特許第6811156号(P6811156)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811156
(24)【登録日】2020年12月16日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】通信システム
(51)【国際特許分類】
   H02H 3/28 20060101AFI20201228BHJP
   H04L 12/43 20060101ALI20201228BHJP
【FI】
   H02H3/28 A
   H02H3/28 W
   H04L12/43
【請求項の数】6
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2017-190255(P2017-190255)
(22)【出願日】2017年9月29日
(65)【公開番号】特開2019-68561(P2019-68561A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2019年11月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】城戸 三安
(72)【発明者】
【氏名】小松 親司
(72)【発明者】
【氏名】丸山 龍也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】高見 和久
【審査官】 高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2015/079765(WO,A1)
【文献】 国際公開第01/047194(WO,A1)
【文献】 特開昭63−245212(JP,A)
【文献】 特開昭57−173236(JP,A)
【文献】 国際公開第2016/181457(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02H 3/00 − 5/00
H04L 12/43
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算を行うとともに光信号の送受信を行う複数の保護リレー装置と、
前記保護リレー装置に接続されて前記光信号を分波・合波する複数の光分波・合波装置と、を有し、
複数の前記保護リレー装置は、
3つ以上の所定の前記保護リレー装置を備えるグループを複数形成するようにグループ分けされており、
前記グループにおいて、前記光信号がリング状に流れるよう、各光分波・合波装置を介して前記保護リレー装置がリング状に接続されるとともに、個々の光分波・合波装置には、異なるグループに属する前記保護リレー装置接続されており、
前記リング状に接続されたネットワークにおいて、各保護リレー装置は、所定の方向へ向けて前記光信号を送信するとともに、同じ波長の光信号を前記所定の方向とは逆の方向へ向けて送信し、自身宛に最初に受信した前記光信号に基づいて前記演算を行い、
前記光信号の波長は、前記グループ毎に異なる波長である
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
所定の波長を有する光信号の送受信を行う光信号送受信装置が、前記保護リレー装置に対して、交換可能に備えられる
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記保護リレー装置は、
自身が送受信する光信号の波長に関する情報である波長設定情報を記憶部に格納しており、
前記光信号送受信装置が送受信する光波長情報を、当該光信号送受信装置から取得し、取得した前記光波長情報が、前記波長設定情報と異なっている場合、誤った前記光信号送受信装置が備えられていることを出力する
ことを特徴とする請求項2に記載の通信システム。
【請求項4】
各保護リレー装置が使用している光信号の波長に関する情報を、前記各保護リレー装置から取得する管理装置
を有することを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記光分波・合波装置は、アレイ導波路回折格子型の光分波・合波装置である
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【請求項6】
前記保護リレー装置は、送電線の保護処理を行うものであり、
同じ前記グループに属する前記保護リレー装置は、同じ保護区間に設けられる
ことを特徴とする請求項1に記載の通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リングネットワークを有する通信システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
多端子の送電線を保護する保護リレーシステムとして、多端子電流差動保護リレーシステム等がある。これらの保護リレーシステムでは、複数台の保護リレー装置が設置されている。
そして、各保護リレー装置は、伝送路を介して、送電線の電流情報、電圧情報や、保護リレー装置の機器情報、サンプリング同期をとるための同期情報といった保護リレー情報を交換している。このようにすることで、保護リレーシステムは送電線における保護区間内の系統故障を検出して事故除去を行う。
【0003】
多端子電流差動保護リレーシステム等の保護リレーシステムの技術は、54kbpsまたは1.5Mbpsの伝送速度で、データを所定の周期でサイクリックに伝送する方式が全国大で統一的に採用されている。このような保護リレーシステムは、PCM(Pulse Code Modulation)電流差動保護リレーの主流の構成として適用されている。このような技術は、特許文献1や、非特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1には、「送電線の保護区間を画成する複数の端子にそれぞれ設けられた電流差動リレーを備え、各電流差動リレーは、自端子と相手端子における送電線の電流又は電圧のサンプリングデータの位相差を求め、求めた位相差に合わせてサンプリング電流を移相して、サンプリング電流の伝送遅延時間によるサンプリング同期誤差を補正する補正手段(制御1A〜1C)とを有することを特徴とする」電流差動リレー装置が開示されている(要約参照)。
【0005】
これらのサイクリックに伝送する方式は、電力用通信の専用ネットワーク上で構成することが前提であり、信号多重化装置(CR−MUX)等の電力専用通信機器を用いてシステムが構成されている。
また、従来のサイクリック伝送の通信装置(CR−MUX)に代えて汎用通信機器(レイヤ2スイッチ:L2スイッチ)を備えた構成が非特許文献2や、非特許文献3に記載されている。このように、大幅なコストダウンと通信速度の高速化、通信容量の大容量化により通信性能を高度化した多端子電流差動保護リレーシステムが提案されている。
【0006】
さらに、通信路の冗長性を高めた構成として、例えば、特許文献2には、「複数の拠点に配置され、互いにパケットを送受信して対象設備を監視又は制御する装置ごとに所定の制御システムにグループ分けされた複数の通信装置と、複数の通信ポートを備え、前記通信装置が送信したパケットを他の通信装置へ転送する複数の中継装置と、を備え、各拠点に配置された複数の通信装置は、2つの前記中継装置の間に並列に接続され、異なる拠点に配置された前記中継装置は、ネットワークによってリング状に接続されるものであって、少なくとも1つの拠点に配置された複数の通信装置には、異なる制御システムに属する通信装置が含まれることを特徴とする」ネットワークシステムおよび中継装置が開示されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−68325号公報
【特許文献2】特開2015−103978号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】社団法人 電気協同研究会、「電気協同研究、第二世代ディジタルリレー」、第50巻1号、平成6年4月、p.20-22,37,105
【非特許文献2】電気学会、電力・エネルギー部門、保護リレーシステム技術委員会、「電気学会技術報告、保護リレーにおける通信利用技術の現状と高度化」、第1276号、2013年2月、p.108-112
【非特許文献3】一般社団法人、電気協同研究会、「電気協同研究、新しい通信技術による保護リレーシステムの設計合理化」、第71巻1号、平成27年7月、p.140-144
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
保護リレーシステムの通信技術として、これまでPDH(Plesiochronous Digital Hierarchy:従来の同期デジタルハイアラーキ)や、SDH(Synchronous Digital Hierarchy:同期デジタルハイアラーキ)等を適用したものがある。これらの技術では、電力専用の通信機器(CR−MUX)等が多く採用され多くの実績をあげている。しかし、電力専用の通信機器は、電力専用のため、電力仕様で製作されている。そのため、汎用性がなく、信頼性は非常に高いが、価格が高いため、トータルコストダウンを図る上で課題がある。
【0010】
今後は、IP(Internet Protocol:インターネットプロトコル)技術が適用され、従来の電力専用のサイクリック伝送方式から汎用の通信技術であるパケット伝送方式へ移行されることが予想される。つまり、汎用のL2スイッチ等を適用して高機能化されて行くことが有望視される。
【0011】
つまり、従来の電力専用の通信機器から汎用通信機器(L2スイッチ)を適用することにより、システム導入時のコストダウンを達成することができる。しかし、L2スイッチの改廃サイクルが保護リレー装置に比べ、著しく短いため、頻繁にL2スイッチの交換等が行われる必要がある。
【0012】
このため、保護リレーシステムの健全性を確認するために、L2スイッチの改廃の度に保護リレー装置側との接続動作の確認作業というこれまでになかった作業が増える。これにより、メンテナンスコストが増えてくることが想定される。
【0013】
また、汎用の通信機器であるL2スイッチは、電力業界以外の業界のニーズが取り入れられる。そのため、常に機能向上のために変更が発生し、これに伴うL2スイッチの動作制御のためのファームウエアが頻繁にバージョンアップされる。このバージョンアップも保護リレー装置との接続に影響が及ぶことが十分想定される。
【0014】
また、L2スイッチは一般にデータ転送のスイッチングのために、一旦入力データをL2スイッチ内のバッファに蓄え、優先制御の後、パケットの転送先に基づいて転送するストア&フォワード形の動作となる。この動作のため、L2スイッチ内でパケットの滞留時間が発生する。これにより、通信の状況によって、その時間が変動するため、保護リレーシステム全体としては、遅延時間変動が生じ、サンプリング同期誤差の発生要因となる。
【0015】
なお、L2スイッチ内の遅延時間(滞留時間)を補正する機能であるIEEE1588v2のTC(Transpaieing Clock:トランスペアレントクロック)機能を適用することで、L2スイッチ内の遅延時間変動を補正することが可能である。しかし、その際には、保護リレーシステムを構成する、すべての機器がIEEE1588v2のTC対応とする必要がある。これにより、さらにコスト高となる課題がある。
【0016】
さらに、L2スイッチは汎用性が高いため、保護リレーシステムとして動作させるための優先度の設定等、L2スイッチの制御動作を決定するコンフィグレーションが必要となる。このため、従来、必要としなかった汎用通信の専門知識を有する必要があり、新たな業務が増える。
【0017】
このように、L2スイッチを適用することで、初期の導入コスト抑制と高機能化が達成できることが期待される。その反面、これまでなかった保護リレー装置との組み合わせ確認作業によるメンテナンスコストの増加のおそれがある。さらに、保護リレーシステムの重要な性能指標である同期誤差精度が、従来のサイクリック伝送システムに比べ悪化するといったような課題が発生する。
【0018】
このような背景に鑑みて本発明がなされたのであり、本発明は、効率的な運用管理を行うことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記した課題を解決するため、本発明は、演算を行うとともに光信号の送受信を行う複数の保護リレー装置と、前記保護リレー装置に接続されて前記光信号を分波・合波する複数の光分波・合波装置と、を有し、複数の前記保護リレー装置は、3つ以上の所定の前記保護リレー装置を備えるグループを複数形成するようにグループ分けされており、前記グループにおいて、前記光信号がリング状に流れるよう、各光分波・合波装置を介して前記保護リレー装置がリング状に接続されるとともに、個々の光分波・合波装置には、異なるグループに属する前記保護リレー装置接続されており、前記リング状に接続されたネットワークにおいて、各保護リレー装置は、所定の方向へ向けて前記光信号を送信するとともに、同じ波長の光信号を前記所定の方向とは逆の方向へ向けて送信し、自身宛に最初に受信した前記光信号に基づいて前記演算を行い、前記光信号の波長は、前記グループ毎に異なる波長であることを特徴とする。
その他の解決手段は実施形態中で適宜記載する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、効率的な運用管理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】第1実施形態に係る保護リレーシステム(通信システム)Zのネットワーク構成例を示す図である。
図2図1に示した保護リレーシステムZの具体的な構成例を示す図である。
図3A】光分波・合波器Pの構成例を示す図である。
図3B】入力用スラブ導波路202における光分波の手法を示す模式図である。
図4A】各保護リレーのグループ毎の光信号を波長軸で表現した説明図である。
図4B】光ファイバFの光損失例を示す図である。
図5A】本実施形態に係る保護リレーシステムZの模式図を示す図である。
図5B】保護リレーシステムZの模式図と光信号の波長領域とを示す図である。
図5C】光ファイバF401における光信号の波長領域を示す図である。
図6】本実施形態で用いられる保護リレー装置Dの機能ブロック図である。
図7】本実施形態で用いられる通信制御部68の機能ブロック図である。
図8】本実施形態で用いられるHSRプロトコルに従った通信フレーム800を示す図である。
図9】光信号を受信した際における通信制御部68の転送処理手順を示すフローチャートである。
図10】本実施形態で行われるサンプリング同期処理の手順を示す図である
図11】各グループにおけるサンプリング同期のタイミング例を示す図である。
図12】光モジュールM内に格納される管理情報1000の例を示す図である。
図13】第2実施形態で行われる光モジュールM確認処理の手順を示すフローチャートである。
図14】第3実施形態に係る保護リレーシステムZ2のネットワーク構成例を示す図である。
図15】汎用通信機器を用いて、パケット通信方式を採用した保護リレーシステムの構成例を示す図である。
図16】代表的なHSRプロトコルを用いた通信システムの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明を実施するための形態(「実施形態」という)について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
(これまでの手法)
まず、はじめに、本実施形態のポイントを明確にするために、これまで行われてきた手法について説明する。
図15は汎用通信機器(レイヤ2スイッチ:L2スイッチSW)を適用し、パケット通信方式を採用した保護リレーシステムの構成例を示す図である。
図15に示すように、保護リレーシステムは、8つの保護リレー装置D101〜D108を有している。そして、L2スイッチSW1a〜SW4aはC系のL2スイッチSWを示し、L2スイッチSW1b〜SW4bはD系のL2スイッチSWをそれぞれ示している。つまり、図15の保護リレーシステムは、C系及びD系に二重化されている。
保護リレー装置D101〜D108のそれぞれは、C系のL2スイッチSWとD系のL2スイッチSWとに接続している。保護リレー装置D101〜D108は、C系及びD系の双方に同じ信号を送信するとともに、C系及びD系のL2スイッチSWから自身宛のデータを受信する。片方の通信ルートが異常になっても残りの通信ルートで保護演算が継続できるよう、ネットワークが冗長化されている。冗長化については後記する。
【0024】
このような構成では、L2スイッチSW等の通信機器がデータのバッファリングや優先制御のスイッチング機能等重要な機能を担っている。従って、このような構成ではL2スイッチSWなしで多端子の電流差動保護リレーシステムを構築することはできない。
【0025】
(HSR)
ここで、リングネットワークで用いられるHSRプロトコルについて図16を参照して説明する。
図16は、代表的なHSRプロトコルを用いた通信システムの構成を示す図である。
図16に示す通信システムにおいては、端末1201〜1204は通信機能を有している。さらに、通信システムは、例えば、光ファイバ等で構成されている通信路1211〜1214を有している。図16に示すように、は通信路1211〜1214は、リング状にネットワーク(リングネットワーク)を構成している。
【0026】
図16において、各端末はリングネットワークの反時計回り(左回り;A)と時計回り(右回り;B)に同一の信号を送信して通信を行う。そのため、常時リングネットワークの双方向の経路を利用するため、リングネットワーク内の一部に障害が発生しても、障害箇所を経由しないルートで信号を送受信することができる。例えば、通信路1212の経路に障害が発生した場合、端末1201から端末1202に渡す信号は、通信路1211→端末1204→通信路1214→端末1203→通信路1213→端末1202という経路で届けることができる。このように、HSRを用いたリングネットワークでは、ネットワーク内の一部に障害が発生しても障害復帰に時間をかけず(リカバリタイム0s)に通信を継続することができる。
【0027】
次に、図1以降を参照して、これまでL2スイッチSWを用いることで信号が多重化された部分を、本実施形態の手法で多重化する方法について説明する。
[第1実施形態]
(システム構成)
図1は、第1実施形態に係る保護リレーシステム(通信システム)Zのネットワーク構成例を示す図である。
図1に示すように、本実施形態ではL2スイッチSW(図15参照)を一切使用していない。
図1に示すように、多端子電流差動保護リレーシステム(以下、保護リレーシステムZと称する)は、変電所等の各電気所1a〜1dに設置される保護リレー装置(演算部;保護リレー部)D11〜D14,D21〜D24,D31〜D34を有している。なお、以降において、保護リレー装置D11〜D14,D21〜D24,D31〜D34を代表させるときは保護リレー装置Dと記載する。また、本実施形態では、保護リレー装置Dは、多端子電流差動保護リレー装置のことを指すものとする。
【0028】
各保護リレー装置Dは、それぞれ独立して電流差動演算方式で送電線保護を行うものである。
各電気所1a〜1dには、複数(図1の例では3台)の保護リレー装置Dが設置されている。
【0029】
各電気所1a〜1b間では、データ交換のための信号線として光ファイバF1〜F4が用いられている。なお、光ファイバF1〜F4を代表させるときは光ファイバFと称する。詳細は後記するが、本実施形態の保護リレーシステムZでは、複数の保護リレー装置Dの光信号を多重化して送受信が行われる。
【0030】
ここで、保護リレー装置D11〜D14はグループ1に属する保護リレー装置Dである。同様に、保護リレー装置D21〜D24はグループ2に属する保護リレー装置Dである。そして、保護リレー装置D31〜D34はグループ3に属する保護リレー装置Dである。
なお、各グループ内で保護リレー装置Dは、リングネットワークを形成する必要があるため、各グループは保護リレー装置Dを少なくとも3つ有している。ちなみに、図1の例では、各グループは保護リレー装置Dを4つ有している。
【0031】
詳細は後記するが、電気所1a〜1d内には送電線が複数走っていて、各グループの保護リレー装置Dはそれぞれの送電線を保護対象とする。
さらに、詳細は後記するが、各グループは保護区間が異なるものである。言い換えれば、同じグループに属する保護リレー装置Dは、同じ保護区間を保護する。
また、保護リレー装置D間は、光ファイバFにより、各グループでリングネットワークとなるように構成されている。なお、保護リレーシステムZにおいて、光信号はパケットの形式で送受信される。
【0032】
同じグループの隣り合う保護リレー装置Dに対して左回り(A系と称する;矢印A)と右回り(B系と称する;矢印B)に光信号が送信される。また、各保護リレー装置Dには、それぞれ独立して光モジュール(光信号送受信装置)M11A〜M14B,M21A〜M24B,M31A〜M34Bが備えられている。光モジュールM11A〜M14B,M21A〜M24B,M31A〜M34Bを代表させて光モジュールMと適宜称する。
【0033】
なお、これらの光モジュールMは保護リレー装置Dに対して挿抜可能(交換可能)である。ただし、光モジュールMが保護リレー装置Dに対して挿抜可能でなくてもよい。
【0034】
詳細は後記するが、保護リレー装置Dにはグループ毎に光信号の波長を予め異ならせた光モジュールMが実装される。すなわち、グループ1、グループ2及びグループ3の光信号は、それぞれ干渉しない、異なる波長が予め決定されている。
光モジュールMでは、変換される光信号の波長が予め決められている。従って、光モジュールMが挿抜可能な構成を有することにより、ユーザが波長の異なる光信号を送受信する光モジュールMを差し替えることで、容易にグループを変更することが可能である。
【0035】
すなわち、この動作はリング形ネットワークの左回り、右回りにデータを送信して通信の冗長性を図る方式である。例えば、前記したIEC 62439−3で規格化されているHSR(High Availability Seamless Redundancy)プロトコルが用いられる。
【0036】
光モジュールMは、光分波・合波器(光分波・合波装置)P1a〜P4bに接続している。光分波・合波器P1a〜P4bを代表させるときは光分波・合波器Pと適宜称する。
光分波・合波器Pの詳細については後記するが、光分波・合波器Pの送信部(光合波部)は予め定めた複数の波長の光信号を合波(合波光信号)して、1本の光ファイバFに集約して出力する。また、光分波・合波器Pの受信部(光分波部)は合波された光信号から、予め定めた各波長の光を抽出する。
このように、光分波・合波器Pは光合波機能と光分波機能とを併せ持つものである。
【0037】
つまり、図1において、各光分波・合波器Pは複数の保護リレー装置Dから出力される光信号を合波してリングネットワークを構成する光ファイバFに出力する。また、光分波・合波器Pは、リングネットワークの光ファイバFから受信した合波光信号から、予め定めた波長に光信号を分波して、保護リレー装置D側に光信号を出力する。
【0038】
図1における保護リレーシステムZの接続を詳細に説明すると以下のようになる。
(グループ1)
まず、グループ1の接続関係について説明する。
グループ1に属する保護リレー装置Dは、前記したように保護リレー装置D11〜D14である。そして、保護リレー装置D11は、光モジュールM11Aを備えるとともに、光モジュールM11Bを備えている。同様に、保護リレー装置D12は、光モジュールM12Aを備えるとともに、光モジュールM12Bを備えている。また、保護リレー装置D13は、光モジュールM13Aを備えるとともに、光モジュールM13Bを備えている。さらに、保護リレー装置D14は、光モジュールM14Aを備えるとともに、光モジュールM14Bを備えている。
【0039】
そして、光モジュールM11Aは光分波・合波器P1aに接続している。同様に、光モジュールM12Aは光分波・合波器P2aに接続している。さらに、光モジュールM13Aは光分波・合波器P3aに接続している。また、光モジュールM14Aは光分波・合波器P4aに接続している。
【0040】
そして、光モジュールM11Bは光分波・合波器P1bに接続している。同様に、光モジュールM12Bは光分波・合波器P2bに接続している。さらに、光モジュールM13Bは光分波・合波器P3bに接続している。また、光モジュールM14Bは光分波・合波器P4bに接続している。
【0041】
(グループ2)
次に、グループ2の接続関係について説明する。
グループ2に属する保護リレー装置Dは、前記したように保護リレー装置D21〜D24である。そして、保護リレー装置D21は、光モジュールM21Aを備えるとともに、光モジュールM21Bを備えている。同様に、保護リレー装置D22は、光モジュールM22Aを備えるとともに、光モジュールM22Bを備えている。また、保護リレー装置D23は、光モジュールM23Aを備えるとともに、光モジュールM23Bを備えている。さらに、保護リレー装置D24は、光モジュールM24Aを備えるとともに、光モジュールM24Bを備えている。
【0042】
そして、光モジュールM21Aは光分波・合波器P1aに接続している。同様に、光モジュールM22Aは光分波・合波器P2aに接続している。さらに、光モジュールM23Aは光分波・合波器P3aに接続している。また、光モジュールM24Aは光分波・合波器P4aに接続している。
【0043】
そして、光モジュールM21Bは光分波・合波器P1bに接続している。同様に、光モジュールM22Bは光分波・合波器P2bに接続している。さらに、光モジュールM23Bは光分波・合波器P3bに接続している。また、光モジュールM24Bは光分波・合波器P4bに接続している。
【0044】
(グループ3)
そして、グループ3の接続関係について説明する。
グループ3に属する保護リレー装置Dは、前記したように保護リレー装置D31〜D34である。そして、保護リレー装置D31は、光モジュールM31Aを備えるとともに、光モジュールM31Bを備えている。同様に、保護リレー装置D32は、光モジュールM32Aを備えるとともに、光モジュールM32Bを備えている。また、保護リレー装置D33は、光モジュールM33Aを備えるとともに、光モジュールM33Bを備えている。さらに、保護リレー装置D34は、光モジュールM34Aを備えるとともに、光モジュールM34Bを備えている。
【0045】
そして、光モジュールM31Aは光分波・合波器P1aに接続している。同様に、光モジュールM32Aは光分波・合波器P2aに接続している。さらに、光モジュールM33Aは光分波・合波器P3aに接続している。また、光モジュールM34Aは光分波・合波器P4aに接続している。
【0046】
そして、光モジュールM31Bは光分波・合波器P1bに接続している。同様に、光モジュールM32Bは光分波・合波器P2bに接続している。さらに、光モジュールM33Bは光分波・合波器P3bに接続している。また、光モジュールM34Bは光分波・合波器P4bに接続している。
【0047】
そして、光分波・合波器P1aは光ファイバF1によって光分波・合波器P4bに接続している。また、光分波・合波器P4aは光ファイバF2によって光分波・合波器P3bに接続している。そして、光分波・合波器P3aは光ファイバF3によって光分波・合波器P2bに接続している。さらに、光分波・合波器P2aは光ファイバF4によって光分波・合波器P1bに接続している。
【0048】
A系の光信号に対して、光分波・合波器P1a〜P4aは合波器として機能し、光分波・合波器P1b〜P4bは分波器として機能する。また、B系の光信号に対して、光分波・合波器P1b〜P4bは合波器と機能し、光分波・合波器P1a〜P4aは分波器として機能する。
【0049】
なお、光モジュールM11A〜M14A,M11B〜M14Bのすべては、同じ波長(例えば1470nm)の光信号を送信する。また、光モジュールM21A〜M24A,M21B〜M24Bのすべては、同じ波長(例えば1550nm)の光信号を送信する。さらに、光モジュールM31A〜M34A,M31B〜M34Bのすべては、同じ波長(例えば1630nm)の光信号を送信する。
また、光モジュールMとしてCWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing:疎波長分割多重)用の光モジュールMが使用されてもよいし、さらに波長の間隔が狭いDWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing:高密度波長分割多重)用の光モジュールMが用いられてもよい。
【0050】
(具体例)
図2は、図1に示した保護リレーシステムZの具体的な構成例を示す図である。
図2では、4端子平行2回線の送電線保護に適用する保護リレーシステムZ1の構成例を示す。
図2に示す保護リレーシステムZ1は、送電線L1,L2の保護を行うものである。
保護リレー装置D41〜D44は送電線L1を保護する保護リレー装置D(グループE)である。また、保護リレー装置D51〜D54は送電線L2を保護する保護リレー装置D(グループG)である。要するに、保護区間とは、それぞれの送電線L1,L2のことである。また、図2では、2グループの例を示している。
【0051】
保護リレーシステムZ1では、4つの変電所2a〜2dに保護リレー装置Dが設置されている。
なお、保護リレー装置D41,D51は変電所2aに設置されている。そして、保護リレー装置D42,D52は変電所2bに設置されている。また、保護リレー装置D43,D53は変電所2cに設置されている。さらに、保護リレー装置D44,D54は変電所2dに設置されている。
そして、各保護リレー装置Dは、送電線L1,L2の電流情報等を送り合うことで、送電線L1,L2を保護している(系統事故からの保護)。
【0052】
ここで、図1と同様、グループ毎に異なる波長の光信号が使用され、同一グループでは同じ波長の光信号が使用される。
【0053】
図1でも前記したように、グループE及びグループGで使用する光信号は、予め波長が異なるようにされている。これによって、それぞれの光信号を合波しても周波数領域が離れているため干渉することはない。
【0054】
(グループE)
まず、グループEの接続関係について説明する。
グループEに属する保護リレー装置Dは、前記したように保護リレー装置D41〜D44である。そして、保護リレー装置D41は、光モジュールM41Aを備えるとともに、光モジュールM41Bを備えている。同様に、保護リレー装置D42は、光モジュールM42Aを備えるとともに、光モジュールM42Bを備えている。また、保護リレー装置D43は、光モジュールM43Aを備えるとともに、光モジュールM43Bを備えている。さらに、保護リレー装置D44は、光モジュールM44Aを備えるとともに、光モジュールM44Bを備えている。
【0055】
そして、光モジュールM41Aは光分波・合波器P5aに接続している。同様に、光モジュールM42Aは光分波・合波器P6aに接続している。さらに、光モジュールM43Aは光分波・合波器P7aに接続している。また、光モジュールM44Aは光分波・合波器P8aに接続している。
【0056】
そして、光モジュールM41Bは光分波・合波器P5bに接続している。同様に、光モジュールM42Bは光分波・合波器P6bに接続している。さらに、光モジュールM43Bは光分波・合波器P7bに接続している。また、光モジュールM44Bは光分波・合波器P8bに接続している。
【0057】
(グループG)
次に、グループGの接続関係について説明する。
グループGに属する保護リレー装置Dは、前記したように保護リレー装置D51〜D54である。そして、保護リレー装置D51は、光モジュールM51Aを備えるとともに、光モジュールM51Bを備えている。同様に、保護リレー装置D52は、光モジュールM52Aを備えるとともに、光モジュールM52Bを備えている。また、保護リレー装置D53は、光モジュールM53Aを備えるとともに、光モジュールM53Bを備えている。さらに、保護リレー装置D54は、光モジュールM54Aを備えるとともに、光モジュールM54Bを備えている。
【0058】
そして、光モジュールM51Aは光分波・合波器P5aに接続している。同様に、光モジュールM52Aは光分波・合波器P6aに接続している。さらに、光モジュールM53Aは光分波・合波器P7aに接続している。また、光モジュールM54Aは光分波・合波器P8aに接続している。
【0059】
そして、光モジュールM51Bは光分波・合波器P5bに接続している。同様に、光モジュールM52Bは光分波・合波器P6bに接続している。さらに、光モジュールM53Bは光分波・合波器P7bに接続している。また、光モジュールM54Bは光分波・合波器P8bに接続している。
【0060】
そして、光分波・合波器P5aは光ファイバF5によって光分波・合波器P8bに接続している。また、光分波・合波器P8aは光ファイバF8によって光分波・合波器P7bに接続している。そして、光分波・合波器P7aは光ファイバF7によって光分波・合波器P6bに接続している。さらに、光分波・合波器P6aは光ファイバF6によって光分波・合波器P5bに接続している。
【0061】
そして、光モジュールM41A〜M44A,M41B〜M44Bのすべては、同じ波長(例えば1470nm)の光信号を送信する。光モジュールM51A〜M54A,M51B〜M54Bのすべては、光モジュールM41A〜M44A,M41B〜M44Bとは異なる波長だが、同じ波長(例えば1550nm)の光信号を送信する。
【0062】
このようにすることで、リング形のネットワークが形成される。各光ファイバには、グループEとグループGの各保護リレー装置Dの情報が多重化されて送受信される。
このように構成することで、1本の光ファイバで送電線L1,L2における保護用電流情報や、サンプリング同期制御用の情報が多重化送信される。サンプリング同期については後記する。
【0063】
図2に示す例では、グループEとグループGの2グループにグループ化されている例であるが、さらに複数のグループにグループ化し、多重化することができるのはいうまでもない。
また、前記したHSRプロトコルによって通信の冗長化ができる。これにより、保護リレーシステムZ全体の信頼度が向上し、稼働率が高まる。
【0064】
(光分波・合波器P)
図3Aは光分波・合波器Pの構成例を示す図である。
図3Aに示すように、光分波・合波器Pには入力用光ファイバFi、複数の出力用光ファイバFoが接続される。
そして、光分波・合波器Pは、入力導波路201、入力用スラブ導波路202、アレイ導波路203、出力用スラブ導波路204、複数の出力導波路205を有している。
【0065】
ここで、光分波の機能を説明する。なお、光分波・合波器Pは可逆性を有しているため、入出力の関係を逆にすることで光合波の機能も得ることができる。
光分波・合波器Pは、入力用光ファイバFiを介して波長多重化された光信号を取り込む。取り込まれた光信号は、入力導波路201及び入力用スラブ導波路202を通過し、アレイ導波路203へと進む。このとき、入力用スラブ導波路202において、波長多重化された光信号は分波される。
【0066】
ここで、入力用スラブ導波路202には、図3Bに示すように曲率を有する構造211が備えられている。入力導波路201から入力用スラブ導波路202に入力された光(図3Bの白抜き矢印)は、入力用スラブ導波路202において、曲率に応じた波長の光(図3Bの実線矢印)に散乱することで、分波される。
分波された各波長の光は、長さの異なる複数の光導波路からなるアレイ導波路203において複数の導波路に導入される。そして、各波長の光は、アレイ導波路203、出力用スラブ導波路204、複数の出力導波路205を介して、出力用光ファイバFoから出力される。
出力用光ファイバFoから導入された光は、分波と逆の手順によって合波され、入力用光ファイバFiから出力される。
図3Aの例では、グループ1からグループ8の8つの波長の多重光信号が分波されている例を示す。
このように、本実施形態で用いられる光分波・合波器Pは、多光束の干渉を利用するアレイ導波路回折格子(AWG:Arrayed Waveguide Grating)型の光分波・合波器Pである。
【0067】
光分波・合波器Pは、電源電力を必要としない、いわゆる光パッシブ回路で構成されており、光学的に動作する。図3Aに示す光分波・合波器Pは、L2スイッチSW(図15)の課題にあるような光信号の滞留時間がない。そのため、光信号処理の遅延時間や、遅延時間変動が一切発生しない。このことは、送電線の情報を取得・送信する際に生じるサンプリング同期誤差が保護リレー装置D以外では発生しないことを意味している。つまり、サンプリング同期誤差は保護リレー装置D側のみを監視すればよい。従って、これまでの54kbpsや1.5Mbpsの保護リレー専用の通信網で実施されていたように、保護リレー装置D側で保護リレーシステムZの重要なファクターとなる監視項目を厳格に管理することができる。
【0068】
(光信号多重化)
図4Aは、各保護リレーのグループ毎の光信号を波長軸で表現した説明図である。
図4Aにおいて、符号31〜38は8種類の波長とした光信号のスペクトル例であり、各光信号間の波長間隔は符号301〜307で示されている。
ここでは、CWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing:疎波長分割多重)が用いられているものとする。つまり、ここでは8グループにグループ化されているものとする。
例えば、各グループにおける波長λが1470nm(符号31)、1490nm(符号32)、1510nm(符号33)、1530nm(符号34)、1550nm(符号35)、1570nm(符号36)、1590nm(符号37)、1610nm(符号38)であるとする。つまり、各波長間隔が20nmとして規定されているものとする。
【0069】
図4Bは光ファイバFの光損失例を示す図である。
図4Bにおいて、横軸は周波数を示し、縦軸は光ファイバFの損失を示す。また、符号311は周波数特性の補正(光損失補正)がない場合の光損失特性を示している。また、符号312は周波数特性の補正処理を行い、光損失をほぼフラットにした場合の光損失特性を示している。図4Bにおける符号は図4Aにおける符号と同様のものを指している。
【0070】
本実施形態の保護リレーシステムZでは、重要な通信インフラである光ファイバFが既に敷設されているケースが多い。つまり、光損失補正がなされていない光ファイバFを使用しなけらばならない場合がある。そのため、光損失補正されていない光ファイバFがあったとしても問題なく通信ができるように、補正処理がない311の光ファイバFの光損失が少ない領域で使うようにする。具体的には、図4Aの最も波長が長い(周波数が最も低い)符号38の光信号であっても、光損失が少ない波長領域が使用される。
【0071】
(光信号伝送)
次に、図5A図5Cを参照して、波長多重通信による光信号伝送について具体的に説明する。
図5Aは、本実施形態に係る保護リレーシステムZの模式図を示す図である。
図5Aの保護リレー装置Da1,Db1,・・・,Dh1のそれぞれは所属するグループが異なる保護リレー装置Dの送信端を示している。また、保護リレー装置Da2,Db2,・・・,Dh2のそれぞれは同様に所属するグループが異なる保護リレー装置Dの受信端を示す。
ここで、保護リレー装置Da1と保護リレー装置Da2とが同じグループに属している。また、保護リレー装置Db1と保護リレー装置Db2とが同じグループに属している。そして、保護リレー装置Dh1と保護リレー装置Dh2とが同じグループに属している。
【0072】
光合波部41は光分波・合波器Pの光合波機能の部分を示すものでり、光分波部42は光分波・合波器Pの光分波機能の部分を示すものである。
保護リレー装置Da1,Db1,・・・,Dh1のそれぞれは光ファイバFによって光合波部41に接続している。保護リレー装置Da2,Db2,・・・,Dh2のそれぞれは光ファイバFによって光分波部42に接続している。光合波部41と光分波部42とは光ファイバF401によって接続している。
【0073】
図5Bは保護リレーシステムZの模式図と光信号の波長領域とを示す図であり、図5Cは光ファイバF401における光信号の波長領域を示す図である。図5B及び図5Cにおいて、図5Aと同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。また、適宜図5Aを参照する。
図5Bにおいて、光信号51aは保護リレー装置Da1(図5A参照)から出力される光信号を波長領域で示したものである。また、光信号52aは保護リレー装置Db1(図5A参照)から出力される光信号である。そして、光信号58aは保護リレー装置Dh1(図5A参照)から出力される光信号である。なお、光信号51aは、図4Aにおける波長31の光信号である。また、光信号52aは、図4Aにおける波長32の光信号である。そして、光信号58aは、図4Aにおける波長38の光信号である。
【0074】
また、図5Bにおいて、光信号51bは保護リレー装置Da2(図5A参照)に入力される光信号を波長領域で示したものである。また、光信号52bは保護リレー装置Db2(図5A参照)に入力される光信号である。そして、光信号58bは保護リレー装置Dh2(図5A参照)に入力される光信号である。
【0075】
ここで、光信号51aと光信号51bとは同じ光信号となる。また、光信号52aと光信号52bとは同じ光信号となる。そして、光信号58aと光信号58bとは同じ光信号となる。
すなわち、光信号51bは、図4Aにおける波長31の光信号である。また、光信号52bは、図4Aにおける波長32の光信号である。そして、光信号58bは、図4Aにおける波長38の光信号である。
図5Bに示すように、グループ毎に光信号の波長(周波数)が異なっている。
グループ毎に光信号の波長(周波数)が異なっているため、光合波部41で合成された光信号は図5Cに示すような、例えば8つの波長スペクトルを有する光信号となる。
【0076】
図5Cにおいて、波長31は、図4Aにおける波長31と同じ波長であり、図5Bの光信号51a,51bの波長である。また、波長32は、図4Aにおける波長32と同じ波長であり、図5Bの光信号52a,52bの波長である。そして、波長38は、図4Aにおける波長38と同じ波長であり、図5Bの光信号58a,58bの波長である。
そのため、各光信号51a,52a,・・・,58aが光ファイバF401の1本に集束されても元の信号成分は保存され、光信号が混触することはない。
光ファイバF401は、光ファイバF401の損失分だけ損失した光信号を光分波部42へ送る。
光分波部42は、合波された光信号を各波長に分波して各保護リレー装置Dへ出力する。
【0077】
(保護リレー装置D)
次に、図6及び図7を用いて本実施形態で用いられる保護リレー装置Dの構成について内部のブロック構成を説明する。
図6は、本実施形態で用いられる保護リレー装置Dの機能ブロック図である。
図6に示すように、保護リレー装置Dは、入力変換器61a、61b、アナログフィルタ(AF:Analog Fiter)62a,62b、A/D(A/D:Analog/Digital)63を有する。さらに、保護リレー装置Dは、バッファメモリ(BM:Buffer Memory)64、CPU(Central Processing Unit)65、ROM(Read Only Memory)66を有する。そして、保護リレー装置Dは不揮発性メモリ(EEPROM:Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)67、通信制御部68を有する。
入力変換器61a、61bは保護対象の系統(送電線)からの電圧・電流信号等を取り込み、電圧変換する。
アナログフィルタ62a、62bは系統信号に含まれる高調波信号を除去する。
A/D変換回路63はアナログフィルタの出力信号を多重化してA/D変換する。
バッファメモリ64は、該A/D変換回路63が変換したディジタルデータを格納する。
なお、入力変換器61a、61b、アナログフィルタ(AF)62a、62b、A/D変換回路63、バッファメモリ64(破線で囲まれた部分)が、送電線の保護に関する情報の送受信に関わる部分である。
【0078】
CPU65は、保護リレー演算や、データ転送処理等をを行う。
ROM66には、CPU65によって実行されるプログラムが格納されている。
不揮発性メモリ(EEPROM)67は整定値や、設定値を格納する。
通信制御部68は電流差動演算に必要なサンプル値データフレームや、サンプリング同期制御に必要な同期信号を受信したり、転送したりする。通信制御部68は、CPUバス602を介してCPU65と送受信データの受け渡しを行う。さらに、通信制御部68は、光モジュールM(電気/光変換モジュール(E/O)722、光/電気変換モジュール(O/E)721)に対して送受信データの受け渡しを行う。
通信制御部68の詳細については後記する。
【0079】
また、CPUは信号線601a,601bを介して光モジュールMの設定情報や状態情報を取得する。
光モジュールMは、電気/光変換モジュール(E/O)722及び光/電気変換モジュール(O/E)721を有している。電気/光変換モジュール722は、電気信号を光信号へ変換する。また、光/電気変換モジュール721は、光信号を電気信号へ変換する。
この電気/光変換モジュール722及び光/電気変換モジュール721は、物理インタフェース処理機能(PHY;Physical Layer)を内蔵している。さらに、光モジュールMは、保護リレー装置Dへの実装の着脱が容易なSFP(Small Factor Pluggable)モジュール等を適用することが望ましい。つまり、前記したように光モジュールMは、保護リレー装置Dに対して挿抜可能であることが望ましい。
【0080】
また、CPU65で実行される保護リレー演算のプログラムは、実装される光モジュールMの波長に関わらず同じ処理を実行する。すなわち、光モジュールMの波長を変えても、保護リレー装置Dの動作は変わらないため、ユーザが波長の変更等を行っても、保護リレー装置Dの設定等を変える必要がない。
【0081】
(通信制御部68)
図7は、本実施形態で用いられる通信制御部68の機能ブロック図である。
図7に示すように、通信制御部68は、CPU IF(Interface)部71、(冗長化判定識別子72)、識別子変換部73、送信制御部74、受信制御部75を有している。また、通信制御部68は、マルチプレクサ部76a,76b、受信部77a,77b、送信部78a,78bを有している。
【0082】
冗長化判定識別子72はネットワーク構築時に定める識別子であり、光信号として受信したパケットが、自身宛のパケットか、転送すべきパケットか等を識別するためのものである。
識別子変換部73は冗長化判定識別子72をネットワークプロトコル上での識別子に変換する。これにより、冗長化判定識別子72は数字、文字列といった種類の情報を設定できる。識別子変換部73は、冗長化判定識別子72を、図8で後記するHSRタグ804のパス識別子82、プロトコルアドレスのユニキャストアドレス、マルチキャストアドレス等に相当する識別子に変換する。なお、ユニキャストアドレス、マルチキャストアドレスは、図8で後記する宛先アドレス802に相当するものである。
【0083】
送信制御部74はCPU IF部71から通知されたデータ、あるいは、パケットを加工し、送信部78a,78bのいずれか、または、両方へ送信する。
送信制御部74が行う加工処理は、データからフレームを生成する処理や、データ、またはパケットの複製や、所定のタグを追加することや、検定符号CRC等の異常診断の計算と付加等である。また、送信制御部74は、IEC62439−3で定義されるHSRタグ804(図8参照)を付加する。
【0084】
受信制御部75は、受信部77a,77bから受信したデータを加工し、加工したデータを所定の規則に従って、CPU IF部71、または、送信部78a、78bへ転送する。
受信制御部75が行う加工処理は、パケットに付加されたタグの除去や、データの抽出等である。受信制御部75は、光信号として受信したパケットを転送する際に、パケットに付与された宛先アドレス802、送信元アドレス803、シーケンス番号84(図8参照)等に基づいて転送を行う。
アドレス体系としては、IEEE802.3のMAC(Media Access Control)アドレス等が用いられる。
【0085】
例えば、IEC62439−3のHSRでは、受信部77aから受信したパケットの宛先アドレス802や、HSRタグ804等を用いて転送の要・不要等の判別が行われる。この場合、最初の受信(つまり、左回り、右回りのうち、早く受信したもの)であれば、受信制御部75は送信部78bへパケットを転送する。また、2回目以降(つまり、左回り、右回りのうち、遅く受信したもの)のパケットであれば、当該パケットは破棄される。パケットの宛先アドレス802がマルチキャストまたは自身宛ではない場合、送信部78a,78bだけでなく、パケットはCPU IF部71へ転送される。
【0086】
受信制御部75は、処理したパケットの情報を一定期間記憶するために、情報記憶部(不図示)を有している。受信制御部75は、この情報記憶部に処理したパケットの情報(例えば送信元アドレス803、シーケンス番号84等)を記憶する。
【0087】
マルチプレクサ部76a,76bは複数入力から1つのデータ出力を生成し、出力する。マルチプレクサ部76a,76bは、入力された複数のデータから1つのデータを選択して出力してもよいし、入力された複数のデータを結合、あるいは多重化して出力してもよい。
【0088】
送信部78a,78bは光モジュールM(電気/光モジュール722)と接続して、パケットを光信号としてネットワークに送信する。送信部78a,78bはMAC処理機能を有する。
受信部77a,77bは光モジュールM(光/電気モジュール721)と接続して、光信号としてパケットを受信する。受信部77a,77bはMAC処理機能を有する。
内部バス701は、送信制御部74とCPU IF部71とを接続し、CPUバス602からデータを受信する。
また、内部バス702は、受信制御部75とCPU IF部71とを接続し、CPUバス602へデータを転送する。
【0089】
(通信フレーム800)
図8は、本実施形態で用いられるHSRプロトコルに従った通信フレーム800を示す図である。保護リレー装置Dは、このような通信フレーム800に従ってパケットを生成し、そのパケットを光信号として送信する。
HSRプロトコルに従った通信フレーム800は、先頭を示すプリアンブル(preamble)801を含む。さらに、通信フレーム800は、パケット(光信号)の宛先を示す宛先アドレス(destination)802を含む。そして、通信フレーム800は、パケットの送信元を示す送信元アドレス(source)803を含む。
また、HSRタグ804は、イーサタイプ識別子(HSR ET)81、パス識別子(pathID)82、データサイズ(LSDU size)83、シーケンス番号(SeqNr)84を有している。
イーサタイプ識別子81はHSRのイーサタイプを示す情報である。
パス識別子82は、パケットが、例えば右回りか、左回りかを示す情報である。
データサイズ83は、本通信フレーム800に格納されているデータ本体のサイズを示す情報である。
シーケンス番号84は、保護リレー装置Dの製品番号を示す情報である。
【0090】
また、通信フレーム800は、カプセル化したイーサタイプを示すLT805、送信するデータ本体であるペイロード(payload)806、パケットのエラーチェックを行うチェックサム(FCS)807を有している。
この通信フレーム800は、データの送信元である通信制御部68によって生成される。
【0091】
(転送処理)
図9は、光信号を受信した際における通信制御部68の転送処理手順を示すフローチャートである。適宜、図6図7を参照する。
まず、受信部77a,77bは光信号としてパケットを受信したか否かを判定する(S101)ことで、パケットの受信を待機する。
ステップS101の結果、パケットを受信していない場合(S101→No)、受信部77a,77bはステップS101へ処理を戻す。
【0092】
ステップS101の結果、パケットを受信した場合(S101→Yes)、受信部77a,77bは受信したパケットを受信制御部75へ転送する(S102)。
そして、受信制御部75は、受信したパケットの識別子を確認する(S103)。具体的には、受信制御部75は、通信制御部68に格納されている冗長化判定識別子72と、パケットのHSRタグ804、宛先アドレス802(図8参照)等とを比較する。
【0093】
次に、受信制御部75は、最初に受信したパケットであるか否かを判定する(S111)。最初に受信したパケットとは、左回りのパケット、右回りのパケットのうち、早く処理対象となっている保護リレー装置Dに到達したパケットである。
ステップS111の結果、最初に受信したパケットではない場合(S111→No)、受信制御部75は、当該パケットを破棄する(S131)。
【0094】
ステップS111の結果、最初に受信したパケットである場合(S111→Yes)、受信制御部75は、自身宛のパケットか否かを判定する(S112)。
ステップS112の結果、自身宛のパケットではない場合(S112→No)、受信制御部75はステップS121へ処理を進める。
【0095】
ステップS112の結果、自身宛のパケットである場合(S112→Yes)、受信制御部75は、バス702、CPU IF部71を介してCPU65に送る(S113)。
次に、CPU65は、受信したパケットが転送すべきパケットであるか否かを判定する(S121)。転送すべきパケットとは、ユニキャストで宛先が自身宛でないもの、宛先がマルチキャストアドレスとなっているパケットである。
ステップS121の結果、パケットが転送すべきパケットではない場合(S121→No)、CPU65は、当該パケットを破棄する(S131)。なお、ユニキャストで自身宛のパケットは、ステップS113でCPU65に送っているため、ステップS131では破棄されない。
【0096】
ステップS121の結果、パケットが転送すべきパケットである場合(S121→Yes)、CPU65は、CPU IF部71、バス701を介して送信制御部74へパケットを送る。
そして、送信制御部74は、パケットを受信した通信ポート以外の通信ポートの送信部78a,78bからパケットを転送する(S122)。
【0097】
ここで、図1を参照して、ステップS122の処理を説明する。例えば、グループ1に属する保護リレー装置D11が光モジュールM11A(通信ポートXとする)を介して、保護リレー装置D14からパケットを受信したとする。つまり、このパケットはB系(右回り)である。この場合、保護リレー装置D11は、光モジュールM11B(通信ポートYとする)、つまり、パケットを受信した通信ポートX以外の通信ポートYから保護リレー装置D12へ向けてパケットを転送する。
【0098】
また、保護リレー装置D11が、光モジュールM11B(通信ポートY)を介して、保護リレー装置D12からパケットを受信したとする。つまり、このパケットはA系(左回り)である。この場合、保護リレー装置D11は、パケットを光モジュールM11A(通信ポートA)、つまり、受信した通信ポートY以外の通信ポートXから保護リレー装置D14に向けてパケットを転送する。
【0099】
なお、図9のステップS111で最初に受信したパケットか否かを判定するため、受信制御部75は、処理したパケットの情報を記憶する。ここで、記憶される情報は、例えば、送信元アドレス803や、シーケンス番号84(図8参照)等である。
なお、HSRでは不揮発性メモリ67において、予め設定した一定期間後(消去時間)に記憶されている情報は消去される。そのため、同じHSRタグ804(図8参照)を有するパケットであっても、通信制御部68に備えられているバッファメモリなどの記憶部(不図示)に同じHSRタグ804が保持されていなければ、ステップS111において、受信制御部75は最初のパケットであると判定する。
【0100】
また、ステップS111,S131において、2度目に受信したパケットは破棄されるため、ネットワーク上にパケットが残り続けることがない。
このように、保護リレー装置Dが図9に示した手順を行うことで、各保護リレー装置D間で冗長化通信を行うことができる。また、後記するサンプリング同期において、時刻マスタを冗長化し、サンプリング同期を高信頼化することもできる。
【0101】
(サンプリング同期処理)
図10は、本実施形態で行われるサンプリング同期処理の手順を示す図である。
このようなサンプリング同期処理は、取得した送電線の情報を送信した際、その情報がどの時刻で取得された情報であるかを保護リレー装置D間で同期させるために行われる処理である。
なお、図10に示すサンプリング同期は、ネットワークを介してサンプリング同期を行う一例であるIEEE1588に従った動作である。この処理は、例えば、一定周期で行われる。また、図10に示すサンプリング同期処理は、A系(左回り)、B系(右回り)それぞれにおいて実行される。
サンプリング同期における主局DM、第1従局DS1、第2従局DS2、・・・は、各グループを構成する保護リレー装置Dからそれぞれ選択される。なお、第1従局DS1、第2従局DS2、・・・を代表させる場合、従局DSと記載する。つまり、グループを構成する保護リレー装置Dのうち、1つが主局DMとして選択され、その他は従局DSとして選択される。主局DM、従局DSの選択は管理者等が行えばよい。
例えば、図1を参照すると、グループ1を構成する保護リレー装置D11〜D14のうち、保護リレー装置D11が主局DMとして選択される。そして、その他の保護リレー装置D12〜D14が従局DSとして選択される。同様に、グループ2(保護リレー装置D21〜D24)、グループ3(保護リレー装置D31〜D34)の各グループの中で主局DMが1つ選択され、他は従局DSとして選択される。
【0102】
すなわち、グループ毎に主局DMが存在するため、図1の例では、全体で主局DMが3つ、従局DSが9つ存在する。また、グループ間において、パケット(光信号)の送受信は独立で行われるため、サンプリング同期処理も各グループで独立に行われればよい。言い換えれば、グループ間のサンプリング同期は不要である。
なお、図10の例では、主局DM、第1従局DS1、第2従局DS2、・・・は、リングネットワークを形成している。
また、図が煩雑になるのを防ぐため、第1従局DS1を中心とした処理のみステップ番号を付し、その他の処理のステップ番号を省略している。ステップ番号が付されていない処理も、ステップ番号が付されている処理と同様の処理が行われる。
【0103】
図10において、各保護リレー装置D(主局DM、第1従局DS1、第2従局DS2、・・・)は、所定の方向の隣り合う保護リレー装置Dに対して、遅延情報を要求するためのリクエストを送信する(S201)。図10の例では、第1従局DS1が主局DMへリクエストを送信し、第2従局DS2が第1従局DS1へリクエストを送信している。なお、主局DMは、自身に接続している従局DSのうち、第1従局DS1ではない従局DSへリクエストを送信している。この時刻をt1とする。各保護リレー装置D(主局DM、第1従局DS1、第2従局DS2、・・・)が、このリクエストを受信した時刻をt2とする。
リクエストを受信した保護リレー装置D(主局DM、第1従局DS1、第2従局DS2、・・・)は、リクエストの送信元へ向けて応答を送信する(S202)。各保護リレー装置D(主局DM、第1従局DS1、第2従局DS2、・・・)が応答を送信した時刻をt3とする。なお、ステップS202で送信される応答には時刻t2に関する情報が格納されている。
【0104】
さらに、各保護リレー装置D(主局DM、第1従局DS1、第2従局DS2、・・・)は、時刻t3に関する情報が含まれているフォロー情報を、リクエストの送信元へ送信する(S203)。
【0105】
フォロー情報を受信した各従局DS(第1従局DS1、第2従局DS2、・・・)は経路遅延時間を算出する(S204)。
経路遅延時間λは以下の式(1)によって算出される。
【0106】
λ={(t2−t1)+(t4−t3)}/2・・・(1)
【0107】
なお、主局DM−第1従局DS1間の経路遅延時間をλ1とし、第1従局DS1−第2従局DS2間の経路遅延時間をλ2とする。
次に、主局DMが同期信号をパケットとして第1従局DS1へ送信する(S211)。
一方、同期信号を受信した第1従局DS1は、その受信タイミングで先に求めた経路遅延λ1分だけタイミングを調整する(オフセット処理;S221)。例えば、第1従局DS1が16クロックで動作しているとすると、同期信号の受信タイミングのみ14クロックとする。このようにして、第1従局DS1は、自身の時刻を主局DMに合わせる。
【0108】
次に、第1従局DS1は同期信号を第2従局DS2へ転送する(S212)。第2従局DS2へ送信される同期信号には、第1従局DS1での経路遅延時間λ1と、第1従局DS1での滞留時間ρ1とが加算された値(λ1+ρ1)が含まれている。
【0109】
その後、第2従局DS2は、隣の従局DSへ同期信号を転送する(S213)。この同期信号には、第1従局DS1での経路遅延時間λ1+第1従局DS1での滞留時間ρ1+経路遅延λ2+第2従局DS2での滞留時間ρ2の値が格納されている。
一方、同期信号を受信した第2従局DS2は、オフセット処理を行う(S222)。ここで、第2従局DS2は、第1従局DS1での経路遅延時間λ1+第1従局DS1での滞留時間ρ1+経路遅延λ2分だけタイミングを調整する。
このようにして、主局DMに対してサンプリング同期が行われる。
【0110】
図11は、図1の構成において、各グループにおけるサンプリング同期のタイミング例を示すものである。
この例では、グループ1(Gr1)の主局DMが保護リレー装置D11、グループ2(Gr2)の主局DMが保護リレー装置D21、及びグループ3(Gr3)の主局DMが保護リレー装置D31であるケースを示している。これらの主局DMが各グループのマスタクロックになる。
【0111】
従局DSとなる各保護リレー装置Dは、図10に示す処理を行うことで、自身が属するグループの主局DMに従属してサンプリング同期する。
なお、前記したように、各グループ間では保護区間が異なるため、独立した保護動作を行っている。そのため、前記したように、各グループ間ではサンプリング同期を行う必要はない。従って、図11に示すように各グループ間は非同期の関係となっている。
【0112】
第1実施形態によれば、リングネットワークを用いることで冗長経路を用いた障害復帰時間を0とすることができる。加えて、第1実施形態によれば、複数のHSRプロトコルによるリングネットワークに複数の保護リレー装置Dが集約されている。これにより、省配線、かつ、ネットワークの途中にL2スイッチSW(図15参照)等の通信装置を必要としない高信頼な保護リレーシステムZを低コストで構築することができる。
【0113】
また、一般にL2スイッチSWは電源投入後、保護リレー装置Dと比較すると非常に長いイニシャル時間を必要とする。そのため、通信を含んだ保護リレーシステムZとしての動作開始が遅くなってしまう。しかしながら、本実施形態ではL2スイッチSWの代わりに、光パッシブ回路である光分波・合波器Pが用いられている。そのため、イニシャル時間がなくなり、高速にシステムを立ち上げて運用開始することができる。
さらに、L2スイッチSWを使用しないことは、L2スイッチSWを駆動するための電源供給が必要なくなるため、消費電力を減少させることができる。
【0114】
L2スイッチSW(図15参照)のような複雑な機器を使用しないため、保護リレーシステムZ全体の故障率が下がる。これにより、保護リレーシステムZの信頼度を向上できるとともに、保護リレーシステムZの稼働率を高めることができる。
保護リレー装置D間を、光パッシブ回路で構成された光分波・合波器Pで接続するため、アクティブ回路部分がなくなる。これにより、本実施形態の保護リレーシステムZは、電力消費量を削減することができる。
【0115】
さらに、本実施形態の保護リレーシステムZは、L2スイッチSWで発生する遅延時間及び遅延時間変動の影響を受けることがない。そのため、本実施形態の保護リレーシステムZはサンプリング同期誤差を極小化することができる。
そして、本実施形態の保護リレーシステムZでは、L2スイッチSWを使用せずとも多重化できる。そのため、システム全体の導入コストが削減できる。
また、本実施形態の保護リレーシステムZでは、リングネットワーク形を用いて冗長化している。そのため、一般的な並列冗長構成よりも光ファイバFの使用量が1/2に削減可能である
【0116】
また、本実施形態の保護リレーシステムZは、L2スイッチSWの頻繁なソフトバージョンアップに対応する必要がなくなるため、運用管理コストを削減することができる。
さらに、本実施形態の保護リレーシステムZは、L2スイッチSWを用いていないため、L2スイッチSWの改廃サイクルに縛られることがない。そのため、保護リレー装置Dの改廃サイクルのみとなり、保守面で有利となる。
そして、本実施形態の保護リレーシステムZは、L2スイッチSWの更新によるシステム全体の確認作業がなくなる。そのため保護リレー装置Dのメンテナンスのみをすればよく、管理を省力化することができるできる。
【0117】
また、L2スイッチSWでのデータ滞留時間がなくなるため、リアルタイム性を向上させることができる。
また、AWG型の光分波・合波器Pは、L2スイッチSWと比べて、故障が少ないため、保護リレーシステムZの信頼性を向上させることができる。
【0118】
[第2実施形態]
第1実施形態の保護リレーシステムZは、複数の保護リレー装置Dを同一のネットワークに集約して、それぞれが送受信する光信号が干渉しないようにするため、グループ毎に異なる波長の光信号を使用している。そして、前記したように、光信号の波長は光モジュールMによって決定される。さらに、前記したように、一般的に、光モジュールMは、保護リレー装置Dに対して挿抜可能な構成となっている。つまり、所望の波長の光信号を発する光モジュールMが、保護リレー装置Dに対して装着される。
【0119】
従って、予め定めた波長の光モジュールMが正しく保護リレー装置Dに実装されないと、保護リレーシステムZが運用できなくなることが想定される。さらに、また、不良部位の特定も困難になることが想定される。
こうした事象を未然に防止するため、第2実施形態では、複数の波長の光モジュールMを適用する際に、誤った波長の光モジュールMを実装したままで運用することを防止することを目的とする。
なお、第2実施形態における保護リレーシステムZの構成や、保護リレー処理は第1実施形態と同様である。
【0120】
(管理情報)
図12は、光モジュールM内に格納される管理情報1000の例を示す図である。
図12に示す管理情報1000は、光モジュールMに実装されているレジスタ(不図示)に格納されている。
ここで、情報1011は、光モジュールMのシリアルID(Serial ID)の情報が格納されている。また、情報1012には、光モジュールMのメーカ等に関する情報(Vendor Specific)等が格納されている。また、情報1013は予備領域(Reserve)である。
【0121】
ここで、光波長情報1001が情報1011に格納されている。
この光波長情報1001は、光モジュールMが発行するレーザダイオードの出力波長を示すものである。図6を参照すると、CPU65が信号線601a,601bを介して光モジュールMから光波長情報1001を読み出す。なお、このような光波長情報1001は、光モジュールMの製造時にメーカによって格納される情報である。
【0122】
例えば、出力波長が1470nmの場合、光波長情報1001は16ビットの整数表示で「1470」の数値として格納されている。従って、CPU65は実装されている光モジュールMの光信号の波長を容易に確認することができる。
【0123】
(光モジュール実装確認処理)
図13は、第2実施形態で行われる光モジュールM確認処理の手順を示すフローチャートである。適宜、図6を参照する。
図13に示す処理は、図12に示した光モジュールMの光波長情報1001を読み出すことで誤った波長の光モジュールMの誤実装を防止するための処理である。
本処理は保護リレー装置Dの電源投入時、または、リセットスタート時に一度実行される。
まず、CPU65はCPU65の周辺デバイスの初期設定を行うイニシャル処理を実行する(S301)。
次に、CPU65は、不揮発性メモリ62から自身が属するグループの設定情報(波長設定情報)を読み出す(S302)。設定情報は、自身が属するグループの情報(グループで使用する光信号の波長等)が格納され、管理者によって予め不揮発性メモリ62格納される。
【0124】
CPU65は、信号線601a,601bを介して、2つの光モジュールMのレジスタからそれぞれの光波長情報1001を読み出す(S303)。
次に、CPU65は、ステップS302で読み出された設定情報と、ステップS303で読み出された光波長情報1001が一致しているか否かを判定する(S304)。
ステップS304の結果、一致している場合(S304→Yes)、CPU65は、保護リレーシステムZの運用を開始(サービスを開始)する(S305)。
ステップS304の結果、一致していない場合(S304→No)、CPU65は、構成が異常であることの警報を外部に発報する(S306)。さらに、CPU65は、保護リレーシステムZの保護演算を停止し、保護リレーシステムZをシステムロックする。
【0125】
なお、外部(例えば、ユーザに対して表示するHMI(Human Machine Interface)に対し、光波長情報等を表示し、誤実装した光モジュールMのローカライズを行うように指示することもできる。
【0126】
図13に示す処理は、前記したように、保護リレー装置Dの電源投入時、または、リセットスタート時に一度実行されれば十分である。光モジュールDが挿抜可能な構成であり、交換が可能であることから、図13に示す処理を電源投入時、または、リセットスタート時に限らず、運用中において一定周期で監視してもよい。
【0127】
このような処理を行うことで、波長多重によりネットワークを共有した保護リレーシステムZにおいて、ヒューマンエラーに伴う光モジュールMの接続誤りを未然に防止することができる。また、この波長情報を保護リレー装置Mの簡易HI(Human Interface)表示や可搬HIでの表示によって、ユーザが確認できるようにすることができる。
【0128】
[第3実施形態]
図14は、第3実施形態に係る保護リレーシステムZ2のネットワーク構成例を示す図である。図14において、図1と同様の構成については、図1と同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
図14に示す例では、図1に示す構成と同様に保護リレー装置Dが設置されてある電気所の上位側に、保護リレーシステムZ2全体を監視する管理装置SVが備えられている。この場合、各保護リレー装置DのCPU65は、現在使用している波長情報を管理装置SVへ報告する。このようにすることで、管理装置SVは、ネットワークの多重化状況を把握することができる。これにより、設備の拡張時の際、多重化のための空き波長(空きポート)をユーザへ提示することができる。従って、光分波・合波器Pに手を加えることがなく、空きポートに基づいて光ファイバFの接続拡張を行うことで、スムーズな拡張を行うことができる。
【0129】
本発明は前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を有するものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0130】
また、前記した各構成、機能、各部68,71,73〜77b、記憶部等は、それらの一部またはすべてを、例えば集積回路で設計すること等によりハードウェアで実現してもよい。また、図7に示すように、前記した各構成、機能等は、CPU65等のプロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、HD(Hard Disk)に格納すること以外に、メモリや、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又は、IC(Integrated Circuit)カードや、SD(Secure Digital)カード、DVD(Digital Versatile Disc)等の記録媒体に格納することができる。
また、各実施形態において、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしもすべての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には、ほとんどすべての構成が相互に接続されていると考えてよい。
【符号の説明】
【0131】
1001 光波長情報
D,D11〜D14,D21〜D24,D31〜D34,D41〜D44,D51〜D54,Da1,Da2,Db1,Db2,Dh1,Dh2 保護リレー装置
M,M11A〜M14A,M11B〜M14B,M21A〜M24A,M21B〜M24B,M31A〜M34A,M31B〜M34B,M41A〜M44A,M41B〜M44B,M51A〜M54A,M51B〜M54B 光モジュール(光信号送受信装置)
P,P1a〜P8a,P1b〜P8b 光分波・合波器(光分波・合波装置)
SV 管理装置
Z,Z1,Z2 保護リレーシステム(通信システム)
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16