(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、ヒートポンプを効率よく動作させて除湿を有効に行うことができ、内気循環の割合を多くしても曇りをなくした状態で温度調整を行うことができる空調装置を備えた電動車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための請求項1に係る本発明の電動車両は、装置ケースから車室に空調用の流体が送風されるヒートポンプサイクルの空調装置を備えた電動車両であって、
前記装置ケースの中に配され、媒体が伝熱管を流通する温度調節熱交換器と、前記装置ケースの中に配され、前記媒体が流通する伝熱管の外側にデシカント材が塗布される湿度調節熱交換器と、前記装置ケースの外に配され、外気との間で熱交換されることで前記媒体の温度を調整する採・放熱熱交換器と、前記湿度調節熱交換器の一方側の前記媒体の経路に備えられ、開放状態と絞り状態に動作が制御される第1膨張弁と、前記湿度調節熱交換器の他方側の前記媒体の経路に備えられ、開放状態と絞り状態に動作が制御される第2膨張弁と、媒体を圧縮する圧縮手段と、前記圧縮手段で圧縮された媒体である圧縮媒体の前記温度調節熱交換器、もしくは、前記採・放熱熱交換器への供給を切換える経路切換え手段とを備え、前記採・放熱熱交換器と前記湿度調節熱交換器の間に前記第1膨張弁が接続されると共に、前記温度調節熱交換器と前記湿度調節熱交換器の間に前記第2膨張弁が接続され、前記採・放熱熱交換器と前記温度調節熱交換器の間に前記経路切換え手段が接続され、前記温度調節熱交換器、及び、前記湿度調節熱交換器の少なくとも一方で熱交換された流体が前記車室に送風され
、
運転モードの指示の情報に基づいて、前記経路切換え手段、前記第1膨張弁、前記第2膨張弁の動作を制御する制御手段を備え、
前記運転モードは、
前記圧縮媒体が前記温度調節熱交換器に送られることで前記温度調節熱交換器が凝縮器とされ、膨張された媒体が前記湿度調節熱交換器に送られることで前記湿度調節熱交換器が蒸発器とされ、前記車室の内気を前記装置ケースの中の前記湿度調節熱交換器、及び、前記温度調節熱交換器に循環させ、前記湿度調節熱交換器の前記デシカント材に前記内気の水分を吸着させると共に、前記温度調節熱交換器で前記内気を昇温させる暖房・除湿運転モードと、前記圧縮媒体が前記温度調節熱交換器を流通して送られることで前記湿度調節熱交換器が凝縮器とされ、外気が前記装置ケースの中に送られ、前記湿度調節熱交換器の前記デシカント材の水分が外気に放出されて前記車室に送風され、前記車室から排気される暖房・換気運転モードと、を有し、
前記制御手段は、
前記暖房・除湿運転モードが選択された場合、前記圧縮媒体を前記温度調節熱交換器、前記第2膨張弁、前記湿度調節熱交換器、前記第1膨張弁、前記採・放熱熱交換器の順に送るように前記経路切換え手段を動作させると共に、前記第1膨張弁、及び、前記第2膨張弁を絞り状態に動作させ、前記暖房・換気運転モードが選択された場合、前記圧縮媒体を前記温度調節熱交換器、前記第2膨張弁、前記湿度調節熱交換器、前記第1膨張弁、前記採・放熱熱交換器の順に送るように前記経路切換え手段を動作させると共に、前記第1膨張弁を絞り状態に動作させ、前記第2膨張弁を開放状態に動作させることを特徴とする。
【0008】
請求項1に係る本発明では、経路切換え手段により圧縮媒体を採・放熱熱交換器、第1膨張弁、湿度調節熱交換に供給する。もしくは、圧縮媒体を温度調節熱交換器、第2膨張弁、湿度調節熱交換に供給する。
圧縮媒体が採・放熱熱交換器に供給された場合、採・放熱熱交換器が凝縮器となり、第1膨張弁が絞られることで圧縮媒体が膨張して湿度調節熱交換が蒸発器として動作する状況(流体の水分がデシカント材に吸着される状況)になり、第1膨張弁が開放されることで圧縮媒体は高圧を維持して湿度調節熱交換が凝縮器として動作する状況(デシカント材から水分が放出される状況)になる。
圧縮媒体が温度調節熱交換器に供給された場合、温度調節熱交換器が凝縮器となり、第2膨張弁が絞られることで圧縮媒体が膨張して湿度調節熱交換が蒸発器として動作する状況(流体の水分がデシカント材に吸着される状況)になり、第2膨張弁が開放されることで圧縮媒体は高圧を維持して湿度調節熱交換が凝縮器として動作する状況(デシカント材から水分が放出される状況)になる。
運転モードの指示情報に基づいて、経路切換え手段、第1膨張弁、第2膨張弁の動作が制御される。運転モードの指示情報に基づいて、冷房、暖房、除湿が切り換えられると共に、冷房、暖房、除湿の際に、湿度調節熱交換のデシカント材から水分を放出する運転として換気に切り換えられ、湿度調節熱交換の再生が行われる。
暖房・除湿運転モードと暖房・換気運転モードを適切に切り換えることができる。
暖房・除湿運転モードが選択された場合、経路切換え手段の動作により、圧縮媒体を温度調節熱交換器、第2膨張弁、湿度調節熱交換器、第1膨張弁、採・放熱熱交換器の順に送り、第1膨張弁、及び、第2膨張弁を絞り状態に動作させ、温度調節熱交換器を凝縮器とし、湿度調節熱交換器を蒸発器とし、車室の内気を装置ケースの中の湿度調節熱交換器、及び、温度調節熱交換器に循環させ、湿度調節熱交換器のデシカント材に内気の水分に吸着させると共に、温度調節熱交換器で内気を昇温する。
暖房・換気運転モードが選択された場合、経路切換え手段の動作により、圧縮媒体を温度調節熱交換器、第2膨張弁、湿度調節熱交換器、第1膨張弁、採・放熱熱交換器の順に送ると共に、第1膨張弁を絞り状態に動作させ、第2膨張弁を開放状態に動作させ、温度調節熱交換器を流通させて圧縮媒体を湿度調節熱交換器に送り湿度調節熱交換器を凝縮器とし、外気を装置ケースの中に送り、湿度調節熱交換器のデシカント材の水分を外気に放出させて車室に送風し、車室から排気する。
暖房・除湿運転モードの運転が所定時間継続した場合、湿度調節熱交換器のデシカント材が飽和状態になったと推定し、自動的に暖房・換気運転モードに切り換えるようにすることができる。
【0009】
このため、経路切換え手段の制御により、温度調節熱交換器、採・放熱熱交換器での媒体の温度が調整され、第1膨張弁、第2膨張弁の制御により、湿度調節熱交換での水分の吸着、脱着が調整され、内気を循環させても湿度が低い流体を所望の温度に調整して車室に送風することができる。この結果、ヒートポンプを効率よく動作させて除湿を有効に行うことができ、内気循環の割合を多くしても曇りをなくした状態で温度調整を行うことができる空調装置を備えた電動車両とすることができる。
【0010】
因みに、特開2016−101767号公報には、ヒートポンプシステムが適用された車両の空調装置が開示され、除湿部材(デシカント部材)を備えた技術が開示されている。特開2016−101767号公報に開示された技術は、流体の流路にデシカント部材を備え、熱交換器を流通する流体の除湿を行う技術である。このため、特開2016−101767号公報に開示された技術は、伝熱管の外側にデシカント材が塗布される湿度調節熱交換器を備え、圧縮媒体の供給の切換えと、膨張弁の動作による媒体の状態の制御とを組み合わせ、水分の吸着と脱着を行って、ヒートポンプを効率よく動作させて除湿を有効に行う、本願発明の技術とは技術内容が全く相違する。
【0011】
そして、請求項2に係る本発明の電動車両は、請求項1に記載の電動車両において、
前記運転モードは、
前記圧縮媒体が前記採・放熱熱交換器を流通し、膨張されて前記湿度調節熱交換器に送られることで前記湿度調節熱交換器が蒸発器とされ、膨張された媒体が前記温度調節熱交換器に送られることで前記温度調節熱交換器が蒸発器とされ、前記車室の内気を前記装置ケースの中の前記湿度調節熱交換器、及び、前記温度調節熱交換器に循環させ、前記湿度調節熱交換器の前記デシカント材に前記内気の水分を吸着させると共に、前記温度調節熱交換器で前記内気を降温させる冷房・除湿運転モードと、
前記圧縮媒体が前記採・放熱熱交換器を流通して前記湿度調節熱交換器に送られることで前記湿度調節熱交換器が凝縮器とされ、膨張された媒体が前記温度調節熱交換器に送られることで前記温度調節熱交換器が蒸発器とされ、外気を前記装置ケースの中に送り、前記湿度調節熱交換器の前記デシカント材の水分を外気に放出させ、外気を前記温度調節熱交換器で降温させ、前記車室に送風して前記車室から排気する冷房・換気運転モードと、を有し、
前記制御手段は、
前記冷房・除湿運転モードが選択された場合、前記圧縮媒体を前記採・放熱熱交換器、前記第1膨張弁、前記湿度調節熱交換器、前記第2膨張弁、前記温度調節熱交換器の順に送るように前記経路切換え手段を動作させると共に、前記第1膨張弁、及び、前記第2膨張弁を絞り状態に動作させ、
前記冷房・換気運転モードが選択された場合、前記圧縮媒体を前記採・放熱熱交換器、前記第1膨張弁、前記湿度調節熱交換器、前記第2膨張弁、前記温度調節熱交換器の順に送るように前記経路切換え手段を動作させると共に、前記第1膨張弁を開放状態に動作させ、前記第2膨張弁を絞り状態に動作させることを特徴とする。
【0012】
請求項2に係る本発明では、
冷房・除湿運転モードと冷房・換気運転モードを適切に切り換えることができる。
冷房・除湿運転モードが選択された場合、経路切換え手段の動作により、圧縮媒体を採・放熱熱交換器、第1膨張弁、湿度調節熱交換器、第2膨張弁、温度調節熱交換器の順に送り、第1膨張弁、及び、第2膨張弁を絞り状態に動作させ、圧縮媒体を採・放熱熱交換器に流通させた後、膨張させて湿度調節熱交換器に送り湿度調節熱交換器を蒸発器とし、膨張された媒体を温度調節熱交換器に送り温度調節熱交換器を蒸発器とし、車室の内気を装置ケースの中の湿度調節熱交換器、及び、温度調節熱交換器に循環させ、湿度調節熱交換器のデシカント材に内気の水分を吸着させると共に、温度調節熱交換器で内気を降温させる。
冷房・換気運転モードが選択された場合、経路切換え手段の動作により、圧縮媒体を採・放熱熱交換器、第1膨張弁、湿度調節熱交換器、第2膨張弁、温度調節熱交換器の順に送り、第1膨張弁を開放状態に動作させ、前記第2膨張弁を絞り状態に動作させることで、圧縮媒体を採・放熱熱交換器に流通させて湿度調節熱交換器に送り湿度調節熱交換器を凝縮器とし、膨張された媒体を温度調節熱交換器に送り温度調節熱交換器を蒸発器とし、外気を装置ケースの中に送り、湿度調節熱交換器のデシカント材の水分を外気に放出させ、外気を温度調節熱交換器で降温させて車室に送風し、車室から排気する。
冷房・除湿運転モードの運転が所定時間継続した場合、湿度調節熱交換器のデシカント材が飽和状態になったと推定し、自動的に冷房・換気運転モードに切り換えるようにすることができる。
【0013】
また、請求項3に係る本発明の電動車両は、
請求項1もしくは請求項2に記載の電動車両において
前記運転モードは、
前記圧縮媒体が膨張されて前記湿度調節熱交換器に送られることで前記湿度調節熱交換器が蒸発器とされ、前記車室の内気を前記装置ケースの中の前記湿度調節熱交換器に循環流通させ、前記湿度調節熱交換器の前記デシカント材に前記内気の水分を吸着させる除湿運転モードと、
前記圧縮媒体が前記湿度調節熱交換器に送られることで前記湿度調節熱交換器が凝縮器とされると共に、膨張された媒体が前記温度調節熱交換器に送られることで前記温度調節熱交換器が蒸発器とされ、外気を前記装置ケースの中に送り、前記湿度調節熱交換器の前記デシカント材の水分を外気に放出させ、前記車室に送風して前記車室から排気すると共に、前記車室の内気を前記装置ケースの中の前記温度調節熱交換器に循環流通させて降温する除湿・換気運転モードと、を有し、
前記制御手段は、
前記除湿運転モードが選択された場合、前記圧縮媒体を前記採・放熱熱交換器、前記第1膨張弁、前記湿度調節熱交換器、前記第2膨張弁、前記温度調節熱交換器の順に送るように前記経路切換え手段を動作させると共に、前記第1膨張弁を絞り状態に動作させ、前記第2膨張弁を開放状態に動作させ、
前記除湿・換気運転モードが選択された場合、前記圧縮媒体を前記採・放熱熱交換器、前記第1膨張弁、前記湿度調節熱交換器、前記第2膨張弁、前記温度調節熱交換器の順に送るように前記経路切換え手段を動作させると共に、前記第1膨張弁を開放状態に動作させ、前記第2膨張弁を絞り状態に動作させることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る本発明では、
除湿運転モードと除湿・換気運転モードを適切に切り換えることができる。
除湿運転モードが選択された場合、経路切換え手段の動作により、圧縮媒体を採・放熱熱交換器、第1膨張弁、湿度調節熱交換器、第2膨張弁、温度調節熱交換器の順に送り、第1膨張弁を絞り状態に動作させ、第2膨張弁を開放状態に動作させることで、圧縮媒体を膨張させて湿度調節熱交換器に送り湿度調節熱交換器を蒸発器とし、車室の内気を装置ケースの中の湿度調節熱交換器に循環流通させ、湿度調節熱交換器のデシカント材に内気の水分を吸着させる。
除湿・換気運転モードが選択された場合、経路切換え手段の動作により、圧縮媒体を採・放熱熱交換器、第1膨張弁、湿度調節熱交換器、第2膨張弁、温度調節熱交換器の順に送り、第1膨張弁を開放状態に動作させ、第2膨張弁を絞り状態に動作させることで、圧縮された媒体を湿度調節熱交換器に送り湿度調節熱交換器を凝縮器とし、膨張された媒体を温度調節熱交換器に送り温度調節熱交換器を蒸発器とし、外気を装置ケースの中に送り、湿度調節熱交換器のデシカント材の水分を外気に放出させ、車室に送風して車室から排気すると共に、車室の内気を装置ケースの中の温度調節熱交換器に循環流通させて降温する。
除湿運転モードの運転が所定時間継続した場合、湿度調節熱交換器のデシカント材が飽和状態になったと推定し、自動的に除湿・換気運転モードに切り換えるようにすることができる。
【0015】
また、請求項4に係る本発明の電動車両は、
装置ケースから車室に空調用の流体が送風されるヒートポンプサイクルの空調装置を備えた電動車両であって、
前記装置ケースの中に配され、媒体が伝熱管を流通する温度調節熱交換器と、前記装置ケースの中に配され、前記媒体が流通する伝熱管の外側にデシカント材が塗布される湿度調節熱交換器と、前記装置ケースの外に配され、外気との間で熱交換されることで前記媒体の温度を調整する採・放熱熱交換器と、前記湿度調節熱交換器の一方側の前記媒体の経路に備えられ、開放状態と絞り状態に動作が制御される第1膨張弁と、前記湿度調節熱交換器の他方側の前記媒体の経路に備えられ、開放状態と絞り状態に動作が制御される第2膨張弁と、媒体を圧縮する圧縮手段と、前記圧縮手段で圧縮された媒体である圧縮媒体の前記温度調節熱交換器、もしくは、前記採・放熱熱交換器への供給を切換える経路切換え手段とを備え、前記採・放熱熱交換器と前記湿度調節熱交換器の間に前記第1膨張弁が接続されると共に、前記温度調節熱交換器と前記湿度調節熱交換器の間に前記第2膨張弁が接続され、前記採・放熱熱交換器と前記温度調節熱交換器の間に前記経路切換え手段が接続され、前記温度調節熱交換器、及び、前記湿度調節熱交換器の少なくとも一方で熱交換された流体が前記車室に送風され、
運転モードの指示の情報に基づいて、前記経路切換え手段、前記第1膨張弁、前記第2膨張弁の動作を制御する制御手段を備え、
前記運転モードは、
前記圧縮媒体が前記採・放熱熱交換器を流通し、膨張されて前記湿度調節熱交換器に送られることで前記湿度調節熱交換器が蒸発器とされ、膨張された媒体が前記温度調節熱交換器に送られることで前記温度調節熱交換器が蒸発器とされ、前記車室の内気を前記装置ケースの中の前記湿度調節熱交換器、及び、前記温度調節熱交換器に循環させ、前記湿度調節熱交換器の前記デシカント材に前記内気の水分を吸着させると共に、前記温度調節熱交換器で前記内気を降温させる冷房・除湿運転モードと、
前記圧縮媒体が前記採・放熱熱交換器を流通して前記湿度調節熱交換器に送られることで前記湿度調節熱交換器が凝縮器とされ、膨張された媒体が前記温度調節熱交換器に送られることで前記温度調節熱交換器が蒸発器とされ、外気を前記装置ケースの中に送り、前記湿度調節熱交換器の前記デシカント材の水分を外気に放出させ、外気を前記温度調節熱交換器で降温させ、前記車室に送風して前記車室から排気する冷房・換気運転モードと、を有し、
前記制御手段は、
前記冷房・除湿運転モードが選択された場合、前記圧縮媒体を前記採・放熱熱交換器、前記第1膨張弁、前記湿度調節熱交換器、前記第2膨張弁、前記温度調節熱交換器の順に送るように前記経路切換え手段を動作させると共に、前記第1膨張弁、及び、前記第2膨張弁を絞り状態に動作させ、
前記冷房・換気運転モードが選択された場合、前記圧縮媒体を前記採・放熱熱交換器、前記第1膨張弁、前記湿度調節熱交換器、前記第2膨張弁、前記温度調節熱交換器の順に送るように前記経路切換え手段を動作させると共に、前記第1膨張弁を開放状態に動作させ、前記第2膨張弁を絞り状態に動作させることを特徴とする。
【0017】
また、請求項5に係る本発明の電動車両は、
装置ケースから車室に空調用の流体が送風されるヒートポンプサイクルの空調装置を備えた電動車両であって、
前記装置ケースの中に配され、媒体が伝熱管を流通する温度調節熱交換器と、前記装置ケースの中に配され、前記媒体が流通する伝熱管の外側にデシカント材が塗布される湿度調節熱交換器と、前記装置ケースの外に配され、外気との間で熱交換されることで前記媒体の温度を調整する採・放熱熱交換器と、前記湿度調節熱交換器の一方側の前記媒体の経路に備えられ、開放状態と絞り状態に動作が制御される第1膨張弁と、前記湿度調節熱交換器の他方側の前記媒体の経路に備えられ、開放状態と絞り状態に動作が制御される第2膨張弁と、媒体を圧縮する圧縮手段と、前記圧縮手段で圧縮された媒体である圧縮媒体の前記温度調節熱交換器、もしくは、前記採・放熱熱交換器への供給を切換える経路切換え手段とを備え、前記採・放熱熱交換器と前記湿度調節熱交換器の間に前記第1膨張弁が接続されると共に、前記温度調節熱交換器と前記湿度調節熱交換器の間に前記第2膨張弁が接続され、前記採・放熱熱交換器と前記温度調節熱交換器の間に前記経路切換え手段が接続され、前記温度調節熱交換器、及び、前記湿度調節熱交換器の少なくとも一方で熱交換された流体が前記車室に送風され、
運転モードの指示の情報に基づいて、前記経路切換え手段、前記第1膨張弁、前記第2膨張弁の動作を制御する制御手段を備え、
前記運転モードは、
前記圧縮媒体が膨張されて前記湿度調節熱交換器に送られることで前記湿度調節熱交換器が蒸発器とされ、前記車室の内気を前記装置ケースの中の前記湿度調節熱交換器に循環流通させ、前記湿度調節熱交換器の前記デシカント材に前記内気の水分を吸着させる除湿運転モードと、
前記圧縮媒体が前記湿度調節熱交換器に送られることで前記湿度調節熱交換器が凝縮器とされると共に、膨張された媒体が前記温度調節熱交換器に送られることで前記温度調節熱交換器が蒸発器とされ、外気を前記装置ケースの中に送り、前記湿度調節熱交換器の前記デシカント材の水分を外気に放出させ、前記車室に送風して前記車室から排気すると共に、前記車室の内気を前記装置ケースの中の前記温度調節熱交換器に循環流通させて降温する除湿・換気運転モードと、を有し、
前記制御手段は、
前記除湿運転モードが選択された場合、前記圧縮媒体を前記採・放熱熱交換器、前記第1膨張弁、前記湿度調節熱交換器、前記第2膨張弁、前記温度調節熱交換器の順に送るように前記経路切換え手段を動作させると共に、前記第1膨張弁を絞り状態に動作させ、前記第2膨張弁を開放状態に動作させ、
前記除湿・換気運転モードが選択された場合、前記圧縮媒体を前記採・放熱熱交換器、前記第1膨張弁、前記湿度調節熱交換器、前記第2膨張弁、前記温度調節熱交換器の順に送るように前記経路切換え手段を動作させると共に、前記第1膨張弁を開放状態に動作させ、前記第2膨張弁を絞り状態に動作させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電動車両は、ヒートポンプを効率よく動作させて除湿を有効に行うことができ、内気循環の割合を多くしても快適な状態で(曇りをなくした状態で)温度調整を行うことができる空調装置を備えた電動車両とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1に基づいて本発明の一実施例に係る電動車両を説明する。
図1には本発明の一実施例に係る電動車両における空調装置を概念的に示した概略系統を示してある。
【0022】
図1に示すように、本実施例の空調装置1は、装置ケース2から車室3に空調用の流体が送風されるヒートポンプサイクルの装置とされている。即ち、装置ケース2の中には、媒体が伝熱管を流通する温度調節熱交換器5と、媒体が流通する伝熱管の外側にデシカント材が塗布される湿度調節熱交換器6が備えられている。装置ケース2の外には外気との間で熱交換されることで媒体の温度を調整する採・放熱熱交換器7が配されている。
【0023】
湿度調節熱交換器6の一方側の媒体の経路には第1膨張弁8が備えられ、第1膨張弁8は開放状態と絞り状態に動作が制御される。湿度調節熱交換器6の他方側の媒体の経路には第2膨張弁9が備えられ、第2膨張弁9は開放状態と絞り状態に動作が制御される。
【0024】
一方、媒体を圧縮する圧縮手段11が備えられ、圧縮手段11で圧縮された媒体(圧縮媒体)は、経路切換え手段12を介して、温度調節熱交換器5、もしくは、採・放熱熱交換器7のいずれかに供給が切り換えられる。第1膨張弁8は、採・放熱熱交換器7と湿度調節熱交換器6の間に接続され、第2膨張弁9は、温度調節熱交換器5と湿度調節熱交換器6の間に接続されている。
【0025】
経路切換え手段12は、圧縮手段11の出口側につながるポート、気液分離器13を介して圧縮手段11の入口側につながるポート、温度調節熱交換器5につながるポート、採・放熱熱交換器7につながるポートが備えられている。経路切換え手段12の動作により、圧縮手段11の出口側の圧縮媒体が温度調節熱交換器5側に供給されると共に、採・放熱熱交換器7からの媒体が圧縮手段11の入口側(気液分離器13)に供給される状態(暖房を使用する運転モード)にされる。
【0026】
また、経路切換え手段12の動作により、圧縮手段11の出口側の圧縮媒体が採・放熱熱交換器7側に供給されると共に、温度調節熱交換器5からの媒体が圧縮手段11の入口側(気液分離器13)に供給される状態(冷房、除湿を使用する運転モード)にされる。
【0027】
経路切換え手段12により、圧縮媒体が採・放熱熱交換器7に供給された場合、採・放熱熱交換器7が凝縮器となり、第1膨張弁8が絞られることで圧縮媒体が膨張して湿度調節熱交換器6が蒸発器として動作する状況(流体の水分がデシカント材に吸着される状況)になる。第1膨張弁8が開放されることで圧縮媒体は高圧を維持して湿度調節熱交換器6が凝縮器として動作する状況(デシカント材から水分が放出される状況)になる。
【0028】
経路切換え手段12により、圧縮媒体が温度調節熱交換器5に供給された場合、温度調節熱交換器5が凝縮器となり、第2膨張弁9が絞られることで圧縮媒体が膨張して湿度調節熱交換器6が蒸発器として動作する状況(流体の水分がデシカント材に吸着される状況)になる。第2膨張弁9が開放されることで圧縮媒体は高圧を維持して湿度調節熱交換器6が凝縮器として動作する状況(デシカント材から水分が放出される状況)になる。
【0029】
このため、経路切換え手段12の制御により、温度調節熱交換器5、採・放熱熱交換器7での媒体の温度が調整され、第1膨張弁8、第2膨張弁9の制御により、湿度調節熱交換器6での水分の吸着、脱着が調整される。このため、装置ケース2の中に、車室3の内気を循環させても、湿度が低い流体を所望の温度に調整して車室3に送風することができる。
【0030】
この結果、ヒートポンプを効率よく動作させて除湿を有効に行うことができ、内気循環の割合を多くしても快適な状態で(曇りをなくした状態で)温度調整を行うことができる空調装置1となる。
【0031】
装置ケース2の入口には外気導入口15が備えられ、外気導入口15に隣接して車室3につながる内気導入口16が備えられている。外気導入口15と内気導入口16は、流入ダンパー17により一方が開放されると共に他方が閉じられる。装置ケース2の入口の内側には、流体を湿度調節熱交換器6側に送るブロア18が備えられている。
【0032】
装置ケース2の中の温度調節熱交換器5と湿度調節熱交換器6の間には切換えダンパー19が備えられ、切換えダンパー19の切り換えにより、ブロア18で湿度調節熱交換器6に送られた流体が、温度調節熱交換器5を通して車室3に送られる経路と、ブロア18で湿度調節熱交換器6に送られた流体が、そのまま車室3に送られる経路とが選択される。車室3には換気口4が設けられ、換気口4は排気ダンパー14により開閉される。
【0033】
空調装置1には制御手段21が備えられ、制御手段21には運転モードの指示の情報が入力され、運転モードの指示の情報に基づいて、経路切換え手段12、第1膨張弁8、第2膨張弁9の動作が制御される。
【0034】
運転モードは、暖房・除湿運転モード、暖房・換気運転モード、冷房・除湿運転モード、冷房・換気運転モード、除湿モード、除湿・換気運転モードを有している。運転モードの指示情報に基づいて、冷房、暖房、除湿が切り換えられると共に、冷房、暖房、除湿の際に、湿度調節熱交換器6のデシカント材から水分を放出する運転として換気に切り換えられ、湿度調節熱交換器6の再生が行われる。
【0035】
図2から
図7に基づいて、上述した空調装置における媒体、空調流体の流れの具体的な状況を説明する。
【0036】
図2から
図7には上述した空調装置における媒体、空調流体の流れを概念的に示した概略系統を示してあり、
図2は、例えば、冬に暖房・除湿運転モードが選択された状態、
図3は、例えば、冬に暖房・換気運転モードが選択された状態、
図4は、例えば、夏に冷房・除湿運転モードが選択された状態、
図5は、例えば、夏に冷房・換気運転モードが選択された状態、
図6は、例えば、梅雨、春、秋に除湿運転モードが選択された状態、
図7は、例えば、梅雨、春、秋に除湿・換気運転モードが選択された状態である。
【0037】
図2に基づいて、例えば、冬に暖房・除湿運転モードが選択された状態を説明する。
【0038】
暖房・除湿運転モードでは、第1膨張弁8、及び、第2膨張弁9が絞り状態に動作され、流入ダンパー17により外気導入口15が閉じられ、内気導入口16が開き状態にされる。そして、排気ダンパー14が閉じられると共に、切換えダンパー19により、ブロア18からの流体が湿度調節熱交換器6と温度調節熱交換器5を流通して車室3につながる流路が構築される。
【0039】
経路切換え手段12の動作により、圧縮手段11で圧縮された圧縮媒体が、温度調節熱交換器5、第2膨張弁9、湿度調節熱交換器6、第1膨張弁8、採・放熱熱交換器7の順に送られる。この状態で、圧縮流体が温度調節熱交換器5に送られて温度調節熱交換器5が凝縮器(Con)となり、膨張された流体が湿度調節熱交換器6、及び、採・放熱熱交換器7に送られて湿度調節熱交換器6、及び、採・放熱熱交換器7が蒸発器(Eva)となる。
【0040】
ブロア18の作動により、車室3の内気(例えば、20℃)が装置ケース2の中の湿度調節熱交換器6、及び、温度調節熱交換器5に循環される。水分(矢印中○)を含んだ内気(例えば、湿度40%)は、湿度調節熱交換器6のデシカント材で水分が吸着されて(除湿されて:例えば湿度20%)、温度調節熱交換器5で昇温(例えば、30℃)される。除湿昇温された流体は、車室3内の窓ガラス、乗員に向けて吹かれ、窓ガラスの曇りが抑制されると共に、車室3内の乗員の環境が快適にされる。
【0041】
これにより、湿度調節熱交換器6で内気の除湿を行い、温度調節熱交換器5で流体の昇温を行うことができ、低湿度の外気を装置ケース2、車室3に導入しなくても、内気の循環により、暖房・除湿運転を実施することができる。従って、内気を昇温させるための温度、圧力の圧縮流体を圧縮手段11から供給することで、暖房・除湿運転を行うことができ、低温の外気を暖房用に昇温させるための高温・高圧の圧縮流体の供給が必要なくなる。
【0042】
このため、圧縮手段11の圧縮動力を抑制することができ、暖房・除湿運転時の負荷が減少すると共に、暖房効率が向上し、快適性と安全性(視認性)を確保した状態で、電動車両の長い走行距離を維持することができる。従って、ヒートポンプを効率よく動作させて除湿を有効に行うことができ、内気循環の割合を多くしても快適な状態で(曇りをなくした状態で)温度調整を行うことができる。
【0043】
図3に基づいて、例えば、冬に暖房・換気運転モードが選択された状態を説明する。
【0044】
暖房・換気運転モードでは、第1膨張弁8が絞り状態に動作され、第2膨張弁9が開き状態に動作され、流入ダンパー17により外気導入口15が開き状態にされ、内気導入口16が閉じ状態にされる。そして、排気ダンパー14が開かれると共に、切換えダンパー19により、ブロア18からの流体が湿度調節熱交換器6を流通して車室3につながる流路が構築される。
【0045】
経路切換え手段12の動作により、圧縮手段11で圧縮された圧縮媒体が、温度調節熱交換器5、第2膨張弁9、湿度調節熱交換器6、第1膨張弁8、採・放熱熱交換器7の順に送られる。この状態で、圧縮流体が温度調節熱交換器5から湿度調節熱交換器6に送られて、温度調節熱交換器5、及び、湿度調節熱交換器6が凝縮器(Con)となり、膨張された流体が採・放熱熱交換器7に送られて採・放熱熱交換器7が蒸発器(Eva)となる。
【0046】
ブロア18の作動により、外気(例えば、0℃)が装置ケース2の中の湿度調節熱交換器6に送られ、湿度調節熱交換器6のデシカント材から水分(矢印中○)が放出(脱着)され、水分を含んだ流体(例えば、湿度20%)が車室3に送られて換気口4から排気される。
【0047】
これにより、温度や湿度を大きく変えることなく、車室3内の換気を行うことができ、車室3内の環境を快適に維持することができる。しかも、換気と同時に湿度調節熱交換器6のデシカント材から水分が脱着されるので、湿度調節熱交換器6の再生を行うことができる。
【0048】
暖房・換気運転モードを行うことにより、車室3内の換気を行うと共に、湿度調節熱交換器6の再生を定期的に行うことができる。暖房・換気運転モードの切換えは、例えば、乗員により適宜行うことができる。
【0049】
尚、
図3に太点線矢印で示したように、外気の一部を温度調節熱交換器5に直接送り、昇温された状態の流体を車室3に送り、換気口4から排気することで、水分を含んだ流体を換気する状況であっても、昇温された流体によって窓ガラスの曇りを抑制することができる。
【0050】
また、制御手段21の制御により、暖房・除湿運転モードの運転時間の積算値が所定時間(湿度調節熱交換器6のデシカント材の水分が飽和状態になる時間)になった際に、自動的に暖房・換気運転モードに切換えるようにすることも可能である。また、湿度調節熱交換器6のデシカント材の水分を検出し、検出値が所定値(湿度調節熱交換器6のデシカント材の水分が飽和状態になる値)になった際に、自動的に暖房・換気運転モードに切換えるようにすることも可能である。自動的に暖房・換気運転モードに切換えるようにすることで、湿度調節熱交換器6の再生を確実に行うことができ、暖房・除湿運転モードを安定して実施することができる。
【0051】
図4に基づいて、例えば、夏に冷房・除湿運転モードが選択された状態を説明する。
【0052】
冷房・除湿運転モードでは、第1膨張弁8、及び、第2膨張弁9が絞り状態に動作され、流入ダンパー17により外気導入口15が閉じられ、内気導入口16が開き状態にされる。そして、排気ダンパー14が閉じられると共に、切換えダンパー19により、ブロア18からの流体が湿度調節熱交換器6と温度調節熱交換器5を流通して車室3につながる流路が構築される。
【0053】
経路切換え手段12の動作により、圧縮手段11で圧縮された圧縮媒体が、採・放熱熱交換器7、第1膨張弁8、湿度調節熱交換器6、温度調節熱交換器5の順に送られる。この状態で、圧縮流体が採・放熱熱交換器7に送られて採・放熱熱交換器7が凝縮器(Con)となり、膨張された流体が湿度調節熱交換器6、及び、温度調節熱交換器5に送られて湿度調節熱交換器6、及び、温度調節熱交換器5が蒸発器(Eva)となる。
【0054】
ブロア18の作動により、車室3の内気(例えば、30℃)が装置ケース2の中の湿度調節熱交換器6、及び、温度調節熱交換器5に循環される。水分(矢印中○)を含んだ内気(例えば、湿度50%)は、湿度調節熱交換器6のデシカント材で水分が吸着されて(除湿されて:例えば湿度35%)、温度調節熱交換器5で冷却(例えば、20℃)される。除湿降温された流体は、車室3内の乗員に向けて吹かれ、車室3内の乗員の環境が快適にされる。
【0055】
これにより、湿度調節熱交換器6で内気の除湿を行い、温度調節熱交換器5で流体の冷却を行うことができ、外気を装置ケース2、車室3に導入することなく、内気の循環により、冷房・除湿運転を実施することができる。従って、ヒートポンプを効率よく動作させて除湿を有効に行うことができ、内気循環の割合を多くしても快適な状態で(曇りをなくした状態で)温度調整を行うことができる。
【0056】
図5に基づいて、例えば、夏に冷房・換気運転モードが選択された状態を説明する。
【0057】
冷房・換気運転モードでは、第1膨張弁8が開き状態に動作され、第2膨張弁9が絞り状態に動作され、流入ダンパー17により外気導入口15が開き状態にされ、内気導入口16が閉じ状態にされる。そして、排気ダンパー14が開かれると共に、切換えダンパー19により、ブロア18からの流体が湿度調節熱交換器6、温度調節熱交換器5を流通して車室3につながる流路が構築される。
【0058】
経路切換え手段12の動作により、圧縮手段11で圧縮された圧縮媒体が、採・放熱熱交換器7、第1膨張弁8、湿度調節熱交換器6、温度調節熱交換器5の順に送られる。この状態で、圧縮流体が採・放熱熱交換器7から湿度調節熱交換器6に送られて湿度調節熱交換器6が凝縮器(Con)となり、膨張された流体が温度調節熱交換器5に送られて温度調節熱交換器5が蒸発器(Eva)となる。
【0059】
ブロア18の作動により、外気(例えば、35℃)が装置ケース2の中の湿度調節熱交換器6に送られ、湿度調節熱交換器6のデシカント材から水分(矢印中○)が放出(脱着)され、水分を含んだ流体(例えば、湿度40%)が温度調節熱交換器5に送られ、温度調節熱交換器5で冷却されて車室3に送られ、換気口4から排気される。温度調節熱交換器5では、流体から水分(矢印中○)が落とされて車室3の外に排出される。
【0060】
これにより、外気を入れて冷却状態を維持し、車室3内の換気を行うことができ、車室3内の環境を快適に維持することができる。しかも、換気と同時に湿度調節熱交換器6のデシカント材から水分が脱着されるので、湿度調節熱交換器6の再生を行うことができる。
【0061】
冷房・換気運転モードを行うことにより、車室3内の換気を行うと共に、湿度調節熱交換器6の再生を定期的に行うことができる。冷房・換気運転モードの切換えは、例えば、乗員により適宜行うことができる。
【0062】
また、制御手段21の制御により、冷房・除湿運転モードの運転時間の積算値が所定時間(湿度調節熱交換器6のデシカント材の水分が飽和状態になる時間)になった際に、自動的に冷房・換気運転モードに切換えるようにすることも可能である。また、湿度調節熱交換器6のデシカント材の水分量を検出し、検出値が所定値(湿度調節熱交換器6のデシカント材の水分が飽和状態になる値)になった際に、自動的に冷房・換気運転モードに切換えるようにすることも可能である。自動的に冷房・換気運転モードに切換えるようにすることで、湿度調節熱交換器6の再生を確実に行うことができ、冷房・除湿運転モードを安定して実施することができる。
【0063】
図6に基づいて、例えば、梅雨、春、秋に除湿運転モードが選択された状態を説明する。
【0064】
除湿運転モードでは、第1膨張弁8が絞り状態に動作され、第2膨張弁9が開き状態に動作され、流入ダンパー17により外気導入口15が閉じられ、内気導入口16が開き状態にされる。そして、排気ダンパー14が閉じられると共に、切換えダンパー19により、ブロア18からの流体が湿度調節熱交換器6を流通して車室3につながる流路が構築される。
【0065】
経路切換え手段12の動作により、圧縮手段11で圧縮された圧縮媒体が、採・放熱熱交換器7、第1膨張弁8、湿度調節熱交換器6、温度調節熱交換器5の順に送られる。この状態で、圧縮流体が採・放熱熱交換器7に送られて採・放熱熱交換器7が凝縮器(Con)となり、膨張された流体が湿度調節熱交換器6、及び、温度調節熱交換器5に送られて湿度調節熱交換器6が蒸発器(Eva)となる。
【0066】
ブロア18の作動により、車室3の内気(例えば、25℃)が装置ケース2の中の湿度調節熱交換器6に循環される。水分(矢印中○)を含んだ内気(例えば、湿度60%)は、湿度調節熱交換器6のデシカント材で水分が吸着され(除湿されて:例えば湿度40%)、除湿された流体は、車室3内の乗員に向けて吹かれ、車室3内の乗員の環境が快適にされる。
【0067】
これにより、湿度調節熱交換器6で内気の除湿を行うことができ、外気を装置ケース2、車室3に導入することなく、内気の循環により、除湿運転を実施することができる。従って、ヒートポンプを効率よく動作させて除湿を有効に行うことができ、内気循環の割合を多くしても快適な状態で(曇りをなくした状態で)温度調整を行うことができる。
【0068】
図7に基づいて、例えば、梅雨、春、秋に除湿・換気運転モードが選択された状態を説明する。
【0069】
冷房・換気運転モードでは、第1膨張弁8が開き状態に動作され、第2膨張弁9が絞り状態に動作され、流入ダンパー17により外気導入口15が開き状態にされ、内気導入口16が閉じ状態にされる。そして、排気ダンパー14が開かれると共に、切換えダンパー19により、ブロア18からの流体が湿度調節熱交換器6を流通して車室3につながる流路が構築される。また、切換えダンパー19により、車室3内の内気が温度調節熱交換器5を循環する流路が構築される。
【0070】
経路切換え手段12の動作により、圧縮手段11で圧縮された圧縮媒体が、採・放熱熱交換器7、第1膨張弁8、湿度調節熱交換器6、温度調節熱交換器5の順に送られる。この状態で、圧縮流体が採・放熱熱交換器7から湿度調節熱交換器6に送られて湿度調節熱交換器6が凝縮器(Con)となり、膨張された流体が温度調節熱交換器5に送られて温度調節熱交換器5が蒸発器(Eva)となる。
【0071】
ブロア18の作動により、外気(例えば、25℃)が装置ケース2の中の湿度調節熱交換器6に送られ、湿度調節熱交換器6のデシカント材から水分(矢印中○)が放出(脱着)され、水分を含んだ流体(例えば、湿度45%)が車室3に送られて換気口4から排気される。同時に、車室3の内気が温度調節熱交換器5を循環し、内気の冷却が継続されて外気が導入されても、内気の温度が所望の範囲(例えば、20℃から25℃)に維持される。
【0072】
これにより、所望の温度を維持し、車室3内の換気を行うことができ、車室3内の環境を快適に維持することができる。しかも、換気と同時に湿度調節熱交換器6のデシカント材から水分が脱着されるので、湿度調節熱交換器6の再生を行うことができる。
【0073】
除湿・換気運転モードを行うことにより、車室3内の換気を行うと共に、湿度調節熱交換器6の再生を定期的に行うことができる。除湿・換気運転モードの切換えは、例えば、乗員により適宜行うことができる。
【0074】
また、制御手段21の制御により、除湿運転モードの運転時間の積算値が所定時間(湿度調節熱交換器6のデシカント材の水分が飽和状態になる時間)になった際に、自動的に除湿・換気運転モードに切換えるようにすることも可能である。また、湿度調節熱交換器6のデシカント材の水分量を検出し、検出値が所定値(湿度調節熱交換器6のデシカント材の水分が飽和状態になる値)になった際に、自動的に除湿・換気運転モードに切換えるようにすることも可能である。自動的に除湿・換気運転モードに切換えるようにすることで、湿度調節熱交換器6の再生を確実に行うことができ、除湿運転モードを安定して実施することができる。
【0075】
上述した電動車両における空調装置1は、媒体の流通方向、及び、膨張弁の開放状態、絞り状態の動作を制御して、熱交換器(温度調節熱交換器5、湿度調節熱交換器6)での潜顕熱を個別に制御することにより、最小限の熱交換器を用いて、温度と湿度の調節ができ、簡素な機器構成でヒートポンプを効率よく動作させることが可能になる。この結果、上述した電動車両は、ヒートポンプを効率よく動作させて除湿を有効に行うことができ、内気循環の割合を多くしても快適な状態で(曇りをなくした状態で)温度調整を行うことができる空調装置1を備えた電動車両となる。