特許第6811379号(P6811379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6811379
(24)【登録日】2020年12月17日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】冷凍サイクル装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 1/00 20060101AFI20201228BHJP
【FI】
   F25B1/00 311C
   F25B1/00 311D
   F25B1/00 321A
   F25B1/00 331E
   F25B1/00 331B
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-9865(P2018-9865)
(22)【出願日】2018年1月24日
(65)【公開番号】特開2019-128094(P2019-128094A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2020年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100115554
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 幸一
(72)【発明者】
【氏名】飯高 誠之
【審査官】 森山 拓哉
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0192579(US,A1)
【文献】 特開2014−006042(JP,A)
【文献】 特開2011−052883(JP,A)
【文献】 実開平04−053159(JP,U)
【文献】 特開2013−142487(JP,A)
【文献】 特開平10−019392(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機と室内熱交換器と第1圧力調整装置と第2圧力調整装置と室外熱交換器とインジェクション配管とを備え、前記圧縮機と前記室内熱交換器と前記第1圧力調整装置と前記第2圧力調整装置と前記室外熱交換器とが環状に接続されている冷凍サイクル装置において、前記第1圧力調整装置と前記第2圧力調整装置とを接続する中間圧冷媒配管に第1分岐部と気液分離器とを備え、前記第1分岐部と前記圧縮機の圧縮部とが前記インジェクション配管で接続され、前記気液分離器は前記気液分離器で分離されたガス冷媒が流れるガスバイパス配管を備え、前記ガスバイパス配管は前記インジェクション配管とは合流部で接続され、前記第1分岐部は、前記合流部より鉛直方向上側に設置していることを特徴とする冷凍サイクル装置。
【請求項2】
前記第1分岐部と前記第1圧力調整装置との間に室外機接続部を備え、前記第1分岐部と前記室外機接続部との間に立ち上がり配管部を備え、前記立ち上がり配管部と前記室外機接続部との間に低圧冷媒と熱交換する第1過冷却熱交換器を設置していることを特徴とする請求項1に記載の冷凍サイクル装置。
【請求項3】
前記合流部と前記第1分岐部との間に流量調整装置を備え、前記第1分岐部と前記流量調整装置との間に低圧冷媒と熱交換する第2過冷却熱交換器を設置していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の冷凍サイクル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、室内機と圧縮機を備え、圧縮機は吸入した冷媒を圧縮し吐出する過程で中間圧の冷媒をインジェクションする機構を備えた冷凍サイクル装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、冷凍サイクル装置において、中間圧となる冷媒配管部に気液分離器およびインジェクション配管を備え、インジェクション配管は圧縮機のインジェクション孔に連通し、ガスバイパス配管によって気液分離器とインジェクション配管とを接続したインジェクション回路が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
図7に特許文献1に記載の冷凍サイクル装置の構成図を示す。冷凍サイクル装置の構成において、絞り装置26aおよび絞り装置26bと絞り装置27とによって中間圧となる冷媒配管部を形成し、インジェクション配管29と、インジェクション配管29を流れる冷媒流量を調整する流量調整装置30と、中間圧となる冷媒配管部に配置された気液分離器31と、インジェクション配管29と気液分離器31とを接続するガスバイパス配管32と、ガスバイパス配管32を流れる冷媒流量を調整する開閉弁33を備え、圧縮機23を運転する時に流量調整装置30と開閉弁33とを開とするように構成されている。
【0004】
これにより、室内機が暖房運転する際に、開閉弁33を通じてガスバイパス配管32を気相冷媒が流れ圧縮機23のインジェクション孔から流入することで冷凍サイクル装置の運転効率を高めるとともに、流量調整装置30を通じてインジェクション配管29を気液二相状態の冷媒が流れ圧縮機23のインジェクション孔から流入することで圧縮機23から吐出する冷媒の温度の過昇を抑制する効果が期待できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−52883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術に記載の構成では、室内機が暖房運転する際のインジェクション配管を流れる冷媒は気液二相状態であり、また、インジェクション配管とガスバイパス管との合流部とインジェクション配管の分岐部は圧力差が小さい。これらのことから、外気温度が低く圧縮比が大きくなることで圧縮機から吐出する冷媒の温度が高くなり温度低減効果のある液相冷媒の割合を増やしたい場合に、気相冷媒のみがインジェクション配管内を吹き抜けることでインジェクション配管内の液相冷媒の流れが滞り、温度低減効果のある液相冷媒が圧縮機に供給されず、圧縮機から吐出する冷媒の温度が過度に上昇するという課題があった。これにより、モーター巻線温度が過度に上昇してモーター効率が低下したり、冷凍機油が劣化して潤滑性能が低下し摺動部の摩擦損失が増加したりすることで、冷凍サイクル装置の性能が低下する。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するものであり、室内機が暖房運転し、圧縮機から吐出する冷媒の温度が高くなる時に、圧縮機に流入する液相冷媒の量が不足するのを防止する冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の冷凍サイクル装置は、圧縮機と室内熱交換器と第
1圧力調整装置と第2圧力調整装置と室外熱交換器とインジェクション配管とを備え、圧縮機と室内熱交換器と第1圧力調整装置と第2圧力調整装置と室外熱交換器が順に接続され、第1圧力調整装置と第2圧力調整装置とを接続する中間圧冷媒配管に配置された第1分岐部と圧縮機の圧縮部とがインジェクション配管で接続されている冷凍サイクル装置において、第1圧力調整装置と第2圧力調整装置との間に気液分離器を備え、気液分離器とインジェクション配管とを接続し気液分離器で分離されたガス冷媒が流れるガスバイパス配管を備え、インジェクション配管とガスバイパス配管とが合流する合流部と第1分岐部との間に流量調整装置を備える冷凍サイクル装置であり、第1分岐部は、合流部より鉛直方向上側に設置していることを特徴とする冷凍サイクル装置である。
【0009】
これによって、第1分岐部からインジェクション配管を流れる気液二相状態の冷媒は、密度の高い液相冷媒が重力によって滞りなく流れるため、気相冷媒のみが吹き抜けることがなく、鉛直方向下側に配置された合流部まで気液二相状態のまま滞りなく流れるようになる。
【0010】
また、本発明の冷凍サイクル装置は、第1分岐部と室外機接続部との間に立ち上がり配管を備え、立ち上がり配管部または立ち上がり配管部と室外機接続部との間に低圧冷媒と熱交換する第1過冷却熱交換器を設置していることを特徴とする冷凍サイクル装置である。
【0011】
これによって、乾き度が0.2〜0.4の気液二相状態で立ち上がり配管に流入した冷媒は、第1過冷却熱交換器内で低温冷媒に放熱し乾き度が0.2以下となる。
【0012】
乾き度が0.2〜0.4の気液二相状態で立ち上がり配管を流れると、流動様式が環状流となるため、気相冷媒が吹き抜けることで液相冷媒が立ち上がり配管の内部で滞ることがあるが、第1過冷却熱交換器内で乾き度が0.2以下となって立ち上がり配管を流れるため、流動様式がチャーン流となり気液が混ざり合って流れるため、第1分岐部に液相冷媒が安定的に供給される。
【0013】
また、本発明の冷凍サイクル装置は、第1分岐部と流量調整弁との間に低圧冷媒と熱交換する第2過冷却熱交換器を設置していることを特徴とする冷凍サイクル装置である。
【0014】
これによって、第1分岐部からインジェクション配管に気液二相状態で流入した冷媒は、第2過冷却熱交換器内で低温冷媒に放熱し過冷却液状態となる。乾き度が0.1以下の気液二相状態で流量調整装置を流れる場合、室内空調運転の負荷変動によって飽和液状態と気液二相状態との間で状態変化が生じやすく、液単相から気液二相に変化する際の体積膨張により、流量調整装置を流れる冷媒流量の急激な低下が発生するが、第2過冷却熱交換器で放熱し過冷却状態となることで、冷媒流量の急激な低下が発生することなく、流量調整装置を流れる液相冷媒の流量が安定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の冷凍サイクル装置は、室内機が暖房運転し、第1圧力調整弁で中間圧まで減圧された気液二相状態の冷媒が第1分岐部からインジェクション配管に流入する場合において、気液二相状態のまま合流部に到達し、ガスバイパス管からインジェクション配管に流入する気相冷媒とともに圧縮機の圧縮部に流れるため、圧縮機の圧縮部に冷却効果の大きい液相冷媒が十分に供給され、圧縮機から吐出される冷媒の温度の過昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施の形態1における冷凍サイクル装置の構成図
図2】本発明の実施の形態1におけるインジェクション回路の水平方向から見た立面図
図3】高低差と気液二相状態の冷媒の質量流量比率の関係図
図4】本発明の実施の形態2における冷凍サイクル装置の構成図
図5】本発明の実施の形態2におけるインジェクション回路の水平方向から見た立面図
図6】本発明の実施の形態3における冷凍サイクル装置の構成図
図7】特許文献1に記載の冷凍サイクル装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の発明は、圧縮機と室内熱交換器と第1圧力調整装置と第2圧力調整装置と室外熱交換器とインジェクション配管とを備え、圧縮機と室内熱交換器と第1圧力調整装置と第2圧力調整装置と室外熱交換器が順に接続され、第1圧力調整装置と第2圧力調整装置とを接続する中間圧冷媒配管に配置された第1分岐部と圧縮機の圧縮部とがインジェクション配管で接続されている冷凍サイクル装置において、第1圧力調整装置と第2圧力調整装置との間に気液分離器を備え、気液分離器とインジェクション配管とを接続し気液分離器で分離されたガス冷媒が流れるガスバイパス配管を備え、インジェクション配管とガスバイパス配管とが合流する合流部と第1分岐部との間に流量調整装置を備え、第1分岐部は、合流部より鉛直方向上側に設置していることを特徴とする冷凍サイクル装置である。
【0018】
これによって、第1分岐部からインジェクション配管を流れる気液二相状態の冷媒は、液相冷媒の流れが滞り気相冷媒のみが吹き抜けることなく、密度の高い液相冷媒が重力によって、鉛直方向下側に配置された合流部まで気液二相状態のまま滞りなく流れるようになる。
【0019】
したがって、本発明の冷凍サイクル装置は、第1圧力調整装置で中間圧まで減圧された気液二相状態の冷媒が第1分岐部からインジェクション配管に流入する場合において、気液二相状態のまま合流部に到達し、圧縮機の圧縮部に冷却効果の大きい液相冷媒が十分に供給されるため、圧縮機から吐出される冷媒の温度の過昇を抑制できる。
【0020】
第2の発明は、第1の発明に記載の冷凍サイクル装置において、第1分岐部と室外機接続部との間に立ち上がり配管を備え、立ち上がり配管部または立ち上がり配管部と室外機接続部との間に低圧冷媒と熱交換する第1過冷却熱交換器を設置していることを特徴とする冷凍サイクル装置である。
【0021】
これによって、乾き度が0.2〜0.4の気液二相状態で立ち上がり配管に流入した冷媒は、第1過冷却熱交換器内で低温冷媒に放熱し乾き度が0.2以下となる。乾き度が0.2〜0.4の気液二相状態で立ち上がり配管を流れると、流動様式が環状流となるため、気相冷媒が吹き抜けることで液相冷媒が立ち上がり配管の内部で滞ることがあるが、第1過冷却熱交換器内で乾き度が0.2以下となって立ち上がり配管を流れるため、流動様式がチャーン流となり気液が混ざり合って流れるため、第1分岐部に液相冷媒が安定的に供給される。
【0022】
したがって、室内温度が高く、室内熱交換器で過冷却度が取れず、中間圧の冷媒の乾き度が高くなる場合において、立ち上がり配管部を液相冷媒が安定的に流れるため、圧縮機の圧縮部に冷却効果の大きい液相冷媒が十分に供給され、吐出温度の過昇を抑制できる。
【0023】
第3の発明は、第1の発明または第2の発明に記載の冷凍サイクル装置において、第1分岐部と流量調整弁との間に低圧冷媒と熱交換する第2過冷却熱交換器を設置していることを特徴とする冷凍サイクル装置である。
【0024】
これによって、第1分岐部からインジェクション配管に気液二相状態で流入した冷媒は、第2過冷却熱交換器内で低温冷媒に放熱し過冷却液状態となる。乾き度が0.1以下の
気液二相状態で流量調整装置を流れる場合、室内空調運転の負荷変動によって飽和液状態と気液二相状態との間で状態変化が生じやすく、液単相から気液二相に変化する際の体積膨張により、流量調整装置を流れる冷媒流量の急激な低下が発生するが、第2過冷却熱交換器で放熱し過冷却状態となることで、冷媒流量の急激な低下が発生することなく、流量調整装置を流れる液相冷媒の流量が安定する。
【0025】
したがって、室内機の運転台数が減少し、第1圧力調整弁で中間圧まで減圧された冷媒が乾き度0.1以下の気液二相状態で第1分岐部からインジェクション配管に流入する場合において、流量調整装置を通過する前に過冷却液状態となるため、流量調整装置を流れる冷媒流量の急激な低下が発生せずに、圧縮機の圧縮部に冷却効果の大きい液相冷媒が十分に供給され、吐出温度の過昇を抑制できる。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施形態によって、本発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
図1に本発明の実施の形態1における冷凍サイクル装置の構成図を示す。
【0028】
図1の冷凍サイクル装置の構成は、室外空調ユニット1台に対し、室内空調ユニットが1台接続した構成となっている。なお、冷凍サイクル装置の構成に関しては、図1に示したものに限定されない。例えば、室外空調ユニットは2台以上、室内空調ユニットも2台以上、並列に接続可能である。
【0029】
室外空調ユニット101において、インジェクション圧縮機111は冷媒を圧縮する圧縮機で、インジェクション圧縮機111で圧縮された冷媒は吐出管112に吐出される。室外熱交換器117は周囲の空気と空調用冷媒とが熱交換する熱交換器で、一般的には、フィン&チューブ型やマイクロチューブ型の熱交換器が利用される。
【0030】
室外空調ユニット101において、インジェクション配管118は冷凍サイクル装置から冷媒の一部をインジェクション圧縮機111にインジェクションする際に冷媒が流通する配管であり、流量調整装置119によりインジェクション配管118を流れる冷媒の流量を調整する。中間圧冷媒配管115は中間圧の冷媒が流れる配管であり、第1分岐部120でインジェクション配管118と中間圧冷媒配管115とが分岐する。気液分離器121は液冷媒およびガス冷媒を溜める耐圧容器であり、中間圧冷媒配管115に接続される。ガスバイパス管122はインジェクション配管118と気液分離器121とを接続する配管であり、インジェクション配管118と合流部123で接続している。図1で第1分岐部120は第1圧力調整装置114と気液分離器121との間に配置されているが、第2圧力調整装置116と気液分離器121との間に配置されても良い。
【0031】
室内空調ユニット102において、室内熱交換器113は周囲の空気と冷凍サイクル装置を循環する冷媒とが熱交換する熱交換器であり、第1圧力調整装置114により室内熱交換器113を流れる冷媒流量を調整する。室内熱交換器113として、一般的には、フィン&チューブ型やマイクロチューブ型の熱交換器が利用される。
【0032】
図2に本発明の実施の形態1におけるインジェクション回路の水平方向から見た立面図を示す。
【0033】
図2において、第1分岐部120は合流部123に対して鉛直方向上側に設置されている。
【0034】
次に、本実施の形態における冷凍サイクル装置の動作を説明する。
【0035】
図1において、インジェクション圧縮機111で圧縮されて高圧になった冷媒はインジェクション圧縮機111から吐出され、吐出管112を経て室外空調ユニット101から出た後、室内空調ユニット102に入る。室内空調ユニット102に入った冷媒は室内熱交換器113で周囲の空気に熱を放出して凝縮し、高圧の過冷却液状態となった後、第1圧力調整装置114で中間圧力まで膨張し気液二相状態となって室内空調ユニット102から出る。
【0036】
室内空調ユニット102から出た後、室外空調ユニット101に戻った冷媒は第1分岐部120で分岐し、一部はインジェクション配管118に流入し、残りの冷媒は気液分離器121に流入する。気液分離器121に流入した気液二相状態の冷媒は気相冷媒と液相冷媒とに分離され、気相冷媒はガスバイパス管122に流入し、液相冷媒は気液分離器121から出た後、第2圧力調整装置116に流入する。第2圧力調整装置116に流入した冷媒は、第2圧力調整装置116で減圧された後、室外熱交換器117で周囲の空気から熱を奪われて蒸発し、低圧の過熱ガス状態となってインジェクション圧縮機111に吸入される。
【0037】
インジェクション圧縮機111から吐出される冷媒の温度が高くなったときなどは、流量調整装置119を開とすることで、インジェクション配管118に気液二相状態の冷媒が流入し、インジェクション配管118に流入した冷媒は、開状態の流量調整装置119を通過した後、合流部123を通って、ガスバイパス管122を流れる気相冷媒と合流した後、インジェクション圧縮機111に供給される。
【0038】
ここで、第1分岐部120は合流部123に対して鉛直方向上側に設置されているため、第1分岐部120からインジェクション配管118に気液二相状態で流入した冷媒は、合流部123まで鉛直方向下側に向かって流れる。
【0039】
以上のように、本実施の形態においては、第1分岐部120を合流部123に対して鉛直方向上側に設置していることにより、第1分岐部120からインジェクション配管118に流入した気液二相状態の冷媒のうち、液相冷媒の流れが重力によって滞り、気相冷媒のみが吹き抜ける現象が生じず、鉛直方向下側に向かって、合流部123まで気液二相状態のまま滞りなく流れるようになる。
【0040】
したがって、本発明の冷凍サイクル装置は、第1圧力調整装置114で中間圧まで減圧された気液二相状態の冷媒が第1分岐部120からインジェクション配管118に流入する場合において、気液二相状態のまま合流部123に到達し、インジェクション圧縮機111の圧縮部に冷却効果の大きい液相冷媒が十分に供給されるため、吐出温度の過昇を抑制できる。
【0041】
なお、第1分岐部120と合流部123との高低差をhとすると、高低差hは第1分岐部120を流れる気液二相状態の冷媒とガスバイパス管122を流れる気相冷媒との混合割合に影響し、気液二相状態の冷媒の混合割合はインジェクション圧縮機111から吐出する冷媒の吐出温度低減効果ΔTに影響する。このとき、インジェクション圧縮機111から吐出する冷媒の吐出温度低減効果ΔTを必要量得るための高低差hは以下のようにして求めることができる。
【0042】
第1分岐部120を流れる気液二相状態の冷媒の密度をρ’、流速をv’とし、ガスバイパス管122を流れる気相冷媒の密度をρ”、流速をv”とし、合流部123からインジェクション圧縮機111に流れる気液二相状態の冷媒の密度をρ、流速をvとし、重力
加速度をgとすると、合流部123の高さを基準とした第1分岐部120を流れる冷媒の位置エネルギーはρ’gh、第1分岐部120からインジェクション配管118に流れる冷媒の運動エネルギーは0.5×ρ’v’^2と表すことができ、ガスバイパス管122を流れる冷媒の運動エネルギーは0.5×ρ”v”^2と表すことができる。
【0043】
合流部123で2つの流れが合流することを考慮すると、第1分岐部120を流れる気液二相状態の冷媒は合流部123における運動エネルギーに変換される分、合流部123の手前における静圧が下がり、ガスバイパス管122を流れる気相冷媒も合流部123における運動エネルギーに変換される分、合流部123の手前における静圧が下がる。
【0044】
ここで、気液二相状態の冷媒の静圧の下がり幅が気相冷媒の静圧の下がり幅より大きいと、気液二相状態の冷媒は流れなくなるため、気液二相状態の冷媒の位置エネルギーで補うことで、気液二相状態の冷媒の合流部123の手前における静圧を高くする必要がある。すなわち、式(1)が成立する場合に気液二相状態の冷媒は合流部123に流入する。
ρ’gh≧0.5×ρ’v’^2−0.5×ρ”v”^2 ・・・式(1)
【0045】
ここで、合流部123における気液二相状態の冷媒の質量流量比率をmとすると、気液二相状態の冷媒の質量流量比率mが大きいとv’は大きくなり、v”が小さくなるため、高低差hが大きくなることが明らかである。
【0046】
図3に高低差と気液二相状態の冷媒の質量流量比率の関係図を示す。図3は、式(1)に基づき高低差hと気液二相状態の冷媒の質量流量比率mとの関係を示したグラフである。冷却効果が得られる気液二相状態の冷媒の質量流量比率mが大きいほど、吐出温度低減効果ΔTが大きくなるため、図3から必要な吐出温度低減効果ΔTが得られる高低差hを求め、それ以上の高低差となるように第1分岐部120と合流部123を設置するのが良い。
【0047】
このとき、合流部123からインジェクション圧縮機111に流れる気液二相冷媒の流量は、インジェクション機構部の構造により体積流量に大きく依存することから、体積流量が一定となると仮定して算出している。
【0048】
さらに、第1分岐部120から気液分離器121までの配管内の圧力損失をΔPとし、圧力損失ΔPを考慮して、式(2)で高低差hを求めても良い。
ρ’gh≧0.5×ρ’v’^2−0.5×ρ”v”^2+ΔP ・・・式(2)
【0049】
(実施の形態2)
図4に本発明の実施の形態2における冷凍サイクル装置の構成図を示す。
【0050】
図4の冷凍サイクル装置の構成において、吸入バイパス管126は第1分岐部120と室外機接続部125との間から分岐し、吸入管128と接続する冷媒配管である。吸入バイパス流量調整装置127は吸入バイパス管126を流れる冷媒の流量を調整する装置で、第1過冷却熱交換器124はインジェクション配管118を流れる冷媒と熱交換が可能な熱交換器であり、吸入バイパス管126を流れる冷媒とインジェクション配管118を流れる冷媒の両方がそれぞれ仕切られた流路を流通する構造となっており、一般的には、プレート式熱交換器や二重管式熱交換器が利用される。
【0051】
図5に本発明の実施の形態2におけるインジェクション回路の水平方向から見た立面図を示す。
【0052】
図5において、立ち上がり配管部129は室外機接続部125が合流部123より鉛直
方向下側に設置されている場合に、第1分岐部120が合流部123より鉛直方向上側となるように、室外機接続部125から第1分岐部120との間に設けられた冷媒配管である。また、第1過冷却熱交換器124は、立ち上がり配管部129または立ち上がり配管部129と室外機接続部125との間に設置されている。
【0053】
次に、本実施の形態における冷凍サイクル装置の動作を図4図5を用いて説明する。
【0054】
インジェクション圧縮機111で圧縮されて高圧になった冷媒はインジェクション圧縮機111から吐出され、吐出管112を経て室外空調ユニット101から出た後、室内空調ユニット102に入る。室内空調ユニット102に入った冷媒は室内熱交換器113で周囲の空気に熱を放出して凝縮し、高圧の過冷却液状態となった後、第1圧力調整装置114で中間圧力まで膨張し気液二相状態となって室内空調ユニット102から出る。
【0055】
室内空調ユニット102から出た後、室外空調ユニット101に戻った冷媒の一部は、吸入バイパス管126に流入し、吸入バイパス流量調整装置127で減圧された後、第1過冷却熱交換器124で吸熱し過熱ガス状態となって吸入管128を流れる冷媒と合流する。室外空調ユニット101に戻った冷媒の残りは、立ち上がり配管部129に流入し、第1過冷却熱交換器124で放熱し第1過冷却熱交換器124から出る。第1過冷却熱交換器124から出た冷媒は第1分岐部120で分岐し、一部はインジェクション配管118に流入し、残りの冷媒は気液分離器121に流入する。気液分離器121に流入した気液二相状態の冷媒は気相冷媒と液相冷媒とに分離され、気相冷媒はガスバイパス管122に流入し、液相冷媒は気液分離器121から出た後、第2圧力調整装置116に流入する。第2圧力調整装置116に流入した冷媒は、第2圧力調整装置116で減圧された後、室外熱交換器117で周囲の空気から熱を奪われて蒸発し、低圧の過熱ガス状態となってインジェクション圧縮機111に吸入される。
【0056】
インジェクション圧縮機111から吐出される冷媒の温度が高くなったときなどは、流量調整装置119を開とすることで、インジェクション配管118に気液二相状態の冷媒が流入し、インジェクション配管118に流入した冷媒は、開状態の流量調整装置119を通過した後、合流部123を通って、ガスバイパス管122を流れる気相冷媒と合流した後、インジェクション圧縮機111に供給される。
【0057】
以上のように、本実施の形態においては、第1分岐部120と室外機接続部125との間に立ち上がり配管部129を備え、立ち上がり配管部129または立ち上がり配管部129と室外機接続部125との間に吸入バイパス管126を流れる冷媒と熱交換する第1過冷却熱交換器124を設置しているため、乾き度が0.2〜0.4の気液二相状態で室外空調ユニット101に戻ってきた冷媒は、第1過冷却熱交換器124で吸入バイパス管126を流れる冷媒に放熱し乾き度が0.2以下となる。
【0058】
乾き度が0.2〜0.4の気液二相状態のまま立ち上がり配管部129を流れると、流動様式が環状流となるため、気相冷媒が配管内壁面に張り付いた液相冷媒の間を吹き抜けることで液相冷媒が立ち上がり配管部129の内部に滞ることがあるが、本実施の形態においては、第1過冷却熱交換器124で放熱し乾き度が0.2以下となって立ち上がり配管部129を流れることで、流動様式がチャーン流となり気液が混ざり合った流れとなるため、第1分岐部120に液相冷媒が安定的に供給される。
【0059】
したがって、室内温度が高く、室内熱交換器113で過冷却度が取れず、中間圧の冷媒の乾き度が高くなる場合において、立ち上がり配管部129を液相冷媒が安定的に流れるため、インジェクション圧縮機111の圧縮部に冷却効果の大きい液相冷媒が十分に供給され、吐出温度の過昇を抑制できる。
【0060】
(実施の形態3)
図6に本発明の実施の形態3における冷凍サイクル装置の構成図を示す。
【0061】
図6の冷凍サイクル装置の構成において、第2過冷却熱交換器130は第1分岐部120から分岐した冷媒と吸入管128を流れる冷媒とで熱交換する熱交換器で、流量調整装置119と第1分岐部120との間に設置されている。
【0062】
次に、本実施の形態における冷凍サイクル装置の動作を説明する。
【0063】
図6において、インジェクション圧縮機111で圧縮されて高圧になった冷媒はインジェクション圧縮機111から吐出され、吐出管112を経て室外空調ユニット101から出た後、室内空調ユニット102に入る。室内空調ユニット102に入った冷媒は室内熱交換器113で周囲の空気に熱を放出して凝縮し、高圧の過冷却液状態となった後、第1圧力調整装置114で中間圧力まで膨張し気液二相状態となって室内空調ユニット102から出る。
【0064】
室外空調ユニット101に戻った冷媒は第1分岐部120で分岐し、一部はインジェクション配管118に流入し、第2過冷却熱交換器130で吸入管128を流れる冷媒に放熱した後、流量調整装置119を経て合流部123でガスバイパス管122を流れる冷媒と合流し、インジェクション圧縮機111に流入する。室外空調ユニット101に戻った冷媒の残りは気液分離器121に流入する。
【0065】
気液分離器121に流入した気液二相状態の冷媒は気相冷媒と液相冷媒とに分離され、気相冷媒はガスバイパス管122に流入し、液相冷媒は気液分離器121から出た後、第2圧力調整装置116に流入する。第2圧力調整装置116に流入した冷媒は、第2圧力調整装置116で減圧された後、室外熱交換器117で周囲の空気から熱を奪われて蒸発し、低圧の過熱ガス状態となってインジェクション圧縮機111に吸入される。
【0066】
インジェクション圧縮機111から吐出される冷媒の温度が高くなったときなどは、流量調整装置119を開とすることで、インジェクション配管118に気液二相状態の冷媒が流入し、インジェクション配管118に流入した冷媒は、開状態の流量調整装置119を通過した後、合流部123を通って、ガスバイパス管122を流れる気相冷媒と合流した後、インジェクション圧縮機111に供給される。
【0067】
以上のように、本実施の形態においては、流量調整装置119と第1分岐部120との間に第2過冷却熱交換器130を備えているため、気液二相状態で室外空調ユニット101に戻ってきた冷媒は、第2過冷却熱交換器130で吸入管128を流れる冷媒に放熱し過冷却液状態となる。
【0068】
飽和液状態に近い乾き度0.1以下の気液二相状態で流量調整装置119を流れる場合、室内空調運転の負荷変動によって飽和液状態と気液二相状態との間で状態変化が生じやすく、液単相から気液二相に変化する際の体積膨張により、流量調整装置119を流れる冷媒流量の急激な低下が発生する。しかし、本実施の形態においては、第2過冷却熱交換器130で吸入管128を流れる冷媒に放熱し過冷却液状態となった後に流量調整装置119を流れるため、冷媒流量の急激な低下は発生せずに流量が安定し、第1分岐部120に液相冷媒が安定的に供給される。
【0069】
したがって、第1分岐部120からインジェクション配管118に流入する冷媒の乾き度が小さく、室内機の空調負荷が変動に伴って、飽和液状態と気液二相状態との間で状態
変化が生じる場合において、液相冷媒を合流部123に安定的に供給できるため、圧縮機の圧縮部に冷却効果の大きい液相冷媒が十分に供給され、吐出温度の過昇を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明にかかる冷凍サイクル装置は、第1圧力調整装置114で中間圧まで減圧された気液二相状態の冷媒が第1分岐部120からインジェクション配管118に流入する場合において、液相冷媒の流れが滞り、インジェクション圧縮機111に液相冷媒が供給されなくなるのを抑制することが可能となるので、室内機が空調運転する際に、圧縮機の吐出ガス冷媒の温度が過度に上昇し、モーター巻線温度が上昇してモーター効率が低下するのを抑制し、高効率に運転できるものとして好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
101 室外空調ユニット
102 室内空調ユニット
111 インジェクション圧縮機
112 吐出管
113 室内熱交換器
114 第1圧力調整装置
115 中間圧冷媒配管
116 第2圧力調整装置
117 室外熱交換器
118 インジェクション配管
119 流量調整装置
120 第1分岐部
121 気液分離器
122 ガスバイパス管
123 合流部
124 第1過冷却熱交換器
125 室外機接続部
126 吸入バイパス管
127 吸入バイパス流量調整装置
128 吸入管
129 立ち上がり配管部
130 第2過冷却熱交換器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7