特許第6833615号(P6833615)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833615
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】内視鏡システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20210215BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   A61B1/00 735
   G02B23/24 A
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-105553(P2017-105553)
(22)【出願日】2017年5月29日
(65)【公開番号】特開2018-198854(P2018-198854A)
(43)【公開日】2018年12月20日
【審査請求日】2020年4月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】特許業務法人イトーシン国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076233
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 進
(74)【代理人】
【識別番号】100101661
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 靖
(74)【代理人】
【識別番号】100135932
【弁理士】
【氏名又は名称】篠浦 治
(72)【発明者】
【氏名】榎本 健悟
【審査官】 右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000-47118(JP,A)
【文献】 特開2005-12999(JP,A)
【文献】 特開2010-63305(JP,A)
【文献】 特開2014-147188(JP,A)
【文献】 特開2017-158410(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B1
H02N2
H02P
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体内を観察する内視鏡と、
前記内視鏡内の光学部材を駆動するためのアクチュエータと、
前記アクチュエータに電流を供給して駆動するアクチュエータ駆動回路と、
前記アクチュエータへの電流の供給ラインに流れる電流を検出する電流検出回路と、
前記アクチュエータ駆動回路による前記アクチュエータの駆動時と非駆動時とで、前記電流検出回路における電流検出の閾値を変化させる制御回路とを有することを特徴とする内視鏡システム。
【請求項2】
前記制御回路は、前記駆動時において動作モード毎に前記電流検出回路における電流検出の閾値を変化させることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項3】
前記制御回路は、前記光学部材を移動させるための第1の動作モードにおける閾値よりも前記第1の動作モードにおいて移動した前記光学部材の位置を維持するための第2の動作モードにおける閾値を低くすることを特徴とする請求項2に記載の内視鏡システム。
【請求項4】
前記制御回路は、前記駆動時における前記閾値として上限値及び下限値を設定するとともに、前記非駆動時における前記閾値として上限値を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の内視鏡システム。
【請求項5】
前記アクチュエータ駆動回路、前記電流検出回路及び前記制御回路は、前記内視鏡からの内視鏡画像処理するビデオプロセッサ内に設けられることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【請求項6】
前記アクチュエータ駆動回路、前記電流検出回路及び前記制御回路は、前記内視鏡内に設けられることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡挿入部に設けられたレンズの駆動に好適な内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、内視鏡は、例えば医療分野、工業分野など、様々な分野において用いられている。例えば、医療分野における内視鏡は、体腔内の臓器の観察、処置具を用いての治療処置、内視鏡観察下における外科手術などに用いられる。
【0003】
このような内視鏡として、被検体を撮像する撮像部を備えたものもある。被検体からの光学像は、挿入部に設けた光学系を介して撮像部を構成する撮像素子の撮像面に結像する。撮像素子は、入射した光学像を光電変換して撮像信号を得るようになっている。光学系としては、レンズを光学系の光軸方向前後に移動させて、光学性能を切り替え可能なものが採用されることがある。
【0004】
ところで、内視鏡内には種々のアクチュエータが採用されている。例えば、レンズ位置を遠端と近端とに移動させるために、レンズが取り付けられる光学ガイドを駆動するアクチュエータが採用されることがある。
【0005】
特許文献1においては、圧電式アクチュエータに、第1の駆動状態と、この第1の駆動状態の駆動力よりも強い駆動力を発生させる第2の駆動状態とを選択して駆動させる圧電アクチュエータ駆動回路を備えたアクチュエータ装置が開示されている。
【0006】
内視鏡にこのようなアクチュエータを搭載する場合には、アクチュエータ駆動回路の故障検知のために、駆動ラインに過電流(電圧)検知回路を設けることがある。正常な駆動電流の上限の閾値(異常判定閾値)を設定し、過電流検知回路はこの閾値を超えた電流が流れたことを検出することで異常を判定する。過電流検知回路において異常な電流が流れたと判定された場合には、例えばアクチュエータへの電流供給を停止させることで、アクチュエータに故障が生じることが防止される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特開2005−12999号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、アクチュエータは、連続的に駆動されるだけでなく、間欠的に駆動される場合があり、アクチュエータが駆動されない期間が存在する。このようなアクチュエータの動作停止状態においても、駆動回路等の故障に起因して、アクチュエータに電流が流れることがある。この場合において、この電流が異常判定閾値内であるときには、過電流検知回路において故障と判定されず、駆動回路からアクチュエータに電流が流れ続けてしまう。この不要な電流によって、アクチュエータの故障等の悪影響が及ぼされる虞がある。
【0009】
本発明は、アクチュエータのオン状態とオフ状態とで異なる異常判定閾値を設定することにより、確実に異常の発生を検出して不具合の発生を防止することができる内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る内視鏡システムは、被検体内を観察する内視鏡と、前記内視鏡内の光学部材を駆動するためのアクチュエータと、前記アクチュエータに電流を供給して駆動するアクチュエータ駆動回路と、前記アクチュエータへの電流の供給ラインに流れる電流を検出する電流検出回路と、前記アクチュエータ駆動回路による前記アクチュエータの駆動時と非駆動時とで、前記電流検出回路における電流検出の閾値を変化させる制御回路とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、アクチュエータのオン状態とオフ状態とで異なる異常判定閾値を設定することにより、確実に異常の発生を検出して不具合の発生を防止することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡システムを示すブロック図。
図2】実施の形態の動作を説明するためのフローチャート。
図3】判定閾値を説明するための説明図。
図4】実施の形態の動作を説明するためのタイミングチャート。
図5】本発明の第2の実施の形態を説明するための説明図。
図6】変形例を説明するためのブロック図。
図7】変形例を説明するためのブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図1は本発明の第1の実施の形態に係る内視鏡システムを示すブロック図である。
【0015】
図1に示すように、内視鏡システム1は、撮像素子25を有する内視鏡2と、内視鏡2が着脱自在に接続され所定の信号処理を行うビデオプロセッサ3と、内視鏡2が着脱自在に接続され内視鏡2に対して照明光を供給する光源装置4と、ビデオプロセッサ3により生成された画像信号を内視鏡画像として表示する表示装置としてのモニタ5と、を備える。
【0016】
内視鏡2は、体腔内に挿入される細長の挿入部6を有する。挿入部6の後端には、操作部7が設けられており、この操作部7からはユニバーサルコード8が延出されている。ユニバーサルコード8によって、撮像素子25において撮像された撮像信号が伝送される。また、ユニバーサルコード8の延出端部には光源用コネクタ11が設けられており、この光源用コネクタ11が光源装置4に着脱自在に接続される。また、光源用コネクタ11の側部には、電気ケーブル9が延出されており、電気ケーブル9は、延出端に配設された電気コネクタ12によってビデオプロセッサ3に着脱自在に接続される。
【0017】
挿入部6、操作部7およびユニバーサルコード8内には照明光を伝送するライトガイド13が挿通されている。そして、光源用コネクタ11を光源装置4に接続することにより、光源装置4からの照明光をライトガイド13により伝送し、挿入部6の先端部14に設けられた照明窓に取り付けられたライトガイド先端面13aから、伝送した照明光を出射する。
【0018】
先端部14には照明窓に隣接して観察窓が設けられ、観察窓には照明された患部等の被写体の光学像を入光するレンズ部21が配設されている。光学部材であるレンズ部21は、レンズ保持枠21aに図示しないレンズが取り付けられて構成される。レンズ部21の後端には撮像素子25が配設されており、レンズ部21は、被写体光学像を撮像素子25の撮像面に結像させるようになっている。レンズ部21は、レンズ保持枠21aを光軸方向に進退移動させるアクチュエータ22によって移動自在に構成される。
【0019】
例えば、アクチュエータ22は、内視鏡2の挿入部6に対して固定された円筒形状の図示しない外枠を有し、この外枠の内視鏡先端側と撮像素子側との間で磁力の向きを変化させて発生するコイルを巻回して構成してもよい。この外枠内にレンズ保持枠21aを摺動自在に配置し、レンズ保持枠21aに磁力を与える磁石を内視鏡先端側と撮像素子側に固定する。このような構成のアクチュエータ22によれば、コイルに流す電流の向きによって内視鏡先端側と撮像素子側との間で磁力の向きを選択的に変更することで、磁石の磁力とコイルに発生する磁力とに応じて、レンズ保持枠21aを内視鏡先端側又は撮像素子側に選択的に移動させることが可能である。なお、コイルには信号線26によって電流が供給されるようになっている。
【0020】
撮像素子25は、たとえばCCDイメージセンサにより構成され、挿入部6、ユニバーサルコード8及び電気ケーブル9内に挿通されたケーブルを経たのち電気コネクタ12を介してビデオプロセッサ3に接続される。
【0021】
ビデオプロセッサ3は、各種回路の制御を行う制御回路31を有する。制御回路31は、FPGA(Field Programmable Gate Array)により構成されていてもよく、また、図示しないCPU等を用いたプロセッサによって構成されて、メモリに記憶されたプログラムに従って各部を制御することができるようになっていてもよい。ビデオプロセッサ3は、撮像素子25等の動作に必要な複数の電源電圧の電源を発生する電源回路36を有する。電源回路36は、ビデオプロセッサ3内の各部にも電源電圧を発生するようになっている。なお、制御回路31は、電源回路36の電源電圧の供給を各回路毎に個別に制御することもできるようになっている。
【0022】
ビデオプロセッサ3は、撮像素子25から出力される撮像信号に対する所定の信号処理を行う信号処理回路(画像処理部32および前処理部33等)を有する。前処理部33は、制御回路31に制御されて、撮像素子25からの撮像信号に対して所定の前信号処理を施すものであり、公知の信号増幅部、プロセス回路、A/Dコンバータ、ホワイトバランス回路等により構成される。画像処理部32は、制御回路31に制御されて、前処理部33からの出力信号に対して所定の画像処理を施し、モニタ5に表示するための画像信号を出力するようになっている。モニタ5は、ビデオプロセッサ3から供給された内視鏡画像を表示画面上に表示するようになっている。
【0023】
ビデオプロセッサ3には、内視鏡2の撮像素子25を駆動するCCD駆動回路34が設けられている。CCD駆動回路34は、撮像素子25に対して駆動信号及び各種同期信号を供給して撮像素子を駆動する。
【0024】
また、ビデオプロセッサ3には、アクチュエータ22を駆動制御するためのアクチュエータ駆動回路35が設けられている。アクチュエータ駆動回路35は、信号線26を介してアクチュエータ22に電力を供給してレンズ部21を進退駆動することができるようになっている。
【0025】
即ち、アクチュエータ駆動回路35は、駆動電流の向きを切換えてアクチュエータ22を構成するコイルに流すことができる。内視鏡2の操作部7にはフォーカスを制御するためのフォーカススイッチ30が配設されている。アクチュエータ操作部としてのフォーカススイッチ30は、ユーザ操作に基づいて、レンズ部21を遠端位置又は近端位置に設定するための操作信号を発生する。この操作信号は、操作部7から電気ケーブル9を介してビデオプロセッサ3の制御回路31に与えられる。制御回路31は、操作信号に基づいてアクチュエータ22を駆動させるための駆動データを生成してアクチュエータ駆動回路35に出力する。
【0026】
アクチュエータ駆動回路35は、制御回路31からの駆動データに基づいて、レンズ部21を駆動する。例えば、アクチュエータ駆動回路35は、フォーカススイッチ30の操作等に基づいて遠端位置が設定された場合には、内視鏡先端側の磁石とコイルとが引き合う向きに駆動電流を流し、近端位置が設定された場合には撮像素子側の磁石とコイルとが引き合う向きに駆動電流を流すようになっている。
【0027】
なお、アクチュエータ22によってレンズ部21を遠端又は近端に移動させた後は、レンズ部21は図示しない磁石の磁力によって、遠端又は近端位置に維持される。従って、アクチュエータ駆動回路35は、アクチュエータ22を連続的に駆動する必要は無く、レンズ部21を移動させる必要がある場合にのみアクチュエータ22を駆動すればよい。しかし、磁石の磁力は比較的弱く、コイルの磁力によってレンズ部21を移動させることができるだけでなく、外部からの衝撃等によってもレンズ部21は移動する可能性がある。そこで、アクチュエータ駆動回路35は、レンズ部21を遠端又は近端に移動させた後も、所定の間隔でアクチュエータ22を駆動する間欠駆動を行って、レンズ部21の位置を遠端又は近端に維持させるようになっていてもよい。
【0028】
本実施の形態においては、信号線26上には電流検出回路37が設けられており、電流検出回路37は、信号線26に流れる電流を検出して、検出結果を制御回路31に供給することができるようになっている。制御回路31は、電流検出回路37の検出結果によって、異常な電流が流れているか否かを判定する。制御回路31は、異常な電流が流れていると判定した場合には、アクチュエータ駆動回路35が故障している可能性があるものと判定して、電源回路36を制御して、アクチュエータ駆動回路35への電力供給を停止させて、アクチュエータ駆動回路35の動作を停止させるようになっている。
【0029】
本実施の形態においては、制御回路31は、異常な電流が流れているか否かの判定に用いる判定閾値を、アクチュエータ22の駆動時と非駆動時とで、変更するようになっている。なお、駆動時とは、アクチュエータ駆動回路35が電流をアクチュエータ22に供給してアクチュエータ22を動作させる状態(オン状態)にする場合のことであり、非駆動時とは、アクチュエータ駆動回路35がアクチュエータ22への電流供給を停止してアクチュエータ22を動作させない状態(オフ状態)にする場合のことである。
【0030】
また、制御回路31は、アクチュエータ22の駆動モードに応じて判定閾値を変更するようになっていてもよい。
【0031】
制御回路31にはメモリ38が設けられており、制御回路31は、メモリ38に判定閾値に関する情報を記憶させるようになっていてもよい。なお、制御回路31は、メモリ38に記憶されている判定閾値をユーザ操作に基づいて更新することができるようになっている。制御回路31は、アクチュエータ22の駆動(オン状態)時と非駆動(オフ状態)時とで異なる判定閾値をメモリ38から読み出すことで、異常の判定を行ってもよい。
【0032】
次に、このように構成された実施の形態の動作について図2乃至図4を参照して説明する。図2は実施の形態の動作を説明するためのフローチャートである。図3は判定閾値を説明するための説明図である。図4は実施の形態の動作を説明するためのタイミングチャートである。
【0033】
図3はメモリ38に格納されている判定閾値を説明するためのものである。図3の太線は、アクチュエータ22に供給される駆動電流の振幅を示しており、駆動電流は、理想的には、正の所定電流値、0、負の所定電流値のいずれかの値である。例えば、正の駆動電流がアクチュエータ22に供給されることによってレンズ部21を遠端に位置させ、負の駆動電流がアクチュエータ22に供給されることによってレンズ部21を近端に位置させることができる。駆動電流が0の場合には、アクチュエータ22は、レンズ部21を移動させることができない。
【0034】
駆動電流には、正及び負の電流に対してそれぞれ上限及び下限の閾値が設定されている。更に、本実施の形態においては、アクチュエータ22の非駆動(オフ状態)時、即ち、本来駆動電流が0であるべき場合においても、駆動(オン状態)時とは異なる上限の閾値が設定されている。なお、図3の例では、非駆動時における上限の閾値は0近傍の値に設定されている。
【0035】
図4の電源ONのLからHへの立ち上がりタイミングにおいて、ビデオプロセッサ3の電源が投入される。制御回路31は駆動データを発生してアクチュエータ駆動回路35に出力する。アクチュエータ駆動回路35は、ステップS1において、駆動データに基づいて駆動電流を発生して出力する。この駆動電流は信号線26を介してアクチュエータ22に供給される。これにより、アクチュエータ22は駆動されて、レンズ部21を遠端又は近端に位置させる。
【0036】
制御回路31は、メモリ38からアクチュエータ22駆動時の上限閾値及び下限閾値(以下、第1判定閾値という)を読み出す(ステップS2)。アクチュエータ22に供給される駆動電流は、電流検出回路37によって検出され、検出結果が制御回路31に供給される(ステップS3)。制御回路31は、第1判定閾値と駆動電流の検出結果に基づいて、駆動電流が下限閾値と上限閾値との間の値であるか否かを判定する(ステップS4)。アクチュエータ駆動回路35、アクチュエータ22及び信号線26等が正常である場合には、駆動電流は下限閾値と上限閾値との間の値になると考えられる。制御回路31は、駆動電流が下限閾値と上限閾値との間の値である場合には、正常に動作しているものと判定して、処理をステップS5に移行する。
【0037】
制御回路31は、ステップS5において、間欠駆動のために、アクチュエータ22の駆動を停止させる。即ち、制御回路31は、駆動電流を0にするための駆動データを生成してアクチュエータ駆動回路35に出力する。これにより、アクチュエータ駆動回路35は駆動電流を0にして、アクチュエータ22の駆動を停止させる。
【0038】
本実施の形態においては、このアクチュエータ22の駆動停止時においては、制御回路31は、メモリ38からアクチュエータ22非駆動時の上限閾値(以下、第2判定閾値という)を読み出す(ステップS6)。アクチュエータ22への駆動電流は、電流検出回路37によって検出されており(ステップS7)、制御回路31は、第2判定閾値と駆動電流の検出結果に基づいて、駆動電流が上限閾値よりも低い値であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0039】
アクチュエータ22の非駆動時においても、アクチュエータ駆動回路35、アクチュエータ22及び信号線26等が正常である場合には、駆動電流は上限閾値よりも低い値になると考えられる。制御回路31は、駆動電流が上限閾値よりも小さい値である場合には、正常に動作しているものと判定して、処理をステップS9に移行する。
【0040】
制御回路31は、ステップS9において、フォーカススイッチ30が操作されたか否かを判定する。操作されていない(図4のフォーカススイッチのL)場合には、制御回路31は、次のステップS11において、間欠駆動の停止期間が経過した否かの待機状態となり、停止期間が経過すると、処理をステップS1に戻して、駆動電流の発生を再開する。
【0041】
図4の駆動電流に示すように、アクチュエータ22は、例えば正の駆動電流によって間欠的に駆動されて例えば遠端位置を維持し、例えば負の駆動電流によって間欠的に駆動されて例えば近端位置を維持する。
【0042】
なお、制御回路31は、ステップS9において、フォーカススイッチ30が操作された(図4のフォーカススイッチのH)ものと判定した場合には、ステップS10において、駆動電流の向きを反転させるための駆動データを生成してアクチュエータ駆動回路35に出力する。これにより、アクチュエータ駆動回路35は、ステップS1において、前回とは逆向きの駆動電流を発生して、アクチュエータ22に供給する(図4の駆動電流の正から負)。これにより、アクチュエータ22は、レンズ部21を前回とは逆方向に付勢する。こうして、遠端に位置していたレンズ部21は近端に移動する。なお、駆動電流が逆向きになることによって、近端に位置していたレンズ部21は遠端に移動する。
【0043】
ここで、アクチュエータ22の駆動時において、何らかの異常が発生して駆動電流が上限閾値を超えるものとする。この場合には、制御回路31は、ステップS4において駆動電流が上限閾値を超えたものと判定すると、処理をステップS12に移行して、電源回路36からアクチュエータ駆動回路35への電力供給を停止させて、アクチュエータ駆動回路35による駆動電流の供給を停止させる。これにより、アクチュエータ22等が過電流によって故障してしまうことを防止することができる。
【0044】
また、アクチュエータ22の非駆動時において、何らかの異常が発生して駆動電流が流れるものとする。アクチュエータ非駆動時には、本来電流が流れない。従って、駆動時と同じレベルの電流が流れた場合でも異常が発生したものと考えられる。しかし、駆動時と同じレベルの判定閾値では、異常を検出することができない。本実施の形態においては、アクチュエータ22の非駆動時における上限閾値は、0近傍の値に設定されており、比較的小さい電流が流れた場合でも、制御回路31は、ステップS8において電流が上限閾値を超えたことを判定することができる。制御回路31は、電流が上限閾値を超えたものと判定すると、処理をステップS12に移行して、電源回路36からアクチュエータ駆動回路35への電力供給を停止させて、アクチュエータ駆動回路35による駆動電流の供給を停止させる。これにより、アクチュエータ22等に長時間電流が流れることはなく、故障等の悪影響が発生してしまうことを防止することができる。
【0045】
このように本実施の形態においては、アクチュエータを搭載した内視鏡において、アクチュエータの駆動時と非駆動時とで異なる判定閾値を設定して、駆動時だけでなく、非駆動時においても異常の判定を可能にしている。これにより、確実に異常の発生を検出して不具合の発生を防止することができる。
【0046】
(第2の実施の形態)
図5は本発明の第2の実施の形態を説明するための説明図である。本実施の形態のハードウェア構成は第1の実施の形態と同様である。本実施の形態は判定閾値をアクチュエータの駆動時と非駆動時とで切換えるだけでなく、駆動時における動作モードに応じて判定閾値を変化させる例を示すものである。
【0047】
第1の実施の形態の図2の説明では、アクチュエータ駆動回路35は、レンズ部21を遠端又は近端に移動させた後も、ステップS11の所定期間が経過する毎にアクチュエータ22を駆動する間欠駆動を行って、レンズ部21の位置を遠端又は近端に維持させる例を説明した。本実施の形態においては、レンズ部21を遠端又は近端に移動させるためのアクチュエータ22の動作モードを第1の駆動モードとし、以後、レンズ部21を遠端又は近端に維持させるためのアクチュエータ22の動作モードを第2の駆動モードとする。
【0048】
第1の駆動モードと第2の駆動モードでは、駆動電流の値が異なるのみであり、第2の駆動モードではレンズ部21を移動させる必要が無いので、第1の駆動モードに比べて第2の駆動モードでは電流値を低下させるようになっている。この場合において、本実施の形態においては、判定閾値を駆動電流に応じて変化させるものであり、第1の駆動モードにおける判定閾値(上限及び下限閾値)よりも第2の駆動モードにおける判定閾値(上限及び下限閾値)よりも小さい値とする。なお、アクチュエータ22の非駆動時の判定閾値は、駆動時の判定閾値と異なる値、例えば0近傍の値に設定されることは、第1の実施の形態と同様である。
【0049】
図5は第1〜第3の駆動モードを有する場合の例を示しており、第1の駆動モードにおける理想的な駆動電流はIM1であり、第2の駆動モードにおける理想的な駆動電流はIM2であり、第3の駆動モードにおける理想的な駆動電流はIM3である。第1の駆動モードでは、駆動電流IM1に対応して上限閾値Th1及び下限閾値Tl1が設定される。同様に、第2の駆動モードでは、駆動電流IM2に対応して上限閾値Th2及び下限閾値Tl2が設定され、第3の駆動モードでは、駆動電流IM3に対応して上限閾値Th3及び下限閾値Tl3が設定される。
【0050】
なお、図5では正の駆動電流のみを示したが、負の駆動電流についても、図3及び図5と同様に、各モード毎に判定閾値を設定するようになっている。
【0051】
このように構成された実施の形態においては、各駆動モード時には、各駆動モードに対応した判定閾値を用いて、電流の異常が検出される点が第1の実施の形態と異なるのみである。本実施の形態においても、アクチュエータ22の非駆動時には、駆動時と異なる判定閾値、即ち、0近傍の上限閾値が設定されており、本来流れるべきでない電流が流れた場合には、比較的小さい電流であっても異常と判定することができる。
【0052】
このように本実施の形態においても、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。更に、本実施の形態においては、動作モードに応じた判定閾値を設定することができるので、各動作モードにおいて一層確実な異常検出が可能となる。
【0053】
(変形例)
図6及び図7は変形例を説明するためのブロック図である。本変形例は制御回路、アクチュエータ駆動回路、電源回路及び電流検出回路の配置位置が異なる例を示すものである。図6は第1又は第2の実施の形態に対応しており、制御回路31a、アクチュエータ駆動回路35a、電源回路36a及び電流検出回路37aがビデオプロセッサ3内にあることを示している。
【0054】
図6において、制御回路31a、アクチュエータ駆動回路35a、電源回路36a及び電流検出回路37aは、それぞれ図1の制御回路31、アクチュエータ駆動回路35、電源回路36及び電流検出回路37に対応したものであり、アクチュエータの駆動に関して図1の各回路と同様の機能を有して同様に動作するようになっている。
【0055】
また、図7は制御回路31a、アクチュエータ駆動回路35a、電源回路36a及び電流検出回路37aと同一の構成である制御回路31b、アクチュエータ駆動回路35b、電源回路36b及び電流検出回路37bが操作部7内に配置された例を示している。
【0056】
他の構成及び作用は第1又は第2の実施の形態と同様である。
【0057】
なお、図6及び図7では、制御回路、アクチュエータ駆動回路、電源回路及び電流検出回路がビデオプロセッサ3内又は操作部7内に配置される例を示したが、電気コネクタ12内に配置されていてもよく、また、ビデオプロセッサ3、電気コネクタ12及び操作部7内に分散されて配置されていてもよい。
【0058】
本発明は、上記実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。
【0059】
なお、ここで説明した技術のうち、主にフローチャートで説明した制御に関しては、プログラムで設定可能であることが多く、半導体やその他の記録媒体や記録部に収められる場合もある。この記録媒体、記録部への記録の仕方は、製品出荷時に記録してもよく、配布された記録媒体を利用してもよく、インターネットを介してダウンロードしたものでもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…内視鏡システム、2…内視鏡、3…ビデオプロセッサ、4…光源装置、6…挿入部、21…レンズ部、22…アクチュエータ、25…撮像素子、26…信号線、31…制御回路、34…CCD駆動回路、35…アクチュエータ駆動回路、36…電源回路、37…電流検出回路、38…メモリ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7