特許第6821556号(P6821556)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6821556
(24)【登録日】2021年1月8日
(45)【発行日】2021年1月27日
(54)【発明の名称】電源装置及びこれを備える車両
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/20 20210101AFI20210114BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20210114BHJP
   H01M 10/647 20140101ALI20210114BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20210114BHJP
   H01M 10/6567 20140101ALI20210114BHJP
【FI】
   H01M2/10 S
   H01M10/613
   H01M10/647
   H01M10/6556
   H01M10/6567
【請求項の数】12
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-515384(P2017-515384)
(86)(22)【出願日】2016年4月21日
(86)【国際出願番号】JP2016002133
(87)【国際公開番号】WO2016174855
(87)【国際公開日】20161103
【審査請求日】2019年3月11日
(31)【優先権主張番号】特願2015-92340(P2015-92340)
(32)【優先日】2015年4月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104949
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100074354
【弁理士】
【氏名又は名称】豊栖 康弘
(72)【発明者】
【氏名】小村 哲司
【審査官】 小川 進
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−011819(JP,A)
【文献】 特開2013−229182(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/136353(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/084937(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/031612(WO,A1)
【文献】 特開2015−026486(JP,A)
【文献】 特開平09−025697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/10
H01M 10/613
H01M 10/647
H01M 10/6556
H01M 10/6567
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に沿って積層される複数の二次電池セルを含む電池積層体と、
前記電池積層体を固定するための固定部と、
線膨張係数が前記固定部と等しい締結補助板であって、前記複数の二次電池セルの積層方向に沿って延在している該締結補助板と、
線膨張係数が前記固定部とは異なる固定板であって、前記固定部と前記締結補助板の間に配置され、前記電池積層体が一面に配置される固定板と、
前記固定部、前記固定板および前記締結補助板を貫通する複数の螺合部材と、を備え、
前記複数の螺合部材は、軸力によって摩擦力が働く座面を有しており、それぞれの螺合部材の座面が前記固定部または前記締結補助板に接触していることを特徴とする電源装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電源装置において、
さらに、前記電池積層体の積層方向における両端に配置される一対のエンドプレートと、
前記一対のエンドプレートに締結される電池締結部材と、を備え、
前記固定部は、前記電池締結部材に形成されることを特徴とする電源装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電源装置において、
前記電池締結部材は、前記電池積層体の一面に沿って延在する主面と、該主面の長手方向に沿った下端を断面視L字状に折曲した下端折曲片を有し、
前記固定部は、前記下端折曲片に形成されることを特徴とする電源装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電源装置において、
前記螺合部材は、ボルトおよびナットを含むことを特徴とする電源装置。
【請求項5】
請求項4に記載の電源装置において、
前記締結補助板は、少なくとも一列に並んで設けられ、前記複数の螺合部材がそれぞれ挿通される複数の貫通孔を有することを特徴とする電源装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電源装置において、
前記固定板が、前記締結補助板を配置する領域に窪みを設けてなる電源装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の電源装置において、
前記固定部と前記締結補助板が、同じ種類の金属で形成されていることを特徴とする電源装置。
【請求項8】
請求項7に記載の電源装置において、
前記螺合部材が、線膨張係数が前記固定部と等しいことを特徴とする電源装置。
【請求項9】
請求項8に記載の電源装置において、
前記螺合部材と前記固定部が、同じ種類の金属で形成されていることを特徴とする電源装置。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載の電源装置において、
前記固定板は、前記電池積層体と熱結合される放熱板を含むことを特徴とする電源装置。
【請求項11】
請求項10に記載の電源装置において、
前記放熱板は、内部に冷媒が循環していることを特徴とする電源装置。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一に記載の電源装置を備える車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばハイブリッド車や電気自動車等の自動車を駆動するモータの電源用、又は家庭用、工場用の蓄電用途等に使用される大電流用の電源装置、及びこの電源装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ハイブリッド車や電気自動車等の駆動用のモータを有する自動車を提供するために、車両に搭載される電源装置が求められている。このような車両では、モータを駆動するために比較的高い出力の電源装置が用いられることがある。高い出力の電源装置は、多数の二次電池セルを直列に接続することによって構成できる。二次電池セルは、充放電によって発熱するため、使用する二次電池セルの数が増えるに従い、発熱量も増大する。多数の二次電池セルを備える電源装置では、効率よく二次電池セルの放熱を熱伝導して発散させる放熱機構が必要になる。
【0003】
このような要求に応じるために、放熱機構を備える電源装置が開発されている(例えば特許文献1参照)。この電源装置は、図15に示すように、内部に冷媒を循環して冷媒の気化熱で強制冷却する熱交換器104を内蔵した冷却プレート103と、この冷却プレート103の上に固定されると共に、複数の電池101を接続した組電池102と、冷却プレート103を固定しているフレーム構造体105とを備え、冷却プレート103で組電池102を強制冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−238389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、多数の二次電池セル備える電源装置では、占有するスペースを削減するために、複数の二次電池セルを集合化して組電池が形成される。組電池は、二次電池セルを積層した電池積層体の端面の両側にエンドプレートを設け、エンドプレート同士をバインドバー等の電池締結部材で締結することで構成されている。この組電池は、冷却プレートの上面に載置され、組電池の底面と冷却プレートの上面とが熱結合した状態となるよう固定される。具体的には、例えば図16図17に示すように、組電池は、バインドバー920の端面と冷却プレート930の端部に開口されたねじ穴に、ボルト941とナット942等の螺合部材を締結することで固定される。
【0006】
ここで、バインドバー920は、一般に二次電池セル同士を強固に締結する必要があることから、相応の強度が要求され、鉄などの金属で形成される。その一方で、冷却プレート930は、冷却効率を向上させるために、アルミニウムなどの軽量で熱伝導に優れた金属で形成される。
【0007】
しかしながら、バインドバー920と冷却プレート930が、それぞれ異なる金属で形成されている場合、バインドバー920と冷却プレート930の線膨張係数が相違することになる。バインドバー920と冷却プレート930の熱膨張による寸法変化量の差が大きい場合、バインドバー920と冷却プレート930を固定しているボルト941やナット942の座面が滑ってボルト941やナット942が緩むおそれがある。特に車載用の電源装置では、低温下や高温下に置かれた場合に、このような熱膨張が発生し易くなり、ボルトの緩みによる問題が生じ易くなる。
【0008】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的の一は、線膨張の差に起因する螺合部材の締結力の低下を抑制した電源装置及びこれを備える車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のある態様の電源装置は、積層される複数の二次電池セルを含む電池積層体と、
前記電池積層体を固定するための固定部と、線膨張係数が前記固定部と等しい締結補助板と、前記固定部と前記締結補助板の間に配置され、前記電池積層体が一面に配置される固定板と、前記固定部、前記固定板および前記締結補助板を貫通する複数の螺合部材と、を備えている。前記複数の螺合部材は、軸力によって摩擦力が働く座面を有しており、それぞれの螺合部材の座面が前記固定板または前記締結補助板に接触している。
【発明の効果】
【0010】
上記構成によると、固定部と締結補助板の熱膨張による寸法変化量の差を低減することができ、熱膨張によって螺合部材が回転する方向に応力が螺合部材に働くことを回避し、熱膨張に起因する螺合部材の緩みを阻止できる利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態1に係る電源装置を示す斜視図である。
図2図1の電源装置の分解斜視図である。
図3図1の電源装置のIII−III線における垂直断面図である。
図4図1の電源装置のIV−IV線における垂直断面図である。
図5図4の要部拡大断面図である。
図6】実施形態2に係る電源装置の垂直断面図である。
図7】実施形態3に係る電源装置の垂直断面図である。
図8】実施形態4に係る電源装置の垂直断面図である。機械強度や放熱性の向上に繋がる。
図9】実施形態5に係る電源装置の分解斜視図である。
図10】実施形態6に係る電源装置の垂直断面図である。
図11】実施形態7に係る電源装置の斜視図である。
図12図11の電源装置の分解斜視図である。
図13】エンジンとモータで走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
図14】モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示すブロック図である。
図15】従来の電源装置を示す分解斜視図である。
図16】従来の冷却プレートと組電池を接続する状態を示す断面図である。
図17】従来の冷却プレートと組電池を接続する状態を示す断面図である。
図18図17の要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施形態1に係る電源装置100を、図1図5に示す。これらの図に示す電源装置100は、車載用の電源装置の例を示している。具体的には、この電源装置100は、主としてハイブリッド車や電気自動車等の電動車両に搭載されて、車両の走行モータに電力を供給して、車両を走行させる電源に使用される。ただ、本発明の電源装置は、ハイブリッド車や電気自動車以外の電動車両に使用でき、また電動車両以外の大出力が要求される用途にも使用できる。
【0013】
(電源装置100)
図1図2に示す電源装置100は、組電池10を固定板30の上面に載置して、固定部20と螺合して固定している。組電池10は、二次電池セル1を複数枚積層した電池積層体11と、この電池積層体11を締結する電池締結部材21とを備える。二次電池セル1は、外形を幅よりも厚さを薄くした板状としており、主面を矩形状として、複数枚を積層している。また、二次電池セル1同士の間をセパレータ2などの絶縁材で絶縁している。また、二次電池セル1をセパレータ2を介して交互に積層した状態で、電池積層体11の両側の端面をエンドプレート3で覆っている。この一対のエンドプレート3同士を、電池締結部材21で固定して、エンドプレート3同士の間で電池積層体11を狭持する。また電池締結部材21は、組電池10を固定板30に固定する固定部20としても機能する。
【0014】
(二次電池セル1)
二次電池セル1は、その外形を構成する外装缶を、幅よりも厚さを薄くした角形としている。外装缶は上方を開口した有底筒状に形成され、開口部分を封口板で閉塞している。外装缶には、電極組立体が収納される。封口板には正負の電極端子と、この電極端子の間にガス排出弁を設けている。
【0015】
隣接する二次電池セル1同士の間には、樹脂製のセパレータ2等の絶縁部材が介在されて、これらの間を絶縁する。また、二次電池セル1の表面を絶縁材で被覆することもできる。例えばPET樹脂等のシュリンクチューブで二次電池セルの電極部分を除く外装缶の表面を熱溶着させてもよい。この場合は、セパレータを省略してもよい。
【0016】
(電池締結部材21)
電池締結部材21は、図1図2等に示すように、両端にエンドプレート3が積層された電池積層体11の側面側に配置され、一対のエンドプレート3に固定されて電池積層体11を締結する。この電池締結部材21は、電池積層体11の側面のほぼ全面を覆う大きさに形成している。
【0017】
電池締結部材21は、電池積層体11の電池積層方向に延長された板状に形成される。電池積層体11の側面を覆った状態で、電池締結部材21の長手方向の端面を折曲してエンドプレート固定片22を形成し、このエンドプレート固定片22でもってエンドプレート3にねじ止めなどにより固定される。また電池締結部材21の下端も折曲して、この下端折曲片23を固定板30の上面と螺合部材40により螺合されて、電池積層体11を固定板30に固定している。さらに必要に応じて、電池締結部材21の上端側も折曲して、電池積層体11の上面を部分的に覆うようにしてもよい。
【0018】
このような電池締結部材21は、金属板を折曲したバインドバー等が好適に利用される。また電池締結部材21は、長期に渡って電池積層体11を狭持するよう、十分な強度を備える必要がある。このため、剛性及び熱伝導に優れた高抗張力鋼、一般鋼、ステンレス、アルミ合金、マグネシウム合金等あるいはその組み合わせが利用できる。図1等の例では、第一金属としてFe系の金属よりなる電池締結部材21を用いている。
【0019】
なお電池締結部材は、他の形状とすることもできる。例えば、帯状に延長された金属板の両端を断面視コ字状に折曲した形状としてもよい。また電池締結部材を設ける位置は、電池積層体の側面とする他、上面とすることもできる。また電池締結部材をエンドプレートに固定する構造も、ねじ止めに限らず、リベットやかしめ、溶接、接着等、既知の固定構造が適宜利用できる。さらに二次電池セル同士の間に、冷却気体を送風できるよう、セパレータに開口部分を設けることもできる。
【0020】
(固定板30)
固定板30は、その上面に電池積層体11を載置する部材である。図1等の例では、固定板30を、電池積層体11の底面と熱結合されてこれを放熱するための放熱板としている。このような放熱板には、熱伝導性に優れた部材が用いられる。ここでは固定板30を、第一金属と異なる第二金属としてアルミニウム製としている。またこの例では、放熱板を、内部に冷媒を循環させて、熱交換により表面温度を低下させる冷却プレートとして、一層の放熱性能を高めている。
【0021】
さらに固定板30は、図2の分解斜視図及び図3の断面図に示すように、長手方向の両側側面に段差部31を設け、長手方向の中央部分の凸条32を電池積層体11の底面と熱結合させると共に、両側の段差部31でもって、電池締結部材21の下端折曲片23と固定している。電池締結部材21と固定板30との固定には、螺合部材40を用いた螺合が用いられる。このため、下端折曲片23には下端固定穴24が開口される。また固定板30の対応する位置にも、固定貫通孔33が開口される。
【0022】
(螺合部材40)
螺合部材40には、ボルト41とナット42の組み合わせが好適に利用できる。ボルト41は、ボルト頭41bを有する。螺合部材40は、第一金属と線膨張係数の等しい第四金属製とすることが好ましい。この例では、ボルト41とナット42をFe系の金属で構成している。
【0023】
上述の構成では、強度が求められる電池締結部材21は、Fe系の金属で形成され、毛量であることや熱伝導率が高いことが求められる固定板30は、アルミニウムなどの軽量で熱伝導に優れた金属で形成される。そのため、電池締結部材21と固定板30は、それぞれ異なる金属で形成されることになり、電池締結部材21と固定板30の線膨張係数が相違する。電池締結部材21と固定板30の熱膨張による寸法変化量の差が大きい場合、電池締結部材21と固定板30を固定しているボルト41やナット42の座面が滑ってボルト41やナット42が緩むおそれがある。
【0024】
具体的には、鉄板とアルミニウム板をねじ止めすると図18の断面図に示すように、アルミニウム板Alと鉄板Feとの界面がずれる結果、ボルト41を回転させる力が働き、アルミニウム板Al側のボルト41やナット42の座面が滑って緩む方向に回転する結果、緩みが発生することがあった。螺合が緩むと、組電池と固定板とのがたつきの原因となる。また、固定板が放熱板の場合は、電池積層体との間の熱結合が不安定となり、放熱性能が低下する。さらに冷却プレートの場合は、冷媒による冷却能力が十分に発揮されず、二次電池セルの放熱が十分になされない事態となり、電源装置の信頼性にも影響を与え得る。
【0025】
特に車載用の電源装置では、高温下に置かれた場合や、急ブレーキを踏んで大電流が発生した場合等に、電池積層体が加熱されてこのような熱膨張が発生し易くなり、ボルトの緩みに繋がり易くなる。かといって、螺合の締結力を高めるようボルトをきつく締めすぎると、アルミニウム板が破損する懸念もある。また、締結力を向上させるには座面の接触面積を増やす必要があるところ、ボルトやナットの外径を大きくすると、電源装置の小型化が阻害され、スペース効率が低下する問題が生じる。
【0026】
(締結補助板50)
そこで、本実施形態においては、電池締結部材21を構成する第一金属と同じ線膨張係数を有する第三金属で構成された締結補助板50を用意し、この締結補助板50を固定板30の裏面側に配置して、締結補助板50と電池締結部材21とで固定板30を挟んだ状態で、締結補助板50と電池締結部材21からそれぞれ、螺合部材40であるボルト41とナット42で螺合する構成とした。この締結補助板50には、固定板30に開口した固定貫通孔33と対応する位置に補助貫通孔53を開口している。この構成であれば、図5の拡大断面図に示すように、線膨張が発生しても、3枚の板材を重ねたことで生じる2つの界面、すなわち電池締結部材21と固定板30との界面、及び固定板30と締結補助板50との界面では、同様の滑り乃至ずれが生じる結果、ボルト41に対する回転力が作用しない。また、締結補助板50を電池締結部材21と同じ金属材料で構成することが好ましく、ここではFe系の金属製とする。
【0027】
以上の構成の締結補助板50は、少なくとも一列に並んで設けられる貫通孔を有しており、この貫通孔に複数の螺合部材40がそれぞれ挿通される構成となっている。この構成によると、一列に並んだ貫通孔に沿って、締結補助板50が延在することになり、固定部20および締結補助板50において、一つの締結補助板50に設けられる複数の螺合部材40のうちの任意の二点間の線膨張を揃えることができるようになっている。
【0028】
また螺合部材40についても、同様にこれら電池締結部材21や締結補助板50と同じ線膨張係数を有する金属性とすることが好ましい。より好ましくは、電池締結部材21や締結補助板50と同じ第一金属製(例えばFe系)とする。このようにすることで、ボルト41やナット42の座面においては、同種の金属が接するため、熱膨張が同じとなって滑りが生じず、締結の緩みが発生する原因を解消できる。
【0029】
このように、螺合で固定したい金属板の積層体において、端面の金属板を同一種類の金属板とし、さらに端面に接する螺合部材40も、同じ金属材料で構成することで、線膨張が発生しても両側端面や、介在する他種類の金属板との界面で発生する滑りを吸収乃至打ち消し合い、このような熱膨張によって発生する緩みの問題を解消できる。
【0030】
なお、上述の実施形態では、ボルト41およびナット42を介して、電池締結部材21、固定板30および締結補助板50を固定する構造となっているが、この構成に限る必要はない。例えば、電池締結部材21の貫通孔にねじ切り加工を施すことで、貫通孔に螺合されるボルト41のみで固定するように構成することもできる。電池締結部材21は、締結する組電池の構成によっては、強度を高めるために、比較的厚い材厚の部材で構成されることもある。電池締結部材21の材厚が大きいと、ねじ切り加工が容易であるため、このような構成では、ナット42を省略することができる。また、螺合部材40は、ボルト41やナット42に加えて、ワッシャー等の座金が含まれることもある。このような構成の場合、固定部20や締結補助板50は座金に接触することになり、軸力に伴う摩擦力は座金の座面に働く。
【0031】
上述の実施形態では、締結補助板50は、螺合部材40の座面が接触する固定部20の熱膨張による寸法変化量の差を低減するために、固定板30と螺合部材40の間に配置されているが、さらに、別の機能を持たせることもできる。例えば、電源装置を車両に搭載する場合、電源装置を車両のフレームに固定するための固定構造が必要になる。締結補助板50を、電源装置の一面から突出する形状に形成することで、固定板30との固定のための螺合部材40が挿通する位置とは異なる位置に、車両への固定のための固定部を設けることもできる。
【0032】
(実施形態2)
以上の例では、電池積層体11の左右をそれぞれ被覆する一対の電池締結部材21の下端折曲片23を、内側、すなわち互いに近付く方向に折曲して、固定板30と固定している。このようにすることで、電池積層体11の横幅が広くなる事態を避け、電源装置の小型化に有利となる。ただ、螺合部材40を回転させるなどの作業性の点では不利となる。例えば、ボルト41を予め板材の裏面側に溶接したり、かしめて固定したりするなどの工夫が必要となる。そこで、逆に下端折曲片23をそれぞれ外側、すなわち互いに離れる方向に折曲することで、螺合部材40へのアクセスをよくし、作業性を向上できる。このような例を実施形態2として、図6の断面図に示す。この図に示す電源装置200は、実施形態1と同様に、電池積層体11と、電池締結部材21と、固定板30Bとを備える。電池締結部材21は、下端折曲片23Bを末広がりとなる方向に折曲して、ここに固定貫通孔33Bを開口して固定板30Bと接触させ、固定板30Bの裏面側に配置した締結補助板50Bの補助貫通孔53Bとの間で、螺合部材40によって締結している。この構成では、螺合部材40へのアクセスが容易となり、締結作業を行い易い利点が得られる。反面、固定板30Bの横幅が広くなり、電源装置の小型化の点では不利となる。
【0033】
図3図6等の例では、締結補助板50、50Bを、固定板30、30Bに開口した固定貫通孔33に沿って延長した細長い形状としている。これにより、別部材として付加する締結補助板の外形を小さくして、コスト増や重量増を抑制できる。例えば図2図3等の例では、固定板30の短手側の左右に、固定貫通孔33を設けており、これに応じて締結補助板50を2つ用意している。各締結補助板50は、固定板30の底面側で左右に沿って配置され、締結補助板50に開口された補助貫通孔53を、固定板30の固定貫通孔33と芯合させる。
【0034】
(実施形態3)
なお、図3に示すように、締結補助板50を付加したことでその厚さ分だけ締結部分が厚くなる。そこで、固定板の内、締結補助板を配置する領域に窪みを設けることで、締結補助板が固定板の表面から突出する事態を避け、締結部分の肥大化を回避できる。このような例を実施形態2として、図7の断面図に示す。この図に示す電源装置300の例では、固定板30Cの長手方向の端縁を段差状にカットした、断面視において下に凸状としており、この段差状の窪み34に固定貫通孔33Cを開口すると共に、締結補助板50Cを配置して補助貫通孔53Cを介して螺合している。段差状窪み34の深さは、好ましくは締結補助板50Cと同じか、これよりも深くすることで、締結補助板50Cを追加したことによる厚みの増大を回避できる。またこの段差状窪み34は、締結補助板50Cの位置決めに兼用することもできる。
【0035】
(実施形態4)
上述の締結補助板は、一体に統合した構成とすることもできる。このような例を実施形態4として、図8の垂直断面図に示す。この図に示す電源装置500の例では、締結補助板50Eを一枚の板状として、固定板30Eの裏面側に配置している。この構成であれば、一枚の大きな締結補助板50Eを位置決めすれば足り、取り扱いの面で優れる。また、固定板30Eの全面又は広い面積で締結補助板50Eを重ねて配置したことで、機械強度が向上される。また締結補助板50Eをヒートシンクとして用いることで、放熱性も向上できる。反面、締結補助板が大型化したことによる部品コスト増や厚さの肥大化が生じる。この内、厚さについては、例えば固定板側の厚さを薄くすることで対応できる。
【0036】
(実施形態5)
以上の例では、固定部を、電池積層体を締結する電池締結部材とした例を説明した。ただ本発明は、固定部を電池締結部材に限定するものでなく、他の部材とすることもできる。例えば、電池締結部材とは別に、電池積層体を固定板に固定する固定部を設けた場合、この固定部と固定板とを締結する締結構造に対しても、本発明を適用できる。このような例を、実施形態5として、図9の斜視図に示す。この図に示す電源装置600は、電池積層体11の上面を覆う外カバー26を設けており、外カバー26と固定板30Fとで電池積層体11を上下から挟み込むようにして、電池積層体11を固定している。この構成において、固定部20である外カバー26を、締結補助板50Fと同じ線膨張係数の材料、あるいは同じ金属材料とすることで、上記と同様に外カバー26と固定板30Fとの螺合が緩む事態を回避できる。
【0037】
(実施形態6)
さらに以上の例では、固定板を、放熱板や冷却プレートなどとした例を説明したが、本発明は、固定板をこのような放熱や冷却のための部材に限定せず、電池積層体や電源装置自体を対象物に固定するための締結構造に適用することもできる。例えば、車載用の電源装置においては、電池積層体や電源装置を車両に固定するための固定構造に本発明を適用してもよい。このような例を実施形態6に係る電源装置700として図10の垂直断面図に示す。この例では、車両のシャーシ等の構造物30Gに電池積層体11を固定するため、外カバー26と締結補助板50Gとで構造物30Gを挟み込み、螺合部材で螺合している。このような構成においても、電池積層体11を構造物30Gに固定した状態で、熱膨張に起因するボルト41の緩みを回避して信頼性を向上できる。
【0038】
(実施形態7)
さらにまた本発明は、固定板を、電池積層体を載置する底面板に限定せず、電池積層体に固定される部材にも適用することができる。特に電池積層体を構成する二次電池セルは、大電流の充放電によって発熱するため、熱膨張の発生が予期されるところ、このような熱膨張に起因して締結力の低下が生じることを防ぐ必要があり、本発明を好適に利用できる。
【0039】
例えば図11の斜視図及び図12の分解斜視図に示す実施形態7に係る電源装置800の例では、エンドプレート3’に電池締結部材21Hを螺合により締結する構造に適用している。この例では、エンドプレート3’(固定板30に相当)を放熱性に優れたアルミニウム製としており、また電池締結部材21を鉄製としている。このエンドプレート3’に電池締結部材21を、第二螺合部材である第二ボルト43及び第二ナット44で螺合する。このような締結構造にも、締結補助板を付加して熱膨張に起因する緩みを解消できる。例えば、エンドプレート3’の裏面側の左右に、縦長に延長した締結補助板50Hを配置する。ここでエンドプレート3’の裏面側左右を段差状に窪ませることで、締結補助板50Hを重ねてもエンドプレート3’部分の厚さが増大することが回避され、電池積層体11Hの全長が大きくなることもない。このように、エンドプレートと電池締結部材との締結構造において、熱膨張に起因して生じる緩みも、締結補助板を付加するという簡単な構造でもって解消でき、電池積層体の締結力を維持して信頼性を向上できる。
【0040】
以上の通り本発明の実施の形態によれば、線膨張係数の差に起因するボルトの緩みを抑制できる。この結果、熱膨張の発生によらず締結状態を長期に渡って維持でき、固定構造の信頼性を向上できる。また放熱板や冷却プレートの固定構造に適用した場合は、電池積層体と冷却プレート等との熱結合状態を安定的に維持して、冷却能力を十分に発揮させることが可能となる。
【0041】
以上の電源装置は、車載用の電源として利用できる。電源装置を搭載する車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車やプラグインハイブリッド車、あるいはモータのみで走行する電気自動車等の電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。
【0042】
(ハイブリッド車用電源装置)
図13に、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する電源装置100と、電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置100は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置100の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、例えば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置100の電池を充電する。
【0043】
(電気自動車用電源装置)
また図14に、モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する電源装置100と、この電源装置100の電池を充電する発電機94とを備えている。モータ93は、電源装置100から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置100の電池を充電する。
【0044】
以上、本発明の実施形態乃至実施例を図面に基づいて説明した。ただ、上記の実施形態乃至実施例は、本発明の技術思想を具体化するための例示であって、本発明は上記のものに特定されない。また、本明細書は特許請求の範囲に示される部材を、実施形態の部材に特定するものでは決してない。特に実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は特に特定的な記載がない限りは、本発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。なお、各図面が示す部材の大きさや位置関係等は、説明を明確にするため誇張していることがある。さらに以上の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材を示しており、詳細説明を適宜省略する。さらに、本発明を構成する各要素は、複数の要素を同一の部材で構成して一の部材で複数の要素を兼用する態様としてもよいし、逆に一の部材の機能を複数の部材で分担して実現することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明に係る電源装置及びこれを備える車両は、EV走行モードとHEV走行モードとを切り替え可能なプラグイン式ハイブリッド電気自動車やハイブリッド式電気自動車、電気自動車等の電源装置として好適に利用できる。またコンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源装置、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源装置、家庭内用、工場用の蓄電用電源、街路灯の電源等、太陽電池と組み合わせた蓄電装置、信号機等のバックアップ電源用等の用途にも適宜利用できる。
【符号の説明】
【0046】
100、200、300、500、600、700、800…電源装置
1…二次電池セル
2…セパレータ
3、3’…エンドプレート
10…組電池
11、11H…電池積層体
20…固定部
21、21H…電池締結部材
22…エンドプレート固定片
23、23B…下端折曲片
24…下端固定穴
26…外カバー
30、30B、30C、30E、30F…固定板;30G…構造物
31…段差部
32…凸条33、33B、33C…固定貫通孔
34…窪み
40…螺合部材
41…ボルト;41b…ボルト頭
42…ナット
43…第二ボルト
44…第二ナット
50、50B、50C、50E、50F、50G、50H…締結補助板
53、53B、53C…補助貫通孔
93…モータ
94…発電機
95…DC/ACインバータ
96…エンジン
101…電池;102…電池ブロック;103…冷却プレート
104…熱交換器;105…フレーム構造体
920…バインドバー
930…冷却プレート
941…ボルト
942…ナット
HV…ハイブリッド車
EV…電気自動車
図1
図2
図3
図4
図5
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