(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明は、複数の人(人物)の集団の状態、例えば、集団が活動化或いは活性化している状態、反対に、沈静化或いはストレスが高い状態か等、集団の様々な状態を評価、判定、判断等するための情報処理システムである。情報処理システムは、人の状態、例えば、人の動き、或いは、バイタル等をセンサを介して計測し、計測値に基いて、集団の状態を評価する。センサとしては、人が身につけるウェアブルなセンサでよい。なお、人を人間、動物を含む固体と言い換えてもよい。
【0015】
情報処理システムは、複数の人夫々の計測データから、所定の基準、規則、又は、要件等に基いて、“実際的な接触”を見出して、これに基いて集団を定義する。そして、情報処理システムは、集団に属する複数の人夫々の計測データを統合して、統合データの特徴を抽出して、集団の状態の指標を求める。情報処理システムは、この指標を、集団の状態の評価に供する。
【0016】
集団が活動化或いは活性化している状態とは、複数の人が集まって活発な議論をしたり、上司が部下の仕事を褒めたり、休憩時間にプライベートの雑談をするといった個人個人の行動の結果、その個人だけでなく組織全体に良い影響を与え、個人個人が物事に対して集中して活動することができる環境が生じている状態である。
【0017】
集団には、会社の部、課、係等職制によって定義される、云わば、固定的、或いは、規則的なグループの他、ワーキンググループ、プロジェクトグループ等、云わば、職制を横断するような、動的、一時的、又は、不定期に成立するグループを含んでよい。
【0018】
情報処理システムは、集団を定義、選択、又は、決定等でき、センサの計測値に基いて、決定した集団の状態を評価することができる。例えば、情報処理システムは、人と人との近接状態、及び/又は、人の滞在エリアの情報(以上、所定の基準)に基づいて、集団に計算対象として含まれる、複数の人と、計算の時間範囲を定義し、その範囲内において、複数の人が夫々装着した端末(装置)の計測データを利用して、集団の状態を指標化することができる。
【0019】
情報処理システムは、大別して、センサからの情報を集めて記憶する装置と、センサからの情報に基いて、集団の状態を分析、評価、又は、判定する計算機と、を備える。
図1に、情報処理システムの一例に係るブロック図を示す。情報処理システムは、ネットワーク10を中心にして、システムの領域内に滞在するユーザ(US:US1〜2)が夫々装着する端末(TR:TR1〜2)からのセンシングデータを取り込む基地局20と、端末の位置を検知する位置検知センサ18と、センサネットサーバ(記録装置)14と、アプリケーションサーバ(計算機)12とがネットワーク10に接続されている。さらに、ネットワーク10には、管理者のクライアント端末16が接続されている。
【0020】
端末TRはユーザに装着される。端末は、身体の動きに係るデータや、他の装着者との対面状態(インタラクション)に係るデータを取得する。前者のための手段は、例えば、加速度センサであってよい。加速度センサは、端末内のマイコンに身体の動きに関する、3軸加速度データを提供する。そして、後者のための手段は、例えば、赤外線の送受信回路である。ユーザ同士が近づく、或いは、対面すると各端末間で赤外線が送受信される。後者のための手段は、近距離無線送受信機、或いは、端末のカメラと顔認識プログラム等によって実現されてもよい。
【0021】
端末TRと基地局20間が無線接続されているため、複数の端末TR夫々が近い基地局と結びついてパーソナルエリアネットワーク(PAN)を形成している。赤外線送受信回路が端末間で赤外線をやり取りすることによって、端末が他の端末と対面したか否か、すなわち、端末を装着した人物が他の端末を装着した人物と対面したか否かが検出される。このため、端末は、人物の正面に装着されることが望ましい。
【0022】
位置検知センサ18は、ユーザ(US3)の端末(TR3)が近傍にあること、或いは、端末の滞在エリア、端末が特定エリアに滞在していることを判定するための手段を提供する。この手段は、既述の“後者のための手段”と同じでよい。
【0023】
端末は、無線又は有線によって、基地局20、そして、位置検知センサ18に接続する。基地局20は、端末から送信されたデータを、ネットワーク10を通じてセンサネットサーバ14に送信する。センサネットサーバ14は、データを累積保存する。位置検知センサ18も同様である。
【0024】
アプリケーションサーバ12は、定期的にセンサネットサーバ14からデータを取得し、所定の時間単位において、集団の状態に関する指標を算出する。集団は、所定の規則、所定の関係、所定の目的等の下で連携された複数の個人の集まりであってよい。集団の状態とは、集団に活気があるか否か、集団に協調性があるか否か、といった集団属性であってよい。指標とは、評価を表す値、又は、パラメータであってよい。クライアント端末16は、アプリケーションサーバ12から取得した集団状態の指標を画面(OD)に表示する。必要に応じて他の業務データと関連付けながら、相関分析などを行った結果を画面に表示してもよい。アプリケーションサーバ12とセンサネットサーバ14とは、計算機システムの一例である。
【0025】
次に、システムの構成要素の詳細な構成を説明する。
図2は、センサノードとしての端末の一例のブロック図である。端末は、大別して、制御モジュールと、記憶モジュールと、送受信モジュールと、を備えている。制御モジュールは、コンピュータの制御資源としてのCPUからなり、記憶モジュールは、半導体記憶装置や磁気記憶装置等のストレージ資源から構成される。送受信モジュール線・無線等のネットワークインタフェースから構成される。その他、端末は、時計等の周辺装置を備えていてよい。
【0026】
図に示す各ブロックは、ハードウェアによって実現されるモジュール、ソフトウェアによって実現されるモジュール、又は、ハードウェアとソフトウェアとの協動によって実現されるモジュールを示す。図の異なる6種類の矢印は、それぞれ、時刻同期、アソシエイト、取得したセンシングデータの格納、センシングデータの解析、ファームウェア更新、及び、制御信号のためのデータ又は信号の流れを表している。なお、これらのことは、後述の
図3,7においても同じである。
【0027】
端末は、個人が装着、或いは、携行しやすいように、例えば、カード型であってよい。端末は、複数の赤外線送受信モジュール(AB:AB1−4)、三軸加速度センサ(AC)、装着者の発話と周囲の音を検出するマイク(AD)、そして、端末の裏表を検知する照度センサ(LS1F、LS1B)、温度センサ(AE)等複数のセンサを備える。端末の温度センサ(AE)は端末のある場所の温度を、照度センサ(LS1F)は端末が向いている面の照度を取得する。これによって、端末は周囲の環境を記録することができる。例えば、温度及び照度に基づいて、端末が、ある場所から別の場所に移動したこと等を知ることもできる。
【0028】
端末は、赤外線送受信モジュール(AB:AB1−4)を4組備える。赤外線送受信モジュール(AB)は、端末の固有識別情報である端末情報(TRMT)を正面方向に向かって定期的に送信する。他の端末を装着した人物が略正面(例えば、正面又は斜め正面)に位置した場合、端末と他の端末は、それぞれの端末情報(TRMT)を赤外線通信を介して相互に送受信する。したがって、システムは、二つの端末からの情報に基いて、誰と誰とが対面しているのかを記録することができる。
【0029】
端末は、ユーザの活動環境の所定位置に設置された位置検知センサ(18:
図1)に、端末情報(TRMT)と位置情報を送信する。したがって、システムは、所定のエリアに滞在している端末(ユーザ)を検出することができる。
【0030】
赤外線送受信モジュール(AB)は、赤外線発光ダイオードと、赤外線フォトトランジスタとを備える。赤外線ID送信モジュール(IrID)は、端末のID情報(TRMT)を生成して赤外線送受信モジュールの赤外線発光ダイオードに転送する。複数の赤外線送受信モジュールに対して同一のデータが送信されて、全ての赤外線発光ダイオードが同時に点灯する。複数の赤外線送受信モジュールの夫々に対して、独立のタイミングにより、同一又は異なるデータが出力されてもよい。
【0031】
複数の赤外線フォトトランジスタのデータに対して、論理和回路(IROR)は、論理和を取得する。すなわち、最低一つの赤外線送受信モジュールが端末IDを受信していれば、端末は他の端末を認識する。なお、端末は、論理和回路(IROR)を廃して、受信回路を複数独立して備えてもよい。この態様では、端末は、複数の赤外線送受信モジュールの夫々の送受信状態を把握できるので、例えば、対面する別の端末がどの方向にいるかなど付加的な情報を得ることもできる。
【0032】
センシングデータ格納制御モジュール(SDCNT)は、センサによって検出したセンシングデータ(SENSD)を、記憶モジュール(STRG)に格納する。通信制御モジュール(TRCC)は、センシングデータ(SENSD)を送信パケットに加工し、送受信モジュール(TRSR)は、これを基地局(GW)に送信する。
【0033】
このとき、通信タイミング制御モジュール(TRTMG)は、記憶モジュール(STRG)からセンシングデータ(SENSD)を取り出し、無線又は有線による送信のタイミングを決定する。通信タイミング制御モジュール(TRTMG)は、複数のタイミングを決定する複数のタイムベース(TB1、TB2)を持つ。
【0034】
記憶モジュール(STRG)に格納されるデータには、その直前にセンサによって検出されたセンシングデータ(SENSD)の他、過去に蓄積した纏め送りデータ(CMBD)や、端末の動作プログラムであるファームウェアを更新するためのファームウェア更新データ(FMUD)がある。
【0035】
外部電源接続検出回路(PDET)は、外部電源(EPOW)が接続されたことを検出し、外部電源検出信号(PDETS)を生成する。タイムベース切替モジュール(TMGSEL)は、外部電源検出信号(PDETS)によって、タイミング制御モジュール(TRTMG)が生成する送信タイミングを切り替える。データ切替モジュール(TRDSEL)は、無線通信されるデータを切り替える。
【0036】
タイムベース切替モジュール(TMGSEL)は、送信タイミングを、タイムベース1(TB1)とタイムベース(TB2)の2つのタイムベースから、外部電源検出信号(PDETS)によって切り替える。
【0037】
データ切替モジュール(TRDSEL)は、通信されるデータを、センサから得たセンシングデータ(SENSD)と、過去に蓄積した纏め送りデータ(CMBD)と、ファームウェア更新データ(FMUD)とから、外部電源検出信号(PDETS)によって切り替える。
【0038】
照度センサ(LS1F、LS1B)は、端末(TR)の前面と裏面に夫々存在する。センシングデータ格納制御モジュール(SDCNT)は、照度センサ(LS1F、LS1B)により取得されるデータを記憶モジュール(STRG)に格納し、裏返り検知モジュール(FBDET)は、二つのデータを比較する。端末が正しく人に装着されているときは、前面に搭載されている照度センサ(LS1F)が外来光を受光し、裏面に搭載されている照度センサ(LS1B)は外来光を受光しない。したがって、照度センサ(LS1B)で検出される照度より、照度センサ(LS1F)で検出される照度の方が大きな値になる。一方で、端末の表裏が反対の場合には、大小が逆になる。裏返り検知モジュール(FBDET)が、端末の表裏が反対を検出すると、スピーカ(SP)から警告音を出力する。
【0039】
マイク(AD)は、音声情報を取得する。システムは、音声情報によって、「騒々しい」又は「静か」等の周囲の環境を知ることができる。さらに、システムは、人物の声を取得・分析することによって、コミュニケーションが活発か停滞しているのか、相互に対等に会話をやり取りしているか一方的に話しているのか、怒っているのか笑っているのか、などの対面コミュニケーションに関する行動指標を生成することができる。さらに、人物の立ち位置等の関係で赤外線送受信器(AB)が検出できなかった対面状態を、音声情報及び加速度情報によって補うこともできる。
【0040】
積分回路(AVG)は、マイク(AD)が取得した音声波形を積分する。積分の値は、取得した音声のエネルギに相当する。
【0041】
三軸加速度センサ(AC)は、ノードの加速度すなわちノードの動きを検出する。システムは、加速度データから、端末を装着した人物の動きの激しさや、歩行などの行動を解析することができる。さらに、システムは、複数の端末が検出した同時間帯の加速度の値を比較することによって、それらの端末を装着した人物間のコミュニケーションの活性度や相互のリズム、相互の相関等を解析する。
【0042】
センシングデータ格納制御モジュール(SDCNT)は、三軸加速度センサ(AC)が取得したデータを記憶モジュール(STRG)に格納する。
【0043】
端末は、入出力装置として、ボタン1〜3(BTN1〜3)、表示装置(LCDD)、スピーカ(SP)等を備える。
【0044】
記憶モジュール(STRG)は、ハードディスク、フラッシュメモリなどの不揮発記憶装置である。記憶モジュールは、端末の固有識別番号である端末情報(TRMT)、センシングの間隔、及び、ディスプレイへの出力内容等の動作設定(TRMA)を記録している。記憶モジュール(STRG)は一時的にデータを記録することができ、例えば、センシングしたデータを記録する。
【0045】
時計(TRCK)は、時刻情報(GWCSD)を保持し、一定間隔でその時刻情報(GWCSD)を更新する。時計(TRCK)は、時刻情報(GWCSD)が他の端末とずれることを防ぐために、基地局(20:
図1)から送信される時刻情報(GWCSD)によって定期的に時刻を修正する。
【0046】
センシングデータ格納制御モジュール(SDCNT)は、記憶モジュール(STRG)に記録された動作設定(TRMA)に従って、各センサのセンシング間隔などを制御し、取得したデータを管理する。
【0047】
時刻は、基地局(20:
図1)から時刻情報を取得して時計(TRCK)を修正することにより、時刻同期を行う。時刻同期は、後述するアソシエイトの直後に実行されてもよいし、基地局から送信された時刻同期コマンドに従って実行されてもよい。
【0048】
通信制御モジュール(TRCC)は、データを送受信する際に、送信間隔の制御、及び、無線の送受信に対応したデータフォーマットへの変換を行う。通信制御モジュール(TRCC)は、必要であれば、無線でなく有線による通信機能を備えてもよい。通信制御モジュール(TRCC)は、他の端末と送信タイミングが重ならないように輻輳制御を行うようにしてもよい。
【0049】
アソシエイト(TRTA)は、基地局(20:
図1)とパーソナルエリアネットワーク(PAN)を形成するためのアソシエイト要求(TRTAQ)と、アソシエイト応答(TRTAR)を送受信し、データを送信すべき基地局を決定する。アソシエイト(TRTA)は、端末の電源が投入されたとき、及び、端末が移動した結果それまでの基地局との送受信が絶たれたときに実行される。有線接続の場合には、端末が有線で基地局に接続されたことを検知したときに実行される。アソシエイト(TRTA)の結果、端末は、その端末からの無線信号が届く近い範囲にある一つの基地局(GW)と関連付けられる。
【0050】
送受信モジュール(TRSR)は、アンテナを備え、無線信号の送信及び受信を行う。必要があれば、送受信モジュール(TRSR)は、有線通信のためのコネクタを用いて送受信を行うこともできる。送受信モジュール(TRSR)によって送受信されるセンシングデータ・基本指標(SENSD)は、基地局(GW)との間でパーソナルエリアネットワーク(PAN)を介して転送される。
【0051】
表示制御(DISP)は、記憶モジュール(STRG)内の基本指標(TRIF)の値を表示装置(LCDD)に表示する。ボタン(BTN1〜3)の押下によって表示内容が切り替えられてもよい。
【0052】
図3は、センサネットサーバ(14:
図1)及び基地局(20:
図1)のブロック構成を示す。基地局20は、端末とセンサネットサーバ14を仲介する。端末と基地局が無線で接続される場合、無線の到達距離を考慮して、居室・職場等の領域をカバーするように複数の基地局が配置される。有線の場合には、基地局の処理能力に合わせて管理する端末の個数の上限が設定される。
【0053】
基地局20は、送受信モジュール(GWSR)、記憶モジュール(GWME)及び制御応答処理モジュール(GWCO)を備える。送受信モジュール(GWSR)は、端末からデータを無線又は有線にて受信し、センサネットサーバ14への有線又は無線による送信を行う。送受信に無線を用いる場合には、送受信モジュール(GWSR)は無線を受信するためのアンテナを備える。
【0054】
送受信モジュール(GWSR)は、必要に応じて、センシングデータの送受信の際にデータが欠損しないように輻輳制御、つまり通信のタイミング制御を行う。送受信モジュール(GWSR)は、受信したデータの種類を区別する。具体的には、受信したデータが一般のセンシングデータであるか、アソシエイトのためのデータであるか、時刻同期のレスポンスであるか等をデータのヘッダ部分から識別して、それらのデータをそれぞれ適切な機能に渡す。
【0055】
記憶モジュール(GWME)は、ハードディスク、メモリ、又はSDカードのような外部記録装置である。記憶モジュール(GWME)は、動作設定(GWMA)、データ形式情報(GWMF)、端末管理テーブル(GWTT)、基地局情報(GWMG)及び端末ファームウェア(GWTFD)を格納する。動作設定(GWMA)は、基地局20の動作方法を示す情報を含む。データ形式情報(GWMF)は、通信のためのデータ形式を示す情報、及び、センシングデータにタグを付けるために必要な情報を含む。端末管理テーブル(GWTT)は、現在アソシエイトできている配下の端末の端末情報(TRMT)、及び、それらの端末を管理するために配布しているローカルIDを含む。有線で端末と接続し、常時配下の端末(TR)を把握している必要がない場合には、端末管理テーブル(GWTT)は必須ではない。
【0056】
基地局情報(GWMG)は、基地局20自身のアドレスなどの情報を含む。端末ファームウェア(GWTFD)は、端末を動作させるためのプログラムを記憶し、センサネットサーバ14から命令と新規の端末ファームウェアを受け取った際に、ファームウェア更新データ(TRDFW)をパーソナルエリアネットワーク(PAN)を通じて端末に送信する(GWCFW)。
【0057】
記憶モジュール(GWME)は、制御モジュール(GWCO)のCPUによって実行されるプログラムを格納してよい。制御モジュール(GWCO)は、CPUを備える。CPUは記憶モジュール(GWME)に格納されているプログラムを実行して、端末(TR)からセンシングデータを受信するタイミング、センシングデータの処理、端末やセンサネットサーバ14への送受信のタイミング、及び、時刻同期のタイミングを管理する。具体的には、データ受信制御(GWCSR)、データ送信(GWCSS)、アソシエイト(GWCTA)、端末管理情報修正(GWCTF)、端末ファームウェア更新(GWCFW)及び時刻同期(GWCS)等の処理を実行する。
【0058】
時計(GWCK)は時刻情報を保持する。一定間隔でその時刻情報は更新される。具体的には、一定間隔でNTP(Network Time Protocol)サーバ(TS)から取得した時刻情報によって、時計(GWCK)の時刻情報が修正される。
【0059】
時刻同期(GWCS)は、一定間隔、又は、端末が基地局20と接続されたのをトリガとして、配下の端末に時刻情報を送信する。これによって、複数の端末と基地局20の時計(GWCK)の時刻が同期される。
【0060】
アソシエイト(GWCTA)は、端末から送られてきたアソシエイト要求(TRTAQ)に対して、割り付けたローカルIDを各端末に送信する、アソシエイト応答(TRTAR)を行う。アソシエイトが成立したら、アソシエイト(GWTA)は、端末管理テーブル(GWTT)を修正する端末管理情報修正(GWCTF)を行う。
【0061】
データ受信制御(GWCSR)は、端末から送られてきたセンシングデータ(SENSD)のパケットを受信する。データのパケットのヘッダを読み込み、データの種類を判別したり、同時に多数の端末からのデータが集中しないように輻輳制御したりする。
【0062】
データ送信(GWCSS)は、データが通過した基地局のIDやその時刻データを付与し、センシングデータをセンサネットサーバ14に送信する。
【0063】
センサネットサーバ14は、送受信モジュール(SSSR)、記憶モジュール(SSME)、及び、制御モジュール(SSCO)を備える。センサネットサーバ14は、全ての端末からのデータを管理する。具体的には、センサネットサーバ14は、基地局20から送られてくるセンシングデータをセンシングデータベース(SSDB)に所定の形式(SSMF)に基づいて格納する(SSCDB)。さらに、アプリケーションサーバ(12:
図1)からの要求に基づいてセンシングデータベース(SSDB)内のデータを検索し、アプリケーションサーバ12に送信する(SSDG)。
【0064】
さらに、また、センサネットサーバ14は、基地局20とその管理下にある端末の情報を随時管理し(SSCTF)、そして、端末のファームウェアを更新するための制御コマンドの起点となる(SSCFW)。
【0065】
送受信モジュール(SSSR)は、基地局20、アプリケーションサーバ12、及び、クライアント計算機(16:
図1)との間で、データの送信及び受信の通信制御を行う。
【0066】
記憶モジュール(SSME)は、ハードディスク等のデータ記憶装置によって構成され、少なくとも、センシングデータベース(SSDB)、データ形式情報(SSMF)、端末管理テーブル(SSTT)及び端末ファームウェア(SSFW)を格納する。さらに、記憶モジュール(SSME)は、制御モジュール(SSCO)のCPUによって実行されるプログラムを格納する。
【0067】
センシングデータベース(SSDB)は、各端末が取得したセンシングデータ、端末の情報、及び、各端末から送信されたセンシングデータが通過した基地局20の情報等を記録する。センシングデータベース(SSDB)は、加速度、近接情報、温度等、データの要素ごとにカラムによってデータを管理する。データの要素ごとにテーブルが存在してもよい。データベースにおいては、センシングデータは、端末情報(TRMT)と、検出時刻とに関連付けて管理される。
【0068】
センシングデータベース(SSDB)が保持する加速度データテーブル(ユーザごとのテーブル)の例を
図4(SSDB_ACC_1002:ACCは加速度データを表し、1002は、ユーザ(端末TR)のIDを表す。)に、赤外線データテーブルの2人分の例を
図5A(SSDB_IR_1002:IRは赤外線データ表し、1002はユーザIDを表す。)、
図5B(SSDB_IR_1003)に、加速度データから算出される1分ごとの場合の加速度周波数(または行動リズム)のテーブルの例を
図6(SSDB_ACCTP_1min)に示す。
【0069】
データ形式情報(SSMF)には、通信のためのデータ形式、基地局20でタグ付けされたセンシングデータを切り分けてデータベースに記録する方法、データの要求に対する対応方法を示す情報等が記録されている。制御モジュール(SSCO)は、データ受信の後、データ送信の前にはこのデータ形式情報(SSMF)を参照して、データ形式の変換とデータ振り分けを行う。
【0070】
端末管理テーブル(SSTT)は、どの端末が現在どの基地局20の管理下にあるかを記録する。制御モジュール(SSCO)は、基地局20の管理下に新たに端末が加わると端末管理テーブル(SSTT)を更新する。また、基地局(GW)と端末(TR)間を有線で接続する方式である場合には、制御モジュール(SSCO)は、非接続時には端末管理情報を監視していなくてもよい。
【0071】
端末ファームウェア(SSFW)は、端末を動作させるためのプログラムを記憶する。端末ファームウェア更新(SSCFW)は、端末ファームウェアを更新し、送信モジュールはネットワーク10を通じて、更新した端末ファームウェアを基地局20に送信する。基地局の送受信モジュールは、パーソナルエリアネットワーク(PAN)を通じて、更新された端末ファームウェアを端末に送信する。端末は、ファームウェアを更新する(
図2:FMUD)。
【0072】
制御モジュール(SSCO)は、CPUを備え、センシングデータの送受モジュールやデータベースへの記録・取り出しを制御する。具体的には、CPUが記憶モジュール(SSME)に格納されたプログラムを実行することによって、データ保管(SSCDB)、端末管理情報修正(SSCTF)、端末ファームウェア更新(SSCFW)及びデータ取得・送信(SSDG)等の処理を実行する。
【0073】
データ保管(SSCDB)は、基地局20から送られてきたセンシングデータを受け取り、センシングデータベース(SSDB)に格納する。データ保管(SSCDB)は、時刻情報や端末ID、基地局を経由した時刻などの付加情報を合わせて1レコードとして、データベースに格納する。
【0074】
時計(SSCK)は、外部NTPサーバ(TS)と定期的に接続することによって、標準時刻を保持している。指定された時刻、又は、特定の条件が満たされたときに、端末ファームウェア更新(SSCFW)やデータ送信(SSDG)がタイマ起動(SSTK)されてもよい。
【0075】
端末管理情報修正(SSCTF)は、基地局20から端末管理情報を修正するコマンドを受け取った際に、端末管理テーブル(SSTT)を更新する。端末管理テーブル(SSTT)は、各基地局20の配下にある端末のリストを備える。
【0076】
端末ファームウェア更新(SSCFW)は、手動又は自動で、端末のファームウェアを更新する必要が生じた際に、記憶モジュール(SSME)内の端末ファームウェア(SSFW)を更新する。さらに、端末ファームウェア更新(SSCFW)は、基地局20に配下の端末のファームウェアを更新する命令を出す。端末ファームウェア更新(SSCFW)は、各端末からファームウェア更新が完了したというレスポンスを受け取る。端末ファームウェア更新(SSCFW)は、全ての端末の更新が完了するまで、更新を続ける。
【0077】
設定ファイル(SSSF)は、センサネットサーバ(SS)によって管理される、基地局20とその管理下にある端末(TR)の情報が保管される。設定ファイル(SSSF)が修正された場合には、端末ファームウェア更新(SSCFW)の経路を用いて、端末(TR)内の設定ファイル(TRSF)を更新する。
【0078】
既述の
図4は、センサネットサーバ14内のセンシングデータベース(SSDB)に格納されるセンシングデータの例として、加速度データテーブル(SSDB_ACC_1002)である。このテーブルは、端末が取得したセンシングデータそのものを記録している。このテーブルは、端末(ユーザ)ごと存在し、サンプリング周期(例えば0.02秒)ごとに時刻情報(DBTM)と対応付けてX軸(DBAX)、Y軸(DBAY)、Z軸(DBAZ)の三軸方向それぞれの加速度データを格納している。
【0079】
なお、テーブルは、加速度センサの検出値そのものを格納してもよいし、単位を重力定数[G]に変換した後の値を格納してもよい。このテーブルは、センシング時刻を記録している。ユーザIDを示すカラムによって、テーブルは、複数のユーザを統合した形態から構成されてもよい。
【0080】
センシングデータベース(SSDB)には、複数のユーザ夫々の複数種類のセンシングデータが記録されている。そのうち、赤外線送受信による対面データを纏めたテーブルの例が、既述の
図5A、
図5Bである。
図5Aは、IDが1002である端末が取得したデータを集めたテーブルである。
図5Bは、IDが1003である端末が取得したデータを集めたテーブルである。ID002の端末とID003の端末とが対面している。カラムに赤外線受信側IDがあれば、端末ごとにテーブルを分けなくてもよい。加速度や温度などのデータもテーブルに含まれていてよい。
【0081】
図5A、
図5Bの対面テーブルは、夫々、端末がデータを送信した時刻(DBTM)と、赤外線送信側ID(DBR1)とそのIDからの受信回数(DBN1)を格納している(RE01,RE02・・・・・)。受信回数は、10秒ごとに、どの端末から何回赤外線を受信したかを表している。一つの端末が複数の端末と対面した場合にも、一つの記録間隔(10秒)内で複数の端末夫々のIDがテーブルに記録される。対面がない、即ち、端末に他の端末からの赤外線を受信していない場合には、端末は、受信回数のカラムにnullを記録する。
【0082】
図6は、
図4の加速度データテーブル(SSDB_ACC)から、所定の時間単位ごとの周波数を算出した結果を格納した、加速度周波数テーブル(SSDB)の一例である(SSDB_ACCTP_1min)。加速度周波数テーブル(SSDB_ACCTP_1min)は、加速度データテーブル(SSDB_ACC)を元にして、各ユーザ(US)の一定時間(たとえば1分)ごとの周波数の計算結果が、1分ごとの時刻とユーザIDと対応付けて記録されている。なお、データを格納する形式はテーブル以外にも、CSVファイルなど他の形態でもよい。
【0083】
図7に、クライアント計算機16、アプリケーションサーバ12、及び、位置検知センサ18(以上、
図1を参照のこと)のハードウエアブロック構成を示す。
【0084】
クライアント計算機16は、管理ユーザとの接点として、データを入出力する。クライアント計算機16は、入出力モジュール(CLIO)、送受信モジュール(CLSR)、記憶モジュール(図示省略)、制御モジュール(CLCO)を備える。
【0085】
入出力モジュール(CLIO)は、管理ユーザとのインタフェースである。入出力モジュール(CLIO)は、ディスプレイ(CLOD)、タッチパネル(CLIT)、キーボード(CLIK)、及び、マウス(CLIM)等を備える。必要に応じて外部入出力(CLIU)に他の入出力装置を接続してもよい。
【0086】
ディスプレイ(CLOD)は、CRT(Cathode−Ray Tube)、又は、液晶ディスプレイである。ディスプレイ(CLOD)は、プリンタを含んでもよい。タッチパネル(CLIT)は、ユーザによる入力を支援する。タッチパネル(CLIT)をディスプレイ(CLOD)の画面(OD:
図1)に重ねて、出力と入力が同じ画面上で行えるようにしてもよい。
【0087】
送受信モジュール(CLSR)は、アプリケーションサーバ12や他のネットワークに接続した機器との間でデータや命令を送受信する。具体的には、送受信モジュール(CLSR)は、表示する画面のリクエストをアプリケーションサーバ12に送信し、リクエストに対応する画像を受信する。
【0088】
記憶モジュール(図示なし)は、ハードディスク、メモリ、又は、SDカードのような外部記録装置で構成される。記憶モジュールは、表示の履歴や、管理ユーザのログインIDなどを保存させても良い。
【0089】
制御モジュール(CLCO)は、CPUを備え、ディスプレイ(CLOD)などに出力するための画面のコントロール(CLCOD)や、管理ユーザがアプリケーションサーバ12に分析条件の変更を伝えるための分析条件設定(CLCS)等のプロセスを行う。
【0090】
アプリケーションサーバ12は、集団状態の指標の計算(ASGD)やクライアント計算機16に表示する画面の生成(ASCD)、位置検知センサ18の管理(ASML)などを行う。アプリケーションサーバ12は、送受信モジュール(ASSR)、記憶モジュール(ASME)、及び、制御モジュール(ASCO)を備える。
【0091】
送受信モジュール(ASSR)は、ネットワーク10を通じて、センサネットサーバ14、NTPサーバ(TS)、クライアント16、及び、位置検知センサ18等との間でデータの送信及び受信の通信制御を行う。
【0092】
記憶モジュール(ASME)は、ハードディスク、メモリ、又は、SDカードのような外部記録装置で構成される。記憶モジュール(ASME)は、計算した結果の値や、計算のためのプログラム、その他画面生成に関するデータを格納する。具体的には、記憶モジュール(ASME)は、位置検知センサ情報(ASLI)、表示設定ファイル(ASDF)、集団状態データ(ASGS)、ユーザ属性リスト(ASUL)、エリア判定データ(ASAD)、近接判定データ(ASND)を格納する。
【0093】
位置検知センサ情報(ASLI)は、管理下にある位置検知センサ18のIDや設置されたエリア、稼働状況などを記録する。
【0094】
表示設定ファイル(ASDF)は、表示画面生成(ASCD)において画面デザインに用いる画像パーツや表示位置などの設定を記録する。
【0095】
集団状態データ(ASGS)は、特定のエリア、又は、人に関わる集団の集団状態指標を格納したものである。特定のエリアに滞在した人々に関する集団状態データの例を
図16に示す(ASGS_1)。エリアには1つ、又は、それ以上の位置検知センサ(LS)が設置されており、位置検知センサ情報(ASLI)によって対応付けられている。計算対象となるデータは、エリア判定データ(ASAD)におけるエリアの滞在者と時間範囲の定義によって決定される。
【0096】
集団状態データのテーブル(
図8:ASGS_1)は、集団状態指標の計算対象とする開始時刻(GS001)と終了時刻(GS002)、エリア名(GS003)、計算された集団状態指標の値(GS004)、その計算の対象となったデータのユーザIDとデータカウント数(GS005)などを記録する。集団状態データが、特定の人物の周囲の人々の集団状態を示す場合には、
図9に示す集団状態データ_人起点(ASGS_2)のような形式になる。集団状態データ_エリア起点のテーブル(ASGS_1)との主な違いは、エリアIDの代わりに人物ID(GS103)が記載されている点である。さらに、近接判定データ(ASND)は、開始時刻(GS101)から終了時刻(GS102)の間にこの人物と近接したと記述された人物と近接した時間に関する情報(GS105)を格納する。
【0097】
ユーザ属性リスト(ASUL)は、端末のIDと、その端末を装着したユーザの氏名・ユーザID・所属、メールアドレス、属性等との対照表を含む。ユーザ属性リスト(ASUL)は、人物間の対面時に相手から受信したIDを氏名と関連付け、所定の部署に属する人物の検索、ユーザがクライアント計算機経由でWebにログインするための認証について、参照される。
図10にその具体例を示す。
【0098】
具体例は、ユーザ名(ASUIT2)を、ユーザ番号(ASUIT1)と、所持している端末ID(ASUIT3)と関連付け、所属するプロジェクト(ASUIT4)とその期間の開始(ASUIT5)と終了(ASUIT6)の情報を有する。所属プロジェクト(ASUIT4)が変更されるときには、同じユーザ番号(ASUIT1)に関連付けて、変更前後のプロジェクト(ASUIT4)と期間(ASUIT5、ASUIT6)を記載する。
【0099】
エリア判定データ(ASAD)は、時刻と、ユーザが滞在したエリアを示す。近接判定データ(ASND)は同様にその時刻に近接した人物を示す。これらは別々のファイルでもよいし、一体のファイルでもよい。一体とした場合の形式例を
図11に示す。エリア判定データは、センサネットサーバ14から取得(ASSG)した、センサデータのうちの各時刻のユーザの加速度周波数(t0804)やその活動状態判定結果(t0805)を含んでもよい。
【0100】
制御モジュール(ASCO)は、CPUを備え、データの計算、画面生成、位置検知センサ管理などのプロセスを実行する。アプリケーションサーバ12は時計(ASCK)を有しており、外部のNTPサーバ(TS)などに接続して正確な時刻を維持する。制御モジュール(ASCO)は、各プログラムに対して予め設定した時刻になるとタイマ起動(ASTK)し、制御モジュール(ASCO)内のプログラムを実行する。なお、プログラムの起動方法は、手動、もしくは、クライアント16からの指示を契機とするものでもよいし、センサネットサーバ14から送信されてきたデータが特定のパターンであったことをトリガとするものでもよい。
【0101】
集団状態指標を計算するプロセスは、センサデータ取得し(ASSG)、近接判定(ASNF)とエリア判定(ASAF)の両方もしくはいずれか一方を行い、計算対象とする集団を定義し(ASGA)、集団状態を計算し(ASGD)、計算結果を集団状態データ(ASGS)に格納することを含む。詳細を
図12のシーケンス図、
図13のフローチャートを用いて後述する。
【0102】
制御モジュール(ASCO)は、表示画面生成(ASCD)において、必要に応じて取得済みのセンサデータ、その他外部から取得した業務データなどと関連付けて、集団状態データ(ASGS)の集団状態指標をグラフなど態様で生成して、これを画面データに表示する。この際、表示設定ファイル(ASDF)を参照して、生成した画面をクライアント16に送信し、クライアントは、ディスプレイ(CLOD)に表示(CLCOD)する。
【0103】
位置検知センサ管理(ASML)は、管理下にある位置検知センサ18のIDや設置されたエリア、稼働状況などを管理し、位置検知センサ情報(ASLI)に記録する。また、位置検知センサ18に動作・停止等の命令を送ってもよい。位置検知センサ管理(ASML)はアプリケーションサーバ12ではなくセンサネットサーバ14や独自の外部サーバに属してもよいし、位置検知情報を端末側において管理する場合には、存在しなくてもよい。
【0104】
位置検知センサ18は、所定のエリアに滞在するユーザを特定するための装置であり、送受信モジュール(LSSR)、制御モジュール(LSCO)、記憶モジュール(図示省略)、無線送受信機(図示省略)を有する。
【0105】
制御モジュール(LSCO)は、赤外線や無線などの無線送受信機(図示省略)によって端末と通信し(LSWS)、通信が成立した際には端末の所有者であるユーザが所定のエリアに滞在したと判断し、時刻情報と紐づけてデータを記憶モジュール(図示省略)に記憶し、その情報をアプリケーションサーバ12に送信する。
【0106】
位置検知センサ18は、無線機能を有するものでなく、カメラのような画像と顔認識プログラムなどによって、エリアに滞在するユーザを特定してもよい。また、位置検知情報は端末が受け取ることでもよい。この場合には、ユーザと滞在エリア、時刻を関連付けた情報は端末からセンサネットサーバ14に送信されてもよく、位置検知センサ18はネットワーク10から切り離されていてもよい。
【0107】
情報処理システムが、複数の人の計測データに基づいて、この複数の人が関係、或いは、関与する集団の活動状態の指標を計算するために、情報処理システムは、集団を定義、選択、決定し、或いは、設定し、例えば、複数の選択肢の中から集団を決定し、次いで、指標を計算するための複数の人の範囲、時間の範囲等の計算対象範囲を定め、その範囲に含まれる、計測データ(例えば、ウエアラブルセンサの計測データ)を抽出し、次いで、その計測データに基いて、集団の活動状態の指標を演算する。情報処理システムは、指標の値の大小に基いて、集団の活動状態の優劣、即ち、集団が活性した状態にあるか、集団が沈滞した状態なのかを判定し、或いは、この判定をユーザの判断に委ねることができる。情報処理システムは、集団を決定するための基準を複数かつ柔軟に提供できることにおいて、従来のシステムに対して有利である。集団を決定するための基準として、例えば、特定エリア(会議室、会場等)、特定の人がある。情報処理システムは、前者においては、特定エリアに所在する複数の人を集団と定義し、後者においては、特定人に近づいた複数の人を集団と定義する。情報処理システムは、職制上の集団、例えば、部、課等と異なり、見えづらかった集団、例えば、プロジェクトチーム、有志の集まり、意欲的な複数の人間のチームワークといった、“柔軟性を備えた集団”を顕在化させ、かつ、これを評価することができる。
【0108】
図12は、アプリケーションサーバ12がセンサデータを取得(ASSG)し、エリアの判定(ASAF)までのデータ処理を示すシーケンス図である。アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、タイマ起動(ASTK)、又は、管理者からの起動命令によりシーケンスを開始し、センサネットサーバ14に、計算対象とする部署(人の範囲)、期間、データの種類、時間粒度などのパラメータを指定してセンサデータのリクエスト(ST1)を送信する。
【0109】
センサネットサーバ制御モジュール(SSCO)は、このリクエストに基づいて、センサネットサーバ記憶モジュール(SSME)にアクセス(ST2)し、リクエストに対応するセンシングデータをセンシングデータベース(SSDB)から取得する(ST3)。センサネットサーバ制御モジュール(SSCO)は、センシングデータをアプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)に送信する(ST4)。
【0110】
アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、近接判定(ASNF)においては、ユーザ間の近接に関するデータ、例えば、赤外線による対面データや端末間の近距離無線によるデータを用い、所定の時間範囲、例えば、日ごとに特定のユーザと近接したと言える他のユーザを抽出する(ASNF2)。近接データが、ユーザの身体の向きなどによって、連続でないことがあるため、アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、欠けの部分をスムージングして補ってもよい(ASNF1)。
【0111】
アプリケーションサーバは、近接者抽出(ASNF2)の際には、近接していた相手と近接した時間を
図11のように対応付けて記録モジュール(ASME)に格納してもよいし、1日で最も長い時間近接していた上位3数名のみを格納してもよい。また、各時刻の二者間の近接有無を列(t0808)のように二値で記述するのではなく、近接の度合いを段階的に記述しておいてもよい。アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、このようにして抽出された近接判定データを、近接者のIDを時刻情報、又は、日付情報と関連付けて、アプリケーションサーバ記憶モジュール(ASME)に近接判定データ(ASND)として格納する(ST5)。
【0112】
アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、同様にして、エリア判定(ASAF)では、位置検知センサ18によって取得されたユーザの滞在エリアに関するデータを用い、所定の時間範囲、例えば、日ごとに特定のエリアに滞在していたユーザを抽出する(ASAF2)。その際、エリア滞在データは身体の向きなどによって連続的でないことがあるため、欠けをスムージングして補ってもよい(ASAF1)。エリア滞在者抽出(ASAF2)においては、滞在していたユーザ(US)とその時間を
図11のように対応付けて格納してもよいし、1日で所定の時間以上滞在した人を全て抽出してもよい。このようにして抽出されたエリア判定データは、アプリケーションサーバ記憶モジュール(ASME)に、滞在者のIDを時刻情報、又は、日付情報と関連付けてエリア判定データ(ASAD)として格納される(ST6)。
【0113】
図13に、集団定義(ASGA)と集団状態計算(ASGD)のフローチャートを示す。アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、フローチャートの開始後、個人・時間単位ごとで、加速度センサが検出した加速度周波数を、予め定めた閾値と比較し、加速度周波数が閾値以上であった場合には、個人の状態が活動状態にある、と判定し、閾値未満であった場合には、静止状態(非活動状態)にある、と判定する(GD01)。
【0114】
その例として、
図11の列(t0804)から(t0805)を導出する手順を示す。この際の閾値は全員一律ではなく、各々の1日の加速度周波数などを閾値として個人別に設けたり、職種によって定義したりしてもよい。また、時間単位を、
図11のように1分としているが、これに限定されるものではない。
図11の活動状態(t0805)の“1”が活動状態を示し、“0”が非活動状態を示す。加速度周波数が閾値以上である時間幅が活動持続時間である。
【0115】
なお、個人の活動状態の検出のためのセンサとして、加速度センサは一例であって、その他、個人の発言の大小を検出するマイクを当該センサとしてもよい。
【0116】
次いで、アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、集団を定義するための基準を、エリアとするか、又は、人物とするかを選択する(GD02)。この区別は、一例であって限定されない。この区別は、管理ユーザによって選択されてもよい。
【0117】
アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、エリアを起点とする、ことを選択すると、対象とするエリアを指定し(GD03)、集団状態を数値化する際の対象時間範囲を指定する(GD04)。対象時間範囲は、例えば、1日単位で1つの集団状態指標を算出する場合には、同日の0時から24時である。
【0118】
アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、指標の計算のための、エリア対象者と時間範囲とを指定する(GD05)。エリア対象者とは、特定エリアに入場する可能性がある人物でよい。例えば、部、課に所属する人物である。
【0119】
アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、エリア判定データ(ASAD)を参照して対象時間範囲内に所定のエリアに滞在した記録のあるユーザを抽出し、このユーザが当該エリアに滞在していた開始時刻と終了時刻も抽出することで、エリアに滞在していた間のユーザの活動状態データを計算対象範囲にすることができる。
【0120】
ステップ(GD05)における計算対象範囲を決定するための一態様を
図14に基いて説明する。
図14には、対象時間範囲(t
S〜t
E)にエリアに滞在した記録のある複数のユーザ(User01〜User05)の夫々が、時間単位において、活動状態であったか静止状態であったかと、活動状態の持続時間(秒)が示されている。
図14において、IN:エリアへの入場のタイミング、OUT:エリアからの退場のタイミング、を示している。対象時間範囲(t
S〜t
E)に、IN、OUTの記述がないのは、対象時間範囲(t
S〜t
E)において、既にエリアに入場していること、また、エリアから退場していないことを示す。原則として、t
S、又は、INの早い方と、t
E、又は、OUTの遅い方との間での「持続時間」が指標の計算のために利用される。
【0121】
User04のように、INからOUTまでの時間がt
S〜t
Eに含まれている態様では、INからOUTまでのデータが集団の活動状態の計算対象範囲になり、アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、User04の計算開始時刻をINのタイミングに、計算終了時刻をOUTのタイミングに設定する。
【0122】
User01のように、INの時刻はt
Sよりも前で、OUTの時刻がtsとt
Eの間である態様では、計算終了時刻はOUTの時刻になり、一方、t
Sの時刻おいて、それ以前から活動状態が持続している場合には、活動持続状態が完了した次の活動状態の開始のタイミング、或いは、先の活動持続状態が終了したタイミングが計算開始時刻として定義される。このようにするのは、t
S以前の活動状態が、t
S以後の活動とは関係がないか、或いは、関係が薄い可能性があるためである。しかしこれは、強制ではなく、t
Sを計算開始のタイミングとしてもよい。
【0123】
User02,03,05のように、時刻t
Eにおいて、ユーザがエリアから退場することなく、活動状態が持続されている態様では、活動持続状態が完了する時刻(t
Eより遅い時刻)が計算終了のタイミングになる。これは、
図13に於ける、次の手順(GD06)、(GD07)において、持続時間のカウントを一律にt
Eで停止すると、実体的には、個人の活動持続状態が続いているにも拘わらず、その途中でカウントが打ち切られるのを防ぐためである。後述の手順(GD06)において生成される、活動持続時間のヒストグラム(統計的分布形状の一例)においては、長い活動持続時間が生じる頻度が少ないことから、これが一回でも生じると分布の形状に与える影響が大きく、集団状態指標の数値が大きく変動する。
【0124】
なお、手順(GD05)において、アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、対象時間範囲(t
S〜t
E)にエリアに所定時間以上滞在していれば、t
S以後にエリアに入場したか否かに拘わらず、そして、t
E以前にエリアから退場したか否かに拘わらず、t
S〜t
Eでの全ての持続時間を計算対象としてもよい。
【0125】
アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、(GD05)の手順に続いて、エリア滞在者について、計算開始時刻から計算終了時刻までの間の活動持続時間のカウント数を合計したヒストグラムを生成(GD06)し、ヒストグラムの分布特性を、集団状態指標として、算出(GD07)し、その指標を集団状態データ(ASGS)に格納して(GD08)、一連の処理を終了する。
【0126】
手順(GD06)において、生成されるヒストグラムの形態の一例を
図15(エリア:大会議室、期間5/12 9:00-1700)に示す。アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、集団状態指標の算出の対象となった複数のユーザ夫々について、算出対象期間内の活動持続時間を全て合計して累積値を算出し、活動持続時間Tと累積発生比率Pとのヒストグラムを作成する。
図15は、活動持続時間Tを横軸に、その累積発生比率Pを縦軸にして、これら両方を対数にしたグラフである。アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、活動持続時間に、個人の加速度周波数の平均値等に応じた重みを付けたり、或いは、活動持続時間を正規化した後にヒストグラムの重ね合わせを行ってもよい。
【0127】
アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、手順(GD07)において、この分布の形状に関する特徴量、例えば、活動持続時間Tが特定の値や範囲における、発生比率の値、特定の区間の傾きや変曲率、カットオフの位置等の一つ又は複数を算出し、それらを変数とする所定の関数によって集団状態の指標の値を算出する。所定の関数は、別途ユーザ(US)から取得した、個人のストレスや生産性などに関するアンケートの結果の値と一致するように、上記特徴量に係数を掛ける等して事前に定義されてよい。ヒストグラムの分布の形状の特徴量に基いて、指標の値を算出することは、既述の特許文献1,2で開示された手法に沿って行われてもよい。なお、ヒストグラムに基づいて、集団の指標を求めるのは、一例であって、これに限定されるものではない。
【0128】
上記の一例として、活性化した集団のヒストグラムを定義した上で、その活性化した集団のヒストグラムと比べて、活動持続時間が長いTの発生比率が少ない場合、又は活動持続時間が短いTの発生比率が多い場合は、活性化していない集団とみなすことができる。具体例としては、物事に集中している継続時間が極めて短く断片的である人が多い集団は、活性化していない可能性が高いということになる。
【0129】
手順(GD02)において、アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)が、人物を基準とする集団を選択すると、人物の個性、役割等の特徴に起因して、集団の基準になった人物に接近してくる動的な集団の状態を示す指標を算出することができる。この場合、手順(GD03〜GD05)と同様に、アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、基準となる人物を選択し(GD13)、GD04と同様に対象時間範囲(t
S〜t
E)を指定(GD14)した後に、近接判定データ(ASND)に基づいて、基準となる人物に対象時間範囲(t
S〜t
E)内に近接した人物と、その計算に用いる時間範囲を決定する(GD15)。
【0130】
手順(GD15)における計算対象範囲を決定する態様の一例を、
図16を用いて説明する。
図16は、基準とする人物をUser01とし、User01と各人物が近接を開始した時刻を「Start」、近接を終了させた時刻を「End」として示している。
図14では特定エリアでの滞在を基準としていたが、同様の方法で、User01と近接している時間範囲が各ユーザ(US)の計算対象範囲として定義される。User01自身について、対象時間範囲(t
S〜t
E)の全てが計算対象範囲として定義される。
【0131】
図16に示すように、User01に近接するユーザごとに計算対象範囲が決まる。User02、User03、User05について、「Start」が属する活動状態から「End」が属する活動状態までを含む活動状態の持続時間が計算対象である。User03について、t
Eの後「End」が発生しているが、t
Eの時点で活動状態が持続しているため、この活動状態の持続時間も計算対象にする。User04について、t
Sの前に「Start」が発生し、t
Sの時点活動状態が持続していても、これを活動状態の持続時間の計算対象に含めない。
【0132】
手順(GD15)において、User別に計算対象時刻を設定せず、対象時間範囲(t
S〜t
E)に基準となる人物(User01)と所定時間以上近接した人(User02〜User05)のt
S〜t
Eでの持続時間を計算対象としてもよい。この理由は、User01と所定時間以上近接していた人物は、近接が検知されなかった時間帯(「Start」から「End」の範囲外)でも、同じフロア等比較的近い位置にいた可能性が高いと想定されるためである。
【0133】
アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、手順(GD15)で定義された対象者とそれぞれに対応する計算対象時間内の活動持続時間のデータを用いて、前述と 同じ手順(GD06〜GD08)を実施する。
【0134】
次に、既述の表示画面生成(ASCD)によって生成されるWebアプリケーションの表示画面(OD)の例を示す。
図17A、
図17B、
図17Cに、特定の動的集団の集団状態指標の値の変化を折れ線グラフによって可視化した態様を示す。
図17Aの人物基準集団データ(OD01:動的集団の指標)は、
図13の手順(GD02)で人物を基準とすることを選択したことに起因するデータを示し、
図17Bの所属基準集団データ(OD02:固定的集団の指標)は、
図10の所属プロジェクト(ASUIT4)の定義に従って、閲覧者(User0203)の所属する集団に起因するデータを示し、
図17Cのエリア基準集団データ(OD03:動的集団の指標)は
図13の手順(GD02)でエリアを基準とすることに起因するデータを示している。
図17A、
図17B、
図17Cにおいて、対象時間範囲は1日であり、夫々のデータの変化が示されている。
【0135】
これらデータにおいて、日によって、指標の計算の対象となる対象者は変わることもあり、その場合、図に示すように、アプリケーションサーバ12は、データテーブルを参照して対象者を抽出して、これを吹き出しなどで表示してもよい。これによって、人物基準集団データ(
図17A:OD01)や所属プロジェクト(
図17B:ASUIT4)においては、ユーザ(User03)が自身を中心にした周囲との係りの活動具合、例えば、元気さや疲労度合い等の程度の強弱を、グラフの変化から直感的に認識し易いというメリットがある。
【0136】
エリア基準集団データ(
図17C:OD03)においては、アプリケーションサーバ12は、データテーブルを参照して対象者を抽出して、会議の参加者数、会議の議題をグラフに重ねて表示できる。例えば、エリアごとの指標を比較することによって、机の配置や壁紙など、エリアのレイアウト変更に役立たせることができる。
【0137】
次に、
図14の他の形態について説明する。
図18は、
図14の集団状態計算ブロック(ASGD)のステップ(GD07)とステップ(GD08)との間に、ステップ(ST100)を加えたフローチャートを示す。このステップ(ST100)は、集団状態指標の変化のグラフ(
図17)に、当該指標の差分を表示させるための処理である。この表示例を
図19に示す。この表示例は、対象期間(例えば、2/21〜2/24)の集団状態指標(積分値)が、比較期間(例えば、対象期間の一週間前、或いは、一月前の同じ日数)の集団状態指標(積分値)に対して、どれくらい、増えているのか、減っているのか等の差分に係るテキストの吹き出し(差分表示)を含んでいる。
【0138】
差分の表示を実現するために、例えば、アプリケーションサーバ12は、複数の対象期間について差分を計算し、夫々の比較期間に対して所定以上の差分を持った対象期間に対して、吹き出しを表示させる。対象期間、及び、比較期間は、このように、アプリケーションサーバ12が決定してもよいし、管理ユーザが選択してもよい。
【0139】
アプリケーションサーバ12は、差分の原因を計算して、グラフにこれを合わせて表示する。
図19において、「先週比マイナス○%ダウン」が差分であり、「先週に比べて、Aさんの関与が低いようです」が原因に対応する。アプリケーションサーバ12は、差分に影響を与える特徴量(たとえば、集団の構成員、構成員の関与度)に基づいて、原因を特定する。関与度とは、集団状態の指標に与える、集団のメンバのセンサデータ(近接情報)の影響度合いである。
【0140】
図20は表示例の他の形態に係る、指標の変化を示したグラフである。先の表示例(
図19)が人物を基準とした集団のデータであるのに対して、この表示例は、特定エリアを基準とした集団のデータに関係するものである。「2/21〜2/24:計算対象のべ50名」とは、対象期間に於ける集団を説明するものであり、「先週比○%アップ」が差分であり、「先月に比べて、BさんとCさん滞在率(関与)が増えているようです」が原因に対応する。比較期間は、例えば、日次、週次、月次、及び、年次の一つ又は複数でよい。
【0141】
図20の表示例において、アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、エリアでの滞在時間に基いて、既述の原因を演算してもよい。アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、位置検知センサ18の検出値のデータベースを走査して、前回期間(2/21〜2/24)における、人物A−Cごとのエリア滞在時間(関与度):
図22(1))と、今回期間(2/14〜2/17)における、人物A−Dごとのエリア滞在時間(関与度):
図22(2))とを夫々特定し、両者の差分を計算する。
図22(3)は、この差分を纏めたテーブルであり、例えば、(A:+50)とは、Aの関与度が50%上昇していることを示し、マイナスの値は、関与度が低下していることを示している。アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、関与度の増減の絶対値を閾値と比較し、閾値を超えた場合に、対応するメッセージ(
図22(4)参照)をグラフに重ねて表示する。
【0142】
次に、集団状態の指標の差分に与える原因を特定するための手法の他の形態について説明する。既述の形態では、アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、人物を基準とする集団の形態では、中心人物の周りの複数の周辺人物ごとの影響を分析し、エリアを基準とする集団の形態では、エリア内に滞在した複数の人物ごとの影響を分析した。これに対して、他の形態では、アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、中心人物の周りの人物同士、又は、エリアに滞在する人物同士での近接時間(対面時間)を前期間と今回期間とで比較して原因を特定する。
図21において、(1)は、前時間帯における、人物間の関与度であり、例えば、“A−B”は、人物Aと人物Bとの間の近接時間(関与度)を示す。(2)は、今回時間帯における、人物間の関与度である。アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、両時間帯の関与度を比較し(
図21(3))、結果を閾値と比べて、所定のメッセージ(
図21(4))をグラフに重ねて表示する。
【0143】
人物を基準にする集団において、アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)が基準人物に対する近接人物同士の接近、又は、対面をクラスタリング(
図23のST200)することにより、人物の基準の集団に関連した動的集団を顕出させることができる。
【0144】
ケース1として、AとB,AとC、AとD、BとC、BとD、CとDが接近している態様を想定する(A−Dは夫々同一グループの近接人物)。アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、周辺人物間の近接データからA−Dも互いに接近していることを判定して、A−D全てが基準人物を含めて、一つの所属プロジェクト(一つのグループ:
図19、
図21、
図24の所属プロジェクト2)に属していると判定する。
【0145】
次に、ケース2として、AとB,CとDは接近するが、それ以外の接近はない、ことを想定する。アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、基準人物とA−Dとからなるグループ(所属プロジェクト2)以外に、基準人物,A,Bのグループ(所属プロジェクト1)、そして、基準人物、C,Dのグループ(所属プロジェクト3)とが存在していることを見出すことができる。なお、アプリケーションサーバ制御モジュール(ASCO)は、所属プロジェクト1,3のグラフを所属プロジェクト2と同じように生成する。
【0146】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形実施可能であり、上述した各実施形態を適宜組み合わせることが可能であることは、当業者に理解される。