(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記透明ドームと前記透明パイプとが接合されて形成された先端カバー内には、発光部と、第1のプリズム、第2のプリズム、および、第3のプリズムを有する照明光路偏向プリズム群を備えて構成された前記照明部と、第4のプリズム、第5のプリズム、および第6のプリズムを有する視野光路偏向プリズム群と、対物光学部材群と、撮像装置と、を備えて構成された前記撮像部とを一体に固定して構成した観察光学ユニットが配置され、
前記観察光学ユニットは、前記操作部に設けられた切換装置の操作によって、前記撮像部の観察領域と前記照明部の照明光照射領域とが同時に偏向されることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡。
前記透明ドームの基端面は、挿入部の長手軸に対して鋭角で傾斜した基端円錐面であって、前記透明パイプの先端面は、前記円錐面に密着する先端円錐面であることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。
【0016】
以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を各構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、これら各図面に記載された構成要素の数量,構成要素の形状,構成要素の大きさの比率,各構成要素の相対的な位置関係等に関し、図示の形態のみに限定されるものではない。
【0017】
図2−
図13Bを参照して本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図2を参照して本発明の内視鏡1を含む内視鏡システムの構成を説明する。
【0019】
図2に示す本実施形態の内視鏡1は、挿入部2に可撓性を有する部位を具備しない、硬性鏡,腹腔鏡,腎盂尿管鏡等、と称される医療機器である。
【0020】
内視鏡1の挿入部2は、被検体内に導入可能な形態に構成され、その挿入部2の先端部内には被写体を光学的に観察するための観察光学ユニット30が配設されている。
【0021】
なお、内視鏡1の挿入部2が導入される部位は、人体に限定されるものではなく、他の生体、あるいは、機械、建造物等の人工物であってもよい。
【0022】
図2の内視鏡システムは、例えば、内視鏡1と、外部装置であるビデオプロセッサ6、および、表示装置7、等とを備えている。内視鏡1は、硬質な挿入部2と、操作部3と、ユニバーサルコード4と、を主に備えて構成されている。ユニバーサルコード4は、操作部3の基端側より延出されており、その基端部にはコネクタ部5が設けられている。
【0023】
コネクタ部5は、ビデオプロセッサ6に対して着脱自在である。ビデオプロセッサ6の内部には例えば画像処理回路、照明光制御回路、等が備えられている。画像処理部は、内視鏡1の撮像装置53から信号ケーブル(
図6の符号54参照)を介して出力された撮像信号などを受けて映像信号を生成する。ビデオプロセッサ6は、生成した映像信号を表示装置7に出力する機能を有している。したがって、本実施形態の内視鏡システムにおいて、内視鏡1の撮像部により撮像された被検体の光学像は、内視鏡観察画像として表示装置7の画面上に表示される。
【0024】
挿入部2は、硬質部材である直管状のパイプ部材2Pによって主に構成され、操作部3の先端側より延出している。パイプ部材2Pの先端部分には光を透過する透明部材によって形成された観察窓を有する先端カバー9が設けられている。先端カバー9は、後述する第1の窓部9A、および、第2の窓部9Bを備えている。
【0025】
図2の符号a2は、挿入部2の長手軸である。符号8は、操作レバーである。本実施形態の操作レバー8は、長手軸a2に対して直立して操作部3に設けられている。操作レバー8は、操作部3を把持するユーザが観察方向(視野方向とも記載する)を変更する際に傾倒操作される。なお、観察方向の変更は、操作レバー8に限定されるものでは無く、他の切換装置であってもよい。
【0026】
図3に示す符号30は、観察光学ユニットであって、二点鎖線で示す先端カバー9内に配設されている。
【0027】
図4Aおよび
図4Bを参照して先端カバー9を説明する。
先端カバー9は、例えば
図4Aに示す例えばサファイア製の透明ドーム11と、透明パイプ21と、を備えている。透明ドーム11は、第1の窓部9Aであってパイプ部材2Pの先端側に設けられている。透明パイプ21は、第2の窓部9Bであって透明ドーム11とパイプ部材2Pとの間に設けられている。
【0028】
図4Aに示すように透明ドーム11の外表面は半球面、あるいは、予め定めた曲率の曲面である。透明パイプ21は、長手軸方向貫通孔を有し、外表面および内周面は周面である。透明ドーム11の基端部と透明パイプ21とは同一な直径Rであって、透明ドーム11の肉厚と透明パイプ21の肉厚とは同一な厚みTである。なお、透明ドーム11の外径と透明パイプ21の外径とが同一であれば、肉厚は若干異なっていてもよい。
【0029】
図4A、
図4Bに示すように透明ドーム11の基端面11rと透明パイプ21の先端面21fとは接合面として形成され、半田接合部12によって一体固定されている。一方、透明パイプ21の基端面21rと直管状のパイプ部材2Pの先端面2fとは例えば半田接合部12によって一体固定されている。この結果、挿入部2の先端側に透明パイプ21と透明ドーム11とで構成された先端カバー9が設けられる。
【0030】
なお、パイプ部材2Pの中心軸と、透明パイプ21の中心軸と、透明ドーム11の中心とは一致しており、長手軸a2である。また、本実施形態において、基端面11r、先端面21f、先端面2fは、長手軸a2に対して直交する平面である。
【0031】
図3に示す観察光学ユニット30は、被検体を照明する照明光学系である照明部40と、照明された被検体の光学像を撮像するための対物光学系である撮像部50と、を有している。すなわち、観察光学ユニット30は、照明部40で被写体を照明する一方、照明部40で照明された被写体の光学像を撮像部50で撮像する。
【0032】
照明部40は、発光部41と、照明光路偏向プリズム群42と、を主に備えている。発光部41は、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)、キセノンランプ等である。
【0033】
照明光路偏向プリズム群42は、第1のプリズム31、第2のプリズム32、第3のプリズム33を有している。発光部41は、第3のプリズム33の入射面に照明光を照射するように配置されている。符号31Fは照明光出射面である。したがって、照明部40は、発光部41から出射され照明光を照明光出射面31Fから矢印Y1に示すように観察部位である被写体に照射するようになっている。矢印Y1は照明光照射方向である。
【0034】
撮像部50は、視野光路偏向プリズム群51と、対物光学部材群52と、撮像装置53と、を主に備えている。視野光路偏向プリズム群51は、第4のプリズム34、第5のプリズム35、第6のプリズム36を有している。符号34Fは光学像入射面である。照明光によって照らされた被写体の光学像が矢印Y2に示すように光学像入射面34Fに入射する。
【0035】
撮像装置53内には撮像素子(
図6の符号55参照)が備えられている。対物光学部材群52は、複数の光学部材(不図示)を備えて構成されており、撮像素子55の撮像面に被写体の光学像を結像させる機能を有している。
【0036】
対物光学部材群52の最先端に位置する先端レンズの入射面は、第6プリズム36の出射面に対向して設けられている。したがって、撮像部50は、光学像入射面34Fに入射した光学像を対物光学部材群52を介して撮像素子55の撮像面に結像させるように構成されている。
【0037】
図5に示すように照明光路偏向プリズム群42は、被写体側から順に第1プリズム31と、第2プリズム32と、第3プリズム33と、を配置して構成されている。3つのプリズム31、32、33は、予め定めた位置に互いに近接して予め定めた状態で配置されている。
【0038】
本実施形態において発光部41から出射された照明光は、第3のプリズム33の入射面からプリズム内に入射し、その後、第3のプリズム33内の反射面で光路を折曲されて第3のプリズム33の出射面から出射される。第3のプリズム33から出射された照明光は、第2のプリズム32の入射面から入射し、第2のプリズム32内の反射面で光路を折曲されて第2のプリズム32の出射面から出射される。第2のプリズム32から出射された照明光は、第1のプリズムの入射面から入射し、第1のプリズム31内の反射面で光路を折曲された後、照明光出射面31Fから外部に向かって出射されていく。
【0039】
第1のプリズム31は、第2のプリズム32の第2光軸A32の軸周りに矢印Y3に示すように回動する構成になっている。また、第2のプリズム32は、第3のプリズム33の第3光軸A33の軸周りに矢印Y4に示すように回動する構成になっている。第2光軸A32と第3光軸A33とは直交した位置関係である。
【0040】
一方、視野光路偏向プリズム群51は、被写体側から順に第4プリズム34と、第5プリズム35と、第6プリズム36と、を配置して構成されている。3つのプリズム34、35、36は、予め定めた位置に互いに近接して予め定めた状態で配置されている。
【0041】
対物光学部材群52は、被写体の光学像を撮像素子の撮像面に結像させるため内部に図示されていない複数の光学レンズと、複数の絞り、間隔環等の光学部材を備えている。撮像素子55は、CCD、C−MOS等の固体撮像素子である。
【0042】
本実施形態において、第4のプリズム34の光学像入射面34Fからプリズム内に入射した被写体の光学像は、第4のプリズム34内の反射面で光路を折曲されて第4のプリズム34の出射面から出射される。第4のプリズム34から出射された光学像は、第5のプリズム35の入射面から入射し、第5のプリズム35内の反射面で光路を折曲されて第5のプリズム35の出射面から出射される。第5のプリズム35から出射された光学像は、第6のプリズム36の入射面から入射し、第6のプリズム36内の反射面で光路を折曲されて第6のプリズム36の出射面から出射される。
【0043】
第6のプリズム36から出射された光学像は、対物光学部材群52の先端レンズの入射面から対物光学部材群52に出射され当該対物光学部材群52内の光学レンズを通過して撮像装置53内に設けられた撮像素子55の撮像面に結像される。
【0044】
なお、第4のプリズム34は、第5のプリズム35の第5光軸A35の軸周りに矢印Y5に示すように回動する構成になっている。また、第5のプリズム35は、第6のプリズム36の第6光軸A36の軸周りに矢印Y6に示すように回動する構成になっている。第5光軸A35と第6光軸A36とは直交した位置関係である。
【0045】
ここで、
図6−
図8を参照して観察光学ユニット30と操作レバー8との関係を説明する。
【0046】
まず、
図6を参照して撮像部50と操作レバー8との関係を説明する。
【0047】
操作レバー8は、傾倒操作可能に構成されている。したがって、操作レバー8の先端8aの軌跡は、挿入部2の長手軸a2に沿った前後方向、挿入部2の長手軸a2に対して直交する直交軸に沿った左右方向、を含む全方向である。
【0048】
本実施形態において操作レバー8の先端8aを挿入部2の長手軸a2に沿わせて前方である挿入部方向(矢印U方向)に傾倒操作したとき、撮像部50の視野方向である第4のプリズム34の光学像入射面34Fの向きが矢印Y6のUa方向である上方向に変化する構成になっている。そして、操作レバー8を長手軸a2に沿って逆方向である矢印D方向に傾倒操作したとき、視野方向が矢印Y6のDa方向である下方向に変化する。
【0049】
なお、操作レバー8の先端8aを長手軸a2の直交軸に沿わせて矢印R方向に傾倒操作したとき、視野方向は矢印Y5のRa方向である右方向に変化し、逆方向である矢印L方向に傾倒操作したとき視野方向が矢印Y5のLa方向である左方向に変化する。
【0050】
また、操作レバー8を各矢印(U,D,L,R)の中間の方向に傾倒操作したとき、視野方向が傾倒操作に対応する中間方向に変化する。そして、上下左右の各方向は、画面の上下左右方向に一致するように規定されている。
【0051】
図6の符号60は、観察方向偏向機構60である。観察方向偏向機構60は、操作レバー8と撮像部50との間に設けられている。観察方向偏向機構60は、第4のプリズム34の光学像入射面34Fの向きである視野方向を変更するための機構である。
【0052】
ここで、観察方向偏向機構60について説明する。
【0053】
なお、
図6においては挿入部2の先端部分の内部構成部材のうち観察方向偏向機構60に関連する構成部材を取り出してその概略構成を概念的に示している。したがって、挿入部2を構成するパイプ部材、先端カバー9等の構成部材の図示を省略し、その説明も省略している。
【0054】
観察方向偏向機構60は、操作レバー8と、動作変換装置61と、第1視野方向偏向部材62と、第2視野方向偏向部材63と、によって主に構成されている。
【0055】
ここで、上述した第4のプリズム34の第5光軸A35に対して回転自在な構成と、第4のプリズム34が一体である状態の第5プリズム35の第6光軸A36に対して回転自在な構成とを説明する。
【0056】
符号34mは第4支持台であり平板である。第4支持台34mは、第4のプリズム34の出射面に固設されている。符号35mは第5支持台であり例えばL字形状である。第5支持台35mは、第5のプリズム35の入射面および出射面に固設されている。符号36mは第6支持台であり例えばL字形状である。第6支持台36mは、第6のプリズム36の入射面および出射面に固設されている。符号64は第1回転支持部、符号65は第2回転支持部である。第4支持台34m、第5支持台35m、第6支持台36mの予め定めた位置には予め定めた内径の通過孔が形成されている。
【0057】
第1回転支持部64は、一端面側が第4のプリズム34の第4支持台34mに固定され、他端面側が第5のプリズム35側の第5支持台35mの入射面側に対して回転自在に軸支されている。この構成により、第4のプリズム34は、第5のプリズム35の第5光軸A35に対して回転自在である。
【0058】
第2回転支持部65は、一端面側が第6のプリズム36側の第6支持台36の入射面側に固定され、他端面側が第5のプリズム35側の第5支持台35mの出射面側に対して回転自在に軸支されている。この構成により、第4のプリズム34が一体である状態の第5プリズム35は、第2回転支持部65によって第6のプリズム36の第6光軸A36に対して回転自在である。
【0059】
第1回転支持部64、第2回転支持部65の予め定めた位置には予め定めた内径の通過孔が形成されている。
【0060】
上述した視野方向偏向部材はワイヤである。したがって、以下の説明において第1視野方向偏向部材62を第1ワイヤ62と記載し、第2視野方向偏向部材63を第2ワイヤ63と記載する。
【0061】
なお、
図6においては光学像入射面34Fを第5軸A35まわりに矢印Ra方向に回転させる機構、および、光学像入射面34Fを第6軸A36まわりに矢印Ua方向に回転させる機構を説明する。そのため、光学像入射面34Fを第5軸A35まわりに矢印La方向に回転させる機構、および、光学像入射面34Fを第6軸A36まわりに矢印Da方向に回転させる機構について図示を省略している。すなわち、第1ワイヤ62は右方向用第1ワイヤであって、左方向用第1ワイヤ、左方向用周溝は不図示である。一方、第2ワイヤ63は、上方向用第2ワイヤであって、下方向用第2ワイヤは不図示である。
【0062】
操作レバー8は、上述したように傾倒自在であって、操作部3の鉛直軸Vに沿って直立している。この直立状態のとき、内視鏡1の視野方向である光学像入射面34Fは、長手軸a2の先端方向である前方正面を向いている。つまり、操作レバー8が直立状態のとき、長手軸a2は、光学像入射面34Fに対して直角な位置関係である。
【0063】
動作変換装置61は、操作レバー8の傾倒動作を受けて、当該動作を複数の出力に分解する。動作変換装置61によって分解された各出力は、各ワイヤ62、63に伝達される。したがって、それぞれの第1ワイヤ62の一端とそれぞれの第2ワイヤ63の一端とは動作変換装置61の予め定めた位置に接続されている。第1ワイヤ62、および、第2ワイヤ63は、矢印Y7に示すように長手軸a2の方向に進退自在である。
【0064】
図7、
図8に示すように第1ワイヤ62の他端は、ガイドコイル69内から導出されて第1固定板66aの貫通孔66hに挿通されている。貫通孔66hを通過した第1ワイヤ62の他端には丸形端子68が固設されている。
【0065】
第1固定板66aは、第1ワイヤ62の牽引方向を規定するため、第5プリズム支持台35mに固定されている。貫通孔66hを通過した第1ワイヤ62は、第1回転支持部64に巻回されて進行方向を反転された後、丸形端子68が第1付勢ばね67aの一端に取り付けられる。第1付勢ばね67aは、引張コイルバネであって予め定めた付勢力を有し、その他端は第1固定板66aに取り付けられている。
【0066】
第1回転支持部64の外周面には周溝64gが形成されている。周溝64g内には第1ワイヤ62が巻回して配置されている。そして、
図8に示すように第1ワイヤ62の中途部は、固定部材70によって第1回転支持部64の周溝64g内の予め定めた位置に固定される。
【0067】
図8で示した固定位置は、操作レバー8が操作部3に対して直立状態のときの位置であって、第1回転支持部64の中心64cと固定部材70とを結ぶ二点鎖線に示す仮想線L71が長手軸a2と平行になるように設定してある。そして、固定部材70の位置は、矢印Y8の8a方向、あるいは、その逆方向に変化可能である。
【0068】
具体的に、ユーザが操作レバー8をR方向に傾倒操作すると、第1ワイヤ62が
図7、
図8の矢印Y7の7a方向に牽引される。すると、第1ワイヤ62の牽引に伴って固定部材70の位置が矢印Y8の8a方向に移動していく。この結果、第1回転支持部64が時計回りに回転して、第4のプリズム34が矢印Y5のRa方向に回転されて視野方向が前方正面から右方向に変更されていく。このとき、第1付勢バネ67aは、付勢力に抗して徐々に伸張されていく。
【0069】
そして、ユーザがR方向に傾倒させた操作レバー8を直立状態に戻していくと、第1付勢バネ67aの付勢力によって固定部材70の位置が矢印Y8の8a方向とは逆方向に移動されて第1回転支持部64が反時計回りに回転する。すると、第4のプリズム34が矢印Y5のLa方向に回転されて視野方向が元の前方正面に戻されていく。
【0070】
なお、ユーザが操作レバー8をL方向に傾倒操作すると、図示は省略しているが左方向用第1ワイヤが
図7、
図8の矢印Y7の7a方向に牽引される。すると、左方向用第1ワイヤの牽引に伴って左方向用周溝(不図示)に固定された固定部材70の位置が矢印Y8の8a方向とは逆方向に移動していく。つまり、上述とは逆に第1回転支持部64が反時計回りに回転して、第4のプリズム34が矢印Y5のLa方向に回転されて視野方向が前方正面から左方向に変更されていく。このとき、左方向用第1付勢バネは、付勢力に抗して徐々に伸張されていく。
【0071】
そして、ユーザがL方向に傾倒させた操作レバー8を直立状態に戻していくと、左方向用第1付勢バネの付勢力によって固定部材70の位置が矢印Y8の8a方向に移動されて第1回転支持部64が時計回りに回転して第4のプリズム34の視野方向が元の前方正面に戻されていく。
【0072】
一方、第2ワイヤ63の他端は、ガイドコイル69から導出されて第2固定板66bの貫通孔66hに挿通されている。貫通孔66hを通過した第2ワイヤ63の他端には丸形端子68が設けられている。
【0073】
貫通孔66hを通過した第2ワイヤ63は、第2回転支持部65の周溝65gに巻回されて進行方向を反転された後、丸形端子68が第2付勢ばね67bの一端に取り付けられる。第2付勢ばね67bも引張コイルバネであって予め定めた付勢力を有し、その他端は第2固定板66bに取り付けられている。第2固定板66bは、第2ワイヤ63の牽引方向を規定するため、挿入部2を構成する図示されていないパイプ部材内に固定されている。
【0074】
第2ワイヤ63の中途部は、
図8に示すように固定部材70によって第2回転支持部65の周溝65g内の予め定めた位置に固定されている。この固定位置は、操作レバー8が操作部3に対して直立状態のときの位置であって、第2回転支持部65の中心65cと固定部材70とを結ぶ仮想線L71が長手軸a2と平行になるように設定してある。そして、固定部材70の位置は、矢印Y8の8a方向、あるいは、その逆方向に変化可能である。
【0075】
具体的に、ユーザが操作レバー8をU方向に傾倒操作すると、第2ワイヤ63が
図7、
図8の矢印Y7の7a方向に牽引される。すると、第2ワイヤ63の牽引に伴って固定部材70の位置が矢印Y8の8a方向に移動していく。この結果、第2回転支持部65が時計回りに回転して、第5のプリズム35が矢印Y6のUa方向に回転されて該第5のプリズム35に一体な第4のプリズム34の視野方向が前方正面から上方向変更されていく。このとき、第2付勢バネ67bは、付勢力に抗して徐々に伸張されていく。
【0076】
そして、ユーザーがU方向に傾倒させた操作レバー8を直立状態に戻していくと、第2付勢バネ67bの付勢力によって固定部材70の位置が矢印Y8の8a方向とは逆方向に移動されて第2回転支持部65が反時計回りに回転する。すると、第5のプリズム35が矢印Y6のDa方向に回転されて視野方向が元の前方正面に戻されていく。
【0077】
なお、ユーザが操作レバー8をD方向に傾倒操作すると、図示は省略しているが下方向用第2ワイヤが
図7、
図8の矢印Y7の7a方向に牽引される。すると、下方向用第2ワイヤの牽引に伴って下方向用周溝(不図示)に固定された固定部材70の位置が矢印Y8の8a方向とは逆方向に移動していく。つまり、上述とは逆に第2回転支持部65が反時計回りに回転して、第5のプリズム35が矢印Y6のDa方向に回転されて該第5のプリズム35に一体な第4のプリズム34が矢印Y5のDa方向に回転して視野方向が前方正面から下方向に変更されていく。このとき、下方向用第2付勢バネは、付勢力に抗して徐々に伸張されていく。
【0078】
そして、ユーザがD方向に傾倒させた操作レバー8を直立状態に戻していくと、下方向用第2付勢バネの付勢力によって固定部材70の位置が矢印Y8の8a方向に移動されて第2回転支持部65が時計回りに回転して第5のプリズム35が矢印Y6のUa方向に回転されて該第5のプリズム35に一体な第4のプリズム34の視野方向が元の前方正面に戻されていく。
【0079】
上述したように動作するように構成されている撮像部50は、照明部40と一体的に固定されて観察光学ユニット30を構成する。具体的に、
図5の矢印Y9に示すように撮像部50が有する第5のプリズム35の一面である反射面裏面に対して照明部40が有する第2のプリズム32の一面である反射面裏面が一体に固定される。固定時、照明部40の第2光軸A32と撮像部50の第5光軸A35とが同軸になるように軸合わせされる。
【0080】
この結果、
図9に示すように軸合わせされた第2光軸A32と第5光軸A35とは1つの軸、第1の視野方向偏向軸A37として構成される。
【0081】
なお、本実施形態においては、第3光軸A33と第6光軸A36とが1つの軸、第2の視野方向偏向軸A38として構成されている。また、観察光学ユニット30は、撮像部50の対物光学部材群52を構成する対物枠(不図示)を撮像部固定部材39を介して挿入部2を構成するパイプ部材内に固定して、先端カバー9内の予め定めた位置に固設されている。
【0082】
そして、第1の視野方向偏向軸A37と第2の視野方向偏向軸A38とは直交した位置関係になっている。
【0083】
このように構成された観察光学ユニット30によれば、ユーザが直立状態の操作レバー8をR方向に傾倒操作した際第1ワイヤ52が牽引されて第4のプリズム34の光学像入射面34Fが回転されると共に撮像部50に一体な照明部40の第1のプリズム31の照明光出射面31Fが回転される。つまり、
図10Aに示すように第4のプリズム34の光学像入射面34Fと第1のプリズム31の照明光出射面31Fとが同時に第1の視野方向偏向軸A37の軸周りに矢印Ra方向に偏向される。
【0084】
一方、操作レバー8をU方向に傾倒させた場合には、第2ワイヤ63が牽引されて、第4のプリズム34の光学像入射面34Fと第1のプリズム31の照明光出射面31Fとが同時に、
図10Cに示すように第2の視野方向偏向軸A38のまわりに矢印Ua方向に偏向される。
【0085】
なお、直立状態の操作レバー8をL方向に傾倒させたときには不図示の左方向用第1ワイヤが牽引されて、
図10Bに示すように第4のプリズム34の光学像入射面34Fと第1のプリズム31の照明光出射面31Fとが同時に第1の視野方向偏向軸A37の軸周りに矢印La方向に偏向される。また、操作レバー8をD方向に傾倒させたときには不図示の下方向用第2ワイヤが牽引されて、
図10Dに示すように第4のプリズム34の光学像入射面34Fと第1のプリズム31の照明光出射面31Fとを同時に第2の視野方向偏向軸A38の軸周りに矢印Da方向に偏向される。加えて、操作レバー8を例えばR方向とU方向との中間方向に傾倒させたときには第1ワイヤ62と第2ワイヤ63とがそれぞれ牽引されて第4のプリズム34の光学像入射面34Fと第1のプリズム31の照明光出射面31Fとが同時に、
図10Aに示した矢印Ra方向と
図10Cに示した矢印Ua方向との中間方向に偏向される。
【0086】
上述した内視鏡1によれば、操作レバー8を所望する方向に傾倒操作することによって、撮像部50の視野方向Y10を偏向することができると共に、撮像部50の視野方向Y10の偏向に連動させて照明部40の照明光照射方向Y1を偏向することができる。
【0087】
したがって、観察光学ユニット30においては、撮像部50の視野方向Y10に対して確実に照明部40の照明光を照射して内視鏡観察を行える。
【0088】
図11A、
図11Bに示すように本実施形態において、観察光学ユニット30は、先端カバー9内に配設される。具体的に、
図11Aに示すように観察光学ユニット30の第1の視野方向偏向軸A37は、透明ドーム11の中心11cを通過するように配置され、
図11Bに示すように観察光学ユニット30の第2の視野方向偏向軸A38は透明ドーム11の中心11cを通過するように配置されている。
【0089】
図11B中の符号OAは観察領域であって、符号aOで示した視野中心軸を中心に拡がる予め定めた視野角に設定された二点鎖線に挟まれた扇形状範囲内である。符号IAは照射光照射領域であって、符号aIで示した照明光中心軸を中心に拡がる予め定めた照射角に設定された破線で挟まれた扇形状範囲内である。
【0090】
なお、他の図中において視野中心軸aOは、視野方向Y10に一致し、照明光中心軸aIは照明光照射方向Y1に一致している。このため、図中に軸aOの記載および軸aIの記載を省略はしている。
【0091】
透明パイプ21の長さは、撮像部50の観察領域OAおよび照明部40の照明光照射領域IAがパイプ部材2Pによって遮られることが無いようにその長さが予め定め設定されている。
【0092】
図12A、
図12Bに示すように本実施形態において左右方向への観察領域OAは、透明ドーム11の透過範囲内であり、照明領域IAは透明ドーム11と透明パイプ21とを合わせた透過範囲内である。一方、
図13A、
図13Bに示すように本実施形態において上下方向への観察領域OAは、透明ドーム11と透明パイプ21とを合わせた透過範囲内であり、照明領域IAは透明ドーム11と透明パイプ21とを合わせた透過範囲内である。
【0093】
内視鏡1には上述した構成の観察光学ユニット30が上述した先端カバー9内に配設されている。したがって、ユーザが例えば操作レバー8をR方向に傾倒操作した際、第4のプリズム34の光学像入射面34Fを矢印Ra方向に回転させることができると共に撮像部50に一体な照明部40の第1のプリズム31の照明光出射面31Fを矢印Ra方向に回転させることができる。
【0094】
この結果、
図12Aに示すように第4のプリズム34の視野方向Y10と第1のプリズム31の照明光照射方向Y1とが同時に透明ドーム11の中心11cに対して矢印Ra方向に偏向される。
【0095】
一方、ユーザが操作レバー8をL方向に傾倒操作した際には
図12Bに示すように第4のプリズム34の視野方向Y10と第1のプリズム31の照明光照射方向Y1とが同時に透明ドーム11の中心11cに対して矢印La方向に偏向される。
【0096】
加えて、観察光学ユニット30は、ユーザが例えば操作レバー8をU方向に傾倒操作した際、第4のプリズム34の光学像入射面34Fを矢印Ua方向に回転させることができると共に撮像部50に一体な照明部40の第1のプリズム31の照明光出射面31Fを矢印Ua方向に回転させることができる。
【0097】
この結果、
図13Aに示すように第4のプリズム34の視野方向Y10と第1のプリズム31の照明光照射方向Y1とが同時に透明ドーム11の中心11cに対して矢印Ua方向に偏向される。
【0098】
一方、ユーザが操作レバー8をD方向に傾倒操作した際には
図13Bに示すように第4のプリズム34の視野方向Y10と第1のプリズム31の照明光照射方向Y1とが同時に透明ドーム11の中心11cに対して矢印Da方向に偏向される。
【0099】
つまり、上述した構成の内視鏡1によれば、ユーザによる操作レバー8の上下左右方向、或いはその中間方向への傾倒操作によって、撮像部50の観察領域OAおよび照明部40の照明光照射領域IAを透明ドーム11の中心11cに対して同時に全方向、すなわち、上方向、右方向、下方向、左方向に加えて、上方向と右方向との中間の方向、右方向と下方向との中間の方向、下方向と左方向との中間の方向、および左方向と上方向との中間の方向に偏向することができる。
【0100】
そして、観察光学ユニット30を構成する第1のプリズム31の照明光出射面31Fから出射された照明光は、透明ドーム11および透明パイプ21を透過して被写体に向けて照射される。一方、照明光によって照らされた被写体の光学像は、透明ドーム11および透明パイプ21を通過して撮像素子55によって撮像されて該被写体の光学像が表示装置7の画面上に表示される。
【0101】
このように、パイプ部材2Pの先端面に透明パイプ21と透明ドーム11とを接合した先端カバー9を構成し、透明ドーム11の中心11cを通過するように観察光学ユニット30の第1の視野方向偏向軸A37と第2の視野方向偏向軸A38とを配設している。
【0102】
また、撮像部50の観察領域OAおよび照明部40の照明光照射領域IAがパイプ部材2Pによって遮られることが無いように予め透明パイプ21の長さを設定している。
【0103】
この構成によれば、ユーザが操作レバー8をD方向に傾倒操作して第4のプリズム34の視野方向Y10と第1のプリズム31の照明光照射方向Y1とを同時に透明ドーム11の中心11cに対して矢印Da方向に偏向させた際、照明光が2Pによって遮断されること無く被写体を照らして良好な内視鏡観察画像を得て内視鏡観察を行うことができる。
【0104】
なお、上述した実施形態において、先端カバー9を構成する透明ドーム11の基端面11r、および、透明パイプ21の先端面21fを長手軸a2に対して直交する平面としている。そして、上記
図13Bに示すように半田接合部12が照明領域IA内に位置している。
【0105】
このため、半田接合部12が被写体上で影となって内視鏡観察画像中において帯状画像として表示されてユーザに違和感を与えるおそれがある。
【0106】
この不具合を解消するため、
図14Aおよび
図14Bのカバー91に示すように半田接合部12aが照明光照射方向Y1に一致する円錐面とするようにしてもよい。
【0107】
つまり、透明ドーム11Aに基端円錐面11bを設け、透明パイプ21Aに基端円錐面11bに密着して配置される先端円錐面21bを設け、基端円錐面11bと先端円錐面21bとは接合面として形成している。そして、透明ドーム11Aの基端円錐面11bと透明パイプ21Aの先端円錐面21bとを半田接合によって一体に固定して先端カバー91を構成する。
【0108】
ここで、基端円錐面11bと先端円錐面21bとを接合する半田接合部12aの角度は、角度θであり、長手軸a2に対して鋭角である。また、角度θは、第2の視野方向偏向軸A38に対して回転された第1のプリズム31の照明光照射方向Y1を考慮して設定する。本実施形態においては、下方向に最大角度偏向させた際、照明光照射方向Y1と半田接合部12aとが一致する。
【0109】
先端カバー91を有する内視鏡1において、
図14Bに示すように観察光学ユニット30の第2の視野方向偏向軸A38は、透明ドーム11Aの中心11cを通過するように配置されている。また、図示は省略しているが観察光学ユニット30の第1の視野方向偏向軸A37も透明ドーム11Aの中心11cを通過するように配置されている。
【0110】
この構成によれば、ユーザが操作レバー8をD方向に傾倒操作して第4のプリズム34の視野方向Y10と第1のプリズム31の照明光照射方向Y1とが同時に透明ドーム11の中心11cに対して矢印Da方向に角度θに偏向させた際、照明光照射方向Y1と半田接合部12aとが一致する。
【0111】
このとき、半田接合部12aの被写体上の影は、内視鏡観察画像中において線状になる。すなわち、被写体は、半田接合部12aの影によって大きく遮られることなく良好な観察を行うことができる。
【0112】
このように、先端カバー91を構成する透明ドーム11Aの基端面を予め定ため角度θの斜面とし、透明パイプ21Aの先端面を予め定めた角度θの斜面として該パイプ21Aと該ドーム11Aとを半田接合する。この結果、遮光部と成り得る半田接合部12aが内視鏡観察画像中において帯状に表示されることなく下方向最大偏向角度に到達したとき遮蔽幅が小さな線状に表示されて安定した内視鏡観察画像を得ることができる。
【0113】
また、上述した実施形態において、透明パイプ21の基端面21r、および、パイプ部材2Pの先端面2fを長手軸a2に対して直交する平面としている。しかし、
図15に示す先端段差面を設けてパイプ部材2Paを構成するようにしてもよい。
【0114】
パイプ部材2Paの先端側には、当接面2fbと嵌合面2fcとを有する段差面が設けられている。当接面2fbは、透明パイプ21の基端面21rに当接して配置される。嵌合面2fcには透明パイプ21の基端部内周面が外嵌する。そして、透明パイプ21の基端面21rおよび基端部内周面とパイプ部材2Paの当接面2fbおよび嵌合面2fcとは接着剤を塗布して構成され接合部12bによって一体的に固定される。
【0115】
嵌合面2fcの面積は、所望する接着固定強度を得られるように設定してある。また、嵌合面2fcの当接面2fbからの突出長さは、撮像部50の観察領域OAおよび照明部40の照明光照射領域IAがパイプ部材2Paによって遮られることが無いように設定してある。
【0116】
なお、符号2fdはテーパー面である。テーパー面2fdは、内視鏡内蔵物が接合部12b近傍で傷付けられることを防止している。テーパー面2fdを設ける代わりに嵌合面2fcの最先端に曲線形状の面取りを設けて内視鏡内蔵物が接合部近傍で傷付けられることを防止するようにしてもよい。
【0117】
上述したように、パイプ部材2Paの先端部に嵌合面2fcと当接面2fbとを有する先端段差面を形成する。このことによって、接着剤を先端段差面に塗布した状態で透明パイプ21とパイプ部材2Paとの位置合わせを容易に行うことができるとともに、透明パイプ21とパイプ部材2Paとを確実に接着固定することができる。
【0118】
また、上述した実施形態においては、第2の窓部9Bを透明パイプ21としている。しかし、第2の窓部9Bは透明パイプに限定されるものでは無く、
図16A、
図16Bに示す透明部材22であってもよい。
【0119】
図16A、
図16Bに示す挿入部2は、パイプ部材2Pbの先端側に先端カバー92を設けて構成されている。先端カバー92は、透明ドーム11と透明部材22とで構成されている。透明ドーム11および透明部材22は、例えばサファイア製である。透明部材22は第2の窓部9Bである。
【0120】
パイプ部材2Pbは、先端側端部の一部である予め定めた位置である例えば下方向に切欠2Pbcを有している。切欠2Pbcは、透明部材22を配置するための予め定めた形状に形作られた凹部であって、切欠2Pbcと透明部材22との対向する端面同士が半田によって接合されてパイプ部材2Pbに対して一体になる。
【0121】
透明部材22は、透明ドーム11と同一な直径Rの外周面を有し、透明部材22の肉厚と透明ドーム11の肉厚とは同一な厚みT、あるいは、若干異なる厚みである。したがって、透明部材22の外周面とパイプ部材2Pbの外周面、および、透明部材22の内周面とパイプ部材2Pbの内周面とは同一な周面になっている。
【0122】
透明部材22が半田接合されたパイプ部材2Pbと、透明ドーム11と、は半田接合によって一体に固定される。つまり、透明ドーム11の基端面11rに対してパイプ部材2Pbの先端面2Pfおよび透明部材22の先端面22fは接合面として形成され、基端面11rと先端面2Pf及び先端面22fとが半田によって接合されて先端カバー92が構成されている。
【0123】
図16Cに示すように観察光学ユニット30は、先端カバー92内に回動自在に配置される。観察光学ユニット30の第2の視野方向偏向軸A38と第1の視野方向偏向軸A37とは透明ドーム11Aの中心11cを通過して配置されている。
【0124】
撮像部50の観察領域OAは、観察光学ユニット30を上方向最大偏向角度位置まで移動させたとき、パイプ部材2Pbによって遮られることが無いように、図中の二点鎖線で示す観察領域OAが透明ドーム11Aの透過範囲内となるように設定されている。
【0125】
これに対して、観察光学ユニット30を下方向最大偏向角度位置まで移動させたとき、照明部40の照明光照射領域IAが図中の破線で示すように透明ドーム11Aと透明部材22とを合わせた透過範囲内となるように設定されている。
【0126】
なお、図示は省略しているが撮像部50を左方向最大偏向角度位置、あるいは、右方向最大偏向角度位置まで移動させたとき、撮像部50の観察領域OAは透明ドーム11Aの透過範囲内となるように設定してある。この結果、半田接合部12が内視鏡観察画像中において帯状画像として表示されることが防止されている。
【0127】
このように、先端カバー92を透明ドーム11と、パイプ部材2Pbの一部であって予め定めた位置に設けた透明部材22と、で構成する。そして、観察光学ユニット30の第1の視野方向偏向軸A37および第2の視野方向偏向軸A38が透明ドーム11の中心11cを通過するように該光学ユニット30を先端カバー92内に配設する。そして、観察光学ユニット30の上下左右の最大偏向角度位置を所望する位置となるように設定して最大視野範囲および最大光照射範囲を適宜設定する。
【0128】
この結果、操作レバー8を上下左右方向に傾倒操作して観察領域OAおよび照明光照射領域IAを同時に偏向させた際、観察領域OAがパイプ部材2Pbによって遮られる不具合、および、照明光照射領域IAがパイプ部材2Pbによって遮られる不具合無くして良好な内視鏡観察画像を得ることができる。
【0129】
また、上述した実施形態においては、切欠2Pbcと透明部材22との対向する端面同士を半田接合するとしている。しかし、
図17A、
図17Bに示すようにパイプ部材2Pbの切欠2Pbcの端面に庇22dを設けるようにしてもよい。透明部材22は、図庇22dの外方側面上に載置され、この載置状態において、透明部材22を切欠2Pbcの庇22d上に半田接合される。
【0130】
この構成によれば、透明部材22をパイプ部材2Pbに半田接合する際、透明部材22を庇22d上に載置することが可能になって半田作業性を大幅に向上させて半田接合をより確実に行うことができる。
【0131】
なお、庇22dの突出長は、撮像部50の観察領域OAおよび照明部40の照明光照射領域IAを遮ることが無いようにその長さが設定される。
【0132】
なお、
図18Aに示すように挿入部2Aを構成するようにしてもよい。
【0133】
図18Aに示すように挿入部2Aは、パイプ部材2Pcと先端カバー93とで構成されている。先端カバー93は第1の窓部9Aを構成する透明ドーム11と、第2の窓部9Bを構成する透明パイプ21と、を備えている。
【0134】
図18A−
図18Cに示すように本実施形態において、パイプ部材2Pcには凹部23と、露出用切欠24とが設けられている。凹部23は、透明パイプ21を配設するための穴である。凹部23のパイプ部材2Pの先端面2Pfから底面23aまでは、予め定めた深さに設定されており、透明パイプ21の長さより大きい。したがって、透明パイプ21は、凹部23内に収納される。そして、透明パイプ21が収納された凹部23内に透明ドーム11の一部分である基端側部11dが配設される。
【0135】
露出用切欠24は、予め定めた位置である例えば下方向に予め定めた形状に形作られている。露出用切欠24は、凹部23内に収容された透明パイプ21の予め定めた下方向側の一部分と、透明ドーム11の基端側部の予め定めた下方向部分とが露出させる。
【0136】
このように、パイプ部材2Pcに凹部23を形成すると共に露出用切り欠き24を形成する。このことによって、透明パイプ21を凹部23内に配置することによって透明パイプ21の所望する部位が切欠によって露出された状態することができる。
【0137】
また、透明パイプ21を凹部23内に配置する際、凹部23の内面に接着剤を塗布しておくことによって、透明パイプ21をパイプ部材2Pcの先端側に接着によって強固に一体的に固定することができる。言い換えれば、透明パイプ21を半田接合すること無くパイプ部材2Pcに一体固定できるので作業性の向上を図れる。
【0138】
また、透明パイプ21は、外径部がパイプ部材で覆われているため、外部からの力、衝撃に対して保護される。このため、透明パイプの薄肉化が可能である。なお、当然ながら半田接合による固定であってもよい。
【0139】
また、透明パイプ21をパイプ部材2Pcの凹部23内に固定したうえで、透明ドーム11を透明パイプ21の先端側の凹部23内に配置させる。このことによって、透明ドーム11をパイプ部材2Pに安定した状態で配置させることができる。加えて、凹部23内に透明ドーム11を配置した状態において、透明ドーム11の基端面11rと透明パイプ21の先端面21fとの半田接合を速やかにかつ確実に行って先端カバー93を構成することができる。
【0140】
なお、上述した基端面11rと先端面21fとは長手軸a2に対して直交する平面であった。つまり、透明ドーム11と透明パイプ21とは
図19の長手軸a2に対して直交する面を形成する破線に示すカットラインCL1を有している。本実施形態においては、透明ドーム11Dと透明パイプ21Dとは実線に示すように長手軸a2に対して傾いた斜面を形成するカットラインCL2を有している。
【0141】
つまり、先端カバー94を構成する透明ドーム11Dは、基端斜面11fを有し、透明パイプ21Dは先端斜面21fを有し、基端斜面11fと先端斜面21fとは接合面として形成されている。
【0142】
この構成によれば、透明パイプ21Dの先端位置を図中上側と下側とで距離d分変化させて、上方向観察と下方向観察とで視野可変範囲の割合を変更することができる。
【0143】
すなわち、透明ドーム11Dと透明パイプ21DとにカットラインCL2を適宜設けることよって観察用途に合わせて視野可変範囲を最適化することができる。
【0144】
また、上述した先端カバーをサファイア製の第1の窓部9Aと第2の窓部9Bとで構成するとしている。しかし、サファイアと略同等の光学特性および剛性を有する樹脂成形部材で第1の窓部9Aと第2の窓部9Bとが一体な先端カバーを構成するようにしてもよい。
【0145】
なお、上述した実施形態においては、操作レバー8の操作によって、第4のプリズム34の光学像入射面34Fと第1のプリズム31の照明光出射面31Fとが同時に、2つの軸である第1の視野方向偏向軸A37の軸周り、あるいは、第2の視野方向偏向軸A38の軸周りに回動するとしている。しかし、内視鏡1は、第4のプリズム34の光学像入射面34Fと第1のプリズム31の照明光出射面31Fとが同時に2つのうちの1つの軸である第2の視野方向偏向軸A38まわりに回転する構成であってもよい。
【0146】
以上の各実施の形態に記載した発明は、その実施の形態、及び変形例に限ることなく、その他、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々の変形を実施し得ることが可能である。