特許第6838442号(P6838442)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6838442電極板の製造方法及び二次電池の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6838442
(24)【登録日】2021年2月16日
(45)【発行日】2021年3月3日
(54)【発明の名称】電極板の製造方法及び二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20210222BHJP
   H01M 4/66 20060101ALI20210222BHJP
   H01M 10/04 20060101ALI20210222BHJP
   B30B 3/00 20060101ALI20210222BHJP
   H01M 4/139 20100101ALN20210222BHJP
【FI】
   H01M4/04 A
   H01M4/66 A
   H01M10/04 Z
   B30B3/00 B
   !H01M4/139
【請求項の数】6
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-52759(P2017-52759)
(22)【出願日】2017年3月17日
(65)【公開番号】特開2018-156839(P2018-156839A)
(43)【公開日】2018年10月4日
【審査請求日】2019年11月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001889
【氏名又は名称】三洋電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104732
【弁理士】
【氏名又は名称】徳田 佳昭
(74)【代理人】
【識別番号】100164035
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 正人
(72)【発明者】
【氏名】城田 亮介
(72)【発明者】
【氏名】河内 あゆみ
(72)【発明者】
【氏名】中井 晴也
(72)【発明者】
【氏名】大橋 実
【審査官】 鈴木 雅雄
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−214617(JP,A)
【文献】 特開2010−080272(JP,A)
【文献】 特開2000−133251(JP,A)
【文献】 特開平09−293500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/04
B30B 3/00
H01M 4/66
H01M 10/04
H01M 4/139
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔からなる芯体の両面に活物質及び結着剤を含む活物質合剤層が形成され、端部に前記活物質合剤層が形成されていない前記芯体が露出した芯体露出部を有する電極板の製造方法であって、
前記活物質及び前記結着剤を含む活物質合剤スラリーを作製するスラリー作製工程と、
長尺状の前記芯体表面に、前記芯体の長手方向に沿って前記芯体露出部が形成されるように前記活物質合剤スラリーを塗布する塗布工程と、
前記活物質合剤スラリーを乾燥させ前記活物質合剤層とする乾燥工程と、
前記活物質合剤層を圧縮ローラで圧縮する圧縮工程と、を有し、
前記圧縮ローラは、大径部、及び前記大径部の外径よりも小さい外径を有する小径部を有し、
前記大径部の外径と前記小径部の外径の差が、2μm〜20μmであり、
前記圧縮工程では、前記大径部が、前記圧縮ローラの回転軸が延びる方向における前記活物質合剤層の中央領域を押圧し、前記小径部が、前記圧縮ローラの回転軸が延びる方向における前記活物質合剤層の端部近傍と対向する電極板の製造方法。
【請求項2】
前記圧縮工程では、前記小径部が、前記圧縮ローラの回転軸が延びる方向における前記活物質合剤層の端部近傍を押圧する請求項1に記載の電極板の製造方法。
【請求項3】
前記圧縮ローラの回転軸が延びる方向において、前記小径部と前記活物質合剤層が対向する領域の幅は、1mm〜10mmである請求項1又は2に記載の電極板の製造方法。
【請求項4】
前記小径部の外面の前記大径部の外面からの窪み量は、圧縮前の正極活物質合剤層の厚みに対して、1%〜15%である請求項1〜3のいずれかに記載の電極板の製造方法。
【請求項5】
前記電極板は正極板であり、
前記芯体はアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔である請求項1〜4のいずれかに記載の電極板の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法により製造した電極板を用いた二次電池の製
造方法であって、
前記電極板と、前記電極板とは極性が異なる他の電極板と、セパレータを用いて電極体を作製する工程と、
前記電極体を電池ケース内に配置する工程を有する二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極板の製造方法及び二次電池の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車(EV)やハイブリッド電気自動車(HEV、PHEV)等の駆動用電源において、非水電解質二次電池等の二次電池が使用されている。
【0003】
これらの二次電池は、金属箔からなる芯体の表面に活物質を含んだ活物質合剤層が形成された正極板及び負極板を備える。電気自動車やハイブリッド電気自動車等に用いられる二次電池には、更なる体積エネルギー密度の増加が求められている。二次電池の体積エネルギー密度を増加させる方法として、活物質合剤層の充填密度を更に高くする方法が考えられる。これにより、電池ケース内に含まれる活物質の量を増加させ、体積エネルギー密度を向上させることができる。活物質合剤層の充填密度を更に高くする方法としては、例えば、芯体上に活物質合剤層を設けた後、圧縮ローラを用いて活物質合剤層を圧縮処理する際、より強い力で圧縮することにより、活物質合剤層の充填密度をより高くすることができる。
【0004】
しかしながら、芯体上に形成された活物質合剤層をより強い力で圧縮処理した場合、活物質合剤層のみでなく、芯体において活物質合剤層が形成された部分も強く圧縮されるため、芯体が圧延される。ここで、電極板の長手方向に沿って活物質合剤層が形成されていない芯体露出部が存在すると、芯体露出部は活物質合剤層が形成された部分に比べ厚みが小さいため、芯体露出部には圧縮処理の加重が加わらない。よって、圧延処理を行った場合、芯体において活物質合剤層が形成された部分は圧延されるものの、芯体露出部は圧延されない。このため、芯体の幅方向において、活物質合剤層が形成された部分と芯体露出部では長手方向の長さに差が生じる。そして、芯体における長手方向の長さの差が生じることにより、電極板に反りや皺等が生じる課題が生じる。そして、電極板に反りや皺等が生じると、電極体を作製する際に巻きズレや積層ズレが生じる原因となる。
【0005】
このような課題を解決するため、下記特許文献1においては、電極板の芯体露出部を予め延伸させた後、電極板をロールプレスする技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5390721号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、電極板に反りや皺等が生じ難い電極板の製造方法及び二次電池の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一様態の電極板の製造方法は、金属箔からなる芯体の両面に活物質及び結着剤を含む活物質合剤層が形成され、端部に前記活物質合剤層が形成されていない前記芯体が露出した芯体露出部を有する電極板の製造方法であって、前記活物質及び前記結着剤を含む活物質合剤スラリーを作製するスラリー作製工程と、長尺状の前記芯体表面に、前記芯体の長手方向に沿って前記芯体露出部が形成されるように前記活物質合剤スラリーを塗布する塗布工程と、前記活物質合剤スラリーを乾燥させ前記活物質合剤層とする乾燥工程と、前記活物質合剤層を圧縮ローラで圧縮する圧縮工程と、を有する。前記圧縮ローラは、大径部、及び前記大径部の外径よりも小さい外径を有する小径部を有し、前記大径部の外径と前記小径部の外径の差が、2μm〜20μmである。前記圧縮工程では、前記大径部が、前記圧縮ローラの回転軸が延びる方向における前記活物質合剤層の中央領域を押圧し、前記小径部が、前記圧縮ローラの回転軸が延びる方向における前記活物質合剤層の端部と対向する。
【0009】
上述の製造方法によると、圧縮工程により電極板に反りや皺等が生じることを効果的に抑制できる。
【0010】
発明者は、活物質合剤層を圧縮ローラにより圧縮したときに、電極板に反りや皺等が生じる原因について検討を行ったところ、以下の知見を得た。活物質合剤層を圧縮する圧縮ローラは、その回転軸が延びる方向の両端部が固定された状態で回転し、活物質合剤層を圧縮する。この際、通常、圧縮ローラは変形し難い金属製である。しかしながら、活物質合剤層をより強く圧縮する場合、金属製の圧縮ローラであっても、撓みが生じる。この撓みにより、圧縮ローラの回転軸が延びる方向における活物質合剤層の端部近傍を押圧する圧縮ローラと芯体の距離は、圧縮ローラの回転軸が延びる方向における活物質合剤層の中央領域を押圧する圧縮ローラと芯体の距離よりも小さくなる。このため、圧縮ローラの回転軸が延びる方向における活物質合剤層の端部近傍は、圧縮ローラによりより強く圧縮される。したがって、活物質合剤層が形成されていないため圧縮ローラにより圧縮されず、延伸されない芯体露出部と、圧縮ローラにより、より強く圧縮され、その芯体がより大きく延伸される部分が近接することになる。このため、圧縮処理後の電極板に反りや皺等が生じやすくなる。
【0011】
本発明に係る上述の電極板の製造方法では、圧縮ローラに、大径部、及び大径部の外径よりも小さい外径を有する小径部を設けている。そして、圧縮工程において、大径部が、圧縮ローラの回転軸が延びる方向における活物質合剤層の中央領域を押圧し、小径部が、圧縮ローラの回転軸が延びる方向における活物質合剤層の端部近傍と対向するようにしている。このため、芯体露出部に隣接する活物質合剤層の端部近傍及び芯体が強く圧縮されることを防止できる。よって、圧縮工程において、電極板に大きな反りや皺等が生じることを効果的に抑制できる。
【0012】
前記圧縮工程では、前記小径部が、前記圧縮ローラの回転軸が延びる方向における前記活物質合剤層の端部を押圧することが好ましい。
【0013】
前記圧縮ローラの回転軸が延びる方向において、前記小径部と前記活物質合剤層が対向する領域の幅は、1mm〜10mmであることが好ましい。
【0014】
前記大径部の外径と前記小径部の外径の差が、2μm〜20μmであることが好ましい。
【0015】
前記電極板は正極板であり、前記芯体はアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であることが好ましい。
【0016】
上述の方法で作製した電極板を用いて二次電池を作製することができる。その場合、前記電極板と、前記電極板とは極性が異なる他の電極板と、セパレータを用いて電極体を作製する。そして、前記電極体を電池ケース内に配置する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、電極板に反りや皺等が生じ難い電極板の製造方法及び二次電池の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】正極原板の平面図である。
図2】正極原板を圧縮処理する工程を示す図である。
図3】圧縮ローラの回転軸が延びる方向に沿った圧縮ローラ及び正極原板の断面図である。
図4】圧縮ローラの回転軸が延びる方向に沿った圧縮ローラ及び正極原板の拡大断面図であり、正極原板の短手方向の端部近傍の拡大断面図である。
図5】正極板の平面図である。
図6】正極板の反り試験の方法を示す図である。
図7】負極板の平面図である。
図8】角形二次電池の斜視図である。
図9図9A図8におけるIXA−IXA断面の断面図である。図9B図8におけるIXB−IXB断面の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
まず、本発明に係る電極板の製造方法を、非水電解質二次電池の正極板の製造方法を例に説明する。なお、本発明は以下の形態に限定されない。
【0020】
[正極活物質合剤スラリーの作製]
正極活物質としてのリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)、導電剤としてのカーボンブラック、及び分散媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物:PVdF:カーボンブラックの質量比が91:6:3となるように混練し、正極活物質合剤スラリーを作製する。
【0021】
[正極活物質合剤層の作製]
正極芯体としての厚さ15μmのアルミニウム箔の両面に、正極活物質合剤スラリーをダイコータにより塗布する。このとき、正極芯体の短手方向の中央に正極活物質合剤スラリーが塗布されるようにする。その後、正極活物質合剤スラリーを乾燥させ、正極活物質合剤スラリー中のNMPを除去する。これにより正極芯体40aの両面に正極活物質合剤層40bが形成された長尺状の正極原板400が作製される。
【0022】
図1に示すように、長尺状の正極原板400において、正極原板400の短手方向の中央に正極活物質合剤層40bが形成される。また、正極原板400の短手方向の両端には、両面に正極活物質合剤層40bが形成されない正極芯体露出部4が形成される。
【0023】
[圧縮工程]
図2は、正極原板400の圧縮工程を示す図である。正極原板400は、圧縮ローラ60及び圧縮ローラ61により圧縮される。圧縮ローラ60と圧縮ローラ61は所定の間隔を置いて配置され、それぞれ回転する。正極原板400は、圧縮ローラ60と圧縮ローラ61の間を通過し、圧縮ローラ60及び圧縮ローラ61に押圧され、圧縮される。長尺状の正極原板400は、その長手方向に沿って流れ、順次圧縮されていく。圧縮処理により、正極原板400の正極活物質合剤層40bが所定の厚みに圧縮される。
【0024】
図3は、圧縮ローラ60の回転軸が延びる方向に沿った正極原板400、圧縮ローラ60及び圧縮ローラ61の断面図である。圧縮ローラ60は、大径部60aと、大径部60aの両側に形成され、大径部60aの外径よりも小さい外径を有する小径部60bを有する。圧縮ローラ61は、大径部61aと、大径部61aの両側に形成され、大径部61aの外径よりも小さい外径を有する小径部61bを有する。
【0025】
図3に示すように、圧縮ローラ60の回転軸が延びる方向(正極原板400の短手方向)において、正極活物質合剤層40bの中央領域が大径部60a及び大径部61aにより押圧され圧縮される。また、圧縮ローラ60の回転軸が延びる方向において、正極活物質合剤層40bの端部近傍が小径部60b及び小径部61bと対向する。
【0026】
図3に示すように、小径部60b及び小径部61bはそれぞれ、正極活物質合剤層40bと対向すると共に、正極芯体露出部4とも対向するように配置されることが好ましい。
【0027】
なお、圧縮ローラ60の回転軸が延びる方向において、正極活物質合剤層40bの端部近傍は、小径部60b及び小径部61bにより押圧され、圧縮されることが好ましい。
【0028】
圧縮ローラ60の回転軸が延びる方向において、正極活物質合剤層40bの端部近傍を小径部60b及び小径部61bと対向させることにより、正極活物質合剤層40bの端部近傍が過度に押圧され、正極活物質合剤層40bの端部近傍に位置する芯体が過度に延伸されることを効果的に防止できる。よって、正極原板400に反りや皺等が生じることを効果的に抑制できる。
【0029】
なお、圧縮ローラ60の小径部60bと正極活物質合剤層40bが対向する領域の幅(図3におけるW1)、圧縮ローラ61の小径部61bと正極活物質合剤層40bが対向する領域の幅(図3におけるW1)はそれぞれ1mm〜10mmであることが好ましく、2mm〜8mmであることがより好ましい。あるいは、正極原板400の短手方向において、圧縮ローラ60の小径部60bと正極活物質合剤層40bが対向する領域の幅(図3におけるW1)、圧縮ローラ61の小径部61bと正極活物質合剤層40bが対向する領域の幅(図3におけるW1)はそれぞれ、正極活物質合剤層40bの幅(図3におけるW2)に対して1%〜20%であることが好ましく、1%〜10%であることがより好ましく、2%〜5%であることが更に好ましい。
【0030】
圧縮ローラ60において、大径部60aの外径と小径部60bの外径の差は、2μm〜20μmであることが好ましい。即ち、小径部60bの外面が、大径部60aの外面よりも1μm〜10μm窪んでいることが好ましい。なお、ここで、小径部60bの外径及び小径部60bの外面は、正極活物質合剤層40bと対向する部分についてである。小径部60bの外面の大径部60aの外面からの窪み量は、圧縮前の正極活物質合剤層40bの厚みに対して、1%〜15%であることが好ましく、1%〜11%であることがより好ましく、1%〜6%であることが更に好ましい。なお、ここで、圧縮前の正極活物質合剤層40bの厚みは、正極芯体40aの一方の面に形成された正極活物質合剤層40bの厚みである。
【0031】
圧縮ローラ61において、大径部61aの外径と小径部61bの外径の差は、2μm〜20μmであることが好ましい。即ち、小径部61bの外面が、大径部61aの外面よりも1μm〜10μm窪んでいることが好ましい。なお、ここで、小径部61bの外径及び小径部61bの外面は、正極活物質合剤層40bと対向する部分についてである。小径部61bの外面の大径部61aの外面からの窪み量は、圧縮前の正極活物質合剤層40bの厚みに対して、1%〜15%であることが好ましく、1%〜11%であることがより好ましく、1%〜6%であることが更に好ましい。なお、ここで、圧縮前の正極活物質合剤層40bの厚みは、正極芯体40aの一方の面に形成された正極活物質合剤層40bの厚みである。
【0032】
[実施例1]
上述の方法で正極原板400を作製した。ここで、正極原板400の短手方向の幅は、
210mm、正極原板400の短手方向の正極活物質合剤層40bの幅(図3におけるW2)は180mmとした。また、正極芯体40aの一方の面に形成された圧縮前の正極活物質合剤層40bの厚みを85μmとした。なおこの厚みは、正極活物質合剤層40bの中央領域の厚みである。
【0033】
次に図3に記載の方法で、正極原板400を圧縮処理した。ここで、正極原板400の短手方向において、圧縮ローラ60の小径部60bと正極活物質合剤層40bが対向する領域の幅(図3におけるW1)、圧縮ローラ61の小径部61bと正極活物質合剤層40bが対向する領域の幅(図3におけるW1)をそれぞれ2mmとした。また、圧縮ローラ60において、大径部60aの外径と、小径部60bの外径の差を4μmとした。したがって、大径部60aの外面より小径部60bの外面が2μm窪んだ状態となっている。
圧縮ローラ61において、大径部61aの外径と、小径部61bの外径の差を4μmとした。したがって、大径部60aの外面より小径部61bの外面が2μm窪んだ状態となっている。また、正極芯体40aの一方の面に形成された圧縮後の正極活物質合剤層40bの厚みが75μmとなるように圧縮処理を行った。なお、この厚みは、正極活物質合剤層40bの中央領域の厚みである。
【0034】
[実施例2]
実施例1と同様の方法で正極原板400を作製した。また、正極原板400の短手方向において、圧縮ローラ60の小径部60bと正極活物質合剤層40bが対向する領域の幅(図3におけるW1)、圧縮ローラ61の小径部61bと正極活物質合剤層40bが対向する領域の幅(図3におけるW1)をそれぞれ5mmとした以外は、実施例1と同様の方法で正極原板400を圧縮処理した。
【0035】
[比較例1]
実施例1と同様の方法で正極原板400を作製した。また、小径部60bが設けられていない圧縮ローラ60と、小径部61bが設けられていない圧縮ローラ61と、を用いて正極原板400を圧縮すること以外は、実施例1と同様の方法で正極原板400を圧縮処理した。なお、比較例1では圧縮ローラ60の回転軸が延びる方向(正極原板400の短手方向)において、正極活物質合剤層40bの端部近傍が圧縮ローラ60の大径部60aと圧縮ローラ61の大径部61aにより押圧される。
【0036】
[正極の反り量の評価]
実施例1、実施例2、比較例1の圧縮処理後の正極原板400を、短手方向の中央部で半分に裁断し、長さ400mm、幅105mmの正極試験板140を作製した。図6に示すように、正極試験板140において、短手方向における正極芯体露出部4の端部のうち、正極試験板140の長手方向における一方の端部を点Aとし、他方の端部を点Bとする。そして、点Aと点Bを結ぶ直線を直線L1とする。また、正極試験板140の短手方向における正極芯体露出部4の正極活物質合剤層40b側の端部のうち、正極試験板140の長手方向における中央部を通り且つ直線Cに平行な直線を直線L2とする。そして、実施例1、実施例2及び比較例1に係る正極試験板140について、直線L1と直線L2の間の距離を測定した。なお、直線L1と直線L2の間の距離は、正極試験板140の反り量となり、直線L1と直線L2の間の距離が大きいほど、正極試験板140の反り量が大きい。
【0037】
表1に各正極試験板140の反り量の評価結果を示す。なお、表1おいて、比較例1に係る正極試験板140における直線L1と直線L2の間の距離を100とし、実施例1及び実施例2に係る正極試験板140における直線L1と直線L2の間の距離を相対的に示す。
【0038】
【表1】
【0039】
表1に示すように、圧縮ローラに大径部及び小径部を設け、小径部が、圧縮ローラの回転軸が延びる方向における正極活物質合剤層40bの端部近傍と対向するようにすることにより、正極試験板140の反り量を効果的に抑制できることが分かる。
【0040】
[角形二次電池]
上述の方法で作製した正極板を用いた二次電池の製造方法を、角形二次電池20を用いて説明する。なお、図8は角形二次電池20の斜視図である。図9Aは、図8におけるIXA−IXA断面の断面図である。図9Bは、図8におけるIXB−IXB断面の断面図である。
【0041】
[負極板の作製]
負極活物質としての黒鉛、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム(SBR)、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)、及び水を、黒鉛:SBR:CMCの質量比が99:0.8:0.2となるように混練し、負極活物質合剤スラリーを作製する。
【0042】
負極芯体としての厚さ8μmの銅箔の両面に、負極活物質合剤スラリーをダイコータにより塗布する。その後、負極活物質合剤スラリーを乾燥させ、負極活物質合剤スラリー中の水を除去する。これにより負極活物質合剤層が形成される。その後、負極活物質合剤層を圧縮ローラにより所定の充填密度となるように圧縮処理する。そして、所定の形状に切断し、負極板50とする。
【0043】
図7は、負極板50の平面図である。負極板50は、長尺状の負極芯体50aと、負極芯体50aの両面に形成された負極活物質合剤層50bを含む。負極芯体50aには、短手方向の端部に、長手方向に沿って両面に負極活物質合剤層50bが形成されていない負極芯体露出部5が設けられている。
【0044】
[巻回電極体の作製]
上述の方法で作製した長尺状の正極板40と長尺状の負極板50を、ポリオレフィン製の長尺状のセパレータを介して巻回し、偏平状にプレス成形する。得られた偏平状の巻回電極体3は、巻回軸方向における一方の端部に巻回された正極芯体露出部4を有し、他方の端部に巻回された負極芯体露出部5を有する。
【0045】
[非水電解液の調整]
エチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比(25℃、1気圧)で30:30:40となるように混合した混合溶媒を作製する。この混合溶媒に、LiPFを1mol/Lとなるように添加し、さらに非水電解液の総質量に対してその添加量が0.3質量%となるようにビニレンカーボネート(VC)を添加して非水電解液とする。
【0046】
[封口板への部品取り付け]
封口板2に設けられた正極端子取り付け孔(図示省略)の周囲の電池外面側に外部側絶縁部材10を配置する。封口板2に設けられた正極端子取り付け孔(図示省略)の周囲の電池内面側に内部側絶縁部材11及び正極集電体6のベース部6cを配置する。そして、電池外部側から正極端子7を、外部側絶縁部材10の貫通孔、正極端子取り付け孔、内部側絶縁部材11の貫通孔及び正極集電体6のベース部6cの貫通孔に挿入し、正極端子7の先端部を正極集電体6のベース部6c上にかしめる。これにより、正極端子7及び正極集電体6が封口板2に固定される。なお、正極端子7においてかしめられた部分をベース部6cに溶接することが好ましい。なお、正極集電体6は、正極芯体露出部4に接続される接続部6aと、封口板2と巻回電極体3の間に配置されるベース部6cと、接続部6aとベース部6cを繋ぐリード部6bを有する。
【0047】
封口板2に設けられた負極端子取り付け孔(図示省略)の周囲の電池外面側に外部側絶縁部材12を配置する。封口板2に設けられた負極端子取り付け孔(図示省略)の周囲の電池内面側に内部側絶縁部材13及び負極集電体8のベース部8cを配置する。そして、電池外部側から負極端子9を、外部側絶縁部材12の貫通孔、負極端子取り付け孔、内部側絶縁部材13の貫通孔及び負極集電体8のベース部8cの貫通孔に挿入し、負極端子9の先端部を負極集電体8のベース部8c上にかしめる。これにより、負極端子9及び負極集電体8が封口板2に固定される。なお、負極端子9においてかしめられた部分をベース部8cに溶接することが好ましい。なお、負極集電体8は、負極芯体露出部5に接続される接続部8aと、封口板2と巻回電極体3の間に配置されるベース部8cと、接続部8aとベース部8cを繋ぐリード部8bを有する。
【0048】
[巻回電極体への集電部材の取り付け]
正極集電体6は接続部6aにおいて、巻回された正極芯体露出部4と溶接接続される。負極集電体8は接続部8aにおいて、巻回された負極芯体露出部5と溶接接続される。なお溶接接続は、抵抗溶接、超音波溶接、レーザ等のエネルギー線の照射による溶接等を用いることができる。
【0049】
[角形二次電池の組立て]
正極集電体6及び負極集電体8が取り付けられた巻回電極体3を樹脂シート14で覆い、角形外装体1に挿入する。そして、封口板2と角形外装体1を溶接し、角形外装体1の開口を封口板2により封口する。その後、封口板2に設けられた電解液注液孔から非水電解液を注液し、電解液注液孔を封止栓16により封止する。これにより、角形二次電池20が作製される。なお、角形外装体1及び封口板2により電池ケース30が構成されている。
【0050】
偏平状の巻回電極体3はその巻回軸が角形外装体1の底部と平行になる向きで角形外装体1内に配置される。角形外装体1と巻回電極体3の間には電気絶縁性の樹脂シート14が配置されている。封口板2には電池ケース30内の圧力が所定値以上となった際に破断し、電池ケース30内のガスを電池ケース30外に排出するガス排出弁15が設けられている。
【0051】
<その他>
上述の実施形態における正極原板400では、正極活物質合剤層40bの幅が正極板2枚分の幅を有しており、短手方向の中央部で長手方向に沿って正極原板400を半分に裁断し、短手方向で2枚の正極板が作製される例を示したが、これに限定されない。正極原板の短手方向で1枚、あるいは3枚以上の正極板が製造されるようにしてもよい。このような場合、圧縮ローラの小径部の数は上述の実施形態のように2つに限定されず、適宜選
択すればよい。
【0052】
正極板、負極板、セパレータ、電解液等の各材料は、二次電池に使用される公知のものを使用することができる。なお、非水電解質二次電池の場合は以下のような材料を用いることが好ましい。
【0053】
正極活物質としては、リチウム遷移金属複合酸化物を用いることが好ましい。リチウム遷移金属複合酸化物としては、コバルト酸リチウム、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、リチウムニッケルマンガン複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物等が挙げられる。また、上記のリチウム遷移金属複合酸化物にAl、Ti、Zr、W、Nb、B、Mg又はMo等を添加したものも使用し得る。あるいは、オリビン型のリン酸鉄リチウムを用いることもできる。
【0054】
なお、本発明を正極板に適用する場合、正極活物質合剤層は、正極活物質、結着剤及び導電剤を含むことが好ましい。結着剤としてはポリフッ化ビニリデン(PVdF)が特に好ましい。また導電剤しては炭素材料が特に好ましい。また、正極芯体はアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔であることが好ましい。
【0055】
本発明を正極板に適用する場合、圧縮後の正極活物質合剤層の充填密度は、2.3g/cm以上であることが好ましく、2.6g/cm以上であることがより好ましい。
【0056】
正極芯体露出部において、正極活物質合剤層と隣接する部分に正極保護層を設けることができる。この正極保護層は、アルミナ等の無機粒子と結着剤からなることが好ましい。正極保護層は、正極活物質合剤層よりも大きな電気抵抗を有するようにする。なお、適宜、炭素材料等の導電剤を少量含有させることもできる。
【0057】
負極活物質としてはリチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素材料を用いることが好ましい。リチウムイオンの吸蔵・放出が可能な炭素材料としては、黒鉛、難黒鉛性炭素、易黒鉛性炭素、繊維状炭素、コークス及びカーボンブラック等が挙げられる。これらの内、特に黒鉛が好ましい。さらに、非炭素系材料としては、シリコン、スズ、及びそれらを主とする合金や酸化物などが挙げられる。
【0058】
非水電解質の非水溶媒(有機溶媒)としては、カーボネート類、ラクトン類、エーテル類、ケトン類、エステル類等を使用することができ、これらの溶媒の2種類以上を混合して用いることができる。非水電解質の電解質塩としては、従来のリチウムイオン二次電池において電解質塩として一般に使用されているものを用いることができる。セパレータとしては、ポリオレフィン製の多孔質セパレータを用いることが好ましい。
【符号の説明】
【0059】
20・・・角形二次電池
30・・・電池ケース
1・・・角形外装体
2・・・封口板
3・・・巻回電極体

40・・・正極板
40a・・・正極芯体
40b・・・正極活物質合剤層
400・・・正極原板

50・・・負極板
50a・・・負極芯体
50b・・・負極活物質合剤層

4・・・正極芯体露出部
5・・・負極芯体露出部
6・・・正極集電体
6a・・・接続部
6b・・・リード部
6c・・・ベース部
7・・・正極端子
8・・・負極集電体
8a・・・接続部
8b・・・リード部
8c・・・ベース部
9・・・負極端子
10・・・外部側絶縁部材
11・・・内部側絶縁部材
12・・・外部側絶縁部材
13・・・内部側絶縁部材
14・・・樹脂シート
15・・・ガス排出弁
16・・・封止栓

60・・・圧縮ローラ
60a・・・大径部
60b・・・小径部
61・・・圧縮ローラ
61a・・・大径部
61b・・・小径部

140・・・正極試験板


図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9