特許第6837554号(P6837554)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6837554
(24)【登録日】2021年2月12日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20210222BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20210222BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20210222BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H01L25/04 C
【請求項の数】5
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2019-532364(P2019-532364)
(86)(22)【出願日】2018年3月28日
(86)【国際出願番号】JP2018012829
(87)【国際公開番号】WO2019021532
(87)【国際公開日】20190131
【審査請求日】2020年1月10日
(31)【優先権主張番号】特願2017-147141(P2017-147141)
(32)【優先日】2017年7月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】特許業務法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】漆原 法美
(72)【発明者】
【氏名】仲田 清
(72)【発明者】
【氏名】寺門 秀一
【審査官】 麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−096910(JP,A)
【文献】 特開2016−67078(JP,A)
【文献】 特開2015−84609(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H01L 25/07
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
P極端子及びN極端子への通電態様に応じて上アームパワースイッチング素子並びに下アームパワースイッチング素子がそれぞれ駆動されるパワー半導体モジュールと、
前記P極端子及び前記N極端子を介した前記パワー半導体モジュールに対する通電を制御するゲートドライブ装置と、
前記P極端子及び前記N極端子に各々接続される複数の端子が前記パワー半導体モジュール側に形成されたフィルタコンデンサと、
前記パワー半導体モジュールが接触する所定面を介して前記パワー半導体モジュールを冷却する冷却器と、
前記P極端子及び前記N極端子と前記複数の端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の薄板状バスバーと、を備え、
前記フィルタコンデンサは、
前記所定面に沿って前記パワー半導体モジュールの近傍に配置されており、かつ、前記複数の端子が前記P極端子及び前記極端子側に配置されており、
前記複数の薄板状バスバーは、
前記所定面に対してほぼ垂直方向に沿って並行に形成されており、
前記フィルタコンデンサと前記冷却器の冷却ブロックとの間には空隙が形成されている
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
P極端子及びN極端子への通電態様に応じて上アームパワースイッチング素子並びに下アームパワースイッチング素子がそれぞれ駆動されるパワー半導体モジュールと、
前記P極端子及び前記N極端子を介した前記パワー半導体モジュールに対する通電を制御するゲートドライブ装置と、
前記P極端子及び前記N極端子に各々接続される複数の端子が前記パワー半導体モジュール側に形成されたフィルタコンデンサと、
前記パワー半導体モジュールが接触する所定面を介して前記パワー半導体モジュールを冷却する冷却器と、
前記P極端子及び前記N極端子と前記複数の端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の薄板状バスバーと、を備え、
前記フィルタコンデンサは、
前記所定面に沿って前記パワー半導体モジュールの近傍に配置されており、かつ、前記複数の端子が前記P極端子及び前記極端子側に配置されており、
前記複数の薄板状バスバーは、
前記所定面に対してほぼ垂直方向に沿って並行に形成されており、
前記フィルタコンデンサは、前記パワー半導体モジュールよりも冷却風の風上側に配置される
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項3】
P極端子及びN極端子への通電態様に応じて上アームパワースイッチング素子並びに下アームパワースイッチング素子がそれぞれ駆動されるパワー半導体モジュールと、
前記P極端子及び前記N極端子を介した前記パワー半導体モジュールに対する通電を制御するゲートドライブ装置と、
前記P極端子及び前記N極端子に各々接続される複数の端子が前記パワー半導体モジュール側に形成されたフィルタコンデンサと、
前記パワー半導体モジュールが接触する所定面を介して前記パワー半導体モジュールを冷却する冷却器と、
前記P極端子及び前記N極端子と前記複数の端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の薄板状バスバーと、を備え、
前記フィルタコンデンサは、
前記所定面に沿って前記パワー半導体モジュールの近傍に配置されており、かつ、前記複数の端子が前記P極端子及び前記極端子側に配置されており、
前記複数の薄板状バスバーは、
前記所定面に対してほぼ垂直方向に沿って並行に形成されており、
前記パワー半導体モジュールでは、前記上アームパワースイッチング素子と前記下アームパワースイッチング素子とが冷却風の流れ方向に沿って配置されている
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項4】
P極端子及びN極端子への通電態様に応じて上アームパワースイッチング素子並びに下アームパワースイッチング素子がそれぞれ駆動されるパワー半導体モジュールと、
前記P極端子及び前記N極端子を介した前記パワー半導体モジュールに対する通電を制御するゲートドライブ装置と、
前記P極端子及び前記N極端子に各々接続される複数の端子が前記パワー半導体モジュール側に形成されたフィルタコンデンサと、
前記パワー半導体モジュールが接触する所定面を介して前記パワー半導体モジュールを冷却する冷却器と、
前記P極端子及び前記N極端子と前記複数の端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の薄板状バスバーと、を備え、
前記フィルタコンデンサは、
前記所定面に沿って前記パワー半導体モジュールの近傍に配置されており、かつ、前記複数の端子が前記P極端子及び前記極端子側に配置されており、
前記複数の薄板状バスバーは、
前記所定面に対してほぼ垂直方向に沿って並行に形成されており、
前記ゲートドライブ装置は、前記フィルタコンデンサを挟んで前記冷却器とは反対の面側に配置されている
ことを特徴とする電力変換装置。
【請求項5】
P極端子及びN極端子への通電態様に応じて上アームパワースイッチング素子並びに下アームパワースイッチング素子がそれぞれ駆動されるパワー半導体モジュールと、
前記P極端子及び前記N極端子を介した前記パワー半導体モジュールに対する通電を制御するゲートドライブ装置と、
前記P極端子及び前記N極端子に各々接続される複数の端子が前記パワー半導体モジュール側に形成されたフィルタコンデンサと、
前記パワー半導体モジュールが接触する所定面を介して前記パワー半導体モジュールを冷却する冷却器と、
前記P極端子及び前記N極端子と前記複数の端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の薄板状バスバーと、を備え、
前記フィルタコンデンサは、
前記所定面に沿って前記パワー半導体モジュールの近傍に配置されており、かつ、前記複数の端子が前記P極端子及び前記極端子側に配置されており、
前記複数の薄板状バスバーは、
前記所定面に対してほぼ垂直方向に沿って並行に形成されており、
前記複数のバスバーは、それぞれL字形状であり、互いに対向して配置している
ことを特徴とする電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置における機器の実装構造に関し、特に、パワー半導体モジュールが搭載された電力変換装置に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
鉄道車両に設置される電力変換装置は、電気鉄道車両等の車両を駆動する電動機を制御するための装置である。電力変換装置は、主に車両の床下に設置されており、鉄道架線から入力される電力を、複数のパワー半導体モジュールを含む主回路のスイッチング動作によって変換する。この変換された電力は、鉄道車両用電動機の制御に用いられる。この電力変換装置の主たる構成装置である主回路は、例えば、パワースイッチング素子を備えるパワー半導体モジュール、その駆動回路であるゲートドライブ装置、及び、架線から入力された直流電力を安定化させるフィルタコンデンサを備えている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−251499号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば路面電車のような低床車両の床下に電力変換装置を設置しようとした場合、地表面との距離の関係上、垂直方向における電力変換装置の高さ寸法が設置上の制約の一つとなっていた。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、設置時における垂直方向の高さ寸法を抑えて低床車両に搭載し易い電力変換装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため、本発明における電力変換装置は、P極端子及びN極端子への通電態様に応じて上アームパワースイッチング素子並びに下アームパワースイッチング素子がそれぞれ駆動されるパワー半導体モジュールと、前記P極端子及び前記N極端子を介した前記パワー半導体モジュールに対する通電を制御するゲートドライブ装置と、前記P極端子及び前記N極端子に各々接続される複数の端子が前記パワー半導体モジュール側に形成されたフィルタコンデンサと、前記パワー半導体モジュールが接触する所定面を介して前記パワー半導体モジュールを冷却する冷却器と、前記P極端子及び前記N極端子と前記複数の端子とをそれぞれ電気的に接続する複数の薄板状バスバーと、を備え、前記フィルタコンデンサは、前記所定面に沿って前記パワー半導体モジュールの近傍に配置されており、かつ、前記複数の端子が前記P極端子及び前記N極端子側に配置されており、前記複数の薄板状バスバーは、前記所定面に対してほぼ垂直方向に沿って並行に形成されていることを特徴とする。
この電力変換装置において、第1の態様は、前記フィルタコンデンサと前記冷却器の冷却ブロックとの間には空隙が形成されている。また、第2の態様は、前記フィルタコンデンサは、前記パワー半導体モジュールよりも冷却風の風上側に配置される。また、第3の態様は、前記パワー半導体モジュールでは、前記上アームパワースイッチング素子と前記下アームパワースイッチング素子とが冷却風の流れ方向に沿って配置されている。また、第4の態様は、前記ゲートドライブ装置は、前記フィルタコンデンサを挟んで前記冷却器とは反対の面側に配置されている。第5の態様は、前記複数のバスバーは、それぞれL字形状であり、互いに対向して配置している。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、設置時における垂直方向の高さ寸法を抑えて低床車両に搭載し易いすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施の形態による電力変換装置を搭載する鉄道車両の構成例を示す部分断面図である。
図2図2に示す電力変換装置の構成例を示す上面斜視図である。
図3図2に示す電力変換装置の構成例を示す底面斜視図である。
図4図2に示す電力変換装置の構成例を示す側面斜視図である。
図5図2に示す電力変換装置の主回路及び制御論理部の構成例を示す回路図である。
図6】電力変換装置の基本構成の一例を示す断面図である。
図7図6に示す範囲Wの部分を拡大した図である。
図8図2に示す電力変換装置の主回路部を素子取付け面側から見た場合の構成例を示す斜視図である。
図9】パワー半導体モジュールの構成例を示す平面図及び回路図である。
図10図9(A)に示すパワー半導体モジュールの構成例を示す斜視図である。
図11】第2の実施の形態による電力変換装置の構成例を示す斜視図である。
図12】第3の実施の形態による電力変換装置の構成例を示す斜視図である。
図13】第4の実施の形態による電力変換装置の構成例を示す斜視図である。
図14】第5の実施の形態による電力変換装置の構成例を示す斜視図である。
図15】第6の実施の形態による電力変換装置の構成例を示す平面図である。
図16】第7の実施の形態による電力変換装置の部分的な構成例を示す平面図である。
図17】第8の実施の形態による電力変換装置の構成例を示す平面図である。
図18】第9の実施の形態による電力変換装置の構成例を示す平面図である。
図19】第10の実施の形態による電力変換装置の構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面について、本発明の一実施の形態について詳述する。
【0010】
(1)第1の実施の形態
(1−1)構成例
図1は、第1の実施の形態による電力変換装置1を備える鉄道車両の概略構成例を示す。この鉄道車両は、図示しない動力によって線路110上を車輪109で走行する低床車両であり、車体104の床下に、送風機105、通風室102及び電力変換装置1を備える。
【0011】
電力変換装置1は、車体104の床下に取付けられた筐体101内に収納されており、例えば空冷式の場合には通風室102を流れる冷却風103を放熱部材に晒すことにより、冷却される。以下、電力変換装置1の構成について詳細に説明する。
【0012】
図2図4は、それぞれ、図1に示す電力変換装置1の構成例を示す。なお、図2は、電力変換装置1を上方より上面を見た場合における外観の一例を表しており、図3は、電力変換装置1を下方から底面を見た場合における外観の一例を表しており、図4は、電力変換装置1をやや上方から側面を見た場合における外観の一例を表している。
【0013】
電力変換装置1は、単相交流から直流を発生させたり、または、直流から三相交流を発生させる装置であり、一般的に、前者はコンバータと呼ばれている一方、後者はインバータと呼ばれている。
【0014】
まず、コンバータは、交流電源からの単相交流電圧を直流電圧に変換し、直流電圧平滑用のフィルタコンデンサ3を充電する機能を有し、二相のレグで構成されている。
【0015】
一方、インバータは、フィルタコンデンサ3に充電された直流電圧を、パワー半導体モジュールが備える各パワースイッチング素子のON/OFFの比率を連続的に変化させることで交流電圧に変換する機能を有し、三相のレグを構成する。これにより、インバータは、三相交流を発生させ、この三相交流をU相バスバー91、V相バスバー92及びW相バスバー93を介してパワー半導体モジュールの各パワースイッチング素子を通電し、車体104の床下に設置された台車に実装されている電動機(図示せず)を駆動する。コンバータ及びインバータのいずれも、各パワースイッチング素子を通電制御することで電力変換を実施する。
【0016】
このようなパワースイッチング素子としては、ON抵抗及び駆動電流が小さく、かつ、スイッチング速度が速いという特徴を有するSi−IGBTを挙げることができる。または、さらに高速なスイッチング動作が可能なSiC−MOSFETを採用しても良い。
【0017】
電力変換装置1は、基本的に、支持枠(フレーム)6、パワー半導体モジュール、冷却器5、バスバー7,8,9、フィルタコンデンサ3及びゲートドライブ装置4を備えている。
【0018】
パワー半導体モジュール2は、例えば、U相、V相及びW相のP極及びN極のパワースイッチング素子を備える。各パワースイッチング素子は通電時及び遮断時に発熱する。パワー半導体モジュール2の詳細については後述する。
【0019】
冷却器5は、通電時及び遮断時に大電力を消費して発熱するパワー半導体モジュールを冷却する機能を有する。冷却器5には、空冷式または水冷式を採用することできる。空冷式としては、ラジエータ方式、ヒートパイプ方式またはフィン方式を採用することができる。
【0020】
冷却器5は、例えば、矩形の平板状の冷却ブロック51を備えるとともに、冷却ブロック51の一方の面(図示で上を向く面に相当)のほぼ中央に配置された箱形状の放熱部材52を備える。
【0021】
冷却器5は、冷却ブロック51の他方の面51A(図示で下を向く面に相当)における対抗する矩形の両辺部付近において各々支持枠6によって支持されている。なお、当該他方の面51Aに沿ってパワー半導体モジュール2が配置される。以下、当該他方の面51Aを「素子取付面」ともいう。パワー半導体モジュール2は、支持枠6は、電力変換装置1を構成する基本骨格であり、その機能としては、筐体101へ固定されたり冷却器5その他構成機器等を保持する際に用いられる。
【0022】
これらの支持枠6は、冷却ブロック51の上記他方の面51Aからほぼ垂直方向に切り立つように固定された矩形の平板状の部材であり、この平板部分のうち冷却ブロック51の上記他方の面51Aに接触していない他方の辺部材が当該他方の面51Aに平行な方向に外側に折り曲げられた構成となっている。この折り曲げられて構成される当該他方の辺部材の一方の面は、例えば電力変換装置1を低床車両の底部に取り付ける際にその底部に固定される。
【0023】
図5は、電力変換装置1の主回路及び制御論理部100の構成例を示す。一般的に鉄道のき電方式には交流式及び直流式が存在する。主電動機にも交流電動機及び直流電動機が存在する。従って、き電方式と電動機との組み合わせに応じて電力変換装置1にもインバータ単独若しくはコンバータ単独または両者の組み合わせが有り得る。本実施の形態においては、一例として、直流き電方式と交流電動機との組み合わせの場合に適用するインバータについて説明する。
【0024】
本実施の形態における主回路は、直流端子であるP極バスバー7とN極バスバー8との間における電気回路経路中に接続されるフィルタコンデンサ3、及び、三相インバータを有する構成となっている。
【0025】
三相インバータは、入力された直流を任意周波数及び任意電圧の三相交流に変換し、交流端子U、V、Wに三相交流を出力する。この三相インバータは、U相211、V相212、W相213の6群のパワースイッチング素子(PU、NU、PV、NV、PW、NW)を備える。
【0026】
各相のパワースイッチング素子は、素子と、この素子に並列接続されたフリーホイールダイオードとを備える。図示の例では、パワースイッチング素子として回路シンボルが一例としてSi−IGBTであるが、その代わりにSiC−MOSFETであっても良い。
【0027】
制御論理部100は、電力変換装置1とは別途設けられており、通電制御に際し、ゲートドライブ装置4を介して電力変換装置1に制御信号を出力する。制御論理部100は、この制御信号によってパワー半導体モジュール2の各パワースイッチング素子を駆動する。
【0028】
ゲートドライブ装置4は、フィルタコンデンサ3を挟んで冷却器5とは反対の面側に配置されている。このゲートドライブ装置4は、実装する電子部品が熱による影響によって誤動作したり寿命が短くなることもあり得る。例えばパワー半導体モジュール2及びバスバー7,8,9のような配線などは自己発熱し、付近が高温になる可能性があることから、ゲートドライブ装置4は、周囲の発熱部品からの熱的影響を避けられる位置に配置することが望ましい。
【0029】
図6は、電力変換装置1の基本構成の一例を示す断面図であり、図7は、図6に示す範囲Wの部分を拡大した図である。図8は、図2に示す電力変換装置1の主回路部を素子取付け面側から見た場合の構成例を示す斜視図である。
【0030】
図9(A)及び図9(B)は、それぞれ、パワー半導体モジュール2の構成例を示す平面図及び回路図である。図10は、図9(A)に示すパワー半導体モジュール2の斜視図である。
【0031】
まず、パワー半導体モジュール2の構成例について、図9(A)、図9(B)及び図10を用いて説明する。このパワー半導体モジュール2では、いわゆる2iN1パッケージの構成が使用されている。ここで、2iN1とは、図9(B)に示すP極用上アームの素子群11とN極用下アームの素子群12とが1つのパッケージ内に納められているという意味である。このような2iN1構成のパッケージのパワー半導体モジュール2の特徴の一つは、図9(A)及び図10に示すようにP極端子21とN極端子22とを近接して設置できることである。
【0032】
パッケージには、P極端子21、N極端子22及びM極端子23、並びに、信号入力端子24,25が設けられている。信号入力端子24は、上アームの素子群11を駆動するための端子であり、信号入力端子25は、下アームの素子群12を駆動するための端子である。
【0033】
次に、パワー半導体モジュール2を用いた電力変換装置1の構成について説明する。パワー半導体モジュール2では、冷却ブロック51及び放熱部材52を備える冷却器5に対して、P極端子21及びN極端子22側が内側向きになるように取り付けられているとともに、M極端子23側が外側向きになるように取り付けられている。
【0034】
まず、電力変換装置1には、外部機器との電気的接続のために、各バスバー7,8,9,13,14が設けられている。なお、P極バスバー7とN極バスバー8は、それぞれ、バスバー13,14の端部を表している。これらバスバー7,8,9,13,14は、導体の発熱を抑えるために、材料として体積抵抗率が小さな銅が採用されるとともに導体断面積が大きく構成されている。特に軽量化が要求される場合には、その材質としてアルミが採用されることもある。
【0035】
パワー半導体モジュール2のP極端子21及びN極端子22とフィルタコンデンサ3の各端子10との間の各々の電気的接続は、絶縁のためのフィルムを貼付けた薄い平板状のバスバー13,14を近接して沿わせることにより確保されている。このバスバー13,14の存在により、主回路のインダクタンスを低減させることができる。
【0036】
P極端子21及びN極端子22には、それぞれ、図8に示すようにパワー半導体モジュール2とフィルタコンデンサ3とを電気的に接続するためのP極薄板状バスバー13及びN極薄板状バスバー14が、パワー半導体モジュール2の取付け面に対して垂直方向に立上げられるとともにそれぞれ対向する向きに近接して固定されている。これは、P極薄板状バスバー13及びN極薄板状バスバー14のインダクタンスを低減させるためである。P極薄板状バスバー13とN極薄板状バスバー14との距離が短い構成となるほどインダクタンスは低く抑えることができるものの、そのような構成とすると絶縁耐圧が低くなり制約となってしまう。
【0037】
フィルタコンデンサ3は、パワー半導体モジュール2の長手方向に沿って冷却器5の冷却ブロック51の素子取付面51Aに沿ってパワー半導体モジュール2の近傍に設けられており、かつ、複数の端子10がP極端子21及びN極端子22側に配置されている。すなわち、フィルタコンデンサ3の複数の端子10は、図6及び図7に示す線図の向きにおいて水平方向でパワー半導体モジュール2側に設けられており、P極薄板状バスバー13とN極薄板状バスバー14とを接続している。
【0038】
図6に示すゲートドライブ装置4は、一般的に、実装する電子部品が熱による影響で誤動作したり寿命が短くなる可能性がある。ここで、パワー半導体モジュール2、電線及びバスバーなどは自己発熱し、付近は高温になる可能性がある。従って、ゲートドライブ装置4は、周囲発熱部品からの熱の影響を避けて配置することが求められるため、図6及び図7に示す線図の向きでフィルタコンデンサ3の直下に配置されている。
【0039】
このような構成とすると、パワー半導体モジュール2の端子面側(図6及び図7に示す線図の向きにおいて、パワー半導体モジュール2の直下)にフィルタコンデンサ3とゲートドライブ装置4とが重なり合うことがないため、パワー半導体モジュール2の高さ及びゲートドライブ装置4などとの空間絶縁距離等を無視できるようになる。従って、本実施の形態による電力変換装置1は、図6に示すように垂直方向における高さ寸法Aが最小となり、低床車両への搭載がより容易となる。
【0040】
さらに本実施の形態では、パワー半導体モジュール2のP極端子21及びN極端子22とフィルタコンデンサ3の端子10との間の距離Bを最も短くすることができるため、主回路のインダクタンスを低減することができる。
【0041】
ここで、インダクタンスをLとし、時間をtとした場合、パワー半導体モジュール2内の各パワースイッチング素子に流れる電流iを遮断する際に発生しうる跳ね上がり電圧Vは、次の式のようになる。
V=L×di/dt
【0042】
跳ね上がり電圧Vがパワースイッチング素子の定格を超えると、パワースイッチング素子を損傷したり寿命が短くなるため、パワースイッチング素子に流せる電流が小さくなる制約が発生する。これに対する具体的な対策としては、複数のパワー半導体モジュール2を並列に並べて使用するようにしても良い。
【0043】
以上説明したように本実施の形態によれば、インダクタンスLを最小に抑制することができるので、上述のような制約を最小限にとどめることができる。
【0044】
(2)第2の実施の形態
第2の実施の形態による電力変換装置1Aは、第1の実施の形態による電力変換装置1とほぼ同様な構成であるとおもにほぼ同様な動作を実行するため、同様な構成及び動作については説明を省略し、以下相違点を中心として説明する。
【0045】
図11は、第2の実施の形態による電力変換装置1Aの構成例を示す斜視図である。本実施の形態では、冷却器5の放熱部材52にフィン方式を採用している。本実施の形態では、パワー半導体モジュール2と、平面状の放熱フィン15との取付け向きを一致させている。すなわち、放熱フィン15は、パワー半導体モジュール2におけるP極端子21とN極端子22との配列方向に沿って取り付けられている。
【0046】
このような構成とすると、第1の実施の形態による効果を得られるのみならず、P極薄板状バスバー13及びN極薄板状バスバー14の構成を簡素化できるとともに、冷却ブロック51の幅寸法Wを小さく抑えることができるため、通風室102(図1参照)の通路断面積を小さくすることができる。これにより、電力変換装置1Aをより小型化することができる。
【0047】
(3)第3の実施の形態
第3の実施の形態による電力変換装置1Bは、第1の実施の形態による電力変換装置1とほぼ同様な構成であるとともにほぼ同様な動作を実行するため、同様な構成及び動作については説明を省略し、以下相違点を中心として説明する。
【0048】
図12は、第3の実施の形態による電力変換装置1Bの構成例を示す斜視図である。本実施の形態では、冷却器5の放熱部材52にヒートパイプ方式を採用している。
【0049】
このような構成とすると、第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
(4)第4の実施の形態
第4の実施の形態による電力変換装置1Cは、第1の実施の形態による電力変換装置1とほぼ同様な構成であるとともにほぼ同様な動作を実行するため、同様な構成及び動作については説明を省略し、以下相違点を中心として説明する。
【0051】
図13は、第4の実施の形態による電力変換装置1Cの構成例を示す斜視図である。本実施の形態では、冷却器5の放熱部材52にラジエータ方式を採用している。
【0052】
このような構成とすると、第1の実施の形態とほぼ同様な効果を得ることができる。
【0053】
(5)第5の実施の形態
第5の実施の形態による電力変換装置1Dは、第1の実施の形態による電力変換装置1とほぼ同様な構成であるとともにほぼ同様な動作を実行するため、同様な構成及び動作については説明を省略し、以下相違点を中心として説明する。
【0054】
図14は、第5の実施の形態による電力変換装置1Dの構成例を示す斜視図である。本実施の形態では、従前の実施の形態のような形態の冷却器5の代わりに、水冷方式の冷却器5を採用している。
【0055】
このような構成とすると、第1の実施の形態による効果を得られるのみならず、水冷方式は冷却風103に晒す放熱部材52を冷却器5内に備える必要がないため、第1の実施の形態による電力変換装置1と比べた場合、電力変換装置1Dをさらに薄い構成とすることができる。
【0056】
(6)第6の実施の形態
第6の実施の形態による電力変換装置1Eは、第1の実施の形態による電力変換装置1とほぼ同様な構成であるとともにほぼ同様な動作を実行するため、同様な構成及び動作については説明を省略し、以下相違点を中心として説明する。
【0057】
図15は、第6の実施の形態による電力変換装置1Eの構成例を示す平面図である。図示の例では、フィルタコンデンサ3をパワー半導体モジュール2の風上側に配置している。
【0058】
このような構成とすると、フィルタコンデンサ3はパワー半導体モジュール2よりも許容温度が低いため、符号SHで示すように発熱するパワー半導体モジュール2の冷却風CAの風上に配置されることにより、より高い周囲環境温度下においても使用することができるようになる。
【0059】
(7)第7の実施の形態
第7の実施の形態による電力変換装置1Fは、第1の実施の形態による電力変換装置1とほぼ同様な構成であるとともにほぼ同様な動作を実行するため、同様な構成及び動作については説明を省略し、以下相違点を中心として説明する。
【0060】
図16は、第7の実施の形態による電力変換装置1Fの部分的な構成例を示す平面図である。本実施の形態では、フィルタコンデンサ3の端子10が素子取付面51Aの垂直方向においてフィルタコンデンサ3の中心に対して偏心した位置に配置されている。すなわち、垂直方向におけるフィルタコンデンサ3における冷却ブロック51の素子取付面51Aから端子10の中心までの寸法Cと、フィルタコンデンサ3において上記素子取付面51Aとは、上記素子取付面51Aに接する面と反対側の面から当該中心までの寸法Dとが等しくない構成となっている。
【0061】
このような構成とすると、パワー半導体モジュール2のP極端子21或いはN極端子22とフィルタコンデンサ3の端子10との間の距離Bを空間絶縁距離及び沿面距離を確保しつつ最短にすることにより、主回路のインダクタンスLを低減することが可能となる。
【0062】
(8)第8の実施の形態
第8の実施の形態による電力変換装置1Gは、第1の実施の形態による電力変換装置1とほぼ同様な構成であるとともにほぼ同様な動作を実行するため、同様な構成及び動作については説明を省略し、以下相違点を中心として説明する。
【0063】
図17は、第8の実施の形態による電力変換装置1Gの構成例を示す平面図である。本実施の形態では、フィルタコンデンサ3に相対する冷却ブロック51の面と、冷却ブロック51と相対するフィルタコンデンサ3の面との間に空隙Sが設けられている。なお、この空隙Sは、フィルタコンデンサ3と冷却ブロック51とが対面する全面又は部分的な一部の面に設けられている。
【0064】
このように、フィルタコンデンサ3と冷却ブロック51の間に空気層を設けて断熱することにより、フィルタコンデンサ3がパワー半導体モジュール2からの熱を受けにくくなる。また、フィルタコンデンサ3はパワー半導体モジュール2よりも許容温度が低いため、冷却ブロック51の温度がフィルタコンデンサ3の許容温度を超えるような使われ方をする場合でも冷却風が空隙Sを通過するため冷却効率がより向上する。また、支持枠6または筐体101内にファンを設け、筐体101内に冷却風を循環させ、空隙Sに冷却風を通過させてもよい。
【0065】
(9)第9の実施の形態
第9の実施の形態による電力変換装置1Hは、第8の実施の形態による電力変換装置1Gとほぼ同様な構成であるとともにほぼ同様な動作を実行するため、同様な構成及び動作については説明を省略し、以下相違点を中心として説明する。
【0066】
図18は、第9の実施の形態による電力変換装置1Hの構成例を示す平面図である。本実施の形態では、第8の実施の形態と同様にフィルタコンデンサ3に相対する冷却ブロック51の面と、冷却ブロック51と相対するフィルタコンデンサ3の面との間に空隙Sが設けられており、さらにこの空隙Sに断熱部材17が充填されている。なお、この空隙Sに充填される断熱部材17は、フィルタコンデンサ3と冷却ブロック51とが対面する全面又は部分的な一部の面に設けられている。
【0067】
このような構成とすると、冷却ブロック51の温度がフィルタコンデンサ3の許容温度を超えるような使われ方をする場合でも、断熱部材17の材質次第で、第8の実施の形態よりもさらに冷却効率が向上する。
【0068】
(10)第10の実施の形態
第10の実施の形態による電力変換装置1Iは、第1の実施の形態による電力変換装置1とほぼ同様な構成であるとともにほぼ同様な動作を実行するため、同様な構成及び動作については説明を省略し、以下相違点を中心として説明する。
【0069】
図19は、第10の実施の形態による電力変換装置1Iの構成例を示す平面図である。本実施の形態では、パワー半導体モジュール2による発熱SHを冷却するための冷却器5の放熱部材52が、パワー半導体モジュール2と冷却ブロック51との接触面である素子取付面のほぼ直上面に設けられている。
【0070】
このように放熱部材52の設置面積を最低限とすることで、電力変換装置1Iの軽量化を図るとともに、重心位置をできるだけ電力変換装置1Iの中央部に寄せる構成として電力変換装置1全体として重量バランスを改善することができる。
【0071】
また、冷却風に対して通風方向の長さを最小限とすることで、前述した送風機105(図1参照)の動力を最小限に抑えることができるため、送風機105の軽量化及び省電力化による省エネルギーを図るとともに、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0072】
(11)その他の実施形態
上記実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこれらの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な形態で実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、パワー半導体モジュールが搭載される電力変換装置に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0074】
1……電力変換装置、2……パワー半導体モジュール、3……フィルタコンデンサ、4……ゲートドライブ装置、5……冷却器、51……冷却ブロック、51A……素子取付面(所定面)、51B……面、52……放熱部材、6……支持枠(フレーム)、7……P極バスバー、8……N極バスバー、9……M極バスバー、10……端子、13……P極薄板状バスバー、14……N極薄板状バスバー、15……放熱フィン、16……ヒートパイプ式冷却器、17……断熱部材、91……U相バスバー、92……V相バスバー、93……W相バスバー、100……制御論理部、101……筐体、102……通風室、103……冷却風、104……車体、105……送風機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12
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図19