特許第6820694号(P6820694)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6820694埋設管の施工工法、および当該施工工法に用いる埋設管の埋設補助具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6820694
(24)【登録日】2021年1月7日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】埋設管の施工工法、および当該施工工法に用いる埋設管の埋設補助具
(51)【国際特許分類】
   E21D 9/06 20060101AFI20210114BHJP
【FI】
   E21D9/06 311Z
   E21D9/06 311G
【請求項の数】7
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-173010(P2016-173010)
(22)【出願日】2016年9月5日
(65)【公開番号】特開2018-40113(P2018-40113A)
(43)【公開日】2018年3月15日
【審査請求日】2019年6月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 卓真
(72)【発明者】
【氏名】松本 邦彦
【審査官】 湯本 照基
(56)【参考文献】
【文献】 特開平01−250594(JP,A)
【文献】 特開昭63−165698(JP,A)
【文献】 特開昭61−134497(JP,A)
【文献】 特開2001−214504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 9/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一埋設管が埋設されていない状態で第二埋設管を新設する場合に、前記第一埋設管が埋設される筒状の埋設予定箇所における一方の端部側に発進抗を構築する発進抗構築工程と、前記埋設予定箇所における他方の端部側に到達抗を構築する到達抗構築工程と、前記発進抗から推進工法で前記第一埋設管を前記埋設予定箇所に敷設する埋設工程とを実施し、さらに、埋設されている前記第一埋設管を、前記第二埋設管に装着した埋設補助具で押圧して、前記第一埋設管の一方の端部側に構築された発進抗側から前記第一埋設管の他方の端部側に構築された到達抗側へ押抜いて、当該第一埋設管を前記第二埋設管で置換する置換工程を実施する埋設管の施工工法。
【請求項2】
前記発進抗構築工程を実施した後に、前記埋設工程を実施し、その後、前記到達抗構築工程を実施し、さらに前記置換工程を実施する請求項1に記載の埋設管の施工法。
【請求項3】
前記埋設補助具は、前記第二埋設管の一端側に装着される先端部と、前記第二埋設管の他端側に装着される後端部と、前記第二埋設管内に挿入されて前記先端部及び前記後端部を支持する支持部とを備え、
前記先端部は、前記第一埋設管の前記発進抗側の端部に緩嵌する第一挿入部と、前記第二埋設管の一端側である前記第一埋設管に対向する側の端部に緩嵌する第二挿入部と、前記第一挿入部と前記第二挿入部との間に設けられて、前記第一埋設管の前記発進抗側の端部を押圧する押圧部と、を備え、
前記置換工程において、外部から前記後端部を押圧して、前記支持部及び前記先端部の押圧部を介して前記第一埋設管の発進抗側の端部を押圧する請求項1又は2に記載の埋設管の施工工法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の埋設管の施工工法に用いる埋設補助具であって、
前記第二埋設管の一端側に装着される先端部と、前記第二埋設管の他端側に装着される後端部と、前記第二埋設管内に挿入されて前記先端部及び前記後端部を支持する支持部とを備え、
前記先端部は、前記第一埋設管の前記発進抗側の端部に緩嵌する第一挿入部と、前記第二埋設管の一端側である前記第一埋設管に対向する側の端部に緩嵌する第二挿入部と、前記第一挿入部と前記第二挿入部との間に設けられて、前記第一埋設管の前記発進抗側の端部を押圧する押圧部と、を備えている埋設管の埋設補助具。
【請求項5】
前記後端部は、前記第二埋設管の他端側に緩嵌する位置決め部と、前記第二埋設管よりも大径で、外部からの押圧力を受ける伝達部と、を備えている請求項4に記載の埋設管の埋設補助具。
【請求項6】
前記位置決め部は、同一の軸心で異なる外径の複数の円柱状突起部として構成される請求項5に記載の埋設管の埋設補助具
【請求項7】
埋設されている第一埋設管を、第二埋設管に装着した埋設補助具で押圧して、前記第一埋設管の一方の端部側に構築された発進抗側から前記第一埋設管の他方の端部側に構築された到達抗側へ押抜いて、当該第一埋設管を前記第二埋設管で置換する置換工程を実施し、
前記埋設補助具は、前記第二埋設管の一端側に装着される先端部と、前記第二埋設管の他端側に装着される後端部と、前記第二埋設管内に挿入されて前記先端部及び前記後端部を支持する支持部とを備え、
前記先端部は、前記第一埋設管の前記発進抗側の端部に緩嵌する第一挿入部と、前記第二埋設管の一端側である前記第一埋設管に対向する側の端部に緩嵌する第二挿入部と、前記第一挿入部と前記第二挿入部との間に設けられて、前記第一埋設管の前記発進抗側の端部を押圧する押圧部と、を備え、
前記置換工程において、外部から前記後端部を押圧して、前記支持部及び前記先端部の押圧部を介して前記第一埋設管の発進抗側の端部を押圧する埋設管の施工工法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、埋設管の施工工法、および当該施工工法に用いる埋設管の埋設補助具に関する。
【背景技術】
【0002】
道路下などの公共用地の地中に、ガス管などの埋設管を埋設して敷設する場合、開削工法では、開削範囲を大きく取るため不経済であり、また、交通障害や工事公害の範囲が拡大するという問題があった。そこで、開削範囲を削減しつつ、適切に埋設管を敷設する埋設管の施工工法が望まれる。
【0003】
開削範囲を削減しつつ、適切に埋設管を地中に敷設する埋設管の施工工法としては、例えば特許文献1に記載される、推進工法が知られている。
この推進工法は、地面を広く開削して地中に埋設管を敷設するのではなく、発進抗と到達抗とを構築し、発進抗から到達抗に向けて地中に穴を削進しつつ埋設管を押し込んで、埋設管を敷設する工法である。
しかし、当該工法は、発進抗から到達抗に向けて地中に穴を削進しつつ埋設管を押しこむ場合に、到達抗の壁面や地盤が一部崩壊してしまう場合があり、問題となる。推進工法で埋設管が到達抗に達する時に、到達抗の壁面を地中側から破るように破壊するためである。このような場合、たとえば道路下で地盤が崩壊すると、安全上の問題や法規制の制約で、崩壊部分の上部の道路を開削して、修復する必要が生じることになる。
【0004】
開削範囲を削減しつつ、適切に埋設管を地中に敷設する埋設管の施工工法の別の例としては、たとえば特許文献2に開示されるような、埋設管の入替方法が知られている。
特許文献2が開示する埋設管の施工工法は、いわゆる押抜工法である。すなわち、老朽管が予め埋設されている場合に、発進抗側から、新設管で、老朽管を押し込みつつ、老朽管を到達抗側から引き抜いて、非開削下での新設管埋設を実現するのである。
押抜工法を用いる埋設管の施工工法は、到達抗側の地盤等の崩壊が起こりにくい点で好適である。しかし、新設管が破損しやすい場合があり、問題となる。新設管で老朽管を直接押し込む場合に、新設管に過大なストレスがかかるためである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6−248876号公報
【特許文献2】特開2001−27093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のように、埋設管を敷設する場合に、広く地面を開削せず効率的で、地盤の崩壊を回避し、埋設管の破損を抑制することのできる埋設管の施工工法の実現が望まれる。
【0007】
本発明は、かかる実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、埋設管を敷設する場合に、広く地面を開削せず経済的で、地盤の崩壊を回避し、埋設管の破損を抑制することのできる埋設管の施工工法および当該施工工法に用いる埋設管の埋設補助具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係る、埋設管の施工工法は、
第一埋設管が埋設されていない状態で第二埋設管を新設する場合に、前記第一埋設管が埋設される筒状の埋設予定箇所における一方の端部側に発進抗を構築する発進抗構築工程と、前記埋設予定箇所における他方の端部側に到達抗を構築する到達抗構築工程と、前記発進抗から推進工法で前記第一埋設管を前記埋設予定箇所に敷設する埋設工程とを実施し、さらに、埋設されている前記第一埋設管を、前記第二埋設管に装着した埋設補助具で押圧して、前記第一埋設管の一方の端部側に構築された発進抗側から前記第一埋設管の他方の端部側に構築された到達抗側へ押抜いて、当該第一埋設管を前記第二埋設管で置換する置換工程を実施する点にある。
【0009】
上記構成によれば、置換工程において、地中に埋設されている第一埋設管を第二埋設管に装着した埋設補助具で押圧して、いわゆる押抜工法により発進抗側から到達抗側へ押抜いて、第一埋設管が存在していた位置に第二埋設管を敷設することになる。
この場合、第一埋設管の一方の端部側に発進抗が構築され、第一埋設管の他方の端部側に到達抗が構築されていれば、第一埋設管が埋設された箇所(第二埋設管を埋設する埋設予定箇所)の上方側の地面を開削することなく、置換工程を実施して第二埋設管を敷設できるので、開削範囲を狭くすることができ経済的である。
【0010】
また、埋設されている第一埋設管を第二埋設管に装着した埋設補助具で当該第一埋設管の発進抗側端部から押圧して到達抗側に押抜くのみであるから、周囲の地盤等にストレスを与えることを回避して、第二埋設管の敷設時に地盤等の崩壊を回避することができる。
【0011】
また、第二埋設管に装着した埋設補助具で第一埋設管を押圧するため、第二埋設管と、第一埋設管とは直接接触しない。そのため、第二埋設管が変形する等の破損を回避することができる。さらに、第二埋設管が変形して周囲の地盤等にストレスを与えることを回避し、その結果、第二埋設管の敷設時に地盤等の崩壊を回避することができる。
【0012】
したがって、第二埋設管を敷設する場合に、広く地面を開削せず経済的で、第二埋設管を埋設する周囲の地盤の崩壊を回避し、第二埋設管の破損を抑制することのできる埋設管の施工工法を提供できる。
また、この施工工法によれば、例えば、第一埋設管が固い金属管である場合に、樹脂製の比較的柔らかい第二埋設管で第一埋設管を置換して、第二埋設管を新設することも可能となる。
【0014】
また、上記構成によれば、第一埋設管が埋設されていない場合であっても、第一埋設管を敷設する埋設工程、及び、埋設された第一埋設管を第二埋設管に置換する置換工程を行うことにより、広く地面を開削せず経済的で、地盤の崩壊を回避し、埋設管の破損を抑制することのできる埋設管の施工工法を提供できる。
すなわち、埋設されている第一埋設管が存在しない場合に、第一埋設管が埋設される筒状の埋設予定箇所における一方の端部側に発進抗を構築する発進抗構築工程と、当該埋設予定箇所における他方の端部側に到達抗を構築する到達抗構築工程とを実施して、さらに、埋設工程を実施して埋設予定箇所に第一埋設管を敷設すれば、その後、置換工程を実施することにより、新規に第二埋設管を敷設することができる。
【0015】
第一埋設管を埋設する埋設工程においては、発進抗から推進工法で、第一埋設管を推進して、第一埋設管が埋設される筒状の埋設予定箇所(第二埋設管を埋設する埋設予定箇所)に敷設する。このように埋設工程においては推進工法を用いるため、第一埋設管を敷設する場合に、第一埋設管が埋設される筒状の埋設予定箇所の上方側の地面を開削することがなく、開削範囲を狭くすることができ経済的である。
【0016】
したがって、第一埋設管が埋設されていない場合において新設管として第二埋設管を敷設する場合に、広く地面を開削せず経済的で、第二埋設管を埋設する周囲の地盤の崩壊を回避し、第二埋設管の破損を抑制することのできる埋設管の施工工法を提供できる。
また、この施工工法によれば、例えば、第二埋設管が柔らかい樹脂製の管であって、第二埋設管を直接に推進工法で埋設できないような場合であっても、第一埋設管として固い金属管などを用いれば、第一埋設管は推進工法で埋設できるので、第一埋設管を第二埋設管で置換して、第二埋設管を新たに敷設することも可能となる。
【0017】
本発明に係る埋設管の施工工法の更なる特徴構成は、
前記発進抗構築工程を実施した後に、前記埋設工程を実施し、その後、前記到達抗構築工程を実施し、さらに前記置換工程を実施する点にある。
【0018】
上記構成によれば、新設管たる第二埋設管を新規に敷設したい場合に、まず、発進抗を構築し、その後、到達抗を構築する前に、第一埋設管を敷設する埋設工程を実施することになる。
したがって、埋設工程において到達抗が存在しないため、第一埋設管の推進方向において第一埋設管の先方側には、崩壊するような壁面が存在しないこととなる。したがって第一埋設管を埋設する場合に、確実に地盤等の崩壊を回避できる。なお、到達抗は第一埋設管を埋設した後に構築すれば、その後、置換工程を実施して第二埋設管を敷設することができる。
【0019】
したがって、第一埋設管が埋設されていない場合において新設管として第二埋設管を敷設する場合に、広く地面を開削せず経済的で、第二埋設管を埋設する周囲の地盤の崩壊を確実に回避することのできる埋設管の施工工法を提供できる。
【0024】
本発明に係る埋設管の施工工法の更なる特徴構成は、
前記埋設補助具は、前記第二埋設管の一端側に装着される先端部と、前記第二埋設管の他端側に装着される後端部と、前記第二埋設管内に挿入されて前記先端部及び前記後端部を支持する支持部とを備え、
前記先端部は、前記第一埋設管の前記発進抗側の端部に緩嵌する第一挿入部と、前記第二埋設管の一端側である前記第一埋設管に対向する側の端部に緩嵌する第二挿入部と、前記第一挿入部と前記第二挿入部との間に設けられて、前記第一埋設管の前記発進抗側の端部を押圧する押圧部と、を備え、
前記置換工程において、外部から前記後端部を押圧して、前記支持部及び前記先端部の押圧部を介して前記第一埋設管の発進抗側の端部を押圧する点にある。
【0025】
また、本発明に係る埋設管の施工工法に用いる埋設管の埋設補助具の特徴構成は、
前記第二埋設管の一端側に装着される先端部と、前記第二埋設管の他端側に装着される後端部と、前記第二埋設管内に挿入されて前記先端部及び前記後端部を支持する支持部とを備え、
前記先端部は、前記第一埋設管の前記発進抗側の端部に緩嵌する第一挿入部と、前記第二埋設管の一端側である前記第一埋設管に対向する側の端部に緩嵌する第二挿入部と、前記第一挿入部と前記第二挿入部との間に設けられて、前記第一埋設管の前記発進抗側の端部を押圧する押圧部と、を備えている点にある。
【0026】
上記構成によれば、埋設された第一埋設管を第二埋設管に装着した埋設補助具で押圧して、第一埋設管を発進抗側から到達抗側に向けて押抜く際には、埋設補助具の先端部における第一挿入部は第一埋設管の発進抗側の端部に緩嵌し、第二挿入部は第二埋設管の一端側である第一埋設管に対向する側の端部に緩嵌し、さらに、押圧部は第一埋設管の発進抗側の端部を押圧することになる。
そして、このように先端部が第一埋設管と第二埋設管とに緩嵌した状態で、第一埋設管を押圧して押抜く場合、第一埋設管と第二埋設管とは、埋設補助具の先端部を介してそれぞれ互いを拘束した状態になる。また、第一埋設管の軸心と、第二埋設管の軸心とが同一の軸心上に存在することになる。
第一埋設管の軸心と、第二埋設管の軸心が同一の軸心上に存在するため、埋設補助具を装着した第二埋設管で第一埋設管を押圧して押抜く場合に、第一埋設管と第二埋設管とが芯ブレを起こすことなく、第一埋設管を第二埋設管の軸心方向に沿って到達抗側に向けてまっすぐに、かつ、確実に押抜くことができる。
【0027】
また、第一埋設管の発進抗側の端部を押圧する押圧部を、第一挿入部と第二挿入部との間に設けているため、第二埋設管は、第一埋設管に直接接触しない。したがって、第二埋設管が第一埋設管と接触して破損等することを回避できる。
そして、押圧部を備える先端部は、第二埋設管に挿入された支持部を介して後端部に支持されているため、先端部は、外部から後端部に与えられた押圧力を受けて、押圧部で第一埋設管を押圧することができる。言い換えると、第一埋設管を第二埋設管に置換する置換工程において、外部から埋設補助具の後端部を押圧して、埋設補助具の支持部及び先端部の押圧部を介して第一埋設管の発進抗側の端部を押圧することで、当該第一埋設管を第二埋設管で置換する。
【0028】
つまり、第一埋設管を押圧する応力は、外部から埋設補助具に与えられる。そして、埋設補助具は、その与えられた応力を、第二埋設管に伝達することなく、先端部の押圧部を介して第一埋設管を押圧する押圧力とする。したがって、第二埋設管が外部から与えられる応力で破損等することを回避できる。
【0029】
すなわち、埋設補助具の先端部は、第二埋設管の一端側(第一埋設管に対向する側)の端部に装着される。そして、埋設補助具は第二埋設管に対して応力を与えることなく、後端部で与えられた押圧力を先端部から直接、第一埋設管の発進抗側の端部に押圧力として伝達する。そのため、埋設補助具を装着した第二埋設管は、埋設補助具により保護される。したがって、第二埋設管を破損等させることなく、第一埋設管を押圧して、第一埋設管を押抜くことができる。また、第二埋設管が第一埋設管よりもやわらかい場合や脆弱である場合にも、第一埋設管を押圧して、第一埋設管を押抜くことができる。
【0030】
本発明に係る埋設管の施工工法に用いる埋設管の埋設補助具の特徴構成は、
前記後端部は、前記第二埋設管の他端側に緩嵌する位置決め部と、前記第二埋設管よりも大径で、外部からの押圧力を受ける伝達部と、を備えている点にある。
【0031】
上記構成によれば、埋設補助具の後端部は、位置決め部により第二埋設管の他端側に緩嵌する。
すなわち、第二埋設管には、一端側に先端部の第二挿入部が緩嵌され、他端側に後端部の位置決め部が緩嵌された状態になる。そして、埋設補助具の先端部は、第二埋設管に挿入された支持部を介して後端部に支持されているため、第二埋設管は、支持部を介して連結する先端部と後端部により拘束された状態になる。
したがって、埋設補助具を装着した第二埋設管で第一埋設管を押圧して押抜く場合に、第二埋設管の軸心と後端部の軸心とが、同一の軸心上に存在することになる。また、先端部も第二埋設管に緩嵌されているため、後端部の軸心と先端部の軸心とが、同一の軸心上に存在することになる。すなわち、第二埋設管の軸心と埋設補助具とが同一の軸心上に存在することになる。
【0032】
そして、第二埋設管の軸心と埋設補助具が同一の軸心上に存在するため、埋設補助具を装着した第二埋設管で第一埋設管を押圧して押抜く場合に、第二埋設管は埋設補助具に対して芯ブレを起こすことは無い。また、先端部が第一埋設管と第二埋設管とに緩嵌しているため、第一埋設管と第二埋設管とが芯ブレを起こすことは無い。
その結果、第一埋設管と第二埋設管と埋設補助具とがそれぞれ芯ブレを起こすことなく、埋設補助具を装着した第二埋設管で第一埋設管を一層確実に押抜くことができる。
【0033】
本発明に係る埋設管の施工工法に用いる埋設管の埋設補助具の特徴構成は、
前記位置決め部は、同一の軸心で異なる外径の複数の円柱状突起部として構成される点にある。
【0034】
上記構成によれば、位置決め部に、複数の円柱状突起部の外径に対応する、複数の内径の第二埋設管を緩嵌することができる。すなわち、ひとつの後端部を、内径の異なる複数の埋設管の敷設に用いることができる。
したがって、埋設管を敷設する工事現場で、複数の径の埋設管を敷設する必要がある場合に、工事現場に備える部材数を削減することができるため好適である。
上記目的を達成するための本発明に係る、埋設管の施工工法は、
埋設されている第一埋設管を、第二埋設管に装着した埋設補助具で押圧して、前記第一埋設管の一方の端部側に構築された発進抗側から前記第一埋設管の他方の端部側に構築された到達抗側へ押抜いて、当該第一埋設管を前記第二埋設管で置換する置換工程を実施し、
前記埋設補助具は、前記第二埋設管の一端側に装着される先端部と、前記第二埋設管の他端側に装着される後端部と、前記第二埋設管内に挿入されて前記先端部及び前記後端部を支持する支持部とを備え、
前記先端部は、前記第一埋設管の前記発進抗側の端部に緩嵌する第一挿入部と、前記第二埋設管の一端側である前記第一埋設管に対向する側の端部に緩嵌する第二挿入部と、前記第一挿入部と前記第二挿入部との間に設けられて、前記第一埋設管の前記発進抗側の端部を押圧する押圧部と、を備え、
前記置換工程において、外部から前記後端部を押圧して、前記支持部及び前記先端部の押圧部を介して前記第一埋設管の発進抗側の端部を押圧する点にある。
上記構成によれば、置換工程において、地中に埋設されている第一埋設管を第二埋設管に装着した埋設補助具で押圧して、いわゆる押抜工法により発進抗側から到達抗側へ押抜いて、第一埋設管が存在していた位置に第二埋設管を敷設することになる。
この場合、第一埋設管の一方の端部側に発進抗が構築され、第一埋設管の他方の端部側に到達抗が構築されていれば、第一埋設管が埋設された箇所(第二埋設管を埋設する埋設予定箇所)の上方側の地面を開削することなく、置換工程を実施して第二埋設管を敷設できるので、開削範囲を狭くすることができ経済的である。
また、埋設されている第一埋設管を第二埋設管に装着した埋設補助具で当該第一埋設管の発進抗側端部から押圧して到達抗側に押抜くのみであるから、周囲の地盤等にストレスを与えることを回避して、第二埋設管の敷設時に地盤等の崩壊を回避することができる。
また、第二埋設管に装着した埋設補助具で第一埋設管を押圧するため、第二埋設管と、第一埋設管とは直接接触しない。そのため、第二埋設管が変形する等の破損を回避することができる。さらに、第二埋設管が変形して周囲の地盤等にストレスを与えることを回避し、その結果、第二埋設管の敷設時に地盤等の崩壊を回避することができる。
したがって、第二埋設管を敷設する場合に、広く地面を開削せず経済的で、第二埋設管を埋設する周囲の地盤の崩壊を回避し、第二埋設管の破損を抑制することのできる埋設管の施工工法を提供できる。
また、この施工工法によれば、例えば、第一埋設管が固い金属管である場合に、樹脂製の比較的柔らかい第二埋設管で第一埋設管を置換して、第二埋設管を新設することも可能となる。
また、上記構成によれば、埋設された第一埋設管を第二埋設管に装着した埋設補助具で押圧して、第一埋設管を発進抗側から到達抗側に向けて押抜く際には、埋設補助具の先端部における第一挿入部は第一埋設管の発進抗側の端部に緩嵌し、第二挿入部は第二埋設管の一端側である第一埋設管に対向する側の端部に緩嵌し、さらに、押圧部は第一埋設管の発進抗側の端部を押圧することになる。
そして、このように先端部が第一埋設管と第二埋設管とに緩嵌した状態で、第一埋設管を押圧して押抜く場合、第一埋設管と第二埋設管とは、埋設補助具の先端部を介してそれぞれ互いを拘束した状態になる。また、第一埋設管の軸心と、第二埋設管の軸心とが同一の軸心上に存在することになる。
第一埋設管の軸心と、第二埋設管の軸心が同一の軸心上に存在するため、埋設補助具を装着した第二埋設管で第一埋設管を押圧して押抜く場合に、第一埋設管と第二埋設管とが芯ブレを起こすことなく、第一埋設管を第二埋設管の軸心方向に沿って到達抗側に向けてまっすぐに、かつ、確実に押抜くことができる。
また、第一埋設管の発進抗側の端部を押圧する押圧部を、第一挿入部と第二挿入部との間に設けているため、第二埋設管は、第一埋設管に直接接触しない。したがって、第二埋設管が第一埋設管と接触して破損等することを回避できる。
そして、押圧部を備える先端部は、第二埋設管に挿入された支持部を介して後端部に支持されているため、先端部は、外部から後端部に与えられた押圧力を受けて、押圧部で第一埋設管を押圧することができる。言い換えると、第一埋設管を第二埋設管に置換する置換工程において、外部から埋設補助具の後端部を押圧して、埋設補助具の支持部及び先端部の押圧部を介して第一埋設管の発進抗側の端部を押圧することで、当該第一埋設管を第二埋設管で置換する。
つまり、第一埋設管を押圧する応力は、外部から埋設補助具に与えられる。そして、埋設補助具は、その与えられた応力を、第二埋設管に伝達することなく、先端部の押圧部を介して第一埋設管を押圧する押圧力とする。したがって、第二埋設管が外部から与えられる応力で破損等することを回避できる。
すなわち、埋設補助具の先端部は、第二埋設管の一端側(第一埋設管に対向する側)の端部に装着される。そして、埋設補助具は第二埋設管に対して応力を与えることなく、後端部で与えられた押圧力を先端部から直接、第一埋設管の発進抗側の端部に押圧力として伝達する。そのため、埋設補助具を装着した第二埋設管は、埋設補助具により保護される。したがって、第二埋設管を破損等させることなく、第一埋設管を押圧して、第一埋設管を押抜くことができる。また、第二埋設管が第一埋設管よりもやわらかい場合や脆弱である場合にも、第一埋設管を押圧して、第一埋設管を押抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】埋設管の施工方法の概略構成図
図2】埋設補助具の構成、および第一埋設管と第二埋設管との関係図
図3】先端部の構成図
図4】後端部の構成図
図5】支持軸部の構成図
図6】延長指示軸部の構成図
図7】発進抗構築工程(発進抗構築前)の説明図
図8】発進抗構築工程(発進抗構築後)の説明図
図9】埋設工程(埋設時)の説明図
図10】埋設工程(埋設後)の説明図
図11】到達抗構築工程の説明図
図12】置換工程の説明図
図13】置換工程の終了時の説明図
図14】撤去工程(封止工程の開始時)の説明図
図15】撤去工程(封止工程の完了直前)の説明図
図16】撤去工程(封止工程の終了時)の説明図
図17】撤去工程の完了時の説明図
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1から図17に基づいて、本発明の実施形態に係る埋設管の施工工法及び埋設補助具について説明する。
まず、本実施形態に係る埋設管の施工工法の概要を説明する。
【0037】
図1に示すように、本実施形態に係る埋設管の施工工法は、埋設されている第一埋設管10を、第二埋設管20に装着した埋設補助具100で押圧して、第一埋設管10の一方の端部側に構築された発進抗40側から第一埋設管10の他方の端部側地中に構築された到達抗50側へ押抜いて、当該第一埋設管10を第二埋設管20で置換する置換工程を実施する。
なお、図1は、置換工程の一部を示しているが、埋設補助具100が、押圧力発生部91で押圧され、その押圧力で第一埋設管10を発進抗40の側から到達抗50の側に向けて、押圧する場合を示している。
【0038】
この置換工程は、詳細は後述するが、少なくとも下記3つの状況において実施される。
(1)第一埋設管10が埋設されていない状態で第二埋設管20を新設する場合。
(2)第一埋設管10が埋設されている状態で、当該第一埋設管10を第二埋設管20に入れ替える場合。
(3)第一埋設管10が埋設されている状態で、当該第一埋設管10を撤去する場合。
【0039】
次に、本実施形態に係る埋設管の施工工法で用いる埋設補助具100について概要を説明する。
本実施形態に係る埋設補助具100は、第二埋設管20の一端側の端部22に装着される先端部110と、第二埋設管20の他端側の端部21に装着される後端部130と、第二埋設管20内に挿入されて先端部110及び後端部130を支持する支持部120とを備え、先端部110は、第一埋設管10の発進抗側の端部11に緩嵌する第一挿入部111と、第二埋設管20の一端側である第一埋設管10に対向する側の端部22に緩嵌する第二挿入部112と、第一挿入部111と第二挿入部112との間に設けられて、第一埋設管10の発進抗側の端部11を押圧する押圧部113と、を備えている。
【0040】
埋設補助具100と、第一埋設管10と、第二埋設管20と、についての概要を図2に示す。
図2は、埋設補助具100と第二埋設管20と第一埋設管10の、埋設補助具100の使用時における位置関係を示しており、第二埋設管20に装着した埋設補助具100で第一埋設管10を押圧している場合の位置関係で図示している。
【0041】
本例では、第一埋設管10および第二埋設管20がガス管に用いる埋設管の場合を示している。
また本例では、埋設補助具100と、第一埋設管10と、第二埋設管20とはそれぞれ以下の材質である場合を示している。
埋設補助具100を構成する各部材が、ステンレス材である。
第一埋設管10が鉄製の鋳鉄管である。
第二埋設管20は、鋳鉄管よりやわらかい、ポリエチレン製のポリエチレン管である。したがって第二埋設管20は、鋳鉄管より破損しやすい。
この第一埋設管10と第二埋設管20との材質の組み合わせは、旧式のガス管である鋳鉄管を、耐久性等に優れた新規のガス管用のポリエチレン管に置き換える、ガス管の更新工事を施工する場合を想定したものである。
【0042】
本例は一例であるため、第一埋設管10と第二埋設管20との組み合わせを限定するものでは無い。
しかし、第二埋設管20が、第一埋設管10よりもやわらかい場合や、敷設時に破損等起こしやすい場合には、本施工工法は特に好適である。
【0043】
第一埋設管10として想定される管材を例示列挙すると、第一埋設管10がガス管の場合にはポリエチレン管の他、ポリプロピレン管、塩化ビニル管、フッ素樹脂系材料を用いた管材など、樹脂製の管材料や、鋳鉄管や鋼管、ステンレス管、などを例示列挙できる。
第一埋設管10がガス管以外であれば、さらにその他の管材の場合もある。
【0044】
第二埋設管20として想定される管材を例示列挙すると、第二埋設管20がガス管の場合には、ポリエチレン管の他、ポリプロピレン管、塩化ビニル管、フッ素樹脂系材料を用いた管材など、樹脂製の管材料がある。また、鋳鉄管や鋼管、ステンレス管、などの場合もある。
第二埋設管20がガス管以外であれば、さらにその他の管材の場合もある。
【0045】
本実施形態の埋設管の施工工法は、押圧力発生部91としていわゆる土止め用の水圧ジャッキを用いた場合には、第一埋設管10、および第二埋設管20の管径は、JIS規格に言う呼び径32Aから100Aである場合に、特に好適である。具体的には、呼び径32A、50A、75A、100Aの管材が典型例である。
本例では、埋設補助具100は、上記管径に対応したものを使用した場合を例示している。
【0046】
なお、第一埋設管10、および第二埋設管20の管径は、上記管径に限定されず、押圧力発生部91として、その他の押圧する装置を用いる場合(たとえば押圧力発生部91として、土止め用の水圧ジャッキよりも強力な電動油圧ジャッキを用いる場合)には、さらに大径の管径の管材であっても本実施形態の埋設管の施工工法は、好適に利用可能である。
【0047】
本例では、第一埋設管10と第二埋設管20とはそれぞれ同じ呼び径の管部材である。 ただし、第一埋設管10と第二埋設管20とはそれぞれ材質が異なるため、JIS規格の管部材を用いた場合、それぞれ外径の実寸は第一埋設管10が第二埋設管20よりやや大きくなる。しかし、通常は、外径差は1mm程度である。
またそれぞれ内径の実寸は第一埋設管10が第二埋設管20よりやや小さい組み合わせの場合を示している。
なお、本施工方法は、第一埋設管10ないし第二埋設管20の管径が100A以下の場合に特に適している。
また、第二埋設管20の外径が第一埋設管10の外径と実寸で同一である場合か、もしくは同一の呼び径であり、実寸ではやや小さい場合に好適に用いることができる。
【0048】
先端部110について図2図3をもとに説明する。
先端部110は、第一挿入部111と第二挿入部112と、押圧部113と、先端接続部114とを備える。
【0049】
第一挿入部111は、第一埋設管10に内嵌するように構成されている。本例では、第一挿入部111は、第一埋設管10の発進抗側の端部11に緩嵌する。第一挿入部111は、先端部110の、第一埋設管10の端部11に内嵌するための部分である。
【0050】
第一挿入部111は、およそ円柱状に形成されて、第一埋設管10の管内に緩く嵌るようになっている。つまり、第一挿入部111は、第一埋設管10の内径よりやや小さい程度の外径の円柱状に形成されて、第一埋設管10の管内に緩嵌するのである。
第一挿入部111の第一埋設管10側端部は、例えば面取りされており、第一埋設管10に嵌めやすくなっている。
本例では、第一挿入部111は、直胴の直動部111bと、面取り部111aを備えている。
【0051】
第一挿入部111の厚み、すなわち第一挿入部111の第一埋設管10に内嵌する深さは、たとえば10mmである。この厚みは、第一挿入部111が第一埋設管10に内嵌した場合に、通常の取り扱いで、第一挿入部111と第一埋設管10との嵌め合い部分が不意に外れてしまわない程度の厚みがあればよい。
【0052】
後述するように、埋設補助具100は、第二埋設管20に装着された後に、第一挿入部111を第一埋設管10に内嵌するため、第一挿入部111が面取り部111aを備えている場合は、第一挿入部111を第一埋設管10に内嵌する場合の作業性が著しく向上し、好ましい。
【0053】
第二挿入部112は、第二埋設管20に内嵌するように構成されている。本例では、第二挿入部112は、第二埋設管20の第一埋設管10に対向する側の端部22に緩嵌する。第二挿入部112は、先端部110の、第二埋設管20の端部22に内嵌するための部分である。
【0054】
第二挿入部112は、およそ円柱状に形成されて、第二埋設管20の管内に緩く嵌るようになっている。つまり、第二挿入部112は、第二埋設管20の内径よりやや小さい程度の外径の円柱状に形成されて、第二埋設管20の管内に緩嵌するのである。
第二挿入部112の第二埋設管20側端部は、例えば面取りされており、第二埋設管20に嵌めやすくなっている。
【0055】
第二挿入部112の厚みは、たとえば10mmである。すなわち第二挿入部112の第二埋設管20に内嵌する深さは、たとえば10mmである。この厚みは、第二挿入部112が第二埋設管20に内嵌した場合に、通常の取り扱いで、第二挿入部112と第二埋設管20との嵌め合い部分が不意に外れてしまわない程度の厚みがあればよい。
【0056】
第一挿入部111と第二挿入部112との関係について補足する。
第一挿入部111の外径と第二挿入部112の外径とは、通常はおよそ同一となる。しかし、第一埋設管10と第二埋設管20との材質や規格が異なる場合は、第一挿入部111の外径がと第二挿入部112の外径とは、通常はおよそ同一であっても、やや異なる場合がある。
本例では、第一埋設管10の内径が第二埋設管20よりもやや大きいため、第一挿入部111の外径が、第二挿入部112の外径よりもやや大きい場合を示している。なお、第一埋設管10が鋳鉄管で、第二埋設管20がポリエチレン管の場合は、それぞれの内径差は高々15mm程度である。
【0057】
押圧部113は、第一挿入部111と第二挿入部112の間に設けられており、第一挿入部111と第二挿入部112との接続部として機能する。また、第一埋設管10を押圧する部分として機能する。
押圧部113は、通常は、第一埋設管10や第二埋設管20と、同じ外径であるか、やや大きい外径の柱状の部材である。柱状としては、例えば円柱状や円錐状が含まれる。
本例では、第一埋設管10の外径が第二埋設管20よりもやや小さいため、押圧部113は第一挿入部111から第二挿入部112に向けて、やや縮径する円錐状の場合を示している。
また、押圧部113の最大径の部分の外径は、第二埋設管20より、やや大きい外径となっている。押圧部113の最大径の部分の外径を、第二埋設管20より、やや大きい外径とすると、第一埋設管10を第二埋設管20で置換する場合に、第二埋設管20の挿入が容易になる。押圧部113により、第一埋設管10が存在していた空間が拡径されるためである。
押圧部113の厚みは、例えば10mmである。この厚みは、押圧部113が第一埋設管10を押圧する場合に、変形や破損しない程度の強度を有する厚みであればよい。
【0058】
先端部110と第一埋設管10と第二埋設管20との関係について補足する。
図2に示すように、先端部110と第一埋設管10と第二埋設管20とは、同一の軸心Pを共有する。
【0059】
支持部120は、先端部110を第二埋設管20の管内部から支持する部材である。図2図3図4図5図6を用いて以下説明する。
支持部120は、支持軸部121と、支持軸部121の一端に後端支持接続部123と、支持軸部121の他端に先端支持接続部124と、ロックナット125を備えている。
支持軸部121は、第二挿入部112の外径よりも小さい外径の棒状部材である。
本例では、たとえば直径30mmの円柱状の棒状部材を用いている。
【0060】
支持部120は、後端部130に保持された状態で、第二埋設管20の管内に挿入されている。つまり、後端部130が、第二埋設管20に挿入された支持部120を介して、端部22に緩嵌した先端部110を、端部21側から支持しているのである。
【0061】
後端部130は、第二埋設管20の端部21に緩嵌する位置決め部131と、第二埋設管20よりも大径で、外部からの押圧力を受ける伝達部132と、支持部120と接続する後端接続部139とを備えている。
【0062】
位置決め部131は、第二埋設管20に内嵌するように構成されている。本例では、位置決め部131は、第二埋設管20の他端側の端部21に緩嵌する。位置決め部131は、後端部130の、第二埋設管20の端部21に内嵌するための部分である。
【0063】
位置決め部131は、およそ円柱状に形成されて、第二埋設管20の管内に緩く嵌るようになっている。つまり、位置決め部131は、第二埋設管20の内径よりやや小さい程度の外径の円柱状に形成されて、第二埋設管20の管内に緩嵌するのである。
位置決め部131の第二埋設管20側端部は、面取りして、第二埋設管20に嵌めやすくしてもよい。
【0064】
本例では、位置決め部131は、第二埋設管20の軸心方向と同一の軸心Pを共有し、異なる外径の複数の円柱状に突起した構造体として構成されている。本例では、位置決め部131である円柱状に突起した構造体として、伝達部132に、位置決め部131として2つの円柱状突起部131a、131bを備え、ひとつの後端部130として機能させる場合を示している。
円柱状突起部131aや、円柱状突起部131bの厚みは、たとえば4mmである。すなわち位置決め部131(円柱状突起部131a、131b)の第二埋設管20に内嵌する深さは、たとえば4mmである。
【0065】
位置決め部131として機能する円柱状に突起した構造体は、3つ以上備えてもよい。
たとえば、第二埋設管20が、JIS規格に言う呼び径32A、50A、75A、100Aである場合に対応して、位置決め部131となる円柱状に突起した構造体を、4つ備えてもよい。この場合は、伝達部132は、位置決め部131が内嵌することを予定する最も大きな管である呼び径100Aの第二埋設管20よりも大径に形成する。
【0066】
つまり、円柱状突起部131a、131bは、位置決め部131として、それぞれ異なる内径の第二埋設管20に内嵌するように構成されているのである。具体的には、より大径の第二埋設管20に使用する場合は、第二埋設管20に円柱状突起部131aが緩嵌し、小径の第二埋設管20には円柱状突起部131bが緩嵌することになる。位置決め部131が複数の円柱状突起部を3つ以上備える場合も同様である。
【0067】
本例で示す、先端部110と支持部120と後端部130との接続・支持関係についてその一例を補足説明する。
【0068】
まず、先端部110と支持部120との関係を補足する。
先端部110の先端接続部114は雌ねじで構成されている。
支持部120の先端支持接続部124は、先端接続部114と螺合接続することができる雄ねじで構成されている。
つまり、先端部110は、先端接続部114と先端支持接続部124とで螺合接続し、支持部120と接続されて、支持部120に支持される。
【0069】
ロックナット125は、先端部110を支持部120に接続する場合に、先端支持接続部124が先端接続部114に螺合接続する深さを規制するための部材である。また、先端接続部114の強度を補強する役割も担う。本例では、先端支持接続部124に螺合するナット状部材を用いている。ロックナット125を先端支持接続部124に対して前後させ、先端支持接続部124が先端接続部114と螺合する深さを調節し、支持部120と、後端部130との距離を調整し、また固定するのである。この調整・固定方法は、いわゆるダブルナットである。つまり、ロックナット125と先端接続部114とはダブルナットで固定される。
【0070】
つぎに、支持部120と後端部130との関係について補足する
支持部120の後端支持接続部123は、雌ねじで構成されている。
後端接続部139は後端支持接続部123と螺合接続することができる雄ねじで構成されている。
つまり、支持部120は、後端支持接続部123と後端接続部139とで螺合接続し、後端部130と接続して、後端部130に保持される。
支持部120は、位置決め部131の軸心P上にあるように支持される。
【0071】
軸心Pと先端部110と支持部120と後端部130との関係について補足する。
軸心Pは、先端部110の第一挿入部111および第二挿入部112の中心、および後端部130の位置決め部131の中心を通る位置にある。本例ではさらに、軸心Pは、支持部120の支持軸部121および延長支持軸部122の中心を通る位置にある。
【0072】
支持部120について補足する。
本例では、支持部120は、支持軸部121に一つ以上の延長支持軸部122が接続されて、一体の支持部120として機能する場合がある。つまり、必要に応じて、延長支持軸部122を接続することができる。
【0073】
支持部120は、支持軸部121に一つ以上の延長支持軸部122が接続されて、一体の支持部120として機能する場合、延長支持軸部122は、後端接続部139と同様の雄ねじで形成された延長接続部126と、後端支持接続部123b(123)とを備える。
【0074】
延長接続部126は、支持軸部121の後端支持接続部123a(123)と螺合して、一体の支持部120となることができる。
長さの異なる延長支持軸部122を複数用意し、適宜組み合わせて用いれば、支持部120を任意の長さに調整できる。
したがって、埋設補助具100の長さを任意に調節して、任意の長さの第二埋設管20に用いることができる。たとえば、置換工程を実施する工事現場において、任意の長さの第一埋設管10や第二埋設管20に埋設補助具100を用いる場合に、埋設補助具100の長さを任意に調節して、工事現場に備える部材数を削減することができるため好適である。
【0075】
埋設補助具100と第二埋設管20との関係、および第二埋設管20への埋設補助具100の装着について補足する。
埋設補助具100は、その支持部120の長さを、支持軸部121と延長支持軸部122とである程度調整する。さらに、ロックナット125で、先端部110の位置を微調整して、支持部120の長さを第二埋設管20に適した長さに調整する。
【0076】
そして、第二埋設管20を、先端部110と後端部130とで挟み込む。そして、先端部110と後端部130とを支持部120でそれぞれ互いに接続支持して、第二埋設管20に埋設補助具100を装着し、固定する。そうすると、後端部130に与えられる押圧力は、支持部120を介して先端部110に直接伝わる状態になる。
この状態で、第二埋設管20への埋設補助具100の装着が完了する。
【0077】
引き続き、埋設補助具100を用いた場合の、本実施形態に係る埋設管の施工工法について、具体例を基に説明を加える。
説明には、図1図2および図7から図17を用いる。
まず、地面30の地中に予め第一埋設管10が埋設されていない場合について説明する。つまり、新たに新設管となる第二埋設管20を敷設する場合を説明する。
【0078】
〔第1実施例〕
〔新たに新設管を敷設する場合〕
第一埋設管10が埋設されていない状態で第二埋設管20を新設する場合について説明する。
【0079】
新たに第二埋設管20を新設する場合、つまり、地面30の地中に予め第一埋設管10が埋設されていない場合には、以下の工法を用いる。
第一埋設管10が埋設される筒状の埋設予定箇所における一方の端部側に発進抗40を構築する発進抗構築工程と、埋設予定箇所における他方の端部側に到達抗50を構築する到達抗構築工程と、発進抗40から推進工法で第一埋設管10を埋設予定箇所に敷設する埋設工程とを実施し、さらに置換工程を実施する。なお、これら一連の工程は、発進抗構築工程を実施した後に、埋設工程を実施し、その後、到達抗構築工程を実施し、さらに置換工程を実施する順序で行う。
そして第二埋設管20を敷設した後、発進抗40と到達抗50を埋め戻す。
以下、この第1実施例について詳述する。
【0080】
〔状況説明〕
本例では、具体例として、道路側地面31の地下から、歩道側地面32の地下に向けて、新設管として第二埋設管20を新たに敷設する場合を例に説明する。図7の状態である。
この例では、道路側地面31と歩道側地面32との境界に街渠や縁石が設けられた境界部33がある。
本例では、境界部33の幅Yは例えば0.70mである。
【0081】
この例では、仮に道路側地面31の地下から歩道側地面32の地下(地中)に向けて開削工法で広く開削し、第二埋設管20を敷設する場合は、境界部33の街渠や縁石を撤去した後、道路側地面31の地下から歩道側地面32の地下に向けて大きく開削し、第二埋設管20を敷設し、その後開削部分を埋戻し、さらに、境界部33の街渠や縁石を復旧する必要が生じる。
したがって、道路側地面31の地下から歩道側地面32の地下に向けて開削工法で広く開削し、第二埋設管20を敷設する方法は、この例では不経済であるため好ましくない。
【0082】
また、境界部33を維持するために、仮に、道路側地面31に発進抗40を構築し、歩道側地面32に到達抗50を構築し、発進抗40から到達抗50に向けて、境界部33の地下をえぐり彫り工法でトンネルを形成し、第二埋設管20を敷設しようとした場合には、当該トンネルを形成する際に、トンネル周囲の地盤、すなわち境界部33の地下の地盤が、崩壊し、崩壊しない場合にも空隙を生じたり、地盤が軟化する事態は避けがたい。そのため、えぐり彫り工法を用いる場合には、地盤沈下などの安全上のリスクが避けられな
い。
したがって、えぐり彫り工法でトンネルを形成し、第二埋設管20を敷設する工法は、この例では安全上の問題が伴うため好ましくない。
【0083】
したがって、この例では、以下の発進抗構築工程と、到達抗構築工程と、置換工程とを含む工程を実施する敷設工法を選択する。より具体的には、発進抗構築工程を実施した後に、埋設工程を実施し、その後、到達抗構築工程を実施し、さらに置換工程を実施する。以下の施工工法では、境界部33の街渠や縁石を復旧する必要が無く経済的で、地盤沈下などの安全上のリスクが生じないためである。
【0084】
〔発進抗構築工程〕
図7図8は、この発進抗構築工程での発進抗40の構築過程を示す。図7は発進抗40の構築前の状態を、図8は発進抗40の構築後の状態を示す。
道路側地面31に発進抗40を構築する発進抗構築工程を実施する。境界部33に影響を与えることなく発進抗40を構築するために、発進抗40は、境界部33から距離Eだけ離れて構築される。発進抗40の深さが約1mの場合に、距離Eは例えば、0.30mである。
【0085】
〔埋設工程〕
発進抗構築工程を実施した後に、発進抗40から推進工法で第一埋設管10を所定位置に敷設する埋設工程を実施する。ここで、所定位置とは、第二埋設管20を埋設して敷設したい場所である。図9図10に、埋設工程を示す。
本例に言う推進工法は、地中にトンネル状に掘削した穴に管を通して地面30全体を開削せずに第一埋設管10を埋設する非開削工法である。例えば、いわゆる小径管推進工法を用いることができる。また、小径管推進工法のうち、圧入方式、オーガ方式、泥水方式、泥土圧方式、ボーリング方式などを用いることができる。本例では、以下、圧入方式の場合を説明する。
【0086】
埋設工程について詳述する。
本例に示す埋設工程では、発進抗40から第一埋設管10を、押圧力発生部91で所定位置に向けて押圧して、境界部33の地下に第一埋設管10を推進して埋設していく。ここで、所定の位置とは、第一埋設管10が埋設される筒状の埋設予定箇所であり、また、第二埋設管20を埋設する埋設予定箇所である。
図9に、この第一埋設管10の埋設時の状態を示す。
【0087】
境界部33の地下に第一埋設管10を所定位置に向けて推進する際に、第一埋設管10自らが、地中にトンネル状に掘削した穴を形成するため、境界部33を含む地面30全体を開削せずに第一埋設管10を埋設することができる。
【0088】
第一埋設管10を所定位置に向けて推進する際に、掘削された土砂は、第一埋設管10の管内に侵入する。
この第一埋設管10の管内に侵入した土砂は、第一埋設管10を埋設中に第一埋設管10の管内から除去しなくてもかまわないし、除去する必要があれば、その必要に応じて除去してもよい。例えば発進抗40側から、水を、第一埋設管10内に通水して、土砂を洗い流すことができる。
【0089】
ここで、押圧力発生部91は、第一埋設管10を、所定位置に向けて押圧する装置等であって、本例ではいわゆる土止め用の水圧ジャッキを用いた例を図示している。押圧力発生部91としては同様の押圧する機能を備えたものであれば、別段の制約なく用いることができる。
第一埋設管10を所定位置に敷設すれば、埋設工程は終了する。
図10に第一埋設管10の埋設後の状態を示す。
【0090】
〔到達抗構築工程〕
次に、歩道側地面32に到達抗50を構築する到達抗構築工程を実施する。
図11は、到達抗構築工程を実施して、到達抗50を構築した状態を示す。
到達抗構築工程では、境界部33に影響を与えることなく到達抗50を構築するために、図7および図11に示すように、到達抗50は、境界部33から距離Eだけ離れて構築される。到達抗50の深さが約1mの場合に、距離Eは例えば0.30mである。
すなわち、発進抗40と到達抗50とは、本例では約1.30m離れて構築される。したがって、第一埋設管10としては、約1.50mの鋼管を選択している。また、第二埋設管20としては、第一埋設管10と同じ長さの約1.50mのポリエチレン管を選択する。
【0091】
到達抗構築工程について詳述する。
埋設工程の後に到達抗構築工程を実施するため、到達抗50の壁部52は崩壊や崩落を免れる。
仮に、到達抗50を構築した後に埋設工程を実施すると、第一埋設管10の一端が到達抗50に到達する時に、壁部52は、第一埋設管10を推進する応力により、崩壊や崩落を免れない。
しかし、第一埋設管10を所定位置に敷設する埋設工程の後に到達抗50を構築するならば、壁部52は、第一埋設管10を推進する応力を受ける機会を免れる。したがって、壁部52は崩壊や崩落を免れるのである。
【0092】
〔置換工程〕
図12は、置換工程を示す。次に、埋設補助具100を取り付けた第二埋設管20で、第一埋設管10を置換する置換工程を実施する。
【0093】
置換工程について図1図2図12を参照しつつ詳述する。
置換工程では、まず図2のように、第二埋設管20に埋設補助具100を取り付ける。
そして、第二埋設管20に装着して取り付けられた埋設補助具100の伝達部132を、押圧力発生部91で外部から押圧して、埋設補助具100で、第一埋設管10を押圧し、第一埋設管10を、到達抗50に押抜きつつ、第二埋設管20を埋設補助具100と共に、第一埋設管10が存在していた位置へ押し込んで、第一埋設管10を第二埋設管20に置換する。
【0094】
つまり、置換工程では、外部から後端部130を押圧して、支持部120及び先端部110の押圧部113を介して第一埋設管10の発進抗40側の端部11を押圧する。
【0095】
置換工程では、埋設補助具100の第一挿入部111は、第一埋設管10に緩嵌した状態とし、押圧部113で発進抗側の端部11を押圧する。
この時、第一挿入部111を第一埋設管10に内嵌することで、第二埋設管20および埋設補助具100の軸心と、第一埋設管10の軸心Pとを一致させる。そして、その軸心Pの軸心方向で到達抗50に向けて、押圧力発生部91で、埋設補助具100をまっすぐに押圧すると、第一埋設管10を第二埋設管20で、スムーズに置換することができる。
【0096】
第二埋設管20で第一埋設管10の置換を終了すると、第二埋設管20から、埋設補助具100を取り外す。
この段階で、第二埋設管20の埋設が完了する。図13に、置換工程が終了して第二埋設管20の埋設が完了した時点の状態を図示する。
【0097】
置換工程について補足する。
図示は省略するが、置換工程を終了すると、第二埋設管20は、通常は他の埋設管と接続される。当該接続は、通常用いる方法でよい。
そして、発進抗40と、到達抗50とを埋め戻せば、第二埋設管20の敷設が完了する。この状態の図示は省略する。
【0098】
本発明の参考の第2実施例〕
〔既設管を新設管に置換する場合〕
第一埋設管10が埋設されている状態で、当該第一埋設管10を第二埋設管20に入れ替える場合を説明する。
【0099】
つまり、地面30の地中に予め既設管として第一埋設管10が埋設されている場合について説明する。つまり、既設管を新設管となる第二埋設管20に置換する場合である。
【0100】
地面30の地中に予め第一埋設管10が埋設されている場合には、発進抗到達工程と到達抗到達工程と実施し、その後置換工程を実施して第二埋設管20を敷設した後、発進抗40と到達抗50を埋め戻す。以下、この第2実施例について、第1実施例と異なる点を説明する。
【0101】
地面30の地中に予め第一埋設管10となり得る既設管が埋設されている場合には、発進抗到達工程と到達抗到達工程とのいずれを先に実施してもよい。
【0102】
そして、発進抗到達工程と到達抗到達工程とを実施して、発進抗40と到達抗50とを構築した後、地面30の地中に予め埋設されている既設管の発進抗40の側と到達抗50の側を切断し、第二埋設管20で置換すべき第一埋設管10を切り出すことを要する。この段階で、図11に示される状態となる。
その後は、第1実施例と同様に置換工程を実施すればよい。
【0103】
本発明の参考の第3実施例〕
〔老朽管を撤去する場合〕
第一埋設管10が埋設されている状態で、当該第一埋設管10を撤去する場合を説明する。
【0104】
つまり、地面30の地中に予め埋設されている第一埋設管10を撤去する場合について説明する。つまり、老朽管となった第一埋設管10を撤去し、第一埋設管10が存在していた箇所(位置)を埋め戻す場合を説明する。
【0105】
地面30の地中に予め老朽化した第一埋設管10が埋設されている場合には、発進抗到達工程と到達抗到達工程と実施し、その後置換工程を実施して第一埋設管10を撤去し、かつ第二埋設管20を敷設した後、さらに第二埋設管20を撤去する撤去工程を実施し、その後発進抗40と到達抗50を埋め戻せば、第一埋設管10の撤去が完了する。以下、この第3実施例について、第2実施例と異なる点を説明する。
【0106】
本例は、置換工程を実施しするところまで第2実施例と同様である。
以下では、さらに第二埋設管20を撤去する撤去工程について説明する。撤去工程は、第二埋設管20を撤去して、第二埋設管20が存在した位置を埋め戻す工程である。
【0107】
〔撤去工程〕
図14図15図16図17は、第二埋設管20を撤去する撤去工程を示す。
撤去工程とは、第二埋設管20を発進抗40の側へやや引抜いて、第二埋設管20が引き抜かれて生じた空間61の到達抗50の側の開放端62を、到達抗50の側から封止する封止工程を実施し、その後、第二埋設管20をさらに引抜きながら、空間61に、第二埋設管20の到達抗50の側の端部22を介して充填剤64を封入して、第二埋設管20を撤去する工程である。なお、封止工程は撤去工程に含まれる工程である。
【0108】
撤去工程について詳述する。
この撤去工程では、まず、発進抗40と到達抗50を構築する。
そして、第二埋設管20が存在していた空間61を封止する封止工程を実施する。
すなわち、第二埋設管20を発進抗40へやや引抜く。そして、第二埋設管20が発進抗40側へ引き抜かれて生じた空間61の到達抗50の側の開放端62を、到達抗50の側から封止する。開放端62は封止されて閉じられる。図14は、この封止工程の開始時に、開放端62を封止した時点の状態に示す。
【0109】
その後、第二埋設管20をさらに発進抗40へ引抜きながら、空間61に、第二埋設管20の到達抗側にある端部22を介して、チューブ65で充填剤64を封入し、空間61を封止していく。
第二埋設管20の引き抜きが完了した段階(第二埋設管20を発進抗40側から撤去した段階)で、空間61は充填剤64で満たされた状態になる。つまり、空間61の封止が完了する。図15に、この封止工程の完了直前の状態を示す。以上で封止工程は終了する。
【0110】
本例では充填剤64としては、セメントや土砂を微粉砕してスラリー化したものなど、一般に地中の封止材、封入材、充填剤として知られたものを用いることができる。充填剤64は、流動性が良く、空間61を隙間なく充填することができるものであり、充填後に減容しないか、減容するにしても、ごくわずかであるものが好ましい。充填剤64が減容すると、空間が発生し、地盤沈下の原因となるためである。
【0111】
撤去工程について補足する。
老朽管となった第一埋設管10を撤去する場合、第一埋設管10の表面には土砂がこびりつき、またその表面がさびついて、地盤との摩擦が大きくなり、例えば人手でスムーズに引抜くことができない場合がある。しかし、第一埋設管10を第二埋設管20で一旦置換すると、第二埋設管20には土砂がこびりついたり、さびが生じたりしておらず、第二埋設管20は地盤との摩擦が小さい状態となるため、第二埋設管20は、例えば人手でスムーズに引抜くことができる。そのため、封止工程が容易に行える。
【0112】
封止工程が終了すると、空間61は充填剤64で満たされる。図16に、この封止工程の終了時の状態を示す。
その後、発進抗40と到達抗50とを土砂等41、51で埋め戻す。
以上で第二埋設管20を撤去する撤去工程が完了する。図17に、この撤去工程の完了時の状態を示す。
【0113】
以上のようにして、第二埋設管20を新たに敷設する場合に、広く地面30を開削せず経済的で、地面30の地下の地盤の崩壊を回避し、第二埋設管20の破損を抑制することのできる第二埋設管20の施工工法および当該施工工法に用いる第二埋設管20の埋設補助具100を提供することができる。
【0114】
[別実施形態]
(1)上記実施形態では、発進抗構築工程を実施して発進抗40を構築した後に、発進抗40から推進工法で第一埋設管10を所定位置に敷設する埋設工程を実施し、その後、到達抗50を構築する到達抗構築工程を実施し、さらに埋設補助具100を取り付けた第二埋設管20で、第一埋設管10を置換する置換工程を実施する場合を示した。
【0115】
しかしながら、発進抗構築工程を実施して発進抗40を構築した後に、到達抗50を構築する到達抗構築工程を実施し、発進抗40から推進工法で第一埋設管10を所定位置に敷設する埋設工程を実施し、その後、さらに埋設補助具100を取り付けた第二埋設管20で、第一埋設管10を置換する置換工程を実施してもよい。例えば、地面30の地下の地盤が十分に強固であれば、壁部52の崩壊や崩落を考慮する必要が無い場合もある。
このように地面30の地下の地盤が十分に強固であり、壁部52の崩壊や崩落を考慮する必要が無い場合は、発進抗40と到達抗50とを先に構築する方が、施工が容易となることがある。
【0116】
(2)上記実施形態では、埋設補助具100は、第二埋設管20の一端側の端部22に装着される先端部110と、第二埋設管20の他端側の端部21に装着される後端部130と、第二埋設管20内に挿入されて先端部110及び後端部130を支持する支持部120とを備え、先端部110は、第一埋設管10の発進抗側の端部11に緩嵌する第一挿入部111と、第二埋設管20の一端側である第一埋設管10に対向する側の端部22に緩嵌する第二挿入部112と、第一挿入部111と第二挿入部112との間に設けられて、第一埋設管10の発進抗側の端部11を押圧する押圧部113と、を備え、さらに後端部130は、第二埋設管20の端部21に緩嵌する位置決め部131と、第二埋設管20よりも大径で、外部からの押圧力を受ける伝達部132と、支持部120と接続する後端接続部139とを備えている場合を示した。
【0117】
しかしながら、埋設補助具100は、第二埋設管20の一端側の端部22に装着される先端部110と、第二埋設管20の他端側の端部21に装着される後端部130とを備え、先端部110は、第一埋設管10の発進抗側の端部11に緩嵌する第一挿入部111と、第二埋設管20の一端側である第一埋設管10に対向する側の端部22に緩嵌する第二挿入部112と、第一挿入部111と第二挿入部112との間に設けられて、第一埋設管10の発進抗側の端部11を押圧する押圧部113とを備え、後端部130は、第二埋設管20の端部21に緩嵌する位置決め部131と、第二埋設管20よりも大径で、外部からの押圧力を受ける伝達部132とを備えて構成してもよい。
つまり、埋設補助具100が支持部120を備えない場合もある。
【0118】
先端部110と、後端部130とで構成され、支持部120を備えない埋設補助具100は、たとえば、第二埋設管20が鋼管で、十分に剛性がある場合などに用いることができる。
【0119】
(3)上記実施形態では、第二埋設管20を撤去する撤去工程として、第二埋設管20を発進抗40の側へやや引抜いて、第二埋設管20が引き抜かれて生じた空間61の到達抗50の側の開放端62を、到達抗50の側から封止する封止工程を実施し、その後、第二埋設管20をさらに引抜きながら、空間61に、第二埋設管20の到達抗側の端部22を介して充填剤64を封入する場合を示した。
【0120】
しかしながら、第二埋設管20を撤去する撤去工程として、第二埋設管20を到達抗50の側へやや引抜いて、第二埋設管20が引き抜かれて生じた空間61の発進抗40の側の開放端62を、到達抗50の側から封止する封止工程を実施し、その後、第二埋設管20をさらに引抜きながら、空間61に、第二埋設管20の発進抗40の側の端部21を介して充填剤64を封入する場合もよい。
【0121】
(4)上記実施形態では、支持部120と後端部130との接続は、支持部120の後端支持接続部123と、後端部130の後端接続部139とが螺合接続する場合を示した。
【0122】
しかしながら、支持部120と後端部130との接続は、支持部120と後端部130とを溶接接続してもよい。この場合は、支持部120と後端部130とは、一体の部材となるが、埋設補助具100として用いる場合の使用方法は上述の実施例と同様である。また、螺合接続や溶接接続以外にも、嵌めこみ、継手接続など、その他の一般的な接続方法の利用も可能である。
【0123】
(5)上記実施形態では、第一埋設管10が埋設されていない状態で第二埋設管20を新設する場合として、地面30の地中に予め第一埋設管10が埋設されていない場合であって、発進抗到達工程を実施し、埋設工程を実施し、到達抗構築工程を実施し、さらに置換工程を実施して第一埋設管10と同じ管径の第二埋設管20を敷設した後、発進抗40と到達抗50とを埋め戻す場合を示した。
【0124】
しかしながら、地面30の地中に予め第三埋設管(図示せず)が埋設されている場合であって、当該第三埋設管が、第二埋設管20の内径よりも十分細い場合にも、新たに新設管を敷設する場合と同様にして第二埋設管20を敷設できる。
すなわち、第一埋設管10を埋設する埋設工程を実施する場合に、第一埋設管10の内側に、当該第三埋設管が挿入される態様で第一埋設管10を推進する。その後、当該第三埋設管を内部に包含する第一埋設管10を、置換工程において第二埋設管20で置換すればよい。
【0125】
(6)上記実施形態では、先端支持接続部124を先端接続部114に螺合接続する場合に、ロックナット125と先端接続部114とをダブルナットで固定する場合を示した。
しかし、先端支持接続部124は、先端接続部114に、螺合接続のみで接続し、固定する場合もある。たとえば、第二埋設管20の管径が小さい場合には、先端支持接続部124を先端接続部114に螺合接続のみで接続する態様とし、ロックナット125を用いない構成とすると、支持部120をコンパクトにして、小径の第二埋設管20にも対応できる埋設補助具100を提供できる。
【0126】
なお、上記実施形態(別実施形態を含む、以下同じ)で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能であり、また、本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0127】
本発明は、予め埋設されている第一埋設管を、当該第一埋設管と同じ管径の第二埋設管で置換して、第二埋設管を敷設する埋設管の施工工法および当該施工工法に用いる埋設管の埋設補助具として用いることができる。
【符号の説明】
【0128】
10 :第一埋設管
11 :端部(第一埋設管の一方の端部)
12 :端部(第一埋設管の他方の端部)
20 :第二埋設管
21 :端部(第二埋設管の他端)
22 :端部(第二埋設管の一端)
30 :地面
40 :発進抗
50 :到達抗
61 :空間
62 :開放端
64 :充填剤
100 :埋設補助具
110 :先端部
111 :第一挿入部
112 :第二挿入部
113 :押圧部
120 :支持部
130 :後端部
131 :位置決め部
131a :円柱状突起部
131b :円柱状突起部
132 :伝達部
P :軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17