特許第6837182号(P6837182)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837182
(24)【登録日】2021年2月10日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】軌条車両の台枠構造及び軌条車両
(51)【国際特許分類】
   B61F 1/00 20060101AFI20210222BHJP
   B61F 5/02 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   B61F1/00
   B61F5/02 Z
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2020-509547(P2020-509547)
(86)(22)【出願日】2018年10月11日
(86)【国際出願番号】JP2018037904
(87)【国際公開番号】WO2020075264
(87)【国際公開日】20200416
【審査請求日】2020年2月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 宗太
(72)【発明者】
【氏名】是石 一任
(72)【発明者】
【氏名】用田 敏彦
【審査官】 林 政道
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/157464(WO,A1)
【文献】 特開2018−58387(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第2500231(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61F 1/00
B61F 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
側梁と枕梁とを有し、前記枕梁を介して台車に連結される軌条車両の台枠構造において、
前記側梁に取り付けられ、車両長手方向に沿って並んだ複数の凸部を備えたアダプターを有し、
前記枕梁がキーを備えており、
前記キーが前記アダプターの凸部の間に配置され、前記キーと前記凸部とが車両長手方向に延在するボルトを用いて締結されている、
ことを特徴とする台枠構造。
【請求項2】
請求項1に記載の台枠構造において、
前記アダプターの凸部の少なくとも一つが、車両長手方向に沿って延在する貫通穴を有し、
前記キーがねじ穴を有し、
前記ボルトが前記貫通穴に挿通されて、前記ねじ穴に螺合されている、
ことを特徴とする台枠構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の台枠構造において、
前記枕梁の車両幅方向における枕梁中央部が、前記台車に対して支持されており、前記枕梁の車両幅方向における枕梁両端部に、前記アダプターが取り付けられており、
前記枕梁中央部が、前記枕梁両端部に対して高い位置にある、
ことを特徴とする台枠構造。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の台枠構造において、
前記台枠構造は、前記側梁上に設けられた床構体を含み、
前記床構体の車両幅方向における中央部が,前記床構体の車両幅方向における両端部に対して高い位置にある、
ことを特徴とする台枠構造。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の台枠構造において、
前記側梁と端梁の接続部を補強する補強部材が設けられている、
ことを特徴とする台枠構造。
【請求項6】
請求項5に記載の台枠構造を備える、
ことを特徴とする軌条車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、軌条車両の台枠構造及び軌条車両に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、車両構体(以下、構体という)は、床面をなす台枠と、台枠の幅方向の両端部に配置される側構体と、台枠の長手方向の両端部に配置される妻構体と、側構体と妻構体の上部に配置される屋根構体とから構成される6面体の構造物である。
【0003】
台枠(以下、台枠構造ともいう)は、台枠の幅方向の両端部にその長手方向に沿って備えられる側梁と、側梁の長手方向の両端部同士を接続する端梁と、構体の長手方向端部から所定距離の位置に端梁に沿って備えられる枕梁と、端梁と枕梁とを構体に接続するための構体長手方向に沿って配置される中梁とから構成される。
【0004】
枕梁の下面に構体上下方向に沿って備えられる中心ピンは、台車を構成する台車枠に接続される。車両の加速および減速の際、中心ピンを介して台車から枕梁に車両前後方向の荷重が伝達される。
【0005】
一方、鉄道車両の組立性向上の観点から、床下に取り付けられる配線やダクトの取付を容易化することが求められる。取付を容易化する上では、中梁を省略した構造とし、台車に枕梁を取り付けた状態で構体に組み付けることが有効である。このような中梁を省略した構体に対応する台車構造として、特許文献1、2では、側梁とのみボルト締結される枕梁を備えた台車が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2 500 231号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2 540 592号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
鉄道車両の台枠構造において、中梁を省略した場合、台車から枕梁に伝達される荷重は側梁のみに伝達されるため、枕梁と側梁の接続部に負荷される荷重が増加する。また、連結時においても、荷重は端梁から側梁のみに伝達されるため、上記と同様に枕梁と側梁の接続部に負荷される荷重が増加する。
【0008】
従って特許文献1、2に記載の台車構造では、車体が牽引時や連結時の荷重を受けた場合において、枕梁を構体に取り付けるためのボルトに対して負荷されるせん断荷重が増大するため、ボルト締結部における信頼性が低下する虞れがある。
【0009】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題に鑑みてなされたものであり、車体の組立性向上に寄与するとともに信頼性の高い軌条車両の台枠構造及び軌条車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、代表的な本発明の台枠構造の一つでは、側梁と枕梁とを有し、前記枕梁を介して台車に連結される軌条車両の台枠構造において、前記側梁に取り付けられ、車両長手方向に沿って並んだ複数の凸部を備えたアダプターを有し、前記枕梁がキーを備えており、前記キーが前記アダプターの凸部の間に配置され、前記キーと前記凸部とが車両長手方向に延在するボルトを用いて締結されていることにより達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車体の組立性向上に寄与するとともに信頼性の高い軌条車両の台枠構造及び軌条車両を提供することが可能となる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に関する台枠構造を備えた鉄道車両の側面視図である。
図2図2は、実施形態1に関する台枠構造を備えた車両構体の下面斜視図である。
図3図3は、実施形態1に関する台枠構造における枕梁とアダプターの外観図である。
図4図4は、実施形態1に関するアダプターの外観図である。
図5図5は、実施形態1に関するアダプターの断面視図である。
図6図6は、実施形態2に関する台枠構造および台車の断面視図である。
図7図7は、実施形態3に関する台枠構造および台車の断面視図である。
図8図8は、実施形態4に関する端梁と側梁の接続部の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明において開示する実施形態は、側梁に枕梁をボルト締結した構体に関するものである。以下の説明に用いる方向を、次のように定義する。図に示す構体1において、車両長手方向(前後方向、レール方向)をX方向、車両幅方向(枕木方向)をY方向、および高さ方向をZ方向とする。なお単に、X方向、Y方向およびZ方向と記す場合がある。
【0014】
軌条車両は、敷設される軌道に沿って運行される車両であり、鉄道車両、モノレール車両、路面電車、新交通車両等を含む。軌条車両の代表例として、鉄道車両を取り上げて本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
(実施形態1)
図1から図5に実施形態1として示す台枠10を備えた鉄道車両の構体1は、図1に示すように、床面をなす台枠10と、台枠10の幅方向の両端部に配置される側構体30と、台枠10の長手方向の両端部に配置される妻構体40と、側構体30と妻構体40の上部に配置される屋根構体50とから構成される。
さらに台枠10は、図1又は図2に示すように、台枠10の幅方向両端部において長手方向に沿って延在する一対の側梁11と、側梁11の車両長手方向の両端部同士を接続する端梁12と、台枠10下面の台車枠3と対向する位置に設けた枕梁13とを有している。また台枠10は、図3に示すように、枕梁13の車両幅方向両端からY方向に突出する部分を設けている。本明細書においては、この突出する部分を「キー」と称する。以下の実施形態では、キー18は、X−Z面の断面が矩形状であり、X−Y面の断面が矩形状であり、Y−Z面の断面が矩形状である。ただし、いずれかの断面の少なくとも一つを矩形以外の形状としてもよい。キー18のX方向側面にはねじ穴19を設けている。
【0016】
さらに、側梁11(図3では不図示)の下部において、キー18と対向する位置に、アダプター15をそれぞれ配置している。アダプター15は、図5に示すように、車両長手方向に沿って延在する梁状本体15aの下面に、3つの凸部16を車両長手方向に沿って並べて設けている。図5に示すように、車両長手方向両端側の凸部16は台形断面を有し、中央の凸部16は矩形断面を有する。図4図5に示すように、X方向両端の凸部16には、ボルトBTの頭部を保持するような段付き形状を有する穴部17が、X方向に貫通して設けられている。
【0017】
アダプター15は、梁状本体15aの両端近傍でZ方向に貫通した複数の穴部20(図3)に挿通したボルト(不図示)を用いて、側梁11の下面に予め締結される。台車組み付け時に、台車2に連結された枕梁13と、側梁11に取り付けられたアダプター15とが、凸部16間にキー18を配置しつつ互いに交差するように組み合わされ、2本のボルトBT(図5)が、両側の穴部17から挿通されてねじ穴19にそれぞれ螺合する。ボルトBTを締め上げることにより、凸部16とキー18の対向面が密着し、アダプター15を介して枕梁13と側梁11とを連結できる。
【0018】
これにより、牽引時や連結時に枕梁13と側梁11の接続部に伝達される荷重の一部は、進行方向前方側の枕梁13のキー18とアダプター15を締結するボルトBTには引張荷重として負荷され、また残りの荷重は、進行方向後方側の凸部16とキー18との密着面で負荷される。したがって、ボルトBTの負担する引張荷重が過大になることはない。一方、アダプター15と側梁11を締結するボルト(不図示)には、密着面の摩擦により負担される荷重を除いて、せん断荷重が負荷されるが、多数(例えば1つのアダプター15に対し計12本)のボルトを用いることで、個々のボルトの受ける荷重を分散させることが可能である。以上のことから,本実施形態により、枕梁13と側梁11の接続部を締結するボルトに対して、せん断荷重の集中を回避することが可能となる。
なお、全ての凸部16とキー18にX方向に貫通する同軸の孔を設け、これらの孔を貫通する長さの単一ボルトを差し込んで、その貫通端にナットを螺合させることで、枕梁13とアダプター15とを締結することもできる。
【0019】
(実施形態2)
実施形態2として示す台枠10は、実施形態1の台枠構造において、台車2と台枠10の断面視である図6に示すように、枕梁13の車両幅方向中央部の高さ位置を両端部に対して高くした実施形態である。枕梁13の車両幅方向中央部は、空気ばね4を介して台車2に対して支持されており、枕梁13の車両幅方向中央部の下面に備えられた中心ピン14は台車2に連結されている。
【0020】
本実施形態によれば、アダプター15と、枕梁13の車両幅方向両端部との接合位置をより低くできるので、側梁11と枕梁13との間にアダプター15を設けた場合でも、構体1の高さ位置の変化を最小限に抑えるか、もしくは無くすことが可能となる。また、枕梁13のX方向における曲げ剛性を向上できるため、車両上下方向の振動に対する枕梁13の曲げ変形を低減することが可能となる。
【0021】
(実施形態3)
実施形態3として示す台枠10は、実施形態2の台枠構造において、台車2と台枠10の断面視である図7に示すように、床構体5の車両幅方向中央部の高さ位置を両端に対して高くした実施形態である。床構体5の下面に取り付けられた側梁11(図2)が、アダプター15に連結されている。
【0022】
本実施形態によれば、車両連結に用いる連結器受21と床構体5との高さ位置のオフセット量を低減し、中梁を省略した場合においても連結時の荷重を床構体5に効率的に伝達することが可能となる。また、床板7と床構体5の間の空間に配線・ダクト6を配置することや、騒音対策用の防振材などを配置することが可能となる。さらに、床構体5のX方向の曲げ剛性を向上できるため、気密荷重や乗客の重量による車体の変形を低減することが可能となる。なお、実施形態3の構成を、実施形態1の構成と組み合わせてもよい。
【0023】
(実施形態4)
実施形態4として示す台枠構造を備えた構体1は、端梁と側梁の接続部の概略図である図8に示すように、端梁12と側梁11の接続部に、連結荷重を側梁11と床構体5に伝達する際の強度を高める補強部材として板部材22A、22Bを設けた実施形態であり、実施形態1から実施形態3のいずれかの台枠構造に適用できる。
【0024】
板材22Aは、縦板22aと横板22bとを有する。中央で折れ曲がった縦板22aは、遠端部側で端梁12から離間するに従って幅狭となる台形状を有しており、近端部が端梁12に溶接され、底縁が床構体5に溶接されている。また床構体5から離間して配置された横板22bは、遠端部側で端梁12から離間するに従って幅狭となる台形状を有しており、近端部が端梁12に溶接され、一方の側縁が縦板22aに溶接され、他方の側縁が側梁11の側面に溶接されている。つまり、遠端部側の板部材22Aは、端梁12から離間するに従って断面形状が小さくなっている。
【0025】
板部材22Bは、縦板22cと横板22dとを有する。縦板22cは、遠端部側で端梁12から離間するに従って幅狭となる台形状を有しており、近端部が端梁12に溶接され、底縁が側梁11の上面に溶接され、上縁が横板22dの下面中央に溶接されている。また、矩形状の横板22dは中央で折れ曲がり、近端部が端梁12に溶接されている。つまり、遠端部側の板部材22Bは、端梁12から離間するに従って高さが低くなっている。
【0026】
板部材22A、22Bにより、端梁12と側梁11の接続部の強度を高め、中梁を省略した場合においても、応力緩和を図りつつ連結時の荷重を側梁11と床構体5に伝達することが可能となる。なお、板部材22A、22Bの少なくとも一方を設ければ足りる。
【0027】
以上に示した実施例においては、アダプター15はボルト締結によって構体1に取り付けられるものとしたが、溶接によって構体に取り付けて構成することも可能である。また、枕梁13に、台車2に取り付けられるヨーダンパからの荷重を受ける部材を取り付ける構成とすることも可能である。
【0028】
なお、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施の形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施の形態における構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態における構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1・・・構体、2・・・台車、3・・・台車枠、4・・・空気ばね、5・・・床構体、6・・・配線・ダクト、7・・・床板、10・・・台枠、11・・・側梁、12・・・端梁、13・・・枕梁、14・・・中心ピン、15・・・アダプター、16・・・凸部、17・・・穴部、18・・・キー、19・・・ねじ穴、20・・・穴部、21・・・連結器受、22A,22B・・・板部材、30・・・側構体、40・・・妻構体、50・・・屋根構体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8