【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、本発明は、歯科材料を分注するための適用チップに関する。適用チップは、可塑性材料から作製される管状の分注端部を有する。更に、分注端部は、厚さT
1を有する周壁から形成されるとともに、直径D
i1の分注開口部を形成する。分注端部は、少なくとも13以上の開口部での直径/厚さ比D
i1:T
1を有する。更に、周壁の厚さは開口部から離れる方向において増加する。
【0007】
本発明は、適用チップが好ましくは狭い空間に自己適合する点で有利である。具体的には、本発明は、開口部に隣接する適用チップが、好ましくは、例えば歯科充填材料を受容するために歯科医師によって作られる歯の窩洞に示される例のような角部にぴったり一致するように構成される点で、有利であってよい。更に、本発明は、好ましくは歯科材料の適用を促進し、特に、歯科材料のための異なる適用チップを使用するどのような必要性も最小限にしてよい。更に、本発明の適用チップ及びシステムは、好ましくは製造に対して比較的安価である。
【0008】
一実施形態では、分注端部は、13〜30の範囲内、具体的には13〜25の範囲内である開口部での直径/厚さ比D
i1:T
1を有する。
【0009】
一実施例では、直径D
i1は1mm〜2.5mmの範囲内、具体的に、1.2mm〜2.5mmの範囲内、又は1.5mm〜2.5mmの範囲内である。更に、厚さT
1は好ましくは0.05mm〜0.19mmの範囲内である。分注端部は、外側錐体形状及び内側錐体形状を有してよい。内側錘体は、内側錐体の第1の直径D
i1が開口部の直径D
i1に対応する、第1のより小さい直径D
i1と第2のより大きい直径D
i2との間に画定される。更に、外側錐体は、外側錐体の第1の直径D
o1が式D
o1=D
i1+2
*T
1によって決定される、第1のより小さい直径D
o1と第2のより大きい直径D
o2との間に画定される。更に、外側錐体及び内側錐体は、それらのより小さい直径とより大きい直径との間に長さLを有する。長さLは、分注端部の長さに対応してよい。好ましい実施形態では、長さLは、約4mm〜約25mmの範囲内、好ましくは約8mm〜約15mmの範囲内である。
【0010】
長さLに基づき、相互に対する内側錐体の第1の直径と第2の直径との比D
i1:D
i2は、約0.4〜約1の範囲内、好ましくは約0.7である。更に、また長さLに基づき、相互に対する外側錐体の第1の直径と第2の直径との比D
o1:D
o2は、約0.3〜約0.9の範囲内、好ましくは約0.6である。加えて、長さLで(又は内側及び外側の第2の直径D
i2、D
o2で)、分注端部は、開口部で周壁の厚さT
1を超える第2の周壁の厚さT
2を有する。好ましくは、第2の周壁の厚さは、約0.075mm〜約0.5mmの範囲内、好ましくは約0.3mmである。
【0011】
一実施形態では、相互に対する内側錐体の第1の直径と第2の直径との比D
i1:D
i2は、1を超える、例えば約1.1である。上の教示にもかかわらず、当業者は、2つの直径のこの場合において、D
i1はより大きい直径であり、直径D
i2はより小さい直径であることを認識するであろう。
【0012】
更に、また長さLに基づき、相互に対する外側錐体の第1の直径と第2の直径との比D
o1:D
o2は、約0.3〜約0.9の範囲内、好ましくは約0.6である。加えて、長さLで(又は内側及び外側の第2の直径D
i2、D
o2で)、分注端部は、開口部で周壁の厚さT
1を超える第2の周壁の厚さT
2を有する。好ましくは、第2の周壁の厚さは、約0.075mm〜約0.5mmの範囲内、好ましくは約0.3mmである。
【0013】
一実施形態では、可塑性材料は、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリオキシメチレン(POM)、ポリブタジエンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンターポリマー(ABS)、及びポリアミド(PA)の中から選択される第1の可塑性材料である。更に、可塑性材料は、熱可塑性エラストマー、シリコーン、又はゴム材料の中から選択される第2の可塑性材料であってよい。
【0014】
一実施形態では、分注端部を形成する周壁は、第1及び第2の可塑性材料のうちの一方から作製される第1の壁部分、並びに第1及び第2の可塑性材料のうちのもう一方から作製される第2の壁部分とを備える。したがって、分注端部の1つの部分は第1の可塑性材料で作られてよく、分注端部の残りの部分は第2の可塑性材料で作られてよい。第1の壁部分及び前記第2の壁部分は、周方向おいて交互に配置される。例えば、分注端部の1つの円周断片は、第1の可塑性材料で作られてよく、かつ分注端部の長さ全体に沿って延在してよく、別の円周断片は第2の可塑性材料で作られてよい。故に、第1及び第2の可塑性材料は、分注端部の長さにそって縞模様に延在してよい。
【0015】
別の実施形態では、分注端部を形成する周壁は、第1の可塑性材料から形成される第1の壁部分と、第2の可塑性材料から形成される第2の壁部分とを備える。この実施形態では、第2の壁部分は、好ましくは開口部に隣接して配置され、第1の壁部分は、より開口部から離間して配置される。これは、座屈に対する比較的高い抵抗を、かつ更に、分注端部の最前端部の比較的低い力での弾性変形性を、分注端部に提供してよい。
【0016】
更なる実施形態では、適用チップは、分注端部を形成する周壁の第1の壁部分と第2の壁部分との間の遷移部に所定の破断連結を有する。故に、使用者は、第2の壁部分を除去し、残りの第1の壁部分のみをもって分注端部を使用してよい。この第1の壁部分は、第2の壁部分内に形成される開口部より大きい第2の開口部を形成してよい。したがって、例えば歯科治療において、歯科医師は、歯の窩洞の角部の中に歯科材料を正確に付着させるために本発明の分注端部を使用し、第2の壁部分を除去し、そして窩洞のバルク充填のために第1の壁部分のみをもって分注端部を使用してよい。それにより、第2の開口部のより大きい直径は、より高い流量での歯科材料の押し出しを促進してよい。
【0017】
一実施形態では、第1及び第2の壁部分は、ポジティブ嵌合又は摩擦嵌合によって連結される。故に、使用者、例えば歯科医師は、第1及び第2の壁部分を容易に相互から分離してよい。
【0018】
別の実施形態では、分注端部を形成する周壁は、開口部から離れる方向に開口部から延在する少なくとも1つのスリットを有する。したがって、周壁は、壁部分が重複する配置にあってよい。故に、変形は、重複の変動と組み合わせた弾性変形によって可能となる。
【0019】
更なる態様では、本発明は、歯科材料を分注するためのシステムに関する。システムは、本発明による適用チップを備える。更に、システムは、歯科材料を収容するためのチャンバと、チャンバ内に移動可能に配置された、歯科材料を押し出すためのピストンとを有するカートリッジを備える。
【0020】
一実施形態では、適用チップ及びカートリッジは一体的に形成される。例えば、適用チップ及びカートリッジは、単一の成形工程内で一体型の可塑性材料から全て成形されてよく、故に、一体となって形成されてよい。
【0021】
別の実施形態では、適用チップ及びカートリッジは、少なくとも2つの別個の部品として形成され、相互に接続するように構成される。カートリッジは歯科材料のための出口ノズルを備え、かつ適用チップ及び出口ノズルは相互に保持するように構成されてよい。この実施形態での適用チップは、カートリッジの出口ノズルを保持するための継手を有してよい。そのような継手は、例えば、スレッド、バヨネット錠、自己保持型錐体接続、及びLuer錠(商標)の中から選択されてよい。カートリッジの出口ノズルは、適用チップの継手と噛み合うための対応する継手を更に有してよい。
【0022】
更なる実施形態では、カートリッジは、カートリッジから歯科材料を分注するための分注ガンの中にカートリッジを保持するための保持具を有してよい。そのような保持具は、例えば、カートリッジの外側表面の周縁によって形成されてよい。
【0023】
一実施形態では、システムは、カートリッジを取り外し可能に受容するための分注ガンを更に備える。そのような分注ガンは、歯科材料を分注するためにカートリッジ内でピストンを前方に付勢するためのプランジャを備えてよい。本発明で使用されてよい分注ガンは、例えば、3M Deutschland GmbH製の3M(商標)ESPE(商標)Restorative Dispenser for Capsulesの名義の元で利用可能である。
【0024】
更なる実施形態では、システムは、複合物、ビスアクリル複合物、及びグラスアイオノマーの中から選択される歯科修復材料を含む。システムは、歯肉圧排材料又は予防材料を更に含む。
【0025】
更なる態様では、本発明は歯科材料を分注する方法に関し、方法は、
−可塑性材料から作製される管状の分注端部を有し、分注端部は、厚さT
1を有する周壁から形成されるとともに、直径D
i1の分注開口部を形成し、分注端部は、少なくとも13以上、好ましくは13〜25の範囲内の開口部での直径/厚さ比D
i1:T
1を有し、かつ周壁の厚さが開口部から離れる方向において増加する、適用チップを提供する工程と、
−分注端部を表面によって形成される湾曲又は屈曲へと押しつけ、それにより分注端部を横方向に変形させる工程と、を含む。
【0026】
変形は、好ましくは一時的であり、好ましくは弾性変形である。変形は、好ましくは分注端部が横方向に平坦化するような変形である。好ましくは、変形は、分注端部が1つの方向に寸法的に減少し、一方で別の寸法に寸法的に増大するような変形である。例えば、分注端部は、略円形横断面から楕円横断面へと変形してよい。その際、用語横方向(lateral)は、適用チップの長手方向軸に垂直な次元を指す。
【0027】
本方法は、変形した適用チップを通して歯科材料を分注する工程を更に含んでよい。更に、本方法は、分注を維持し、分注端部を変形したままにしながら、表面に沿って適用チップを移動する工程を含んでよい。