特許第6800462号(P6800462)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6800462
(24)【登録日】2020年11月27日
(45)【発行日】2020年12月16日
(54)【発明の名称】患者位置決め支援装置
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/10 20060101AFI20201207BHJP
【FI】
   A61N5/10 T
【請求項の数】2
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2017-31732(P2017-31732)
(22)【出願日】2017年2月23日
(65)【公開番号】特開2018-134290(P2018-134290A)
(43)【公開日】2018年8月30日
【審査請求日】2020年1月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】504145364
【氏名又は名称】国立大学法人群馬大学
(73)【特許権者】
【識別番号】712010876
【氏名又は名称】ペンギンシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】特許業務法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田代 睦
(72)【発明者】
【氏名】久保田 佳樹
(72)【発明者】
【氏名】仁衡 ▲琢▼磨
(72)【発明者】
【氏名】蓮見 将弘
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−500151(JP,A)
【文献】 特開2010−246883(JP,A)
【文献】 特開2016−152992(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61N 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の人体をスキャンした三次元透過画像データから、三次元関心領域であるVOIを切り出す座標情報であるVOI座標データを生成し、前記三次元透過画像データから仮想空間内に配置する3DCTイメージと、前記三次元透過画像データ及び前記VOI座標データから前記VOIを前記仮想空間内に配置するVOIイメージを生成し、前記仮想空間内において前記VOIイメージを6軸座標方向に移動及び回転を実現する3Dイメージ生成処理部と、
前記仮想空間内において前記3DCTイメージ及び前記VOIイメージに対し、6軸座標方向に逆移動及び逆回転させたX線カメラの座標情報に基づいて、異なる二方向の疑似X線画像である第一DRR画像及び第二DRR画像を生成するDRR生成処理部と、
前記第一DRR画像及び前記第二DRR画像に対し、X線カメラから得られる第一DR画像及び第二DR画像との類似度を算出する類似度演算処理部と、
前記類似度演算処理部から得られる類似度が最大になるように、前記3Dイメージ生成処理部に6軸移動及び回転情報を与える、類似度最大化処理部と
を具備する、患者位置決め支援装置。
【請求項2】
更に、
操作者の操作情報を受け付ける操作部と、
前記3DCTイメージ及び前記VOIイメージを表示可能な表示部と
を具備し、
前記類似度最大化処理部は、前記操作部によってオン・オフ制御されるものであり、
前記3Dイメージ生成処理部は、前記類似度最大化処理部がオフ状態において、前記3DCTイメージ及び前記VOIイメージを、操作部を通じて手動で可動可能である、
請求項1記載の患者位置決め支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重粒子線治療等の放射線治療において、患者を載置したベッドを位置決め制御を行う際、患者位置決め作業を支援する、患者位置決め支援装置に関する。また、本発明による患者位置決め支援装置は、患者位置決めの制御も可能である。
【背景技術】
【0002】
重粒子線や陽子線等の粒子線は、X線と比較すると、正常な細胞に余り影響を与えずに、患者の体内に存在する腫瘍患部のみを死滅させる効果が大きい。このため、重粒子線治療は非侵襲で副作用も少ない、がん治療の有力な手法の一つである。
粒子線治療を的確に実施するためには、腫瘍患部に対し、正確に重粒子線を照射する必要がある。このため、患者の正確な位置決めが極めて重要である。
【0003】
なお、本発明の技術分野に近い先行技術文献を特許文献1に示す。
特許文献1には、照射対象である臓器によって、その移動や変形する要因が異なるが、そのような場合にも、形成される線量分布が治療として許容できる範囲に収まる治療計画であるかどうかを適切に判断できる治療計画装置に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016−168077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
放射線治療の手順を以下に簡単に説明する。
(1)先ず、患者の腫瘍患部周辺をX線CT装置でスキャニングを行い、X線画像の集合体である3D−CTボリュームデータを得る。
(2)患者を放射線治療装置のベッドに固定するための治具を作成する。
(3)次に、3D−CTボリュームデータに基づいて患者の腫瘍患部を確認し、どの角度からどの方向で放射線を照射するのかを決定する。これを治療計画という。
(4)治療計画が決定したら、患者を放射線治療装置のベッドに載置し、治具でベッドに固定した上で、患者の腫瘍患部に対し、2方向からX線撮影を行い、X線画像(Digital Radiograph、以下「DR画像」と略す)を得る。
(5)一方、(1)で得た3D−CTボリュームデータから、擬似的に2方向からX線撮影を行うなどの演算処理を行って、疑似X線画像(Digital Reconstructed Radiograph、以下「DRR画像」と略す)を得る。
(6)計算機を用いて、(4)で得たDR画像に、(5)で得たDRR画像が一致するように、6軸上のずれを計算する。そして、患者のベッドに対して6軸の駆動制御を行う。6軸の駆動とは、X座標、Y座標、Z座標の三次元方向の移動と、X回転座標、Y回転座標、Z回転座標の三次元方向の回転である。
なお、上記(1)から(4)に至るまで、概ね1週間程度の期間が必要となることが多い。
【0006】
ところが、人体の生体組織は柔らかい。このため、上記(1)で3D−CTボリュームデータを得た時点から、上記(4)で放射線治療を実施する直前にDR画像を得た時点では、腫瘍患部を有する生体組織が変形していることが往々にしてある。すると、どんなに頑張ってDR画像にDRR画像を一致させようと努力しても、DR画像とDRR画像を完全に一致させることができない。
このような生体組織の変形は、病変の位置変動とともに、特に粒子線治療では粒子の打ち込み深さの変動等により病変への線量付与が担保できなくなるため、治療計画のやり直しを余儀なくされる場合もある。
また、DR画像もDRR画像も基がコントラストの低いX線画像であるため、DR画像とDRR画像とを比較する作業は、熟練を要する作業となっている。
【0007】
本発明は係る状況に鑑みてなされたものであり、患者の臓器が変形していても、容易にDR画像とDRR画像を一致させることができ、さらに、患者全体と移動変形した臓器それぞれの変位量を独立かつ同時に定量化できる、患者位置決め支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の患者位置決め支援装置は、患者の人体をスキャンした三次元透過画像データから、三次元関心領域であるVOIを切り出す座標情報であるVOI座標データを生成し、三次元透過画像データから仮想空間内に配置する3DCTイメージと、三次元透過画像データ及びVOI座標データからVOIを仮想空間内に配置するVOIイメージを生成し、仮想空間内においてVOIイメージを6軸座標方向に移動及び回転を実現する3Dイメージ生成処理部と、仮想空間内において3DCTイメージ及びVOIイメージに対し、6軸座標方向に逆移動及び逆回転させたX線カメラの座標情報に基づいて、異なる二方向の疑似X線画像である第一DRR画像及び第二DRR画像を生成するDRR生成処理部とを具備する。更に、第一DRR画像及び第二DRR画像に対し、X線カメラから得られる第一DR画像及び第二DR画像との類似度を算出する類似度演算処理部と、類似度演算処理部から得られる類似度が最大になるように、3Dイメージ生成処理部に6軸移動及び回転情報を与える、類似度最大化処理部とを具備する。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、患者の臓器が変形していても、容易にDR画像とDRR画像を一致させることができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態である患者位置決め支援装置の全体構成を示すブロック図である。
図2】患者位置決め支援装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】患者位置決め支援装置のソフトウェア機能を示すブロック図である。
図4】3Dイメージ生成処理部の詳細を説明するブロック図である。
図5】人体と肝臓を示す模式図と、人体に存在する肝臓を仮想的な立方体で分割した状態を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置における、表示部に表示されるDR画像表示画面の表示例である。
図7】本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置における、表示部に表示されるDRR画像表示画面の表示例である。
図8】本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置における、表示部に表示される、DR画像に近似させたDRR画像の表示例である。
図9】DRR画像の基となる3DCTイメージと、VOIイメージの、6軸座標上におけるずれの概念を説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
前述の通り、患者をX線CT装置でスキャニングした時点から、実際に患者に対して重粒子線治療を実施するまでに、患者の臓器が時間経過と共に変形することが多い。また、時間経過に関係なく、患者の臓器は様々な要因によって日々変動することが往々にして生じ得る。このために、DR画像とDRR画像が一致しないことがしばしば起こる。
そこで発明者は、患者の臓器が変形して、DR画像がDRR画像に対して不一致を引き起こすならば、DRR画像も患者の臓器と同様に変形できるようにすればよいのではないかと考えた。
先ず、3D−CTボリュームデータ(三次元透過画像データ)から、変形や変動が生じる箇所を分離する。この分離した箇所を、三次元関心領域またはVOI(volume of interest)と呼ぶ。そして、計算機の仮想空間内で3D−CTボリュームデータとVOIのそれぞれに独立して6軸の移動ができるように、計算機のプログラムを構成する。その上で、再構成したVOIを含む3D−CTボリュームデータからDRR画像を作成して、DR画像と画面上で比較する。
本発明の実施形態にて説明する患者位置決め支援装置は、3D−CTボリュームデータとVOIとを、それぞれ独立して仮想空間内で動かして、DRR画像を形成した上で、DR画像との一致を計算する、医療用三次元CGエディタとも呼べる。そして更に、DR画像にDRR画像が一致するように自動計算を行う、患者位置決め支援機能をも有する。
【0012】
[患者位置決め支援装置101の全体構成]
図1は、本発明の実施形態である患者位置決め支援装置101を示すブロック図である。
重粒子線治療施設内において、患者102は患者ベッド103に寝かされている。患者ベッド103はモータを有する駆動機構104によって、6軸の駆動が行われる。患者ベッド103の下にはX線受像素子105が敷かれている。
図1は患者102を頭の方向から見た視点で描かれている。このため、駆動機構104の下にX線受像素子105が設けられているように見えるが、実際には、駆動機構104は患者102の足元側等、X線受像素子105が患者102のX線受像を妨げない位置に設けられている。
【0013】
これに対し、患者102の正面に位置する天井には、X線照射器106と重粒子線照射器107が設置されている。また、患者ベッド103の横にもX線照射器108が設置されている。そして、患者ベッド103を挟んでX線照射器108とは反対側の、患者ベッド103の横にも、X線受像素子109が立てかけられている。この、二つのX線受像素子105及び109が、DR画像を形成する。
【0014】
なお、図1において、重粒子線照射器107が、X線照射器106と同一箇所に設けられているように描かれているが、必ずしも、重粒子線照射器107とX線照射器106が同一箇所に設けられていなくてもよい。また、異なる二方向のX線照射器およびX線受像素子が正面(縦)方向と側面(横)方向に描かれているが、必ずしもこれらの方向でなくてもよい。
【0015】
二つのX線受像素子105及び109は、パソコンやワークステーション等の計算機よりなる患者位置決め支援装置101に接続され、X線受像素子105及び109が生成したDR画像は患者位置決め支援装置101に入力される。また、患者位置決め支援装置101には、予め患者102を図示しないX線CT装置でスキャニングしたことによって作成した3D−CTボリュームデータ110が入力される。
一方、患者位置決め支援装置101には、キーボード及びマウス等のポインティングデバイスよりなる操作部111か、図示しないUSBメモリやネットワーク等から、治療計画データが入力される。
【0016】
図示しない操作者は、患者位置決め支援装置101の表示部112に3D−CTボリュームデータ110を表示する。そして、操作部111を通じて、3D−CTボリュームデータ110の中に存在する立体形状で、VOIを指定する。また、3D−CTボリュームデータ110とVOIをそれぞれ独立して操作しながら、DRR画像を作成する。そして、表示部112にDR画像とDRR画像をそれぞれ表示しながら、DRR画像がDR画像に一致するように、3D−CTボリュームデータ110とVOIを操作する。
【0017】
3D−CTボリュームデータ110とVOIを操作して、ある程度互いの位置が近づいてきたら、現在の6軸変位量を初期変位量として、患者位置決め支援装置101に記憶し、操作部111を操作して、自動位置決めを実行する。すると、患者位置決め支援装置101は、3D−CTボリュームデータ110とVOIの微調整を行い、DR画像にDRR画像を一致させる。このように、手動あるいは自動位置決めを必要に応じて行う。
なお、6軸変位または6軸移動とは、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の平行移動と、X軸回転方向、Y軸回転方向、Z軸回転方向の回転移動を指す。
【0018】
[患者位置決め支援装置101のハードウェア構成]
図2は、患者位置決め支援装置101のハードウェア構成を示すブロック図である。
一般的な計算機である患者位置決め支援装置101は、バス201に接続されたCPU202、ROM203、RAM204、表示部112、操作部111、不揮発性ストレージ205とシリアルポート206を備える。
不揮発性ストレージ205には、計算機を患者位置決め支援装置101として動作させるためのプログラムが格納されている。
シリアルポート206には、治療計画データを入力するためのUSBメモリが接続される他、患者ベッド103を駆動する駆動機構104も接続される。
なお、病院情報システムなどのネットワーク経由で必要な画像やデータを取得する場合は、シリアルポート206の代わりにネットワークインターフェースを用いることとなる。
【0019】
[患者位置決め支援装置101のソフトウェア機能]
図3は、患者位置決め支援装置101のソフトウェア機能を示すブロック図である。
3D−CTボリュームデータ110は、3Dイメージ生成処理部301に入力される。また、3Dイメージ生成処理部301には操作部111が接続されており、操作部111の操作情報に基づいて、3D−CTボリュームデータ110からVOIを切り出すためのVOI座標データ302が形成される。そして、VOI座標データ302も3Dイメージ生成処理部301に入力される。
VOIとは、3D−CTボリュームデータ110から腫瘍患部を含む臓器や所定の立体形状を切り出した部分の領域を示すものである。したがって、VOIを特定するためには、3D−CTボリュームデータ110に対し、VOIを形成するための座標情報を作成すればよい。VOI座標情報としては、放射線治療計画装置等で描画、出力された輪郭情報を利用することもできる。
【0020】
3Dイメージ生成処理部301は、操作部111から操作情報を受けて、3D−CTボリュームデータ110からVOI座標データ302を用いて切り出したVOIに対して6軸移動を行うための、VOIイメージ404(図4にて後述する。)を作成する。この時、操作部111から入力された、VOIに対する6軸移動情報が、VOI用初期変位座標306として記憶される。
そして、3Dイメージ生成処理部301は、3D−CTボリュームデータ110と、VOI用初期変位座標306及び後述するVOI用最適化変位座標321によって6軸変位されたVOI座標データ302に基いて、VOI変位済3DCTイメージ303を生成する。
なお、3Dイメージ生成処理部301が生成するVOI変位済3DCTイメージ303は、必要に応じてリアルタイムでGUI処理部307を通じて表示部112に表示される。
【0021】
3Dイメージ生成処理部301が生成するVOI変位済3DCTイメージ303は、DRR生成処理部308に入力される。DRR生成処理部308には、VOI変位済3DCTイメージ303における腫瘍患部の位置(アイソセンタ)と重粒子線の照射方向の情報である治療計画データ309と、DR画像の基となるX線照射器106及び108とX線受像素子105及び109の座標情報であるDRカメラ座標310も入力される。また、DRR生成処理部308にも3Dイメージ生成処理部301と同様に操作部111が接続されており、操作部111から操作情報を受けて、VOI変位済3DCTイメージ303からDR画像を作成する際のDRカメラ座標310に対して6軸移動を行う。この時、操作部111から入力された、DRカメラ座標310に対する6軸移動情報が、3DCT用初期変位座標305として記憶される。
【0022】
DRR生成処理部308は、VOI変位済3DCTイメージ303に対し、治療計画データ309により中心位置を決める。次に、3DCT用初期変位座標305及び後述する3DCT用最適化変位座標320によって、DRカメラ座標310を6軸逆変位させる。そして、VOI変位済3DCTイメージ303に対し、6軸逆変位されたDRカメラ座標310を用いて、レイトレーシングを実行し、DR縦画像311に対応するDRR縦画像312と、DR横画像313に対応するDRR横画像314を生成する。
なお、DRR生成処理部308が生成するDRR縦画像312とDRR横画像314は、必要に応じてリアルタイムでGUI処理部307を通じて表示部112に表示される。
【0023】
3Dイメージ生成処理部301では、VOIイメージ404の6軸変位のみ行い、VOI変位済3DCTイメージ303の6軸変位は実行しない。これは、3次元画像データである3D−CTボリュームデータ110のデータ量が膨大であることから、この膨大なデータに6軸変位を施すとなると、膨大な行列演算を必要とする。そこで、VOI変位済3DCTイメージ303そのものには6軸変位を施さない代わりに、レイトレーシングで形成するDRR画像の生成処理において、DRカメラ座標310を6軸逆変位させることで、演算量を減らしている。
【0024】
3Dイメージ生成処理部301が実行する処理を、より詳細に説明する。
図4は、3Dイメージ生成処理部301の詳細を説明するブロック図である。図4は、図3の一部抜粋及び拡大図である。
3Dイメージ生成処理部301は、VOI切り出し処理部401、VOI変位処理部402、境界処理部403よりなる。
3D−CTボリュームデータ110は、VOI座標データ302と共にVOI切り出し処理部401に入力される。
VOI切り出し処理部401は、3D−CTボリュームデータ110からVOI座標データ302に基いて、VOIイメージ404を切り出す。また、VOI切り出し処理部401は操作部111の操作情報に基づいて、3D−CTボリュームデータ110からVOIを切り出すためのVOI座標データ302を形成する。
【0025】
VOI変位処理部402は、VOI用初期変位座標306及びVOI用最適化変位座標321に基づいて、VOIイメージ404に仮想三次元空間内における6軸変位を実行する。また、VOI変位処理部402は操作部111の操作情報に基づいて、VOI用初期変位座標306(またはVOI用最適化変位座標321)を設定し、変更する。更に、VOI変位処理部402は相関値最大化処理部319の制御情報に基づいて、VOI用最適化変位座標321(またはVOI用初期変位座標306)を設定し、変更する。
【0026】
VOI変位処理部402から出力された、6軸変位されたVOIイメージ404と、VOI切り出し処理部401から出力された、VOIが抜き取られた3D−CTボリュームデータ110は、境界処理部403に入力される。境界処理部403は、6軸変位されたVOIイメージ404と、VOIが抜き取られた3D−CTボリュームデータ110との、境界部分における処理を行う。具体的には、空隙については境界部分と同一の輝度に塗り潰す、あるいは、VOIと共に変位した3D−CTイメージと元の3D−CTイメージの画素値の最小値を採る処理、重なった箇所については重なった画素値の最大値を採る(MIP(maximum intensity projection))処理を行う。あるいは、変位したVOIの境界が3D−CTボリュームと連続性を保つように、境界周辺を膨張・圧縮変形させる処理を行う。
こうして、境界処理部403は、変位済VOIイメージ405とVOI抜き3DCTイメージ406よりなる、VOI変位済3DCTイメージ303を出力する。
DRR生成処理部308には、このVOI変位済3DCTイメージ303が入力される。
【0027】
図3に戻って、ブロック図の説明を続ける。
DRR生成処理部308が生成するDRR縦画像312とDRR横画像314は、相関値演算処理部315に入力される。
相関値演算処理部315には、ノイズ除去処理部316によってノイズ除去が施されたDR縦画像311及びDR横画像313も入力される。このDR縦画像311及びDR横画像313は、DRR縦画像312とDRR横画像314との比較対象となる画像である。ノイズ除去処理部316は、DR縦画像311及びDR横画像313に含まれている軸線等の除去を行う。
更に相関値演算処理部315には、操作部111を通じて比較対象範囲指定部317によって作成される、比較対象領域座標318及び比較除外領域座標322も入力される。
【0028】
比較対象領域座標318は、DR縦画像311及びDR横画像313と、DRR縦画像312とDRR横画像314とで相関値を演算する際、相関値の演算対象とする領域を限定する。比較除外領域座標322は、比較対象領域座標318において設定された、相関値の演算対象とする領域に対し、部分的に相関値の演算対象から除外する領域を指定する。この比較除外領域座標322は、必ずしも設定しなくてもよいが、後述する相関値最大化処理部319が実行する相関値の演算処理において、相関値の演算処理に不要な箇所を除外することで相関値の演算を支援するために指定する場合がある。
【0029】
相関値演算処理部315が算出した相関値の情報は、相関値最大化処理部319に入力される。
相関値最大化処理部319には、3Dイメージ生成処理部301が作成した、3DCT用変位座標と、VOI用変位座標も入力される。
この相関値最大化処理部319は、図示されていないが、操作部111によってオン・オフ制御される。相関値最大化処理部319は、DRR縦画像312及びDRR横画像314を、DR縦画像311及びDR横画像313に自動的に合わせ込むための機能ブロックである。
【0030】
相関値最大化処理部319がオフ状態の時、VOI変位済3DCTイメージ303を構成する変位済VOIイメージ405とVOI抜き3DCTイメージ406は、患者位置決め支援装置101が形成する仮想空間内で、操作部111の操作情報によって操作者の手動にて動かされる様に見える。その、動かされた6軸の情報は、3DCT用初期変位座標305と、VOI用初期変位座標306に記憶される。操作者は、表示部112に表示されるDR縦画像311及びDR横画像313と、DRR縦画像312及びDRR横画像314とを比較しながら、なるべくDRR縦画像312及びDRR横画像314がDR縦画像311及びDR横画像313に近づくように、操作部111を操作して変位済VOIイメージ405とVOI変位済3DCTイメージ303(実際はDRカメラ座標310である。)を動かす。
【0031】
ある程度、DR縦画像311及びDR横画像313に対してDRR縦画像312及びDRR横画像314が近づいてきたら、操作者は操作部111を通じて、相関値最大化処理部319を起動する。すると、相関値最大化処理部319は、3Dイメージ生成処理部301に対し、変位済VOIイメージ405を6軸に微小移動させる。同様に、DRR生成処理部308に対し、VOI変位済3DCTイメージ303に対するDRカメラ座標310を6軸に微小逆移動させる。そして、相関値演算処理部315から得られる相関値を記憶する。次に、一例として勾配法(最急降下法)及び黄金分割法を用いて、相関値が最大になる6軸上の変位情報を特定する。特定した6軸上の変位情報は、3DCT用最適化変位座標320とVOI用最適化変位座標321に記憶される。そして、3DCT用初期変位座標305と3DCT用最適化変位座標320を加算した6軸情報を3DCT用変位座標として(図3中、丸囲み「B」)、また、VOI用初期変位座標306とVOI用最適化変位座標321を加算した6軸情報をVOI用変位座標として(図3中、丸囲み「A」)、外部へ出力する。
【0032】
なお、3DCT用初期変位座標305及びVOI用初期変位座標306は、必ずしも手動の位置決めのための情報ではなく、3DCT用最適化変位座標320及びVOI用最適化変位座標321と同様に、自動位置決めの情報として使用してもよい。例えば、手動または自動で一旦位置決めを実行した後、VOI座標データ302、比較対象領域座標318、比較除外領域座標322等を変更して再度位置決め作業を遂行する等、位置決めのやり直しを行う際に、初期変位量を記憶しておくことは必要である。
【0033】
以上に説明したデータ処理のうち、
・ノイズ除去処理部316から得られる、ノイズ除去が施される前あるいは後のDR縦画像311及びDR横画像313、
・DRR生成処理部308から得られるDRR縦画像312及びDRR横画像314、3DCT用初期変位座標305、3DCT用最適化変位座標320、
・3Dイメージ生成処理部301から得られるVOI変位済3DCTイメージ303、VOI用初期変位座標306及びVOI用最適化変位座標321
等は、操作部111の操作指示に基づいて、GUI処理部307を通じて、表示部112に選択的に表示される。
【0034】
[VOI変位済3DCTイメージ303と変位済VOIイメージ405]
本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置101は、VOI抜き3DCTイメージ406と変位済VOIイメージ405をそれぞれ独立して動かすことが可能である。VOI変位済3DCTイメージ303については、実際に動かしているのはDRカメラ座標310であるが、説明の便宜上、VOI変位済3DCTイメージ303が動いているものと見做して説明する。以下、このVOI変位済3DCTイメージ303と変位済VOIイメージ405について説明する。
【0035】
図5Aは、人体501と肝臓502を示す模式図である。図5A中、楕円柱は患者102、すなわち人体501をX線CT装置でスキャンした3D−CTボリュームデータ110に基づいて作成した、胴体のVOI変位済3DCTイメージ303である。このVOI変位済3DCTイメージ303の中に、肝臓502が存在する。今、この肝臓502に悪性腫瘍が存在するものと仮定する。なお、母体とVOIの例として、ここでは「腹部における肝臓」が示されているが、他にも「頭頸部における下顎」、「胸部における肩甲骨」、「骨盤領域における大腿骨」などが挙げられる。
【0036】
X線CT装置でスキャンしてVOI変位済3DCTイメージ303を作成した日から、実際に重粒子線治療を実施する日迄には、概ね1週間程度の期間が空く。その間、または当日の患者102の体調や容態によって、患者102の体内でこの肝臓502の位置がずれる他、肝臓502自体に変形が生じることがしばしば起こる。人体の肝臓は、肝冠状間膜と肝鎌状間膜によって、横隔膜にぶら下がるように固定されている。これら腹膜は柔軟性を有するので、人の姿勢の変化等の様々な要因で肝臓自体の位置がずれる可能性がある。また、肝臓自体も柔軟性を有するので、位置のずれと同様の要因で肝臓自体が変形する可能性もある。
【0037】
そこで、この肝臓502をVOI変位済3DCTイメージ303である人体501とは別個に、独立して動かせるように、VOIとして指定する。
図5Aでは、肝臓502そのものをVOIとして指定した状態を想定している。DRR画像に現れる、コントラストが大きくなっている境界線部分をなぞることで、VOI変位済3DCTイメージ303から肝臓502自体をVOIとして指定することができる。このような、臓器全体をVOIとして指定する手法は、臓器自体に変形が少なく、臓器の体内における位置だけがずれている場合に効果的である。
【0038】
図5Bは、人体501に存在する肝臓502の一部分を仮想的な立方体で分割した状態を示す模式図である。
図5Bでは、図5Aとは異なり、肝臓502に存在する悪性腫瘍とその周縁部分のみを立方体あるいは直方体等の幾何学的立体形状503で切り出す。あるいは、悪性腫瘍を含む臓器の一部の輪郭情報を与えてもよい。このような、臓器の一部分をVOIとして指定する手法は、臓器自体に変形が生じている場合に効果的である。またこの場合、VOI以外の臓器のずれを考慮しないようにするために、比較対象範囲指定部317を通じて、比較除外領域座標322をVOI外の臓器に設定することが好ましい。
このように、本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置101は、VOIを様々な形状で指定することが可能である。
【0039】
[DR画像とDRR画像と6軸ずれ情報]
図6は、本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置101における、表示部112に表示されるDR画像表示画面の表示例である。
図6において、左側に表示されるX線画像はDR縦画像311であり、右側に表示されるX線画像はDR横画像313である。DR縦画像311及びDR横画像313には、患者102の腫瘍601が造影剤によって他の箇所と比べてやや高い明度で現れている。また、図6では明瞭には見えていないが、腫瘍601の近傍にはX線不透過金属マーカーが配置されている。操作者は、このDR縦画像311及びDR横画像313に対し、比較対象領域座標318を設定する。図6において、比較対象領域座標318は矩形形状である。
【0040】
図7は、本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置101における、表示部112に表示されるDRR画像表示画面の表示例である。
図7において、左側はDRR縦画像312であり、右側はDRR横画像314である。DRR縦画像312及びDRR横画像314には、患者102の腫瘍601が造影剤によって他の箇所と比べてやや高い明度で現れている。また更に、図7では明瞭には見えていないが、腫瘍601の近傍にはX線不透過金属マーカーが配置されている。操作者は、このDRR縦画像312及びDRR横画像314に対し、比較対象領域座標318を設定する。この時、このDRR画像表示画面では、DR画像表示画面において設定した比較対象領域座標318と同一になるように設定されている。
更に、図7では図6のDR縦画像311及びDR横画像313にはない、変位済VOIイメージ405の外形状の二次元投影像が表示されている。図7中では、変位済VOIイメージ405は直方体形状で表示されている。
【0041】
図8は、本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置101における、表示部112に表示される、DR画像に近似させたDRR画像の表示例である。
図8において、左側はDRR縦画像312であり、右側はDRR横画像314である。
図8の表示画面に表示されているDRR縦画像312及びDRR横画像314の、図7との相違点は、VOI座標データ302が元にあった場所(VOI座標データ801)からずれている点である。変位済VOIイメージ405がずれた結果、DRR縦画像312及びDRR横画像314には、空隙802が生じている。
この時、この表示画面中、左上には「マッチング位置ずれ量」として、左側にVOI変位済3DCTイメージ303のずれ量の欄R803が、右側に変位済VOIイメージ405のずれ量の欄R804が、表示されている。
【0042】
図9Aは、DRR画像の基となるVOI変位済3DCTイメージ303の、6軸座標上におけるずれの概念を説明する概略図である。
図9Bは、DRR画像の基となる変位済VOIイメージ405の、6軸座標上におけるずれの概念を説明する概略図である。
図9Aに示すベクトルA901は、患者102の現在の状態に対して、DRR画像の基となる実体とDR画像の基となる実体が、どのようにずれているのかを、6軸座標情報として示したベクトルである。
そして図9Bに示すベクトルA902は、VOI変位済3DCTイメージ303を示すベクトルに対して、変位済VOIイメージ405がどの程度ずれているのかを、6軸座標情報として示している。すなわち、変位済VOIイメージ405は、VOI変位済3DCTイメージ303を起点としてずれる。変位済VOIイメージ405が全くずれていない場合は、VOI変位済3DCTイメージ303と同様に6軸座標上で駆動される。
【0043】
以上に説明したように、本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置101は、治療直前に撮影したDR画像に、DRR画像を合わせ込む為に必要な6軸のずれ情報を算出することができる。腫瘍患部の位置をX線CT装置撮影時点と同じように患者102を位置決めするためには、3Dイメージ生成処理部301から得られる3DCT用変位座標に、これも3Dイメージ生成処理部301から得られるVOI用変位座標を加算すればよい。
【0044】
しかし、実際に患者102を位置決めした時点で、本当に治療を実行すべきなのかを再考する必要がある。粒子線のような放射線が骨によって遮られてしまう等の状況が発生し得るからである。そこで、3Dイメージ生成処理部301から得られるVOI変位済3DCTイメージ303、変位済VOIイメージ405、VOI用変位座標(VOI用初期変位座標306とVOI用最適化変位座標321の加算値)と、DRR生成処理部308から得られる3DCT用変位座標(3DCT用初期変位座標305と3DCT用最適化変位座標320の加算値)を、治療計画データ309と共に、外部の計算処理である治療計画ビームの線量分布計算処理へ出力する(図3及び図4参照)。線量分布計算処理プログラムに上記の情報を出力することで、現在の患者102の状態で治療計画データ309に基づいて放射線を照射すると、腫瘍患部に照射される放射線の線量分布がどのようになるのかをシミュレーション計算で得ることが可能になる。
【0045】
以上に説明した実施形態は、以下に記す応用が可能である。
(1)上述の実施形態では、VOIを1個だけ示したが、VOIの個数は1個に限定するものではない。計算機の演算能力とソフトウェアの改良で、VOIを複数個設定し、それらをそれぞれ独立して動かせるように構成してもよい。
更に、VOIとして指定する対象も、単一の臓器に限らない。場合によっては必要に応じて、複数の臓器に跨るようにVOIを指定してもよい。
【0046】
(2)上述の実施形態では、DR縦画像311及びDR横画像313と、DRR縦画像312とDRR横画像314は、被写体に対する撮影方向が直交するように構成されていた。これは、異なる方向の仮想二次元画像を2枚用いることで、仮想三次元空間内に目的とする立体を構成し、現実の二次元画像位置合わせを行うためである。立体を構成する必要条件は、異なる2方向の二次元画像を2枚用いることであり、必ずしもその画像同士が直交関係でなくてもよいし、図1で示したような正面(縦)方向と側面(横)方向でなくてもよい。
【0047】
(3)相関値演算処理部315では、DR画像とDRR画像の類似度を表す指標として、相関値(ゼロ平均正規化相互相関)を採用した。この指標は、二つの画像の一致性を数値化するために用いるものであるので、二つの画像の類似度を算出するアルゴリズムであれば、必ずしもこれに限られない。例えば、差分の二乗和や相互情報量等、相関値を用いない類似度の算出アルゴリズムが利用可能である。したがって、相関値演算処理部315は、類似度演算処理部という上位概念に含まれる。同様に、相関値最大化処理部319は、類似度最大化処理部という上位概念に含まれる。
【0048】
(4)上述の実施形態に係る患者位置決め支援装置101の適用対象は、重粒子線治療施設に限らない。陽子線治療、X線治療等、多種多様な放射線治療施設あるいは近赤外線等の、放射線とは異なる媒体であってもよい。本発明は治療に用いる媒体に限定されない。
【0049】
本実施形態では、患者位置決め支援装置101を開示した。
3Dイメージ生成処理部301は、X線CT装置の撮影データである3D−CTボリュームデータ110から仮想的に切り出したVOIイメージ404を作成する。このVOIイメージ404を6軸変位させ、変位済VOIイメージ405を作成する。3D−CTボリュームデータ110からVOIイメージ404を切り出したVOI抜き3DCTイメージ406と、変位済VOIイメージ405を組み合わせて、VOI変位済3DCTイメージ303を作成し、計算機の三次元仮想空間内に配置する。このVOI変位済3DCTイメージ303をレイトレーシングにてDRR縦画像312とDRR横画像314を作成する際、DRカメラ座標310を6軸逆変位させる。こうして、VOI変位済3DCTイメージ303と変位済VOIイメージ405を独立して三次元仮想空間内で6軸方向に動かせる機能を実現する。相関値演算処理部315はDRR縦画像312とDRR横画像314に対し、DR縦画像311及びDR横画像313との相関値を算出する。相関値最大化処理部319は、相関値演算処理部315が算出する相関値が最大になるように、DRカメラ座標310と変位済VOIイメージ405をそれぞれ独立に6軸方向に動かす。
このように、DRカメラ座標310と変位済VOIイメージ405を独立して動かせるように構成することで、患者102の臓器の変形や移動にも柔軟に対応が可能になる。
また、本発明の実施形態に係る患者位置決め支援装置101は、過去に撮影した3D−CTボリュームデータ110から、X線CT装置で再度撮影することなく、現在の患者102の臓器の状態を把握することが可能になる。このことにより、実際に治療計画に基づいて治療を行うべきか否かを、操作者である医師の経験に頼ることなく、客観的なデータに基づいて判断することが可能になる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、他の変形例、応用例を含む。
例えば、上記した実施形態は本発明をわかりやすく説明するために装置及びシステムの構成を詳細且つ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることは可能であり、更にはある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行するためのソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の揮発性或は不揮発性のストレージ、または、ICカード、光ディスク等の記録媒体に保持することができる。
また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0051】
101…患者位置決め支援装置、102…患者、103…患者ベッド、104…駆動機構、105…X線受像素子、106…X線照射器、107…重粒子線照射器、108…X線照射器、109…X線受像素子、110…3D−CTボリュームデータ、111…操作部、112…表示部、201…バス、202…CPU、203…ROM、204…RAM、205…不揮発性ストレージ、206…シリアルポート、301…3Dイメージ生成処理部、302…VOI座標データ、303…VOI変位済3DCTイメージ、305…3DCT用初期変位座標、306…VOI用初期変位座標、307…GUI処理部、308…DRR生成処理部、309…治療計画データ、310…DRカメラ座標、311…DR縦画像、312…DRR縦画像、313…DR横画像、314…DRR横画像、315…相関値演算処理部、316…ノイズ除去処理部、317…比較対象範囲指定部、318…比較対象領域座標、319…相関値最大化処理部、320…3DCT用最適化変位座標、321…VOI用最適化変位座標、322…比較除外領域座標、401…VOI切り出し処理部、402…VOI変位処理部、403…境界処理部、404…VOIイメージ、405…変位済VOIイメージ、406…VOI抜き3DCTイメージ、501…人体、502…肝臓、503…幾何学的立体形状、601…腫瘍、801…VOI座標データ、802…空隙
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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