特許第6811371号(P6811371)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811371
(24)【登録日】2020年12月17日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 16/00 20060101AFI20201228BHJP
【FI】
   F25D16/00
【請求項の数】4
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-57963(P2016-57963)
(22)【出願日】2016年3月23日
(65)【公開番号】特開2017-172848(P2017-172848A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2019年3月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】杉本 修平
【審査官】 河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】 特開平02−068214(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0121925(US,A1)
【文献】 特開2000−121204(JP,A)
【文献】 米国特許第05251455(US,A)
【文献】 特開平08−136107(JP,A)
【文献】 特開平04−052479(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25D 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機の運転によって冷却される貯蔵室と前記貯蔵室を冷却する冷却器と、相変化する蓄冷材と、を有し、前記冷却器と前記蓄冷材とを有する冷却室と、前記冷却室の前方に前記貯蔵室を備えた冷蔵庫であって、前記蓄冷材は前記冷却器と接触又は近接配置し、前記冷却器によって冷却され、前記蓄冷材と前記冷却器の冷熱で前記貯蔵室を冷却するもので、前記冷却器の横に前記貯蔵室の戻りダクトを有し、前記蓄冷材は、前記戻りダクト側の前記冷却器の側部を覆って配置され、前記蓄冷材の下端部は、冷媒パイプを蛇行状に複数段に形成した前記冷却器の少なくとも最下段の冷媒パイプを覆わないように配置したことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項2】
圧縮機の運転によって冷却される貯蔵室と、前記貯蔵室を冷却する冷却器と、相変化する蓄冷材と、を有し、前記冷却器と前記蓄冷材とを有する冷却室と、前記冷却室の前方に前記貯蔵室を備えた冷蔵庫であって、前記蓄冷材は前記冷却器と接触又は近接配置し、前記冷却器によって冷却され、前記蓄冷材と前記冷却器の冷熱で前記貯蔵室を冷却するもので、前記冷却器の横に前記貯蔵室の戻りダクトを有し、前記蓄冷材は、冷媒パイプを蛇行状に複数段に形成した前記冷却器の上段の前記冷媒パイプに、前記冷却器の左右幅方向の略半分の大きさで前記戻りダクトから遠い側に配置したことを特徴とする冷蔵庫。
【請求項3】
扉開閉が少ない安定運転時は前記圧縮機を低回転で運転して前記蓄冷材を冷却し、扉開閉が多い放冷運転時は前記圧縮機を低回転か中回転で運転して前記蓄冷材の潜熱で前記貯蔵室を冷却することを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記冷却器の下部に除霜ヒータを備え、前記蓄冷材は前記除霜ヒータより上部に配置したことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、蓄冷材を備えた冷蔵庫に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、蓄冷材を備えた冷蔵庫として、消費電力の低減を図るものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)
特許文献1には箱体の内部空間を仕切壁により仕切られ、内部に蓄冷材を備えた冷凍室を有し、冷凍室内の温度が所定の第一温度なるよう冷却運転を行う通常運転と、冷凍室内の温度が第一温度よりも低温の第二温度となるよう冷却運転を行う蓄冷運転とを選択的に行い、蓄冷材は、第一温度より低温でかつ第二温度より高温の凝固点を有し、相変化による潜熱を冷熱として蓄える潜熱蓄冷材によりピーク時の消費電力量を低減することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−242064号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の冷蔵庫では、貯蔵室の内壁面を構成する仕切壁に蓄冷材を設けるため、仕切壁の厚さが大きくなり、貯蔵室の内容積が少なくなる。また仕切壁に凹凸形状があると、蓄冷材もその形状に合わせて複雑な構成になる、という課題を有していた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記従来の課題を解決するために、本発明の冷蔵庫は、圧縮機の運転によって冷却される貯蔵室と前記貯蔵室を冷却する冷却器と、相変化する蓄冷材と、を有し、前記冷却器と前記蓄冷材とを有する冷却室と、前記冷却室の前方に前記貯蔵室を備えた冷蔵庫であって、前記蓄冷材は前記冷却器と接触又は近接配置し、前記冷却器によって冷却され、前記蓄冷材と前記冷却器の冷熱で前記貯蔵室を冷却するもので、前記冷却器の横に前記貯蔵室の戻りダクトを有し、前記蓄冷材は、前記戻りダクト側の前記冷却器の側部を覆って配置され、前記蓄冷材の下端部は、冷媒パイプを蛇行状に複数段に形成した前記冷却器の少なくとも最下段の冷媒パイプを覆わないように配置したものである。
【0006】
これによって、食品出し入れ時の負荷投入時に、蓄熱材と冷却器の冷熱による冷却量で冷却するので、貯蔵室内の温度上昇を低減し、圧縮機の駆動回転数を、従来より低回転で運転しながら放冷するので、圧縮機の高回転による運転を抑制しながら、冷却性能を向上させることにより、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の冷蔵庫は、実使用時の昼間やドア開閉による負荷量が多いときの消費電力量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態の冷蔵庫の正面図
図2】本発明の実施の形態の冷蔵庫の縦断面図
図3a】本発明の実施の形態1の冷蔵庫の要部の構成を示す図
図3b】本発明の実施の形態1の冷蔵庫の要部の構成を示す図
図3c】本発明の実施の形態1の冷蔵庫の要部の構成を示す図
図3d】本発明の実施の形態1の冷蔵庫の要部の構成を示す図
図3e】本発明の実施の形態1の冷蔵庫の要部の構成を示す図
図3f】本発明の実施の形態1の冷蔵庫の要部の構成を示す図
図4】本発明の実施の形態1の冷蔵庫の温度と蓄冷量と圧縮機回転数の変化を示す図
図5】本発明の実施の形態1の電力変化の概要図
図6】本発明の実施の形態2の冷蔵庫の要部の構成を示す図
図7】本発明の実施の形態3の冷蔵庫の要部の構成を示す図
図8a】本発明の実施の形態4の冷蔵庫の要部の構成を示す図
図8b】本発明の実施の形態4の冷蔵庫の要部の構成を示す図
図9】本発明の実施の形態5の冷蔵庫の縦断面図
図10】本発明の実施の形態5の冷蔵庫の冷凍サイクルを示す図
【発明を実施するための形態】
【0009】
請求項1に記載の発明は、圧縮機の運転によって冷却される貯蔵室と前記貯蔵室を冷却する冷却器と、相変化する蓄冷材と、を有し、前記冷却器と前記蓄冷材とを有する冷却室と、前記冷却室の前方に前記貯蔵室を備えた冷蔵庫であって、前記蓄冷材は前記冷却器と接触又は近接配置し、前記冷却器によって冷却され、前記蓄冷材と前記冷却器の冷熱で前記貯蔵室を冷却するもので、前記冷却器の横に前記貯蔵室の戻りダクトを有し、前記蓄冷材は、前記戻りダクト側の前記冷却器の側部を覆って配置され、前記蓄冷材の下端部は、冷媒パイプを蛇行状に複数段に形成した前記冷却器の少なくとも最下段の冷媒パイプを覆わないように配置したことにより、庫内冷却時の冷却量を確保し、省エネルギー化を図ることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、圧縮機の運転によって冷却される貯蔵室と、前記貯蔵室を冷却する冷却器と、相変化する蓄冷材と、を有し、前記冷却器と前記蓄冷材とを有する冷却室と、前記冷却室の前方に前記貯蔵室を備えた冷蔵庫であって、前記蓄冷材は前記冷却器と接触又は近接配置し、前記冷却器によって冷却され、前記蓄冷材と前記冷却器の冷熱で前記貯蔵室を冷却するもので、前記冷却器の横に前記貯蔵室の戻りダクトを有し、前記蓄冷材は、冷媒パイプを蛇行状に複数段に形成した前記冷却器の上段の前記冷媒パイプに、前記冷却器の左右幅方向の略半分の大きさで前記戻りダクトから遠い側に配置したものである。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、扉開閉が少ない安定運転時は前記圧縮機を低回転で運転して前記蓄冷材を冷却し、扉開閉が多い放冷運転時は前記圧縮機を低回転か中回転で運転して前記蓄冷材の潜熱で前記貯蔵室を冷却するものであり、省エネルギー効率の向上をことができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記冷却器の下部に除霜ヒータを備え、前記蓄冷材は前記除霜ヒータより上部に配置したものであり、蓄冷材の信頼性を確保するとともに、蓄冷材と冷却器の間に氷角ができるのを防止できる。
【0014】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0015】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1による冷蔵庫の正面図、図2図1のA−A断面図、図3a〜図3fは同実施の形態1による冷蔵室の要部拡大図、図4は同実施の形態における冷蔵庫の制御ブロック図、図5は同実施の形態における冷蔵庫の投入負荷検知から急冷運転の制御フローチャートである。
【0016】
図1及び図2において、冷蔵庫101は上段、中段、及び下段の5つに区画された貯蔵室を備える。具体的には、上段の貯蔵室は冷蔵室102で前面に観音開き式扉を有し、下方に引出し扉を備える第一の冷凍室103と、それと並行に引出し扉を備える製氷室105があり、最下部に配置される引出し扉を備えた野菜室106と、製氷室105と野菜室
106の間に配置した第二の冷凍室104とから構成される。
【0017】
各扉は、それぞれ、冷蔵室扉102a、第一の冷凍室扉103a、第二の冷凍室扉104a、製氷室扉105a、野菜室扉106aとして図示する。冷蔵室102と、横並びの製氷室105と第一の冷凍室103とは、上下に断熱区画壁111により区画される。さらに、横並びの製氷室105及び第一の冷凍室103と第二の冷凍室104、第二の冷凍室104と野菜室106も、同様に断熱区画壁111により上下に区画される。
【0018】
また、外箱108と内箱109の間に充填された断熱壁110で形成された冷蔵庫101は、上部に設けた冷蔵室102内の下部に独立した貯蔵室としての変温室107を区画形成している。変温室107は切替え室として構成され、本実施の形態の場合は、0℃付近の冷蔵温度帯の第一の温度帯(チルド)と、第一の温度帯と約−6℃以下の冷凍温度帯との間の温度帯となる約−3℃の第二の温度帯(パーシャル)に設定可能である。
【0019】
次に冷却システムの構成について説明する。第二の冷凍室104の背面後方には、冷却室114が形成され、内部に冷却器115を有し、冷却器115の下部には除霜ヒータ122が配置されている。上部機械室113に設置された圧縮機112とともに、冷蔵庫101を冷却する冷凍サイクルを構成する。また、冷却室114には、冷却器115で熱交換された冷気を強制循環させる送風ファン116が配置され、その上方には冷蔵室102に流入する冷気を分配するダンパー装置117aと、変温室107に流入する冷気を分配するダンパー装置117bを配置している。
【0020】
また冷却室114は、前方に配置された第一の冷凍室103および第二の冷凍室104と区画壁123によって前後に区画されている。
【0021】
各貯蔵室において、冷蔵室102の庫内温度は約2〜3℃であり、野菜室106の庫内温度は約2〜5℃であり、第一の冷凍室103、第二の冷凍室104の庫内温度は約−18〜−20℃と温度帯を分けて使用可能である。それにより、食品の保存に適した温度帯を選択し、食品を貯蔵することによって、より高い保鮮性と長期保存を実現することができる。
【0022】
図1及び図2において、冷蔵庫101は上段、中段、及び下段の5つに区画された貯蔵室を備える。具体的には、上段の貯蔵室は冷蔵室102で前面に観音開き式扉を有し、下方に引出し扉を備える第一の冷凍室103と、それと並行に引出し扉を備える製氷室105があり、最下部に配置される引出し扉を備えた野菜室106と、製氷室105と野菜室106の間に配置した第二の冷凍室104とから構成される。
【0023】
各扉は、それぞれ、冷蔵室扉102a、第一の冷凍室扉103a、第二の冷凍室扉104a、製氷室扉105a、野菜室扉106aとして図示する。冷蔵室102と、横並びの製氷室105と第一の冷凍室103とは、上下に断熱区画壁111により区画される。さらに、横並びの製氷室105及び第一の冷凍室103と第二の冷凍室104、第二の冷凍室104と野菜室106も、同様に断熱区画壁111により上下に区画される。
【0024】
また、外箱108と内箱109の間に充填された断熱壁110で形成された冷蔵庫101は、上部に設けた冷蔵室102内の下部に独立した貯蔵室としての変温室107を区画形成している。変温室107は切替え室として構成され、本実施の形態の場合は、0℃付近の冷蔵温度帯の第一の温度帯(チルド)と、第一の温度帯と約−6℃以下の冷凍温度帯との間の温度帯となる約−3℃の第二の温度帯(パーシャル)に設定可能である。
【0025】
次に冷却システムの構成について説明する。第二の冷凍室104の背面後方には、冷却
室114が形成され、内部に冷却器115を有し、上部機械室113に設置された圧縮機112とともに、冷蔵庫101を冷却する冷凍サイクルを構成する。また、冷却室114には、冷却器115で熱交換された冷気を強制循環させる送風ファン116が配置され、その上方には冷蔵室102に流入する冷気を分配するダンパー装置117aと、変温室107に流入する冷気を分配するダンパー装置117bを配置している。各貯蔵室において、冷蔵室102の庫内温度は約2〜3℃であり、野菜室106の庫内温度は約2〜5℃であり、第一の冷凍室103、第二の冷凍室104の庫内温度は約−18〜−20℃と温度帯を分けて使用可能である。それにより、食品の保存に適した温度帯を選択し、食品を貯蔵することによって、より高い保鮮性と長期保存を実現することができる。
【0026】
また図3a〜図3fに示すように、冷却室114内の冷却器115は、複数のフィン124と両端部に備えたエンドプレート125に冷媒パイプ126を貫設して、蛇行状に複数段に形成されている。
【0027】
冷却室114は冷却器115の前部を区画壁123で構成しており、区画壁123は冷却器115の横方向に断熱形成されている。そして冷却室114の横に冷蔵室102の戻り風路に連通する戻りダクト102bを構成している。
【0028】
冷却室114と冷蔵室戻りダクト102bは、区画壁123によって冷却器115の前方を塞ぐことで、横並びに配置構成される。
【0029】
そして蓄冷材127は、樹脂製ケースで構成されており、冷却器115の側部で冷却室114の両側壁との間のスペースに配置されている。より具体的には、冷却器115と冷蔵室戻りダクト102bとを区画する区画仕切り114aが形成されており、区画仕切り114aと冷却器115との間に一側の蓄冷材127が配置し、他側の蓄冷材127は冷却器115と冷却室114を構成する段差部114bと冷却器115との間に配置している。
【0030】
蓄冷材127は、冷媒パイプ126の一部であるU字状曲げパイプ126aを覆う凹部127aが形成され、蓄冷材127の外殻に形成された係止手段がU字状曲げパイプ126aに係止されて固定されている。
【0031】
また、冷却器115の下方に配置した除霜ヒータ122よりも上方に蓄冷材127は配置されている。そして、蓄冷材127の潜熱または顕熱と冷却器115の冷熱とで貯蔵室を冷却する。
【0032】
また図3dのように、蓄冷材の凹部127a内にはU字状曲げパイプ126aが挿入されており、U字状曲げパイプ126aごとに独立して凹部127aが形成されており、U字状曲げパイプ126aを個別に覆うように構成されているので、冷却器115の冷熱を蓄冷材127に蓄冷しやすい。また凹部127aとU字状曲げパイプ126aとの間は隙間を作って配置され接触しないようにしている。
【0033】
また図3eのように、冷却器115の両端に形成されるU字状曲げパイプ126aが挿入される蓄冷材127の凹部127bは上下方向に複数段配置されたU字状曲げパイプ126aごとに独立して配置しておらず、凹部127bは上段のU字状曲げパイプから下段のU字状曲げパイプまで連通する連通溝127cが凹部127bに形成されていてもよい。
【0034】
上記のように構成された蓄冷材127についてその動作を説明する。
【0035】
図4に示すように、扉開閉が少なく負荷投入が少ない夜間などの安定運転時は、圧縮機112の回転数は低回転で運転しながらON/OFF運転を繰り返し、各貯蔵室を設定温度に冷却している。この時、冷却器115の温度は約−26℃となっており、蓄冷材127も同ほぼ同じ温度になって冷却されている。蓄冷材127の融解温度は−22℃である。
【0036】
そして扉開閉が増えて負荷の出し入れが多くなる放冷運転時は、図5のように、蓄冷材127の潜熱と冷却器の冷熱とで放冷運転を行う。蓄冷材127の潜熱利用によって、圧縮機112の回転数は低回転から中回転運転で運転制御する。これによって電力増加の時間帯の圧縮機112の高回転運転を抑制するので電気代を低減できる。
【0037】
また負荷変動に伴う冷却器115の温度上昇を低減することができるので温度変動ロスを削減できる。そして、蓄冷材127が融解温度を保ったまま放冷した後、蓄冷材127は温度上昇するが、蓄冷材127は冷却器115に近接して設置しているので、冷却器115から蓄冷材127への蓄冷は圧縮機112の回転数を中回転数のまま行っている。圧縮機112の回転数を抑えながら蓄冷運転が行われており、エネルギー効率の向上を図ることができる。
【0038】
そして圧縮機112の回転数は中回転を維持したまま蓄冷運転を行い、蓄冷材127が冷却器115の温度とほぼ同等温度に冷却されれば低回転で運転する。冷却運転が所定時間積算されると、冷却器115の霜取り運転に入る。この時、除霜ヒータ122の熱により冷却器115の除霜が始まる。U字状曲げパイプ126aの除霜水は凹部127a内で解けて露受け皿129へ排水される。
【0039】
また蓄冷材127を図3eのように形成することで、除霜水が凹部127b内に溜まることなく連通溝127cを通じて蓄冷材127の下部へ導かれ、開放部127dから除霜ヒータ122の下方に配置した露受け皿129への排水を向上できる。したがって、蓄冷材127と冷却器115との間に、着霜が解けた時の水溜まりが残り、冷却運転によって再び凍って氷角が発達するのを抑制することができる。これによって冷却器115の異常着霜を防止することができる。
【0040】
また、図3fのように、冷却器115の左右両端に配置されるU字状曲げパイプ126aが、縦列ごとに全体的に覆われるように蓄冷材127に凹部127eを形成してもよい。これによって、さらに冷却器115と蓄冷材127の間に発生する除霜水の排水を向上し、霜残りを低減することができる。
【0041】
また夜間の安定運転時において、圧縮機112を低回転で運転し、冷蔵室102のダンパー装置117aおよび変温室107のダンパー装置117bを閉じて冷凍室103、104を循環するモードで冷却し、蓄冷材127を効率よく融解温度(−22℃)以下に冷却してもよい。
【0042】
また、夜間の安定運転時は扉開閉の多い放冷運転時よりも冷凍室の設定温度を2〜3℃下げて冷却運転し、蓄冷材127を融解温度以下に蓄冷し、扉開閉が多い放冷運転時の圧縮機運転率を下げるようにしてもよい。
【0043】
また蓄冷材127と冷却器115を近接配置するとしたが、部分的に接触させてもよい。接触させることで冷却器115の冷熱を蓄冷材127へ熱移動しやすくなるので蓄熱時間を短縮することができる。
【0044】
また蓄冷材127は、金属製ケースで形成されていてもよく、冷却器115の冷熱を蓄
冷材へ効率よく伝達することができる。
【0045】
また冷却器115の両側部に蓄冷材127を配置したが、少なくとも片側に配置してもよく、その場合、冷蔵室戻りダクト102bに近い冷却器115の側部に配置してもよい。冷蔵室戻りダクト102bの風量は大きいので、冷却器115の冷蔵室戻りダクト102bに近い側は、戻り冷気に含まれる湿気が着霜しやすく、熱交換性能の低下を招くおそれがあり、蓄冷材127を設置することで冷却性能を確保することができる。
【0046】
また、冷凍室103,104や製氷室105への冷気量を調節する冷凍室吐出ダンパ(図示しない)があれば、冷凍室103、104が適温に達している場合、圧縮機112の運転を停止し、冷凍室吐出ダンパを閉じ、ファン116を運転し冷蔵室ダンパ117aまたは変温室ダンパ117bを開閉して、冷却器115と蓄冷材127の潜熱または顕熱を使って、冷蔵室102および変温室107の冷却運転を行うので、消費電力量を低減することができる。
【0047】
(実施の形態2)
図6は実施の形態2に係る蓄冷材の構成を示す図である。冷蔵庫の全体構成は図1、2と同様である。
【0048】
図6に示すように、冷却器115の上部に蓄冷材130を配置している。具体的には、冷却器115の上段の冷媒パイプ126を上から覆うように凹部が構成されている。冷却器115の正面視で右側側部には冷蔵室戻りダクトが形成されており、蓄冷材130は冷却器115の左右幅方向の中央部よりも左側寄り、すなわち冷蔵室戻りダクトに近い側ではなく、反対側で片側に寄せて冷却器115の上部に配置されている。蓄冷材130の配置側の冷却器115の下方は、野菜室106を循環した冷気戻り口(図示しない)がある。
【0049】
また冷媒パイプ126には複数のフィン124が構成されているが、蓄冷材130の配置箇所に対応する冷媒パイプ126にはフィンはなく、蓄冷材130はエンドプレート125から冷却器115の左右幅方向の中心に向かって、ファン116の投影位置を超えない範囲に延在して略水平に配置され、蓄冷材130の外殻に形成された係止手段が冷媒パイプ126に係止されて固定されている。
【0050】
また蓄冷材130の外殻はフィン124が配置している箇所の外形寸法と合うように形成されている。したがって、冷却器115の前部を形成する区画壁123が必要以上に前方に飛出して形成されるのを防止することができ、貯蔵室空間を維持することができる。
【0051】
上記のように構成された蓄冷材130の動作について説明する。
【0052】
冷却器115の冷媒パイプ126に近接配置した蓄冷材130は冷却器115の冷熱によって蓄冷され、上記に記載した図4、5の動作で庫内の温度上昇を低減し、圧縮機112の回転数を抑えることで昼間電力の削減を図ることができる。
【0053】
また、冷却器115の上段で、風量の大きい冷蔵室戻りダクト102bに近い側ではなく、遠い側に位置する風量の小さい野菜室戻り口側に蓄冷材130を配置したので、蓄冷材130による風量の低下を防止し、冷蔵室から戻る湿気を多く含んだ戻り冷気の熱交換を妨げることなく、蓄冷材130と冷却器115とで冷却性能を維持することができる。
【0054】
(実施の形態3)
図7は実施の形態3に係る蓄冷材の構成を示す図である。冷蔵庫の全体構成は図1、2
と同様である。
【0055】
図7に示すように、冷却室114の冷却器115の側方に形成された冷蔵室戻りダクト102b内に蓄冷材131が埋設されている。冷蔵室戻りダクト102bは断熱材で形成されており、蓄冷材131は冷蔵室102の戻り風路に連通する冷蔵室戻りダクト102bを構成する内箱109面に配置している。また蓄冷材131は冷却器115の高さ寸法とほぼ同等の高さで、平板状に形成されており、冷蔵室戻りダクト102bと段差がないようにダクト面を構成する内箱109の配置部分に段差部を形成し埋設されている。また上記に記載した図4、5の動作で蓄冷材131は蓄冷されている。
【0056】
上記のように構成された蓄冷材131の動作について説明する。
【0057】
冷却器115で熱交換された冷気はファン116によって、各貯蔵室に強制通風され、冷蔵室102に吐出された冷気は冷蔵室102内を循環し、冷蔵室102の戻り口(図示しない)に吸い込まれ、冷凍室104の背面に形成された冷蔵室戻りダクト102bを通る。戻り冷気の温度は約5〜6℃で、蓄冷材131は近傍にある冷却器115と断熱壁によって左右に区画されているが、冷蔵室戻りダクト102bと連通しており約−15℃に蓄冷されている。融解温度を約−10℃とする蓄冷材を使って潜熱利用してもよいが、蓄冷材131の顕熱を利用して冷蔵室戻り冷気を冷却することができる。
【0058】
したがって、冷気が冷蔵室戻りダクト102bを通るときに、埋設された蓄冷材131の部分を通過するため、冷却器115戻って熱交換する前に、先に蓄冷材131で熱交換されるので、蓄冷材131によって戻り冷気に含まれた湿気を吸収することができ、冷却器115と熱交換したときに冷却器115への着霜を低減することができる。
【0059】
また、冷却器115と熱交換する戻り冷気の温度を蓄冷材131で冷却することができるので冷却器115への負荷量を低減し省エネ性能を向上することができる。
【0060】
また、冷蔵室戻りダクト102bは冷却器115の側方に配置し、冷却器115の下方には除霜ヒータ122を配置しているので、冷却器115の除霜時に、着霜した蓄冷材131の除霜も一緒に行うことができ、着霜過多による冷蔵室戻りダクト102bのダクト詰まりを防止することができる。
【0061】
平板状の蓄冷材131としたが、戻り冷気との熱交換促進をはかるために略ロ字状に戻りダクト面すべてに蓄冷材131を埋設してもよい。
【0062】
(実施の形態4)
図8a、図8bは実施の形態4に係る蓄冷材の構成を示す図である。冷蔵庫の全体構成は図1、2と同様である。
【0063】
図8a、図8bに示すように、冷蔵室吐出ダクト120内に蓄冷材132を配置している。冷蔵室102の背面には、冷蔵室吐出ダクト120を構成するダクトカバー120aと内箱109があり、ダクトカバー120aと内箱109に囲まれて風路となる冷蔵室吐出ダクト120を形成している。内箱109の表面(ダクト側)に凹部109aを形成し、平板状の蓄冷材132は凹部109a内に埋設し、ダクト面が突出しないように構成して風路抵抗を低減するように配置している。また冷蔵室102の下部に変温室107への冷気吐出口(図示しない)が冷蔵室ダクトカバー120aに構成されている。蓄冷材132は冷蔵室102の背面で、少なくとも変温室107の吐出口と投影面的に重なった位置から上方に向かって配置している。
【0064】
上記のように構成された蓄冷材132の動作について説明する。
【0065】
冷却室114からファン116によって強制通風された冷気(約−15℃)は冷蔵室吐出ダクト120を通り、蓄冷材132は上記に記載した図4、5の動作によって冷却器115の冷気によって蓄冷材132を冷却することが可能となり、約−10℃に冷却されている。そして蓄冷材132から放冷される冷気と共に冷蔵室102へ約2℃の冷気となって吐出される。特に、圧縮機112が停止時にファン116を運転して、冷凍室吐出ダンパ(図示しない)を閉じ、冷蔵室102を冷却する場合、冷却器115の冷熱と冷蔵室102の背面に形成した蓄冷材132とによって冷却できるので消費電力量を低減することができる。
【0066】
また、変温室107の冷気吐出口107aの背面にも蓄冷材132が延在して配置しているので、蓄冷材132からの冷気によって圧縮機112の停止中でも変温室107を適温に冷却することができる。
【0067】
また、蓄冷材132が内箱109の表面に配置されることで、冷蔵室吐出ダクト120への吸熱および放熱を繰返すことで外気との温度差が小さくなり断熱材として作用し、本体の吸熱量を低減することができる。
【0068】
(実施の形態5)
図9は実施の形態5に係る蓄冷材の構成を示す図である。冷凍室103、104の後方に冷却室133が形成され、冷却室133の後方で背面の断熱壁110との間に蓄冷室135が形成されている。冷却室133内には冷却器115と冷却器115の上方に強制通風する第1ファン134が備えられ、蓄冷室135内には蓄冷材136と蓄冷材136の外周には冷媒パイプを巻きつけた蓄冷用の第2冷却器137が構成され、蓄冷材136の上部には蓄冷された冷熱を強制通風する第2ファン138が配置している。
【0069】
冷却室133と蓄冷室135は前後方向に配置しているが、第1ファン134と第2ファン138は左右方向(図示しない)に配置している。また各貯蔵室の戻りダクトは冷却室133および蓄冷室135に連通し冷却器115および蓄冷用の第2冷却器137で熱交換される構成となっている。また、図10のように冷却器115と蓄冷用の第2冷却器137は並列配置され、切替弁139によって冷媒流路を切替可能にしている。
【0070】
夜間など扉開閉の少ない負荷量が小さい時は圧縮機112を低回転で運転しながら冷却器115に冷媒を循環させて各貯蔵室を冷却し、各室が適温になれば、切替弁139を切替えて、第2ファンは停止したまま、蓄冷用の第2冷却器137に冷媒を循環させて蓄熱する。冷蔵室温度が上限温度を超えた時は、冷凍室ダンパ(図示しない)を閉じて、第1ファン134を運転して冷却を行う。冷凍室温度が上限温度を超えた時は、冷却器115に冷媒が循環するように切替弁139を切替えて、冷凍室103、104を冷却する。このように負荷量が小さい夜間などに蓄冷材136を蓄冷し凝固点温度(−22℃)以下、あるいはその周辺温度になるように冷却する。
【0071】
そして、扉開閉の多い負荷量が大きくなる時に、圧縮機112を停止して蓄冷室135から第2ファン138の運転によって、冷蔵室102、変温室107、野菜室106、冷凍室103、104を冷却し、または冷凍室103、104が適温であれば、蓄冷室に備えた冷凍室ダンパ(図示しない)を閉じて冷蔵室102、変温室107、野菜室106を冷却する。このように昼間の電力ピーク時に圧縮機112を停止して蓄冷材136の放冷によって冷却するので電気代を削減できる。
【0072】
また圧縮機112は高回転で運転せず、中回転で運転しながら蓄冷室135に冷媒循環
させ蓄冷材の放冷によって冷却することで消費電力を低減できる。
【0073】
また蓄冷材温度検知手段(図示しない)によって、蓄冷材温度が所定温度よりも高い場合に冷却器115に冷媒を循環させて冷却室133によって各貯蔵室を冷却する運転に切替えてもよい。
【0074】
また前方に冷却室133、後方に蓄冷室135を配置したが、蓄冷室135を前方配置してもよく、第1ファン134と第2ファン138を前後に配置してもよい。手前に配置される室のファンの回転軸の傾きを、後方配置される室のファンの回転軸の傾きよりも大きくすることで、上部貯蔵室への風量を確保することができる。
【0075】
また冷却室133と蓄冷室135は断熱し独立風路を構成しているため、冷却室133のデフロスト時の除霜ヒータによる蓄冷室135の温度上昇を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明にかかる冷蔵庫は、実使用時の昼間やドア開閉による負荷量が多いときの消費電力量を低減することができるので、業務用冷蔵庫等あらゆる冷却機器の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0077】
101 冷蔵庫
102b 戻りダクト
109a、127a、127b、127e 凹部
114、133 冷却室
115 冷却器
120 冷蔵室吐出ダクト
125 エンドプレート
126 冷媒パイプ
126a U字状曲げパイプ
127、130、131、132、136 蓄冷材
137 第2冷却器
139 切替弁
140 第1冷却器
図1
図2
図3a
図3b
図3c
図3d
図3e
図3f
図4
図5
図6
図7
図8a
図8b
図9
図10