(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
マルチルーメン医療用物品を固定するための固定システムであって、前記医療用物品は、マルチルーメン接合部と、前記マルチルーメン接合部に接続された少なくとも2つの近位管材と、前記マルチルーメン接合部に接続された少なくとも1つの遠位管材と、を備え、前記システムは、
長手方向と、
パッチであって、
前記医療用物品の少なくとも一部を受け入れるように構成された第1の主面、及び
皮膚接触接着剤を備える、前記第1の主面の反対側の第2の主面、を備える、パッチと、
長手方向フラップであって、
第1の主面、
前記医療用物品の少なくとも一部及び前記パッチの前記第1の主面に連結されるように構成された、前記第1の主面の反対側の第2の主面、
前記パッチに対して固定されている固定近位部分、
前記パッチの外周内に位置決めされたヒンジであって、前記ヒンジは前記パッチの前記外周まで延びることも又は前記外周の一部を形成することもなく、前記ヒンジは、前記パッチの横幅よりも小さくかつ前記フラップの横幅よりも小さい横幅を有し、前記ヒンジは前記医療用物品の2つの隣接する近位管材の間に受け入れられるような寸法となっている、ヒンジ、並びに
前記ヒンジを介して前記パッチ及び前記フラップの前記固定近位部分に対して開いた位置と閉じた位置との間で移動可能な、自由な遠位部分であって、前記医療用物品の少なくとも前記マルチルーメン接合部を前記パッチの前記第1の主面に固定するように構成されている、自由な遠位部分、を備える、長手方向フラップと
を備える、固定システム。
前記フラップは、前記フラップの前記固定近位部分に隣接して位置決めされた少なくとも2つの近位切欠き領域を更に含み、各近位切欠き領域は前記フラップの外周から前記フラップの中心部に向かって延びており、前記近位切欠き領域のそれぞれは前記医療用物品の近位管材を受け入れるように構成されており、前記ヒンジは2つの隣接する近位切欠き領域の間に位置決めされている、請求項1又は2に記載のシステム。
前記フラップは、前記フラップの外周から前記フラップの中心部に向かって延びている少なくとも1つの近位切欠き領域を含み、前記近位切欠き領域は前記医療用物品の近位管材を受け入れるように構成されており、各近位切欠き領域は少なくとも部分的に前記フラップの近位突出部によって画定される、請求項1〜3のいずれか一項に記載のシステム。
前記フラップは2つの近位切欠き領域及び3つの近位突出部を含み、真ん中の近位突出部は前記フラップの前記固定近位部分及び前記ヒンジを含む、請求項4又は5に記載のシステム。
少なくとも1つの近位切欠き領域は、(i)前記フラップの前記固定近位部分及び前記ヒンジを含む前記フラップの第1の近位突出部と、(ii)前記フラップが前記医療用物品に固定されるときに前記医療用物品の少なくとも一部の周囲に巻かれるように構成された第2の近位突出部と、によって画定される、請求項4〜6のいずれか一項に記載のシステム。
前記フラップは、前記フラップの前記自由な遠位部分内に位置決めされた少なくとも1つの遠位切欠き領域を含み、前記少なくとも1つの遠位切欠き領域は前記フラップの外周から前記フラップの中心部に向かって延びており、前記少なくとも1つの遠位切欠き領域は前記医療用物品の遠位管材を受け入れるような寸法となっている、請求項1〜8のいずれか一項に記載のシステム。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示は、一般に、マルチルーメン医療用物品をしっかりと確実に固定するための汎用固定システムに関する。一般に、本開示のシステムは、製品ごとに異なる場合の多い、複雑な剛性の連結具又は金物を備えるシステムに対する、独自の代替物を提供する。一般に、本開示のシステムは、患者の皮膚に接着されるパッチと、(i)パッチに対して固定されている固定近位部分、(ii)パッチの外周内に位置決めされた、パッチの横幅よりも小さくかつフラップの横幅よりも小さい横幅を有するヒンジ、並びに(iii)ヒンジを介してフラップのパッチ及び固定近位部分に対して移動可能な自由な遠位端を有する、長手方向フラップと、を含む。ヒンジは、医療用物品のための柔軟な長手方向の停止部を少なくとも提供するために、マルチルーメン医療用物品の2つの隣接する近位管材の間に受け入れられるような(例えば、2分岐点に当接するような)寸法とすることができる。
【0011】
本開示は、一般に、医療用管材のようなマルチルーメン医療用物品を患者の身体の望ましい場所に安全かつ確実に固定するための、固定システム及び方法に関する。固定システムは、多種多様な医療用物品又は多等級の医療用物品(例えば、フォーリーカテーテル及び末梢挿入型中心静脈カテーテル(peripherally inserted central catheter、PICC))に対応してこれらを確実に固定するように汎用であり得、数週又は数か月のような長期間にわたって患者に固定される必要があるマルチルーメン医療用物品を固定することに特に有用であり得る。
【0012】
本開示の医療用物品固定装置及びシステムによって利用できるマルチルーメン医療用物品の例としては、医療用管材若しくは流体供給ライン、他の類似の物品、又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。医療用管材の例としては、尿路カテーテル(例えば、フォーリーカテーテル)、静脈内(IV)カテーテル、中心静脈カテーテル(central venous catheter、CVC)、末梢挿入型中心静脈カテーテル(PICC)、動脈カテーテル、胸腔チューブ、排液管、乳児臍帯カテーテル、及び透析用カテーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0013】
定義
「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」という用語は、「少なくとも1つの」と交換可能に使用され、記載されている要素のうちの1つ以上を意味する。
【0014】
「及び/又は(and/or)」という用語は、一方又は両方を意味する。例えば「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、又はAとBの両方を意味する。
【0015】
「含む(including)」「含む(comprising)」又は「有する(having)」という用語及びそれらの変形は、その後に列挙される項目及びその均等物並びに追加の項目を包含することを意味する。
【0016】
特に特定又は限定されない限り、「連結された」という用語及びその変形は広義で用いられるものであり、直接的及び間接的な連結の双方を包含するものである。
【0017】
「上」、「上側」、「下側」、等の相対的な位置を表す用語は、各要素を互いの関連において述べるためにのみ用いられ、決して装置の必要な又は要求される向きを指示又は示唆するものではなく、本明細書で述べられる発明が使用時にどのように使用、取り付け、表示、又は配置されねばならないかを特定するものでもない。
【0018】
「長手方向」及び「軸方向」という用語は、医療用物品が延びる方向に概ね平行であり、例えば、カテーテルラインに沿った流体流の全体的な方向に概ね平行である方向又は軸を指すために用いられる。
【0019】
「横方向」という用語は、長手方向の軸又は方向に垂直である方向又は軸を指すために用いられ、医療用物品の左右の運動を表すために用いられる。
【0020】
「鉛直方向」及び「垂直方向」という用語は、医療用物品固定システムが患者の皮膚に連結されているときに、長手方向及び横方向両方の方向又は軸に対して垂直であると共に、患者の皮膚の表面に対しても垂直である方向又は軸を指すために用いられ、皮膚表面に向かう及び皮膚表面から離れる運動の方向を表すために使用される。
【0021】
「近位の」及び「遠位の」という用語は、医療用物品を操作又は保持する医療実践者に対する相対的な軸方向を表すために使用される。つまり、「遠位の」という用語は、医療実践者から離れる(並びに患者の身体の挿入部位及び患者の身体の内部に向かう)方向を指すために用いられ、「近位の」という用語は、医療実践者に向かう(及び挿入部位から離れて患者の身体の外側に向かう)方向を指すために使用される。例えば、カテーテルの遠位端は患者の中に挿入され、一方、近位端は患者の外部に医療実践者に向かって延びている。医療用物品固定システムの遠位端とは、それが連結される医療用物品の遠位端の方を向くように構成されているシステムの端部を指し、医療用物品固定システムの近位端は、医療用物品の近位端の方を向くように構成されているシステムの端部を指す。
【0022】
「層」、「シート」、及び「ドレッシング材」という用語、又はそれらの変形は、その長さ及び幅に対して小さい厚さを有する物品を記述するために使用される。
【0023】
「再配置可能な」という用語は、物品又は表面が、少なくとも初期には、連結能力(例えば、接着力)を実質的に損なうことなく、かつ、1つに連結されている表面(例えば、物品又は下にある基材)のどちらも損傷することなく、表面又は基材に対して繰り返し連結(例えば、接着)及び取り外し可能であることを指す。例として、一部の感圧性接着剤及びメカニカルファスナーは再配置可能である。
【0024】
「メカニカルファスナー」又は「面ファスナー」という句は、一般に、互いに付着されるように構成された2つの結合面又は係合面を含む固定具を指し、各結合面は複数の係合構造又は係合特徴部を有し、この場合、一方の結合面上の係合構造は、対向する結合面上の係合構造と係合するように構成されている。一部の実施形態では、メカニカルファスナーは、2つの可撓性の結合ストリップ又は層を含むことができる。一部の実施形態では、メカニカルファスナーは、曲がりやすいループを備える第2の結合面に係合するように構成されている、フックのような形状の剛直な小さい突起を備える第1の結合面を含むことができる(すなわち、「フックアンドループファスナー」又は「フックアンドパイルファスナー」)。一部の実施形態では、メカニカルファスナーは、両方の結合面上に相互係合フック(例えば、自己係合フック)を含むことができる(すなわち、「フックアンドフックファスナー」又は「自己係合フックファスナー」)。
【0025】
「剥離力」とは、ある表面を別の表面から、これらの表面の間の平面に対してある角度で「剥離する」のに必要とされる力を指す。接着剥離力は、ASTM D3330/D3330M−04(2010)を使用して測定できる。メカニカルファスナーの結合面間の剥離力は、ASTM D5170−98(2015)(フックアンドループ面ファスナーの剥離強度の標準試験方法(「T」法))を使用して測定できる。
【0026】
「せん断強度」(又は「せん断力」)とは、物体の2つの連続した部分を互いに対してその接触平面と平行な方向にスライドさせるか又はスライドさせるように働く力への、抵抗を指す。すなわち、せん断強度とは、2つの表面がその接触平面と平行に反対の方向に引っ張られるときに、一方の表面を他方の表面に対して移動させるために必要となる力の量である。せん断剥離力は、ASTM D3654M−06(2011)を使用して測定できる。メカニカルファスナーの結合面間のせん断力は、ASTM D5169−98(2015)(フックアンドループ面ファスナーのせん断強度の標準試験方法(動的法))を使用して測定できる。
【0027】
「可撓性」という用語は、一般に、ドレープ性の材料を指すために使用され得る。つまり、周囲条件で実施したとき、5cm×15cmの材料の切片を直立(長い端部が立ち上がっている)に保持すると、それ自身の重量下で反対側の端部が折れ重なって、保持器まで又はそれより下まで垂れる。「剛性」という用語は、一般に、本質的にドレープ性ではない材料を指すために使用され得る。つまり、周囲条件で実施したときに、5cm×15cmの材料の切片を直立(長い端部が立ち上がっている)に保持すると、ほとんど又は全くたわまずに真っ直ぐに立つ。一部の実施形態では、剛性材料は、垂直から20度未満のたわみを示し得る。「半剛性」材料は、20度を超えるたわみを示すものであり得るが、その反対側の端部は保持器より下までは垂れない。
【0028】
本開示の固定システムは、パッチ及びフラップ自体の横幅よりも小さい横幅を有するヒンジを有し、この幅の狭いヒンジをマルチルーメン接合部に入る2つの近位管材の間に配置することができるようになっている、実質的に長手方向に向きを決められた1つ以上のフラップ(すなわち、可撓性フラップ)を含み、剛性のかさ張る構成要素を必要とすることなく、医療用物品に長手方向の停止部を提供することができる。一部の実施形態は、医療用物品の長手方向の移動を阻止するのを更に助けるために、ヒンジ上面に又は他の形でヒンジに隣接して、柱体又は小さな剛性の構成要素を更に含むことができるが、本開示のシステムはほとんどの場合、柔軟で可撓性を有する不快感を与えない構成要素を含むことができ、この結果、低コストの汎用固定システムが提供される。
【0030】
図1A、
図2、及び
図4Aを参照すると、システム100は、医療用物品60を固定するものとして示されており、医療用物品60は例として、マルチルーメン医療用管材であるものとして、特にフォーリーカテーテルであるものとして示されている。医療用物品60は、マルチルーメン接合部(又はハブ)61(
図2及び
図4Aを参照)と、マルチルーメン接合部61に接続された(つまり、マルチルーメン接合部61に流体連通されているルーメンをそれぞれ備える)少なくとも2つの近位管材62と、マルチルーメン接合部61に接続された(つまり、マルチルーメン接合部61に流体連通されているルーメンを備える)少なくとも1つの遠位管材64と、を含む(例えばこの場合、マルチルーメン接合部61は少なくとも2分岐部を含むようになっているが、3分岐部などを含むこともできる)。
【0031】
医療用物品60は長手軸Aを有する。システム100は、実質的にマルチルーメン医療用物品60の長手軸Aと整列するか又はこれと平行な向きとなるように構成された、長手方向Gを含む。より詳細には、長手方向Gは、近位(長手)方向P及び遠位(長手)方向Dを含むことができる。システム100は、医療用物品60がシステム100上に配置されているか又はこれに連結されているときに、医療用物品60の長手軸Aと実質的に整列するか又はこれと平行になるように構成されている、長手軸A’(
図2を参照)を有する。
【0032】
図1A、
図2、及び
図4Aに示すように、システム100は、医療用物品60を受け入れるように構成されたパッチ(又はベースドレッシング材、又は基層)102と、1つ以上の長手方向フラップ106と、を含むことができる。システム100はただ1つの長手方向フラップ106を含むものとして示されているが、本開示のシステムの他の実施形態は複数のフラップを含む。システム100について説明するとき、簡潔にするために1つのフラップ106について説明するが、この説明は、所与のシステムにおいて採用されるだけの数のフラップにも適用できることが理解されるべきである。
【0033】
フラップ106を、パッチ102に連結すること、及び/又はパッチ102と一体に形成することができ、パッチ102を皮膚に接着することができる。フラップ106を使用して、医療用物品60を、システム100に(すなわちパッチ102に)及び患者の皮膚に固定することができる。
図1A、
図2、及び
図4Aに示すように、フラップ106は、フラップ106が長手方向に開閉する(すなわち、長手方向フラップである)、特に近位側が固定され遠位側がはためくように、パッチ102に対して配置することができ、長手方向Gに対して向きを決めることができる。フラップ106は、これが医療用物品60の長手方向Gにおける及び垂直方向Vにおける移動を阻止するような形で、医療用物品60を固定することができ、また更に、医療用物品60の横方向Lにおける移動も阻止することができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、フラップ106及びパッチ102は、同じ裏材から形成することができる。一部の実施形態では、フラップ106は、パッチ102とは異なる裏材から形成されてもよい。本開示の裏材に関する様々な追加の詳細については、後述の「裏材」と題する項目において、更に詳細に記載する。
【0035】
パッチ102は、患者の皮膚から離れる方を向くように構成されている第1の主面110と、皮膚に接着するための皮膚接触接着剤115を備える、第1の主面110の反対側の第2の主面112と、を含む。図では、パッチ102は丸められた縁部を有し、遠位端よりも大きい近位端を有しているが、パッチ102が、システム100の他の要素及びシステム100に連結されるべき医療用物品60の形状及び構成に従って、様々な形状及びサイズをとることができることが、理解されるべきである。一部の実施形態において、パッチ102は、ファブリック、織布網、不織布網、ニット、ポリマー膜、又はこれらの組合せのうちの1つ以上を備えるラミネート構造を備える。
【0036】
皮膚接触接着剤115は、一般に感圧性接着剤であり、特に、皮膚(例えば哺乳類の皮膚)に対してしっかりとしかし剥離自在に接着又は接合できる感圧性接着剤である。皮膚接触接着剤115は、また、一般に安全かつ非毒性である。皮膚接触接着剤層は一般に、パッチ102の所望の最終用途に従って選択される。一部の実施形態において、パッチ102は、複数の皮膚接触接着剤115を含んでよい。パッチ102が複数の皮膚接触接着剤層115を備える場合、各皮膚接触接着剤層115は、用いられる材料及び厚さに関して互いに独立に選択されてもよい。適切な接着剤の例としては、アクリレート、シリコーン、ポリイソブチレン、合成ゴム、天然ゴム、共重合体、及びこれらの混合物が挙げられる。アクリレート及びシリコーンは、好適な皮膚接触接着剤115であり得る。一般に、皮膚接触接着剤115は、意図された着用期間の間、皮膚への刺激又は感作を、ほとんど引き起こさないか又は全く引き起こすべきではない。本開示のシステムによって利用できる皮膚接触接着剤115の例としては、米国特許第RE24,906号、同第3,389,827号、同第6,103,369号、及び同第4,499,896号(これらの文献は参照することにより本明細書に援用される)に記載されている接着剤が挙げられるが、これらに限定されない。更に、米国特許出願公開第2011/0212325号(この文献は参照することにより本明細書に援用される)に記載されているようなシリコーン接着剤も利用することができる。
【0037】
一部の実施形態では、例えば、シリコーン接着剤を利用する実施形態では、パッチ102及び皮膚接触接着剤115を穿孔して、パッチ102の第1の主面110から第2の主面112及び皮膚接触接着剤115まで完全に貫通する開口部を設けることができ、これにより、パッチ102の通気性を向上させることができ、パッチ102の下にある皮膚表面における水分形成を最小にすることができる。
【0038】
一部の実施形態では、システム100は、皮膚接触接着剤115(図示せず)の上に、使用前に皮膚接触接着剤115に剥離層又は表面を提供できる、1つ以上の剥離ライナーを更に含むことができる。本開示のシステムと共に使用することに適したライナーの例としては、クラフト紙、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、又はこれらの組合せが挙げられるが、これらに限定されない。かかるライナーは、フルオロケミカル、シリコーン、又は他の好適な低表面エネルギー材料などの剥離剤で被覆することができる。当業者に既知である他の接着剤と剥離ライナーとの組合せを、本開示のシステムにおいて利用することができる。
【0039】
上述したように、長手方向フラップ106は、固定システム100及び医療用物品60の長手方向Gに対して実質的に長手方向に開閉する(すなわち、その開いた位置からその閉じた位置へと長手方向に(つまり遠位側に)はためく)ように、向きを決めることができる。フラップ106は、第1の主面120と、第1の主面120の反対側の第2の主面124と、を含むことができ、第2の主面124は、医療用物品60の少なくとも一部及びパッチ102の第1の主面110に連結されて、医療用物品60をパッチ102に固定するように構成されている。
【0040】
フラップ106の第2の主面124は、連結手段を含むことができ、これは、固定用接着剤、メカニカルファスナー(例えばメカニカルファスナーの1つの結合面。医療用物品60及びパッチ102のうちの少なくとも一方が、相補関係にある結合面を含む)、又はこれらの組合せのうちの1つ以上を含むことができる。一部の実施形態では、フラップ106の第2の主面124上の連結手段は、接着剤とメカニカルファスナーの組合せを備える固定組立体、例えば、PCT公開第WO2014/014504号(この文献は参照することにより本明細書に援用される)で開示されたものを含むことができる。
【0041】
一部の実施形態では、フラップ106の第2の主面124上の連結手段は、システム100が患者の上に留まっている間にフラップ106が複数回開閉可能となるように、再配置可能なものとすることができる。固定用接着剤として、皮膚接触接着剤115に関して上記したのと類似の等級の接着剤を採用することができる。ただし、一部の実施形態では、採用される場合、固定用接着剤は、パッチ102上の皮膚接触接着剤115よりも高い接着力を有し得る。
【0042】
図1A、
図2、及び
図4Aの実施形態では、フラップ106は、その第2の主面124の少なくとも一部上に固定用接着剤を含み、
図1Aに示すように、使用前に1つ以上の剥離ライナー101を設けられ得る。側部プルタブを有する2面式の蝶型剥離ライナーが、単なる例として示されている。
【0043】
フラップ106は、パッチ102に対して固定されている固定近位部分130(
図2及び
図4Aを参照)を更に含むことができる。固定近位部分130をパッチ102に連結することができ、及び/又は、パッチ102と一体に形成することができる。固定近位部分130がパッチ102に連結されている実施形態では、固定近位部分130を、接着剤、メカニカルファスナー、粘着剤、溶接(例えば音波[例えば超音波]溶接)、任意の熱結合若しくは熱融着技術(例えば、連結されるべき構成要素の一方若しくは両方に熱及び/若しくは圧力が印加される)、他の好適な連結手段、又はこれらの組合せのうちの1つ以上を含む様々な連結手段を使用してパッチ102に連結することができ、これらに限定されない。
【0044】
フラップ106は、ヒンジ132がパッチ102の外周103まで延びることも又は外周103の一部を形成することもないようにパッチ102の外周103(
図2を参照)内に位置決めされた、ヒンジ(例えば、一体成形ヒンジ)132(
図2及び
図4Aを参照)を、更に含むことができる。
図2に示すように、ヒンジ132は、横方向Lにおいて(すなわち、長手方向Gに対して実質的に垂直な方向において)、パッチ102の横幅Y(すなわち、最小の横幅Y)よりも小さくかつフラップ102の横幅X(すなわち、最小の横幅X)よりも小さい(つまり、同じ方向に沿って、例えば横方向Lへと横方向に測定したとき)、横幅Wを有することができる。
【0045】
ヒンジ132の幅の狭い相対的な横幅Wは、医療用物品60に長手方向の停止部、例えば、マルチルーメン医療用物品60が近位側に引っ張られるのを阻止するための近位停止部を提供するために、ヒンジ132を医療用物品60のマルチルーメン接合部61に隣接させて位置決めできることを保証するために、重要であり得る。
図2に示すように、ヒンジ132は、これが医療用物品60に少なくとも柔軟な長手方向の停止部を提供できるように、医療用物品60の2つの隣接する近位管材62の間に受け入れられるような寸法とすることができる。
【0046】
フラップ106及びパッチ102に対するヒンジ132の幅の狭い横幅Wはまた、ヒンジ132は幅が狭いが、フラップ106の残りの部分及びパッチ102は、医療用物品60の一部(例えば、マルチルーメン接合部61)をパッチ102に及び最終的に患者に効果的に固定するのに、横方向Lにおいて十分に幅が広いことを保証することもできる。
【0047】
フラップ106は、ヒンジ132を介して、パッチ102及びフラップ106の固定近位部分130(及び/又は医療用物品60)に対して、開いた位置(
図1A及び
図4Aを参照)と閉じた位置(
図2を参照)との間で移動可能な、自由な遠位部分134を更に含むことができる。特に、自由な遠位部分134は、横方向のヒンジ132を中心に長手方向に移動可能であり得る。開いた位置では、医療用物品60はフラップ106によって固定される。閉じた位置では、医療用物品60はフラップ106によってパッチ102(すなわち、その第1の主面110)に固定されて、パッチ102に対する医療用物品60の少なくとも法線方向の移動を(つまり、長手方向の停止部に加えて)更に阻止する。
【0048】
自由な遠位部分134は、医療用物品60の少なくともマルチルーメン接合部61をパッチ102の第1の主面110に固定して、パッチ102に対する医療用物品60の少なくとも法線方向の移動を阻止するために、医療用物品60の少なくともマルチルーメン接合部61及びパッチの少なくとも一部に重なるか、又はこれを覆うように構成する(例えば、そのような形状、サイズ、及びパッチ102に対する配置とする)ことができる。
【0049】
一部の実施形態では、システム100は、医療用物品60の固定を強化するために、医療用物品60を、マルチルーメン接合部61に加えて、1つ以上の追加の異形特徴部の領域において固定するように構成することができる。つまり、一部の実施形態では、システム100は、例えば、医療用物品60の異形特徴部を備える部分に連結されることによって、又は、医療用物品60の異形特徴部に隣接した部分に連結されることによって、医療用物品60の異形特徴部への連結を容易にするように構成することができる(例えば、1つ以上のフラップ106を、そのような形状、サイズ、及び/又は配置とすることができる)。
【0050】
つまり、本開示のシステムによって固定され得る一部の医療用物品は異形特徴部を含むことができ、これらを覆うように又はこれらに隣接して、1つ以上のフラップ106の少なくとも一部を配置することが有用であり得る。例えば、医療用物品の異形特徴部としては、マルチルーメン接合部(例えば、2分岐点、3分岐点、等)、直径の変化点(例えば、1段の変化若しくは多段の変化)、突出部(例えば、ノブ、ダイアル、メータ(meter)、コネクタ)、狭窄部、又は、実質的に均一な直径を有する管又はシリンダなどの医療用物品が均一な若しくは規則的な形状から逸脱し得る任意の他の特徴部が挙げられるが、これらに限定されない。
【0051】
医療用物品60は、突出部(例えば、放射方向の突出部)65、直径の変化点67又は69、及びマルチルーメン接合部(例えば、2分岐部)61を含め、異形特徴部の例をいくつか示している。
【0052】
一部の実施形態では、システム100は、複数のヒンジ132(つまり、ヒンジ132をそれぞれ有する、複数のフラップ106)を含むことができる。かかる実施形態では、各ヒンジ132は、2つの隣接する近位管材62の間に受け入れられるような寸法とすることができる。
【0053】
一部の実施形態では、フラップ106は、フラップ106の固定近位部分130に隣接して位置決めされた、1つ以上の近位切欠き領域140を更に含むことができる。各近位切欠き領域140は、フラップ106の外周から(例えば、フラップ106の近位端から)フラップ106の中心部に向かって延びることができ、フラップ106の全体を通って反対側の端部まで延びることはない。近位切欠き領域140のそれぞれは、医療用物品60の近位管材62を受け入れるように構成する(例えば、そのようなサイズ及び寸法とする)ことができ、ヒンジ132は、近位切欠き領域140(
図2を参照)に隣接させて位置決めすることができる。特に、一部の実施形態では、
図1A及び
図2に示すように、フラップ106は2つの近位切欠き領域140を含むことができ、ヒンジ132は、2つの隣接する近位切欠き領域140の間に位置決めすることができる。
【0054】
図1Aに示すように、一部の実施形態では、各近位切欠き領域140は少なくとも部分的に、長手方向に延びる、つまり近位の、フラップ106の突出部146によって画定することができる。つまり、各近位切欠き領域140は、フラップ106の、マルチルーメン医療用物品60の近位管材62の少なくとも一部の周囲に巻かれるように構成されている部分を画定するような形状とすることができる。
図1Aに更に示すように、システム100は、間に2つの近位切欠き領域140を画定する3つの近位突出部146を含む。
【0055】
例として、
図1Aに示す具体的な構成は、おむつの構成と呼ぶことができ、この場合、真ん中の近位突出部146は、フラップ106の固定近位部分130及びヒンジ132を含み、2つの隣接する近位管材62の間に受け入れられるような寸法とされ、2つの外側の近位突出部146は、近位管材62のうちの一方の横方向外側の側部の周囲に配置される(例えば、巻かれる)ように構成されている。つまり、フラップ106の各近位突出部146は、パッチ102の第1の主面110に固定される前に、医療用物品60の横方向外側の側部の周囲に固定されるように、及び任意選択的に、医療用物品60の少なくとも一部の周囲に(例えば、下に)巻かれるように、構成することができる。結果として、1つ以上の近位突出部146を採用することにより、医療用物品の巻き付け及び固定を更に強化することができ、長手方向G及び横方向Lのうちの1つ以上における医療用物品60の移動を更に阻止することができる。
【0056】
かかる構成では、真ん中の近位突出部146(すなわち、フラップ106の固定近位部分130及びヒンジ132)は、フラップ106に対して実質的に横方向の中心に位置決めすることができ、各近位切欠き領域140は、フラップ106の横幅全体に対して又はフラップ106の中心長手軸に対して横方向に軸をずらすか又は中心をずらして位置決めすることができる。システム100のフラップ106はパッチ102に対して実質的に横方向の中心に置かれているが、これは必須ではないことが理解されるべきである。
【0057】
一部の実施形態では、フラップ106は2つよりも少ない又は多い近位切欠き領域140、及び3つよりも少ない又は多い近位突出部を含むことができる。かかる実施形態でも、システム100は、(i)フラップ106の固定近位部分130及びヒンジ132を含む、フラップ106の第1の近位突出部146を含むことができ、任意選択的に、(ii)フラップ106が医療用物品60及びパッチ102に固定されるとき、医療用物品60の少なくとも一部(例えば、近位管材62)の周囲に(例えば任意選択的にその下に)配置されるような形状とすることができる、第2の近位突出部146を、更に含むことができる。
【0058】
一部の実施形態では、フラップ106は、フラップ106の自由な遠位部分134内に位置決めされた、1つ以上の遠位切欠き領域142(
図1A及び
図2を参照)を更に含むことができる。かかる遠位切欠き領域は、フラップ106の外周から(例えば、フラップ106の遠位端から)フラップの中心部に向かって延びることができ、フラップ106の全体を通って反対側の端部まで延びることはない。各遠位切欠き領域140は、医療用物品60の遠位管材64を受け入れるような寸法とすることができる。一部の実施形態では、フラップ106は、フラップ106の横幅に対して又はフラップ106の中心長手軸に対して実質的に中心に位置決めされた、遠位切欠き領域142を含むことができる。
【0059】
単なる例として、システム100の近位切欠き領域140のそれぞれは、角を丸めた平滑な逆「U」形状を有しており、遠位切欠き領域142は、Vノッチの形状を有していた。ただし、これらの形状は単なる例として示されており、近位切欠き領域140及び遠位切欠き領域142は、医療用物品60への及び更にパッチ102の第1の主面110への、フラップ106の連結を容易にするのに必要な、任意の形状を有することができる。
【0060】
図3A〜
図3Fは、本開示のフラップ106の近位切欠き領域140又は遠位切欠き領域142のうちの1つ以上として採用することができる、様々な形状を示している。
図3Aは、真っ直ぐな溝路(例えば、矩形の)形状を有する切欠き領域を示している。
図3Bは、端部が円形の真っ直ぐな溝路の形状、すなわち、矩形と円形の組合せ形状を有する、切欠き領域を示している。
図3Cは、三角形の形状を有する切欠き領域を示している。
図3Dは、鍵穴形状、すなわち端部が円形の切頭三角形の溝路を有する、切欠き領域を示している。
図3Eは、叉状の形状を有する切欠き領域を示している。
図3A〜
図3Eはいずれも対称な切欠き領域形状を示しているが、一部の実施形態では、非対称な形状を採用することができる。例として、
図3Fは、非対称なL形状を有する切欠き領域を示している。
図3E及び
図3Fは、非線形又は異形の形状の例でもある。
【0061】
結果として、一部の実施形態では、切欠き領域のうちの1つ以上は単なるスリットではなく、むしろ、マルチルーメン医療用物品の近位管材の少なくとも一部を収容するような寸法となっている、より大きな開口部である。かかる切欠き領域は、限定するものではないが、矩形、三角形、矩形と円形の組合せ、三角形、鍵穴形状、叉状又はフォーク形状(例えば、U、V、若しくはY形状のフォーク)、L形状、他の好適な形状、あるいはこれらの組合せのうちの1つ以上を含む、様々な形状を含むことができる。
【0062】
図1A、
図2、及び
図4Aに示すように、一部の実施形態では、フラップ106の中心部(すなわち、長手方向における中心部)は、切欠き領域を全く含まないようにすることができ、医療用物品60のマルチルーメン接合部61を備える部分(例えば、その上面)を覆う(及び固定する)ように構成することができる。
【0063】
上述したように、一部の実施形態では、システム100は、フラップ106よりも剛性の高いどのような剛性構成要素、例えば剛性固定装置も、含まないことが可能である。剛性構成要素、特に剛性固定装置の例としては、ブラケット、保持器、クリップ、柱体、クランプ、フック、他の典型的な剛性の装置若しくは構造、又はこれらの組合せのうちの1つ以上が挙げられるが、これらに限定されない。
【0064】
ただし、
図1Bは、本開示の一実施形態に従う代替のシステム100Aを示している。
図1Bのシステム100Aは、システム100Aが、フラップ106よりも剛性が高くかつパッチ102の第1の主面110に(直接的に又は間接的に)連結させヒンジ132に隣接させて位置決めすることができる、柱体150を更に含み、この場合に柱体150が、医療用物品60のための長手方向の停止部を提供するか又はヒンジ132がこの停止部を提供するのを補助すること以外は、上記し
図1A、
図2、及び
図4Aに示したシステム100と同一である。結果として、ヒンジ132と同様に、柱体150は、採用される場合、医療用物品60の2つの隣接する近位管材62の間に受け入れられるような寸法とすることができる。一部の実施形態では、柱体150は、剛性のプラスチック、柔軟なプラスチック、及び/又はフォームから形成することができるが、依然としてフラップ106及びパッチ102よりも高い剛性を有する。
【0065】
上述したように、フラップ106の固定近位部分130は、様々な連結手段を介してパッチ102に連結することができる。
図4Aはこの一例を示しており、この場合、フラップ106の固定近位部分130の第2の主面124をパッチ102の第1の主面110に連結するために、固定用接着剤135が使用されている。かかる実施形態では、固定用接着剤135は、自由な遠位部分134において医療用物品60を固定するために使用される接着剤と同じ接着剤とすることができるか、又は異なる接着剤とすることができる。例えば、
図4Aには示されていないが、一部の実施形態では、固定用接着剤135は、固定近位部分130及び自由な遠位部分134において、フラップ106の第2の主面124の上に存在することができる。かかる実施形態では、固定用接着剤135はフラップ106の第2の主面124と同一の広がりを有することができるが、必須ではない。
【0066】
一部の実施形態では、パッチ102の第1の主面110、又はそのフラップ106の自由な遠位部分134が連結されて医療用物品60を固定することになる部分は、つまり、フラップ106の自由な遠位部分134の第2の主面124上で固定用接着剤が採用されるとき、自由な遠位部分134のための剥離層として機能することになる、低接着性バックサイズコーティングを含むことができる。
【0067】
図2及び
図4Aに示すように、一部の実施形態では、フラップ106の、固定近位部分130、ヒンジ132、及び自由な遠位部分134を、固定近位部分140がヒンジ132に対して近位に位置決めされるように配置構成することができる。かかる実施形態では、固定近位部分130及び自由な遠位部分134を、角度αによって分離することができ(
図4Aを参照)、この角度αは、自由な遠位部分134が開いた位置から閉じた位置へと移動するにつれ大きくなる。つまり、一部の実施形態では、角度αは、自由な遠位部分134が開いた位置にあるとき、90度よりも小さいか又は90度に等しい角度であり得、角度αは、自由な遠位部分134が閉じた位置にあるとき、鈍角であり得る。更に、かかる実施形態では、フラップ106の、固定近位部分130、ヒンジ132、及び自由な遠位部分134は、フラップ106が閉じた位置にあるときフラップ106の自由な遠位部分134がフラップ106の固定近位部分130に重ならないように、配置構成することができる。
【0068】
結果として、フラップ106の固定近位部分130がヒンジ132に対して近位に位置決めされる実施形態では(
図4Aを参照)、(例えば、医療用物品60の近位端を垂直方向に引っ張ることによって)医療用物品60に垂直方向Vにおいて及ぼされるどのような変位力又は分離力も、主として引っ張りモードでのパッチ102の第1の主面110からの固定近位部分130の分離(すなわち、脱係合)を引き起こすことになる。フラップ106のかかる配置構成は、フラップ106の固定近位部分130とパッチ102との間で、剥離強度よりも引っ張り強度の方が大きい連結手段が採用されるときに、特に有利であり得る。分離への抵抗は、例えば接着剤又はメカニカルファスナーに関しては、剥離モードの場合よりも引っ張りモードの場合の方が一般に大きい。結果として、
図4Aに示す構成は(以下に示す
図4Bと対照的に)、フラップ106の固定近位部分130をパッチ102に連結するのに特に有利であり得る。
【0069】
ただし、他の構成を採用することもできる。
図4Bは、本開示の一実施形態に従う代替のシステム100Bを示している。システム100Bは、フラップ106Bの固定近位部分130Bがヒンジ132Bに対して遠位に位置決めされている(すなわち、フラップ106Bは閉じた位置において、自体の上に長手方向に折り返されている)こと以外は、システム100と同一である。かかる実施形態では、フラップ106Bの固定近位部分130Bは、医療用物品60の少なくとも一部の下に配置されるように(すなわち、フラップ106Bが医療用物品60の下面及び医療用物品60の上面の周囲に巻かれ、医療用物品60の少なくとも一部がフラップ106Bの固定近位部分130Bと自由な遠位部分134Bとの間に捕捉されるように)構成されている。
【0070】
更に、かかる実施形態では、固定近位部分130Bと自由な遠位部分134Bとは、角度αによって分離されており、自由な遠位部分134Bが開いた位置から閉じた位置へと移動するにつれこの角度αが小さくなるように配置構成されている。つまり、一部の実施形態では、角度αは、自由な遠位部分134Bが開いた位置にあるとき、鈍角であり得、角度αは、自由な遠位部分134Bが閉じた位置にあるとき、90度よりも小さいか又は90度に等しい角度であり得る。
【0071】
更に、かかる実施形態では、
図4Bに示すように、固定近位部分130B、ヒンジ132B、及び自由な遠位部分134Bは、フラップが閉じた位置にあるときに、フラップ106Bの自由な遠位部分134Bの少なくとも一部がフラップ106Bの固定近位部分130Bの少なくとも一部に重なるように、及び、固定されるとき、医療用物品60の少なくとも一部が、フラップ106Bの固定近位部分130Bと自由な遠位部分134Bとの間に位置決めされる(例えば、間に挟まれる)ように、配置構成される。
【0072】
結果として、フラップ106Bの固定近位部分130Bがヒンジ132Bに対して遠位に位置決めされる実施形態では(
図4Bを参照)、(例えば、医療用物品60の近位端を垂直方向に引っ張ることによって)医療用物品60に垂直方向Vにおいて及ぼされるどのような変位力又は分離力も、主として剥離モードでのパッチ102Bの第1の主面110Bからの固定近位部分130Bの分離(すなわち、脱係合)を引き起こすことになる。
【0073】
裏材
本開示のパッチ及び/又はフラップ用の好適な裏材としては、ファブリック、織布網、不織布網、ニット、ポリマー膜、他の良く知られているドレッシング材、又はこれらの組合せのうちの1つ以上を挙げることができるが、これらに限定されない。一部の実施形態では、裏材としては、(例えば、透明な又は不透明な)ポリマー弾性フィルムを挙げることができ、限定されないが、エラストマーポリウレタン、コポリエステル、ポリエチレン、又はこれらの組合せから形成されるフィルムを挙げることができる。裏材は、水蒸気高透過性フィルム、すなわち、比較的高い水蒸気透過率(moisture vapor transmission rate、MVTR)を有する裏材とすることができる。米国特許第3,645,835号は、そのようなフィルムの作製方法及びそれらの透過性を試験する方法を記載している。裏材は、天然物又は合成物由来の原材料から構成可能である。
【0074】
一部の実施形態では、(例えば本開示のパッチのための)裏材は、内蔵されたクッション要素を有する支持装置、例えば、PCT公開第WO2015/020875号(この文献は参照することにより本明細書に援用される)で開示されたものを含むことができる。
【0075】
本開示のパッチの裏材は、有利には、ヒトの皮膚に等しいか又はそれを超える速度で水蒸気を透過するべきである。一部の実施形態では、パッチ裏材を接着剤で被覆することができる。かかる実施形態では、接着剤で被覆された裏材は、少なくとも300g/m
2/24時間/37℃/100−10%RH、一部の実施形態では、少なくとも700g/m
2/24時間/37℃/100−10%RHの速度で、水蒸気を透過できる。パッチ裏材は一般に、解剖学的表面に対して形状適合性がある。したがって、パッチは、解剖学的表面に適用されると、その表面が動いた場合であっても、その表面に適合する。
【0076】
本開示のパッチ及び/又はフラップの裏材は、可撓性の材料とすることができる。例えば、裏材は、フィルム、紙、織布、ニット、フォーム、不織布材、若しくはこれらの組合せ、又は、フィルム、紙、織布、ニット、フォーム、不織布、若しくはこれらの組合せの、1つ以上の層とすることができる。一部の実施形態では、下にある皮膚、医療装置、及び/又は標的部位を見ることができるように、裏材の少なくとも一部が透明な材料から形成されることが望ましい場合がある。
【0077】
単なる例として、一部の実施形態では、本開示のパッチの裏材は、ミネソタ州St.Paulの3M CompanyからTEGADERM(登録商標)の商品名で入手可能なフィルムから形成可能である。
【0078】
図に示されているそれぞれの実施形態は、本開示の固定システムの様々な特徴を明瞭に示すために別個の実施形態として示されている。しかしながら、本図面に示され、本明細書に記載された実施形態のいずれかの要素及び特徴の任意の組合せを、本開示の固定システムに採用できることが理解されるべきである。
【0079】
以下の実施形態は、本開示を例示することが意図され、限定するものではない。
【0080】
実施形態
実施形態1は、マルチルーメン医療用物品を固定するための固定システムであって、医療用物品は、マルチルーメン接合部と、マルチルーメン接合部に接続された少なくとも2つの近位管材と、マルチルーメン接合部に接続された少なくとも1つの遠位管材と、を備え、システムは、
長手方向と、
パッチであって、
医療用物品の少なくとも一部を受け入れるように構成された第1の主面、及び
皮膚接触接着剤を備える、第1の主面の反対側の第2の主面、を備える、パッチと、
長手方向フラップであって、
第1の主面、
医療用物品の少なくとも一部及びパッチの第1の主面に連結されるように構成された、第1の主面の反対側の第2の主面、
パッチに対して固定されている固定近位部分、
パッチの外周内に位置決めされたヒンジであって、ヒンジはパッチの外周まで延びることも又は外周の一部を形成することもなく、ヒンジはパッチの横幅よりも小さくかつフラップの横幅よりも小さい横幅を有し、ヒンジは医療用物品の2つの隣接する近位管材の間に受け入れられるような寸法となっている、ヒンジ、並びに
ヒンジを介してパッチ及びフラップの固定近位部分に対して開いた位置と閉じた位置との間で移動可能な、自由な遠位部分であって、医療用物品の少なくともマルチルーメン接合部及びパッチの少なくとも一部に重なって、医療用物品の少なくともマルチルーメン接合部をパッチの第1の主面に固定するように構成されている、自由な遠位部分、を備える、長手方向フラップと、を備える、固定システムである。
【0081】
実施形態2は、ヒンジはマルチルーメン医療用物品に長手方向の停止部を提供する、実施形態1のシステムである。
【0082】
実施形態3は、フラップは複数のフラップのうちの1つであり、各ヒンジは2つの隣接する近位管材の間に受け入れられるような寸法となっている、実施形態1又は2のシステムである。
【0083】
実施形態4は、フラップはフラップの固定近位部分に隣接して位置決めされた少なくとも2つの近位切欠き領域を更に含み、各近位切欠き領域はフラップの外周からフラップの中心部に向かって延びており、近位切欠き領域のそれぞれは医療用物品の近位管材を受け入れるように構成されており、ヒンジは2つの隣接する近位切欠き領域の間に位置決めされている、実施形態1〜3のうちのいずれかのシステムである。
【0084】
実施形態5は、各近位切欠き領域は、少なくとも部分的にフラップの2つの近位突出部によって画定され、2つの近位突出部は近位管材をまたぐように構成されている、実施形態4のシステムである。
【0085】
実施形態6は、少なくとも1つの近位突出部はフラップの固定近位部分及びヒンジを含む実施形態5のシステムである。
【0086】
実施形態7は、フラップは、フラップの外周からフラップの中心部に向かって延びている少なくとも1つの近位切欠き領域を含み、近位切欠き領域は医療用物品の近位管材を受け入れるように構成されており、各近位切欠き領域は少なくとも部分的にフラップの近位突出部によって画定される、実施形態1〜3のうちのいずれかのシステムである。
【0087】
実施形態8は、近位突出部はフラップの固定近位部分及びヒンジを含む、実施形態7のシステムである。
【0088】
実施形態9は、フラップは2つの近位切欠き領域及び3つの近位突出部を含み、真ん中の近位突出部はフラップの固定近位部分及びヒンジを含む、実施形態7又は8のシステムである。
【0089】
実施形態10は、ヒンジはフラップの横幅に対して中心に位置決めされており、各近位切欠き領域はフラップの横幅に対して中心をずらして位置決めされている、実施形態9のシステムである。
【0090】
実施形態11は、少なくとも1つの近位切欠き領域は、(i)フラップの固定近位部分及びヒンジを含むフラップの第1の近位突出部と、(ii)フラップが医療用物品に固定されるときに医療用物品の少なくとも一部の周囲に巻かれるように構成された第2の近位突出部と、によって画定される、実施形態7〜10のうちのいずれかのシステムである。
【0091】
実施形態12は、少なくとも1つの近位切欠き領域は、鍵穴形状、矩形、三角形、叉状、L形状、又はこれらの組合せである、実施形態4〜11のうちのいずれかのシステムである。
【0092】
実施形態13は、フラップの中心部はどのような切欠き領域も含まず、医療用物品のマルチルーメン接合部の少なくとも一部を覆うように構成されている、実施形態4〜12のうちのいずれかのシステムである。
【0093】
実施形態14は、フラップはフラップの自由な遠位部分内に位置決めされた少なくとも1つの遠位切欠き領域を含み、少なくとも1つの遠位切欠き領域はフラップの外周からフラップの中心部に向かって延びており、少なくとも1つの遠位切欠き領域は医療用物品の遠位管材を受け入れるような寸法となっている、実施形態1〜13のうちのいずれかのシステムである。
【0094】
実施形態15は、少なくとも1つの遠位切欠き領域はフラップの横幅に対して実質的に中心に位置決めされている、実施形態14のシステムである。
【0095】
実施形態16は、システムはフラップよりも剛性の高い剛性構成要素を含まない、実施形態1〜15のうちのいずれかのシステムである。
【0096】
実施形態17は、パッチの第1の主面に連結されヒンジに隣接して位置決めされた柱体を更に備え、柱体は医療用物品のための長手方向の停止部を提供するように構成されており、柱体の少なくとも一部は医療用物品の2つの隣接する近位管材の間に受け入れられるような寸法となっている、実施形態1〜16のうちのいずれかのシステムである。
【0097】
実施形態18は、フラップはパッチと一体に形成されている、実施形態1〜17のうちのいずれかのシステムである。
【0098】
実施形態19は、フラップの固定近位部分はフラップのヒンジに対して遠位に位置決めされている、実施形態1〜18のうちのいずれかのシステムである。
【0099】
実施形態20は、医療用物品がシステムに連結されるとき、フラップの固定近位部分、ヒンジ、及び自由な遠位部分は、フラップの固定近位部分の少なくとも一部が医療用物品の少なくとも一部の下に配置されるように配置構成されている、実施形態1〜19のうちのいずれかのシステムである。
【0100】
実施形態21は、固定近位部分と自由な遠位部分とはある角度によって分離されており、自由な遠位部分が開いた位置から閉じた位置へと移動するにつれこの角度が小さくなるように配置構成されている、実施形態1〜20のうちのいずれかのシステムである。
【0101】
実施形態22は、固定近位部分、ヒンジ、及び自由な遠位部分は、閉じた位置にあるときフラップの自由な遠位部分の少なくとも一部がフラップの固定近位部分の少なくとも一部に重なるように配置構成されている、実施形態1〜21のうちのいずれかのシステムである。
【0102】
実施形態23は、フラップの固定近位部分はフラップのヒンジに対して近位に位置決めされている、実施形態1〜18のうちのいずれかのシステムである。
【0103】
実施形態24は、固定近位部分と自由な遠位部分とは、ある角度によって分離されており、自由な遠位部分が開いた位置から閉じた位置へと移動するにつれこの角度が大きくなるように配置構成されている、実施形態1〜18及び23のうちのいずれかのシステムである。
【0104】
実施形態25は、フラップの固定近位部分、ヒンジ、及び自由な遠位部分は、閉じた位置にあるときフラップの自由な遠位部分がフラップの固定近位部分に重ならないように配置構成されている、実施形態1〜18及び23〜24のうちのいずれかのシステムである。
【0105】
実施形態26は、パッチの第1の主面は低接着性バックサイズコーティングを含む、実施形態1〜25のうちのいずれかのシステムである。
【0106】
本発明は、その適用において、上記の説明に記載された、又は添付の図面に例示された構造の詳細及び構成要素の配置構成に限定されないことを理解されたい。本発明は、他の実施形態が可能であり、様々な方法で実施又は実行することができる。また、本明細書において使用される語法及び専門用語は説明を目的としたものであり、限定するものとみなしてはならないことを理解されたい。他の実施形態を利用することもできること、及び本開示の範囲から逸脱することなく構造的又は論理的な変更を行うことができることを、更に理解されたい。
【0107】
上記され、図に示された実施形態は、単に例として提示されており、本開示の概念及び原理を限定するものとしては意図されていない。したがって、当業者であれば、要素並びにそれらの構成及び配列の様々な変更が、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく可能であることを認識するであろう。
【0108】
本明細書において引用された全ての参考文献及び刊行物は、参照することによりそれらの全体が本開示に明示的に援用される。
【0109】
本開示の様々な特徴及び局面は、以下の請求項において述べられる。