特許第6832735号(P6832735)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6832735
(24)【登録日】2021年2月4日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】顕微鏡
(51)【国際特許分類】
   G02B 21/34 20060101AFI20210215BHJP
   G02B 21/06 20060101ALI20210215BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20210215BHJP
   G02B 3/06 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   G02B21/34
   G02B21/06
   G02B3/00 A
   G02B3/06
【請求項の数】20
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2017-26640(P2017-26640)
(22)【出願日】2017年2月16日
(65)【公開番号】特開2018-32009(P2018-32009A)
(43)【公開日】2018年3月1日
【審査請求日】2020年2月5日
(31)【優先権主張番号】特願2016-160454(P2016-160454)
(32)【優先日】2016年8月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118913
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 邦生
(74)【代理人】
【識別番号】100142789
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100163050
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 眞由美
(74)【代理人】
【識別番号】100201466
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 邦彦
(72)【発明者】
【氏名】ブリンクマン ブレンダン
(72)【発明者】
【氏名】島田 佳弘
【審査官】 下村 一石
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2007/037439(WO,A1)
【文献】 特表2002−537579(JP,A)
【文献】 特開2009−025630(JP,A)
【文献】 特開平10−082790(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0192341(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B21/00
G02B21/06−21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
標本と共に第1液浸媒質を収容する標本容器が浸漬される、前記第1液浸媒質と同等の屈折率を有する第2液浸媒質を貯留する媒質容器と、
該媒質容器の外部に配され、前記標本から発せられる光を集光する対物レンズと、
該対物レンズにより集光された前記光を撮影する撮像部と、
前記対物レンズをその検出光軸に沿う方向に移動させる照準部と、
前記媒質容器内で前記標本容器を少なくとも前記検出光軸に沿う方向に移動可能に支持する可動ステージとを備え、
前記標本容器および前記媒質容器が、前記標本からの前記光を透過可能な光透過部をそれぞれ有し、
前記対物レンズが、前記媒質容器の前記光透過部を介して前記標本容器の前記光透過部に対向して配置される顕微鏡。
【請求項2】
前記対物レンズが、前記媒質容器の前記光透過部との間に間隔を空けて配置される請求項1に記載の顕微鏡。
【請求項3】
前記対物レンズが液浸対物レンズであり、該液浸対物レンズが前記媒質容器の前記光透過部との間に第3液浸媒質を介して配置される請求項1または請求項2に記載の顕微鏡。
【請求項4】
前記液浸対物レンズが、鉛直方向に交差する方向に前記検出光軸を向けて配置され、
前記第3液浸媒質が、前記液浸対物レンズと前記媒質容器の前記光透過部との間に表面張力により保持される請求項3に記載の顕微鏡。
【請求項5】
前記標本容器および前記媒質容器が前記光透過部を側壁部に有し、
前記液浸対物レンズが、鉛直方向に略直交する方向に前記検出光軸を向けて配置される請求項4に記載の顕微鏡。
【請求項6】
前記第3液浸媒質が、前記第2液浸媒質と同等の屈折率を有する請求項3から請求項5のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項7】
前記標本容器の前記光透過部が、前記第2液浸媒質と同等の屈折率を有する請求項1から請求項6のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項8】
前記媒質容器の前記光透過部が、前記第2液浸媒質と同等の屈折率を有する請求項1から請求項7のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項9】
前記可動ステージが、前記標本容器を前記検出光軸に交差する方向に移動可能に支持する請求項1から請求項8のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項10】
前記撮像部が、前記標本が自己発光した前記光を撮影する請求項1から請求項9のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項11】
前記検出光軸に交差する方向から前記標本に励起光を照射する照明光学系を備え、
前記標本容器および前記媒質容器が、前記照明光学系からの前記励起光を前記標本に向けて透過させる励起光透過部をそれぞれ有する請求項1から請求項9のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項12】
前記媒質容器が、前記励起光透過部を底部に有し、
前記照明光学系が、前記媒質容器内に配置された反射ミラーを備え、前記励起光を前記底部の前記励起光透過部から前記媒質容器内に入射させて前記反射ミラーにより前記標本に向けて反射する請求項11に記載の顕微鏡。
【請求項13】
前記媒質容器が、前記励起光透過部を側壁部に有し、
前記照明光学系が、前記側壁部の前記励起光透過部から前記媒質容器内に前記励起光を入射させる請求項11に記載の顕微鏡。
【請求項14】
前記照明光学系が、前記媒質容器内に配置された正のパワーを有するレンズを備える請求項11から請求項13のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項15】
前記正のパワーを有するレンズが、前記照明光学系の照明光軸に交差する一方向に正のパワーを有するシリンドリカルレンズである請求項14に記載の顕微鏡。
【請求項16】
前記撮像部の撮影光軸に交差する方向に複数のマイクロレンズを2次元的に配列してなるマイクロレンズアレイを備え、
前記照明光学系が、略平行光束の前記励起光を前記標本に入射させる請求項11から請求項13のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項17】
前記可動ステージが、複数の前記標本容器を前記媒質容器内で前記検出光軸に平行な軸線回りに移動可能に支持する請求項11から請求項16のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項18】
前記標本容器が、前記照明光学系の照明光軸に交差する1方向に配列された複数の標本収容部を有し、
前記可動ステージが、前記検出光軸上に配置する前記標本収容部を切り替え可能に支持する請求項11から請求項16のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項19】
前記可動ステージが、前記標本容器を前記媒質容器内で前記検出光軸回りに回転可能に支持する請求項11から請求項18のいずれかに記載の顕微鏡。
【請求項20】
前記照明光学系が、前記対物レンズの前記検出光軸に交差する平面に沿って平面状の前記励起光を前記標本に入射させる請求項11に記載の顕微鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顕微鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、検出光学系の検出光軸に交差する方向から励起光を標本に入射させて、検出光学系により検出される標本からの蛍光に基づいて標本の3次元立体像を取得する顕微鏡が知られている(例えば、特許文献1および特許文献2参照。)。これら特許文献1および特許文献2に記載の顕微鏡では、撮像平面以外に励起光が照射されないので、蛍光の褪色を抑えて良好な3次元立体像を得ることができる。
【0003】
近年、この技術は、蛍光タンパク質をターゲット分子に標識したゼブラフィッシュのような生物の立体像を得ることを目的としたものとしてだけでなく、スフェロイドやオルガノイド(人工臓器またはその一部)のような3次元培養細胞の3次元立体像を得て、画像解析技術の利用により薬効の評価を行う、いわゆる創薬スクリーニングへの適用を目的としたものとしても注目されており、幅広いアプリケーションに応用されることが期待されている。また、この観察手法には、個々の細胞を認識可能なレベルの解像度で観察を行いたいという研究者からの強いニーズにより、より微細かつ高解像な観察が求められている。
【0004】
この観察手法において、特許文献1,2に記載の顕微鏡では、液浸対物レンズが使用されている。しかしながら。特許文献1に記載の顕微鏡は、対物レンズに対して容器を移動させて観察位置を変更すると、対物レンズと容器との間に保有されている液浸媒質の量が減少するため、液浸媒質を補給する必要がある。特に、容器が複数のアレイで構成される等、対物レンズと容器との相対移動距離が長くなれば長くなるほど、高い頻度で液浸媒質を補給する必要があり、大量の液浸媒質を用意しておかなければならないという不都合がある。また、液浸媒質の補給には時間がかかるため、補給頻度が多くなるほど総観察時間が長くなるという不都合もある。
【0005】
これに対し、特許文献2に記載の顕微鏡では、透明化溶液等の液浸媒質が充填されたキュベットにサンプルが収容されるとともに、このキュベットがさらに液浸媒質が充填されたチャンバに収容されてXYZステージ上に載置されている。また、観察のための対物レンズは、その先端部が液漏れを防止するシーリング部材を介してチャンバ内の液浸媒質に浸漬されている。特許文献2の顕微鏡の構成によれば、XYZステージを移動させても液浸媒質が減少しないので、特許文献1に記載の顕微鏡の上述した問題を解消することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4443832号公報
【特許文献2】国際公開第2015/184124号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、対物レンズを動かすことができない特許文献2に記載の顕微鏡では、観察位置の変更に伴いサンプル内の屈折率分布に応じて対物レンズの焦点位置にずれが生じた場合に、スキャナにより励起光の照射位置を対物レンズの焦点位置に合わせることで焦点位置のずれを補正しており、このような補正を行うための複雑で高価な調整機構が必要になるという問題がある。
【0008】
本発明は上述した事情に鑑みてなされたものであって、簡易かつ安価な構成で、液浸媒質の量およびその補給頻度を低減しつつ液浸媒質の液切れを防止して、信頼性の高い観察を実現することができる顕微鏡を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
本発明の一態様は、標本と共に第1液浸媒質を収容する標本容器が浸漬される、前記第1液浸媒質と同等の屈折率を有する第2液浸媒質を貯留する媒質容器と、該媒質容器の外部に配され、前記標本から発せられる光を集光する対物レンズと、該対物レンズにより集光された前記光を撮影する撮像部と、前記対物レンズをその検出光軸に沿う方向に移動させる照準部と、前記媒質容器内で前記標本容器を少なくとも前記検出光軸に沿う方向に移動可能に支持する可動ステージとを備え、前記標本容器および前記媒質容器が、前記標本からの前記光を透過可能な光透過部をそれぞれ有し、前記対物レンズが、前記媒質容器の前記光透過部を介して前記標本容器の前記光透過部に対向して配置される顕微鏡である。
【0010】
本態様によれば、標本が第1液浸媒質と共に標本容器に収容されて、媒質容器内の第2液浸媒質に標本容器ごと浸漬される。そして、標本から発せられる光が、第1液浸媒質、標本容器の光透過部、第1液浸媒質と同等の屈折率を有する第2液浸媒質および媒質容器の光透過部を透過して対物レンズにより集光され、撮像部により撮影される。したがって、可動ステージにより、媒質容器内で標本容器を対物レンズの検出光軸に沿う方向に移動させることで、対物レンズの検出光軸に交差する標本の断層像を取得することができる。
【0011】
この場合において、可動ステージにより媒質容器内で標本容器を移動させて観察位置を変更しても、対物レンズと媒質容器との相対位置が変化しないので、対物レンズの先端と媒質容器の光透過部との間に液浸媒質を保持させたとしても、標本容器の移動によってこの液浸媒質の量は変化しない。したがって、対物レンズの先端と媒質容器の光透過部との間に液浸媒質を大量に用意したり頻繁に補給したりしなくてすみ、またこの液浸媒質が液切れすることもない。
【0012】
また、標本の観察位置を変更した場合に、標本内の屈折率分布に応じて対物レンズの焦点位置にずれが生じたとしても、照準部により、対物レンズの検出光軸に沿う方向の位置を微調整することにより、焦点位置のずれを解消することができる。
したがって、簡易かつ安価な構成で、液浸媒質の量およびその補給頻度を低減しつつ液浸媒質の液切れを防止して、信頼性の高い観察を実現する顕微鏡を構成することができる。
【0013】
上記態様においては、前記対物レンズが、前記媒質容器の前記光透過部との間に間隔を空けて配置されることとしてもよい。
このように構成することで、対物レンズを倍率が異なるものに切り替えることが可能となる。
【0014】
上記態様においては、前記対物レンズが液浸対物レンズであり、該液浸対物レンズが前記媒質容器の前記光透過部との間に第3液浸媒質を介して配置されることとしてもよい。
このように構成することで、第3液浸媒質として空気よりも屈折率が大きいものを採用することにより、液浸対物レンズの開口数を大きくして、より高い分解能を得ることができる。また、標本容器の移動によって第3液浸媒質の量は変化しないので、第3液浸媒質を大量に用意したり頻繁に補給したりしなくてすみ、また第3液浸媒質が液切れすることもない。
【0015】
上記態様においては、前記液浸対物レンズが、鉛直方向に交差する方向に前記検出光軸を向けて配置され、前記第3液浸媒質が、前記液浸対物レンズと前記媒質容器の前記光透過部との間に表面張力により保持されることとしてもよい。
このように構成することで、液浸対物レンズの先端と媒質容器の光透過部との間に第3液浸媒質を保持するための機構が必要なく、簡易な構成にすることができる。
【0016】
上記態様においては、前記標本容器および前記媒質容器が前記光透過部を側壁部に有し、前記液浸対物レンズが、鉛直方向に略直交する方向に前記検出光軸を向けて配置されることとしてもよい。
このように構成することで、液浸対物レンズを媒質容器の側方に側壁部の光透過部に近接させて第3液浸媒質を介して配置することができる。
【0017】
上記態様においては、前記第3液浸媒質が、前記第2液浸媒質と同等の屈折率を有することとしてもよい。
このように構成することで、標本の観察位置を変更した場合に、標本内の屈折率分布に応じて液浸対物レンズの焦点位置にずれが生じ、照準部により液浸対物レンズの検出光軸に沿う方向に焦点の微調整を行ったとしても、球面収差の発生を抑制することができる。
【0018】
上記態様においては、前記標本容器の前記光透過部が、前記第2液浸媒質と同等の屈折率を有することとしてもよい。
このように構成することで、製造誤差により標本容器の光透過部の厚さにばらつきがある場合であっても、球面収差の発生を抑制することができる。
【0019】
上記態様においては、前記媒質容器の前記光透過部が、前記第2液浸媒質と同等の屈折率を有することとしてもよい。
このように構成することで、製造誤差により媒質容器の光透過部の厚さにばらつきがある場合であっても球面収差の発生を抑制することができる。
【0020】
上記態様においては、前記可動ステージが、前記標本容器を前記検出光軸に交差する方向に移動可能に支持することとしてもよい。
このように構成することで、標本の観察位置を対物レンズの検出光軸に交差する方向に変更することができる。
【0021】
上記態様においては、前記撮像部が、前記標本が自己発光した前記光を撮影することとしてもよい。
このように構成することで、発光顕微鏡を構成することができ、光源や照明光学系が不要となる分だけシンプルかつ安価な構成にすることができる。
【0022】
上記態様においては、前記検出光軸に交差する方向から前記標本に励起光を照射する照明光学系を備え、前記標本容器および前記媒質容器が、前記照明光学系からの前記励起光を前記標本に向けて透過させる励起光透過部をそれぞれ有することとしてもよい。
このように構成することで、照明光学系を媒質容器の側方に配置して、照明光学系から発せられた励起光を媒質容器および標本容器の側方から各励起光透過部を介して標本に照射することができる。
【0023】
上記態様においては、前記媒質容器が、前記励起光透過部を底部に有し、前記照明光学系が、前記媒質容器内に配置された反射ミラーを備え、前記励起光を前記底部の前記励起光透過部から前記媒質容器内に入射させて前記反射ミラーにより前記標本に向けて反射することとしてもよい。
【0024】
このように構成することで、反射ミラーを除く照明光学系を媒質容器の下方に配置することができる。これにより、可動ステージおよび標本容器と照明光学系との機械的な干渉を回避することができ、1方向からだけでなく、対物レンズの検出光軸に交差する複数の方向から励起光を標本に入射可能な照明光学系を構成し易くすることができる。
【0025】
上記態様においては、前記媒質容器が、前記励起光透過部を側壁部に有し、前記照明光学系が、前記側壁部の前記励起光透過部から前記媒質容器内に前記励起光を入射させることとしてもよい。
このように構成することで、照明光学系を媒質容器の側方に配置することができる。これにより、対物レンズ、照準部および撮像部が備えられている通常の倒立型顕微鏡に、媒質容器、可動ステージおよび照明光学系を加えるだけで構成することができる。
【0026】
上記態様においては、前記照明光学系が、前記媒質容器内に配置された正のパワーを有するレンズを備えることとしてもよい。
シート照明の厚さを薄くして解像度を上げるにはレンズの射出NAを大きく設定する必要がある。このように構成することで、媒質容器の外にレンズを配置する場合と比較してレンズから標本までの距離を短くすることができ、レンズの射出NAを大きく設定することができる。これにより、正のパワーを有するレンズを媒質容器内に配置するだけの簡易な構成で解像度を向上することができる。
【0027】
上記態様においては、前記正のパワーを有するレンズが、前記照明光学系の照明光軸に交差する一方向に正のパワーを有するシリンドリカルレンズであることとしてもよい。
このように構成することで、シリンドリカルレンズにより、検出光学系の検出光軸に交差する平面に沿って平面状に励起光を集光させて標本に入射させることができる。これにより、励起光の入射平面に対物レンズの焦点面を一致させることで、焦点面に沿う広い範囲において発生した光を対物レンズによって1度に集光して、より高解像の画像を取得することができる。
【0028】
上記態様においては、前記撮像部の撮影光軸に交差する方向に複数のマイクロレンズを2次元的に配列してなるマイクロレンズアレイを備え、前記照明光学系が、略平行光束の前記励起光を前記標本に入射させることとしてもよい。
【0029】
このように構成することで、励起光の入射範囲に対物レンズの焦点面を一致させることで、焦点面に沿う広い範囲において発生した光を対物レンズによって1度に集光することができる。そして、撮像部により、マイクロレンズアレイによって投影される像を撮影することで、視差が異なる複数の画像情報を1度に取得することができる。
【0030】
上記態様においては、前記可動ステージが、複数の前記標本容器を前記媒質容器内で前記検出光軸に平行な軸線回りに移動可能に支持することとしてもよい。
このように構成することで、可動ステージにより複数の標本容器を検出光軸に平行な軸線回りに移動させるだけで、検出光軸上に配置する標本容器を切り替えることができる。したがって、照明光学系により各標本容器の標本に励起光を順に入射させるとともに、対物レンズにより各標本容器の標本からの光を順に集光して撮像部により連続して撮影することができる。これにより、大量の標本の画像を効率よく高速で取得することができる。
【0031】
上記態様においては、前記標本容器が、前記照明光学系の照明光軸に交差する1方向に配列された複数の標本収容部を有し、前記可動ステージが、前記検出光軸上に配置する前記標本収容部を切り替え可能に支持することとしてもよい。
このように構成することで、可動ステージにより対物レンズの検出光軸上に配置する標本収容部を切り替えるだけで、複数の標本を順に観察することができる。
【0032】
上記態様においては、前記可動ステージが、前記標本容器を前記媒質容器内で前記検出光軸回りに回転可能に支持することとしてもよい。
このように構成することで、可動ステージにより標本容器を検出光軸回りに回転させるだけで、標本における同一の観察位置に異なる方向から励起光を入射させることができる。これにより、各方向からの励起光の標本への入射深度を浅くして標本における散乱の影響を抑制し、鮮明な画像を取得することができる。
【0033】
上記態様においては、前記照明光学系が、前記対物レンズの検出光軸に交差する平面に沿って平面状の前記励起光を前記標本に入射させることとしてもよい。
このように構成することで、励起光の入射平面に対物レンズの焦点面を一致させることにより、対物レンズの焦点面に沿う広い範囲において発生した蛍光を対物レンズによって1度に集光して、より高解像の画像を取得することができるライトシート顕微鏡を構成することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る顕微鏡によれば、簡易かつ安価な構成で、液浸媒質の量およびその補給頻度を低減しつつ液浸媒質の液切れを防止して、信頼性の高い観察を実現することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の第1実施形態に係る顕微鏡を示す概略構成図である。
図2図1のキュベットおよびプリズムを検出光軸に沿う方向に見た平面図である。
図3】本発明の第1実施形態の変形例に係る顕微鏡を示す概略構成図である。
図4】本発明の第2実施形態に係る顕微鏡を示す概略構成図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る顕微鏡を示す概略構成図である。
図6】本発明の第4実施形態に係る顕微鏡を示す概略構成図である。
図7図6のチャンバおよびキュベットを示す斜視図である。
図8図6のキュベットを示す斜視図である。
図9図6のチャンバを示す斜視図である。
図10】本発明の第5実施形態に係る顕微鏡を鉛直方向に見た概略構成図である。
図11図10の顕微鏡を液浸対物レンズの検出光軸に沿う方向に見た概略構成図である。
図12】本発明の第6実施形態に係る顕微鏡を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
〔第1実施形態〕
本発明の第1実施形態に係る顕微鏡について、図面を参照して以下に説明する。
本実施形態に係る顕微鏡1は、図1に示されるように、サンプル(標本)Sを収容するキュベット(標本容器)3と、キュベット3を収容可能なチャンバ(媒質容器)5と、キュベット3を支持する可動ステージ7と、サンプルSにレーザ光(励起光)を照射する照明光学系9と、サンプルSから発せられる蛍光を集光する液浸対物レンズ(対物レンズ)11と、液浸対物レンズ11をその検出光軸Pに沿う方向に移動可能な照準部12と、液浸対物レンズ11により集光された蛍光に基づいてサンプルSの画像を取得する撮像光学系13とを備えている。
【0037】
キュベット3は、図2に示すように、サンプルSが収容される3つの収容部(標本収容部)3aが1方向に配列されてなるアレイ構造を有している。各収容部3aには、それぞれ透明化溶液等のキュベット溶液(第1液浸媒質)W1が充填され、そのキュベット溶液W1にそれぞれサンプルSが浸漬されている。各サンプルSは、キュベット溶液W1に浸漬されることで透明化されている。また、図1に示すように、キュベット3は、側壁部および底部にそれぞれレーザ光および蛍光を透過可能な透明部(励起光透過部、光透過部)3bを有している。
【0038】
チャンバ5は、開口部5aを上部に有し、レーザ光および蛍光を透過可能な透明部(励起光透過部、光透過部)5bを底部に有している。透明部5bは、照明光学系9の照明光軸Q上および液浸対物レンズ11の検出光軸P上を含む底部の広範囲に形成されている。このチャンバ5には、キュベット溶液W1と屈折率が略等しいチャンバ溶液(第2液浸媒質)W2が貯留され、そのチャンバ溶液W2内にキュベット3が浸漬されるようになっている。
【0039】
可動ステージ7は、キュベット3を保持するアーム部7aと、アーム部7aを支持する支持部7bとを備えている。この可動ステージ7は、アーム部7aおよび支持部7bにより、キュベット3をチャンバ5の開口部5aを介してチャンバ溶液W2内に浸漬させて照明光軸Q上に側壁部の透明部3bが位置するように、キュベット3を支持するようになっている。
【0040】
また、可動ステージ7は、保持しているキュベット3を鉛直方向(以下、Z方向という。)および鉛直方向に交差し互いに直交する2次元的な方向(以下、X,Y方向という。)に移動させることができるようになっている。これにより、可動ステージ7は、検出光軸P上に配置するキュベット3の収容部3aを切り替えたり、同一の収容部3a内でサンプルSの観察位置を変更したりすることができるようになっている。
【0041】
液浸対物レンズ11は、図示しない多数のレンズを組み合わせて構成されている。この液浸対物レンズ11は、チャンバ5の下方に底部の透明部5bに近接して設けられ、透明部5bに対向して鉛直上向きに配置されている。液浸対物レンズ11の最先端のレンズの上面11aとチャンバ5の底部の透明部5bとの隙間には、純水等の液浸溶液(第3液浸媒質)W3が注入され、液浸溶液W3が表面張力によってその隙間内に保持されるようになっている。
【0042】
照準部12は、液浸対物レンズ11の最先端のレンズの上面11aとチャンバ5の底部の透明部5bとの隙間で液浸溶液W3の表面張力が働く範囲内で、液浸対物レンズ11をZ方向に微動させることにより、液浸対物レンズ11の焦点位置を検出光軸Pに沿う方向に微調整することができる。
【0043】
照明光学系9は、レーザ光を発生するレーザ光源15と、レーザ光源15から発せられたレーザ光を導光する光ファイバ17と、光ファイバ17により導光されてきたレーザ光を平行光束に変換する凸レンズ19A,19Bと、凸レンズ19A,19Bにより平行光束にされたレーザ光を集光するシリンドリカルレンズ(レンズ)21A,21Bと、シリンドリカルレンズ21A,21Bにより集光されたレーザ光をサンプルSに向けて反射するミラーコーティングされた反射面(反射ミラー)24A,24Bを有するプリズム23A,23Bとを備えている。
【0044】
光ファイバ17は、長手方向の途中位置から分岐された2つの先端部18A,18Bを有している。これら先端部18A,18Bは、液浸対物レンズ11を挟んで検出光軸Pに交差する方向に間隔をあけて設けられ、チャンバ5の底部の透明部5bに対向して鉛直上向きに配置されている。
【0045】
光ファイバ17の一方の先端部18Aから射出されたレーザ光は、凸レンズ19A、シリンドリカルレンズ21Aを介してプリズム23Aの反射面24AによりサンプルSに向けて反射され、他方の先端部18Bから射出されたレーザ光は、凸レンズ19B、シリンドリカルレンズ21Bを介してプリズム23Bの反射面24BによりサンプルSに向けて反射されるようになっている。
【0046】
凸レンズ19A,19Bおよびシリンドリカルレンズ21A,21Bは、チャンバ5の外部において検出光軸Pを挟んでこれに交差する方向に間隔をあけて配置され、プリズム23A,23Bは、チャンバ5の内部において検出光軸Pを挟んでこれに交差する方向に間隔をあけて配置され、内側底部に固定されている。
【0047】
シリンドリカルレンズ21A,21Bは、照明光軸Qに直交する一方向にパワーを有している。このシリンドリカルレンズ21A,21Bは、略平行光束からなるレーザ光をその光束径寸法と同じ所定の幅寸法を有する平面状に集光して、液浸対物レンズ11の略検出光軸P上で焦点を結ばせるようになっている。
【0048】
プリズム23A,23Bは、シリンドリカルレンズ21A,21Bにより平面状に集光された各レーザ光を反射面24A,24Bにより反射し、検出光軸Pに垂直な方向に広がる同一の入射平面に沿ってキュベット3の側壁部の透明部3bを介してサンプルSにレーザ光を入射させるようになっている。
【0049】
これら凸レンズ19A,19B、シリンドリカルレンズ21A,21Bおよびプリズム23A,23Bの反射面24A,24Bは、それぞれのレーザ光の焦点位置が一致するように予め調整されている。
【0050】
撮像光学系13は、液浸対物レンズ11により集光された蛍光を反射するミラー25と、ミラー25により反射された蛍光からレーザ光等を除去するエミッションフィルタ27と、エミッションフィルタ27を通過した蛍光を結像させる結像レンズ29と、結像レンズ29により結像された蛍光を撮影するカメラ(撮像部)31とを備えている。
【0051】
キュベット3内のキュベット溶液W1、チャンバ5内のチャンバ溶液W2、液浸対物レンズ11とチャンバ5との間の液浸溶液W3、キュベット3の透明部3bおよびチャンバ5の透明部5bは互いに略同等の屈折率を有している。
【0052】
このように構成された顕微鏡1の作用について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡1によりサンプルSを観察するには、まず、可動ステージ7により、サンプルSとキュベット溶液W1が収容されたキュベット3を支持し、チャンバ5内に浸漬して目的の観察位置に移動させる。図2に示す例では、キュベット3の真ん中の収容部3aが液浸対物レンズ11の検出光軸P上に配置されている。
【0053】
続いて、レーザ光源15からレーザ光を発生させる。レーザ光源15から発せられたレーザ光は、光ファイバ17により導光されて途中で分岐され、2つの先端部18A,18Bから射出される。そして、レーザ光は、それぞれ凸レンズ19A,19Bにより平行光束にされ、シリンドリカルレンズ21A,21Bにより平面状に集光されてチャンバ5の底部の透明部5bに入射される。
【0054】
底部の透明部5bからチャンバ5内に入射されたレーザ光は、それぞれプリズム23A,23Bに入射して反射面24A,24Bにより反射される。そして、レーザ光は、チャンバ溶液W2、キュベット3の透明部3b、キュベット溶液W1を介して、検出光軸Pに交差する互いに対向する2方向からサンプルSに入射される。
【0055】
チャンバ5の透明部5b、チャンバ溶液W2、キュベット3の透明部3bおよびキュベット溶液W1が略同等の屈折率を有することで、照明光学系9により照射するレーザ光を屈折させることなくサンプルSに入射させることができる。
【0056】
サンプルSに平面状のレーザ光が入射することにより、レーザ光の入射平面に沿ってサンプルS内の蛍光物質が励起されて蛍光が発生する。サンプルSにおいて発生した蛍光の内、検出光軸Pに沿う方向に放射された蛍光は、キュベット溶液W1、キュベット3の底部の透明部3b、チャンバ溶液W2、チャンバ5の底部の透明部5bおよび液浸溶液W3を介して液浸対物レンズ11により集光される。
【0057】
この場合も、キュベット溶液W1、キュベット3の底部の透明部3b、チャンバ溶液W2、チャンバ5の底部の透明部5bおよび液浸溶液W3が略同等の屈折率を有することで、サンプルSからの蛍光を屈折させることなく液浸対物レンズ11により集光することができる。
【0058】
液浸対物レンズ11により集光された蛍光は、ミラー25により反射されてエミッションフィルタ27を通過し、結像レンズ29によりカメラ31の撮像面上に結像される。これにより、カメラ31において、サンプルSの断層像が得られる。
【0059】
液浸対物レンズ11の検出光軸Pと垂直な方向に広がる入射平面に沿う平面状のレーザ光をサンプルSに入射させることで、シリンドリカルレンズ21A,21Bの焦点位置と液浸対物レンズ11の検出光軸Pとを一致させるとともに、レーザ光の入射平面に液浸対物レンズ11の焦点面を一致させることにより、液浸対物レンズ11の焦点面に沿う広い範囲において発生する蛍光を液浸対物レンズ11により1度に集光してカメラ31により撮影することができる。これにより、サンプルSにおける観察領域の鮮明な蛍光画像を取得することができる。また、カメラ31の撮像平面以外にレーザ光が照射されないので、蛍光の褪色を抑えて良好な3次元立体像を得ることができる。
【0060】
この場合において、可動ステージ7によりチャンバ5内でキュベット3を移動させてサンプルSの観察位置を変更しても、液浸対物レンズ11とチャンバ5との隙間に配置される液浸溶液W3の量は変化しないので、液浸溶液W3を大量に用意したりこれを高い頻度で補給したりしなくてすみ、また液浸溶液W3の液切れも防ぐことができる。
【0061】
また、サンプルSの観察位置を変更した場合に、サンプルS内の屈折率分布に応じて液浸対物レンズ11の焦点位置にずれが生じたとしても、照準部12により液浸対物レンズ11の検出光軸Pに沿う方向の位置を微調整することで、焦点位置のずれを解消することができる。これにより、サンプルSにおける所望の観察位置を精度よく観察することができる。
【0062】
なお、液浸溶液W3がチャンバ溶液W2と略同等の屈折率を有することで、照準部12により液浸対物レンズ11の検出光軸Pに沿う方向に焦点の微調整を行った場合に、球面収差の発生を抑制することができる。また、キュベット3の透明部3bやチャンバ5の透明部5bがチャンバ溶液W2と略同等の屈折率を有することで、製造誤差によりキュベット3の透明部3bの厚さやチャンバ5の透明部5bの厚さにばらつきがある場合であっても、球面収差の発生を抑制することができる。
【0063】
以上説明したように本実施形態に係る顕微鏡1によれば、サンプルSの観察位置を変更した場合に液浸対物レンズ11の焦点位置にずれが生じても、照準部12により液浸対物レンズ11を検出光軸Pに沿う方向に微調整するだけで焦点位置のずれを解消することができる。したがって、従来の顕微鏡のように、液浸対物レンズの焦点位置のずれをスキャナによって補正するような複雑で高価な調整機構を用いる必要がなく、簡易かつ安価な構成で、液浸溶液W3の量およびその補給頻度を低減しつつ液浸溶液W3の液切れを防止して、信頼性の高い観察を実現することができる。
【0064】
また、照明光学系9が、レーザ光をチャンバ5の底部の透明部5bからチャンバ5内に入射させることで、プリズム23A,23Bを除く照明光学系9をチャンバ5の下方に配置することができる。これにより、可動ステージ7およびキュベット3と照明光学系9との機械的な干渉を回避することができ、液浸対物レンズ11の検出光軸Pに交差する2方向からレーザ光をサンプルSに入射させる照明光学系9を構成し易くすることができる。
【0065】
本実施形態では、照明光学系9により、レーザ光を異なる2方向から同時にサンプルSに入射させることとしたが、これに代えて、レーザ光を一方向からのみサンプルSに入射させる単一照明であってもよい。多くの場合、サンプルSで光の吸収や散乱が生じるので、複数の照明光束により照明する方が照明の均一性において有利に働く。
【0066】
また、可動ステージ7が、キュベット3をチャンバ5内で検出光軸P回りに回転可能に支持することとしてもよい。このようにすることで、可動ステージ7によりキュベット3を検出光軸P回りに回転させるだけで、サンプルSにおける同一の観察位置に異なる方向からレーザ光を入射させることができる。これにより、各方向からのレーザ光のサンプルSへの入射深度を浅くしてサンプルSにおける散乱の影響を抑制し、鮮明な蛍光画像を取得することができる。単一照明の場合に、より有効である。
【0067】
本実施形態は以下のように変形することができる。
本実施形態においては、シリンドリカルレンズ21A,21Bをチャンバ5の外側に配置したが、これに代えて、例えば、図3に示すように、シリンドリカルレンズ21A,21Bをチャンバ5の内側に配置することとしてもよい。この場合、例えば、シリンドリカルレンズ21A,21Bをプリズム23A,23Bの射出端に取り付けることとすればよい。
【0068】
解像度を上げるには、シリンドリカルレンズ21A,21Bの射出NAを大きく設定して、平面状のレーザ光の厚さを薄くする必要がある。本変形例によれば、チャンバ5の外にシリンドリカルレンズ21A,21Bを配置する場合と比較して、シリンドリカルレンズ21A,21BからサンプルSまでの距離を短くすることができる。したがって、シリンドリカルレンズ21A,21Bの射出NAを大きく設定して、平面状のレーザ光の厚さを薄くすることができる。これにより、シリンドリカルレンズ21A,21Bをチャンバ5内に配置するだけの簡易な構成で解像度を向上することができる。
【0069】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る顕微鏡について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡41は、図4に示すように、照明光学系9が、さらに、負のパワーを有するシリンドリカルレンズ43と、シャッタ45A,45Bとを備え、シャッタ45A,45Bの切り替えにより、ライトフィールド顕微鏡としての機能とライトシート顕微鏡としての機能を切り替え可能な点で第1実施形態と異なる。
以下、第1実施形態に係る顕微鏡1と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0070】
負のパワーを有するシリンドリカルレンズ43は、例えば、光ファイバ17の先端部18Aから射出されるレーザ光の光路上に設けられ、プリズム23Aの射出端に取り付けられている。このシリンドリカルレンズ43により、液浸対物レンズ11の検出光軸Pに沿う方向の観察深さに対応した厚さを有する断面が矩形状のレーザ光を構成することができるようになっている。
【0071】
シャッタ45A,45Bは、照明光学系9の両方の照明光軸Q上に挿脱可能に設けられ、光ファイバ17の各先端部18A,18Bと各凸レンズ19A,19Bとの間に配置されている。
【0072】
撮像光学系13は、カメラ31の手前に配置された複数のマイクロレンズ48からなるマイクロレンズアレイ47を備えている。各マイクロレンズ48は、カメラ31の撮影光軸に交差する方向に2次元的に配列されている。
【0073】
また、撮像光学系13は、マイクロレンズアレイ47上に結像させる結像レンズ29Aと、カメラ31の撮像面上に結像させる結像レンズ29Bと、これら結像レンズ29Aおよび結像レンズ29Bを保持する結像レンズターレット49とを備えている。
【0074】
マイクロレンズアレイ47は、カメラ31の撮像面に像を投影させるようになっている。これにより、カメラ31によって、視差が異なる複数の画像情報を1度に取得することができるようになっている。
【0075】
結像レンズターレット49は、回転軸49a回りに回転可能に設けられ、結像レンズ29Aおよび結像レンズ29Bを蛍光の光路上に択一的に配置することができるようになっている。
【0076】
これら照明光学系9のレーザ光源15、光ファイバ17、凸レンズ19A、シリンドリカルレンズ21A、プリズム23Aおよびシリンドリカルレンズ43と、液浸対物レンズ11と、撮像光学系13のミラー25、エミッションフィルタ27、結像レンズ29A、マイクロレンズアレイ47およびカメラ31とにより、ライトフィールド顕微鏡として機能するようになっている。また、照明光学系9のレーザ光源15、光ファイバ17、凸レンズ19B、シリンドリカルレンズ21Bおよびプリズム23Bと、液浸対物レンズ11と、撮像光学系13のミラー25、エミッションフィルタ27、結像レンズ29Bおよびカメラ31とにより、ライトシート顕微鏡として機能するようになっている。
【0077】
このように構成された顕微鏡41の作用について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡41によりサンプルSを観察する場合、シャッタ45A,45Bにより、ライトフィールド顕微鏡としての機能とライトシート顕微鏡としての機能とを切り替えて行う。
【0078】
ライトフィールド顕微鏡としてサンプルSを観察する場合は、光ファイバ17の先端部18Aから射出されるレーザ光の光路上からシャッタ45Aを脱離させ、先端部18Bから射出されるレーザ光の光路上にシャッタ45Bを挿入する。また、結像レンズターレット49により、カメラ31の撮影光軸上に結像レンズ29Aを挿入する。
【0079】
この状態で、光ファイバ17の先端部18Aから射出されたレーザ光は、凸レンズ19Aおよび正のパワーを有するシリンドリカルレンズ21Aを透過してプリズム23Aの反射面24Aにより反射された後、負のパワーを有するシリンドリカルレンズ43により、液浸対物レンズ11の検出光軸Pに沿う方向の観察深さに対応した厚さを有する平行光束に変換されてサンプルSに入射される。レーザ光の入射範囲に液浸対物レンズ11の焦点面を一致させることで、焦点面に沿う広い範囲において発生した蛍光を液浸対物レンズ11によって1度に集光することができる。
【0080】
液浸対物レンズ11により集光されたサンプルSからの蛍光は、ミラー25、エミッションフィルタ27を介して結像レンズ29Aによりマイクロレンズアレイ47上に結像され、各マイクロレンズ48によりカメラ31の撮像面に投影される。これにより、視差が異なる複数の画像情報を1度に取得し、1枚の画像から3次元画像データを構築することができる。
【0081】
一方、ライトシート顕微鏡としてサンプルSを観察する場合は、光ファイバ17の先端部18Aから射出されるレーザ光の光路上にシャッタ45Aを挿入し、先端部18Bから射出されるレーザ光の光路上からシャッタ45Bを脱離させる。また、結像レンズターレット49により、カメラ31の撮影光軸上に結像レンズ29Bを挿入する。以下、ライトシート顕微鏡として観察する場合は第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0082】
以上説明したように、本実施形態に係る顕微鏡41によれば、1台の倒立型顕微鏡で異なる観察方法を選択することができる。この場合において、可動ステージ7を移動することによりチャンバ5内でサンプルSの観察位置を変更しても、照準部12により液浸対物レンズ11の検出光軸Pに沿う方向の位置を微調整することで、焦点位置のずれを解消することができ、サンプルSにおける所望の観察位置を精度よく観察することができる。
【0083】
本実施形態においては、以下のように変形することができる。
第1変形例としては、光ファイバ17の先端部18Aから射出されるレーザ光の光路上に可変絞りを設けることとしてもよい。可変絞りにより、レーザ光の照明光束の太さを変更することで、ライトフィールド顕微鏡としての機能で得られる深度に対し、無駄なレーザ光を照射することを回避することができる。
【0084】
第2変形例としては、ライトフィールド顕微鏡としての機能およびライトシート顕微鏡としての機能において、可動ステージ7によりサンプルSをZ方向に移動する代わりに、スキャナを採用して、レーザ光をZ方向に振れるようにしてもよい。この場合、サンプルSをZ方向に移動させないので、生態を観察する場合に移動による刺激をサンプルSに与えないですむ。特に、生体内のカルシウムの変化を撮像するような場合において、サンプルSに刺激を与えず、より正確な計測を行うことができる。
【0085】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係る顕微鏡について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡51は、図5に示すように、照明光学系9が、チャンバ5の側壁部を透過させてレーザ光をサンプルSに入射させる点で第1実施形態と異なる。
以下、第1実施形態に係る顕微鏡1と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0086】
本実施形態に係る顕微鏡51は、倒立型顕微鏡構成部53と、ライトシート照明モジュール55と、レーザ光源15と、光ファイバ17とを備えている。
倒立型顕微鏡構成部53は、液浸対物レンズ11と、ミラー25と、エミッションフィルタ27と、結像レンズ29と、カメラ31とを備えている。
【0087】
ライトシート照明モジュール55は、キュベット3と、チャンバ5と、可動ステージ7と、照準部12と、凸レンズ19Aと、シリンドリカルレンズ21Aとを備えている。
キュベット3およびチャンバ5は、いずれも底面部の検出光軸P上と側壁部の照明光軸Q上に透明部3b,5bを有している。通常の倒立型顕微鏡である倒立型顕微鏡構成部53にライトシート照明モジュール55を載置するだけで、付加的(アドオン)に構成できるという利点がある。
【0088】
光ファイバ17の射出端は、FPC(Flexible Printed Circuit)のようなファイバーコネクタ57により、ライトシート照明モジュール55に着脱可能に接続されている。
【0089】
このように構成された顕微鏡51によりサンプルSを観察する場合、レーザ光源15から発せられたレーザ光は、光ファイバ17により導光されてファイバーコネクタ57を介してライトシート照明モジュール55に入射される。ライトシート照明モジュール55に入射したレーザ光は、凸レンズ19Aにより平行光束にされてチャンバ5の側壁部の透明部5bを透過し、シリンドリカルレンズ21Aにより集光される。シリンドリカルレンズ21Aにより集光されたレーザ光は、キュベット3の側壁部の透明部3bを透過してサンプルSに入射される。
【0090】
本実施形態に係る顕微鏡51によりサンプルSを観察する場合も、可動ステージ7を移動することによりチャンバ5内でサンプルSの観察位置を変更しても、照準部12により液浸対物レンズ11の検出光軸Pに沿う方向の位置を微調整することで、焦点位置のずれを解消することができる。したがって、サンプルSにおける所望の観察位置を精度よく観察することができる。
【0091】
以上説明したように、本実施形態に係る顕微鏡51によれば、照明光学系9をチャンバ5の側方に配置することができる。また、液浸対物レンズ11、照準部12およびカメラ31が備えられている通常の倒立型顕微鏡である倒立型顕微鏡構成部53に、チャンバ5、可動ステージ7、照準部12および照明光学系9を備えるライトシート照明モジュール55を加えるだけで構成することができる。
本実施形態においては、ライトシート顕微鏡で構成しているが、ライトフィールド顕微鏡用の照明モジュールを構成してもよい。
【0092】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態に係る顕微鏡について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡61は、図6および図7に示すように、キュベット3およびチャンバ5が円環形状を有し、可動ステージ7が、キュベット3を検出光軸Pに平行な軸線回りに回転可能に支持する点で第1実施形態と異なる。
以下、第1実施形態に係る顕微鏡1と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0093】
キュベット3は、例えば、図8に示すように、サンプルSが収容される複数の収容部3aが周方向に配列されてなるマイクロプレートである。このキュベット3は、側壁部と底部に収容部3aごとに透明部3bを有している。図8に示す例では、キュベット3は、側壁部および底部が周方向の全域に亘り透明部3bにより形成されている。
【0094】
チャンバ5は、内径がキュベット3の内径よりも小さく外径がキュベット3の外径よりも大きい開口部5aを有している。このチャンバ5は、図6および図9に示すように、側壁部における照明光学系9の照明光軸Q上と底部における液浸対物レンズ11の検出光軸P上にそれぞれ透明部5bを有している。このチャンバ5も、側壁部および底部が周方向の全域に亘り透明部5bにより形成されていることとしてもよい。
照明光学系9は、チャンバ5の側壁部の透明部5bを介してレーザ光を入射させるようになっている。
【0095】
このように構成された顕微鏡61の作用について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡61によりサンプルSを観察する場合、可動ステージ7によりキュベット3を検出光軸Pに平行な軸線回りに回転させ、いずれかの収容部3aを検出光軸P上に配置する。
【0096】
この状態でレーザ光源15から発せられたレーザ光は、光ファイバ17により導光されて凸レンズ19Aにより平行光束にされた後、シリンドリカルレンズ21Aにより平面状に集光されてチャンバ5の側壁部の透明部5bを透過する。チャンバ5に入射したレーザ光は、キュベット3の側壁部の透明部3bを透過してサンプルSに入射される。これにより、検出光軸P上に配置されている収容部3aのサンプルSの蛍光画像を取得することができる。
【0097】
続いて、可動ステージ7によりキュベット3を検出光軸Pに平行な軸線回りに回転させ、隣接する次の収容部3aを検出光軸P上に配置する。そして、検出光軸P上に配置された次の収容部3aのサンプルSについても同様にしてレーザ光を入射させ蛍光画像を取得する。このようにして検出光軸P上に配置するキュベット3の収容部3aを切り替え、各収容部3aに収容されているサンプルSの蛍光画像を順次取得する。
【0098】
以上説明したように、本実施形態に係る顕微鏡61によれば、可動ステージ7によりキュベット3を検出光軸Pに平行な軸線回りに移動させるだけで、検出光軸P上に配置するサンプルSを切り替えることができる。したがって、照明光学系9により各収容部3aのサンプルSにレーザ光を順に入射させるとともに、液浸対物レンズ11により各収容部3aのサンプルSからの蛍光を順に集光してカメラ31により連続して撮影することができる。これにより、大量のサンプルSの画像を効率よく高速で取得することができる。
【0099】
本実施形態においては、キュベット3としてマイクロプレートを例示して説明したが、これに代えて、例えば、複数のキュベット3をアレイ状に周方向に配列してもよい。この場合は、可動ステージ7により、各キュベット3を検出光軸Pに平行な軸線回りに移動可能に支持し、検出光軸P上に配置するキュベット3を切り替えることとすればよい。
また、本実施形態においては、ライトシート顕微鏡を例示して説明したが、ライトフィールド顕微鏡に適用してもよい。
【0100】
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態に係る顕微鏡について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡71は、図10および図11に示すように、照明光学系9が、単一照明で、チャンバ5の側壁部を透過させてレーザ光をサンプルSに入射させ、液浸対物レンズ11が、サンプルSからチャンバ5の側壁部を透過してくる蛍光を集光し、可動ステージ7が、チャンバ5内でキュベット3をX,Y,Z方向にそれぞれ移動可能、かつ、照明光軸Qおよび検出光軸Pに直交する所定の回転軸回りに回転可能に支持する点で第1から第4実施形態と異なる。
以下、第1から第4実施形態に係る顕微鏡1,41,51,61と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0101】
顕微鏡71は、キュベット3と、チャンバ5と、可動ステージ7と、照明光学系9と、倍率が異なる複数の液浸対物レンズ11と、これら複数の液浸対物レンズ11を支持するレボルバ73と、レボルバ73により支持されている液浸対物レンズ11を検出光軸Pに沿う方向に移動させる照準部12と、撮像光学系13と、液浸溶液W3を補給する水補給器75と、可動ステージ7等を制御する制御装置77とを備えている。図11において、符号79はドレインタンクを示している。
【0102】
本実施形態においては、キュベット3は、キュベット溶液W1が充填された1つの収容容器であり、キュベット溶液W1にサンプルSが浸漬されている。また、図10に示すように、キュベット3は、周方向の全ての側壁部にそれぞれ透明部(励起光透過部、光透過部)3bを有している。
チャンバ5は、互いに隣接する2つの側壁部に透明部(励起光透過部、光透過部)5bを有している。
【0103】
照明光学系9は、レーザ光源15と、光ファイバ17と、光ファイバ17により導光されてきたレーザ光を平行光束にする凸レンズ19と、シリンドリカルレンズ21A,21Bと同じ構成のシリンドリカルレンズ21と、可変絞り81とを備えている。
【0104】
可変絞り81は、シリンドリカルレンズ21とチャンバ5の側壁部の透明部5bとの間に配置されている。可変絞り81によりレーザ光の光束径を変更することで、シリンドリカルレンズ21により平面状に集光されたレーザ光の厚さを変更できる。この変更は光路に挿入する液浸対物レンズ11に応じて行われる。
【0105】
光ファイバ17の先端部18、凸レンズ19、シリンドリカルレンズ21および可変絞り81は、チャンバ5の一方の側壁部の透明部5bに対向して配置されており、レーザ光源15から発せられたレーザ光をチャンバ5の一方の側壁部の透明部5bおよびキュベット3のいずれかの側壁部の透明部3bを介してサンプルSに入射させるようになっている。
【0106】
液浸対物レンズ11は、図10に示すように、その検出光軸Pを照明光軸Qに直交させて、チャンバ5の外部に他方の側壁部の透明部5bに対向して配置されている。液浸対物レンズ11の最先端のレンズの上面11aとチャンバ5の他方の側壁部の透明部5bとの隙間には、純水等の液浸溶液W3が注入され、液浸溶液W3が表面張力によってその隙間内に保持されるようになっている。
【0107】
レボルバ73は、複数の液浸対物レンズ11を検出する蛍光の光路上に択一的に配置することができるようになっている。これにより、例えば、観察の目的に応じて使用する液浸対物レンズ11を切り替えることができる。
【0108】
水補給器75は、先端部にノズル75aを有しており、液浸対物レンズ11を切り替える際に、液浸対物レンズ11の最先端のレンズの上面11aとチャンバ5の側壁部の透明部5bとの隙間にノズル75aから液浸溶液W3を補給することができるようになっている。
【0109】
撮像光学系13は、ミラー25と、ミラー25により反射された蛍光を結像させる結像レンズ29と、カメラ31とを備えている。
【0110】
制御装置77は、可動ステージ7によるキュベット3のX,Y,Z方向の移動および所定の回転軸回りの回転を制御するようになっている。また、制御装置77は、レーザ光源15およびカメラ31を制御したり、可変絞り81によるレーザ光の光束径の調整、レボルバ73による液浸対物レンズ11の切り替え、照準部12による液浸対物レンズ11の検出光軸Pに沿う方向の位置の微調整および水補給器75による液浸溶液W3の補給を制御したりするようになっている。
【0111】
このように構成された顕微鏡71の作用について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡71によりサンプルSを観察するには、まず、制御装置77により、サンプルSとキュベット溶液W1が収容されたキュベット3を可動ステージ7によって支持してチャンバ5内のチャンバ溶液W2に浸漬し、レーザ光源15からレーザ光を発生させる。
【0112】
レーザ光源15から発せられたレーザ光は、光ファイバ17により導光されて凸レンズ19により平行光束にされた後、シリンドリカルレンズ21により平面状に集光されて可変絞り81を通過し、チャンバ5の側壁部の透明部5bを透過してチャンバ5内に入射される。
【0113】
チャンバ5内に入射されたレーザ光は、チャンバ溶液W2、キュベット3の側壁部の透明部3b、キュベット溶液W1を介して、検出光軸Pに直交する方向からサンプルSに入射される。サンプルSに平面状のレーザ光が入射することにより、レーザ光の入射平面に沿ってサンプルS内の蛍光物質が励起されて蛍光が発生する。
【0114】
サンプルSにおいて発生した蛍光の内、検出光軸Pに沿う方向に放射された蛍光は、キュベット溶液W1、キュベット3の側壁部の透明部3b、チャンバ溶液W2、チャンバ5の側壁部の透明部5bおよび液浸溶液W3を介して液浸対物レンズ11により集光される。
【0115】
液浸対物レンズ11により集光された蛍光は、ミラー25により反射されて結像レンズ29によりカメラ31の撮像面上に結像される。これにより、カメラ31において、サンプルSの検出光軸Pに直交する断層像が得られる。制御装置77により可動ステージ7を駆動して、チャンバ5内でキュベット3をX、Y、Z方向にそれぞれ移動させることで、サンプルSの観察位置を変更して、各観察位置の断層像を取得することができる。
【0116】
シリンドリカルレンズ21の焦点位置と液浸対物レンズ11の検出光軸Pとを一致させるとともに、レーザ光の入射平面に液浸対物レンズ11の焦点面を一致させることにより、液浸対物レンズ11の焦点面に沿う広い範囲において発生する蛍光を液浸対物レンズ11により1度に集光してカメラ31により撮影し、サンプルSにおける観察領域の鮮明な蛍光画像を取得することができる。また、カメラ31の撮像平面以外にレーザ光が照射されないので、蛍光の褪色を抑えて良好な3次元立体像を得ることができる。
【0117】
この場合において、本実施形態に係る顕微鏡71によれば、制御装置77により可動ステージ7を駆動して、キュベット3を照明光軸Qおよび検出光軸Pに直交する所定の回転軸回りに回転させて液浸対物レンズ11に対するサンプルSの向きを反転させ、サンプルSの液浸対物レンズ11から遠かった部位を液浸対物レンズ11に近接させることで、サンプルSの略全域に亘り良好な画像を取得することができる。
【0118】
また、可動ステージ7によりチャンバ5内でキュベット3を移動させてサンプルSの観察位置を変更しても、液浸対物レンズ11とチャンバ5との隙間に配置される液浸溶液W3の量は(焦点の微調整があっても表面張力によりそのまま保持されて)変化しないので、液浸溶液W3を大量に用意したりこれを高い頻度で補給したりしなくてすみ、また液浸溶液W3の液切れも防ぐことができる。
【0119】
また、サンプルSの観察位置を変更した場合に、サンプルS内の屈折率分布に応じて液浸対物レンズ11の焦点位置にずれが生じたり、キュベット溶液W1の屈折率とチャンバ溶液W2の屈折率との僅かな相違によって液浸対物レンズ11の焦点位置にずれが生じたりしても、照準部12により、液浸対物レンズ11の検出光軸Pに沿う方向の位置を微調整するだけで焦点位置のずれを解消することができる。
【0120】
本実施形態においては、ライトシート顕微鏡を例示して説明したが、ライトフィールド顕微鏡に適用してもよい。この場合、第2実施形態と同様に、照明光学系9が、さらに、負のパワーを有するシリンドリカルレンズ43(図4参照。)を備え、シリンドリカルレンズ21とチャンバ5との間にシリンドリカルレンズ43を配置して、カメラ31の撮影光軸に沿う方向に厚さを有するレーザ光をサンプルSに入射させることとすればよい。また、撮像光学系13が、カメラ31の撮像面に像を投影させる複数のマイクロレンズ48からなるマイクロレンズアレイ47と、マイクロレンズアレイ47上に結像させる結像レンズ29A(同じく図4参照。)とを備えることとすればよい。このようにすることで、視差が異なる複数の画像情報を1度に取得することができる。
【0121】
〔第6実施形態〕
次に、本発明の第6実施形態に係る顕微鏡について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡91は、図12に示すように、発光顕微鏡を構成する点で第1から第5実施形態と異なる。
以下、第1から第5実施形態に係る顕微鏡1,41,51,61,71と構成を共通する箇所には、同一符号を付して説明を省略する。
【0122】
顕微鏡91は、キュベット3と、チャンバ5と、可動ステージ7と、サンプルSから発せられる蛍光を集光するドライ対物レンズ(対物レンズ)93と、ドライ対物レンズ93をその検出光軸Pに沿う方向に移動可能な照準部12と、ドライ対物レンズ93により集光された蛍光に基づいてサンプルSの画像を取得する撮像光学系13と、可動ステージ7等を制御する制御装置77とを備えている。
【0123】
本実施形態においては、キュベット3は、底部に蛍光を透過可能な透明部(光透過部)3bを有している。
チャンバ5は、底部に蛍光を透過可能な透明部(光透過部)5bを有している。
【0124】
ドライ対物レンズ93は、チャンバ5の外部に底部の透明部5bに近接して設けられ、透明部5bに対向して鉛直上向きに配置されている。また、ドライ対物レンズ93は、チャンバ5の底部の透明部5bとの間に、液浸溶液W3を介在させずに間隔を空けて配置されている。
撮像光学系13は、ドライ対物レンズ93により集光された蛍光を結像させる結像レンズ29と、カメラ31とを備えている。
【0125】
このように構成された顕微鏡91の作用について説明する。
本実施形態に係る顕微鏡91によりサンプルSを観察するには、まず、可動ステージ7により、サンプルSとキュベット溶液W1が収容されたキュベット3を支持してチャンバ5内のチャンバ溶液W2に浸漬し、目的の観察位置に移動させる。
【0126】
サンプルSが自己発光する蛍光の内、検出光軸Pに沿う方向に放射された蛍光は、キュベット溶液W1、キュベット3の底部の透明部3b、チャンバ溶液W2およびチャンバ5の底部の透明部5bを介してドライ対物レンズ93により集光され、結像レンズ29によりカメラ31の撮像面上に結像される。これにより、カメラ31において、サンプルSの検出光軸Pに直交する断層像が得られる。制御装置77により可動ステージ7を駆動して、チャンバ5内でキュベット3をX、Y、Z方向にそれぞれ移動させることで、サンプルSの観察位置を変更して、各観察位置の断層像を取得することができる。
【0127】
この場合において、本実施形態に係る顕微鏡91によれば、チャンバ5内でキュベット3を移動させてサンプルSの観察位置を変更した場合に、サンプルS内の屈折率分布に応じてドライ対物レンズ93の焦点位置にずれが生じたり、キュベット溶液W1の屈折率とチャンバ溶液W2の屈折率との僅かな相違によってドライ対物レンズ93の焦点位置にずれが生じたりしても、照準部12によりドライ対物レンズ93を検出光軸Pに沿う方向に微調整するだけで焦点位置のずれを解消することができる。
【0128】
したがって、サンプルS内に屈折率分布や、キュベット溶液W1の屈折率とチャンバ溶液W2の屈折率とに僅かな相違があっても、可動ステージ7を駆動して等間隔でZ方向に撮像する、スタック画像を取得する際に、僅かな焦点の微調整を行うことにより等間隔な画像を得ることができ、歪のない3次元画像を構築することができる。また、光源や照明光学系が不要となる分だけシンプルかつ安価な構成にすることができる。
【0129】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。例えば、本発明を上記各実施形態および変形例に適用したものに限定されることなく、これらの実施形態および変形例を適宜組み合わせた実施形態に適用してもよく、特に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、1方向または2方向からレーザ光をサンプルSに入射させる例を示したが、例えば、3方向以上からレーザ光をサンプルSに入射させることとしてもよい。
【0130】
また、上記各実施形態においては、キュベット溶液W1、チャンバ溶液W2、液浸溶液W3、キュベット3の透明部3bおよびチャンバ5の透明部5bが全て略同等の屈折率を有することとしたが、キュベット3の透明部3bの厚さおよびチャンバ5の透明部5bの厚さがそれぞれ一定であれば、チャンバ5内でキュベット3を移動させても、励起光および蛍光が透過するキュベット3の透明部3bおよびチャンバ5の透明部5bの屈折率は変化しないので、少なくともキュベット溶液W1とチャンバ溶液W2とが互いに略同等の屈折率を有するものであればよい。
【符号の説明】
【0131】
1,41,51,61,71,91 顕微鏡
3 キュベット(標本容器)
3a 収容部(標本収容部)
3b,5b 透明部(励起光透過部、光透過部)
5 チャンバ(媒質容器)
5a 開口部
7 可動ステージ
9 照明光学系
11 液浸対物レンズ(対物レンズ)
12 照準部
31 カメラ(撮像部)
21 シリンドリカルレンズ(レンズ)
21A,21B シリンドリカルレンズ(レンズ)
24A,24B 反射面(反射ミラー)
47 マイクロレンズアレイ
93 ドライ対物レンズ(対物レンズ)
P 検出光軸
Q 照明光軸
S サンプル(標本)
W1 キュベット溶液(第1液浸媒質)
W2 チャンバ溶液(第2液浸媒質)
W3 液浸溶液(第3液浸媒質)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12