(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6813887
(24)【登録日】2020年12月22日
(45)【発行日】2021年1月13日
(54)【発明の名称】組合せ計量装置
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20201228BHJP
【FI】
G01G19/387 C
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2017-74722(P2017-74722)
(22)【出願日】2017年4月4日
(65)【公開番号】特開2018-179560(P2018-179560A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2020年2月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】大歳 弘樹
【審査官】
森 雅之
(56)【参考文献】
【文献】
特許第5364602(JP,B2)
【文献】
特許第6244122(JP,B2)
【文献】
特許第6595489(JP,B2)
【文献】
特許第6389903(JP,B2)
【文献】
米国特許出願公開第2016/0231164(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/387
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給される物品を略鉛直方向に規定される中心軸を中心に回転させ前記中心軸から遠ざかる方向に搬送するように構成されている分散テーブルと、
前記分散テーブル上に載置された前記物品の質量値を取得するように構成されている取得部と、
前記質量値に基づいて前記分散テーブルの回転速度を制御するように構成されている制御部とを具備しており、
前記制御部は、前記質量値が、第1質量値以下である場合、前記分散テーブルの回転速度を第1回転速度とし、前記質量値が、前記第1質量値よりも重い第2質量値である場合、前記分散テーブルの回転速度を前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度とするように構成されていることを特徴とする組合せ計量装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記質量値が前記第2質量値よりも重い第3質量値である場合、前記第2回転速度よりも早い第3回転速度とするように構成されている、請求項1に記載の組合せ計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組合せ計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1において、偏心円錐の外形をなすことにより急傾斜面及び緩傾斜面を有し上方から投入された物品を分散させる分散テーブルと、分散テーブルの周囲に円形配列され分散テーブルから供給された物品を外側に向けて搬送する複数の搬送手段と、各搬送手段の外端部の下方に配置されたホッパと、複数のホッパのうち物品の供給が不足している不足ホッパを検出する検出手段とを具備する組合せ計量装置が知られている。
【0003】
かかる特許文献1に記載されている組合せ計量装置は、分散テーブル上にある物品の合計重量が所定値を超えた場合、多量の物品が分散テーブル上に滞留していると検出して、分散テーブルの回転速度を高速にするように構成されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】特開2011-145245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されている技術によれば、物品の合計重量が所定値を超えた場合にのみ、分散テーブルの回転速度を早くするため、例えば、分散テーブルに付着する物品を抑制できる。このような動作は、緊急避難的に動作させる場合は好ましい。
【0006】
しかしながら、物品の合計質量値が大きい場合は、分散テーブル上の物品が多い。そのため、分散テーブルの回転速度を早くすると、各ホッパに対する物品の供給量が増大するため、1つのホッパに対する目標とする投入量を超える現象が発生する。このような現象が発生すると、組合せ精度が悪くなる。
【0007】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、物品の供給量に応じて分散テーブルの回転速度を制御することにより、1つのホッパに対する物品の投入量の精度を向上できる組合せ計量装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の特徴は、組合せ計量装置であって、外部から供給される物品を略鉛直方向に規定される中心軸を中心に回転させ前記中心軸から遠ざかる方向に搬送するように構成されている分散テーブルと、前記分散テーブル上に載置された前記物品の質量値を取得するように構成されている取得部と、前記質量値に基づいて前記分散テーブルの回転速度を制御するように構成されている制御部とを具備しており、前記制御部は、前記質量値が、第1質量値以下である場合、前記分散テーブルの回転速度を第1回転速度とし、前記質量値が、前記第1質量値よりも重い第2質量値である場合、前記分散テーブルの回転速度を前記第1回転速度よりも遅い第2回転速度とするように構成されていることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、物品の供給量に応じて分散テーブルの回転速度を制御することにより、1つのホッパに対する物品の投入量の精度を向上できる組合せ計量装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る組合せ計量装置1の外形の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る組合せ計量装置1の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る組合せ計量装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、適宜図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0012】
なお、発明者は、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0013】
(第1の実施形態)
以下、
図1〜
図3を参照して、第1の実施形態に係る組合せ計量装置1について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る組合せ計量装置1の外形の一例を示す図であり、
図2は、第1の実施形態に係る組合せ計量装置1の一例を模式的に示す図であり、
図3は、第1の実施形態に係る組合せ計量装置1の動作の一例を示すフローチャートである。
【0014】
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係る組合せ計量装置1は、分散テーブル10と、供給トラフ11と、複数のプールホッパ12と、複数の計量ホッパ13と、複数のブースタホッパ14と、集合排出シュート15と、取得部2と、制御部3とを具備している。
【0015】
分散テーブル10は、
図2に示すように、外部から供給される物品100を略鉛直方向D1に規定される中心軸Cを中心に回転させ中心軸Cから遠ざかる方向D2に搬送するように構成されている。
【0016】
例えば、本実施形態における分散テーブル10は、略鉛直方向D1に延びる中心軸C周りを回転駆動することで物品100を中心軸Cから遠ざかる方向D2に搬送する。ここで、物品100は、生の鶏肉等、柔らかく粘着性のある食品を搬送する。しかしながら、物品100は、これらに限定されるものではない。
【0017】
供給トラフ11は、分散テーブル10から供給される物品100を、それぞれの下流に対応して設けられた複数のプールホッパ14の各々に供給するように構成されている。
【0018】
プールホッパ12の各々は、供給トラフ11から供給される物品100を一時的に滞留させるように構成されている。各プールホッパ12の下部は、ゲート12aがそれぞれ設けられており、各ゲート12aの開閉動作により、各プールホッパ12に滞留されている物品100は、各ゲート12aの下方に設けられた計量ホッパ13の各々に排出される。
【0019】
計量ホッパ13の各々は、プールホッパ12の各々が排出する物品100を一時的に滞留させるように構成されている。計量ホッパ13の各々は、ロードセル等を含む質量検出器(図示せず)と接続されている。
【0020】
また、各計量ホッパ13の下部には、ゲート13aがそれぞれ設けられて、各ゲートの開閉動作により、各計量ホッパ13に滞留されている物品100は、各ゲート13aの下方に配置されるブースタホッパ14の各々に排出される。
【0021】
ブースタホッパ14の各々は、計量ホッパ13の各々から供給される物品100を収容し、一時的に物品100を保持するように構成されている。各ブースタホッパ14の下部には、ゲート14aがそれぞれ設けられて、各ゲート14aの開閉動作により、各ブースタホッパ14に滞留されている物品100は、各ゲート14aの下方に配置される集合排出シュート15に排出される。
【0022】
本実施形態では、説明の便宜上、プールホッパ12にロードセル等を含む質量検出器が接続されていないケースを例に挙げて説明する。しかしながら、本実施形態における組合せ計量装置1は、かかるケースに限定されることはなく、より物品100の計量の精度の向上等を目的としてプールホッパ12に質量検出器が接続されても構わない。かかるケースにおいても、物品100の最終的な計量値を取得するのは、計量ホッパ13である。
【0023】
集合排出シュート15は、複数のブースタホッパ14から排出される物品100を集合させ、下方に向けて落下させるように構成されている。
【0024】
取得部2は、分散テーブル10上に載置された物品100の質量値を取得するように構成されている。例えば、取得部2は、分散テーブル10に接続されているロードセル等を含む質量検出器によって構成されていてもよい。
【0025】
制御部3は、取得部2によって取得された物品100の質量値に基づいて分散テーブル10の回転速度を制御するように構成されている。
【0026】
具体的には、制御部3は、取得部2によって取得された物品100の質量値が、第1質量値以下である場合、分散テーブル10の回転速度を第1回転速度とし、取得部2によって取得された物品100の質量値が、第1質量値よりも重い第2質量値である場合、分散テーブル10の回転速度を第1回転速度よりも遅い第2回転速度とするように構成されている。
【0027】
かかる構成によれば、取得部2によって取得された物品100の質量値が第2質量値である場合(すなわち、分散テーブル10上に載置された物品100が多い場合)には、分散テーブル10の回転速度を遅くするように構成されているため、各プールホッパ12に対する物品100の投入量を抑えることができ、各プールホッパ12に対する物品の投入量の精度を向上させ、組合せ精度を向上させることができる。
【0028】
また、制御部3は、取得部2によって取得された物品100の質量値が第2質量値よりも重い第3質量値である場合、第2回転速度よりも早い第3回転速度とするように構成されていてもよい。
【0029】
かかる構成によれば、付着等により分散テーブル10上に対して、設計時に想定した質量値以上の物品100が滞留した場合、第2回転速度から第3回転速度へ速度を上げるため、その際に生じる加速度により、上記滞留状態を解消できる。
【0030】
以下、
図3を参照して、本実施形態に係る組合せ計量装置1の動作の一例について説明する。
【0031】
図3に示すように、ステップS101において、組合せ計量装置1は、外部から供給されて分散テーブル10上に載置された物品100の質量値を取得する。
【0032】
ステップS102において、組合せ計量装置1は、取得された物品100の質量値が第1質量値以下であるか否かについて判定する。Yesの場合、本動作は、ステップS103に進み、Noの場合、本動作は、ステップS104に進む。
【0033】
組合せ計量装置1は、ステップS103において、分散テーブル10の回転速度を第1回転速度とし、ステップS104において、分散テーブル10の回転速度を第2回転速度とする。
【0034】
本実施形態に係る組合せ計量装置1によれば、物品100の供給量に応じて分散テーブル10の回転速度を制御することにより、各プールホッパ12に対する物品100の投入量の精度を向上させることができる。
【0035】
(その他の実施形態)
上述のように、本発明について、上述した実施形態によって説明したが、かかる実施形態における開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。かかる開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【符号の説明】
【0036】
1…組合せ計量装置
10…分散テーブル
11…供給トラフ
12…プールホッパ
12a…ゲート
13…計量ホッパ
13a…ゲート
14…ブースタホッパ
14a…ゲート
15…集合排出シュート
100…物品
2…取得部
3…制御部