着座用シートであって、
前記シートカバーの裏面側で前記パッドの表面側にシートの外形形状に沿って形成された枠体と、該枠体に一体化され前記パッド内に埋設される埋設部とを備える形状出し部材を設け、
該形状出し部材の枠体は、前記パッドを表面側から包むように被せられ、前記パッドと一体に固定されている着座用シート。
【請求項2】
請求項1において、
前記形状出し部材は、背凭れを成すシートバックの両肩部より上側部位を上側から包むように形成されている着座用シート。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記形状出し部材のシートフレームに対向する部位の少なくとも一部には、前記形状出し部材のシートフレーム側への移動を抑制する突起がシートフレームに向けて突出して設けられており、
該突起の先端は、前記形状出し部材のシートフレーム側への移動を許容する距離だけシートフレームから離間して配置されている着座用シート。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかにおいて、
前記形状出し部材の外表面側で前記シートカバーの外表面には、装飾部材であるベゼルが設けられ、
該ベゼルは、前記シートカバーを貫通する結合部材により前記形状出し部材の外表面側に結合されており、
前記形状出し部材の前記結合部材に対応する部位には、前記結合部材を前記形状出し部材に結合する際の操作力を受け止める補強リブが設けられている着座用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車、飛行機、船、電車等の乗物に搭載、若しくは映画館等の施設に設置される着座用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
着座用シートとして、骨格部材であるシートフレームにクッション体であるパッドを被せ、該パッドの外表面に表皮であるシートカバーを被せて成るものがある。このような着座用シートにおいて、その外形形状は、シートカバーの下に位置するパッドの形状により決定される。一部の着座用シートでは、要求される外形形状とパッド形状との違いからワイヤ、樹脂製のカバー体等から成る形状出し部材を別途設けるものもある(特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−238689号公報
【特許文献2】特開2011−84228号公報
【特許文献3】特開2012−6495号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワイヤにより形状出しを行う場合、シートの外形形状として滑らかなラウンド形状を作ろうとすると、ワイヤの径を太くする必要がある。そのため、着座用シートの重量が増加する問題がある。一方、樹脂製のカバー体により形状出しを行う場合、そのカバー体をシートフレームに固定する必要があり、その固定のための構造により重量が増加する。
【0005】
本発明の課題は、形状出し部材をパッドに一体化することにより、形状出し部材のシートフレームへの固定を不要として、形状出し部材を設けることによる着座用シートの重量増加を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1発明は、骨格部材であるシートフレームにクッション体であるパッドを被せ、該パッドの外表面に表皮であるシートカバーを被せて成る着座用シートであって、前記シートカバーの裏面側で前記パッドの表面側にシートの外形形状に沿って形成された枠体と、該枠体に一体化され前記パッド内に埋設される埋設部とを備える形状出し部材を設け、該形状出し部材の枠体は、前記パッドを表面側から包むように被せられ、前記パッドと一体に固定されている。
【0007】
第1発明において、形状出し部材は、金属板、樹脂板により形成することができる。また、形状出し部材は、形状出し部材をインサート材としてパッド成形時にインサート成形してパッドに一体化することができる。若しくは、形状出し部材は、埋設部をパッド内の隙間に挿入して埋設し、枠体をパッド表面に接着剤により接着して固定することもできる。なお、形状出し部材の枠体は、少なくとも一部がパッドに埋設されてもよい。
【0008】
第1発明によれば、シートの形状出しをパッド表面側から包むように被せられる形状出し部材の枠体により行っている。そのため、シートの外形形状が滑らかなラウンド形状であっても、シートの形状出しをワイヤにより行うものに比べて軽量化することができる。しかも、形状出し部材は、埋設部がパッド内に埋設された状態でパッドの外表面に一体化されて固定され、シートフレームに対して固定されない。そのため、形状出し部材を別部材でシートフレームに固定する構造を採用した場合に比べて軽量化することができる。第1発明の形状出し部材は、パッドの外表面側から包むように被せられ、且つ埋設部がパッド内に埋設して固定されているため、パッドによる支持が可能であり、シートフレームに別部材で固定する構成を採用しなくてもよい。
【0009】
また、形状出し部材は、パッドにより支持され、シートフレームには支持されないため、形状出し部材がシート表面側から押圧されたとき、パッドの撓みに応じて形状出し部材は移動することができ、形状出し部材を介してシートに触ったときの触感を柔らかくすることができる。
【0010】
第2発明は、上記第1発明において、前記形状出し部材は、背凭れを成すシートバックの両肩部より上側部位を上側から包むように形成されている。
【0011】
第2発明によれば、形状出し部材がシートバックの両肩より上側部位を上側から被っているため、形状出し部材がシートバックの上側から外力を受けたとき、形状出し部材が広範囲にシートバックの両肩部を成すパッドにより支持され、シートフレームによる支持なしでも支持される。
【0012】
第3発明は、上記第1又は第2発明において、前記形状出し部材のシートフレームに対向する部位の少なくとも一部には、前記形状出し部材のシートフレーム側への移動を抑制する突起がシートフレームに向けて突出して設けられており、該突起の先端は、前記形状出し部材のシートフレーム側への移動を許容する距離だけシートフレームから離間して配置されている。
【0013】
第3発明において、突起は、形状出し部材の枠体及び埋設部のどちらに設けられてもよい。
【0014】
第3発明によれば、形状出し部材のシートフレームに対向する部位には突起が設けられている。そのため、形状出し部材が外力を受けてシートフレーム側へ移動した際、突起とシートフレームとの離間距離に相当する距離だけ移動したところで、形状出し部材はシートフレームに当接して支持される。従って、形状出し部材が外力により大きく変形されて破損することを抑制することができる。
【0015】
第4発明は、上記第1〜第3発明のいずれかにおいて、前記形状出し部材の外表面側で前記シートカバーの外表面には、装飾部材であるベゼルが設けられ、該ベゼルは、前記シートカバーを貫通する結合部材により前記形状出し部材の外表面側に結合されており、前記形状出し部材の前記結合部材に対応する部位には、前記結合部材を前記形状出し部材に結合する際の操作力を受け止める補強リブが設けられている。
【0016】
第4発明によれば、形状出し部材の表面側にはベゼルが設けられ、ベゼルは形状出し部材に結合される。結合に際し、結合部材を形状出し部材に対して移動して結合するが、その結合時の操作力が形状出し部材の補強リブにより受け止められる。そのため、形状出し部材がシートフレームに固定されていなくても、形状出し部材がベゼル結合時の操作力を受け止めてベゼルを形状出し部材に結合させることができる。即ち、ベゼルに対する操作力を形状出し部材が受けたとき、その操作力により形状出し部材が操作力を受けた部分で局部的に変形することを補強リブにより抑制し、その操作力を形状出し部材全体に伝達する。形状出し部材全体に伝達された操作力は、パッド全体で受け止められて結合操作に必要な反力を発生することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態におけるシートバックの正面図である。
図2】上記実施形態における主要部の拡大正面図である。
図3図2のIII−III線断面矢視図である。
図4図2のIV−IV線断面矢視図である。
図5】上記実施形態における形状出し部材の斜視図である。
図6】上記実施形態におけるベゼルの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜4は、本発明の一実施形態を示す。この実施形態は、自動車用フロントシート(以下、単にシートという)のシートバック10に本発明を適用した例を示す。各図中、矢印によりシートを自動車に搭載した状態における各部の方向を示している。以下の説明において、方向に関する記述は、この方向を基準として行うものとする。
【0019】
図2〜4のように、シートバック10は、骨格部材であるバックフレーム11(本発明におけるシートフレームに相当)にクッション体であるバックパッド12(本発明におけるパッドに相当)を被せ、バックパッド12の外表面に表皮であるシートカバー13を被せて成る。シートバック10の上部には、ヘッドレスト40が備えられている。
【0020】
シートバック10の両肩部より上側部位には、形状出し部材20が設けられている。形状出し部材20は、図5のように、シートバック10の両肩部より上側部位に被せられる形状に形成された枠体21と、その枠体21の両下端部を結合する埋設部22とを備える。形状出し部材20は、樹脂製であり、枠体21と埋設部22は一体に形成されている。また、形状出し部材20は、バックパッド12を発泡成形する際にインサート材として成形型内に挿入されてインサート成形によりバックパッド12と一体に成形される。
【0021】
形状出し部材20がバックパッド12と一体に成形された状態では、枠体21は、シートカバー13の裏面側で、バックパッド12の表面側にあって、シートバック10の両肩部より上側部位を上側から包むように形成されている。また、形状出し部材20の埋設部22は、シートバック10の座面側で、バックパッド12内に埋設されている。このように埋設部22がバックパッド12内に埋設されることにより、形状出し部材20はバックパッド12に強固に固定される。図3のように、形状出し部材20がバックパッド12に一体化された状態で、枠体21の一部はバックパッド12の表面から露出し、残りの部分はバックパッド12内に埋設されている。
【0022】
図2〜4のように、埋設部22の外表面側(前側)でシートカバー13の外表面には、装飾部材であるベゼル30が設けられている。ベゼル30は、樹脂製であり、シートバック10のデザイン性を考慮した形状とされている(図6参照)。ベゼル30は、シートカバー13を貫通する結合部材31により形状出し部材20の埋設部22の外表面側に結合されている。具体的には、ベゼル30の裏面側には、左右方向に分散して3個所に結合部材31が設けられている。結合部材31は、クリップ31bを備え、クリップホルダ31aによりクリップ31bが保持されている。
【0023】
図5のように、埋設部22のベゼル30側には、結合部材31に対応して係合孔25が3個所に形成されている。各係合孔25は、補強リブ23を介して埋設部22のベゼル30側表面から突出して設けられている。そのため、ベゼル30がシートカバー13の表面側から押し付けられると、3つのクリップ31bが各係合孔25に係合して、ベゼル30は埋設部22に結合される。補強リブ23は、結合部材31を埋設部22に結合する際の操作力を受け止める。各係合孔25に対して補強リブ23は、それぞれ一対設けられており、一対の補強リブ23により各係合孔25の裏側にはボックス状の空間が形成されている。この空間によりクリップ31bが係合孔25に係合可能とされている。
【0024】
埋設部22の後側で、一対の補強リブ23に対応する部位には、一対の突起24が後側のバックフレーム11に向けて突出して設けられている。突起24の先端は、僅かな距離だけバックフレーム11から離間して配置されている。その距離は、埋設部22がベゼル30を介して後側に押圧されたとき、埋設部22がバックフレーム11側へ移動を可能とする距離とされている。そのため、埋設部22は、突起24がバックフレーム11に当接するまでは移動するが、それ以上の移動は抑制される。従って、形状出し部材20はバックフレーム11に固定されていないが、大きな移動はしないようにされている。なお、3個所の突起24のうち、中央部の突起24は先端が上下方向に開いた二股形状とされている。その二股形状により左右方向に沿って配置されたバックフレーム11の四角形の角部に嵌合するようにされている。そのため、埋設部22のバックフレーム11による支持を、上下方向と前後方向の両方向で行うことができる。
【0025】
以上の実施形態では、シートバック10の形状出しをパッド表面側から包むように被せられる形状出し部材20の枠体21により行っている。そのため、シートバック10の外形形状が滑らかなラウンド形状であっても、その形状出しをワイヤにより行うものに比べて軽量化することができる。しかも、形状出し部材20は、埋設部22がバックパッド12内に埋設された状態で、バックパッド12の外表面に一体化されて固定され、バックフレーム11に対して固定されない。そのため、形状出し部材20を別部材でバックフレーム11に固定する構造を採用した場合に比べて軽量化することができる。形状出し部材20は、バックパッド12の外表面側から包むように被せられ、且つ埋設部22がバックパッド12内に埋設して固定されているため、バックパッド12による支持が可能であり、バックフレーム11に別部材で固定する構成を採用しなくてもよい。
【0026】
また、形状出し部材20は、バックパッド12により支持され、バックフレーム11には支持されないため、形状出し部材20がシート表面側から押圧されたとき、バックパッド12の撓みに応じて形状出し部材20は移動することができ、形状出し部材20を介してシートに触ったときの触感を柔らかくすることができる。
【0027】
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明を自動車用シートに適用したが、飛行機、船、電車等に搭載のシート、若しくは映画館等の施設に設置される着座用シートに適用してもよい。また、上記実施形態では、本発明をシートバックの肩部に適用したが、シートバックの肩部以外の部位、シートクッションに適用してもよい。
【符号の説明】
【0028】
10 シートバック(着座用シート)
11 バックフレーム(シートフレーム)
12 バックパッド(パッド)
13 シートカバー
20 形状出し部材
21 枠体
22 埋設部
23 補強リブ
24 突起
25 係合孔
30 ベゼル
31 結合部材
31a クリップホルダ
31b クリップ
40 ヘッドレスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6