特許第6833849号(P6833849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6833849
(24)【登録日】2021年2月5日
(45)【発行日】2021年2月24日
(54)【発明の名称】処置具
(51)【国際特許分類】
   A61B 18/12 20060101AFI20210215BHJP
   A61B 18/08 20060101ALI20210215BHJP
【FI】
   A61B18/12
   A61B18/08
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2018-528132(P2018-528132)
(86)(22)【出願日】2016年7月19日
(86)【国際出願番号】JP2016071186
(87)【国際公開番号】WO2018016011
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2019年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鶴田 尚英
【審査官】 宮崎 敏長
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−536398(JP,A)
【文献】 特開2001−170069(JP,A)
【文献】 カナダ国特許出願公開第02520413(CA,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/08
A61B 18/12 − A61B 18/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1把持面を有する第1ジョーと、
前記第1把持面との間で生体組織を把持する第2把持面を有する第2ジョーと、
前記第1把持面に設けられる第1電極と、
前記第1把持面に設けられ、前記第1電極との間に高周波電力が供給される第2電極と、
前記第1電極及び前記第2電極が設けられるジョーとは異なる前記第2ジョーに設けられ、通電により発熱する発熱体と、を備え、
前記第1電極と前記第2電極とは、前記第1把持面において、当該第1把持面の幅方向に沿って互いに対向するとともに、前記第1把持面と前記第2把持面とを互いに対向させた状態で当該対向する方向に沿って見た場合に、前記発熱体の中心位置を挟む各位置にそれぞれ配置される
処置具。
【請求項2】
前記第1電極と前記第2電極とは、前記第1把持面と前記第2把持面とを互いに対向させた状態で当該対向する方向に沿って見た場合に、前記発熱体に対して、当該第1把持面及び当該第2把持面の幅方向の外側にそれぞれ配置される
請求項1に記載の処置具。
【請求項3】
前記第1電極と前記第2電極とは、前記第1把持面の外縁から離間した各位置にそれぞれ配置される
請求項1または2に記載の処置具。
【請求項4】
前記第1電極と前記第2電極は、前記第1把持面の長手方向に沿って延びる形状を有し、これら電極の中心位置は、前記第1把持面と前記第2把持面とを互いに対向させた状態で当該対向する方向に沿って見た場合に、前記発熱体の中心位置に一致する
請求項1〜3のいずれか一つに記載の処置具。
【請求項5】
前記第1把持面は、幅方向の中央に位置する第1中央領域を有し、
前記第2把持面は、幅方向の中央に位置し、前記第1中央領域に対向する第2中央領域を有し、
前記第1把持面と前記第2把持面との少なくとも一方は、前記第1中央領域と前記第2中央領域との少なくとも一方が他方に向けて突出した凸形状を有し、
前記第1電極は、前記第1中央領域に設けられ、
前記第2電極は、前記第1中央領域と前記第2中央領域との一方に設けられる
請求項1〜4のいずれか一つに記載の処置具。
【請求項6】
前記第2把持面には、前記発熱体からの熱を前記生体組織に伝達するための伝熱部材が設けられ、当該伝熱部材は高熱伝導性でかつ電気絶縁性を有する請求項1〜5のいずれか一つに記載の処置具。
【請求項7】
前記第1把持面には、前記第1電極と前記第2電極との間に、低熱伝導性でかつ電気絶縁性の絶縁性部材が設けられる請求項1〜のいずれか一つに記載の処置具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、処置具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体組織にエネルギを付与することにより当該生体組織を処置(接合(若しくは吻合)及び切離等)する処置具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の処置具(熱凝固切開鉗子)は、第1把持面を有する第1ジョー(第1の把持部)と、当該第1把持面との間で生体組織を把持する第2把持面を有する第2ジョー(第2の把持部)とを備える。また、第1ジョーには、通電により発熱し、第1把持面を加熱する発熱体が設けられている。そして、当該処置具では、第1,第2ジョーにて生体組織を把持し、発熱体の発熱により生体組織を加熱する(生体組織に熱エネルギを付与する)ことにより、当該生体組織を処置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3349139号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱エネルギを用いた処置を行う場合には、生体組織に伝わる熱は、熱源(発熱体)を中心として放射状に徐々に広がっていく。このため、生体組織のうち第1,第2ジョーにて把持された処置対象組織において、厚み方向(把持方向)に熱が伝わるまでに時間が掛かり、処置時間を短縮することが難しい、という問題がある。また、当該厚み方向に熱が伝わるまで十分に時間を掛けた場合には、熱が熱源(発熱体)を中心として放射状に広がっていくため、生体組織における処置対象組織の周辺にある周辺組織にまで熱エネルギが作用し、低侵襲治療の妨げになる場合がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、処置時間を短縮し、かつ、低侵襲で処置を行うことができる処置具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る処置具は、第1把持面を有する第1ジョーと、前記第1把持面との間で生体組織を把持する第2把持面を有する第2ジョーと、前記第1把持面に設けられる第1電極と、前記第1把持面に設けられ、前記第1電極との間に高周波電力が供給される第2電極と、前記第1電極及び前記第2電極が設けられるジョーとは異なる前記第2ジョーに設けられ、通電により発熱する発熱体と、を備え、前記第1電極と前記第2電極とは、前記第1把持面において、当該第1把持面の幅方向に沿って互いに対向するとともに、前記第1把持面と前記第2把持面とを互いに対向させた状態で当該対向する方向に沿って見た場合に、前記発熱体の中心位置を挟む各位置にそれぞれ配置される。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る処置具によれば、処置時間を短縮し、かつ、低侵襲で処置を行うことができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の実施の形態1に係る処置システムを示す図である。
図2図2は、図1に示した把持部を示す図である。
図3図3は、図1に示した把持部を示す図である。
図4図4は、図2及び図3に示した第1,第2電極と熱エネルギ付与部との位置関係を示す図である。
図5A図5Aは、本発明の実施の形態1の効果を説明する図である。
図5B図5Bは、本発明の実施の形態1の効果を説明する図である。
図5C図5Cは、本発明の実施の形態1の効果を説明する図である。
図6図6は、本発明の実施の形態2に係る処置具を構成する把持部を示す図である。
図7図7は、本発明の実施の形態3に係る処置具を構成する把持部を示す図である。
図8図8は、本発明の実施の形態4に係る処置具を構成する把持部を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0010】
(実施の形態1)
〔処置システムの概略構成〕
図1は、本発明の実施の形態1に係る処置システム1を示す図である。
処置システム1は、生体組織に対してエネルギ(熱エネルギ及び電気エネルギ(高周波エネルギ))を付与することにより、当該生体組織を処置(接合(若しくは吻合)及び切離等)する。この処置システム1は、図1に示すように、処置具2と、制御装置3と、フットスイッチ4とを備える。
【0011】
〔処置具の構成〕
処置具2は、例えば、腹壁を通して生体組織を処置するためのリニアタイプの外科医療用処置具である。この処置具2は、図1に示すように、ハンドル5と、シャフト6と、把持部7とを備える。
ハンドル5は、術者が処置具2を手で持つ部分である。そして、このハンドル5には、図1に示すように、操作ノブ51が設けられている。
シャフト6は、図1に示すように、略円筒形状を有し、一端(図1中、右端部)がハンドル5に接続されている。また、シャフト6の他端(図1中、左端部)には、把持部7が取り付けられている。そして、このシャフト6の内部には、術者による操作ノブ51の操作に応じて、把持部7を構成する一対のジョー8,9(図1)を開閉させる開閉機構(図示略)が設けられている。また、このシャフト6の内部には、制御装置3に接続された電気ケーブルC(図1)がハンドル5を介して一端側(図1中、右端部側)から他端側(図1中、左端部側)まで配設されている。
【0012】
〔把持部の構成〕
図2及び図3は、把持部7を示す図である。具体的に、図2は、開状態(一対のジョー8,9を開放(離間)した状態)に設定された把持部7を示す斜視図である。図3は、生体組織LTを把持した閉状態(一対のジョー8,9を閉じた(一対の把持面81,91を互いに対向させた)状態)に設定された把持部7を当該把持部7の幅方向(把持部7の先端と基端とを結ぶ長手方向に直交する幅方向(図2図3中、左右方向))に沿う切断面にて切断した断面図である。
把持部7は、生体組織LT(図3)を把持して、当該生体組織LTを処置する部分である。この把持部7は、図1ないし図3に示すように、一対のジョー8,9を備える。
一対のジョー8,9は、矢印R1(図2)方向に開閉可能にシャフト6の他端に軸支され、術者による操作ノブ51の操作に応じて、生体組織LTを把持可能とする。
【0013】
〔ジョーの構成〕
一対のジョー8,9のうち一方のジョー8は、他方のジョー9に対して、図2及び図3中、上方側に配設され、当該一方のジョー8の先端と基端とを結ぶ長手方向に沿って延びる略直方体形状を有する。この一方のジョー8の材料としては、高い耐熱性を有し、かつ熱伝導率が低く、さらに、優れた電気絶縁性を有する材料、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、PBI(ポリベンゾイミダゾール)等の樹脂を例示することができる。なお、一方のジョー8の材料としては、当該樹脂に限らず、アルミナ、ジルコニア等のセラミック等を採用しても構わない。また、それらに生体への非粘着性を有するPTFE、DLC(Diamond-Like Carbon)、セラミック系、シリカ系、シリコーン系の絶縁性のコーティング材を付しても構わない。
そして、一方のジョー8における図2及び図3中、下方側の面は、他方のジョー9との間で生体組織LTを把持する把持面81として機能する。なお、以下では、他方のジョー9における後述する把持面91と区別するために、把持面81を一方の把持面81と記載し、把持面91を他方の把持面91と記載する。
【0014】
本実施の形態1では、一方の把持面81は、平坦状に形成されている。
この一方の把持面81において、幅方向の両端部側(図2及び図3中、左右の両端部側)に位置し、当該一方の把持面81の全長(長手方向の全長、以下、同様)に亘る領域には、図2または図3に示すように、第1,第2電極10,11がそれぞれ埋め込まれている。
第1,第2電極10,11は、例えば、銅、アルミニウム、カーボン等の導電性材料でそれぞれ構成されている。また、第1,第2電極10,11は、一方の把持面81の長手方向に沿って延びる略直方体状の板体でそれぞれ構成され、一方の板面(図2図3中、下方側の面)が一方の把持面81の一部をそれぞれ構成するように(当該下方側の面が露出した状態で)当該一方の把持面81にそれぞれ埋め込まれている。さらに、第1,第2電極10,11には、シャフト6の一端側から他端側まで配設された電気ケーブルCを構成する一対の高周波用リード線(図示略)がそれぞれ接合されている。そして、第1,第2電極10,11は、一対の高周波用リード線を介して制御装置3により高周波電力が供給されることで、高周波エネルギを発生し得る。一対のジョー8,9(一対の把持面81,91)にて生体組織LTを把持した状態において高周波電力が供給されると、第1,第2電極10,11の間に高周波電位が発生するため、当該生体組織LTに高周波電流を流し得る。つまり、第1,第2電極10,11は、いずれか一方が正極で他方が負極をなす一対の電極である。
なお、第1,第2電極10,11としては、板体に限らず、一対のジョー8,9の間隔に比して小さい凸部を有して埋め込まれているような丸棒等の異形状でも構わない。また、第1,第2電極10,11としては、バルクの材料である必要はなく、蒸着やスパッタリング等で形成されたプラチナ等の導電性薄膜で構成しても構わない。さらに、第1,第2電極10,11の表面は、上述したような物理的な露出のみに限らず、電気的に露出していればよい。すなわち、生体への非粘着性を有するNi−PTFE膜や導電性DLC(Diamond-Like Carbon)薄膜等の導電性のコーティング材を付した状態で、その面が電極としての電位を提供しても何ら発明の意図を逸脱するものではない。
【0015】
他方のジョー9は、当該他方のジョー9の先端と基端とを結ぶ長手方向に沿って延びる略直方体形状を有する。この他方のジョー9の材料としては、一方のジョー8と同様に、PTFE、PEEK、PBI等の樹脂、アルミナ、ジルコニア等のセラミック等を例示することができる。
そして、他方のジョー9における図2及び図3中、上方側の面は、一方の把持面81との間で生体組織LTを把持する他方の把持面91として機能する。
【0016】
本実施の形態1では、他方の把持面91は、一方の把持面81と同様に、平坦状に形成されている。
この他方の把持面91において、幅方向の中央部分(図2及び図3中、左右方向の中央部分)に位置し、当該他方の把持面91の全長に亘る領域には、図2または図3に示すように、熱エネルギ付与部12が埋め込まれている。
熱エネルギ付与部12は、図2または図3に示すように、発熱体121(図3)と、伝熱部材122とを備える。
発熱体121は、例えば、他方のジョー9の基端側(図2中、右側)から長手方向に沿って先端側(図2中、左側)に延在し、さらに屈曲して基端側に延在する略U字形状を有する電気抵抗パターンで構成されている。また、発熱体121の両端部には、シャフト6の一端側から他端側まで配設された電気ケーブルCを構成する一対の発熱用リード線(図示略)がそれぞれ接合されている。そして、発熱体121は、発熱用リード線を介して制御装置3により直流または交流電圧が印加(通電)されることにより、発熱する。
【0017】
以上説明した発熱体121は、導電性材料であるステンレス(SUS304)を加工したものであり、伝熱部材122の図3中、下方側の面における幅方向の中央部分に熱圧着により貼り合わせられている。
なお、発熱体121の材料としては、ステンレス(SUS304)に限らず、他のステンレス材料(例えば400番系)でもよいし、プラチナや、タングステン等の導電性材料を採用しても構わない。また、発熱体121としては、伝熱部材122における図3中、下方側の面に熱圧着により貼り合わされる構成に限らず、当該下方側の面に蒸着やスパッタリング等により形成した構成を採用しても構わない。
【0018】
伝熱部材122は、高い耐熱性を有し、かつ熱伝導率が高く、さらに、優れた電気絶縁性を有する材料、例えば、PTFE、PEEK、PBI等の樹脂にセラミック等が熱伝導性フィラーとして含まれた複合材料や、窒化アルミニウム等のセラミック、銅・アルミニウム・カーボン等の導電性物質にPTFE等の絶縁性のコーティングがなされた材料等で構成されている。また、伝熱部材122は、他方の把持面91の長手方向に沿って延びる略直方体状の板体で構成され、図2及び図3中、上方側の面が他方の把持面91の一部を構成するように(当該上方側の面が露出した状態で)当該他方の把持面91に埋め込まれている。そして、伝熱部材122は、発熱体121からの熱を生体組織LTに伝達する(生体組織LTに熱エネルギを付与する)。
なお、伝熱部材122としては、幅方向の大きさが異なる別体(下方の伝熱部材と上方の伝熱部材)が一対のジョー8,9の開閉方向(図2図3中、上下方向)に高熱伝導接合された構成としても構わない。例えば、発熱体121として下方の伝熱部材にスパッタリングで導電性薄膜が形成されたセラミックヒータと、それをナノAg粒子等の高熱伝導接合によって上方の伝熱部材に接合された構成とする。すなわち、下方の伝熱部材と上方の伝熱部材とを合わせて伝熱部材122と考えてもよい。
以上説明した他方の把持面91に対して、上述した生体への非粘着性を有する絶縁性のコーティング材を付しても構わない。
【0019】
本実施の形態1では、一方のジョー8は、本発明に係る第1ジョーに相当する。また、一方の把持面81は、本発明に係る第1把持面に相当する。さらに、他方のジョー9は、本発明に係る第2ジョーに相当する。また、他方の把持面91は、本発明に係る第2把持面に相当する。
【0020】
〔第1,第2電極と熱エネルギ付与部との位置関係〕
図4は、第1,第2電極10,11と熱エネルギ付与部12との位置関係を示す図である。具体的に、図4は、閉状態(一対の把持面81,91を互いに対向させた状態)で当該対向する方向(一対の把持面81,91の法線方向)に沿って第1,第2電極10,11と熱エネルギ付与部12とを見た図である。
第1,第2電極10,11は、閉状態で一対の把持面81,91が互いに対向する方向に沿って見た場合に、図4に示すように、熱エネルギ付与部12における幅方向の中心位置O1を挟む各位置にそれぞれ配置されている。より具体的に、第1,第2電極10,11における幅方向の中心位置O2は、熱エネルギ付与部12の中心位置O1に一致するように設定されている。また、第1,第2電極10,11は、発熱体121に対して、幅方向の外側にそれぞれ配置されている。
【0021】
〔制御装置及びフットスイッチの構成〕
フットスイッチ4は、術者が足で操作する部分である。そして、フットスイッチ4への当該操作に応じて、制御装置3から処置具2(第1,第2電極10,11及び発熱体121)への通電のオン及びオフが切り替えられる。
なお、当該オン及びオフを切り替える手段としては、フットスイッチ4に限らず、その他、手で操作するスイッチ等を採用しても構わない。
制御装置3は、CPU(Central Processing Unit)等を含んで構成され、所定の制御プログラムにしたがって、処置具2の動作を統括的に制御する。より具体的に、制御装置3は、術者によるフットスイッチ4への操作(通電オンの操作)に応じて、一対の高周波用リード線を介して第1,第2電極10,11の間に予め設定した出力の高周波電力を供給するとともに、予め設定したタイミングにおいて、一対の発熱用リード線を介して発熱体121に予め設定した出力の電力を印加し、それぞれのエネルギを適切に制御する。
【0022】
〔処置システムの動作〕
次に、上述した処置システム1の動作について説明する。
術者は、処置具2を手で持ち、当該処置具2の先端部分(把持部7及びシャフト6の一部)を、例えば、トロッカ等を用いて腹壁を通して腹腔内に挿入する。また、術者は、操作ノブ51を操作し、一対のジョー8,9にて生体組織LTを把持する。
次に、術者は、フットスイッチ4を操作し、制御装置3から処置具2への通電をオンに切り替える。当該オンに切り替えられると、制御装置3は、一対の高周波用リード線を介して、第1,第2電極10,11の間に高周波電力を供給する。当該高周波電力の供給に伴い、第1,第2電極10,11間で高周波電流が流れ、生体組織LTにおける第1,第2電極10,11間の処置対象組織LT1(図3)にジュール熱が発生する。また、制御装置3は、当該高周波電力の供給と同時に、一対の発熱用リード線を介して、発熱体121に電力を印加(通電)する。当該通電に伴い、発熱体121が発熱し、伝熱部材122を介して、処置対象組織LT1に熱が伝達される。そして、当該ジュール熱の発生、及び伝熱部材122からの熱の伝達により、処置対象組織LT1は処置される。
なお、第1,第2電極10,11に高周波電力を供給するタイミングと発熱体121に電力を印加(通電)するタイミングとは、同時に限らず、異なるタイミングとしても構わない。
【0023】
以上説明した本実施の形態1によれば、以下の効果を奏する。
図5Aないし図5Cは、本発明の実施の形態1の効果を説明する図である。具体的に、図5Aは、シミュレーションの結果を示す図であって、第1,第2電極10,11の間に高周波電力を供給せずに、発熱体121を予め設定した温度に維持した場合(生体組織LTに対して熱エネルギのみ作用させた場合)での温度分布を示す図である。図5Bは、シミュレーションの結果を示す図であって、発熱体121を発熱させずに、第1,第2電極10,11の間に予め設定した出力の高周波電力を供給した場合(生体組織LTに対して高周波エネルギのみ作用させた場合)での温度分布を示す図である。図5Cは、シミュレーションの結果を示す図であって、第1,第2電極10,11の間に予め設定した出力の高周波電力を供給するとともに、発熱体121に予め設定した出力の電力を印加した場合(生体組織LTに対して熱エネルギ及び高周波エネルギの双方を作用させた場合)での温度分布を示す図である。
なお、図5Aないし図5Cでは、「黒」に近付くにしたがって温度の高い領域を示し、「白」に近付くにしたがって温度の低い領域を示している。すなわち、図5Aないし図5Cでは、色が淡い方の温度が低く、濃い方の温度が高いことを示している。
また、図5A及び図5Cは、熱エネルギ付与部12のない一方の把持面81が所望の温度(200℃程度)に到達した瞬間の温度分布を示している。
【0024】
熱エネルギを利用した処置を行う場合には、生体組織LTに伝わる熱は、熱源(発熱体121)を中心として材料の熱伝導性に応じて放射状に徐々に広がっていく。このため、処置対象組織LT1において、厚み方向(把持方向(図3図5A図5C中、上下方向)、以下、同様)に熱が伝わるまでに時間が掛かる、という問題がある。
そして、「生体組織LTに対して熱エネルギのみ作用させた場合」のシミュレーション結果としては、熱エネルギの付与を開始してから一方の把持面81における幅方向の中央部分が所望の温度(200℃程度)となるまでにT1秒(2.4秒程度)の時間が掛かるという結果となった(図5A)。また、当該T1秒後には、熱エネルギ付与部12にT1秒間、触れ続けることになる上に、処置対象組織LT1の周辺にある周辺組織も比較的に高い温度になってしまうというシミュレーション結果となった(図5A)。
【0025】
高周波エネルギを利用した処置を行う場合には、高周波電流は、第1,第2電極10,11の間に流れる。そして、本実施の形態1のように第1,第2電極10,11を一方の把持面81の幅方向に沿って互いに対向する位置にそれぞれ配置しておけば、高周波電流は、一対のジョー8,9の幅方向(図3図5A図5C中、左右方向)に流れる。すなわち、第1,第2電極10,11間で高周波電流の流れる部分を発熱部位とすることができるため、処置対象組織LT1を一対のジョー8,9の幅方向の中央寄り(第1,第2電極10,11の間)に限定することができる。また、処置対象組織LT1において、一対の把持面81,91から厚み方向に離間した部分を最も高い温度とすることができる。しかしながら、高周波エネルギの付与に応じて、処置対象組織LT1の乾燥(脱水)が始まることで処置対象組織LT1のインピーダンスが増加し、結果的にある時を境に高周波エネルギの作用が弱くなり、所望の処置ができなくなる場合がある。当該「ある時」としては、「インピーダンスの増加に電源容量が追従できなくなった時」や、「これらによって発生させられる熱量が蒸散や伝熱によって失われる熱量を上回れず、組織温度上昇に寄与できなくなった時」を例示することができる。
そして、「生体組織LTに対して高周波エネルギのみ作用させた場合」のシミュレーション結果としては、処置対象組織LT1が一対のジョー8,9の幅方向の中央寄りに限定され、かつ、処置対象組織LT1における一対の把持面81,91から厚み方向に離間した部分が最も高い温度となるという結果となった(図5B)。しかしながら、高周波エネルギの付与を開始してからT1秒(2.4秒程度)経過した後であっても、処置対象組織LT1の最高到達温度が所望の温度(200℃程度)に到達しない(最高到達温度:150℃程度)というシミュレーション結果となった(図5B)。
【0026】
本実施の形態1のように熱エネルギ及び高周波エネルギの双方を利用した処置を行う場合には、「生体組織LTに対して熱エネルギ及び高周波エネルギの双方を作用させた場合」のシミュレーション結果(図5C)に示すように、上述した各問題を解決することができる。
すなわち、高周波エネルギを付与することで熱エネルギの付与に対してアシスト効果が生じることにより、熱エネルギ及び高周波エネルギの双方の付与を開始してから一方の把持面81における幅方向の中央部分が所望の温度(200℃程度)となるまでの時間が「生体組織LTに対して熱エネルギのみを作用させた場合」での時間(T1秒)よりも6割近く短い時間(T2秒(1.5秒程度))となるという結果となった。また、当該T2秒という短時間であるため、熱エネルギ付与部12にT2秒間だけ触れ続ければよい上に、処置対象組織LT1の周辺にある周辺組織への熱の影響が低減され、当該周辺組織は比較的に低い温度となるというシミュレーション結果となった。
したがって、本実施の形態1に係る処置具2によれば、処置時間を短縮し、かつ、低侵襲で処置を行うことができる、という効果を奏する。また、一対のジョー8,9をなす材料のもつ総熱量も小さいために、処置終了後の一対のジョー8,9の温度低減の効果も奏する。
また、生体組織LTや印加するエネルギ条件によって、生体組織LTの最高到達温度を向上させられることも分かっており、発熱体121に必要な到達温度を低減することができ、発熱体121の信頼性向上にも寄与する。
【0027】
特に、本実施の形態1に係る処置具2では、第1,第2電極10,11は、一対の把持面81,91が互いに対向する方向に沿って見た場合に、発熱体121における幅方向の中心位置O1を挟む各位置にそれぞれ配置されている。より具体的に、第1,第2電極10,11における幅方向の中心位置O2は、当該中心位置O1に一致する。すなわち、高周波エネルギの付与による発熱領域と、熱エネルギの付与による発熱領域とを重ね合わせることができる。このため、上述したアシスト効果を高め、上述した「処置時間を短縮し、かつ、低侵襲で処置を行うことができる」という効果を好適に実現することができる。
また、本実施の形態1に係る処置具2では、第1,第2電極10,11は、一対の把持面81,91が互いに対向する方向に沿って見た場合に、発熱体121に対して、幅方向の外側にそれぞれ配置されている。言い換えれば、発熱体121は、他方の把持面91において、幅方向の中央寄りに配置されている。このため、処置対象組織LT1の周辺にある周辺組織への熱エネルギの影響をさらに低減することができる。
【0028】
ところで、第1,第2電極10,11と熱エネルギ付与部12とを一対のジョー8,9の一方に設けた場合(同一のジョーに設けた場合)には、以下の問題が生じる虞がある。
熱エネルギ付与部12から生体組織LTへの熱エネルギの付与により、第1,第2電極10,11の周辺にある組織が乾燥(脱水)し、当該組織のインピーダンスが増加した場合には、第1,第2電極10,11による高周波エネルギの作用が弱くなる。すなわち、上述したアシスト効果が低くなる虞がある。
本実施の形態1に係る処置具2では、第1,第2電極10,11と熱エネルギ付与部12とは異なるジョーに設けられている。このため、上述した問題が生じる虞がない。具体的に、高周波電力は、熱エネルギ付与部12の作用によりインピーダンスが増加した組織を避け、インピーダンスが低い未処置の生体組織LTに選択的に印加されることから、より効果的に処置のアシストができる。
【0029】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について説明する。
本実施の形態2の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図6は、本発明の実施の形態2に係る処置具2Aを構成する把持部7Aを示す図である。具体的に、図6は、図3に対応した断面図である。
本実施の形態2に係る処置具2Aでは、図6に示すように、上述した実施の形態1で説明した処置具2(図3)に対して、本発明に係る第1,第2電極の配設位置が異なる。
【0030】
本実施の形態2に係る一方のジョー8において、一方の把持面81には、図6に示すように、第1,第2電極10,11が設けられていない。なお、本実施の形態2に係る一方の把持面81は、第1,第2電極10,11が設けられていないが、上述した実施の形態1と同様に、平坦形状を有する。当該一方の把持面81に対して、上述した実施の形態1で説明した生体への非粘着性を有する絶縁性のコーティング材を付しても構わない。
また、本実施の形態2に係る他方のジョー9において、他方の把持面91には、図6に示すように、熱エネルギ付与部12の他、第1,第2電極10A,11Aが設けられている。
【0031】
第1,第2電極10A,11Aは、上述した実施の形態1で説明した第1,第2電極10,11と同一の形状及び機能(生体組織LT(処置対象組織LT1)に高周波エネルギを付与する機能)を有する。
これら第1,第2電極10A,11Aは、他方の把持面91における幅方向の両端(熱エネルギ付与部12の両側)に位置し、当該他方の把持面91の全長に亘る領域にそれぞれ埋め込まれている。そして、第1,第2電極10A,11Aは、他方の把持面91の一部をそれぞれ構成する。なお、本実施の形態2に係る他方の把持面91は、第1,第2電極10A,11Aがそれぞれ埋め込まれているが、上述した実施の形態1と同様に、平坦形状を有する。当該他方の把持面91において、第1,第2電極10A,11Aの図6中、上方側の面で構成される領域には上述した実施の形態1で説明した生体への非粘着性を有する導電性のコーティング材を付し、その他の領域(伝熱部材122における図6中、上方側の面で構成される領域)には上述した実施の形態1で説明した生体への非粘着性を有する絶縁性のコーティング材を付しても構わない。
ここで、本実施の形態2において、閉状態で一対の把持面81,91が互いに対向する方向に沿って見た場合に、第1,第2電極10A,11Aと熱エネルギ付与部12との位置関係は、上述した実施の形態1と同様である。
なお、第1,第2電極10A,11Aとしては、板体に限らず、一対のジョー8,9の間隔に比して小さい凸部を有して埋め込まれているような丸棒等の異形状でも構わない。また、第1,第2電極10A,11Aとしては、バルクの材料である必要はなく、蒸着やスパッタリング等で形成されたプラチナ等の導電性薄膜で構成しても構わない。
【0032】
本実施の形態2では、他方のジョー9は、本発明に係る第1ジョーに相当する。また、他方の把持面91は、本発明に係る第1把持面に相当する。さらに、一方のジョー8は、本発明に係る第2ジョーに相当する。また、一方の把持面81は、本発明に係る第2把持面に相当する。
【0033】
以上説明した本実施の形態2に係る処置具2Aによれば、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態2に係る処置具2Aでは、他方のジョー9に第1,第2電極10A,11A及び熱エネルギ付与部12が設けられている。言い換えれば、一方のジョー8には、第1,第2電極10A,11A及び熱エネルギ付与部12のいずれも設けられていない。このため、一方のジョー8の構造の簡素化を図ることができ、当該一方のジョー8を小型化(把持部7Aを細径化)することも可能となる。
【0034】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3について説明する。
本実施の形態3の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図7は、本発明の実施の形態3に係る処置具2Bを構成する把持部7Bを示す図である。具体的に、図7は、図3に対応した図である。
本実施の形態3に係る処置具2Bでは、図7に示すように、上述した実施の形態1で説明した処置具2(図3)に対して、本発明に係る第1,第2電極の配設位置及び形成方法が異なる。
【0035】
本実施の形態3に係る一方のジョー8において、一方の把持面81は、図7に示すように、上述した実施の形態2と同様に、第1,第2電極10,11が設けられておらず、平坦形状を有する。また、当該一方の把持面81に対して、上述した実施の形態1で説明した生体への非粘着性を有する絶縁性のコーティング材を付しても構わない。
また、本実施の形態3に係る他方のジョー9において、他方の把持面91には、図7に示すように、熱エネルギ付与部12の他、第1,第2電極10B,11Bが設けられている。
【0036】
第1,第2電極10B,11Bは、上述した実施の形態1で説明した第1,第2電極10,11と同一の機能(生体組織LT(処置対象組織LT1)に高周波エネルギを付与する機能)を有しているが、その配設位置及び形成方法が異なる。
具体的に、第1,第2電極10B,11Bは、蒸着やスパッタリング等で形成されたプラチナ等の導電性薄膜でそれぞれ構成されている。また、第1,第2電極10B,11Bは、図7に示すように、伝熱部材122の図7中、上方側の面における幅方向の両端に位置し、当該伝熱部材122の全長に亘る領域にそれぞれ形成されている。そして、第1,第2電極10B,11Bは、他方の把持面91の一部をそれぞれ構成する。なお、本実施の形態3に係る他方の把持面91は、第1,第2電極10B,11Bがそれぞれ形成されているが、上述した実施の形態1と同様に、平坦形状を有する。当該他方の把持面91において、第1,第2電極10B,11Bで構成された領域には上述した実施の形態1で説明した生体への非粘着性を有する導電性のコーティング材を付し、その他の領域には上述した実施の形態1で説明した生体への非粘着性を有する絶縁性のコーティング材を付しても構わない。
すなわち、本実施の形態3では、第1,第2電極10B,11Bは、伝熱部材122に形成されているため、他方の把持面91における幅方向の外縁から離間した各位置にそれぞれ配置されている。また、本実施の形態3では、閉状態で一対の把持面81,91が互いに対向する方向に沿って見た場合に、上述した実施の形態1と同様に、第1,第2電極10B,11Bにおける幅方向の中心位置と熱エネルギ付与部12における幅方向の中心位置とは互いに一致する。
なお、第1,第2電極10B,11Bとしては、薄膜に限らず、上述した実施の形態1で説明した第1,第2電極10,11と同様に、バルクの材料で構成しても構わない。
【0037】
本実施の形態3では、他方のジョー9は、本発明に係る第1ジョーに相当する。また、他方の把持面91は、本発明に係る第1把持面に相当する。さらに、一方のジョー8は、本発明に係る第2ジョーに相当する。また、一方の把持面81は、本発明に係る第2把持面に相当する。
【0038】
以上説明した本実施の形態3に係る処置具2Bによれば、上述した実施の形態1,2と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態3に係る処置具2Bでは、第1,第2電極10B,11Bは、他方の把持面91における幅方向の外縁から離間した各位置にそれぞれ配置されている。すなわち、第1,第2電極10B,11Bにおける幅方向の離間寸法を小さくすることにより、第1,第2電極10B,11Bの間に位置する処置対象組織LT1を一対のジョー8,9の幅方向の中央寄りにさらに限定することができる。このため、処置対象組織LT1の周辺にある周辺組織への熱の影響をさらに低減することができる。
【0039】
ところで、第1,第2電極10B,11B間を流れる高周波電流は、高周波エネルギの付与により生体組織LTのインピーダンスが増加することにより、時間の経過とともにその経路が変更される。具体的に、本実施の形態3のように第1,第2電極10B,11Bが他方の把持面91に設けられている場合には、高周波エネルギの付与を開始した直後は、当該他方の把持面91に近接する経路を辿って高周波電流が流れる。そして、高周波エネルギの付与を開始した後、時間の経過とともに、一方の把持面81に近接する経路を辿って高周波電流が流れる。すなわち、高周波電流の経路は、時間の経過とともに、処置対象組織LT1の厚み方向に沿って変更される。
特に、本実施の形態3のように第1,第2電極10B,11Bにおける幅方向の離間寸法を小さくした場合には、高周波電流の経路は、処置対象組織LT1の厚み方向に沿って比較的に短時間に変更される。したがって、上述したアシスト効果をさらに高めることができ、上述した「処置時間を短縮し、かつ、低侵襲で処置を行うことができる」という効果を好適に実現することができる。
【0040】
(実施の形態4)
次に、本発明の実施の形態4について説明する。
本実施の形態4の説明では、上述した実施の形態1と同様の構成には同一符号を付し、その詳細な説明は省略または簡略化する。
図8は、本発明の実施の形態4に係る処置具2Cを構成する把持部7Cを示す図である。具体的に、図8は、図3に対応した図である。
本実施の形態4に係る処置具2Cでは、図8に示すように、上述した実施の形態1で説明した処置具2(図3)に対して、本発明に係る第1,第2把持面の形状が異なる。
【0041】
本実施の形態4に係る一方のジョー8において、一方の把持面81には、図8に示すように、第1,第2電極10C,11Cと、絶縁性部材13とが設けられている。
第1,第2電極10C,11Cは、上述した実施の形態1で説明した第1,第2電極10,11と同一の機能(生体組織LT(処置対象組織LT1)に高周波エネルギを付与する機能)を有しているが、その配設位置が異なる。
具体的に、第1,第2電極10C,11Cは、図8に示すように、一方の把持面81における幅方向の外縁からそれぞれ離間した位置で、当該一方の把持面81の全長に亘る領域にそれぞれ埋め込まれている。また、第1,第2電極10C,11Cは、一方のジョー8から他方のジョー9側に突出した状態でそれぞれ埋め込まれている。そして、第1,第2電極10C,11Cにおける図8中、下方側の面は、一方の把持面81をそれぞれ構成する。
【0042】
絶縁性部材13は、高い耐熱性を有し、かつ熱伝導率が低く、さらに、優れた電気絶縁性を有する材料、例えば、PTFE、PEEK、PBI等の樹脂、アルミナ、ジルコニア等のセラミック等で構成されている。また、絶縁性部材13は、一方の把持面81の長手方向に沿って延びる略直方体状の板体で構成され、一方の把持面81における第1,第2電極10C,11Cの間に位置し、当該一方の把持面81の全長に亘る領域に埋め込まれている。さらに、絶縁性部材13は、図8中、下方側の面が第1,第2電極10C,11Cにおける図8中、下方側の面と面一となるように、一方のジョー8から他方のジョー9側に突出した状態でそれぞれ埋め込まれている。そして、絶縁性部材13における図8中、下方側の面は、一方の把持面81をそれぞれ構成する。
すなわち、本実施の形態4に係る一方の把持面81は、幅方向の中央に位置するとともに、第1,第2電極10C,11C及び絶縁性部材13における図8中、下方側の各面で構成される第1中央領域Ar1(図8)が他方のジョー9側に突出した凸形状を有する。当該一方の把持面81において、第1,第2電極10C,11Cで構成された領域には上述した実施の形態1で説明した生体への非粘着性を有する導電性のコーティング材を付し、その他の領域には上述した実施の形態1で説明した生体への非粘着性を有する絶縁性のコーティング材を付しても構わない。
なお、第1,第2電極10C,11Cとしては、バルクの材料である必要はなく、蒸着やスパッタリング等で形成されたプラチナ等の導電性薄膜で構成しても構わない。
【0043】
本実施の形態4に係る熱エネルギ付与部12は、図8に示すように、他方のジョー9から一方のジョー8側に突出した状態で埋め込まれている。
すなわち、本実施の形態に係る他方の把持面91は、幅方向の中央に位置するとともに、伝熱部材122における図8中、上方側の面で構成される第2中央領域Ar2(図8)が一方のジョー8側に突出した凸形状を有する。当該他方の把持面91に対して、上述した実施の形態1で説明した生体への非粘着性を有する絶縁性のコーティング材を付しても構わない。
以上説明した第1,第2中央領域Ar1,Ar2は、同一の平面形状を有し、閉状態で互いに対向する。
【0044】
なお、本実施の形態4において、閉状態で一対の把持面81,91が互いに対向する方向に沿って見た場合に、上述した実施の形態1と同様に、第1,第2電極10C,11Cにおける幅方向の中心位置と熱エネルギ付与部12における幅方向の中心位置とは互いに一致する。
【0045】
本実施の形態4では、一方のジョー8は、本発明に係る第1ジョーに相当する。また、一方の把持面81は、本発明に係る第1把持面に相当する。さらに、他方のジョー9は、本発明に係る第2ジョーに相当する。また、他方の把持面91は、本発明に係る第2把持面に相当する。
【0046】
以上説明した本実施の形態4に係る処置具2Cによれば、上述した実施の形態1と同様の効果を奏する。
また、本実施の形態4に係る処置具2Cでは、一対の把持面81,91は、第1,第2中央領域Ar1,Ar2をそれぞれ有し、凸形状をそれぞれ有する。そして、第1中央領域Ar1に第1,第2電極10C,11Cが設けられている。また、第2中央領域Ar2に熱エネルギ付与部12が設けられている。このため、処置対象組織LT1を高い圧力で圧縮し、処置対象組織LT1を効果的に処置(接合、吻合、若しくは封止等)することができる。
【0047】
(その他の実施形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態1〜4によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態1〜4では、一対の把持面81,91を平坦面や凸形状で構成していたが、これに限らず、その他の形状としても構わない。例えば、生体組織LTの切開を効果的に行うために、一対の把持面81,91の少なくとも一方において、当該切開位置に対応する部分が他方の把持面に近接する断面V字形状としても構わない。
【0048】
上述した実施の形態1〜4では、高周波エネルギを付与するために、第1電極10(10A〜10C)及び第2電極11(11A〜11C)の2つの電極を設けていたが、電極の数は2つに限らず、3つ以上設けても構わない
【0049】
上述した実施の形態1〜4において、第1電極10(10A〜10C)、第2電極11(11A〜11C)、及び熱エネルギ付与部12の配設位置は、上述した実施の形態1〜4で説明した配設位置に限らない。一対の把持面81,91が互いに対向する方向に沿って見た場合に、熱エネルギ付与部12における幅方向の中心位置O1を挟む各位置に第1電極10(10A〜10C)と第2電極11(11A〜11C)が配置されていれば、その他の配設位置を採用しても構わない。例えば、上述した実施の形態1〜4では、第1電極10(10A〜10C)と第2電極11(11A〜11C)とは、一対の把持面81,91の一方の把持面に設けられていた(同一の把持面に設けられていた)が、異なる把持面にそれぞれ設けた構成を採用しても構わない。
【0050】
上述した実施の形態4では、一対の把持面81,91の双方が凸形状を有していたが、これに限らず、例えば、一対の把持面81,91の一方が平坦状に形成され、他方が凸形状を有するように、あるいは一対の把持面81,91の一方が凸形状に形成され、他方が凹形状を有するように構成しても構わない。
【0051】
上述した実施の形態1〜4では、処置具2(2A〜2C)は、生体組織LTに対して熱エネルギ及び高周波エネルギを付与して処置を行う構成としていたが、これに限らず、生体組織LTに対して、熱エネルギ及び高周波エネルギの他、超音波エネルギ及びレーザ等の光エネルギを付与して処置を行う構成を採用しても構わない。
【符号の説明】
【0052】
1 処置システム
2,2A〜2C 処置具
3 制御装置
4 フットスイッチ
5 ハンドル
6 シャフト
7,7A〜7C 把持部
8,9 ジョー
10,10A〜10C 第1電極
11,11A〜11C 第2電極
12 熱エネルギ付与部
13 絶縁性部材
51 操作ノブ
81,91 把持面
121 発熱体
122 伝熱部材
Ar1,Ar2 第1,第2中央領域
C 電気ケーブル
LT 生体組織
LT1 処置対象組織
O1,O2 中心位置
R1 矢印
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6
図7
図8