特許第6837408号(P6837408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日立製作所の特許一覧
<>
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000002
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000003
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000004
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000005
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000006
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000007
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000008
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000009
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000010
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000011
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000012
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000013
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000014
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000015
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000016
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000017
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000018
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000019
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000020
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000021
  • 特許6837408-二次電池の制御装置および制御方法 図000022
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837408
(24)【登録日】2021年2月12日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】二次電池の制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/635 20140101AFI20210222BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210222BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20210222BHJP
   H01M 10/633 20140101ALI20210222BHJP
   H01M 10/6563 20140101ALI20210222BHJP
   H01M 10/6551 20140101ALI20210222BHJP
   H01M 10/6552 20140101ALI20210222BHJP
   H01M 10/637 20140101ALI20210222BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20210222BHJP
   H01M 10/617 20140101ALI20210222BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20210222BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   H01M10/635
   H01M10/48 301
   H01M10/48 P
   H01M10/613
   H01M10/633
   H01M10/6563
   H01M10/6551
   H01M10/6552
   H01M10/637
   H01M10/625
   H01M10/617
   H01M10/6556
   H02J7/00 B
   H02J7/00 Q
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2017-182061(P2017-182061)
(22)【出願日】2017年9月22日
(65)【公開番号】特開2019-57455(P2019-57455A)
(43)【公開日】2019年4月11日
【審査請求日】2020年1月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】特許業務法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 修子
(72)【発明者】
【氏名】高橋 智晃
(72)【発明者】
【氏名】篠宮 健志
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−036327(JP,A)
【文献】 特開2015−159115(JP,A)
【文献】 特開2011−146320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/60−10/667
H01M 10/42−10/48
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池と、
外気を取り込み、取り込んだ当該外気により前記二次電池を冷却する複数の冷却機から成る冷却装置と、
前記外気の温度を検知する第1温度センサと、
前記二次電池の温度を検知する複数の第2温度センサと、
前記二次電池および前記冷却装置の運転を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記第1温度センサが検知した前記外気の温度情報を基に算出した当該外気の温度時での前記二次電池の第1内部抵抗値と前記第2温度センサが検知した前記二次電池の温度情報を基に算出した当該二次電池の温度時での前記二次電池の第2内部抵抗値との抵抗値差が、所定の閾値より未満の場合と以上の場合とにより、前記冷却機による冷却速度を変化させる
ことを特徴とする二次電池の制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の二次電池の制御装置であって、
前記制御部は、前記抵抗値差が、前記所定の閾値より未満の場合には、前記冷却速度を一定の高速状態に制御し、前記所定の閾値以上の場合には、前記冷却速度を低速状態から徐々に上げ、前記抵抗値差が前記所定の閾値未満となった時点から前記冷却速度の傾きを増加させるように制御する
ことを特徴とする二次電池の制御装置。
【請求項3】
請求項に記載の二次電池の制御装置であって、
前記二次電池の充電状態を演算する演算部を前記制御部に設け、
前記制御部は、前記外気の温度および前記二次電池の温度から前記二次電池の冷却が必要と判断すると、前記第1内部抵抗値と前記第2内部抵抗値とを前記二次電池の充電状態を考慮に入れて算出して前記抵抗値差を前記所定の閾値と比較し、前記抵抗値差が前記所定の閾値未満の場合には、前記冷却機を一定の冷却速度で稼働させ、前記抵抗値差が前記所定の閾値以上の場合、前記二次電池の温度が所定の温度になるまでは前記冷却速度を低速状態とし、前記二次電池の温度が前記所定の温度を超えると前記冷却速度の傾きを増加させる
ことを特徴とする二次電池の制御装置。
【請求項4】
複数の電池セルから構成される二次電池と、
外気を取り込み、取り込んだ当該外気により前記二次電池を冷却する複数の冷却機から成る冷却装置と、
前記外気の温度を検知する第1温度センサと、
前記二次電池の温度を検知する複数の第2温度センサと、
前記二次電池および前記冷却装置の運転を制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、
検出した前記外気の温度を基に前記二次電池の外気温度時予測抵抗値を算出し、当該外気温度時予測抵抗値から第1許容電流値を算出し、
前記二次電池の許容電流値の設定を、前記二次電池の最低温度時の第2許容電流値と前記第1許容電流値との差が、所定の閾値以上の場合には前記第1許容電流値とし、当該所定の閾値未満の場合には前記第2許容電流値とし、
また、前記二次電池の許容電流値の設定を、前記複数の電池セル間の温度差が、所定の温度差以上の場合には前記第1許容電流値とし、当該所定の温度差未満の場合には前記第2許容電流値とする
ことを特徴とする二次電池の制御装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の二次電池の制御装置であって、
前記二次電池の充電状態と前記二次電池の温度に対する内部抵抗値の関係式またはデータマップを参照して前記二次電池の許容電力を演算する
ことを特徴とする二次電池の制御装置。
【請求項6】
請求項からのいずれか1項に記載の二次電池の制御装置であって、
前記冷却速度と温度変化を記録する記録装置と、
前記記録装置から前記冷却速度と前記二次電池の温度との関係を抽出する学習装置と
を具備し、
前記冷却速度と前記二次電池の温度との関係を示すマップを逐次更新して前記冷却速度を制御する
ことを特徴とする二次電池の制御装置。
【請求項7】
請求項から6のいずれか1項に記載の二次電池の制御装置であって、
前記二次電池が複数の電池ユニットを構成する場合には、前記冷却機を前記電池ユニット毎に設け、前記冷却機を前記電池ユニット対応に個別に制御する
ことを特徴とする二次電池の制御装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1項に記載の二次電池の制御装置であって、
前記第1温度センサは、前記二次電池を収納する収納箱の外側または前記冷却機の吸気口近傍に設置し、
前記第2温度センサは、前記二次電池の筐体表面または前記収納箱の内部に設置する
ことを特徴とする二次電池の制御装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか1項に記載の二次電池の制御装置であって、
前記冷却機は、ファンで構成され、当該ファンの回転速度を制御することで当該冷却機による冷却速度を変化させる
ことを特徴とする二次電池の制御装置。
【請求項10】
請求項1からのいずれか1項に記載の二次電池の制御装置であって、
前記冷却機は、ヒートシンクまたはヒートパイプを使用して構成され、当該ヒートシンクまたはヒートパイプの冷媒流量を制御することにより当該冷却機による冷却速度を変化させる
ことを特徴とする二次電池の制御装置。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか1項に記載の二次電池の制御装置を搭載した鉄道車両
【請求項12】
二次電池を冷却する外気の温度および当該二次電池の複数箇所の温度を検出し、
前記外気の温度検出信号に基づいて当該外気の温度時での前記二次電池の第1内部抵抗値を算出し、
前記二次電池の温度検出信号に基づいて前記二次電池の温度時での前記二次電池の第2内部抵抗値を算出し、
前記第1内部抵抗値と前記第2内部抵抗値との抵抗値差と所定の閾値とを比較し、
前記抵抗値差が、所定の閾値未満の場合と以上の場合とにより、前記二次電池の冷却速度を変化させる
ことを特徴とする二次電池の制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載の二次電池の制御方法であって、
前記所定の閾値未満の場合には、前記冷却速度を一定の高速状態に制御し、
前記所定の閾値以上の場合には、前記冷却速度を低速状態から徐々に上げ、前記抵抗値差が前記所定の閾値未満となった時点から前記冷却速度の傾きを増加させるように制御する
ことを特徴とする二次電池の制御方法。
【請求項14】
二次電池を冷却する外気の温度および当該二次電池の電圧、電流並びに温度を検出し、
前記二次電池の検出値を用いて当該二次電池の充電状態を演算し、
検出した前記外気の温度及び前記二次電池の温度から前記二次電池の冷却の要否を判断し
前記冷却が不要と判断すると、前記二次電池を冷却する冷却装置を停止し、
前記冷却が必要と判断すると、前記外気の温度時での前記二次電池の第1内部抵抗値と前記二次電池の温度時での前記二次電池の第2内部抵抗値とを前記二次電池の充電状態を考慮に入れて算出し、当該第1内部抵抗値と当該第2内部抵抗値との抵抗値差を所定の閾値と比較し、前記抵抗値差が前記所定の閾値未満の場合、前記冷却装置を一定の冷却速度で稼働させ、前記抵抗値差が前記所定の閾値以上の場合、前記二次電池の温度が所定温度になるまでは前記冷却速度を低速状態とし、前記二次電池の温度が前記所定温度を超えると前記冷却速度の傾きを増加させる
ことを特徴とする二次電池の制御方法。
【請求項15】
複数の電池セルから構成される二次電池を冷却する外気の温度を検出し、
検出した前記外気の温度を基に前記二次電池の外気温度時予測抵抗値を算出し、当該外気温度時予測抵抗値から前記二次電池の第1許容電流値を算出し、
前記二次電池の最低温度時の第2許容電流値と前記第1許容電流値との差が所定の閾値よりも大きい場合には、前記二次電池の許容電流値の時間特性として、前記第2許容電流値から前記第1許容電流値に向け傾斜をつけて前記二次電池の許容電流値を減少させ、
前記許容電流値が前記第1許容電流値になったときに前記二次電池の冷却を開始させ、
前記複数の電池セル間の温度差が所定の温度差内に収まるまでは前記第1許容電流値を維持し、
前記温度差が前記所定の温度差内に収まれば、前記二次電池の許容電流値の時間特性として、前記第2許容電流値に向け傾斜をつけ前記許容電流値を増加させ前記第2許容電流値に到達後は当該第2許容電流値を維持する
ことを特徴とする二次電池の制御方法。
【請求項16】
請求項12から15のいずれか1項に記載の二次電池の制御方法であって、
前記二次電池の充電状態と前記二次電池の温度に対する内部抵抗値の関係式またはデータマップを参照して前記二次電池の許容電力を演算する
ことを特徴とする二次電池の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の制御装置および制御方法に関し、特に鉄道車両用の二次電池に好適である。
【背景技術】
【0002】
現在、地球環境問題が大きくクローズアップされてきており、地球温暖化を防止するために、あらゆる場面で炭酸ガスの排出削減が求められている。こうした背景から、炭酸ガスの大きな排出源の一つであるガソリンエンジンを使用した自動車については、ハイブリッド電気自動車や電気自動車などへの代替が進んでいる。
【0003】
蓄電池としては、充放電が可能な、リチウムイオン二次電池、ニッケル水素電池、鉛電池、電気二重層キャパシタなどが存在し、特に、リチウムイオン電池などの高出力密度の電池セルを複数個備える二次電池システムは、産業用途に広く用いられ、特に近年では、車両用の蓄電システムとして、高電圧化、大容量化された二次電池システムが普及し始めている。
【0004】
この二次電池システムは、鉄道車両の分野においても、省エネルギー化を図るため広く利用されている。その種類としては、ディーゼルエンジンで駆動される発電機と二次電池システムを組み合わせて、モータに電力を供給するハイブリッド鉄道車両、また、電気車に搭載し回生負荷が無いときにその回生電力を二次電池に吸収する電車システム、さらに、架線レス化を目的した電車線と二次電池システムのハイブリッド電車(駅間は二次電池システムを電源として走行し駅で二次電池システムへの充電を行う)などの用途がある。
【0005】
動力用電源に代表される大型の二次電池は、高出力、大容量であることが必要である。そのため、こうした大型の二次電池を構成する蓄電池モジュールは、一般に複数の電池セルを直並列に接続して構成される。また、各電池セルは、リチウムイオン電池が多用される。
【0006】
蓄電池には、安全な製品として動作を保証する使用可能温度範囲、また、所定の性能を満足できる使用温度範囲が、それぞれ装置の仕様として決まっていることが一般的である。これらの使用温度範囲の上下限を超えて蓄電池を稼働することは、電池システムが故障する原因となり、また、電池システムの寿命を早める原因となるため避けなければならない。一般にリチウムイオン電池等の二次電池は、高温での保存や充放電を繰り返すごとに劣化が加速進行し、電池容量が減少すると共に内部抵抗が上昇することで出力の変動が生じる。
【0007】
例えば、自動車に積載する場合は、夏期のアスファルトからの照り返しや炎天下の駐車により蓄電池の環境温度が上昇し、その外気で冷却している場合は電池の温度が上昇し、劣化が進む懸念がある。そのため、電池の冷却方法は重要であり、例えば、特許文献1には、バッテリ温度と外気温度の送風装置の風量調節を、外気温度がバッテリ温度を超えるときに、バッテリ温度以下の場合よりも風量が少なくなるよう制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2014−148245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
鉄道車両は、自動車に比較してサイズも重量も格段に大きいため、鉄道車両に適用する蓄電池システムは、必要なエネルギーが大きく蓄電池システムのサイズも大きくなる。
図2は、鉄道車両に蓄電池システムを搭載する場合の収納例を示す図である。なお、鉄道車両では、進行方向が長手方向、枕木方向が短軸方向となる。蓄電池を搭載する場合には、蓄電池システムのサイズが大きいため、図2(a)に示す客室車両の屋根側、または、図2(b)に示す車両の床下側に、蓄電池を収納した電池箱11を車両に搭載する。あるいは、専用車両内(図示なし)に蓄電池を収納する場合もある。車両が細長いため、電池を外気で冷却する場合、自動車よりも内部の複数蓄電池に温度差が生じることになる。
【0010】
ここでいう電池箱とは、複数の単電池(以下では「セル」という場合もある)を組電池として構成した電池モジュール(以下では「組電池」という場合もある)、または、前記電池モジュールをさらに複数で構成し筺体に内蔵した蓄電池ユニットを少なくとも1つ以上1つの筺体ユニットに納めた蓄電装置を指す。電池箱内には、電池の他に、制御基板やセンサ、そのほかの電気的機械的構造部品も含む。
【0011】
図3は、二次電池の温度に対する内部抵抗の特性の一例を示す図である。二次電池、特にリチウムイオン電池では、図3に示すように、25℃での内部抵抗値を基準とすると低温では数倍となり著しく抵抗が大きくなる。組電池において温度差が生じた場合、入出力の変動が大きくなりシステム電圧が不安定となり、蓄電池の劣化のばらつきが大きくなるなどの不具合が生じることが分かった。特に、寒冷地域においては、低温空気によって冷却した場合に電池の劣化が大きくなることが近年明らかになった。
【0012】
特許文献1に記載の方法は、電池温度より外気が低い場合、電池が低温時でも風量が大きいため、リチウムイオン電池の場合には内部抵抗が低温で著しく大きくなるため、冷却し過ぎて過電圧が生じ、システム停止してしまう懸念がある。また、鉄道車両においては、進行時の走行風は往路と復路では環境が異なり温度ばらつきが大きくなる懸念がある。従来技術では、二次電池の高温時の劣化による容量の減少については考慮されているが、低温による内部抵抗の上昇については考慮されていない。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る二次電池の制御装置は、二次電池と、外気を取り込み取り込んだ当該外気により二次電池を冷却する複数の冷却機から成る冷却装置と、外気の温度を検知する第1温度センサと、二次電池の温度を検知する複数の第2温度センサと、二次電池および冷却装置の運転を制御する制御部とを備え、制御部は、第1温度センサが検知した外気の温度情報と第2温度センサが検知した二次電池の温度情報とにより冷却機それぞれを制御することを特徴とする。
さらには、制御部は、第1温度センサが検知した外気の温度時での二次電池の第1内部抵抗値と第2温度センサが検知した二次電池の温度時での二次電池の第2内部抵抗値との抵抗値差が、所定の閾値より未満の場合と以上の場合とにより、冷却装置による冷却速度を変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、大型蓄電池システムの電池温度のばらつきが抑制され、電池の劣化のばらつきと抵抗値変化を抑えることで、蓄電池を安定的に長期利用することが可能になる。特に、鉄道車両用の大型蓄電池システムに対しては有効である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係る二次電池制御システムの制御フローを示す図である。
図2】鉄道車両に蓄電池システムを搭載する場合の収納例を示す図である。
図3】二次電池の温度に対する内部抵抗の特性を示す図である。
図4】本発明に係る二次電池制御システムの基本構成を示す図である。
図5】本発明に係る、エンジンと蓄電装置とによって駆動されるハイブリッド車両システムの構成例を示す図である。
図6図5に示す蓄電装置の一般的な構成例を示す図である。
図7】鉄道車両に蓄電池を搭載する場合の本発明に係る電池箱の配置例を示す図である。
図8】本発明に係る電池箱内部を上部からみた配置例(配置例1)を示す断面図である。
図9】本発明に係る電池箱内部の別の配置例(配置例2)を示す断面図である。
図10】本発明に係る電池箱内部の別の配置例(配置例3)を示す断面図である。
図11】本発明に係る電池箱内部の別の配置例(配置例4)を示す断面図である。
図12】本発明に係る電池箱の断面図により、電池モジュールの配置例を示す図である。
図13】本発明に係る電池箱の筺体内部の電池モジュールの構造例を示す側面図である。
図14】電池の温度と抵抗値との関係を示すグラフ、および、電池温度と風量風速との関係を示すグラフを示す図である。
図15】本発明に係る、風量風速を変更する制御方式を説明するための図である。
図16】本発明に係る冷却装置としてファンを使用する場合のファン制御の一例を示す図である。
図17】本発明に係る冷却制御のためのフローチャートの一例を示す図である。
図18】本発明に係る電池制御のフローチャートの一例を示す図である。
図19】一般的な電池制御のフローを示す図である。
図20】本発明に係る冷却制御時の許容電流指令値の時間推移を示す図である。
図21】温度とSOCのパラメータによって決まる電池の抵抗値を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。また、以下では、二次電池を、単に「電池」と略して称する。
図1は、本発明に係る二次電池制御システムの制御フローを示す図である。
外気温度Tout、電池最高温度Tmaxおよび電池最低温度Tminが、検出部1で検出された後、温度演算部2に入力される。複数の温度情報から、温度演算部2は、外気と電池との温度差、電池温度に対する抵抗値の特性を用いて電池温度の差に基づく電池モジュール内の抵抗差および電池モジュール筐体内の電池温度差などを計算する。このときに、電池特性情報部3に格納する、温度と抵抗との関係、SOCと抵抗との関係等を参照する。
【0017】
温度演算部2で計算された結果は、冷却制御部4と許容電流計算部5とにそれぞれ入力される。冷却制御部4からはファン稼動速度などの冷却制御信号が、許容電流計算部5からは許容電流指令が、それぞれシステム制御部6に与えられ、電池モジュールが制御される。温度演算は、全体の蓄電装置内の複数の冷却装置に応じて実行され、それに基づいて冷却が実施される。
【実施例】
【0018】
図4は、本発明の実施形態を示す実施例として、二次電池制御システムの基本構成を示す図である。
図4に示す二次電池制御システムは、二次電池である電池モジュール22を制御するためのシステムであり、検出部20、電池制御部30、冷却条件演算部40、上位制御部60、負荷制御部70および冷却装置制御部71から構成される。
【0019】
蓄電池21は、正極および負極を有する単電池(図示なし)を複数接続した電池モジュール(組電池)22を直列接続して構成される。蓄電池21は、図示しない負荷と接続され、負荷に対して電力を供給する。
【0020】
検出部20は、蓄電池21の状態に関する様々な情報を検出する。たとえば、蓄電池21の総電流、総電圧、筐体の中の環境温度、電池の最高温度、電池の平均温度、電池の最低温度、各単電池の温度およびセル電圧等の各種データを検出する。検出部20で検出された各種データは、電池制御部30と冷却条件演算部40とにそれぞれ入力される。冷却条件演算部40には外気温度の情報も入力される。
【0021】
電池制御部30は、検出部20から入力された各種データに基づいて、現在の蓄電池21の充電状態(SOC)を計算すると共に、異常状態の検知、入出力可能な電力の計算を行う。さらに、上位制御部全体のシステム電力の計算や温度コントロール指令の生成などの処理を実行する。電池制御部30で求められたこれらの情報は、上位制御部60に入力される。
【0022】
冷却条件演算部40は、検出部20から入力された各種データと外気温度に基づいて、蓄電池21の温度と抵抗値を推定する。この時、検出部20からの入力データから電池制御部30で演算したSOC値を使用する。現在の蓄電池21の温度と現在の外気温度とに基づいて、温度検出されている電池モジュール内の配置場所と抵抗値から現在の冷却流量を計算し、予め設定された冷却流量と比較する。この比較結果に基づいて目標冷却流量を決定する。
【0023】
上位制御部60は、冷却条件演算部40で求めた目標冷却流量に基づいて制御指令を演算し、冷却装置制御部71に出力すると共に、負荷の動作状態を制御するための制御指令を演算し、負荷制御部70に出力する。
【0024】
負荷制御部70は、電池制御部30の出力に基づいた上位制御部60からの制御指令に従って負荷の制御を実行する。
冷却装置制御部71は、上位制御部60からの制御指令に従って冷却装置の制御を実行する。
【0025】
図5は、エンジンと蓄電装置とによって駆動されるハイブリッド車両システムの構成例を示す図である。
ハイブリッド車両システムは、エンジン201、エンジン201によって駆動され交流電力を出力する発電機202、交流電力を直流電力に変換するコンバータ装置203、直流電力を交流電力に変換するインバータ装置204、鉄道車両を駆動する電動機205、電動機205の出力を減速して輪軸(図示なし)に伝達する減速機(図示なし)および蓄電装置206を主な構成要素とする。
【0026】
エンジン201に軸で直結された発電機202は、U、VおよびWの3相の交流電力を発生し、コンバータ装置203は、この交流電力を直流電力に変換して出力する。インバータ装置204は、コンバータ装置203から出力される直流電力を可変電圧、可変周波数の3相交流電力に変換し、誘導電動機205に供給する。
【0027】
蓄電装置206は、コンバータ装置203の出力側(直流側)に並列に接続され、車両の起動時に電力を補給する。平滑コンデンサ207は、インバータ装置204の入力側(直流側)に並列に接続され、インバータ入力電圧の変動を抑制する。SIV211は、静止型インバータであって、車両内で使用する電力を発生させる。
【0028】
一方、制御部210は、電流検出器209aで検出したコンバータ出力電流Is、電圧検出器208で検出した平滑コンデンサ電圧および発電機回転周波数により、コンバータの制御演算を実行し、コンバータ装置203に対してコンバータPWM制御信号を出力する。また、制御部210は、電流検出器209b、209cおよび209dで検出した電動機電流Iu、IvおよびIw、電圧検出器208で検出した平滑コンデンサ電圧並びに電動機回転周波数により、インバータの制御演算を実行し、インバータ装置204に対してインバータPWM制御信号を出力する。
【0029】
蓄電装置206の図示しない電池状態演算部では、蓄電装置206の総電流、総電圧、蓄電装置206の温度および環境温度から、蓄電装置206の稼動状態を演算する。さらに、この電池状態演算部から出力される蓄電装置206の情報を受けた制御部210は、蓄電装置206の稼動状態を判断、蓄電装置206の充放電制御信号を出力する。
【0030】
図6は、図5に示す蓄電装置206の一般的な構成例を示す図である。
電流検出装置41と複数の電池モジュール(組電池)22を直列に接続した蓄電池21は、更に並列に接続される。電圧検出装置31で検出した総電圧と、電流検出装置41および42で検出した電流値とを状態検知部50の入力とし、状態検知部50は、電池の充電状態(SOC)、健全性(過電圧、過電流)等の状態を検知し、上位制御部60に対して許容電流や許容電力等の情報を出力する。
【0031】
上位制御部60から入力される制御指令に基づいて負荷制御部70は、蓄電池21の充放電を実施する。先の図5に示す制御部210が、上位制御部60に相当する。図5に示す制御部210では、電池の冷却装置の制御信号も出力する。
【0032】
図7は、鉄道車両に蓄電池を搭載する場合の電池箱の配置例を示し、車体12の屋根上に電池箱11を配置する場合の例である。制御指令発生装置を含む統括制御器10は床下にある(図2、参照)。
【0033】
上述した電池箱11の配置例の場合に、電池箱11に対する冷却風の経路を図7において矢印で示す。図7(a)の配置では、進行方向に対してほぼ垂直に冷却風を取り入れ排出する。また、図7(b)の配置では、進行方向に対してほぼ平行に冷却風を取り入れ排出する。いずれも場合も、電池箱内の蓄電池は複数であることから、一般に、取り入れ口付近の電池よりも排風口付近の電池の電池温度が高くなる。図2(b)のような床下に配置される電池箱においても同様である。
【0034】
次に、電池箱11の内部配置の配置例について、図8図11を用いて説明する。ここで、電池箱11は、内部に複数の蓄電池ユニット23を備え、少なくとも蓄電池ユニット23毎に冷却機34を設ける構造を有し、複数の冷却機34から冷却装置が構成される。
図8は、電池箱11の内部配置を上部からみた配置例1を示す断面図である。本発明では、図8に示すように、電池箱11は、電池温度を検知する電池温度センサ32を1つ以上設けた複数の蓄電池ユニット23、複数の冷却機34または電池箱11の筺体の外の外気温度を取得する外気温度センサ33を具備する。ここで、電池温度センサ32は、例えば、蓄電池ユニット23の筐体表面に設置し、外気温度センサ33は、例えば、複数の冷却機34の外側または電池箱11の筺体の外側に設置する。
【0035】
上記の構成を以て、外気温度時における電池の抵抗値と電池内の最低温度時における電池の抵抗値とを比較し、その抵抗値差が一定の閾値より大きい場合には、外気を取り込む速度を小さくする。これにより、外気取り入れ時に電池表面温度が急激に低下することを抑制し、蓄電池の内部抵抗が急峻に変化することを抑制できる。また、単電池の表面と内部の温度差がつくことによる電池の劣化を抑制することができ、蓄電システムを長期に利用することが可能となる。
【0036】
更に、各蓄電池ユニット23の内部の電池温度が異なる場合には、各蓄電池ユニット23の冷却機34により冷媒の流量を個別に変化させる。これにより、一律にファン速度を変更した場合に、電池箱の位置により勾配が付いていたセル温度のばらつきを小さくすることが可能となり、電池温度の均一化を図ることができる。また、電池抵抗のばらつきが小さくなることで出力のばらつきを抑制でき、温度による劣化加速のばらつきの影響も小さくなるので、電池の使用期間を延ばすことができる。
【0037】
ここで、外気温度センサ33の設置位置は、外気温度を取得可能な位置であればどこにあってもよいが、最も好ましくは、吸気口近傍の外気温度を取得できる位置にあることが望ましい。蓄電池ユニット23内に設ける複数の電池温度センサ32は、最も高い温度になるセルと最も低い温度になるセルを含む形で配置されることが望ましい。また、電池温度センサ32が蓄電池ユニット23内の1箇所の温度しか検知できない場合でも、同様の制御は可能である。この場合には、最も温度が高くなる電池セルまたは冷媒の取り入れ口近傍に、電池温度センサ32を配置するとより効果が高くなる。
【0038】
図9は、電池箱11の別の内部配置である配置例2を示す断面図である。外気温度を検知する外気温度センサ33とは別に、電池箱11の内部に、この電池箱11の筺体内の気温を検知する温度センサ35を設ける。筺体内の温度センサ35で得られた筺体の内部温度と、筺体外の外気温度センサ33で得られる外気温度との差が大きく、急激な冷却が望ましくない場合は、冷却機34から蓄電池ユニット23を冷却する冷媒を外気からではなく、筺体内部から取り入れる。また、電池温度が低下し、外気温度との差が閾値温度Tthになったら、冷媒を外気から取り入れる。これにより、内部の電池抵抗の急峻な変化を抑制できる。
【0039】
図10は、別の配置例3を示す断面図である。電池箱11の内部にこの電池箱11の筺体内の気温を検知する温度センサ35と、冷却風取り入れ口13の近傍に外気温度を検知する外気温度センサ33とを設ける。図10に示す冷却機34は、吸い込み式のファンであり、冷却風取り入れ口13から外気を取り込み、蓄電池モジュール23を冷却する構造である。これにより、冷却風温度がより正確に得られ、上述した実施方式を適用することで、電池の温度ばらつきを抑制することが可能である。
【0040】
図11は、別の配置例4を示す断面図で、(1)は上部からみた図で、(2)車両走行方向に横方向からみた図である。配置例4は、電池箱11の蓄電池ユニット23に対して外気を取り入れず、別途外気を取り入れる隔室を設け、熱交換機36により電池箱11の筺体内の冷媒温度を調整し、各蓄電池ユニット23の冷却機34(この場合はファン)を稼働して蓄電池ユニット23を冷却する構成である。隔室では、外気取り入れ口(図示せず)からファン34aにより隔室内の温度をコントロールする。外気温度センサ33および電池箱11の筺体内の温度センサ35の数は、それぞれ1以上であればよい。これらのセンサの数を増加すれば、より制御を安定させることができる。逆に、これらのセンサの数を少なくすればコストを抑制することが可能になる。配置例4では、冷却機34(ファン)および隔室側に設けたファン34aにより冷却装置が構成されることになる。
【0041】
熱交換器36は、ヒートシンクあるいはヒートパイプを使用することで、外気を直接電池モジュールに接触させることなく、電池モジュール本体や制御基板への塵埃の持込みによる導通不良や短絡事故を予防することが可能となる。これにより、外気の取り入れ時の塵埃、特に、ディーゼルエンジンの排煙から出る煤やレールから切削された鉄粉の付着を予防するフィルターをなくすことができる。さらに、部品点数の削減やフィルター交換などのメインテナンスの省力化が可能になる。
【0042】
また、熱交換機36にヒートパイプ付のヒートシンクを使用すれば、熱輸送性を上げることができ、さらにシステムの小型化が可能になる。熱交換器36にヒートパイプを使用する場合には、熱交換用のヒートパイプに比熱の高い冷媒を使用し、ポンプで循環する方式とし、冷媒流量は外気温度を利用した本発明に係る制御方式を適用することで、さらに効果的に冷却することが可能になる。なお、熱交換器を複数用意し、個別に流量を調整すると冷却をさらに効果的に実施できる。
【0043】
図12は、電池箱11の断面図により、電池モジュール22の配置例を示す図である。冷却風取り入れ口13と排風口19とが枕木方向に対向しており、電池箱11内に電池モジュール22が上下に2段積むような形態の構成例である。
【0044】
また、図13は、筺体内部の電池モジュール22の構造例を示す側面図である。単電池18を6個搭載した例として示す。(a)は、上面に開口部17を設けその外側に排風ダクト16を設置し、底面に複数の開口部17を設けた構造である。(b)は、一方の縦側面の上方に開口部17を設けその外側に排風ダクト16を設置し、底面に複数の開口部17および反対側の縦側面の下方に開口部17bをそれぞれ設けた構造である。(c)は、一方の縦側面の中程高さに開口部17を設けその外側に排風ダクト16を設置し、反対側の縦側面の中程高さに開口部17を設けた構造である。また、これらのタイプに限定されるものでは、設置場所、設置形態および設置環境等に応じて他の構造のタイプを採用することもできる。
【0045】
次に、本発明における電池の温度と抵抗値との関係および電池温度に応じて風量風速を変更する方式について詳述する。ここで、電池の抵抗値とは、電池の内部抵抗値のことを指し、以下でも略して「抵抗値」という。
図14は、上段が、電池の温度と抵抗値との関係を示すグラフで、下段が、電池温度と風量風速との関係を示すグラフである。先の図3に示すように、温度によって電池の抵抗値は変化し、SOCによっても変化する(SOCによっても電池の抵抗値が変化する点に関しては、図21、参照)。そのため、SOCと温度に対する抵抗値の関係式またはデータマップを参照して、電池の許容電力を演算することができる。
【0046】
図14の上段のグラフに示すように、外気温度Tout時における電池の抵抗値をRoutとし、電池箱内の最低セル温度Tmin(以下、「電池最低温度」という)時の抵抗値をR1、電池箱内の最高セル温度Tmax(以下、「電池最高温度」という)時の抵抗値をR2とする。また、外気温度Tout時の抵抗値Routと電池最低温度時の抵抗値R1との差Rout−R1をΔRu、電池最低温度時の抵抗値R1と電池最高温度時の抵抗値R2との差を温度ばらつきΔR1、外気温度時の抵抗値Routと電池最高温度時の抵抗値R2との差をΔR2とする。
【0047】
そうすると、ΔRuが大きい状態で外気によって冷却される場合、最低温度のセルは部分的に抵抗値が増加し、温度ばらつきがΔR2まで拡大する。この状態では、電池が不安定に使用される原因となる。抵抗値変化が許容される閾値aは、各温度でのSOCと電池特性から適切に決定する。
【0048】
外気温度時の抵抗値と電池最低温度時の抵抗値との差ΔRuが、ΔRu<閾値aの場合は、通常の冷却仕様に従って冷却速度を決定する。また、ΔRuが、ΔRu>0でかつΔRu≧閾値aの場合で、電池の最高温度が冷却開始時の電池温度の閾値Tthuを超えて冷却を開始するときに、冷却速度を目標速度よりも遅くする。これにより電池表面を急激に冷却せずに、電池温度が徐々に変化して、ΔRuが閾値a未満の領域に入ったら、冷却速度を通常の使用値に上げ冷却を加速する。これにとり、急峻な温度変化を抑制した後、電池を冷却することで最高温度を低下させ、電池の寿命を延ばすことができる。また、急峻な出力変動も抑制できるので、安定な走行につながる。一方で、風量または風速は、電池温度が高い場合に大きくし、低温では少なくして温度変化を緩やかにする。
【0049】
上記のように、外気取り入れ時の電池の抵抗値Routを算出し、この値Routと電池最低温度時の抵抗値R1との差ΔRuが、閾値a以上の場合においては、冷却開始時の冷却速度を小さくするが、電池温度自体が高い場所では冷却速度を大きくする。特に、大型の複数電池の場合は、その設置場所により複数の冷却装置を具備しており、複数の冷却装置(例えば、ファン)を個別に制御することがより効果的であることから、複数の冷却装置をそれぞれに制御する。
【0050】
図15は、電池の温度と抵抗値との関係から、風量風速を変更する制御方式を説明するための図である。送風開始からの時間に応じて冷却速度を変化させる。例えば、上記のΔRuが閾値a未満で変化が少ない領域では、図15の(A)のように一定の高速の冷却速度で冷却する。また、外気温度と電池温度との差が大きく、ΔRuが閾値a以上の場合は、図15の(D)のように徐々に冷却速度を上げ、ΔRuが小さくなってきたところ(例えば、ΔRuが閾値a未満となったところ)で冷却速度の傾きを大きくするように制御する。さらには、電池温度によって、図15の(C)のように制御する領域、または(B)のように制御する領域を設けるようにしてもよい。
【0051】
図16は、冷却装置としてファンを使用する場合のファン制御の一例を示す図である。
一つの制御方法として、図16の(a)は、電池温度に対してファンデューティーを制御する方法である。例えば、図に示すように、ある一定温度までは弱風となるファンデューティー0で維持し(図ではT4〜T5間の温度Tsになるまで)、それ以上の電池温度では温度に応じてファンデューティーの最大まで傾斜をつけて風量を制御する。
【0052】
別の制御方法として、図16の(b)は、蓄電池21内の最低温度セルと最高温度セルの温度センサ(例えば、サーミスタ)の温度によってファンの稼働を制御する方法(ファンのスイッチコントロール)である。ファンを稼働させる温度は、電池特性に応じて決定し、最も特性を確保できるように、複数の信号(図では、サーミスタ1およびサーミスタ2に対するオンオフ信号)で制御を実施する。この時、ファンは、一律の稼働温度でもよいが、電池箱11内の電池モジュールの配置に合わせ、冷却ファンを複数設け、それぞれのファンデューティーを目的の電池温度になるように個別に制御する。これにより、電池温度のばらつきが小さくでき、入出力特性が安定し、電池の電力を有効に使用することが可能となる。さらには、温度による劣化のばらつきも抑制されるため、より長く電池システムを使用することが可能となる。
【0053】
図17は、本発明に係る二次電池制御システムの冷却制御のためのフローチャートの一例を示す図である。
電池の電圧、電流および温度をそれぞれ測定し(ステップS1)、それらの測定値からSOCを演算し(ステップS2)、その電圧とSOCを記録する(ステップS3)。
複数の温度センサにより外気温度と電池温度とを収集し(ステップS4)、電池を冷却する要否を判断する(ステップS5)。
【0054】
冷却が不要の場合(No)には、ファンを停止し(ステップS6)、ステップS4に戻って温度を収集する。一方、冷却が必要な場合(Yes)には、外気温度での予測電池抵抗および現在の電池温度での電池抵抗を、測定した外気温度および電池温度並びに演算したSOCにより(例えば、後述する図21を用いる等により)算出する(ステップS7)。
【0055】
次に、算出した両方の電池抵抗差ΔRと閾値とを比較し(ステップS8)、ΔRが閾値以上の場合(Yes)には、ファンデューティーを算出し(ステップS10)、算出したファンデューティーで以て、例えば図16の(a)に示すファンデューティー制御に基づきファンを稼働する(ステップS11)。
【0056】
一方、ΔRが閾値未満の場合(No)には、通常のファン制御(一定の冷却風量または冷却速度)でファンを稼働する(ステップS9)。このステップS9および上記したステップS11におけるファンの稼働中に、処理ステップとしては、ステップS4に戻すことにより、電池温度のばらつきが一定範囲になるまで以上のファン制御を繰り返す。
上述したΔRが閾値以上または閾値未満の場合の冷却速度制御の仕方については、図14および15を用いて先に説明した制御方式を基本とするもので、冷却手段としてファン制御を用いたものである。
【0057】
以上のフローチャートに基づいて制御することで、電池温度が一定となり、効果的な冷却ができ、電池の急峻な電圧変動や電流変動を抑制し、電池の劣化も抑制することができる。以上で説示した例は、ファンを冷却装置に使用する場合であるが、他の冷却装置を採用した場合においても、ステップS10で冷却流量を制御するための制御信号を算出し、同様の制御を実施すればよい。
【0058】
また、以上の冷却制御方法に加え、さらには、外気温度時予測抵抗Routを使用した入出力許容電力指令値を使用することで、電池の負荷を低減し、システムの安定性を向上させることができる。
【0059】
図19は、一般的な入出力電力指令における電池制御のフローを示す図である。電池電流I、電池電圧Vおよび電池温度Tの各情報から、電池状態検出および温度演算を実施する。温度演算からは制御代表値としての制御用パラメータを変更し、検出した電池状態と制御用パラメータから許容電流および許容電力を演算する。この演算量に基づき、入出力指令を発生させ、蓄電池を充放電する。ここで、許容電流および許容電力については、電池温度とSOCなどの電池状態により指令値が決定される。
【0060】
以上の電池制御のフローに対して、本発明では、例えば図18に示すフローチャートに基づいて、図1のシステム制御部6が電池制御を実行する。また、図20は、この電池制御時の許容電流値の時間推移を示す図である。
【0061】
外気温度を測定し(ステップN1)、その測定値を基に、図1の許容電流計算部5は、外気温度時予測抵抗Routおよび許容電流値Ioutを算出する(ステップN2)。図14に示すように、外気温度時予測抵抗Routのときの許容電流値Ioutは、最低温度時の電池の抵抗値R1に対応する許容電流値Iよりも小さくなる。そのため、制御を安定化させるためにあらかじめ、電池の冷却開始前に、最低温度で出力が規制される許容電流値Iに対して、外気温度時予測抵抗Routで算出した許容電流値Ioutを許容電流計算部5が算出し、図1のシステム制御部6に通知する。外気温度時予測抵抗Routのときの許容電流値Ioutと最低温度時の電池の抵抗値R1に対応する許容電流値Iとの差ΔIが、閾値ΔIthよりも大きい場合には、許容電流値を、図20の(A)点から(B)点間のように、許容電流値Ioutに向けて傾斜をつけて変更し減少させる(ステップN3)。
【0062】
許容電流値が、外気温度時予測抵抗Routの許容電流値Ioutになったときに冷却装置の稼働を開始させる(ステップN4)。その後、図20の(C)点から(D)点間のように、電池温度で算出した許容電流値Iまで傾斜をつけて許容電流値は変更され増加する(ステップN5)。
【0063】
以上のフローにより、急峻な出力変動を抑制し、さらには電池への負荷を低減させることで、電池寿命をより延ばす効果を奏することができる。図4に示す上位制御部60は、電池制御部30からの出力に基づいて負荷制御部70を介して負荷を制御し、蓄電池21への通電時間や電流値を変化させて充放電をコントロールする。これにより、蓄電池21の寿命コントロールが可能になる。
【0064】
次に、図18で示した二次電池制御のフローチャートに対して、時系列的な制御態様について詳述する。
図20に示す許容電流値Iは、例えば図21に示す、温度とSOCのパラメータとによって決まる電池の抵抗値に基づいて決定され、その抵抗値が大きくなるほど小さくなる。この決定のために用いる情報は、抵抗に対してマップ化されたものを用いてもよいし、関係式で示されるものでもよい。
【0065】
稼動時の許容電流値I(ここでは、図14に示す最低温度時の抵抗値に対応する)と外気温度時予測抵抗Rout時の許容電流Ioutとの差ΔIが、閾値ΔIthよりも大きい場合には、図20に示すように、許容電流値を(A)点から一定の傾きで減少させるあるいは段階的に減少させる(図示せず)。許容電流値が、Ioutまで下がった(B)点で、外気取り入れによる電池の冷却を開始する。電池の冷却を開始した後、複数セル間の温度差が大きい間は、許容電流値をIoutに維持する。
【0066】
電池温度のばらつきが改善された(C)点から、稼働時の許容電流値Iとなる(D)点まで一定の傾斜をつけて増加させる。稼働時の許容電流値Iに到達以降は、その許容電流値Iを維持する。ここにおいて、閾値ΔIthおよび複数セル間の温度差の各閾値は、電池特性、制御装置の応答特性等により任意に決定する。
【0067】
以上の制御態様により、急峻な電池電流の変化を抑制でき、電池負荷も低減できることから、電池の劣化速度を抑制することが可能となる。また、車両駆動時の安定性の向上、省エネルギー効果の持続期間の延長が図られ、車両の使用期間を延長させることが可能になる。
【0068】
さらには、電池温度に対する劣化の関係式またはマップを具備し、冷却のための流速と温度変化を記録する記録装置およびこの記録装置から流速と電池温度との関係を抽出する学習装置を具備するようにしてもよい。これにより,流速と電池温度との関係を示すマップを逐次更新して流速を制御することで、より最適な冷却制御が実施できる。この学習装置を設けることで、リアルタイムで電池の劣化が進行しても最適な冷却速度(流速)を選択できることから、負荷や電池温度に適合させて蓄電装置をさらに安定した動作で長期間使用することが可能になる。
【0069】
なお、本発明は、上記した実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の実施態様も、本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0070】
1 検出部、2 温度演算部、3 電池特性データ部、4 冷却制御部、
5 許容電流計算部、6 システム制御部、10 統括制御部、11 電池箱、
12 車体、13 冷却風導入口、15 車両、16 排風ダクト、
17、17b 開口部、18 単電池、19 排風口、20 検出部 21 蓄電池、
22 電池モジュール(組電池)、23 蓄電池ユニット、30 電池制御部、
31 電圧検出装置、32 電池温度センサ、33 外気温度センサ、34 冷却機、
35 温度センサ、36 熱交換機、40 冷却条件演算部、
41、42 電流検出装置、60 上位制御部、70 負荷制御部、
71 冷却装置制御部、201 エンジン、202 発電機、203 コンバータ装置、
204 インバータ装置、205 誘導電動機、206 蓄電装置、
207 平滑コンデンサ、208 電圧検出器、209 電流検出器、
210 制御部、211 SIV
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21