(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記電動工具の操作装置が操作されることにより生成された操作信号を取得する操作信号取得部と、前記操作信号に基づいて前記制御信号を出力する制御部とを有し、
前記作業開始信号は、前記操作信号を含む、
請求項1又は請求項2に記載の作業補助具。
前記制御装置は、前記電動工具に電力の供給が開始されたことを示す検出信号を取得する検出信号取得部と、前記検出信号に基づいて前記制御信号を出力する制御部とを有し、
前記作業開始信号は、前記検出信号を含む、
請求項1又は請求項2に記載の作業補助具。
前記制御装置は、前記電動工具のモータが駆動しているときに、前記スプリングセンサの検出値に基づいて、前記スプリング部材の弾性力が第1閾値以上であると判定したときに前記アクチュエータを停止させる停止信号を出力し、前記スプリング部材の弾性力が第2閾値以下であると判定したときに前記アクチュエータを起動させる起動信号を出力する、
請求項22に記載の作業補助具。
前記制御装置は、前記電動工具に対する電力の供給が停止されたことを示す検出信号を取得する検出信号取得部と、前記検出信号に基づいて前記制御信号を出力する制御部とを有し、
前記作業終了信号は、前記検出信号を含む、
請求項28に記載の作業補助具。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、XYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。所定面内のX軸と平行な方向をX軸方向とする。X軸と直交する所定面内のY軸と平行な方向をY軸方向とする。所定面と直交するZ軸と平行な方向をZ軸方向とする。以下の説明においては、所定面を適宜、XY平面、と称し、XY平面と水平面とが平行であることとする。
【0010】
また、以下の説明においては、「左」、「右」、「前」、「後」、「上」、及び「下」の用語を用いて各部の位置関係について説明する。これらの用語は作業者WMを基準とした相対位置又は方向を示す。本実施形態において、X軸方向は左右方向である。Y軸方向は前後方向である。Z軸方向は上下方向である。+X方向は右方向である。−X方向は左方向である。+Y方向は前方向である。−Y方向は後方向である。+Z方向は上方向である。−Z方向は下方向である。
【0011】
第1実施形態.
[構造]
図1は、本実施形態に係る作業補助具1の一例を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る作業補助具1の一例を示す背面図である。
図3は、本実施形態に係る作業補助具1の一例を示す側面図である。
図4は、本実施形態に係る作業補助具1の一例を示す上面図である。
【0012】
図1、
図2、
図3、及び
図4に示すように、作業補助具1は、少なくとも一部が作業者WMの背中に装着される本体部材2と、本体部材2と相対移動可能に連結されるアーム部材3と、移動機構50を介してアーム部材3に支持され、作業者WMの腕の少なくとも一部を保持する保持部材4と、本体部材2に支持され、アーム部材3を移動させる動力を発生するアクチュエータ5とを備える。
【0013】
また、作業補助具1は、本体部材2に支持され、空気を圧縮するコンプレッサ6と、本体部材2に支持され、コンプレッサ6から供給された圧縮空気を一時的に溜めるタンク7と、本体部材2に支持され、タンク7を介してコンプレッサ6から供給された圧縮空気の圧力を調整する圧力制御機構8と、本体部材2に支持され、バッテリ9が着脱可能に装着されるコネクタ10と、本体部材2に支持される制御装置11とを備える。
【0014】
本実施形態において、保持部材4は、作業者WMの右腕の少なくとも一部を保持する。保持部材4に保持されている右腕に電動工具KDが支持される。作業者WMは、右手で電動工具KDを保持して作業を実施する。
【0015】
<本体部材>
本体部材2は、ハーネスHSにより作業者WMの背中に装着される。ハーネスHSは、作業者WMの肩に取り付けられる肩ベルトHSaと、作業者WMの腰に取り付けられる腰ベルトHSbとを含む。
【0016】
本体部材2は、作業者WMの背中に装着される第1装着部材21と、作業者WMの腰に装着される第2装着部材22と、第1装着部材21の上部に設けられる第1プレート部材23と、第1装着部材21の下部に設けられる第2プレート部材24と、第1プレート部材23と第2プレート部材24との間に設けられる支柱部材25とを有する。
【0017】
第1装着部材21は、プレート状の部材である。第1装着部材21は、作業者WMの背中と接触する。なお、第1装着部材21と作業者WMとの間に第1装着部材21とは別の部材が配置されてもよい。例えば、第1装着部材21と作業者WMとの間にクッション部材が配置されてもよい。第2装着部材22は、湾曲したプレート状の部材である。第2装着部材22は、第1装着部材21の下部に接続される。第2装着部材22は、作業者WMの左右の腰のそれぞれと接触する。
【0018】
第1プレート部材23及び第2プレート部材24のそれぞれは、左右方向に長いプレート状の部材である。第1プレート部材23と第2プレート部材24とは、上下方向に配置される。第1プレート部材23と第2プレート部材24とは、間隙を介して対向する。第1プレート部材23と第2プレート部材24とは、実質的に平行に配置される。
【0019】
支柱部材25は、上下方向に長いロッド状の部材である。支柱部材25は、第1プレート部材23と第2プレート部材24との間に配置される。支柱部材25の上端部は、第1プレート部材23に接続されたガイド部材17に固定される。第1プレート部材23は、ガイド部材17に固定される。支柱部材25の下端部は、第2プレート部材24の中心部に固定される。
【0020】
第1プレート部材23、第2プレート部材24、及び支柱部材25はそれぞれ、金属製である。なお、第1プレート部材23、第2プレート部材24、及び支柱部材25の少なくとも1つが合成樹脂製でもよいし、複合材料製でもよい。複合材料は、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)又はGFRP(Glass Fiber Reinforced Plastics)のような繊維複合材料でもよいし、異なる材料を接着させた材料でもよい。
【0021】
<アーム部材>
アーム部材3は、保持部材4を支持する第1アーム部材31と、本体部材2及び第1アーム部材31のそれぞれと連結される第2アーム部材32とを含む。第1アーム部材31は、第1回転軸AX1を中心に回動可能に第2アーム部材32と連結される。第2アーム部材32は、第1回転軸AX1とは異なる方向に延在する第2回転軸AX2を中心に回動可能に本体部材2と連結される。
【0022】
本実施形態においては、第1回転軸AX1は、XY平面と実質的に平行である。第2回転軸AX2は、XY平面と実質的に直交する。
【0023】
第1アーム部材31は、基端部31Bと先端部31Tとを有する。第2アーム部材32は、第1端部32Tと第2端部32Bとを有する。第1アーム部材31の先端部31Tは、第1回転軸AX1の放射方向において基端部31Bよりも外側に配置される。
【0024】
第1アーム部材31の基端部31Bと第2アーム部材32の第1端部32Tとは、第1関節機構13を介して連結される。第2アーム部材32と本体部材2とは、第2関節機構14を介して連結される。
【0025】
第1アーム部材31は、金属製のロッド状の部材である。なお、第1アーム部材31は、合成樹脂製の部材でもよいし、合成樹脂で覆われた板金製でもよい。第1アーム部材31は、ストレート状の部材である。なお、第1アーム部材31は、ストレート状の部材でなくてもよい。例えば、第1アーム部材31の少なくとも一部が湾曲してもよい。
【0026】
第2アーム部材32は、第1関節機構13に接続される第1部材321と、第1部材321及び第2関節機構14のそれぞれに接続される第2部材322とを含む。第1端部32Tは、第1部材321に配置される。第2端部32Bは、第2部材322に配置される。第1部材321と第2部材322とは固定される。
【0027】
第1部材321は、第1関節機構13を介して第1アーム部材31と連結される。第1部材321は、金属製のロッド状の部材である。第1部材321は、ストレート状の部材である。XY平面内において、第1部材321は、第1アーム部材31と平行である。
【0028】
第2部材322は、第2関節機構14を介して本体部材2と連結される。第2部材322は、金属製のロッド状の部材である。第2部材322は、ストレート状の部材である。XY平面内において、第2部材322は、第1部材321と直交する。
【0029】
第2部材322は、第1部材321の長手方向の中央部に固定される。第1部材321と第2部材322との接続部32Cは、第1部材321の長手方向において第1部材321の中央部に設けられる。接続部32Cの位置は、例えば作業者WMの体格に合わせて調整可能である。
【0030】
なお、第1部材321及び第2部材322の少なくとも一方が合成樹脂製の部材でもよいし、上述のような複合材料製でもよい。なお、第1部材321の少なくとも一部が湾曲してもよい。なお、第2部材322の少なくとも一部が湾曲してもよい。なお、第1部材321と第2部材322とは直交していなくてもよい。なお、第1部材321と第2部材322とは別々の部材でもよいし単一の部材でもよい。
【0031】
第1関節機構13は、第1中心軸AX1を中心に第1アーム部材31と第2アーム部材32とを相対回転可能に支持する。第1アーム部材31の基端部31Bは、第1関節機構13に接続される。第2アーム部材32の第1端部32Tは、第1関節機構13に接続される。第1アーム部材31は、第1関節機構13を介して第1回転軸AX1を中心に回動可能に第2アーム部材32に支持される。第1関節機構13は、第1アーム部材31の基端部31Bに接続されるプーリ15を含む。
【0032】
第1関節機構13は、ローリングベアリングを含む。第1関節機構13は、第1アーム部材31及び第2アーム部材32の一方に設けられる外輪と、第1アーム部材31及び第2アーム部材32の他方に設けられる内輪と、外輪と内輪との間に設けられる転動体とを含む。第1関節機構13のローリングベアリングは、ボールベアリングでもよいし、ニードルベアリングのようなローラベアリングでもよいし、プレーンベアリングでもよい。
【0033】
第1関節機構13は、第1アーム部材31の先端部31Tが第1回転軸AX1と直交する第1面と平行な方向に旋回するように第1アーム部材31を支持する。本実施形態において、XY平面は水平面と平行であり、第1回転軸AX1はXY平面と実質的に平行である。第1面は、XY平面と直交する。第1関節機構13は、第1アーム部材31の先端部31Tが上下方向に旋回するように、第1回転軸AX1を中心に回動可能に第1アーム部材31を支持する。
【0034】
第2関節機構14は、第2中心軸AX2を中心に第2アーム部材32と本体部材2とを相対回転可能に支持する。第2アーム部材32の第2端部32Bは、第2関節機構14に接続される。第2アーム部材32は、第2関節機構14を介して第2回転軸AX2を中心に回動可能に本体部材2に支持される。
【0035】
第2関節機構14は、ローリングベアリングを含む。第2関節機構14は、本体部材2に設けられる内輪と、第2アーム部材32に設けられる外輪と、外輪と内輪との間に設けられる転動体とを含む。第2関節機構14のローリングベアリングは、ボールベアリングでもよいし、ニードルベアリングのようなローラベアリングでもよいし、プレーンベアリングでもよい。
【0036】
第2関節機構14は、第2アーム部材32の第1端部32Tが第1面と直交する第2面と平行な方向に旋回するように第2アーム部材32を支持する。本実施形態において、第1面は、XY平面と直交する。第2面は、XY平面と平行である。第2関節機構14は、第2アーム部材32の第1端部32Tが水平方向に旋回するように、第2回転軸AX2を中心に回動可能に第2アーム部材32を支持する。
【0037】
第2関節機構14は、第2アーム部材32の第2端部32Bに接続されるハウジング部材16を含む。ハウジング部材16は、第2関節機構14のローリングベアリングの外輪を保持する。ハウジング部材16は、第2関節機構14のローリングベアリングの外輪と一緒に回転する。第2アーム部材32の第2端部32Bは、ハウジング部材16に固定される。
【0038】
第2関節機構14は、本体部材2の上端部に設けられる。第2関節機構14は、第1プレート部材23に接続されたガイド部材17に支持される。ガイド部材17は、第2関節機構14を左右方向にガイドする。ガイド部材17は、第2関節機構14をガイドするガイド溝17Gを有する。ガイド溝17Gは、左右方向に延在する。
【0039】
作業補助具1は、左右方向における第2関節機構14の位置を調整可能である。第2関節機構14は、ボルトのような固定部材によりガイド部材17に固定される。固定部材による固定が解除されると、第2関節機構14は、ガイド部材17にガイドされながら左右方向に移動可能である。左右方向において第2関節機構14が移動すると、第2アーム部材32、第1関節機構13、第1アーム部材31、及び保持部材4のそれぞれは、第2関節機構14と一緒に左右方向に移動する。左右方向における第2関節機構14の位置の調整は、左右方向における第2アーム部材32、第1関節機構13、第1アーム部材31、及び保持部材4のそれぞれの位置の調整を含む。例えば、作業者WMの体格に合わせて、ガイド部材17の左右方向の任意の位置に第2関節機構14が固定される。
【0040】
なお、ガイド部材17が省略され、第2関節機構14をガイドするガイド溝が第1プレート部材23に設けられてもよい。
【0041】
第2回転軸AX2の放射方向において、第2回転軸AX2と第1回転軸AX1との距離は、第2回転軸AX2と接続部32Cとの距離よりも長い。第2回転軸AX2の放射方向において、第1回転軸AX1及び第1アーム部材31は、第2アーム部材32よりも外側に配置される。第2アーム部材32が第2回転軸AX2を中心に回動したとき、第1関節機構13及び第1アーム部材31は、第2回転軸AX2の周囲を旋回する。
【0042】
保持部材4が本体部材2よりも前方に配置されている状態において、第1回転軸AX1は、第2回転軸AX2よりも前方に配置される。また、第1回転軸AX1は、第2回転軸AX2よりも右方に配置される。
【0043】
<保持部材>
保持部材4は、作業者WMの腕の少なくとも一部が載置されるプレート状の部材である。保持部材4には、作業者WMの上腕が載置される。なお、保持部材4には、作業者WMの肘が載置されてもよいし、前腕が載置されてもよい。
【0044】
保持部材4は、第1アーム部材31に移動可能に支持される。保持部材4は、第1アーム部材31の長手方向に移動可能である。第1アーム部材31の長手方向において、保持部材4の寸法は、第1アーム部材31の寸法よりも小さい。
【0045】
保持部材4は、金属製のプレート部材を曲げ加工することにより製造される。保持部材4は、作業者WMの腕の少なくとも一部が載置される載置面を有する平板部41と、曲折部を介して平板部41の一方の隣に配置される第1側板部42と、曲折部を介して平板部41の他方の隣に配置される第2側板部43とを含む。
【0046】
第1側板部42と第2側板部43との距離は、平板部41の載置面の法線方向において平板部41から離れるほど大きくなる。平板部41の載置面と第1側板部42の内側面とがなす角度は、90[°]よりも大きい。平板部41の載置面と第2側板部43の内側面とがなす角度は、90[°]よりも大きい。なお、平板部41の載置面と第1側板部42の内側面とがなす角度は、90[°]でもよい。平板部41の載置面と第2側板部43の内側面とがなす角度は、90[°]でもよい。
【0047】
第1アーム部材31がY軸と実質的に平行に配置されている状態において、第1側板部42は、平板部41の右側に配置される。第2側板部43は、平板部41の左側に配置される。平板部41の載置面は、平坦面である。第1側板部42の内側面は、平板部41の載置面の右端部に接続される平坦面である。平板部41がXY平面と平行に配置された状態において、第1側板部42の内側面は、右方に向かって上方に傾斜する。第2側板部43の内側面は、平板部41の載置面の左端部に接続される平坦面である。平板部41がXY平面と平行に配置された状態において、第2側板部43の内側面は、左方に向かって上方に傾斜する。
【0048】
作業者WMは、保持部材4の上方から、腕を保持部材4に載置することができる。保持部材4に載置された腕と保持部材4とが、例えばハーネスにより固定されてもよい。
【0049】
なお、保持部材4の載置面が曲面を含んでもよい。なお、保持部材4は、合成樹脂製でもよいし、上述のような複合材料製でもよい。
【0050】
なお、保持部材4は、プレート状の部材でなくてもよい。保持部材4は、複数の部材を組み合わせることにより製造されてもよい。保持部材4は、作業者WMの腕を下方から支持する部位と側方から支持する部位とを有していればよい。なお、保持部材4において、作業者WMの腕と接触する部分にクッション材が配置されてもよい。
【0051】
<移動機構>
移動機構50は、第1アーム部材31と保持部材4との間に設けられ、第1回転軸AX1と相対移動可能に保持部材4を支持する。保持部材4は、移動機構50を介して第1アーム部材31に移動可能に支持される。移動機構50は、第1回転軸AX1と保持部材4とが相対移動するように、保持部材4を支持する。
【0052】
移動機構50は、第1アーム部材31において保持部材4を移動可能に支持して、第1回転軸AX1と保持部材4との相対位置を調整する。第1回転軸AX1と保持部材4との相対位置は、第1アーム部材31の長手方向における第1回転軸AX1と保持部材4との相対距離を含む。
【0053】
移動機構50は、リニアベアリングを有するリニアガイド機構を含む。移動機構50は、第1アーム部材31に設けられるガイド部材51と、保持部材4に接続されガイド部材51にガイドされる可動部材52とを含む。
【0054】
ガイド部材51は、第1アーム部材31の上面に設けられたストレート状のレール部材である。なお、ガイド部材51の少なくとも一部が湾曲してもよい。可動部材52は、ガイド部材51をスライド可能である。移動機構50は、ガイド部材51と可動部材52との間にボールが配置されるリニアボールベアリングを含む。なお、移動機構50は、ガイド部材51と可動部材52との間にローラが配置されるリニアローラベアリングを含んでもよい。なお、移動機構50は、リニアプレーンベアリングを含んでもよい。リニアプレーンベアリングはリニアボールベアリング及びリニアローラベアリングに比べて安価である。
【0055】
保持部材4の少なくとも一部と可動部材52とが固定される。保持部材4の第1側板部42と可動部材52とが固定される。第1アーム部材31がY軸と実質的に平行に配置されている状態において、保持部材4は、第1アーム部材31の左側に配置され、保持部材4の左端部と可動部材52とが固定される。
【0056】
可動部材52がガイド部材51にガイドされて移動することにより、保持部材4は、第1アーム部材31の長手方向に移動する。保持部材4が第1アーム部材31の長手方向に移動することにより、第1回転軸AX1と保持部材4との相対位置が変化する。
【0057】
<アクチュエータ>
アクチュエータ5は、アーム部材3を移動させる動力を発生する。本実施形態において、アクチュエータ5は、圧力制御機構8から供給された圧縮空気に基づいて動力を発生するエアアクチュエータである。
【0058】
アクチュエータ5は、第1アーム部材31の先端部31Tを上方に旋回させる力を発生する。アクチュエータ5で発生した力は、伝達機構60を介して第1関節機構13に伝達される。伝達機構60は、第1関節機構13のプーリ15に接続されるワイヤ部材61を含む。
【0059】
本実施形態において、アクチュエータ5は、エアアクチュエータの一種である人工筋肉を含む。人工筋肉は、伸縮可能な柔軟部材によって形成される。アクチュエータ5は、圧縮空気が供給される内部空間を有する。アクチュエータ5は、Z軸方向に延在する。アクチュエータ5の内部空間に圧縮空気が供給されることにより、アクチュエータ5は縮む。内部空間から圧縮空気が排出されることにより、アクチュエータ5は伸びる。アクチュエータ5の内部空間に圧縮空気が供給されたとき、アクチュエータ5は動力を発生する。
【0060】
アクチュエータ5の上端部は、連結部材62を介してワイヤ部材61と連結される。アクチュエータ5の上端部は、ワイヤ部材61を介して第1関節機構13のプーリ15と連結される。ワイヤ部材61の一端部は、連結部材62に固定される。ワイヤ部材61の他端部は、第1関節機構13のプーリ15に固定される。アクチュエータ5の下端部は、連結部材63を介して第2プレート部材24と連結される。
【0061】
プーリ15は、第1アーム部材31の基端部31Bに固定される。第1回転軸AX1を中心に第1アーム部材31が回動したとき、プーリ15は第1アーム部材31と一緒に回動する。
【0062】
第2アーム部材32は、ワイヤ部材61の周囲に配置されるアウターケーブルを支持する支持部材64を有する。支持部材64は、第2アーム部材32の第1部材321の側面に設けられる。支持部材64により、ワイヤ部材61が垂れ下がったり、予期せぬ動きをしたりすることが抑制される。また、アウターケーブルが支持部材64に支持されることにより、アウターケーブルの移動が抑制され、プーリ15からワイヤ部材61が外れてしまうことが抑制される。これにより、アクチュエータ5で発生した力は、ワイヤ部材61を介して第1関節機構13に十分に伝達される。
【0063】
アクチュエータ5の上端部は、連結部材62を介してワイヤ部材61に固定される。アクチュエータ5の下端部は、連結部材63を介して第2プレート部材24に固定される。アクチュエータ5は、上下方向に伸縮する。連結部材62は、アクチュエータ5の伸縮と同期して上下方向に移動する。第1アーム部材31の先端部31Tは、連結部材62の移動と同期して上下方向に旋回する。
【0064】
アクチュエータ5の内部空間に圧縮空気が供給され、アクチュエータ5が縮むと、連結部材62は下方に移動する。連結部材62が下方に移動したとき、第1アーム部材31の先端部31Tが上方に旋回するように、第1アーム部材31及びプーリ15が回動する。
【0065】
アクチュエータ5の内部空間から圧縮空気が排出され、アクチュエータ5が伸びると、連結部材62は上方に移動する。連結部材62が上方に移動したとき、第1アーム部材31の先端部31Tが下方に旋回するように、第1アーム部材31及びプーリ15が回動する。
【0066】
アクチュエータ5の内部空間に圧縮空気が供給され、アクチュエータ5の内部空間の圧力が大気圧よりも高い圧力に増加したとき、アクチュエータ5は、第1アーム部材31の先端部31Tを上方に旋回させる動力を発生する。アクチュエータ5の内部空間から圧縮空気が排出され、アクチュエータ5の内部空間の圧力が大気圧と等しい圧力に減少したとき、アクチュエータ5は、動力を発生しない。
【0067】
図3に示すように、作業者WMの腕が保持部材4に載置されているとき、例えば腕の重みによる重力作用により、第1アーム部材31の先端部31Tが下方に旋回するように第1アーム部材31に外力が作用する。アクチュエータ5の内部空間から圧縮空気が排出され、アクチュエータ5が動力を発生していない状態においては、アクチュエータ5は伸び、矢印Rdで示すように、第1アーム部材31の先端部31Tは重力の作用により下方に旋回する。このように、作業者WMの腕が保持部材4に載置された状態で、アクチュエータ5の内部空間から圧縮空気が排出されることにより、作業者WMは腕を下ろすことができる。
【0068】
アクチュエータ5の内部空間に圧縮空気が供給され、アクチュエータ5が動力を発生している状態においては、アクチュエータ5は縮み、矢印Ruで示すように、第1アーム部材31の先端部31Tが上方に旋回する。このように、作業者WMの腕が保持部材4に載置された状態で、アクチュエータ5の内部空間に圧縮空気が供給されることにより、作業者WMは作業補助具1に補助されて腕を上げることができる。アクチュエータ5が発生する力によって作業者WMの腕が上方に移動するので、腕の筋力が補助され、作業者WMの肉体的負担が軽減される。
【0069】
[動作]
次に、本実施形態に係る作業補助具1の動作の一例について説明する。作業者WMが腕を上下方向に移動させるとき、腕と第1アーム部材31との相対位置が変化する。
【0070】
腕を保持する保持部材4は、第1回転軸AX1と相対移動可能に移動機構50に支持される。
図3に示すように、アクチュエータ5が駆動され、作業者WMの腕が上げられたとき、腕を保持する保持部材4は、第1回転軸AX1に接近するように、第1アーム部材31の長手方向に移動する。アクチュエータ5の駆動が停止され、作業者WMの腕が下げられたとき、腕を保持する保持部材4は、第1回転軸AX1から離れるように、第1アーム部材31の長手方向に移動する。
図3に示す例では、作業者WMの腕が上げられたとき、保持部材4は、第1アーム部材31の長手方向の位置PVaに配置される。アクチュエータ5の駆動が停止され、作業者WMが腕を下ろしたとき、保持部材4は、第1アーム部材31の長手方向の位置PVbに配置される。第1回転軸AX1と直交する第1面内において、位置PVaと第1回転軸AX1との距離は、位置PVbと第1回転軸AX1との距離よりも短い。位置PVbは、位置PVaよりも第1アーム部材31の先端部31Tに近い位置である。位置PVaは、位置PVbよりも第1アーム部材31の基端部31Bに近い位置である。
【0071】
このように、作業者WMが腕を上下方向に移動させたとき、腕を保持している保持部材4が第1アーム部材31に対して移動する。したがって、作業者WMが腕を上下方向に移動させたとき、腕と作業補助具1とに摩擦が生じることが抑制される。これにより、作業者WMの作業性の低下が抑制される。
【0072】
また、
図4の矢印Rcで示すように、作業者WMが腕を水平方向に移動したときにおいても、腕と第1アーム部材31との相対位置が変化する。
【0073】
腕を保持する保持部材4は、第1回転軸AX1と相対移動可能に移動機構50に支持される。
図4に示すように、作業者WMが腕を右方に移動させたとき、腕を保持する保持部材4は、第1回転軸AX1に接近するように、第1アーム部材31の長手方向に移動する。作業者WMが腕を前方に移動させたとき、腕を保持する保持部材4は、第1回転軸AX1から離れるように、第1アーム部材31の長手方向に移動する。
図4に示す例では、作業者WMが腕を右方に移動させたとき、保持部材4は、第1アーム部材31の長手方向の位置PSaに配置される。作業者WMが腕を斜め前方に移動させたとき、保持部材4は、第1アーム部材31の長手方向の位置PSbに配置される。作業者WMが腕を前方に移動させたとき、保持部材4は、第1アーム部材31の長手方向の位置PScに配置される。第2回転軸AX2と直交する第2面内において、位置PSaと第1回転軸AX1との距離は、位置PSbと第1回転軸AX1との距離及び位置PScと第1回転軸AX1との距離よりも短い。第2回転軸AX2と直交する第2面内において、位置PSbと第1回転軸AX1との距離は、位置PScと第1回転軸AX1との距離よりも短い。位置PSa、位置PSb、及び位置PScのうち、位置PScは、第1アーム部材31の先端部31Tに最も近い位置である。位置PSbは、位置PScに次いで第1アーム部材31の先端部31Tに近い位置である。位置PSaは、第1アーム部材31の基端部31Bに最も近い位置である。
【0074】
このように、作業者WMが腕を水平方向に移動させたときにおいても、腕を保持している保持部材4が第1アーム部材31に対して移動する。したがって、作業者WMが腕を水平方向に移動させたとき、腕と作業補助具1とに摩擦が生じることが抑制される。これにより、作業者WMの作業性の低下が抑制される。
【0075】
[バッテリ]
バッテリ9は、充電式バッテリである。バッテリ9は、コネクタ10に着脱可能に装着される。バッテリ9は、コネクタ10に装着された状態で、コンプレッサ6に電力を供給する。また、バッテリ9は、コネクタ10に装着された状態で、制御装置11に電力を供給する。バッテリ9を充電するとき、コネクタ10からバッテリ9が外される。
【0076】
本実施形態において、バッテリ9は、電動工具KDに装着可能な電動工具バッテリである。バッテリ9は、電動工具KDに設けられているコネクタ10Dに着脱可能に装着される。作業補助具1は、バッテリ9を電動工具KDと兼用可能である。換言すれば、バッテリ9は、作業補助具1に設けられているコネクタ10及び電動工具KDに設けられているコネクタ10Dのそれぞれに装着可能である。
【0077】
[ハードウエア構成]
図5は、本実施形態に係る作業補助具1及び電動工具KDのそれぞれのハードウエア構成の一例を示すブロック図である。
図5に示すように、作業補助具1は、空気を圧縮するコンプレッサ6と、コンプレッサ6から供給された圧縮空気を一時的に溜めるタンク7と、コンプレッサ6から供給された圧縮空気の圧力を調整する圧力制御機構8と、圧力制御機構8から供給された圧縮空気に基づいて動力を発生するアクチュエータ5と、制御装置11とを備える。
【0078】
また、作業補助具1は、コンプレッサ6から供給される圧縮空気の圧力を検出する圧力センサ71(第1圧力センサ)と、電磁弁81とを備える。
【0079】
コンプレッサ6とタンク7と圧力制御機構8とアクチュエータ5とは、圧縮空気が流通可能な流路12を介して接続される。アクチュエータ5に供給される圧縮空気は、流路12を流れる。コンプレッサ6で生成された圧縮空気は、流路12を介してアクチュエータ5に供給される。本実施形態において、流路12は、コンプレッサ6とタンク7とを接続する流路12Aと、タンク7と圧力制御機構8とを接続する流路12Bと、圧力制御機構8とアクチュエータ5とを接続する流路12Cとを含む。
【0080】
コンプレッサ6は、充電式コンプレッサである。コンプレッサ6は、携帯可能である。コンプレッサ6は、作業補助具1の周囲の空気を吸い込んで圧縮する。コンプレッサ6は、圧縮空気をタンク7に供給する。コンプレッサ6で生成された圧縮空気は、流路12Aを介してタンク7に供給される。
【0081】
タンク7は、コンプレッサ6と圧力制御機構8との間の流路12に設けられる。タンク7は、コンプレッサ6から供給された圧縮空気を一時的に溜める。本実施形態においては、タンク7の圧縮空気の圧力が規定圧力に高められるまでコンプレッサ6からタンク7に圧縮空気が供給される。タンク7の圧縮空気の圧力が規定圧力になった後、圧縮空気がタンク7から放出され、圧力制御機構8に供給される。圧縮空気がタンク7から放出され、タンク7の圧縮空気の圧力が低下した後、コンプレッサ6からタンク7に圧縮空気が供給される。
【0082】
圧力センサ71は、コンプレッサ6とタンク7との間の流路12Aに設けられる。圧力センサ71は、流路12Aにおいて、コンプレッサ6からタンク7に供給される圧縮空気の圧力を検出する。流路12Aは、タンク7と接続される。流路12Aの圧縮空気の圧力とタンク7の圧縮空気の圧力とは実質的に等しい。圧力センサ71は、流路12Aにおいて圧縮空気の圧力を検出することにより、タンク7の圧縮空気の圧力を検出する。
【0083】
電磁弁81は、アクチュエータ5に供給される圧縮空気が流れる流路12に設けられる。電磁弁81は、タンク7と圧力制御機構8との間の流路12Bに設けられる。電磁弁81が第1操作されたときにアクチュエータ5に圧縮空気が供給される。電磁弁81が第1操作とは異なる第2操作されたときにアクチュエータ5から圧縮空気が排出される。
【0084】
電磁弁81は、3方向電磁弁である。電磁弁81が第1操作されたとき、タンク7に溜められた圧縮空気が流路12B及び圧力制御機構8を介してアクチュエータ5に供給される。電磁弁81が第2操作されたとき、タンク7からアクチュエータ5への圧縮空気の供給が停止され、アクチュエータ5の圧縮空気が電磁弁81を介して外部空間に排出される。
【0085】
圧力制御機構8は、タンク7から供給された圧縮空気の圧力を調整する。本実施形態において、圧力制御機構8は、圧縮空気の圧力を下げる圧力レギュレータを含む。圧力制御機構8により圧力が調整された圧縮空気は、流路12Cを介してアクチュエータ5に供給される。本実施形態において、圧力制御機構8は、作業者WMによって操作される操作ダイヤルを含む入力装置を有する。作業者WMは、入力装置を操作して、圧力制御機構8からアクチュエータ5に供給される圧縮空気の圧力の目標値を指定する。圧力制御機構8は、指定された圧力の目標値に従って、圧力制御機構8からアクチュエータ5に供給される圧縮空気の圧力を調整する。
【0086】
作業補助具1に装着されるバッテリ9は、少なくともコンプレッサ6、制御装置11、圧力センサ71、及び電磁弁81のそれぞれに電力を供給する。
【0087】
制御装置11は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサを含む演算処理装置90と、電磁弁81と、電磁弁81に電力を供給するDC/DCコンバータ111と、絶縁部112とを有する。制御装置11は、本体部材2に支持される制御基板を含む。
【0088】
制御装置11は、圧力センサ71から検出信号を取得する。制御装置11は、コンプレッサ6を制御する制御信号、及び電磁弁81を制御する制御信号を出力する。
【0089】
また、制御装置11は、電動工具KDの作業開始に係る作業開始信号に基づいて、アクチュエータ5を制御する制御信号を出力する。作業開始信号は、後述する電動工具KDの操作装置100(トリガスイッチ100A)が第1操作状態で操作されることにより生成される第1操作信号を含む。
【0090】
また、制御装置11から出力されるアクチュエータ5を制御する制御信号は、アクチュエータ5を起動させる起動信号を含む。制御装置11は、電動工具KDの作業開始と連動して、アクチュエータ5を起動させる起動信号を出力する。
【0091】
また、制御装置11は、電動工具KDの作業終了に係る作業終了信号に基づいて、アクチュエータ5を制御する制御信号を出力する。作業終了信号は、後述する電動工具KDの操作装置100(トリガスイッチ100A)が第2操作状態で操作されることにより生成される第2操作信号を含む。
【0092】
また、制御装置11から出力されるアクチュエータ5を制御する制御信号は、アクチュエータ5を停止させる停止信号を含む。制御装置11は、電動工具KDの作業終了と連動して、アクチュエータ5を停止させる停止信号を出力する。
【0093】
電動工具KDは、CPUのようなプロセッサを含む演算処理装置200と、モータ210と、モータ210を駆動するためのモータドライバ220と、作業者WMによって操作される操作装置100とを有する。
【0094】
電動工具KDに装着されるバッテリ9は、少なくとも演算処理装置200及びモータドライバ220のそれぞれに電力を供給する。
【0095】
操作装置100は、作業者WMにより操作されることにより、電動工具KDのモータ210の駆動状態を操作する操作信号を生成する。本実施形態において、操作装置100は、モータ210の駆動を開始する開始状態及び駆動を停止する停止状態のいずれか一方に操作する操作信号を生成可能なトリガスイッチ100Aと、モータ210の駆動を禁止するロック状態及び禁止を解除するロック解除状態のいずれか一方に操作する操作信号を生成可能なロックオフスイッチ100Bとを含む。なお、操作装置100は、モータ210を正方向に回転させる正転状態及び逆方向に回転させる逆転状態のいずれか一方に操作する操作信号を生成する正転逆転スイッチを含んでもよい。操作装置100が操作されることにより生成された操作信号は、電動工具KDの演算処理装置200に出力される。
【0096】
作業補助具1は、電動工具KDと通信可能な通信部80を有する。本実施形態において、通信部80は、電動工具KDの操作装置100が操作されることにより生成された操作信号を制御装置11に伝送する。制御装置11は、通信部80を介して操作装置100から操作信号を取得する。操作装置100と演算処理装置90とは絶縁部112を介して接続される。操作装置100が操作されることにより生成された操作信号は、電動工具KDの演算処理装置200に出力されるとともに、通信部80を介して作業補助具1の演算処理装置90に出力される。
【0097】
図1及び
図3に示すように、通信部80は、電動工具KDの操作装置100と作業補助具1の制御装置11とを接続するケーブルを含む。すなわち、通信部80は、操作装置100で生成された操作信号を制御装置11に有線通信する。なお、通信部80は、操作装置100で生成された操作信号を制御装置11に無線通信してもよい。
【0098】
[演算処理装置]
図6は、本実施形態に係る演算処理装置90の一例を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、演算処理装置90は、圧力センサ71の検出信号を取得する検出信号取得部91と、電動工具KDの操作装置100が操作されることにより生成された操作信号を取得する操作信号取得部92と、制御信号を出力する制御部93とを有する。
【0099】
本実施形態においては、演算処理装置90に、RAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリ及びROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリを含む記憶装置99が接続される。
【0100】
検出信号取得部91は、圧力センサ71から検出信号を取得する。圧力センサ71は、コンプレッサ6から供給される圧縮空気の圧力を検出する。検出信号取得部91は、コンプレッサ6から供給される圧縮空気の圧力を示す検出信号を圧力センサ71から取得する。
【0101】
操作信号取得部92は、通信部80を介して操作装置100から操作信号を取得する。操作装置100は、作業者WMに操作されることにより、電動工具KDのモータ210の駆動状態を操作する操作信号を生成する。操作信号取得部92は、電動工具KDのモータ210の駆動状態を操作する操作信号を操作装置100から取得する。
【0102】
制御部93は、圧力センサ71の検出信号に基づいてコンプレッサ6の駆動状態を制御する制御信号を出力する第1制御部93Aと、操作装置100の操作信号に基づいてアクチュエータ5の駆動状態を制御する制御信号を出力する第2制御部93Bとを含む。
【0103】
第1制御部93Aは、圧力センサ71で検出された圧力値Paが上限閾値Shaよりも高いときにコンプレッサ6の駆動を停止させる制御信号をコンプレッサ6に出力する。また、第1制御部93Aは、圧力センサ71で検出された圧力値Paが下限閾値Shb以下のときにコンプレッサ6の駆動を開始させる制御信号をコンプレッサ6に出力する。圧力値Paは、タンク7の圧縮空気の圧力値を示す。上限閾値Sha及び下限閾値Shbは、圧力値Paについて予め決められた値であり、記憶装置99に記憶されている。上限閾値Shaは、下限閾値Shbよりも高い値である。
【0104】
コンプレッサ6が駆動することにより、圧縮空気がタンク7に溜められる。電磁弁81により流路12Bが閉じられている状態でコンプレッサ6からタンク7に圧縮空気が供給されることにより、タンク7の圧縮空気の圧力は徐々に増加し、圧力センサ71で検出される圧縮空気の圧力値Paは徐々に増加する。本実施形態においては、圧力値Paが上限閾値Shaよりも高いときにコンプレッサ6の駆動が停止される。これにより、タンク7の圧縮空気の圧力が十分に高くなったにもかかわらずコンプレッサ6の駆動が継続されてしまうことが抑制される。電磁弁81により流路12Bが開けられ、タンク7の圧縮空気がアクチュエータ5に供給されると、タンク7の圧縮空気の圧力は減少し、圧力センサ71で検出される圧縮空気の圧力値Paは減少する。本実施形態においては、圧力値Paが下限閾値Shb以下であるときにコンプレッサ6の駆動が開始される。これにより、タンク7の圧縮空気の圧力が増加する。
【0105】
第2制御部93Bは、操作装置100の操作状態に基づいて、アクチュエータ5の駆動状態を制御する制御信号を出力する。第2制御部93Bは、操作信号取得部92が操作装置100の操作信号を取得したときにアクチュエータ5を駆動させる制御信号を出力する。本実施形態において、第2制御部93Bは、操作装置100の操作状態に基づいて、電磁弁81を制御する制御信号を出力する。
【0106】
操作装置100は、作業者WMによる操作状態に基づいて操作信号を出力する。例えば、操作装置100が第1操作状態で操作されたときに、操作装置100は、第1操作信号を生成する。操作装置100が第1操作状態とは異なる第2操作状態で操作されたときに、操作装置100は、第1操作信号とは異なる第2操作信号を生成する。
【0107】
第2制御部93Bは、操作信号取得部92が第1操作信号を取得したとき、アクチュエータ5に圧縮空気が供給されるように電磁弁81を制御する制御信号を電磁弁81に出力する。第2制御部93Bは、操作信号取得部92が第2操作信号を取得したとき、アクチュエータ5から圧縮空気が排出されるように電磁弁81を制御する制御信号を電磁弁81に出力する。
【0108】
電磁弁81は、第1操作信号に基づいて供給された制御信号(起動信号)により第1操作される。電磁弁81が第1操作されたときにアクチュエータ5に圧縮空気が供給され、アクチュエータ5が駆動(起動)する。電磁弁81は、第2操作信号に基づいて供給された制御信号(停止信号)により第2操作される。電磁弁81が第2操作されたときにアクチュエータ5から圧縮空気が排出され、アクチュエータ5の駆動が停止する。
【0109】
[コンプレッサの制御方法]
次に、本実施形態に係るコンプレッサ6の制御方法の一例について説明する。
図7は、本実施形態に係るコンプレッサ6の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0110】
バッテリ9から制御装置11に電力が供給されているか否かが判定される(ステップSA1)。ステップSA1において、制御装置11に電力が供給されていると判定されたとき(ステップSA1:Yes)、バッテリ9から圧力センサ71に電力が供給され(ステップSA2)、バッテリ9から電磁弁81に電力が供給される(ステップSA3)。電力が供給されることにより、圧力センサ71及び電磁弁81のそれぞれは起動する。DC/DCコンバータ111により、電磁弁81に規定の電圧(例えば24V)が印加される。
【0111】
検出信号取得部91は、圧力センサ71の検出信号を取得する。第1制御部93Aは、圧力センサ71で検出された圧力値Paが上限閾値Shaよりも高いか否かを判定する(ステップSA4)。
【0112】
ステップSA4において、圧力値Paが上限閾値Shaよりも高いと判定されたとき(ステップSA4:Yes)、第1制御部93Aは、コンプレッサ6の駆動を停止させるための制御信号を出力する(ステップSA5)。すなわち、圧力値Paが十分に高く、タンク7に溜められた圧縮空気の圧力が十分に高いと判定されたとき、コンプレッサ6の駆動が停止される。
【0113】
ステップSA4において、圧力値Paが上限閾値Sha以下であると判定されたとき(ステップSA4:No)、第1制御部93Aは、圧力センサ71で検出された圧力値Paが下限閾値Shb以下であるか否かを判定する(ステップSA6)。
【0114】
ステップSA6において、圧力値Paが下限閾値Shb以下であると判定されたとき(ステップSA6:Yes)、第1制御部93Aは、コンプレッサ6を駆動させるための制御信号を出力する(ステップSA7)。すなわち、圧力値Paが低く、タンク7の圧縮空気の圧力が不足していると判定されたとき、コンプレッサ6の駆動が開始される。
【0115】
ステップSA1において、制御装置11に電力が供給されていないと判定されたとき(ステップSA1:No)、バッテリ9から圧力センサ71への電力の供給が遮断され(ステップSA8)、バッテリ9から電磁弁81への電力の供給が遮断される(ステップSA9)。
【0116】
ステップSA5、ステップSA7、及びステップSA9のいずれかの処理が終了したとき、又はステップSA6において圧力値Paが下限閾値Shb以下でないと判定されたとき(ステップSA6:No)、制御装置11は、ステップSA1の処理に戻る。
【0117】
このように、本実施形態においては、圧力値Paが上限閾値Shaよりも高いとき、コンプレッサ6の駆動が停止される。一方、圧力値Paが下限閾値Shb以下であるとき、コンプレッサ6の駆動が開始される。これにより、タンク7は、下限閾値Shbよりも高く上限閾値Sha以下の圧力の圧縮空気で満たされる。
【0118】
[アクチュエータの制御方法]
次に、本実施形態に係るアクチュエータ5の制御方法の一例について説明する。
図8は、本実施形態に係るアクチュエータ5の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0119】
以下の説明においては、アクチュエータ5の制御に係る操作装置100がトリガスイッチ100Aであることとする。また、トリガスイッチ100Aが操作された状態が第1操作状態であり、トリガスイッチ100Aの操作が解除された状態が第2操作状態であることとする。
【0120】
トリガスイッチ100Aが第1操作状態のとき、電動工具KDのモータ210の駆動が開始される。すなわち、トリガスイッチ100Aが操作されることにより、モータ210が起動する。トリガスイッチ100Aが第2操作状態のとき、電動工具KDのモータ210の駆動が停止される。すなわち、トリガスイッチ100Aの操作が解除されることにより、モータ210が停止する。トリガスイッチ100Aが第1操作状態のとき、トリガスイッチ100Aは第1操作信号を生成する。トリガスイッチ100Aが第2操作状態のとき、トリガスイッチ100Aは第1操作信号とは異なる第2操作信号を生成する。なお、第2操作信号が生成されることは、操作信号がゼロであること、すなわち操作信号が出力されないことを含んでもよい。
【0121】
第2制御部93Bは、操作信号取得部92がトリガスイッチ100Aから第1操作信号を取得したか否かを判定する(ステップSB1)。
【0122】
ステップSB1において、第1操作信号を取得したと判定されたとき(ステップSB1:Yes)、第2制御部93Bは、タンク7に溜められている圧縮空気がアクチュエータ5に供給されるように、電磁弁81に制御信号を出力する(ステップSB2)。
【0123】
ステップSB1において、第1操作信号を取得していないと判定されたとき(ステップSB1:No)、第2制御部93Bは、アクチュエータ5から圧縮空気が排出されるように、電磁弁81に制御信号を出力する(ステップSB3)。なお、第1操作信号を取得していないことは、第2操作信号を取得したことを含む。
【0124】
例えば
図3に示すように、作業者WMが電動工具KDを用いて天井面のような高所を作業するとき、作業補助具1を装着し、腕の少なくとも一部を保持部材4に載置した状態で、電動工具KDを手で保持する。作業者WMは、電動工具KDで天井面を作業するために、手で保持した電動工具KDのトリガスイッチ100Aを操作する。例えば、作業者WMは、指でトリガスイッチ100Aを押す。
【0125】
トリガスイッチ100Aが操作されることにより、電動工具KDのモータ210の駆動が開始される。また、トリガスイッチ100Aが操作されることにより生成された第1操作信号は、通信部80を介して作業補助具1の演算処理装置90に送信される。
【0126】
操作信号取得部92が第1操作信号を取得したとき、第2制御部93Bは、タンク7に溜められている圧縮空気がアクチュエータ5に供給されるように、電磁弁81に制御信号を出力する。これにより、アクチュエータ5の内部空間に圧縮空気が供給され、アクチュエータ5が駆動する。アクチュエータ5は、第1アーム部材31の先端部31Tを上方に旋回させる動力を発生する。
【0127】
アクチュエータ5が駆動することにより、保持部材4を介して第1アーム部材31に支持されている腕は、第1アーム部材31及び保持部材4によって上方に移動する。作業者WMの腕は、アクチュエータ5が発生する動力により補助される。アクチュエータ5が発生する動力に基づいて第1アーム部材31及び保持部材4が上方に移動することにより、作業者WMの腕が上方に移動されるので、作業者WMの肉体的負担が軽減される。
【0128】
例えば、電動工具KDがハンマードリルである場合、腕を長時間上げたままにした状態で、電動工具KDを天井面に押し付ける作業を実施しなければならない可能性がある。本実施形態においては、作業補助具1により作業者WMの腕の筋力が補助されるので、作業者WMの肉体的負担が効果的に軽減される。
【0129】
作業者WMは、電動工具KDを用いる作業を停止するとき、電動工具KDのトリガスイッチ100Aの操作を解除する。例えば、作業者WMは、トリガスイッチ100Aを押している指をトリガスイッチ100Aから離す。トリガスイッチ100Aの操作が解除されることにより、電動工具KDのモータ210の駆動が停止される。また、トリガスイッチ100Aの操作が解除されることにより生成された第2操作信号は、通信部80を介して作業補助具1の演算処理装置90に送信される。
【0130】
操作信号取得部92が第2操作信号を取得したとき、第2制御部93Bは、アクチュエータ5の内部空間の圧縮空気がアクチュエータ5から排出されるように、電磁弁81に制御信号を出力する。これにより、アクチュエータ5の内部空間から圧縮空気が排出され、アクチュエータ5の駆動が停止される。アクチュエータ5は、動力を発生しない。
【0131】
アクチュエータ5の駆動が停止されることにより、重力の作用により、第1アーム部材31の先端部31Tは、下方に旋回する。保持部材4を介して第1アーム部材31に支持されている腕は、第1アーム部材31及び保持部材4と一緒に下方に移動する。
【0132】
図9は、本実施形態に係る制御信号を示すタイミングチャートである。トリガスイッチ100Aが操作されることにより生成された第1操作信号が電動工具KDの演算処理装置200及び作業補助具1の演算処理装置90のそれぞれに出力される。第2制御部93Bは、トリガスイッチ100Aが操作されることにより生成された第1操作信号が操作信号取得部92に取得された時点ts1において、アクチュエータ5の駆動を開始させる制御信号を出力する。すなわち、第2制御部93Bは、時点ts1において、タンク7の圧縮空気をアクチュエータ5に供給させる制御信号を電磁弁81に出力する。電動工具KDの演算処理装置200は、時点ts1において、モータ210を駆動させる制御信号をモータドライバ220に出力する。電動工具KDのモータ210は、時点ts1において、駆動を開始する。
【0133】
また、トリガスイッチ100Aの操作が解除されることにより、第1操作信号の出力が停止する。
図9に示す例においては、時点te1において、トリガスイッチ100Aの操作が解除され、第1操作信号の出力が停止する。トリガスイッチ100Aの操作が解除されることにより生成された第2操作信号が電動工具KDの演算処理装置200及び作業補助具1の演算処理装置90のそれぞれに出力される。第2制御部93Bは、トリガスイッチ100Aの操作が解除されることにより生成された第2操作信号が操作信号取得部92に取得された時点te1において、アクチュエータ5の駆動を停止させる制御信号を出力する。すなわち、第2制御部93Bは、時点te1において、アクチュエータ5から圧縮空気を排出させる制御信号を電磁弁81に出力する。電動工具KDの演算処理装置200は、時点te1において、モータ210の駆動を停止させる制御信号をモータドライバ220に出力する。電動工具KDのモータ210は、時点te1において、駆動を停止する。
【0134】
このように、本実施形態においては、第2制御部93Bがアクチュエータ5の駆動を開始させる制御信号を出力するタイミングと、演算処理装置200がモータ210の駆動を開始させる制御信号を出力するタイミングとは、同一である。
【0135】
また、第2制御部93Bがアクチュエータ5の駆動を停止させる制御信号を出力するタイミングと、演算処理装置200がモータ210の駆動を停止させる制御信号を出力するタイミングとは、同一である。
【0136】
本実施形態においては、電動工具KDを用いる作業を開始するために作業者WMがトリガスイッチ100Aを操作してモータ210の駆動を開始させたとき、そのトリガスイッチ100Aの操作と連動してアクチュエータ5の駆動が開始され、作業者WMの腕が上げられる。すなわち、制御装置11は、電動工具KDの作業開始と連動して、制御信号として、アクチュエータ5を起動させる起動信号を出力する。一方、電動工具KDを用いる作業を停止するために作業者WMがトリガスイッチ100Aの操作を解除してモータ210の駆動を停止させたとき、そのトリガスイッチ100Aの操作の解除と連動してアクチュエータ5の駆動が停止され、作業者WMの腕が下ろされる。すなわち、制御装置11は、電動工具KDの作業終了と連動して、制御信号として、アクチュエータ5を停止させる停止信号を出力する。これにより、作業の開始又は停止をする作業者WMの意思に基づいて、作業者WMの腕が上げられたり下げられたりする。そのため、作業者WMが違和感を覚えることが抑制され、電動工具KDを用いる作業は円滑に実施される。
【0137】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、作業補助具1は、電動工具KDの操作装置100が操作されることにより生成された操作信号を取得する操作信号取得部92と、操作信号に基づいてアクチュエータ5の駆動状態を制御する制御信号を出力する第2制御部93Bとを備える。制御装置11は、電動工具KDの作業開始を示す作業開始信号である操作装置100の第1操作信号に基づいて、アクチュエータ5を起動させる起動信号を制御信号として出力し、電動工具KDの作業終了を示す作業終了信号である操作装置100の第2操作信号に基づいて、アクチュエータ5を停止させる停止信号を制御信号として出力する。これにより、電動工具KDの操作装置100が操作されたタイミングに基づいて、作業補助具1に設けられているアクチュエータ5が制御される。そのため、アクチュエータ5は、作業者WMが意図しているタイミングで駆動開始又は駆動停止することができる。
【0138】
また、本実施形態においては、電動工具KDは、保持部材4に保持されている腕(右腕)に支持される。アクチュエータ5は、第1アーム部材31の先端部31Tを上方に旋回させる動力を発生する。第2制御部93Bは、操作装置100からの操作信号が操作信号取得部92で取得されたときに、アクチュエータ5の駆動を開始させる制御信号を出力する。これにより、天井面のような高所を作業者WMが電動工具KDを使って作業するとき、作業者WMの腕の筋力は、作業者WMが意図しているタイミングで補助される。
【0139】
また、本実施形態においては、操作装置100であるトリガスイッチ100Aは、電動工具KDのモータ210の駆動状態を操作する操作信号を生成する。これにより、電動工具KDのモータ210を駆動させて電動工具KDを用いる作業を実施するときに、作業補助具1は、アクチュエータ5の駆動を開始して補助力(アシスト力)を発揮することができる。
【0140】
また、本実施形態においては、アクチュエータ5は、コンプレッサ6で圧縮され圧力制御機構8で圧力が調整された圧縮空気に基づいて動力を発生するエアアクチュエータである。これにより、作業補助具1は、十分な補助力を効果的に発揮することができる。
【0141】
また、本実施形態によれば、アクチュエータ5に供給される圧縮空気が流れる流路12に電磁弁81が設けられる。電磁弁81が第1操作されたときにアクチュエータ5に圧縮空気が供給され、電磁弁81が第2操作されたときにアクチュエータ5から圧縮空気が排出される。これにより、電磁弁81を操作するだけで、アクチュエータ5の駆動の開始と駆動の停止とを切り換えることができる。
【0142】
また、本実施形態によれば、コンプレッサ6から供給された圧縮空気を一時的に溜めるタンク7が設けられる。タンク7に溜められた圧縮空気が圧力制御機構8を介してアクチュエータ5に供給される。これにより、規定圧力に高められたタンク7の圧縮空気を、圧力制御機構8を介してアクチュエータ5に供給することができる。
【0143】
また、本実施形態によれば、コンプレッサ6とタンク7との間の流路12Aに圧力センサ71が設けられる。圧力センサ71は、コンプレッサ6からタンク7に供給される圧縮空気の圧力を検出する。また、圧力センサ71は、タンク7の圧縮空気の圧力を検出する。コンプレッサ6の駆動状態は、圧力センサ71で検出された圧力値Paに基づいて制御される。これにより、タンク7の圧縮空気の圧力が低いときには、コンプレッサ6を駆動して、タンク7の圧縮空気の圧力を高めることができる。また、タンク7の圧縮空気の圧力が高いときには、コンプレッサ6の駆動を停止させることができ、コンプレッサ6が不要に駆動されることが抑制される。
【0144】
また、本実施形態においては、バッテリ9が着脱可能に装着されるコネクタ10が設けられる。これにより、コンプレッサ6のような電気機器に電力を供給することができる。バッテリ9はコネクタ10に着脱可能なので、コネクタ10に装着されているバッテリ9の充電状態が低下したときには、充電状態が高いバッテリ9と容易に交換することができる。
【0145】
また、本実施形態においては、バッテリ9は、電動工具バッテリである。そのため、作業補助具1と電動工具KDとでバッテリ9を兼用することができる。
【0146】
また、本実施形態においては、アーム部材3は、保持部材4を支持する第1アーム部材31と、本体部材2及び第1アーム部材31のそれぞれと連結される第2アーム部材32とを含む。第1アーム部材31は、第1回転軸AX1を中心に回動可能に第2アーム部材32と連結され、第2アーム部材32は、第1回転軸AX1とは異なる方向に延在する第2回転軸AX2を中心に回動可能に本体部材2と連結される。これにより、保持部材4は、第1回転軸AX1と直交する第1面と平行な方向及び第2回転軸AX2と直交する第2面と平行な方向のそれぞれに円滑に移動することができる。第1面と第2面とが直交し、第2面が水平面と平行である場合、保持部材4は、上下方向及び水平方向のそれぞれに円滑に移動することができる。
【0147】
また、本実施形態においては、第1回転軸AX1と相対移動可能に保持部材4を支持する移動機構50が設けられる。これにより、作業者WMが腕を移動させたとき、腕を保持する保持部材4が第1回転軸AX1に対して相対移動する。そのため、腕と作業補助具1とに摩擦が生じることが抑制される。したがって、作業者WMの作業性の低下が抑制される。
【0148】
第2実施形態.
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0149】
図10は、本実施形態に係る作業補助具1及び電動工具KDのそれぞれのハードウエア構成の一例を示す図である。
図11は、本実施形態に係る演算処理装置90の一例を示す機能ブロック図である。
【0150】
本実施形態において、作業補助具1は、アクチュエータ5に供給される圧縮空気の圧力を検出する圧力センサ72(第2圧力センサ)と、アクチュエータ5の変位を検出する変位センサ73と、保持部材4を介して作業者WMの腕に加えられる補助力を検出する力センサ74とを備える。
【0151】
圧力センサ72は、圧力制御機構8とアクチュエータ5との間に設けられ、圧力制御機構8からアクチュエータ5に供給される圧縮空気の圧力を検出する。圧力センサ72によって検出される圧力値Pbは、アクチュエータ5の内部空間の圧力を示す。圧力センサ72の検出信号は、演算処理装置90に出力される。検出信号取得部91は、圧力センサ72の検出信号を取得する。
【0152】
変位センサ73は、アクチュエータ5の変位量を検出する。上述のように、アクチュエータ5は伸縮する。アクチュエータ5の下端部は、連結部材63を介して第2プレート部材24に固定される。アクチュエータ5が伸縮することにより、アクチュエータ5の上端部が上下方向に移動する。本実施形態において、アクチュエータ5の変位量は、アクチュエータ5の上端部と連結部材62を介して連結されているワイヤ部材61の移動量を含む。変位センサ73は、第1プレート部材23の移動量を検出することによって、アクチュエータ5の変位量を検出することができる。
【0153】
また、アクチュエータ5の上端部の移動と同期して、第1関節機構13のプーリ15が回転する。アクチュエータ5の変位量とプーリ15の回転量とは1対1で対応する。変位センサ73は、プーリ15の回転量を検出することによって、アクチュエータ5の変位量を検出することができる。
【0154】
本実施形態において、変位センサ73は、プーリ15の回転量を検出する角度センサであることとする。変位センサ73の検出信号は、演算処理装置90に出力される。検出信号取得部91は、変位センサ73の検出信号を取得する。制御装置11の記憶装置99には、アクチュエータ5の変位量とプーリ15の回転量との関係を示す相関データが記憶されている。相関データは、例えば作業補助具1の設計データから導出可能な既知データである。第2制御部93Bは、変位センサ73の検出信号と記憶装置99に記憶されている相関データとに基づいて、アクチュエータ5の変位量を算出することができる。
【0155】
力センサ74は、保持部材4に保持されている作業者WMの腕に加えられる補助力を検出する。作業補助具1は、保持部材4を介して作業者WMの腕に補助力を加える。力センサ74は、作業者WMの腕に加えられる補助力を検出する。本実施形態において、力センサ74は、保持部材4に設けられている歪みセンサを含む。作業者WMの腕に加えられる補助力が大きいほど、歪みセンサの検出値は大きく、作業者WMの腕に加えられる補助力が小さいほど、歪みセンサの検出値は小さい。そのため、歪みセンサは、作業者WMの腕に加えられる補助力を検出することができる。
【0156】
なお、力センサ74は、保持部材4に設けられた圧力センサでもよい。圧力センサは、作業者WMの腕と保持部材4との間に設けられる。作業者WMの腕に加えられる補助力が大きいほど、圧力センサの検出値は大きく、作業者WMの腕に加えられる補助力が小さいほど、圧力センサの検出値は小さい。そのため、圧力センサは、作業者WMの腕に加えられる補助力を検出することができる。
【0157】
力センサ74の検出信号は、演算処理装置90に出力される。検出信号取得部91は、力センサ74の検出信号を取得する。
【0158】
また、本実施形態においては、補助力の目標値を指定する入力装置113が演算処理装置90に接続される。入力装置113は、補助力の目標値を指定可能な操作ダイヤルを有する。作業者WMは、入力装置113を操作して、補助力の目標値を演算処理装置90に入力することができる。演算処理装置90は、入力装置113が操作されることにより生成された入力信号を取得する入力信号取得部94を有する。
【0159】
次に、本実施形態に係るアクチュエータ5の制御方法について説明する。
図12は、本実施形態に係るアクチュエータ5の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図12は、圧力センサ72の検出信号及び変位センサ73の検出信号に基づいてアクチュエータ5の駆動状態を制御する制御方法の一例を示す。第2制御部93Bは、圧力センサ72の検出信号及び変位センサ73の検出信号に基づいてアクチュエータ5の駆動状態を制御する制御信号を出力する。
【0160】
作業者WMは、入力装置113を操作して、希望する補助力の目標値を入力する。入力信号取得部94は、補助力の目標値を示す入力信号を取得する(ステップSC1)。
【0161】
第2制御部93Bは、操作信号取得部92がトリガスイッチ100Aから第1操作信号を取得したか否かを判定する(ステップSC2)。
【0162】
ステップSC2において、第1操作信号を取得したと判定されたとき(ステップSC2:Yes)、検出信号取得部91は、圧力センサ72の検出信号を取得する。圧力センサ72の検出信号は、アクチュエータ5に供給される圧縮空気の圧力値Pbを示す。第2制御部93Bは、圧力センサ72で検出された圧力値Pbを取得する(ステップSC3)。
【0163】
また、検出信号取得部91は、変位センサ73の検出信号を取得する。変位センサ73の検出信号は、アクチュエータ5の変位量を示す。第2制御部93Bは、変位センサ73で検出されたアクチュエータ5の変位量を取得する(ステップSC4)。
【0164】
第2制御部93Bは、圧力センサ72の検出信号及び変位センサ73の検出信号に基づいて、アクチュエータ5の張力を算出する(ステップSC5)。人工筋肉においては、アクチュエータ5の内部空間の圧力とアクチュエータ5の変位量とに基づいてアクチュエータ5の張力が決定される。第2制御部93Bは、アクチュエータ5の内部空間の圧力値Pbを示す圧力センサ72の検出信号と、アクチュエータ5の変位量を示す変位センサ73の検出信号とに基づいて、アクチュエータ5の張力を算出する(ステップSC5)。
【0165】
第2制御部93Bは、ステップSC5において算出したアクチュエータ5の張力がステップSC1において取得された補助力の目標値と等しいか否かを判定する(ステップSC6)。
【0166】
ステップSC6において、ステップSC5において算出したアクチュエータ5の張力とステップSC1において取得された補助力の目標値とが異なると判定されたとき(ステップSC6:No)、第2制御部93Bは、アクチュエータ5の張力と補助力の目標値との差分を算出する(ステップSC7)。
【0167】
第2制御部93Bは、ステップSC7で算出された差分に基づいて、その差分が小さくなるように、アクチュエータ5の目標圧力を算出する(ステップSC8)。
【0168】
第2制御部93Bは、アクチュエータ5の内部空間がステップSC8で算出された目標圧力になるように、電磁弁81を制御する制御信号を出力する(ステップSC9)。
【0169】
電磁弁81は、制御信号に基づいて、タンク7から圧力制御機構8を介してアクチュエータ5に供給される圧縮空気を調整する。電磁弁81は、制御信号に基づいてアクチュエータ5に供給される圧縮空気を調整して、アクチュエータ5の圧力を目標圧力に制御する(ステップSC10)。アクチュエータ5の圧力が目標圧力に制御されることにより、アクチュエータ5の張力と補助力の目標値との差が小さくなる。
【0170】
なお、ステップSC2において、第1操作信号を取得していないと判定されたとき(ステップSC2:No)、第2制御部93Bは、アクチュエータ5から圧縮空気が排出されるように、電磁弁81に制御信号を出力する(ステップSC11)。
【0171】
ステップSC5において算出したアクチュエータ5の張力とステップSC1において取得された補助力の目標値とが等しいと判定されたとき(ステップSC6:Yes)、又はステップSC11の処理が終了したとき、演算処理装置90は、ステップSC1の処理に戻る。
【0172】
以上説明したように、第2制御部93Bは、圧力センサ72の検出信号及び変位センサ73の検出信号に基づいてアクチュエータ5の駆動状態を制御する制御信号を出力する。第2制御部93Bは、作業者WMの腕に加えられる補助力が入力装置113から入力された目標値になるように、電磁弁81を制御して、アクチュエータ5の内部空間の圧力を調整して、アクチュエータ5の張力を調整する。これにより、作業補助具1は、作業者WMが希望する補助力で作業者WMの腕を補助することができる。
【0173】
図13は、本実施形態に係るアクチュエータ5の制御方法の一例を示すフローチャートである。
図13は、力センサ74の検出信号に基づいてアクチュエータ5の駆動状態を制御する制御方法の一例を示す。第2制御部93Bは、力センサ74の検出信号に基づいてアクチュエータ5の駆動状態を制御する制御信号を出力する。
【0174】
作業者WMは、入力装置113を操作して、希望する補助力の目標値を入力する。入力信号取得部94は、補助力の目標値を示す入力信号を取得する(ステップSD1)。
【0175】
第2制御部93Bは、操作信号取得部92がトリガスイッチ100Aから第1操作信号を取得したか否かを判定する(ステップSD2)。
【0176】
ステップSD2において、第1操作信号を取得したと判定されたとき(ステップSD2:Yes)、検出信号取得部91は、力センサ74の検出信号を取得する。力センサ74の検出信号は、保持部材4を介して作業者WMの腕に加えられる補助力を示す。第2制御部93Bは、力センサ74で検出された作業者WMの腕に加えられる補助力を取得する(ステップSD3)。
【0177】
第2制御部93Bは、ステップSD3において取得した作業者WMの腕に加えられる補助力がステップSD1において取得された補助力の目標値と等しいか否かを判定する(ステップSD4)。
【0178】
ステップSD4において、ステップSD3において取得した作業者WMの腕に加えられる補助力とステップSD1において取得された補助力の目標値とが異なると判定されたとき(ステップSD4:No)、第2制御部93Bは、作業者WMの腕に加えられる補助力と補助力の目標値との差分を算出する(ステップSD5)。
【0179】
第2制御部93Bは、ステップSD5で算出された差分に基づいて、その差分が小さくなるように、アクチュエータ5の目標圧力を算出する(ステップSD6)。
【0180】
第2制御部93Bは、アクチュエータ5の内部空間がステップSD6で算出された目標圧力になるように、電磁弁81を制御する制御信号を出力する(ステップSD7)。
【0181】
電磁弁81は、制御信号に基づいて、タンク7から圧力制御機構8を介してアクチュエータ5に供給される圧縮空気を調整する。電磁弁81は、制御信号に基づいてアクチュエータ5に供給される圧縮空気を調整して、アクチュエータ5の圧力を目標圧力に制御する(ステップSD8)。アクチュエータ5の圧力が目標圧力に制御されることにより、作業者WMの腕に加えられる補助力と補助力の目標値との差が小さくなる。
【0182】
なお、ステップSD2において、第1操作信号を取得していないと判定されたとき(ステップSD2:No)、第2制御部93Bは、アクチュエータ5から圧縮空気が排出されるように、電磁弁81に制御信号を出力する(ステップSD9)。
【0183】
ステップSD3において取得した作業者WMの腕に加えられる補助力とステップSD1において取得された補助力の目標値とが等しいと判定されたとき(ステップSD4:Yes)、又はステップSD9の処理が終了したとき、演算処理装置90は、ステップSD1の処理に戻る。
【0184】
以上説明したように、第2制御部93Bは、力センサ74の検出信号に基づいてアクチュエータ5の駆動状態を制御する制御信号を出力する。第2制御部93Bは、作業者WMの腕に加えられる補助力が入力装置113から入力された目標値になるように、電磁弁81を制御して、アクチュエータ5の内部空間の圧力を調整して、保持部材4を介して作業者WMの腕に加えられる補助力を調整する。これにより、作業補助具1は、作業者WMが希望する補助力で作業者WMの腕を補助することができる。
【0185】
第1実施形態及び第2実施形態に関連する他の実施形態.
上述の実施形態においては、
図9を参照して説明したように、第2制御部93Bがアクチュエータ5の駆動を開始させる制御信号を出力するタイミングと、演算処理装置200がモータ210の駆動を開始させる制御信号を出力するタイミングとは、同一であり、第2制御部93Bがアクチュエータ5の駆動を停止させる制御信号を出力するタイミングと、演算処理装置200がモータ210の駆動を停止させる制御信号を出力するタイミングとは、同一であることとした。
【0186】
第2制御部93Bがアクチュエータ5の駆動を開始させる制御信号を出力するタイミングと、演算処理装置200がモータ210の駆動を開始させる制御信号を出力するタイミングとが、異なってもよい。また、第2制御部93Bがアクチュエータ5の駆動を停止させる制御信号を出力するタイミングと、演算処理装置200がモータ210の駆動を停止させる制御信号を出力するタイミングとが、異なってもよい。
【0187】
図14は、本実施形態に係る制御信号を示すタイミングチャートである。
図14に示すように、トリガスイッチ100Aが操作されることにより、時点ts1において生成された第1操作信号は、電動工具KDの演算処理装置200及び作業補助具1の演算処理装置90のそれぞれに出力される。第2制御部93Bは、操作信号取得部92が第1操作信号を取得した時点ts1(第1時点)においてアクチュエータ5を駆動させる制御信号を出力する。電動工具KDのモータ210は、時点ts1よりも後の時点ts2(第2時点)において駆動を開始する。すなわち、第2制御部93Bは、時点ts1において、タンク7の圧縮空気をアクチュエータ5に供給させる制御信号を電磁弁81に出力する。電動工具KDの演算処理装置200は、時点ts1よりも後の時点ts2において、モータ210を駆動させる制御信号をモータドライバ220に出力する。
【0188】
これにより、トリガスイッチ100Aが操作されると、電動工具KDのモータ210の駆動が開始される前に、アクチュエータ5の駆動が開始され、作業者WMの腕が上げられる。作業者WMは、腕が上げられた後、電動工具KDのモータ210の駆動を開始させることができる。
【0189】
また、トリガスイッチ100Aの操作が解除されることにより時点te1において生成された第2操作信号は、電動工具KDの演算処理装置200及び作業補助具1の演算処理装置90のそれぞれに出力される。電動工具KDのモータ210は、時点te1において駆動を停止する。第2制御部93Bは、操作信号取得部92が第2操作信号を取得した時点te1よりも後の時点te2においてアクチュエータ5の駆動を停止させる制御信号を出力する。すなわち、電動工具KDの演算処理装置200は、時点te1において、モータ210の駆動を停止させる制御信号をモータドライバ220に出力する。第2制御部93Bは、時点te1よりも後の時点te2において、アクチュエータ5から圧縮空気を排出させる制御信号を電磁弁81に出力する。
【0190】
これにより、トリガスイッチ100Aの操作が解除されると、電動工具KDのモータ210の駆動が停止された後、作業者WMの腕を下げることができる。
【0191】
図15は、本実施形態に係るトリガスイッチ100Aの操作量と、モータ210及びアクチュエータ5のそれぞれが駆動を開始するタイミングとを説明するための模式図である。トリガスイッチ100Aは、規定の可動範囲を有する。作業者WMは、任意の操作量(押し込み量)でトリガスイッチ100Aを操作することができる。トリガスイッチ100Aを可動範囲の端部まで押し込んだときの操作量を適宜、第1操作量、と称し、トリガスイッチ100Aを可動範囲の途中まで押し込んだときの操作量を適宜、第2操作量、と称する。第2操作量は、第1操作量よりも小さい。第1操作量は、トリガスイッチ100Aを十分に押し込んだときの操作量を示す全押しに相当し、第2操作量は、トリガスイッチ100Aを僅かに押し込んだときの操作量を示す半押しに相当する。
【0192】
モータ210は、トリガスイッチ100Aが第1操作量で操作されたときに駆動を開始する。第2制御部93Bは、第1操作量よりも小さい第2操作量を示す操作信号が操作信号取得部92に取得されたときにアクチュエータ5を駆動させる制御信号を電磁弁81に出力する。
【0193】
すなわち、トリガスイッチ100Aが半押しされたとき、モータ210の駆動が停止された状態で、第1アーム部材31の先端部31Tが上方に旋回するようにアクチュエータ5の駆動が開始される。作業者WMは、トリガスイッチ100Aを半押しして腕が持ち上げられた後、トリガスイッチ100Aを全押しすることにより電動工具KDを駆動させることができる。
【0194】
なお、上述の各実施形態においては、トリガスイッチ100Aの操作に基づいて、アクチュエータ5の駆動状態が制御されることとした。ロックオフスイッチ100Bの操作に基づいて、アクチュエータ5の駆動状態が制御されてもよい。例えば、ロックオフスイッチ100Bが操作されてモータ210のロックが解除されたとき、アクチュエータ5が駆動して作業者WMの腕が上げられてもよい。作業者WMは、腕が上げられた後、トリガスイッチ100Aを操作してモータ210の駆動を開始することができる。また、トリガスイッチ100A及びロックオフスイッチ100Bのみならず、電動工具KDに設けられている、モータ210の駆動状態を操作する各種のスイッチの操作に基づいてアクチュエータ5の駆動状態が制御されてもよい。また、電動工具KDに設けられている、モータ210の駆動状態の操作には寄与しない各種のスイッチの操作に基づいて、アクチュエータ5の駆動状態が制御されてもよい。例えば、アクチュエータ5の駆動状態を制御するための専用スイッチが電動工具KDに設けられてもよい。
【0195】
なお、上述の各実施形態においては、電動工具KDに設けられている操作装置100に基づいて、アクチュエータ5の駆動状態が制御されることとした。作業補助具1に、アクチュエータ5の駆動状態を操作する操作装置が設けられてもよい。
【0196】
なお、上述の各実施形態において、圧力制御機構8として圧力制御弁が用いられてもよい。また、上述の各実施形態において、タンク7が省略されてもよい。コンプレッサ6で生成された圧縮空気がタンク7に溜められることなく、圧力制御機構8を介してアクチュエータ5に供給されてもよい。
【0197】
なお、上述の各実施形態において、圧力制御機構8は省略されてもよい。コンプレッサ6で生成された圧縮空気がアクチュエータ5に直接的に供給されてもよい。
【0198】
なお、上述の各実施形態においては、アクチュエータ5が人工筋肉であることとした。アクチュエータ5は、エアシリンダでもよい。
【0199】
なお、上述の各実施形態においては、アクチュエータ5が圧縮空気に基づいて作動するエアアクチュエータであることとした。アクチュエータ5は、例えば油圧に基づいて作動する油圧アクチュエータでもよいし、圧電素子のような駆動素子により作動するアクチュエータでもよい。
【0200】
なお、上述の各実施形態においては、アクチュエータ5が本体部材2に支持されることとした。アクチュエータ5は、例えばアーム部材3に支持されてもよいし、本体部材2及びアーム部材3とは別の部材に支持されてもよい。
【0201】
なお、上述の各実施形態においては、第1回転軸AX1がXY平面と実質的に平行であり、第2回転軸AX2がXY平面と実質的に直交することとした。第1回転軸AX1がXY平面に対して傾斜してもよいし、第2回転軸AX2がXY平面と直交しなくてもよい。また、上述の実施形態においては、第1アーム部材31の先端部31Tが第1回転軸AX1と直交する第1面と平行な方向に旋回し、第2アーム部材32の第1端部32Tが第1面と直交する第2面と平行な方向に旋回することとした。第1面と第2面とは直交しなくてもよい。
【0202】
なお、上述の各実施形態において、第2回転軸AX2が省略されてもよい。すなわち、第1アーム部材31は、第1回転軸AX1を中心に回動可能であればよく、第2回転軸AX2を中心に回動しなくてもよい。
【0203】
なお、上述の各実施形態においては、作業補助具1が作業者WMの右腕及び左腕のいずれか一方を支援することとした。作業補助具1は、右腕及び左腕の両方を支援してもよい。右腕用及び左腕用それぞれのアーム部材3及び保持部材4が設けられることにより、作業補助具1は、作業者WMの右腕及び左腕の両方の筋力を補助することができる。
【0204】
第3実施形態.
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0205】
作業補助具1は、例えば、ハンマードリルのような電動工具KDを使用して高所の対象物に穴あけ作業を行う際に、作業者WMの腕を対象物に押し付けることを支援する。作業補助具1は、アシストスーツともいう。
【0206】
作業補助具1は、アシスト状態と、姿勢維持状態と、腕解放状態とを取り得る。アシスト状態は、作業補助具1が作業者WMの腕を対象物に押し付ける力を補助して、作業者WMを支援する状態である。姿勢維持状態とは、作業補助具1が作業者WMの腕を所定高さで支持して姿勢を維持する状態である。姿勢維持状態では、作業者WMの腕を対象物に押し付ける力は作用しない。腕解放状態は、作業者WMの腕をアシスト状態または姿勢維持状態から解放して、自由に動かせるようにする状態である。
【0207】
[構造]
図16は、本実施形態に係る作業補助具1の一例を示す斜視図であり、作業補助具1が作業者WMに装着されている状態を示す。
図17は、本実施形態に係る作業補助具1の一例を示す斜視図である。
【0208】
図16及び
図17に示すように、作業補助具1は、少なくとも一部が作業者WMの背中に装着される本体部材2と、本体部材2と相対移動可能に連結されるアーム部材3と、移動機構50を介してアーム部材3に支持され、作業者WMの腕の少なくとも一部を保持する保持部材4と、本体部材2に支持され、アーム部材3を移動させる動力を発生するアクチュエータ141と、アクチュエータ141が発生する動力により駆動して、アーム部材3を移動させる動力機構1000とを備える。動力機構1000は、アクチュエータ141が発生する動力により駆動するドラム駆動機構400(第2動力機構)と、アーム部材3を移動させるアーム駆動機構700(第1動力機構)とを含む。
【0209】
また、作業補助具1は、本体部材2に支持され、バッテリ9が着脱可能に装着されるコネクタ10と、本体部材2に支持される制御装置11と、作業者WMに操作される補助具操作装置800とを備える。
【0210】
保持部材4は、作業者WMの右腕の少なくとも一部を保持する。保持部材4に保持されている右腕に電動工具KDが支持される。作業者WMは、右手で電動工具KDを保持して作業を実施する。
【0211】
作業補助具1は、電動工具KDの駆動状態と連動して駆動又は停止する。作業補助具1は、駆動又は停止するために作業者WMが操作するための補助具操作装置800を有する。作業補助具1は、電力を供給する電動工具KD用のバッテリ9が装着されるコネクタ10を有する。作業補助具1は、作業者WMが背中に背負った状態で身体に装着するためのハーネスHSを有する。作業補助具1は、制御装置11によって制御される。
【0212】
ハーネスHSは、本体部材2に配置される。ハーネスHSは、一対の肩ベルトHSaと、腰ベルトHSbとを有する。一対の肩ベルトHSaは、作業者WMの上腕部を通して肩部に装着される。一対の肩ベルトHSaは、作業者の肩部に接触する位置に緩衝材が配置される。これにより、一対の肩ベルトHSaは、作業者の肩部に装着した際に、良好な装着感が得られる。腰ベルトHSbは、作業者の腹部に巻き付けて装着される。腰ベルトHSbは、作業者の腰部に接触する位置に緩衝材が配置される。これにより、腰ベルトHSbは、作業者の腰部に装着した際に、良好な装着感が得られる。このようなハーネスHSを介して、作業補助具1は、作業者の背中に背負われた状態で装着される。
【0213】
本体部材2は、作業補助具1の重量物を支持する。本体部材2には、アーム部材3に作用する荷重が作用する。本体部材2は、枠状に形成されていることにより、荷重を分散して支持する。本体部材2は、例えば、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforce Plastics)を含む剛性が高く、軽量の素材で形成される。特に、本体部材2は、炭素繊維を用いたCFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastics)で形成されることが好ましい。本体部材2は、第1フレーム21Bと、第2フレーム22と、第3フレーム23Bと、連結部24Bとを有する。本体部材2には、ハウジング29が配置される。
【0214】
第1フレーム21Bは、作業者WMの背中に対面して配置される。第2フレーム22Bは、作業者WMの背中から第1フレーム21BよりY軸方向に離間した位置に配置される。第2フレーム22Bは、第1フレーム21Bと対面する。第3フレーム23Bは、ドラム駆動機構400などの重量物が載置される。第3フレーム23Bは、第1フレーム21Bの下部からY軸方向に突出した矩形状に形成されている。第3フレーム23Bは、作業者WMの背中から離間する方向に突出する。第3フレーム23Bは、複数の円柱状の部材を矩形状に組み付けて形成されている。第3フレーム23Bには、連結部24Bは、第1フレーム21Bの中間部の上側と第2フレーム22Bの下部とを連結する。連結部24Bは、Z軸方向視においてL字型に形成されている。連結部24Bは、円柱状の部材で形成されている。第1フレーム21Bと第2フレーム22Bとは、連結部24Bとハウジング29とを介して連結される。第1フレーム21Bと第2フレーム22Bとは、Y軸方向に数cm程度離間している。
【0215】
アーム部材3は、作業者WMの腕部を保持する。本実施形態では、アーム部材3は、作業者WMの右腕の上腕部を保持する。アーム部材3は、例えば、繊維強化プラスチックを含む剛性が高く、軽量の素材で形成される。アーム部材3は、作業補助具1によってアーム部材3を上昇させた状態で、作業者WMの腕部の重さと作業者WMが把持した電動工具KDの重さとを支持する。例えば、作業者WMの腕部の重さは3kg程度、電動工具KDの重さは5kg程度である。また、アーム部材3は、電動工具KDの駆動時には、電動工具KDを対象物に押し付ける際に反動トルクが作用する。アーム部材3は、基部33と、腕部34と、ガイドレール35と、保持部材4とを有する。
【0216】
ガイドレール35は、第1回転軸AX1を中心に回動可能に腕部34に連結される。基部33は、第1回転軸AX1とは異なる方向に延在する第2回転軸AX2を中心に回動可能に本体部材2に連結される。上述の実施形態と同様、第1回転軸AX1は、XY平面と実質的に平行である。第2回転軸AX2は、XY平面と実質的に直交する。
【0217】
ガイドレール35と腕部34とは、第1関節機構13Bを介して連結される。第1関節機構13Bは、プーリ740を含む。プーリ740は、第1回転軸AX1を含む。
【0218】
基部33と本体部材2とは、第2関節機構14Bを介して連結される。基部33は、第2関節機構14Bを介して第2フレーム22Bに連結される。第2フレーム22Bは、第2回転軸AX2を含む。
【0219】
基部33は、第1フレーム21Bが挿入される軸孔部33Aと、腕部34が挿入される腕孔部33Bと、ボルトが挿入される調整孔部33Cとを有する。
【0220】
腕孔部33Bに腕部34が配置されている状態で、調整孔部33Cにボルトが挿入されることにより、基部33と腕部34とがボルトにより固定される。腕部34は、腕孔部33Bに配置されている状態で、第2回転軸AX2の放射方向に移動可能である。第2回転軸AX2の放射方向において、基部33と腕部34との相対位置が調整されることにより、第2フレーム22Bと腕部34との距離が調整される。例えば作業者WMの肩幅に基づいて、第2フレーム22Bと腕部34との距離が調整される。作業者WMの肩幅が広いほど、第2フレーム22Bと腕部34との距離が長くなるように調整される。
【0221】
本実施形態において、調整孔部33Cは、ボルトが挿入される複数の位置決め孔を含む。位置決め孔は、第2回転軸AX2の放射方向に複数設けられる。位置決め孔は、第2回転軸AX2の放射方向におけるボルトの移動を規制する。
【0222】
ボルトが第2回転軸AX2に近い位置決め孔に挿入されると、腕部34が腕孔部33Bに深く挿入された状態で、基部33と腕部34とが固定される。すなわち、第2回転軸AX2に近い位置決め孔に挿入されたボルトにより基部33と腕部34とが固定されると、第2フレーム22Bと腕部34との距離は短くなる。
【0223】
ボルトが第2回転軸AX2から遠い位置決め孔に挿入されると、腕部34が腕孔部33Bに浅く挿入された状態で、基部33と腕部34とが固定される。すなわち、第2回転軸AX2から遠い位置決め孔に挿入されたボルトにより基部33と腕部34とが固定されると、第2フレーム22Bと腕部34との距離は長くなる。
【0224】
これにより、作業者WMの肩幅に基づいて、第2回転軸AX2の放射方向において、第2フレーム22Bと腕部34との距離が調整される。
【0225】
ガイドレール35は、保持部材4をガイドする。ガイドレール35は、保持部材4がスライド可能に配置される。ガイドレール35は、直線状に延びる一対の棒状体である。ガイドレール35は、平行に配置される。ガイドレール35は、一方の端部がアーム駆動機構700のプーリ740の可動部7411に連結され、他方の端部に保持部材4が挿通される。ガイドレール35は、アーム駆動機構700のプーリ740の可動部7411に連動して回動可能である。ガイドレール35は、プーリ740のアーム軸744(第2回転軸AX2)を中心に可動部7411に連動して回動する。ガイドレール35は、ガイドレール35の先端部が上下方向に旋回するように、第1回転軸AX1を中心に回動可能である。腕部34は、ガイドレール35の先端部が左右方向に旋回するように、第2回転軸AX2を中心に回動可能である。これにより、ガイドレール35は、先端側が下方に降りた状態と、上方に持ち上げられた状態とを取り得る。なお、ガイドレール35は、保持部材4の一つの部材としてもよい。
【0226】
保持部材4は、作業者WMの腕部を保持する。本実施形態では、保持部材4は、作業者WMの上腕部を保持する。保持部材4は、腕部34に対して回動可能に配置される。保持部材4は、ガイドレール35の回動に連動して、下方に降りた状態と、上方に持ち上げられた状態とを取り得る。
【0227】
保持部材4は、ガイドレール35がスライド可能に挿通される。保持部材4には、一対のガイド孔が形成されている。ガイド孔は、保持部材4を貫通している。ガイド孔は、平行に形成されている。ガイド孔には、ガイドレール35が挿通される。
【0228】
ガイドレール35が第1回転軸AX1を中心に旋回すると、保持部材4は、ガイドレール35と一緒に、第1回転軸AX1を中心に旋回する。ガイドレール35が第2回転軸AX2を中心に旋回すると、保持部材4は、ガイドレール35と一緒に、第2回転軸AX2を中心に旋回する。
【0229】
保持部材4は、作業者WMの上腕の外側の下部を保持する。保持部材4の内面に磁石44が配置される。磁石44は、保持部材4に2つ配置される。なお、磁石44の数は1つでもよいし、3つ以上の複数でもよい。作業者WMは、金属部材を含むアームバンドを上腕に装着した状態で、上腕を保持部材4に載せる。磁石44の磁力により、保持部材4と上腕とが吸着される。これにより、保持部材4は、作業者WMの腕の動作に追従することができる。作業者WMは、腕を内側に素早く動かすことにより、保持部材4と腕との吸着を簡単に解除することができる。
【0230】
図18は、本実施形態に係る作業補助具1を示す断面図である。
図19は、本実施形態に係る作業補助具1の一部を示す断面図である。
【0231】
バッテリ9は、作業補助具1に電力を供給する。バッテリ9は、充電式の電動工具用バッテリである。バッテリ9は、コネクタ10に装着される。バッテリ9は、コネクタ10に着脱可能である。
【0232】
バッテリ9は、隆起部9aと、バッテリ爪9bと、バッテリボタン9cと、バッテリ端子とを有する。バッテリ9をコネクタ10に装着するとき、作業者WMは、バッテリ9のバッテリ端子とコネクタ10の装着面とが対向するように、バッテリ9をコネクタ10にスライドさせる。バッテリ9がスライドすることによって、隆起部9aがコネクタ10の少なくとも一部に接触する。バッテリ9のバッテリ端子とコネクタ10の装着面とが対向すると、バッテリ爪9bが、コネクタ10の装着凹部10aに挿入される。これにより、バッテリ9がコネクタ10に装着される。バッテリ9がコネクタ10に装着されると、バッテリ9のバッテリ端子とコネクタ10の装着端子とが接続される。
【0233】
コネクタ10からバッテリ9を外すとき、バッテリボタン9cが操作される。バッテリボタン9cが操作されることにより、バッテリ爪9bが装着凹部10aから抜去され、コネクタ10からバッテリ9が解放される。バッテリ9がスライドすることによって、コネクタ10からバッテリ9が外される。
【0234】
ハウジング29は、ドラム駆動機構400とアーム駆動機構700の一部とを内部に収容する。ハウジング29は、第1ハウジング291と、第2ハウジング292とを有する。第1ハウジング291は、スプリング720とスライドボリューム730とを内部に収容する。第1ハウジング291は、第2フレーム22Bに固定される。第1ハウジング291は、箱型に形成されている。第2ハウジング292は、ドラム駆動機構400を内部に収容する。第2ハウジング292は、第1ハウジング291の下部に固定される。第2ハウジング292は、箱型に形成されている。第2ハウジング292は、右側部に、コネクタ10が配置される。第2ハウジング292の下部は、ハウジング149及び基部293を介して第3フレーム23Bに固定される。
【0235】
アクチュエータ141は、作業補助具1の駆動源である。アクチュエータ141は、バッテリ9から供給される電力により作動する電動アクチュエータである。本実施形態において、アクチュエータ141は、バッテリ9から供給される電力によって作動する電気モータである。アクチュエータ141が発生する動力は、電気モータが発生する回転力を含む。
【0236】
動力機構1000は、アーム部材3とアクチュエータ141との間に配置され、アクチュエータ141の作動により伸縮するスプリング部材721を含むアーム駆動機構700(第1動力機構)と、アーム駆動機構700とアクチュエータ141との間に配置され、アクチュエータ141が発生した動力をアーム駆動機構700に伝達するドラム駆動機構400(第2動力機構)とを有する。
【0237】
後述するように、ドラム駆動機構400は、電動工具KDのモータが駆動しているときに、アーム駆動機構700からアクチュエータ141に伝達される力を抑制する。また、ドラム駆動機構400は、電動工具KDのモータが駆動状態から停止状態に移行するときに、アーム駆動機構700からアクチュエータ141に伝達される力を抑制することを解除する。また、スプリング部材721の長さを検出するスライドボリューム730(スプリングセンサ)が設けられる。制御装置11は、スライドボリューム730からの検出信号に基づいて、アクチュエータ141の作動を制御する。制御装置11は、電動工具KDのモータが駆動しているときに、スライドボリューム730の検出値に基づいて、スプリング部材721の弾性力が第1閾値以上であると判定したときにアクチュエータ141を停止させる停止信号を出力し、スプリング部材721の弾性力が第2閾値以下であると判定したときにアクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。
【0238】
ドラム駆動機構400は、アーム部材3のガイドレール35を回動させて、保持部材4を上昇又は下降させる動力を発生させる。ドラム駆動機構400は、充電式のバッテリ9から供給される電力によって駆動する。ドラム駆動機構400は、アクチュエータ141と、ギヤユニット142と、ドラム143と、アクチュエータ141を冷却する冷却ファン414と、ハウジング149とを有する。アクチュエータ141とギヤユニット142とドラム143とは、回転軸AX3を中心に回転可能である。
【0239】
アクチュエータ141は、作業補助具1の駆動源である。アクチュエータ141は、バッテリ9から供給される電力によって駆動する。アクチュエータ141の回転力は、ギヤユニット142を介して伝達される。アクチュエータ141の回転軸AX3は、X軸と平行である。アクチュエータ141は、ブラシレスモータである。アクチュエータ141は、インナーロータである。アクチュエータ141は、図示しないリード線を介して、制御装置11に接続される。アクチュエータ141は、制御装置11からの制御信号によって駆動と停止とが制御される。より詳しくは、アクチュエータ141は、円筒状のステータ411と、ステータ411の内側に配置されたロータ412と、モータ軸413とを有する。ロータ412は、回転軸AX3を中心に回転する。ロータ412の回転軸は、モータ軸413である。モータ軸413は、一方の端部がモータ軸受421に回転可能に支持される。
【0240】
ギヤユニット142は、減速機構である。ギヤユニット142は、アクチュエータ141の回転力を減速してスピンドル424に伝達可能に出力する。ギヤユニット142は、モータ軸受421と、第1遊星歯車機構422と、第2遊星歯車機構423と、スピンドル424と、スピンドル軸受425と、ギヤカバー429とを有する。
【0241】
モータ軸受421は、モータ軸413を回転可能に支持する。モータ軸受421は、アクチュエータ141のステータ411とロータ412とより左側で、ギヤユニット142の右側に配置される。
【0242】
第1遊星歯車機構422は、少なくとも一部がモータ軸413上に配置される。第1遊星歯車機構422は、回転軸AX3を中心に回転する。第1遊星歯車機構422は、モータ軸受421の左側に配置される。第1遊星歯車機構422は、アクチュエータ141の回転力を減速して第2遊星歯車機構423に伝達する。
【0243】
第1遊星歯車機構422は、出力軸4221と、連結軸4222とを有する。出力軸4221の左側の端部は、連結軸4222の右側の端部に嵌合される。出力軸4221と連結軸4222とは、回転軸AX3を中心に一体として回転する。連結軸4222の左側の端部は、第2遊星歯車機構423に嵌合される。第1遊星歯車機構422は、出力軸4221と連結軸4222とを介して、第2遊星歯車機構423に回転力を伝達する。
【0244】
第1遊星歯車機構422は、リング状の内歯ギヤ4223と、内歯ギヤ4223と噛み合う複数の遊星ギヤ4224と、遊星ギヤ4224の軸である複数のピン4225とを有する。内歯ギヤ4223は、ギヤカバー429内に回転が規制された状態で配置される。複数の遊星ギヤ4224は、内歯ギヤ4223の内側に配置される。遊星ギヤ4224は、ピン4225を軸として回転可能である。このような構成の第2遊星歯車機構423は、複数段配置されていてもよい。
【0245】
第2遊星歯車機構423は、少なくとも一部が連結軸4222上に配置される。第2遊星歯車機構423は、回転軸AX3を中心に回転する。第2遊星歯車機構423の回転軸AX3は、連結軸4222である。第2遊星歯車機構423は、第1遊星歯車機構422の左側に配置される。第2遊星歯車機構423は、第1遊星歯車機構422から伝達されたアクチュエータ141の回転力を減速して、スピンドル424に伝達可能である。
【0246】
第2遊星歯車機構423は、リング状の内歯ギヤ4231と、内歯ギヤ4231と噛み合う複数の遊星ギヤ4232とを有する。内歯ギヤ4231は、後述するソレノイド機構500によって回転がロックされたりロックが解除されたりする。内歯ギヤ4231は回転がロックされると、アクチュエータ141からの出力が第1遊星歯車機構422を介してスピンドル424に伝わる。内歯ギヤ4231は回転のロックが解除されると、空転する。複数の遊星ギヤ4232は、内歯ギヤ4231の内側に配置される。遊星ギヤ4232は、軸を中心に回転可能である。
【0247】
スピンドル424は、第1遊星歯車機構422と第2遊星歯車機構423とを介してモータ軸413と連結可能である。スピンドル424には、第1遊星歯車機構422と第2遊星歯車機構423とを介してアクチュエータ141の回転力が伝達可能である。スピンドル424は、アクチュエータ141から回転力が伝達されると、回転軸AX3を中心に回転する。スピンドル424は、伝達されたアクチュエータ141の回転力をドラム143に伝達する。
【0248】
スピンドル424は、円筒状の本体部4241と、本体部4241から右側に突出して円筒状に形成された大径部4242と、大径部4242から右側に突出して円盤状に形成された円盤状部4243と、本体部4241から左側に突出して円筒状に形成された小径部4244とを有する。本体部4241は、大径部4242より外径が小さい形状である。本体部4241は、小径部4244より外径が大きい形状である。本体部4241と大径部4242と円盤状部4243と小径部4244とは一体に形成されている。スピンドル424は、スピンドル軸受425とスピンドル軸受144とによって回転可能に支持される。
【0249】
スピンドル軸受425は、ドラム143より右側で、スピンドル424の円盤状部4243より左側に配置される。スピンドル軸受425は、大径部4242を回転可能に支持する。
【0250】
ギヤカバー429は、左右の端部が開口した筒状に形成されている。ギヤカバー429は、ギヤユニット142を内部に収容する。より詳しくは、ギヤカバー429は、モータ軸受421と第1遊星歯車機構422と第2遊星歯車機構423とスピンドル424の一部とスピンドル軸受425とを内部に収容する。ギヤカバー429は、右側の開口にモータ軸413が挿通される。ギヤカバー429は、左側の開口からスピンドル424の一部が突出する。
【0251】
ドラム143は、ギヤユニット142の左側に配置される。ドラム143は、スピンドル424を介してギヤユニット142に連結される。ドラム143は、回転軸AX3を中心に回転する。ドラム143の回転軸は、スピンドル424である。ドラム143は、アクチュエータ141が回転して、ギヤユニット142を介して回転力が伝達されると回転する。
【0252】
ドラム143は、円筒状に形成されている。ドラム143は、第1ワイヤ711が巻き付けられる本体部431と、本体部431の右側に突出して円盤状に形成された円盤状部432と、本体部431の左側に突出して円盤状に形成された円盤状部433とを有する。本体部431と円盤状部432と円盤状部433とは一体に形成されている。本体部431は、円盤状部432および円盤状部433より外径が小さい形状である。
【0253】
スピンドル軸受144は、ドラム143より左側に配置される。スピンドル軸受144は、スピンドル424の小径部4244を回転可能に支持する。
【0254】
冷却ファン414は、アクチュエータ141の回転時、冷却風を発生させて、アクチュエータ141の発熱を抑制する。
【0255】
ハウジング149は、アクチュエータ141とギヤユニット142とドラム143とスピンドル軸受144とを収容する箱型に形成されている。ハウジング149は、さらに、スピンドルロック機構600(一方向回転保持機構)を収容する。ハウジング149は、第2ハウジング292に固定される。ハウジング149は、基部293に取り付けられ、第3フレーム23Bに載置されて固定される。また、ハウジング149は、基部293を介さずに、第3フレーム23Bに直接載置されてもよい。
【0256】
次に、
図19から
図25を参照して、ソレノイド機構500及びスピンドルロック機構600について説明する。
図20は、本実施形態に係るソレノイド機構500を示す断面図であり、
図19のD−D線断面図に相当する。
図21は、本実施形態に係るソレノイド機構500を示す平面図である。
図22は、本実施形態に係るソレノイド機構500を示す断面図であり、
図21のF−F線断面図に相当する。
図23は、本実施形態に係るソレノイド機構500を示す断面図であり、
図22のG1−G1線断面図に相当する。
図24は、本実施形態に係るソレノイド機構500を示す断面図であり、
図21のF−F線断面図に相当する。
図25は、本実施形態に係るソレノイド機構500を示す断面図であり、
図24のG2−G2線断面図に相当する。
【0257】
ソレノイド機構500は、ギヤユニット142の第2遊星歯車機構423の内歯ギヤ4231の回転をロックしたり、ロックを解除したりする。ソレノイド機構500は、ギヤユニット142が噛み合い、アクチュエータ141の動力を出力側に伝達可能な状態と、ギヤユニット142が噛み合っておらず、アクチュエータ141の動力を出力側に伝達しない状態とを切り換える。ソレノイド機構500は、ソレノイド501と、プランジャ502と、ソレノイドレバー503と、ストッパ504と、ソレノイド検出装置505とを有する。
【0258】
ソレノイド501は、バッテリ9から供給される電力によって駆動する電磁ソレノイドである。ソレノイド501は、作業補助具1がアシスト状態のとき、または、姿勢維持状態のとき、電力が供給され駆動する。ソレノイド501は、駆動時にプランジャ502に対する吸着力を生じる。ソレノイド501は、作業補助具1が腕解放状態のとき、電力の供給が停止されて駆動を停止する。
【0259】
プランジャ502は、磁性を有する金属材で棒状に形成されている。プランジャ502は、ソレノイド501の内部に進退可能に配置される。プランジャ502は、ソレノイド501の駆動と停止とに連動して進退する。より詳しくは、プランジャ502は、ソレノイド501の駆動時、ソレノイド501の吸着力によって上側に移動する。プランジャ502は、ソレノイド501の停止時、ソレノイド501の吸着力が作用しなくなるので自重とバネ506とによって下側に移動する。
【0260】
ソレノイドレバー503は、プランジャ502の進退に連動して可動する。ソレノイドレバー503は、ストッパ504を上下動する。ソレノイドレバー503は、棒状材で形成されている。ソレノイドレバー503は、一方の端部がプランジャ502の下部に連結される。ソレノイドレバー503は、他方の端部がストッパ504の上部に連結される。ソレノイドレバー503は、中間部がギヤカバー429に連結される。
【0261】
図22及び
図23に示すように、ソレノイドレバー503は、プランジャ502が下側に移動すると、他方の端部が上側に移動して、ストッパ504を持ち上げる。
図24及び
図25に示すように、ソレノイドレバー503は、プランジャ502が上側に移動すると、他方の端部が下側に移動して、ストッパ504を押し下げる。
【0262】
ストッパ504は、内歯ギヤ4231の溝部4231aに進退可能である。これにより、ストッパ504は、内歯ギヤ4231の回転をロックしたりロックを解除したりする。
図24及び
図25に示すように、ストッパ504は、ソレノイド501が駆動すると、ソレノイドレバー503によって押し下げられる。ストッパ504は、溝部4231aに進入してピン4233に接触する。ストッパ504がピン4233に接触すると、内歯ギヤ4231の回転をロックする。
【0263】
図22及び
図23に示すように、ストッパ504は、ソレノイド501が停止すると、ソレノイドレバー503によって持ち上げられる。このとき、ストッパ504に作用する力について詳しく説明する。
図24及び
図25に示すように、ソレノイド501が停止した直後は、ストッパ504は、溝部4231aに進入してピン4233に接触した状態である。この状態において、内歯ギヤ4231にかかるトルクは、ピン4233と、ギヤカバー429内に配置されたピン4291とを介して、ストッパ504が受けている。これにより、ストッパ504とピン4233、ストッパ504とピン4291の転がり摩擦によって、ストッパ504は、小さな力で持ち上がる。このようにして、
図22及び
図23に示すように、ストッパ504が、溝部4231aに配置されたピン4233から離間する。ストッパ504がピン4233から離間すると、内歯ギヤ4231は、回転のロックが解除されて空転する。
【0264】
ソレノイド検出装置505は、ストッパ504の状態を検出する。ソレノイド検出装置505は、制御装置11からの制御信号と、検出したストッパ504の状態とを比較して、一致していないと、エラー信号を制御装置11に出力する。エラー信号は、作業補助具1と電動工具KDとを停止する指令信号である。
【0265】
このように構成されたソレノイド機構500は、ドラム駆動機構400のギヤユニット142の第2遊星歯車機構423とスピンドル424との間で、動力を伝達するか否かを切り換える。ソレノイド機構500は、ソレノイド501の駆動時、第2遊星歯車機構423とスピンドル424との間で、回転力の伝達を可能にする。ソレノイド機構500は、ソレノイド501の停止時、第2遊星歯車機構423とスピンドル424との間で、回転力の伝達を切り離す。
【0266】
より詳しくは、ソレノイド機構500は、ソレノイド501の駆動時、ストッパ504が内歯ギヤ4231の溝部4231aに進入することで、内歯ギヤ4231の回転をロックする。この状態は、いわゆるギヤが噛み合った状態である。アクチュエータ141側から回転力が伝達されると、遊星ギヤ4232を介して、スピンドル424が回転する。これにより、アクチュエータ141の回転力は、遊星ギヤ4232からスピンドル424に伝達される。
【0267】
また、ソレノイド機構500は、ソレノイド501の停止時、ストッパ504が内歯ギヤ4231の溝部4231aから離間することで、内歯ギヤ4231のロックを解除する。ロックが解除された状態のとき、内歯ギヤ4231は、空転する。より詳しくは、スピンドル424側から回転力が伝達されると、遊星ギヤ4232が回転するとともに、内歯ギヤ4231が空転する。これにより、スピンドル424側からの回転力は、遊星ギヤ4232よりアクチュエータ141側に伝達されない。
【0268】
スピンドルロック機構600は、一方向クラッチである。スピンドルロック機構600は、保持部材4を上昇した状態で保持するとともに、スプリング部材721への力の蓄積を可能にする。スピンドルロック機構600は、第1遊星歯車機構422の出力軸4221の左側の端部と連結軸4222の右側の端部との連結部である。スピンドルロック機構600は、第2遊星歯車機構423より右側に配置されている。スピンドルロック機構600は、アクチュエータ141からスピンドル424へは回転力を伝達する。スピンドルロック機構600は、スピンドル424からアクチュエータ141へは回転力の伝達を規制する。
【0269】
スピンドルロック機構600は、ソレノイド機構500の駆動と停止とによって、有効と無効とが切り換わる。より詳しくは、スピンドルロック機構600は、ソレノイド501の駆動時は、内歯ギヤ4231の回転がロックされるので、有効になる。スピンドルロック機構600が有効であるとき、保持部材4が上昇した状態で保持するとともに、スプリング部材への力の蓄積を可能にする。スピンドルロック機構600は、ソレノイド501の停止時は、内歯ギヤ4231が空転するので、無効になる。
【0270】
次に、
図18及び
図26から
図31を参照して、アーム駆動機構700について説明する。
図26は、本実施形態に係るアーム駆動機構700の一部を示す断面図である。
図27は、本実施形態に係るアーム駆動機構700を示す正面図である。
図28は、本実施形態に係るアーム駆動機構700を示す断面図であり、
図27のH−H線断面図に相当する。
図29は、本実施形態に係るアーム駆動機構700の断面図である。
図30は、本実施形態に係るアーム駆動機構700の断面図である。
図31は、本実施形態に係るアーム駆動機構700の断面図である。
図29及び
図30は、
図31のI−I線断面図に相当する。
図31は、
図29のJ−J線断面図に相当する。
【0271】
アーム駆動機構700は、アーム部材3を上下動させ、作業者WMの腕を押し付ける力を作用させるための機構である。アーム駆動機構700は、ワイヤ710と、スプリング720と、スライドボリューム730と、プーリ740とを有する。
【0272】
ワイヤ710は、アーム部材3を上下動させる。ワイヤ710は、第1ワイヤ711と、第2ワイヤ712と、ワイヤケース719とを有する。
【0273】
第1ワイヤ711は、一方の端部がドラム143に固定される。第1ワイヤ711は、ドラム143の回転に連動して、ドラム143によって巻き取り可能である。第1ワイヤ711は、他方の端部がスプリング720の第2キャップ723に固定される。
【0274】
第2ワイヤ712は、一方の端部がスプリング720のストッパ726に固定される。第2ワイヤ712は、他方の端部がプーリ740の内部に配置される。第2ワイヤ712の他方の端部は、プーリ740の内部から進退可能である。第2ワイヤ712は、先端部にリング712aが配置されている。リング712aは、第2ワイヤ712の先端部がプーリ740から抜け出ることを規制する。
【0275】
ワイヤケース719は、筒状に形成されている。ワイヤケース719は、可撓性を有する。ワイヤケース719は、第2ワイヤ712を収容する。ワイヤケース719は、第2ワイヤ712を保護する。ワイヤケース719は、一方の端部がスプリングケース729の上部に配置される。ワイヤケース719は、他方の端部がプーリ740に接続される。
【0276】
スプリング720は、スピンドルロック機構600とともに、保持部材4に対して上方に押し付ける力を作用させた状態を保持するように機能する。スプリング720の圧縮状態において、スピンドルロック機構600が有効であり、第2ワイヤ712をドラム143側に引っ張る引張力が作用した状態が保持されて、保持部材4には、上方に押し付ける力が継続して作用する。スプリング720は、スプリング部材721と、第1キャップ722と、第2キャップ723と、第3キャップ724と、弾性部材725と、ストッパ726と、スプリングケース729とを有する。
【0277】
スプリング部材721は、圧縮バネである。スプリング部材721は、伸縮可能である。スプリング部材721は、スプリングケース729の内部に収容される。スプリング部材721は、一方の端部が第1キャップ722に固定される。スプリング部材721は、一方の端部が固定端である。スプリング部材721は、Z軸方向と平行に配置される。スプリング部材721は、他方の端部が第2キャップ723に固定される。スプリング部材721は、他方の端部が自由端である。スプリング部材721は、軸方向と平行に第1ワイヤ711が進退可能に挿通される。スプリング部材721は、ソレノイド501の駆動時、第1ワイヤ711がドラム143に巻き取りされると、圧縮される。スプリング部材721は、ソレノイド501の停止時、伸長する。
【0278】
第1キャップ722は、スプリング部材721の一方の端部が固定される。第1キャップ722は、スプリングケース729の一方の端部の開口に固定される。第1キャップ722は、両端部が開口した筒状である。第1キャップ722は、開口を介して軸方向と平行に第1ワイヤ711が進退可能に挿通される。
【0279】
第2キャップ723は、スプリングケース729の他方の端部の開口に固定される。第2キャップ723は、キャップ部材7231とキャップ部材7232とキャップ部材7233がと一体に組み付けられ形成される。キャップ部材7231は、両端部が開口した筒状に形成されている。キャップ部材7231は、スプリング部材721の他方の端部が固定される。キャップ部材7231は、開口を介して軸方向と平行に第1ワイヤ711が進退可能に挿通される。キャップ部材7232は、両端部が開口した筒状に形成されている。キャップ部材7232は、キャップ部材7231の上側に組み付けられる。キャップ部材7232は、開口を介して挿通された第1ワイヤ711がスプリング部材721側に抜け出ないように固定する。キャップ部材7233は、一方の端部が開口した筒状に形成されている。キャップ部材7233は、キャップ部材7232の上側に組み付けられる。
【0280】
このように構成された第2キャップ723は、スプリング部材721の伸縮に連動して、スプリングケース729の内部で一体で上下動する。
【0281】
第3キャップ724は、スプリングケース729の他方の端部の開口に固定される。第3キャップ724は、両端部が開口した筒状である。第3キャップ724は、開口を介して軸方向と平行に第2ワイヤ712が進退可能に挿通される。第3キャップ724は、弾性部材725の上側に配置される。
【0282】
弾性部材725は、例えば、ゴムなどの弾性体である。弾性部材725は、第2キャップ723の上側で第3キャップ724の下側に配置される。弾性部材725は、第2キャップ723が上方に移動したとき、緩衝材として作用する。
【0283】
ストッパ726は、スプリングケース729の他方の端部の開口に固定される。ストッパ726は、両端部が開口した筒状である。ストッパ726は、開口を介して軸方向と平行に第2ワイヤ712が進退可能に挿通される。ストッパ726は、開口を介して挿通された第2ワイヤ712がスプリングケース729から抜け出ないように固定する。ストッパ726は、第3キャップ724の上側に配置される。
【0284】
スプリングケース729は、両端が開口した筒状である。スプリングケース729は、内部にスプリング部材721と第1キャップ722と第2キャップ723と第3キャップ724と弾性部材725とストッパ726とを収容する。スプリングケース729は、一方の端部の開口を介して、第1ワイヤ711が進退可能に挿通される。スプリングケース729は、他方の端部の開口を介して、第2ワイヤ712が進退可能に挿通される。
【0285】
このようなスプリングケース729は、第1ハウジング291の内部に移動可能に配置されている。スプリングケース729は、第1ハウジング291の内部を上下動する。スプリングケース729の第1ハウジング291の内部における停止位置は、アクチュエータ141の出力と、スプリング部材721の弾性係数と、電動工具KDに作用する反力とによって定まる。
【0286】
スライドボリューム730は、スプリング部材721が蓄えた圧縮力を検出する。スライドボリューム730は、スプリング部材721の長さを検出するスプリングセンサである。スライドボリューム730は、スプリングケース729に固定される。スライドボリューム730は、可動部材731と、ガイド部材732と、ケース739とを有する。スライドボリューム730は、補助具操作装置800のアシスト力調整ダイヤル813(
図33)において設定されたアシスト力に応じた設定値まで、スプリング部材721の圧縮を許容する。
【0287】
可動部材731は、スプリング部材721の伸縮に連動して可動する。可動部材731は、スプリング部材721の上端部の位置を示す。可動部材731は、キャップ部材7231とキャップ部材7232との間に一方の端部が配置される。これにより、可動部材731は、スプリング部材721の伸縮に連動して、第2キャップ723に連動して可動する。可動部材731は、ガイド部材732によってガイドされて移動する。可動部材731の移動量は、図示しない検出部によって検出されて、制御装置11に出力される。可動部材731の移動量は、スプリング部材721が蓄えた圧縮力に対応する。
【0288】
ガイド部材732は、可動部材731の移動をガイドする。ガイド部材732は、ケース739にスプリングの伸縮方向と平行に延在する。ガイド部材732は、スプリング部材721が伸縮可能な範囲に合わせた長さを有する。
【0289】
ケース739は、スプリングケース729の上部に固定される。
【0290】
プーリ740について説明する。プーリ740は、第2ワイヤ712が連結されている。また、プーリ740には、ガイドレール35が連結されている。プーリ740は、腕側基部741および肩側基部742で形成された基部743と、アーム軸744とを有する。
【0291】
腕側基部741は、腕部34が配置される。腕側基部741は、可動部7411を有する。可動部7411は、腕側基部741に重ね合わされている。可動部7411は、アーム軸744を中心に腕側基部741に対して回動可能に配置されている。可動部7411は、円形状に形成されている。可動部7411は、ガイドレール35がアーム軸744を中心に回動可能に配置される。可動部7411は、区画壁7431が固定されている。
【0292】
肩側基部742は、腕側基部741と対面して配置される。肩側基部742は、腕側基部741に対応した形状に形成されている。肩側基部742は、腕側基部741と対面した状態で一体に組み付けられる。
【0293】
基部743は、腕側基部741と肩側基部742とを一体に組み付けて形成される。基部743は、腕側基部741と肩側基部742とによって外形が規定される箱型に形成される。基部743の内部の空間は、区画壁7431によって複数の空間に区画される。本実施形態では、基部743の内部の空間は、区画壁7431によって少なくともスペース7432とスペース7433とに区画される。また、基部743は、第2ワイヤ712が進退可能な進退口7434を有する。
【0294】
図28を参照してスペース7432とスペース7433とについて説明する。スペース7432とスペース7433とは、渦状の区画壁7431によって区画される。スペース7432は、進退口7434と連通している。スペース7432は、進退口7434から基部743の外周にそって形成されている。スペース7432は、基部743の周方向に半分程度の長さを有する。スペース7433は、開口7435を介してスペース7432と連通している。スペース7433は、アーム軸744の回りに渦状に形成されている。開口7435は、第2ワイヤ712の先端部に配置されたリング712aより小さい。開口7435は、第2ワイヤ712の余長部分が進退可能である。開口7435は、リング712aがスペース7432側に移動することを規制する。
【0295】
図29を参照してストッパ7436について説明する。ストッパ7436は、基部743の内部の空間に配置される。ストッパ7436は、第2ワイヤ712が引っ張られると、腕部34の連結部323の外周と当接して、プーリ740の回転を規制する。ストッパ7436は、プーリ740が過大に回動して、保持部材4が過大に上昇することを規制する。
【0296】
図31を参照して、アーム軸744について説明する。アーム軸744は、基部743に腕部34を回転可能に支持する。アーム軸744は、回転軸AX4を中心に回転する。
【0297】
[動力機構の動作]
次に、動力機構1000の動作について説明する。
図32は、本実施形態に係る動力機構1000の動作を示す模式図である。
【0298】
電動工具KDを用いる作業を開始するために、作業補助具1を装着した作業者WMは、トリガスイッチ100Aを操作して電動工具KDのモータ210を駆動させる。電動工具KDの作業が開始されることにより、ソレノイド501に電力が供給される。ソレノイド501に電力が供給され、ソレノイド501が駆動されることにより、
図32(A)に示すように、スピンドルロック機構600が有効な状態となる。
【0299】
また、電動工具KDの作業が開始されることにより、スピンドルロック機構600が有効な状態で、アクチュエータ141に電力が供給される。アクチュエータ141に電力が供給されることにより、アクチュエータ141は起動する。アクチュエータ141が発生した動力は、ドラム駆動機構400を介してアーム駆動機構700に伝達される。これにより、
図32(B)に示すように、第1ワイヤ711がドラム143に巻き取りされる。第1ワイヤ711の撓みが解消されると、第2ワイヤ712がスプリング720を介して下方に引っ張られ、第2ワイヤ712の撓みが解消される。第2ワイヤ712の撓みが解消された状態で、更にアクチュエータ141が作動すると、第2ワイヤ712のリング712aが区画壁7431に接触し、区画壁7431がリング712aを介して第2ワイヤ712に引っ張られ、可動部7411が回動する。これにより、ガイドレール35は、ガイドレール35の先端部が上方に旋回するように回動する。
【0300】
図32(C)に示すように、アクチュエータ141の作動により、ガイドレール35が更に上方に旋回し、作業者WMの腕に支持されている電動工具KDの先端工具が天井面に接触すると、電動工具KDが上方に移動することが天井面によって阻止される。これにより、ガイドレール35の回動が抑制される。ガイドレール35の回動が抑制されている状態で、アクチュエータ141が駆動し続けると、第1ワイヤ711によって第2キャップ723が下方に引っ張られる。これにより、
図32(C)に示すように、スプリング部材721が圧縮される。スプリング部材721が圧縮されることにより、スプリング部材721の弾性力は大きくなる。
【0301】
本実施形態において、スプリング部材721が十分に圧縮され、スプリング部材721の弾性力が増大すると、アクチュエータ141の作動が停止される。すなわち、
図32(D)に示すように、制御装置11は、電動工具KDのモータ210が作動しているときに、スライドボリューム730の検出値と、既知であるスプリング部材721の弾性係数とに基づいて、スプリング部材721の弾性力が第1閾値以上であると判定したときに、アクチュエータ141を停止させる停止信号を出力する。つまり、
図32(D)に示すように、制御装置11は、電動工具KDのモータ210が作動している状態で、アクチュエータ141の作動によりスプリング部材721が十分に圧縮されたと判定したとき、アクチュエータ141を停止させる。
【0302】
アクチュエータ141が停止しても、スプリング部材721は十分に圧縮しているため、スプリング部材721は、ガイドレール35の先端部を上方に移動させる力を発揮し続ける。これにより、アクチュエータ141が停止しても、作業者WMの筋力は補助され続ける。
【0303】
電動工具KDのモータ210が駆動しているとき、ソレノイド501に電力が供給され続ける。すなわち、スピンドルロック機構600は、有効な状態を維持する。したがって、電動工具KDのモータ210が駆動しているときにおいて、ガイドレール35からアクチュエータ141に力が伝達されない。
【0304】
アクチュエータ141が停止しても、電動工具KDのモータ210が作動している状態で、スプリング部材721の力により電動工具KDが上方に押し上げられることにより、
図32(E)に示すように、電動工具KDによる天井面の加工は進行する。加工の進行に伴って、電動工具KD及びガイドレール35は、徐々に上方に移動する。これにより、スプリング部材721は、徐々に伸長する。
【0305】
本実施形態においては、スプリング部材721が伸長し、スプリング部材721の弾性力が減少すると、アクチュエータ141が起動(再起動)する。すなわち、
図32(F)に示すように、制御装置11は、電動工具KDのモータ210が作動しているときに、スライドボリューム730の検出値と、既知であるスプリング部材721の弾性係数とに基づいて、スプリング部材721の弾性力が第2閾値以下であると判定したときに、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。つまり、
図32(F)に示すように、制御装置11は、電動工具KDのモータ210が作動している状態で、弾性力が徐々に解放され、スプリング部材721が伸長したと判定したとき、アクチュエータ141を起動させる。
【0306】
このように、本実施形態においては、アクチュエータ141の駆動によりスプリング部材721が圧縮して、スプリング部材721の弾性力(ガイドレール35を上方に押し上げるアシスト力)が十分に増大したとき、アクチュエータ141の作動が停止される。また、電動工具KDによる天井面の加工が進行して、電動工具KD及びガイドレール35が徐々に上昇してスプリング部材721が徐々に伸長して、スプリング部材721の弾性力が減少したとき、アクチュエータ141が再起動される。これにより、アクチュエータ141を常に駆動しなくても、スプリング部材721の弾性力によりアシスト力が得られる。したがって、バッテリ9の消費電力を抑制することができる。
【0307】
電動工具KDを用いる作業が終了すると、作業補助具1を装着した作業者WMは、トリガスイッチ100Aの操作を解除する。トリガスイッチ100Aの操作が解除されることにより、電動工具KDのモータ210が停止する。
【0308】
本実施形態においては、電動工具KDを用いる作業が終了すると、制御装置11は、ソレノイド501に対する電力の供給を停止する。すなわち、電動工具KDを用いる作業が終了すると、制御装置11は、ソレノイド501の駆動を停止する。ソレノイド501の駆動が停止されることにより、ストッパ504が溝部4231aから退去し、
図32(G)に示すように、スピンドルロック機構600が無効な状態となる。すなわち、ソレノイド機構500は、電動工具KDのモータ210が停止しているときに、スピンドルロック機構600を無効な状態にして、ドラム駆動機構400において力の伝達を切り離す。
【0309】
スピンドルロック機構600が無効な状態になると、内歯ギヤ4231のロックが解放されることによって、内歯ギヤ4231が回転可能となり、スプリング部材721に蓄積された力が内歯ギヤ4231の空転となって解放され、その結果、動力機構1000による補助が解放されることにより、ガイドレール35は自由に回転可能になる。
【0310】
[補助操作装置]
次に、補助具操作装置800について説明する。
図33は、本実施形態に係る補助具操作装置800の一例を示す図である。補助具操作装置800は、作業補助具1の起動及び停止を含む動作状態を変更するため複数の操作部材と、照明LED(Light Emitting Diode)814と、動作状態を表示する表示部815とを有する。
【0311】
表示部815は、例えば作業補助具1における各種の異常(エラー)を表示する機能、ドラム駆動機構400のギヤの状態を表示する機能、及び作業補助具1がアシスト力を出力しているか否かを表示する機能を有する。表示部815は、制御装置11から出力される表示データを表示する。
【0312】
補助具操作装置800の操作部材は、連動モード選択スイッチ811、速度調整ダイヤル812、アシスト力調整ダイヤル813と、腕上げスイッチ818と、解放スイッチ819と、照明LEDスイッチ820と、ブザー821とを含む。
【0313】
連動モード選択スイッチ811は、作業補助具1を電動工具KDに連動して作動させるか否かを切り換える操作部材である。連動モード選択スイッチ811は、ロッカースイッチ含む。連動モード選択スイッチ811は、作業補助具1を電動工具KDに連動させる連動モードと、連動を解除する連動解除モードとを切り換える。連動モード選択スイッチ811が操作されることにより生成された操作信号は、制御装置11に出力される。
【0314】
速度調整ダイヤル812は、アーム部材3の移動速度を調整する操作部材である。アーム部材3の移動速度は、アクチュエータ141の回転速度によって規定される。速度調整ダイヤル812が操作されることにより、アクチュエータ141の回転速度が調整される。速度調整ダイヤル812が操作されることにより生成された操作信号は、制御装置11に出力される。
【0315】
アシスト力調整ダイヤル813は、アーム部材3によるアシスト力を調整する操作部材である。アシスト力とは、電動工具KDを支持した作業者WMの腕を上方に押し上げる力をいう。電動工具KDがハンマードリルであり、腕を上げたままにした状態で電動工具KDを天井面に押し付ける作業を実施する場合、アシスト力は、電動工具KDの先端工具を天井面に押し付ける押付力を含む。アシスト力調整ダイヤル813の操作により、
図32を参照して説明したような、スプリング部材721の弾性力に基づいてアクチュエータ141の作動及び作動停止を切り換えるときの閾値(第1閾値及び第2閾値)が調整される。
【0316】
例えば、アシスト力を大きくする場合、第1閾値が小さくなるように、アシスト力調整ダイヤル813が調整される。これにより、アクチュエータ141は、アクチュエータ141の停止後においてスプリング部材721が大きなアシスト力(弾性力)を発揮できるように、スプリング部材721を十分に圧縮することができる。また、アシスト力を大きくする場合、第2閾値も小さくなるように、アシスト力調整ダイヤル813が調整されてもよい。これにより、アクチュエータ141が停止している状態において、スプリング部材721が僅かに伸長しただけで、アクチュエータ141が再起動される。これにより、大きなアシスト力が違和感なく得られる。また、第1閾値を大きくしたり、第2閾値を大きくしたりすることにより、アクチュエータ141が駆動する期間が短縮されるため、バッテリ9の消費電力を抑制することができる。
【0317】
腕上げスイッチ818は、ガイドレール35の先端部を上方に移動させる操作部材である。腕上げスイッチ818が操作されることにより生成された操作信号は、制御装置11に出力される。ソレノイド501及びアクチュエータ141が停止している状態で、腕上げスイッチ818が操作されると、制御装置11は、腕上げスイッチ818が操作されることにより生成された操作信号に基づいて信号が出力され続けている間は、ソレノイド501を駆動する制御信号を出力してスピンドルロック機構600を有効な状態にするとともに、アクチュエータ141を起動させる制御信号(起動信号)を出力する。
【0318】
また、腕上げスイッチ818を一度押した後に、指を腕上げスイッチ818から放すと、アクチュエータ141は停止するが、ソレノイド501は駆動したままとなり、その姿勢維持を補助することができる。
【0319】
解放スイッチ819は、ガイドレール35のアシスト力を解放させる操作部材である。解放スイッチ819が操作されることにより生成された操作信号は、制御装置11に出力される。ソレノイド501及びアクチュエータ141が駆動している状態で、解放スイッチ819が操作されると、制御装置11は、アクチュエータ141を停止させる制御信号(停止信号)を出力するとともに、ソレノイド501を停止させる制御信号を出力してスピンドルロック機構600を無効な状態にする。
【0320】
照明LEDスイッチ820は、照明LED814の点灯と消灯とを切り換える操作部座である。照明LEDスイッチ820が操作されることにより生成された操作信号は、制御装置11に出力される。制御装置11は、照明LED814の点灯と消灯とを切り換える制御信号を照明LED814に出力する。
【0321】
ブザー821は、作業補助具1に異常が発生したときに、警報音を出力する出力装置である。ブザー821は、制御装置11からの制御信号に基づいて音声を出力する。
【0322】
補助具操作装置800は、作業補助具1に設けられる。なお、補助具操作装置800は、作業補助具1から離れた位置に配置されてもよい。補助具操作装置800は、作業補助具1を遠隔操作してもよい。
【0323】
[電動工具及び作業補助具]
図34は、本実施形態に係る電動工具KD及び作業補助具1を示す図である。上述の実施形態と同様、本実施形態においても、制御装置11は、電動工具KDの作業開始に係る作業開始信号に基づいて、アクチュエータ141を制御する。
【0324】
本実施形態において、作業開始信号は、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号を含む。バッテリ9から電動工具KDに電力が供給されているか否かを検出する電力検出装置905が設けられる。電力検出装置905は、バッテリ9から電動工具KDに電力の供給が開始されたことを検出することができる。制御装置11は、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す電力検出装置905の検出信号に基づいて、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。電動工具KDは、電流が供給されることにより作業を開始する。制御装置11は、電動工具KDの作業開始と連動して、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。
【0325】
また、制御装置11は、電動工具KDの作業終了に係る作業終了信号に基づいて、アクチュエータ141を制御する制御信号を出力する。
【0326】
本実施形態において、作業終了信号は、電動工具KDに対する電力の供給が停止されたことを示す検出信号を含む。電力検出装置905は、バッテリ9から電動工具KDに対する電力の供給が停止されたことを検出することができる。制御装置11は、電動工具KDに対する電力の供給が停止されたことを示す電力検出装置905の検出信号に基づいて、アクチュエータ141を停止させる停止信号を出力する。電動工具KDは、電流の供給が停止されることにより作業を終了する。制御装置11は、電動工具KDの作業終了と連動して、アクチュエータ141を停止させる停止信号を出力する。
【0327】
図34に示すように、本実施形態において、電動工具KDにバッテリアダプタ900が接続される。バッテリアダプタ900は、電動工具KDのコネクタ10Dに装着される第1中継部材901と、バッテリ9が装着される第2中継部材902と、第1中継部材901と第2中継部材902とを接続するケーブル903とを有する。第2中継部材902は、ケーブル904を介して制御装置11に接続される。
【0328】
本実施形態において、電力検出装置905は、第2中継部材902に配置される。
【0329】
第2中継部材902に装着されたバッテリ9は、第2中継部材902、ケーブル903、及び第1中継部材901を介して電動工具KDに電力を供給する。バッテリ9から出力される電力は、電動工具KDのコネクタ10Dに装着される第1中継部材901を含むバッテリアダプタ900を介して、電動工具KDのモータ210に供給される。
【0330】
図35は、本実施形態に係るバッテリ9を示す斜視図である。
図36は、本実施形態に係る第1中継部材901を示す斜視図である。
図37は、本実施形態に係る第2中継部材902を示す斜視図である。
【0331】
バッテリ9は、電動工具KDの電源として機能する。バッテリ9は、複数のバッテリセルを有するリチウムイオンバッテリである。バッテリ9は、充電式バッテリである。バッテリ9は、充電器で充電可能である。
【0332】
バッテリ9は、隆起部9aと、バッテリ爪9bと、バッテリボタン9cと、一対のバッテリ端子9dと、一対のスライドレール9eとを有する。バッテリ端子9dは、一対のスライドレール9eの間に配置されている。一方のバッテリ端子9dは、正極端子である。他方のバッテリ端子9dは、負極端子である。
【0333】
バッテリ9は、第2中継部材902に着脱可能に装着される。バッテリ9を第2中継部材902に装着するとき、バッテリ9のバッテリ端子9dと第2中継部材902の装着面とが対向するように、バッテリ9を第2中継部材902にスライドさせる。バッテリ9がスライドすることによって、隆起部9aが第2中継部材902の少なくとも一部に接触する。バッテリ9のバッテリ端子9dと第2中継部材902の装着面とが対向すると、バッテリ爪9bは、第2中継部材902の装着凹部に挿入される。これにより、バッテリ9が第2中継部材902に装着される。
【0334】
バッテリ9が第2中継部材902に装着されると、バッテリ9のバッテリ端子9dと第2中継部材902の装着端子とが接続される。
【0335】
第2中継部材902からバッテリ9を外すとき、バッテリボタン9cが操作される。バッテリボタン9cが操作されることにより、バッテリ爪9bが第2中継部材902から外れ、第2中継部材902からバッテリ9が解放される。バッテリ9がスライドすることによって、第2中継部材902からバッテリ9が外される。
【0336】
第1中継部材901は、電動工具KDのコネクタ10Dに接続される。コネクタ10Dに接続される第1中継部材901の接続構造と、第2中継部材902に接続されるバッテリ9の接続構造とは、実質的に同一である。
【0337】
図36に示すように、第1中継部材901は、隆起部901aと、バッテリ爪901bと、バッテリボタン901cと、一対のバッテリ端子901dと、一対のスライドレール901eとを有する。バッテリ端子901dは、一対のスライドレール901eの間に配置されている。
【0338】
第1中継部材901の外形及び寸法とバッテリ9の外形及び寸法とは、実質的に同一である。第1中継部材901は、所謂ダミーバッテリである。
【0339】
第1中継部材901は、バッテリセルを有してなく、バッテリ9よりも軽量である。第1中継部材901は、電動工具KDの電源として機能せず、バッテリ9から出力された電力を電動工具KDに送る中継器として機能する。
【0340】
第2中継部材902は、バッテリ9に接続される。バッテリ9に接続される第2中継部材902の接続構造と、電動工具KDのコネクタ10Dの接続構造とは、実質的に同一である。
【0341】
図37に示すように、第2中継部材902は、ケース902aと、ケーブル903が接続される接続端子902bと、ケーブル904が接続される接続端子902cとを有する。接続端子902b及び接続端子902cは、ケース902aの少なくとも一部に設けられる。また、第2中継部材902は、バッテリ9から電動工具KDに電力が供給されているか否かを検出する電力検出装置905を有する。電力検出装置905は、ケース902aに収容される。
【0342】
また、第2中継部材902は、ケース902aに設けられるフック902dを有する。フック902dは、作業補助具1の腰ベルトHSbに掛けられる。
【0343】
第2中継部材902は、バッテリセルを有してなく、バッテリ9よりも軽量である。電動工具KDの電源として機能せず、バッテリ9から出力された電力を電動工具KDに送る中継器として機能する。
【0344】
ケーブル903は、第2中継部材902と第1中継部材901とを通電可能に接続する。ケーブル903の一端部は、第1中継部材901に接続される。ケーブル903の他端部は、第2中継部材902に接続される。バッテリ9は、第2中継部材902、ケーブル903、及び第1中継部材901を介して、電動工具KDに電力を供給する。
【0345】
ケーブル904は、第2中継部材902と制御装置11とをデータ通信可能に接続する。制御装置11から出力された制御信号は、ケーブル904を介して第2中継部材902に出力される。また、電力検出装置905の検出信号は、ケーブル904を介して制御装置11に出力される。
【0346】
[ハードウエア構成]
図38は、本実施形態に係る作業補助具1及び電動工具KDのそれぞれのハードウエア構成を示すブロック図である。
図38に示すように、作業補助具1は、アクチュエータ141と、ソレノイド501と、ソレノイド検出装置505と、スライドボリューム730と、補助具操作装置800と、主電源操作装置85と、バッテリ9が装着されるコネクタ10と、制御装置11とを備える。制御装置11は、アクチュエータ141、ソレノイド501、ソレノイド検出装置505、スライドボリューム730、補助具操作装置800、主電源操作装置85、及びバッテリ9のそれぞれと接続される。
【0347】
主電源操作装置85は、主電源スイッチ851と、主電源LED852とを有する。主電源スイッチ851は、作業補助具1の主電源のオンとオフとを切り換えるために操作される。主電源LED852は、作業補助具1の主電源のオン又はオフに連動して点灯又は消灯する。主電源操作装置85は、作業補助具1に設けられる。なお、主電源操作装置85は、作業補助具1から離れた位置に配置されてもよい。主電源操作装置85は、作業補助具1の主電源を遠隔操作してもよい。
【0348】
制御装置11は、CPUのようなプロセッサを含む演算処理装置90と、作業補助具1に設けられている複数のアクチュエータを駆動するドライバ102とを有する。ドライバ102は、アクチュエータ141を駆動するためのアクチュエータドライバ103と、ソレノイド501を駆動するためのソレノイドドライバ104とを有する。
【0349】
アクチュエータドライバ103は、腕上げスイッチ818が操作されたとき、腕上げスイッチ818の操作信号に基づいて、アクチュエータ141を駆動する。
【0350】
また、アクチュエータドライバ103は、連動モードに設定されている状態で、電動工具KDのモータ210が駆動するとき、モータ210の駆動を示す駆動信号に基づいて、アクチュエータ141を駆動する。
【0351】
また、アクチュエータドライバ103は、
図32を参照して説明したように、スプリング部材721の弾性力が第2閾値以下になったとき、スライドボリューム730の検出信号に基づいて、アクチュエータ141を駆動する。
【0352】
また、アクチュエータドライバ103は、解放スイッチ819が操作されたとき、解放スイッチ819の操作信号に基づいて、アクチュエータ141を停止する。
【0353】
また、アクチュエータドライバ103は、連動モードに設定されている状態で、電動工具KDのモータ210が停止するとき、モータ210の駆動停止を示す駆動停止信号に基づいて、アクチュエータ141を停止する。
【0354】
また、アクチュエータドライバ103は、
図32を参照して説明したように、スプリング部材721の弾性力が第1閾値以上になったとき、スライドボリューム730の検出信号に基づいて、アクチュエータ141を停止する。
【0355】
また、アクチュエータドライバ103は、速度調整ダイヤル812が操作されたとき、速度調整ダイヤル812の操作信号に基づいて、アクチュエータ141の回転速度を制御する。
【0356】
また、アクチュエータドライバ103は、作業補助具1に異常が発生したとき、アクチュエータ141を停止する。アクチュエータドライバ103は、ソレノイド機構500のストッパ504の状態が異常であるとき、ソレノイド検出装置505の異常信号に基づいて、アクチュエータ141を停止する。
【0357】
ソレノイドドライバ104は、ソレノイド501を駆動して、スピンドルロック機構600の機能を有効な状態にする。
【0358】
ソレノイドドライバ104は、ソレノイド501の駆動を停止して、スピンドルロック機構600の機能を無効な状態にする。
【0359】
電動工具KDに装着される第1中継部材901と、バッテリ9が装着される第2中継部材902とは、ケーブル903を介して接続される。作業補助具1の制御装置11と第2中継部材902とは、ケーブル904を介して接続される。
【0360】
電動工具KDは、制御装置230と、モータ210と、作業者WMによって操作されるトリガスイッチ100Aとを有する。制御装置230は、CPUのようなプロセッサを含む演算処理装置200と、モータ210を駆動するためのモータドライバ220とを有する。
【0361】
バッテリ9は、第2中継部材902、ケーブル903、第1中継部材901、及び電動工具KDのそれぞれに設けられる電力ライン907を介して、電動工具KDに電力を供給する。バッテリ9は、直流電源(直流電源)である。本実施形態において、電力ライン907は、バッテリ9から電動工具KDに供給される電流が流れる電力ライン907Aと、電動工具KDからバッテリ9に戻る電流が流れる電力ライン907Bとを含む。トリガスイッチ100Aは、電動工具KDの電力ライン907Aに設けられる。電力検出装置905は、第2中継部材902の電力ライン907Bに設けられる。
【0362】
バッテリ9は、CPUのようなプロセッサを含む演算処理装置910を有する。第2中継部材902に装着されているバッテリ9の演算処理装置910は、第2中継部材902、ケーブル903、第1中継部材901、及び電動工具KDのそれぞれに設けられる通信ライン908を介して、電動工具KDの演算処理装置200との間で通信可能である。電動工具KDのモータ210を起動するとき、電動工具KDの演算処理装置200は、第2中継部材902に装着されているバッテリ9の演算処理装置910に、電力の供給を要求する要求信号を出力する。
【0363】
バッテリ9の演算処理装置910は、要求信号を受信した後、モータ210の起動を許可する第1許可信号を電動工具KDの演算処理装置200に出力する。電動工具KDの演算処理装置200は、第1許可信号を受信した後、モータ210の起動のためにモータドライバ220の指令を出力する。バッテリ9の演算処理装置910が要求信号を受信し、電動工具KDの演算処理装置200が第1許可信号を受信した後、バッテリ9から電動工具KDに電力が供給されることにより、モータ210が起動する。
【0364】
一方、例えば異常発熱のようなバッテリ9が異常な状態においては、バッテリ9の演算処理装置910は、要求信号を受信した後、モータ210の起動を禁止する第1禁止信号を電動工具KDの演算処理装置200に出力する。第1禁止信号が出力された場合、バッテリ9から電動工具KDに電力は供給されない。バッテリ9から電動工具KDに電力が供給されない場合、モータ210は起動しない。
【0365】
また、バッテリ9が正常な状態でも、通信ライン908が遮断され、バッテリ9の演算処理装置910から電動工具KDの演算処理装置200に第1許可信号が送信されない場合、演算処理装置200は、モータドライバ220がモータ210を駆動することを禁止するため、モータ210は起動しない。
【0366】
第2中継部材902は、バッテリ9から電動工具KDに電力が供給されているか否かを検出する電力検出装置905と、バッテリ9の演算処理装置910と電動工具KDの演算処理装置200との通信の接続及び遮断を実施可能な接続切換装置906とを有する。
【0367】
電力検出装置905の検出信号は、ケーブル904に設けられている通信ライン909Aを介して作業補助具1の制御装置11に出力される。接続切換装置906は、作業補助具1の制御装置11から出力された制御信号に基づいて作動する。制御装置11は、ケーブル904に設けられている通信ライン909Bを介して、接続切換装置906に制御信号を出力することができる。
【0368】
接続切換装置906は、第2中継部材902の通信ライン908に設けられる。接続切換装置906は、通信ライン908において通信が実施される状態と通信が遮断される状態とを切り換えるスイッチ装置を含む。通信ライン908が遮断されると、バッテリ9の演算処理装置910が第1許可信号を出力しても、バッテリ9の演算処理装置910から電動工具KDの演算処理装置200に第1許可信号は送信されない。したがって、通信ライン908が遮断されると、バッテリ9から電動工具KDに電力は供給されず、モータ210は起動しない。
【0369】
電力検出装置905は、バッテリ9から電動工具KDに電力の供給が開始されたことを検出することができる。制御装置11は、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す電力検出装置905の検出信号に基づいて、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。電動工具KDは、電流が供給されることにより作業を開始する。制御装置11は、電動工具KDの作業開始と連動して、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。
【0370】
本実施形態において、電力検出装置905は、バッテリ9から電動工具KDに供給される電流を検出する。バッテリ9から出力された電流は、第2中継部材902、ケーブル903、第1中継部材901、及び電動工具KDのそれぞれに設けられる電力ライン907を介して、電動工具KDに供給される。
【0371】
電力検出装置905は、電力ライン907Bに設けられるシャント抵抗器を含む。電力ライン907に電流が流れると、シャント抵抗器において電圧が変化する。電力検出装置905は、シャント抵抗器における電圧の変化量に基づいて、バッテリ9から電動工具KDに電流の供給が開始されたことを検出することができる。
【0372】
なお、電力検出装置905は、電力ライン907Aと電力ライン907Bとの電圧降下を検出することによって、バッテリ9から電動工具KDに電流の供給が開始されたことを検出してもよい。
【0373】
なお、電力ライン907に電流が流れると、電力ライン907の周囲において磁界が変化する。そのため、電力検出装置905は、電力ライン907の周囲に配置される磁気センサを含んでもよい。磁気センサとして、ホール素子、磁気抵抗効果素子、及びコイル等が例示される。電力検出装置905は、電力ライン907に電流が流れることに起因して変化する磁気を検出することによって、バッテリ9から電動工具KDに電流の供給が開始されたことを検出してもよい。
【0374】
[演算処理装置]
図39は、本実施形態に係る演算処理装置90の一例を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、演算処理装置90は、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号及び電動工具KDに対する電力の供給が停止されたことを示す検出信号の少なくとも一方を取得する検出信号取得部91Cと、検出信号取得部91Cにより取得された検出信号に基づいてアクチュエータ141を制御する制御信号を出力する制御部93Cとを有する。
【0375】
また、演算処理装置90は、ソレノイド501を制御する制御信号を出力するソレノイド制御部97を有する。
【0376】
また、演算処理装置90は、作業補助具1の異常を示す異常信号を取得する異常信号取得部95と、異常信号取得部95により取得された異常信号に基づいて、電動工具KDに対する電力の供給を禁止する第2禁止信号を出力する禁止部96とを有する。
【0377】
検出信号取得部91Cは、第2中継部材902に設けられている電力検出装置905から通信ライン909Aを介して検出信号を取得する。電力検出装置905は、第2中継部材902に装着されているバッテリ9から電動工具KDに供給される電力を検出することができる。また、電力検出装置905は、バッテリ9から電動工具KDに電力の供給が開始されたか否かを検出することができる。上述のように、本実施形態において、電力検出装置905は、バッテリ9から電動工具KDに供給される電流を検出する。
【0378】
検出信号取得部91Cは、電力検出装置905から、電動工具KDに電流の供給が開始されたことを示す検出信号を取得する。また、検出信号取得部91Cは、電力検出装置905から、電動工具KDに対する電流の供給が停止されたことを示す検出信号を取得する。
【0379】
本実施形態において、電動工具KDの作業開始に係る作業開始信号は、検出信号取得部91Cにより取得される検出信号を含む。本実施形態において、電動工具KDの作業開始に係る検出信号は、電力検出装置905で検出された電流値が予め定められている電流閾値IS以上を示す検出信号である。
【0380】
本実施形態において、電動工具KDの作業終了に係る作業終了信号は、検出信号取得部91Cにより取得される検出信号を含む。本実施形態において、電動工具KDの作業終了に係る検出信号は、電力検出装置905で検出された電流値が予め定められている電流閾値IS未満を示す検出信号である。
【0381】
制御部93Cは、電力検出装置905の検出信号に基づいてアクチュエータ141の駆動状態を制御する制御信号を出力する。制御部93Cは、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号が検出信号取得部91Cに取得されたとき、制御信号として、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。また、制御部93Cは、電動工具KDに対する電力の供給が停止されたことを示す検出信号が検出信号取得部91Cに取得されたとき、制御信号として、アクチュエータ141を停止させる停止信号を出力する。
【0382】
電動工具KDは、保持部材4に保持されている作業者WMの腕に支持される。アクチュエータ141は、アーム部材3の先端部を上方に旋回させる動力を発生する。制御部93Cは、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号が取得されたときに、アクチュエータ141を駆動させる制御信号を出力する。
【0383】
本実施形態において、制御部93Cは、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号が検出信号取得部91Cに規定時間継続して取得されたときに、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。
【0384】
ソレノイド制御部97は、ソレノイド501を駆動させる制御信号を出力する。また、ソレノイド制御部97は、ソレノイド501の駆動を停止する制御信号を出力する。上述のように、ソレノイド501が駆動すると、スピンドルロック機構600の機能が有効な状態になり、ソレノイド501の駆動が停止されると、スピンドルロック機構600の機能が無効な状態になる。
【0385】
異常信号取得部95は、作業補助具1の異常を示す異常信号を取得する。作業補助具1の異常を示す異常信号として、ソレノイド検出装置505によって検出される異常信号が例示される。
【0386】
上述のように、ソレノイド検出装置505は、ストッパ504の状態を検出する。ソレノイド検出装置505は、ストッパ504が異常であるとき、ストッパ504が異常であることを示す異常信号を出力する。
【0387】
ソレノイド501を駆動させる制御信号がソレノイド制御部97から出力された場合、ストッパ504は、溝部4231aに進入するように下方に移動する。ソレノイド501を停止させる制御信号が出力されているにもかかわらず、ストッパ504が溝部4231aから退去してない(ストッパ504が上方に移動していない)ことを検出した場合、ソレノイド検出装置505は、ストッパ504が異常であることを示す異常信号を出力する。
【0388】
禁止部96は、異常信号取得部95により異常信号が取得された場合、作業補助具1のアクチュエータ141の駆動及び電動工具KDのモータ210の駆動を禁止する第2禁止信号を出力する。すなわち、禁止部96は、異常信号に基づいて、作業補助具1のコネクタ10に装着されているバッテリ9からアクチュエータ141に対する電力の供給を禁止する第2禁止信号を出力する。また、禁止部96は、異常信号に基づいて、第2中継部材902に装着されているバッテリ9から電動工具KDのモータ210に対する電力の供給を禁止する第2禁止信号を出力する。
【0389】
禁止部96は、異常信号取得部95により異常信号が取得された場合、接続切換装置906に第2禁止信号を出力する。第2禁止信号は、通信ライン908の通信を遮断させる制御信号を含む。上述のように、通信ライン908の通信が遮断されることにより、バッテリ9から電動工具KDに電力は供給されない。これにより、トリガスイッチ100Aが操作されても、電動工具KDのモータ210は起動しない。
【0390】
[アクチュエータの制御方法]
次に、本実施形態に係るアクチュエータ141の制御方法の一例について説明する。
図40は、本実施形態に係るアクチュエータ141の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0391】
作業補助具1の主電源がオンされると、制御装置11が起動する。第2中継部材902に装着されているバッテリ9が正常である場合、電動工具KDの演算処理装置200は、第2中継部材902に装着されているバッテリ9の演算処理装置910に、電力の供給を要求する要求信号を出力する。
【0392】
異常信号取得部95は、異常信号を取得したか否かを判定する(ステップSE1)。
【0393】
ステップSE1において、異常信号を取得しないと判定された場合(ステップSE1:No)、禁止部96は、通信ライン908の通信を許可する第2許可信号を接続切換装置906に出力する(ステップSE2)。これにより、接続切換装置906は通信を遮断せず、第2中継部材902に装着されているバッテリ9の演算処理装置910と電動工具KDの演算処理装置200とは通信可能である。
【0394】
通信ライン908の通信が許可され、第2中継部材902に装着されているバッテリ9の演算処理装置910と電動工具KDの演算処理装置200との通信が確立されている状態で、例えばトリガスイッチ100Aが操作されると、第2中継部材902に装着されているバッテリ9から電動工具KDに電力が供給される。電力検出装置905は、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号を検出信号取得部91Cに出力する。
【0395】
検出信号取得部91Cは、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号を取得したか否かを判定する(ステップSE3)。
【0396】
ステップSE3において、検出信号を取得したと判定した場合(ステップSE3:Yes)、検出信号取得部91Cは、電力検出装置905により検出された電流値が予め定められている電流閾値IS以上か否かを判定する(ステップSE4)。
【0397】
ステップSE4において、電力検出装置905により検出された電流値が電流閾値IS以上であると判定した場合(ステップSE4:Yes)、検出信号取得部91Cは、検出信号が規定時間継続して取得されたことをカウントするためのカウンタをインクリメントする(ステップSE5)。
【0398】
検出信号取得部91Cは、カウンタに基づいて、電動工具に電力の供給が開始されたことを示す検出信号が規定時間継続して取得されたか否かを判定する(ステップSE6)。規定時間は、例えば300[msec.]である。
【0399】
ステップSE6において、検出信号が規定時間継続して取得されていないと判定した場合(ステップSE6:No)、ステップSE1の処理に戻る。
【0400】
ステップSE3において、検出信号を取得していないと判定した場合(ステップSE3:No)、ステップSE1の処理に戻る。また、検出信号が規定時間継続して取得されたと判定される前に、検出信号が取得されなくなった場合(ステップSE3:No)、カウンタがリセットされた後(ステップSE7)、ステップSE1の処理に戻る。
【0401】
ステップSE4において、電力検出装置905により検出された電流値が電流閾値IS以上でないと判定した場合(ステップSE4:No)、ステップSE1の処理に戻る。また、検出信号が規定時間継続して取得されたと判定される前に、電力検出装置905により検出された電流値が電流閾値IS未満になった場合(ステップSE4:No)、カウンタがリセットされた後(ステップSE8)、ステップSE1の処理に戻る。
【0402】
ステップSE6において、検出信号が規定時間継続して取得されたと判定した場合(ステップSE6:Yes)、制御部93Cは、アクチュエータ141を駆動するための制御信号(起動信号)を出力する(ステップSE9)。これにより、電動工具KDの作業開始と連動して、作業補助具1による作業者WMの補助が開始される。
【0403】
ステップSE1において、異常信号を取得したと判定された場合(ステップSE1:Yes)、禁止部96は、通信ライン908の通信を禁止する第2禁止信号を接続切換装置906に出力する(ステップSE10)。これにより、第2中継部材902に装着されているバッテリ9の演算処理装置910と電動工具KDの演算処理装置200との通信が遮断される。
【0404】
通信ライン908の通信が禁止され、第2中継部材902に装着されているバッテリ9の演算処理装置910と電動工具KDの演算処理装置200との通信が遮断されると、バッテリ9から電動工具KDに対する電力の供給が停止される。また、ソレノイド制御部97は、異常信号に基づいて、ソレノイド501の駆動を停止し、制御部93Cは、異常信号に基づいて、作業補助具1のアクチュエータ141を停止する(ステップSE11)。これにより、電動工具KDの作業終了と連動して、作業補助具1による作業者WMの補助が終了する。
【0405】
なお、異常信号が取得されず、電動工具KDのモータ210が駆動している場合、
図32を参照して説明したように、制御部93Cは、スライドボリューム730の検出信号に基づいて、アクチュエータ141の駆動と駆動停止とを切り換える。
【0406】
[効果]
以上説明したように、本実施形態によれば、作業補助具1は、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号を取得する検出信号取得部91Cと、検出信号に基づいてアクチュエータ141の駆動状態を制御する制御信号を出力する制御部93Cとを備える。これにより、電動工具KDのモータ210が起動されるタイミングに基づいて、作業補助具1に設けられているアクチュエータ141が制御される。そのため、アクチュエータ141は、作業者WMが意図しているタイミングで駆動開始又は駆動停止することができる。
【0407】
また、本実施形態においては、電動工具KDは、保持部材4に保持されている腕(右腕)に支持される。アクチュエータ5は、ガイドレール35の先端部を上方に旋回させる動力を発生する。制御部93Cは、電力検出装置905からの検出信号が検出信号取得部91Cで取得されたときに、アクチュエータ141の駆動を開始させる制御信号を出力する。これにより、天井面のような高所を作業者WMが電動工具KDを使って作業するとき、作業者WMの腕の筋力は、作業者WMが意図しているタイミングで補助される。
【0408】
また、本実施形態においては、電動工具KDに電力が供給されていることを示す検出信号が規定時間継続して取得されたときに、作業補助具1のアクチュエータ141が起動する。すなわち、電動工具KDのモータ210が規定時間以上駆動したときに、アクチュエータ141が起動し、電動工具KDのモータ210が駆動してもその駆動時間が規定時間未満であるとき、アクチュエータ141は起動しない。作業現場において、作業者WMは、先端工具と天井面との位置決め作業を実施するために、先端工具を天井面に押し当てて一瞬だけトリガスイッチ100Aを操作する場合がある。また、穴あけ後ビットを引き抜くときに引っかかって抜けなくなることがある。そのような作業において、作業補助具1のアシスト力が発揮されると、作業者WMは、作業を円滑に実施できない可能性がある。本実施形態においては、このようなモータ210を一瞬だけ駆動させる場合には、制御装置11は、作業補助具1のアシスト力を発揮させない。これにより、制御装置11は、作業現場の実態に合わせて、作業補助具1がアシスト力を発揮する状態と発揮しない状態とを調整することができる。
【0409】
また、本実施形態においては、作業補助具1に異常が発生したとき、電動工具KDのモータ210の駆動が禁止されるとともに、作業補助具1のアクチュエータ141の駆動が禁止される。これにより、作業補助具1に異常が発生したにもかかわらず、モータ210及びアクチュエータ141が駆動し続けてしまうことが抑制される。
【0410】
また、本実施形態においては、
図32を参照して説明したように、制御装置11は、スライドボリューム730の検出値に基づいて、スプリング部材721の弾性力が第1閾値以上であると判定したときにアクチュエータ141を停止させる停止信号を出力し、スプリング部材721の弾性力が第2閾値以下であると判定したときにアクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。これにより、バッテリ9の消費電力を抑制することができる。
【0411】
第4実施形態.
第4実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0412】
第4実施形態は、上述の第3実施形態の変形例である。第3実施形態においては、電動工具KDの電源がバッテリ9(直流電源)であることとした。本実施形態においては、電動工具KDの電源が商用電源(交流電源)であることとする。
【0413】
図41は、本実施形態に係る電動工具KD及び作業補助具1を示す図である。
図41に示すように、本実施形態において、電動工具KDのコネクタ10Eに電気ケーブル920が接続される。電気ケーブル920の先端部には、商用電源930の差込口931(プラグ受け)に挿入可能な差込プラグ921が設けられる。
【0414】
本実施形態において、電気ケーブル920は、中継部材940を介して、商用電源930に接続される。商用電源930から電動工具KDに供給される電力を検出可能な電力検出装置905Bが中継部材940に設けられる。中継部材940は、コードリールである。コードリールとは、巻かれた状態の延長ケーブル(延長コード)を保持する部材をいう。中継部材940に接続されている電気ケーブル942の差込プラグ941が商用電源930の差込口931に挿入される。
【0415】
また、中継部材940は、ケーブル904Bを介して制御装置11に接続される。ケーブル904Bは、中継部材940と制御装置11とをデータ通信可能に接続する。制御装置11から出力された制御信号は、ケーブル904Bを介して中継部材940に出力される。また、電力検出装置905Bの検出信号は、ケーブル904を介して制御装置11に出力される。
【0416】
[ハードウエア構成]
図42は、本実施形態に係る作業補助具1及び電動工具KDのそれぞれのハードウエア構成を示すブロック図である。
図42に示すように、作業補助具1は、アクチュエータ141と、ソレノイド501と、ソレノイド検出装置505と、スライドボリューム730と、補助具操作装置800と、主電源操作装置85と、バッテリ9が装着されるコネクタ10と、制御装置11とを備える。本実施形態に係る作業補助具1は、上述の第3実施形態で説明した作業補助具1と同様である。
【0417】
電動工具KDは、制御装置230と、モータ210と、作業者WMによって操作されるトリガスイッチ100Aとを有する。制御装置230は、CPUのようなプロセッサを含む演算処理装置200と、モータ210を駆動するためのモータドライバ220とを有する。
【0418】
商用電源930は、電気ケーブル942、中継部材940、電気ケーブル920、及び電動工具KDのそれぞれに設けられる電力ライン913を介して、電動工具KDに電力を供給する。商用電源930は、交流電源である。
【0419】
電力検出装置905Bは、中継部材940に設けられる。電力検出装置905Bは、商用電源930から電動工具KDに電力が供給されているか否かを検出する。電力検出装置905Bは、中継部材940の電力ライン913に設けられる。
【0420】
また、中継部材940は、商用電源930から電動工具KDへの電力の供給と遮断とを切り換え可能な接続切換装置911を有する。接続切換装置911は、電力ライン913に設けられる。接続切換装置911は、電力ライン913において電力の供給が実施される状態と電力の供給が停止される状態とを切り換えるスイッチ装置を含む。電力ライン013が遮断されると、商用電源930から電動工具KDに電力は供給されず、モータ210は起動しない。
【0421】
電力検出装置905Bは、商用電源930から電動工具KDに電力の供給が開始されたことを検出することができる。制御装置11は、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す電力検出装置905Bの検出信号に基づいて、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。電動工具KDは、電流が供給されることにより作業を開始する。制御装置11は、電動工具KDの作業開始と連動して、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。
【0422】
本実施形態において、電力検出装置905Bは、商用電源930から電動工具KDに供給される電流を検出する。商用電源930から出力された電流は、電気ケーブル942、中継部材940、電気ケーブル920、及び電動工具KDのそれぞれに設けられる電力ライン913を介して、電動工具KDに供給される。
【0423】
電力検出装置905Bは、交流を直流に変換する整流部912を含む。電力検出装置905Bは、交流のアナログ値を整流部912で直流に変換した後の電流値に基づいて、商用電源930から電動工具KDに電流の供給が開始されたことを検出することができる。例えば、上述の第3実施形態と同様、制御装置11は、電力検出装置905Bにより検出された交流のアナログ値を直流に変化した後の電流値が予め定められている電流閾値IS以上であり、その検出信号が規定時間継続して取得された場合、商用電源930から電動工具KDに電流の供給が開始されたと判定することができる。
【0424】
また、電力検出装置905Bは、交流を直流に変換しなくてもよい。交流のアナログ値をパルス信号に変換した場合、パルス信号の周期は、商用電源930の交流の周波数と実質的に等しい。そのため、電力検出装置905Bは、パルス信号の周期に基づいて、商用電源930から電動工具KDに電流の供給が開始されたことを検出することができる。
【0425】
電力検出装置905Bの検出信号は、ケーブル904Bに設けられている通信ライン909Cを介して作業補助具1の制御装置11に出力される。接続切換装置911は、作業補助具1の制御装置11から出力された制御信号に基づいて作動する。制御装置11は、ケーブル904に設けられている通信ライン909Dを介して、接続切換装置911に制御信号を出力することができる。
【0426】
[演算処理装置]
図43は、本実施形態に係る演算処理装置90の一例を示す機能ブロック図である。
図6に示すように、演算処理装置90は、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号及び電動工具KDに対する電力の供給が停止されたことを示す検出信号の少なくとも一方を取得する検出信号取得部91Dと、検出信号取得部91Dにより取得された検出信号に基づいてアクチュエータ141を制御する制御信号を出力する制御部93Dとを有する。
【0427】
また、演算処理装置90は、ソレノイド501を制御する制御信号を出力するソレノイド制御部97を有する。
【0428】
また、演算処理装置90は、作業補助具1の異常を示す異常信号を取得する異常信号取得部95と、異常信号取得部95により取得された異常信号に基づいて、電動工具KDに対する電力の供給を禁止する第2禁止信号を出力する禁止部96Dとを有する。
【0429】
検出信号取得部91Dは、中継部材940に設けられている電力検出装置905Bから通信ライン909Cを介して検出信号を取得する。電力検出装置905Bは、中継部材940に接続されている商用電源930から電動工具KDに供給される電力を検出することができる。また、電力検出装置905Bは、商用電源930から電動工具KDに電力の供給が開始されたか否かを検出することができる。上述のように、本実施形態において、電力検出装置905Bは、商用電源930から電動工具KDに供給される電流を検出する。
【0430】
検出信号取得部91Dは、電力検出装置905Bから、電動工具KDに電流の供給が開始されたことを示す検出信号を取得する。また、検出信号取得部91Dは、電力検出装置905Bから、電動工具KDに対する電流の供給が停止されたことを示す検出信号を取得する。
【0431】
本実施形態において、電動工具KDの作業開始に係る作業開始信号は、検出信号取得部91Dにより取得される検出信号を含む。本実施形態において、電動工具KDの作業開始に係る検出信号は、電力検出装置905で検出されたパルス信号が規定の周期を示す検出信号である。
【0432】
制御部93Dは、電力検出装置905Bの検出信号に基づいてアクチュエータ141の駆動状態を制御する制御信号を出力する。制御部93Dは、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号が検出信号取得部91Dに取得されたとき、制御信号として、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。制御部93Dは、電動工具KDに対する電力の供給が停止されたことを示す検出信号が検出信号取得部91Dに取得されたとき、制御信号として、アクチュエータ141を停止させる停止信号を出力する。
【0433】
電動工具KDは、保持部材4に保持されている作業者WMの腕に支持される。アクチュエータ141は、アーム部材3の先端部を上方に旋回させる動力を発生する。制御部93Dは、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号が取得されたときに、アクチュエータ141を駆動させる制御信号を出力する。
【0434】
制御部93Dは、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号が検出信号取得部91Dに規定時間継続して取得されたと判定したときに、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。
【0435】
ソレノイド制御部97は、ソレノイド501を駆動させる制御信号を出力する。また、ソレノイド制御部97は、ソレノイド501の駆動を停止する制御信号を出力する。
【0436】
異常信号取得部95は、作業補助具1の異常を示す異常信号を取得する。上述の実施形態と同様、作業補助具1の異常を示す異常信号として、ソレノイド検出装置505によって検出される異常信号が例示される。
【0437】
禁止部96Dは、異常信号取得部95により異常信号が取得された場合、作業補助具1のアクチュエータ141の駆動及び電動工具KDのモータ210の駆動を禁止する第2禁止信号を出力する。すなわち、禁止部96は、異常信号に基づいて、作業補助具1のコネクタ10に装着されているバッテリ9からアクチュエータ141に対する電力の供給を禁止する第2禁止信号を出力する。また、禁止部96Dは、異常信号に基づいて、商用電源930から電動工具KDのモータ210に対する電力の供給を禁止する第2禁止信号を出力する。
【0438】
禁止部96Dは、異常信号取得部95により異常信号が取得された場合、接続切換装置911に第2禁止信号を出力する。第2禁止信号は、電力ライン913による電力の供給を遮断させる制御信号を含む。電力ライン913による電力の供給が遮断されることにより、商用電源930から電動工具KDに電力は供給されない。これにより、トリガスイッチ100Aが操作されても、電動工具KDのモータ210は起動しない。
【0439】
[アクチュエータの制御方法]
次に、本実施形態に係るアクチュエータ141の制御方法の一例について説明する。
図44は、本実施形態に係るアクチュエータ141の制御方法の一例を示すフローチャートである。
【0440】
作業補助具1の主電源がオンされると、制御装置11が起動する。異常信号取得部95は、異常信号を取得したか否かを判定する(ステップSF1)。
【0441】
ステップSF1において、異常信号を取得しないと判定された場合(ステップSF1:No)、禁止部96Dは、電力ライン913による電力の供給を許可する第2許可信号を接続切換装置911に出力する(ステップSF2)。これにより、接続切換装置911は電力の供給を遮断せず、商用電源930から電動工具KDに電力を供給可能な状態にする。
【0442】
商用電源930から電動工具KDに電力を供給可能な状態で、例えばトリガスイッチ100Aが操作されると、商用電源930から電動工具KDに電力が供給される。電力検出装置905Bは、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号を検出信号取得部91Dに出力する。
【0443】
検出信号取得部91Dは、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号を取得したか否かを判定する(ステップSF3)。
【0444】
ステップSF3において、検出信号を取得したと判定した場合(ステップSF3:Yes)、検出信号取得部91Dは、電力検出装置905Dにより検出された交流のパルス信号の周期が予め定められている第1周期閾値Sp1以上か否かを判定する(ステップSF4)。第1周期閾値Sp1は、例えば40[Hz]である。
【0445】
ステップSF4において、電力検出装置905Bにより検出された交流のパルス信号の周期が第1周期閾値Sp1以上であると判定した場合(ステップSF4:Yes)、検出信号取得部91Dは、電力検出装置905Dにより検出された交流のパルス信号の周期が予め定められている第2周期閾値Sp2以下か否かを判定する(ステップSF5)。第2周期閾値Sp2は、第1周期閾値Sp1よりも大きい。第2周期閾値Sp2は、例えば70[Hz]である。
【0446】
パルス信号の周期が第1周期閾値Sp1未満である場合、又はパルス信号の周期が第2周期閾値Sp2よりも大きい場合、電力検出装置905Bにより検出された検出信号は、ノイズ成分を多く含んでいる可能性が高い。一方、パルス信号の周期が第1周期閾値Sp1以上第2周期閾値Sp2以下である場合、電力検出装置905Bにより検出された検出信号は、商用電源930から出力された交流である可能性が高い。
【0447】
ステップSF5において、電力検出装置905Bにより検出された交流のパルス信号の周期が第2周期閾値Sp2以下であると判定した場合(ステップSF5:Yes)、すなわち、パルス信号の周期が第1周期閾値Sp1以上第2周期閾値Sp2以下であると判定した場合、検出信号取得部91Dは、検出信号が規定時間継続して取得されたことをカウントするためのカウンタをインクリメントする(ステップSF6)。
【0448】
検出信号取得部91Cは、カウンタに基づいて、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号が規定時間継続して取得されたか否かを判定する(ステップSF7)。規定時間は、例えば300[msec.]である。
【0449】
ステップSF7において、検出信号が規定時間継続して取得されていないと判定した場合(ステップSF7:No)、ステップSF1の処理に戻る。
【0450】
ステップSF3において、検出信号を取得していないと判定した場合(ステップSF3:No)、ステップSF1の処理に戻る。また、検出信号が規定時間継続して取得されたと判定される前に、検出信号が取得されなくなった場合(ステップSF3:No)、カウンタがリセットされた後(ステップSF9)、ステップSF1の処理に戻る。
【0451】
ステップSF4において、電力検出装置905Bにより検出されたパルス信号の周期が第1周期閾値Sp1以上でないと判定した場合(ステップSF4:No)、ステップSF1の処理に戻る。また、検出信号が規定時間継続して取得されたと判定される前に、電力検出装置905Bにより検出されたパルス信号の周期が第1周期閾値Sp1未満になった場合(ステップSF4:No)、カウンタがリセットされた後(ステップSF10)、ステップSF1の処理に戻る。
【0452】
ステップSF5において、電力検出装置905Bにより検出されたパルス信号の周期が第2周期閾値Sp2以下でないと判定した場合(ステップSF5:No)、ステップSF1の処理に戻る。また、検出信号が規定時間継続して取得されたと判定される前に、電力検出装置905Bにより検出されたパルス信号の周期が第2周期閾値Sp2よりも大きくなった場合(ステップSF5:No)、カウンタがリセットされた後(ステップSF11)、ステップSF1の処理に戻る。
【0453】
ステップSF7において、検出信号が規定時間継続して取得されたと判定した場合(ステップSF7:Yes)、制御部93Dは、アクチュエータ141を駆動するための制御信号(起動信号)を出力する(ステップSF8)。これにより、電動工具KDの作業開始と連動して、作業補助具1による作業者WMの補助が開始される。
【0454】
ステップSF1において、異常信号を取得したと判定された場合(ステップSF1:Yes)、禁止部96Dは、電力ライン913による電力の供給を禁止する第2禁止信号を接続切換装置911に出力する(ステップSF12)。これにより、商用電源930から電動工具KDに対する電力の供給が遮断される。
【0455】
また、ソレノイド制御部97は、異常信号に基づいて、ソレノイド501の駆動を停止し、制御部93Dは、異常信号に基づいて、作業補助具1のアクチュエータ141を停止する(ステップSF13)。これにより、電動工具KDの作業終了と連動して、作業補助具1による作業者WMの補助が終了する。
【0456】
なお、異常信号が取得されず、電動工具KDのモータ210が駆動している場合、
図32を参照して説明したように、制御部93Cは、スライドボリューム730の検出信号に基づいて、アクチュエータ141の駆動と駆動停止とを切り換える。
【0457】
以上説明したように、本実施形態においても、アクチュエータ141は、作業者WMが意図しているタイミングで駆動開始又は駆動停止することができる。
【0458】
なお、本実施形態においては、電力検出装置905B及び接続切換装置911が中継部材940に設けられることとした。電気ケーブル920と電動工具KDのコネクタ10Eとの間に中継部材が設けられ、その中継部材に電力検出装置905B及び接続切換装置911が設けられてもよい。
【0459】
第5実施形態.
第5実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0460】
図45は、本実施形態に係る作業補助具1の一例を示す斜視であり、作業者WMに装着されている状態を示す。
図46は、本実施形態に係る電動工具KD1及び作業補助具1を示す図である。
【0461】
第5実施形態は、上述の第3実施形態の変形例である。第3実施形態と同様、電動工具KDの電源は、バッテリ9(直流電源)である。
図45及び
図46に示すように、本実施形態においては、電動工具KDのコネクタ10Dに中継部材960が装着される。バッテリ9は、中継部材960に接続される。バッテリ9は、中継部材960を介して、電動工具KDのモータ210に電力を供給する。
【0462】
作業補助具1と中継部材960とは、無線通信機19を介して無線通信する。無線通信機19は、作業補助具1に設けられる無線通信機19Aと、中継部材960に設けられる無線通信機19Bとを含む。作業補助具1の無線通信機19Aは、中継部材960の無線通信機19Bと無線通信可能である。中継部材960の無線通信機19Bは、作業補助具1の無線通信機19Aと無線通信可能である。
【0463】
無線通信機19は、規定の通信方式にて無線通信することができる。通信方式は、例えばBLE(Bluetooth Low Energy)の通信規格に従った通信方式でもよい。「Bluetooth」は登録商標である。
【0464】
図47は、本実施形態に係る中継部材960を示す斜視図である。中継部材960は、電動工具KDのコネクタ10Dに接続される。また、中継部材960にバッテリ9が装着される。
【0465】
図47に示すように、中継部材960は、隆起部960aと、バッテリ爪960bと、バッテリボタン960cと、一対のバッテリ端子960dと、一対のスライドレール960eとを有する。バッテリ端子960dは、一対のスライドレール960eの間に配置されている。
【0466】
中継部材960の外形及び寸法とバッテリ9の外形及び寸法とは、実質的に同一である。中継部材960は、所謂ダミーバッテリである。
【0467】
中継部材960は、バッテリセルを有してなく、バッテリ9よりも軽量である。中継部材960は、電動工具KDの電源として機能せず、バッテリ9から出力された電力を電動工具KDに送る中継器として機能する。
【0468】
また、中継部材960は、バッテリ9が装着される装着面960fを有する。バッテリ9に接続される中継部材960の装着面960fの接続構造と、電動工具KDのコネクタ10Dの装着面の接続構造とは、実質的に同一である。
【0469】
図48は、本実施形態に係る作業補助具1及び電動工具KDのそれぞれのハードウエア構成を示すブロック図である。
図48に示すように、作業補助具1は、アクチュエータ141と、ソレノイド501と、ソレノイド検出装置505と、スライドボリューム730と、補助具操作装置800と、主電源操作装置85と、バッテリ9が装着されるコネクタ10と、制御装置11とを備える。本実施形態に係る作業補助具1は、上述の第3実施形態で説明した作業補助具1と同様である。
【0470】
電動工具KDは、制御装置230と、モータ210と、作業者WMによって操作されるトリガスイッチ100Aとを有する。制御装置230は、CPUのようなプロセッサを含む演算処理装置200と、モータ210を駆動するためのモータドライバ220とを有する。
【0471】
作業補助具1において、制御装置11は、無線通信機19Aに接続される。無線通信機19Aは、中継部材960の無線通信機19Bと無線通信する。無線通信機19は、作業補助具1に着脱可能でもよい。無線通信機19Bは、中継部材960に着脱可能でもよい。
【0472】
バッテリ9は、中継部材960及び電動工具KDのそれぞれに設けられる電力ライン907を介して、電動工具KDに電力を供給する。バッテリ9は、直流電源(直流電源)である。電力ライン907は、バッテリ9から電動工具KDに供給される電流が流れる電力ライン907Aと、電動工具KDからバッテリ9に戻る電流が流れる電力ライン907Bとを含む。トリガスイッチ100Aは、電動工具KDの電力ライン907Aに設けられる。
【0473】
バッテリ9は、CPUのようなプロセッサを含む演算処理装置910を有する。第2中継部材902に装着されているバッテリ9の演算処理装置910は、中継部材960及び電動工具KDのそれぞれに設けられる通信ライン908を介して、電動工具KDの演算処理装置200との間で通信可能である。電動工具KDのモータ210を起動するとき、電動工具KDの演算処理装置200は、第2中継部材902に装着されているバッテリ9の演算処理装置910に、電力の供給を要求する要求信号を出力する。
【0474】
バッテリ9の演算処理装置910は、要求信号を受信した後、モータ210の起動を許可する第1許可信号を電動工具KDの演算処理装置200に出力する。電動工具KDの演算処理装置200は、第1許可信号を受信した後、モータ210の起動のためにモータドライバ220のセッティング処理を実施する。バッテリ9の演算処理装置910が要求信号を受信し、電動工具KDの演算処理装置200が第1許可信号を受信した後、バッテリ9から電動工具KDに電力が供給されることにより、モータ210が起動する。
【0475】
一方、例えば異常発熱のようなバッテリ9が異常な状態においては、バッテリ9の演算処理装置910は、要求信号を受信した後、モータ210の起動を禁止する第1禁止信号を電動工具KDの演算処理装置200に出力する。第1禁止信号が出力された場合、バッテリ9から電動工具KDに電力は供給されない。バッテリ9から電動工具KDに電力が供給されない場合、モータ210は起動しない。
【0476】
また、バッテリ9が正常な状態でも、通信ライン908が遮断され、バッテリ9の演算処理装置910から電動工具KDの演算処理装置200に第1許可信号が送信されない場合、バッテリ9から電動工具KDに電力は供給されない。バッテリ9から電動工具KDに電力が供給されない場合、モータ210は起動しない。
【0477】
中継部材960は、バッテリ9から電動工具KDに電力が供給されているか否かを検出する電力検出装置905と、バッテリ9の演算処理装置910と電動工具KDの演算処理装置200との通信の接続及び遮断を実施可能な接続切換装置906とを有する。
【0478】
電力検出装置905の検出信号は、無線通信機19を介して作業補助具1の制御装置11に無線で出力される。接続切換装置906は、作業補助具1の制御装置11から出力された制御信号に基づいて作動する。制御装置11は、無線通信機19を介して、接続切換装置906に制御信号を無線で出力することができる。
【0479】
接続切換装置906は、中継部材960の通信ライン908に設けられる。接続切換装置906は、通信ライン908において通信が実施される状態と通信が遮断される状態とを切り換えるスイッチ装置を含む。通信ライン908が遮断されると、バッテリ9の演算処理装置910が第1許可信号を出力しても、バッテリ9の演算処理装置910から電動工具KDの演算処理装置200に第1許可信号は送信されない。したがって、通信ライン908が遮断されると、バッテリ9から電動工具KDに電力は供給されず、モータ210は起動しない。
【0480】
電力検出装置905は、バッテリ9から電動工具KDに電力の供給が開始されたことを検出することができる。制御装置11は、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す電力検出装置905の検出信号に基づいて、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。電動工具KDは、電流が供給されることにより作業を開始する。制御装置11は、電動工具KDの作業開始と連動して、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。
【0481】
本実施形態において、電力検出装置905は、バッテリ9から電動工具KDに供給される電流を検出する。バッテリ9から出力された電流は、中継部材960及び電動工具KDのそれぞれに設けられる電力ライン907を介して、電動工具KDに供給される。
【0482】
上述の実施形態と同様、電力検出装置905は、電力ライン907Bに設けられるシャント抵抗器を含む。電力検出装置905は、シャント抵抗器における電圧の変化量に基づいて、バッテリ9から電動工具KDに電流の供給が開始されたことを検出することができる。
【0483】
なお、電力検出装置905は、電力ライン907Aと電力ライン907Bとの電圧降下を検出することによって、バッテリ9から電動工具KDに電流の供給が開始されたことを検出してもよい。
【0484】
なお、電力ライン907に電流が流れると、電力ライン907の周囲において磁界が変化する。そのため、電力検出装置905は、電力ライン907の周囲に配置される磁気センサを含んでもよい。
【0485】
[演算処理装置]
図49は、本実施形態に係る演算処理装置90の一例を示す機能ブロック図である。
図49に示すように、演算処理装置90は、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号及び電動工具KDに対する電力の供給が停止されたことを示す検出信号の少なくとも一方を取得する検出信号取得部91Cと、検出信号取得部91Cにより取得された検出信号に基づいてアクチュエータ141を制御する制御信号を出力する制御部93Cとを有する。
【0486】
また、演算処理装置90は、ソレノイド501を制御する制御信号を出力するソレノイド制御部97を有する。
【0487】
また、演算処理装置90は、作業補助具1の異常を示す異常信号を取得する異常信号取得部95と、異常信号取得部95により取得された異常信号に基づいて、電動工具KDに対する電力の供給を禁止する第2禁止信号を出力する禁止部96とを有する。
【0488】
検出信号取得部91Cは、無線通信機19を介して検出信号を取得する。電力検出装置905は、中継部材960に装着されているバッテリ9から電動工具KDに供給される電力を検出することができる。また、電力検出装置905は、中継部材960に装着されているバッテリ9から電動工具KDに電力の供給が開始されたか否かを検出することができる。上述のように、電力検出装置905は、バッテリ9から電動工具KDに供給される電流を検出する。
【0489】
検出信号取得部91Cは、無線通信機19を介して、電力検出装置905から、電動工具KDに電流の供給が開始されたことを示す検出信号を取得する。
【0490】
電動工具KDの作業開始に係る作業開始信号は、検出信号取得部91Cにより取得される検出信号を含む。電動工具KDの作業開始に係る検出信号は、電力検出装置905で検出された電流値が予め定められている電流閾値IS以上を示す検出信号である。
【0491】
また、電動工具KDの作業終了に係る作業終了信号は、検出信号取得部91Cにより取得される検出信号を含む。電動工具KDの作業終了に係る検出信号は、電力検出装置905で検出された電流値が予め定められている電流閾値IS未満を示す検出信号である。
【0492】
制御部93Cは、電力検出装置905の検出信号に基づいてアクチュエータ141の駆動状態を制御する制御信号を出力する。制御部93Cは、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号が検出信号取得部91Cに取得されたとき、制御信号として、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。
【0493】
上述の実施形態と同様、制御部93Cは、電動工具KDに電力の供給が開始されたことを示す検出信号が検出信号取得部91Cに規定時間継続して取得されたと判定したときに、アクチュエータ141を起動させる起動信号を出力する。
【0494】
ソレノイド制御部97は、ソレノイド501を駆動させる制御信号を出力する。また、ソレノイド制御部97は、ソレノイド501の駆動を停止する制御信号を出力する。
【0495】
異常信号取得部95は、作業補助具1の異常を示す異常信号を取得する。上述の実施形態と同様、作業補助具1の異常を示す異常信号として、ソレノイド検出装置505によって検出される異常信号が例示される。
【0496】
禁止部96は、異常信号取得部95により異常信号が取得された場合、作業補助具1のアクチュエータ141の駆動及び電動工具KDのモータ210の駆動を禁止する第2禁止信号を出力する。禁止部96は、異常信号に基づいて、作業補助具1のコネクタ10に装着されているバッテリ9からアクチュエータ141に対する電力の供給を禁止する第2禁止信号を出力する。また、禁止部96は、異常信号に基づいて、中継部材960に装着されているバッテリ9から電動工具KDのモータ210に対する電力の供給を禁止する第2禁止信号を出力する。
【0497】
禁止部96は、異常信号取得部95により異常信号が取得された場合、接続切換装置906に第2禁止信号を出力する。第2禁止信号は、通信ライン908の通信を遮断させる制御信号を含む。通信ライン908の通信が遮断されることにより、バッテリ9から電動工具KDに電力は供給されない。これにより、トリガスイッチ100Aが操作されても、電動工具KDのモータ210は起動しない。
【0498】
次に、無線通信機19による通信方法について、
図50及び
図51を参照して説明する。
図50及び
図51のそれぞれは、本実施形態に係る無線通信機19による通信方法を説明するための図である。
【0499】
無線通信機19は、規定の通信方式に基づいて無線通信する。無線通信機19は、送信主体モード及びサーチ主体モードの一方のモードで作動することができる。
【0500】
送信主体モードとは、送信先を特定せずに、特定の信号を一方的且つ周期的に無線送信するモードをいう。すなわち、送信主体モードとは、特性の信号を定期ブロードキャストするモードをいう。
【0501】
サーチ主体モードとは、他の無線通信機19から送信される特定の信号をサーチし、特定の信号が受信されたら、その受信された特定の信号に応じた処理を実行するモードをいう。
【0502】
本実施形態において、中継部材960の無線通信機19Bは、送信主体モードで作動する。作業補助具1の無線通信機19Aは、サーチ主体モードで作動する。なお、中継部材960の無線通信機19Bがサーチ主体モードで作動し、作業補助具1の無線通信機19Aが送信主体モードで作動してもよい。
【0503】
送信主体モードは、待機送信モード、連動送信モード、登録送信モード、及び削除送信モードを含む。待機送信モードとは、待機通知を周期的に無線送信する送信動作モードをいう。連動送信モードとは、連動通知を周期的に無線送信する送信動作モードをいう。登録送信モードとは、登録通知を周期的に無線送信する送信動作モードをいう。削除送信モードとは、削除通知を周期的に送信する送信動作モードをいう。
【0504】
サーチ主体モードは、待機サーチモード、連動サーチモード、登録サーチモード、及び削除サーチモードを含む。待機サーチモードとは、無線通信機19Aによる待機通知の受信の有無を周期的にスキャン(サーチ)するサーチ動作モードをいう。連動サーチモードとは、無線通信機19Aによる連動通知の受信の有無を周期的にスキャン(サーチ)するサーチ動作モードをいう。登録サーチモードとは、無線通信機19Aによる登録通知の受信の有無を周期的にスキャン(サーチ)するサーチ動作モードをいう。削除サーチモードとは、無線通信機19Aによる削除通知の受信の有無を周期的にスキャン(サーチ)するサーチ動作モードをいう。
【0505】
図50を参照しながら、登録処理について説明する。中継部材960が電動工具KDのコネクタ10Dに装着され、バッテリ9が中継部材960に装着され、バッテリ9から電力が供給されると、無線通信機19B及び制御装置230が起動する。無線通信機19B及び制御装置230が起動した後、制御装置230は、無線通信機19Bを待機送信モードに設定する。
【0506】
また、作業補助具1の主電源がオンされ、バッテリ9から電力が供給されると、無線通信機19A及び制御装置11が起動する。無線通信機19A及び制御装置11が起動した後、制御装置11は、無線通信機19Aを待機サーチモードに設定する。
【0507】
中継部材960に設けられている不図示の操作装置が操作されることにより、制御装置230は、無線通信機19Bを連動送信モードに切り換える。
【0508】
また、待機サーチモードにおいて、連動通知が受信され、且つ、その連動通知に含まれている送信元の識別情報が無線通信機19Aに登録されている場合、制御装置11は、無線通信機19Aを連動サーチモードに切り換える。
【0509】
連動送信モードにおいて、無線通信機19Bは、連動通知を一方的に送信(定期ブロードキャスト)する。連動送信モードにおいて送信される連動通知は、モータ210の動作信号に基づく機器動作情報(駆動中情報又は停止中情報)、及び無線通信機19Bの識別情報を含む。
【0510】
連動サーチモードにおいて、制御装置11は、連動通知を周期的にスキャンする。制御装置11は、受信した連動通知に含まれている識別情報が制御装置11に登録されている場合、その連動通知に含まれている機器動作情報に基づいて、連動運転をさせるべきか否か判断する。連動サーチモードにおいて、駆動中情報が受信されない状態が規定時間経過した場合、制御装置11は、無線通信機19Aを待機サーチモードに切り換える。
【0511】
また、中継部材960に設けられている不図示の操作装置が操作されることにより、制御装置230は、無線通信機19Bを登録送信モードに切り換える(ステップSG1)。
【0512】
登録送信モードにおいて、無線通信機19Bは、登録通知を一方的に送信(定期ブロードキャスト)する。
【0513】
無線通信機19Aが登録サーチモードに設定されている場合、制御装置11は、登録通知を周期的にスキャンする。登録サーチモードに設定されている無線通信機19Aが登録通知を受信した場合(ステップSH1)、制御装置230は、無線通信機19Aから接続要求を送信する(ステップSH2)。
【0514】
登録通知を送信している期間において、その登録通知に対して作業補助具1の無線通信機19Aから接続要求が送信された場合、制御装置230は、登録通知の定期送信を停止して、無線通信機19Aとの接続を確立させる(ステップSG2)。無線通信機19Aとの接続が確立された後、制御装置230は、無線通信機19Aと一対一で所定のデータ通信を実施して、登録処理を行う(ステップSG3)。
【0515】
登録処理は、無線通信機19Aとの間で互いに識別情報を送受し合うことにより、それぞれが相手側の識別情報を取得してメモリに記憶させて、相手側の無線通信機19を登録する処理である。例えば、中継部材960の無線通信機19Bの識別情報が「A0」、作業補助具1の無線通信機19Aの識別情報が「B1」である場合、無線通信機19Aと無線通信機19Bとの間で登録処理が行われると、両者間で一方から他方への識別情報の送信が行われ、中継部材960の無線通信機19Bに相手側の識別情報である「B1」が登録され、作業補助具1の無線通信機19Aに相手側の識別情報である「A0」が登録される。
【0516】
登録処理が完了すると、制御装置230は、無線通信機19Aとの通信を切断して、無線通信機19Bを連動送信モードに切り換える。また、登録処理が完了すると、制御装置11は、登録通知送信元の無線通信機19Bとの通信を切断して、無線通信機19Aを連動サーチモードに切り換える。
【0517】
次に、
図51を参照しながら、削除処理にすいて説明する。中継部材960に設けられている不図示の操作装置が操作されることにより、制御装置230は、無線通信機19Bを削除送信モードに切り換える(ステップSJ1)。
【0518】
削除送信モードにおいて、無線通信機19Bは、削除通知を一方的に送信(定期ブロードキャスト)する。
【0519】
無線通信機19Aが削除サーチモードに設定されている場合、制御装置11は、削除通知を周期的にスキャンする。削除サーチモードに設定されている無線通信機19Aが削除通知を受信した場合(ステップSH1)、制御装置230は、無線通信機19Aから削除要求を送信する(ステップSH2)。
【0520】
削除通知が定期送信されている期間において、その削除通知に対して作業補助具1の無線通信機19Aから削除要求が送信された場合、制御装置230は、削除通知の定期送信を停止して、無線通信機19Aとの接続を確立させる(ステップSJ2)。無線通信機19Aとの接続が確立された後、制御装置230は、無線通信機19Aと一対一で所定のデータ通信を実施して、削除処理を行う(ステップSJ3)。
【0521】
削除処理は、無線通信機19Aとの間で互いに識別情報を送受し合うことにより、それぞれが登録している相手側の識別情報をメモリから削除させることにより相手側の無線通信機19の登録を解除する処理である。
【0522】
削除処理が完了すると、制御装置230は、無線通信機19Aとの通信を切断して、無線通信機19Bを連動送信モードに切り換える。また、削除処理が完了すると、制御装置11は、削除通知送信元の無線通信機19Bとの通信を切断して、無線通信機19Aを連動サーチモードに切り換える。
【0523】
以上のように、登録処理が実施されることにより、作業補助具1は、登録された特定の電動工具KD(中継部材960)と通信することができる。また、削除処理が実施されることにより、作業補助具1は、特定の電動工具KD(中継部材960)と通信を解除することができる。
【0524】
本実施形態に係るアクチュエータ141の制御方法は、
図40を参照して説明したアクチュエータ141の制御方法と同様であるため、説明を省略する。
【0525】
以上説明したように、本実施形態においても、アクチュエータ141は、作業者WMが意図しているタイミングで駆動開始又は駆動停止することができる。
【0526】
また、本実施形態においては、電動工具KDと作業補助具1とは無線通信する。これにより、ケーブル類を省略できるため、電動工具KDを用いる作業の作業性は向上する。
【0527】
第6実施形態.
第6実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
【0528】
図52は、本実施形態に係る作業補助具1及び電動工具KDのそれぞれのハードウエア構成を示すブロック図である。上述の実施形態と同様、作業補助具1のアクチュエータ141及び電動工具KDのそれぞれは、バッテリ9から供給される電力により駆動する。本実施形態において、バッテリ9は、アクチュエータ141及び電動工具KDの両方に電力を供給する。すなわち、作業補助具1のアクチュエータ141及び電動工具KDのそれぞれは、共通する1つのバッテリ9から供給された電力により駆動する。作業補助具1のアクチュエータ141及び電動工具KDは、1つのバッテリ9を共用する。
【0529】
本実施形態において、作業補助具1のアクチュエータ141及び電動工具KDに共用されるバッテリ9は、作業補助具1のコネクタ10に装着される。作業補助具1と電動工具KDとは、ケーブル903Bを介して接続される。バッテリ9から出力された電力は、アクチュエータ141に供給されるとともに、ケーブル903B及び電動工具KDに装着されている第1中継部材901(ダミーバッテリ)を介して電動工具KDに供給される。
【0530】
本実施形態において、バッテリ9から電動工具KDに電力が供給されているか否かを検出する電力検出装置905は、作業補助具1に設けられる。電力検出装置905の検出信号は、作業補助具1の制御装置11に出力される。
【0531】
また、バッテリ9の演算処理装置910と電動工具KDの演算処理装置200との通信の接続及び遮断を実施可能な接続切換装置906は、作業補助具1に設けられる。接続切換装置906は、作業補助具1の制御装置11から出力された制御信号に基づいて作動する。
【0532】
以上説明したように、作業補助具1のアクチュエータ141と電動工具KDとが共通のバッテリ9から電力を供給されてもよい。
【0533】
なお、作業補助具1のアクチュエータ141と電動工具KDとに共有されるバッテリ9が、電動工具KDに装着されていてもよい。
【0534】
なお、上述の各実施形態において、電動工具KDは電動ハンマードリルとして説明したがこれに限定されない。電動工具KDとしては、電動ハンマー、電動ドリル、電動ドライバ、電動レンチ、電動グラインダ、電動マルノコ、電動レシプロソー、電動ジグソー、電動カッター、電動チェンソー、電動カンナ、電動釘打ち機(鋲打ち機を含む)、電動ヘッジトリマ、電動芝生バリカン、電動刈払機、及び電動クリーナ等を含むことは当然である。