特許第6840938号(P6840938)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6840938
(24)【登録日】2021年2月22日
(45)【発行日】2021年3月10日
(54)【発明の名称】水硬性組成物の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B28B 11/08 20060101AFI20210301BHJP
   C04B 41/72 20060101ALI20210301BHJP
   C04B 28/02 20060101ALI20210301BHJP
   C04B 14/22 20060101ALI20210301BHJP
   C04B 20/00 20060101ALI20210301BHJP
【FI】
   B28B11/08
   C04B41/72
   C04B28/02
   C04B14/22
   C04B20/00 B
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-102383(P2016-102383)
(22)【出願日】2016年5月23日
(65)【公開番号】特開2017-210380(P2017-210380A)
(43)【公開日】2017年11月30日
【審査請求日】2019年4月19日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】溝渕 麻子
(72)【発明者】
【氏名】小林 利充
(72)【発明者】
【氏名】吉田 理紗
(72)【発明者】
【氏名】松永 成雄
【審査官】 小川 武
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−149395(JP,A)
【文献】 特開2001−162613(JP,A)
【文献】 特開平10−114902(JP,A)
【文献】 特開2011−213513(JP,A)
【文献】 特開2000−043013(JP,A)
【文献】 特開2005−007667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28B 11/00−11/24
C04B 41/00−41/72
C04B 2/00−32/02
C04B 40/00−40/06
C04B 103/00−111/94
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホワイトセメントと、細骨材として、粒径が0〜5mmのガラス砂のみと、粗骨材と、水と、を混合して水硬性組成物を生成する混合工程と、
前記水硬性組成物の硬化を遅延させる硬化遅延剤を刷り込んだシートを貼り付けた型枠に前記水硬性組成物を打設する打設工程と、
前記水硬性組成物の硬化後、前記型枠を脱型する脱型工程と、
前記脱型工程の後、前記硬化遅延剤によって硬化が遅延された部位を高圧洗浄機を用いて洗い出す洗い出し工程と、
を有し、
前記脱型工程は、前記水硬性組成物の圧縮強度が12N/mm2以上になった後に行う、ことを特徴とする水硬性組成物の製造方法。
【請求項2】
ホワイトセメントと、細骨材として、粒径が0〜5mmのガラス砂のみと、粗骨材と、水と、を混合して水硬性組成物を生成する混合工程と、
型枠の内部に、前記水硬性組成物を打設する打設工程と、
前記水硬性組成物の上面に前記水硬性組成物の硬化を遅延させる硬化遅延剤を刷り込んだシートを配置するシート配置工程と、
前記水硬性組成物の硬化後、前記型枠を脱型するとともに前記シートを除去する脱型工程と、
前記脱型工程後、前記上面のうち、前記硬化遅延剤によって硬化が遅延された部位を高圧洗浄機を用いて洗い出す洗い出し工程と、
を有し、
前記脱型工程は、前記水硬性組成物の圧縮強度が12N/mm2以上になった後に行う、ことを特徴とする水硬性組成物の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の水硬性組成物の製造方法であって、
粒径が0〜5mmの第1ガラス砂粒子群から、粒径が2〜5mmの第2ガラス砂粒子群をふるい分けする選別工程と、
ふるい分けしていない前記第1ガラス砂粒子群と、前記第2ガラス砂粒子群とを所定の割合で混合するガラス砂混合工程と、
をさらに有し、前記混合工程では、前記ガラス砂混合工程で得られた前記ガラス砂を、前記セメント及び前記水と混合する、
ことを特徴とする水硬性組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント混合材、水硬性組成物、及び、水硬性組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート(水硬性組成物の一種)は、セメントと、骨材(細骨材、粗骨材)と、水と、混和剤などを混合して構成されている。また、凝結遅延剤等を用いて表面に凹凸形状(パターン)を設けて意匠性を高めるようにした洗い出しコンクリートも知られている(例えば特許文献1参照)。このような洗い出しコンクリートは、主に、土間や舗道、コンコースなどに用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012−223932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、コンクリートは色が灰色(無彩色)で暗めであり、また、上述したような洗い出しを行ってパターンを形成したとしても色彩を豊かにすることは困難であった。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであって、その主な目的は、色彩を豊かにして意匠性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために本発明の水硬性組成物の製造方法は、ホワイトセメントと、細骨材として、粒径が0〜5mmのガラス砂のみと、粗骨材と、水と、を混合して水硬性組成物を生成する混合工程と、前記水硬性組成物の硬化を遅延させる硬化遅延剤を刷り込んだシートを貼り付けた型枠に前記水硬性組成物を打設する打設工程と、前記水硬性組成物の硬化後、前記型枠を脱型する脱型工程と、前記脱型工程の後、前記硬化遅延剤によって硬化が遅延された部位を高圧洗浄機を用いて洗い出す洗い出し工程と、を有し、前記脱型工程は、前記水硬性組成物の圧縮強度が12N/mm2以上になった後に行う、ことを特徴とする。
このような水硬性組成物の製造方法によれば、ホワイトセメントにより見た目が明るい印象になり、また、洗い出しでガラス砂が露出することにより、綺麗で色彩豊かにできる。また、パターンのエッジを綺麗に形成できる。
【0010】
また、かかる目的を達成するために本発明の水硬性組成物の製造方法は、ホワイトセメントと、細骨材として、粒径が0〜5mmのガラス砂のみと、粗骨材と、水と、を混合して水硬性組成物を生成する混合工程と、型枠の内部に、前記水硬性組成物を打設する打設工程と、前記水硬性組成物の上面に前記水硬性組成物の硬化を遅延させる硬化遅延剤を刷り込んだシートを配置するシート配置工程と、前記水硬性組成物の硬化後、前記型枠を脱型するとともに前記シートを除去する脱型工程と、前記脱型工程後、前記上面のうち、前記硬化遅延剤によって硬化が遅延された部位を高圧洗浄機を用いて洗い出す洗い出し工程と、を有し、前記脱型工程は、前記水硬性組成物の圧縮強度が12N/mm2以上になった後に行う、ことを特徴とする。
このような水硬性組成物の製造方法によれば、ホワイトセメントにより見た目が明るい印象になり、また、洗い出しでガラス砂が露出することにより、綺麗で色彩豊かにできる。また、パターンのエッジを綺麗に形成できる。
【0011】
かかる水硬性組成物の製造方法であって、粒径が0〜5mmの第1ガラス砂粒子群から、粒径が2〜5mmの第2ガラス砂粒子群をふるい分けする選別工程と、ふるい分けしていない前記第1ガラス砂粒子群と、前記第2ガラス砂粒子群とを所定の割合で混合するガラス砂混合工程と、をさらに有し、前記混合工程では、前記ガラス砂混合工程で得られた前記ガラス砂を、前記セメント及び前記水と混合することが望ましい。
このような水硬性組成物の製造方法によれば、ガラス砂の大きい粒子の割合が増えるので、色彩をより強調することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、色彩を豊かにして意匠性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1図1A図1Fは本実施形態のコンクリートの製造方法の概念説明図である。
図2】コンクリートの調合等の条件の説明図である。
図3】ホワイトセメントと普通ポルトランドセメントとの特性比較を示す図である。
図4】サンドウェーブGと山砂との特性比較を示す図である。
図5】サンドウェーブG(0〜5mm)の粒度分布を示す図である。
図6図6Aは比較例のコンクリートの外観を示す図であり、図6Bは本実施例のコンクリートの外観を示す図である。
図7図7A図7Hは、コンクリート製造方法の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
===実施形態===
<コンクリートの製造方法について>
図1A図1Fは本実施形態のコンクリートの製造方法の概念説明図である。ここでは、洗い出し処理を行う場合の製造方法の一例について説明する。
【0016】
まず、図1Aに示すように、一対の型枠10の内側(ここでは一方の内側)にシート20を取り付ける。シート20には、凝結遅延剤が刷り込まれていない領域20aと、凝結遅延剤が刷り込まれた領域20bとが設けられている。なお、型枠10へのシート20の取り付け方法については特に限定されず、例えば、釘、タッカー、両面テープなどを用いることができる。
【0017】
次に、図1Bに示すように、一対の型枠10の内部にコンクリート1(ここでは生コンクリート)を打設し、養生する。これにより、図1Cに示すように、打設されたコンクリート1には、硬化した硬化部1aと、硬化していない未硬化部1bが形成される。なお、未硬化部1bは、シート20の凝結遅延剤により、コンクリート1の硬化が遅延されることによって形成される。
【0018】
コンクリート1(未硬化部1bを除く)の硬化後、図1Dに示すように、型枠10(及びシート20)を脱型する。そして、図1Eに示すように、高圧洗浄機100を用いてコンクリート1の未硬化部1bを水で洗い流す(洗い出し工程)。これによって、図1Fに示すように、洗い出し仕上げのパターンが表面に施されたコンクリート1が形成される。すなわち、シート20の領域20bと対向していた部位(未硬化部1bの部位)は、凝結が遅くなるため、洗い出し工程の際に未硬化のセメント等が水で流されて骨材(細骨材、粗骨材)が表面に露出する。よって、硬化部1aの部位との外観上の違い(パターン)が形成されることとなる。
【0019】
ところで、通常のコンクリートは、セメントと、骨材(細骨材、粗骨材)と、水と、混和剤などを含有して構成されており、暗めの灰色(無彩色)である。また細骨材には砂が用いられている。このため、上述したような洗い出しによりパターンを形成したとしても色彩を豊かにすることは困難である。
【0020】
そこで、本実施形態では色彩を豊かにして意匠性の向上を図っている。具体的には、セメントとしてホワイトセメントを用いており、また、細骨材としてガラス廃材で形成された5mm以下(0〜5mm)のガラス砂を用いている。
【0021】
これにより、本実施形態のコンクリートでは、ホワイトセメントを用いているので見た目が明るくなり、また、ガラス砂に光が当った場合、光がガラス砂によって反射するので、綺麗で色彩豊かにすることができる。
【0022】
<<実施例>>
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0023】
図2は、コンクリートの調合等の条件の説明図である。
【0024】
(使用材料)
コンクリートの使用材料は、セメント、細骨材、粗骨材、混和剤(減水剤、空気量調整材)、及び、水である。本実施例では、セメントと細骨材を通常のコンクリートの材料から変更している。
【0025】
・セメントについて
図2に示すように、本実施例では、セメントに太平洋セメント株式会社製のホワイトセメント(C1)を用いた。また、比較例として、普通ポルトランドセメント(C2)を用いたものを作成した。
【0026】
図3は、ホワイトセメントと普通ポルトランドセメント(参考規格)との特性比較を示す図である。
【0027】
ホワイトセメントは、ポルトランドセメントの一種(白色ポルトランドセメント)であり、ポルトランドセメントの呈色成分である酸化第二鉄(Fe23)及び酸化マグネシウム(MgO)の含有率が少なく、白色度が高いセメントである。ホワイトセメントの基本的な性質は普通ポルトランドセメントとほぼ同等である。
【0028】
・細骨材について
図2に示すように、本実施例では細骨材として、ガラスリソーシング株式会社製のガラス砂(商品名:サンドウェーブG)を用いた。なお、本実施例では、後述するように、粒径が0〜5mmのガラス砂(S1)と粒径が2〜5mmのガラス砂(S2)と7:3の混合比率で混合している。また、比較例として、千葉木更津産の陸砂(S3)を用いたものを作製した。
【0029】
図4は、サンドウェーブGと山砂との特性比較を示す図である。
【0030】
サンドウェーブGは、廃棄、埋め立て処分されていたガラス瓶やガラスくずを100%原料とするリサイクル材であり、鋭利なファセット(劈開面)が無く、土壌における環境基準をクリアした安全な造粒砂である。また、サンドウェーブGは、自然砂に比べて粒度や性能にバラツキが小さく、経時変化も小さい。また、透水性が高く、力学的特性も山砂以上である。
【0031】
また、図5は、サンドウェーブG(0〜5mm)の粒度分布を示す図である。横軸は粒径の大きさ(mm)を示しており、縦軸は重量通過百分率(%)を示している。
【0032】
図5に示すように、サンドウェーブGは、「砂柱の使用限界(カリフォルニア州示方書)」及び「圧入砂の実用範囲」のそれぞれ上限と下限の間にあり、ふたつの粒度に適合した比較的「粗い」粒度分布となっている。
【0033】
(製造方法)
本実施例では、まず、サンドウェーブG(粒径0〜5mmのガラス砂(S1))をふるい分けすることにより、粒径2〜5mmのガラス砂(S2)を選別した(選別工程に相当)。
【0034】
そして、ふるい分けしていないサンドウェーブG(粒径0〜5mmのガラス砂(S1))と、ふるい分けによって得られたガラス砂(S2)とを混合比率7:3(所定比率に相当)で混合した(ガラス砂混合工程に相当)。すなわち図5よりサンドウェーブGにおいて2mm以上は20%であるので、ガラス砂(S1)が70%、ガラス砂(S2)が30%のとき、S1とS2の混合物における2〜5mmのガラス砂の割合は、
0.7×0.2+0.3×1.0=0.44
となる(すなわち44%である)。
【0035】
このようにすることにより、大きい粒子(ガラス砂)の割合が増えるので、色彩をより強調することができる(色鮮やかになる)。
【0036】
その後、図2に示す配合条件(単位量など)で各材料を混合し、図2の練り混ぜ方法にて練り混ぜた(混合工程に相当)。すなわち、図2に示すように、まず、骨材とセメントをミキサに投入し、10秒間空練りした。このとき、本実施例では、セメントにホワイトセメントを用いており、細骨材に0〜5mmのガラス砂を用いているので、ホワイトセメントと0〜5mmのガラス砂とを含有するセメント混合材となる。その後、混和剤及び水をミキサに投入し、60秒間練り混ぜた。
【0037】
そして、前述した図1A図1Fに示す手順にて型枠10(シート20を含む)内にコンクリートを打設し、硬化後に型枠10を脱型し、さらに洗い出し工程を行った。
【0038】
なお、型枠10の脱型は、硬化した部分のコンクリートの強度が12N/mm2以上になった後(図2の品質試験結果の場合、約24時間経過後)に行うことが望ましい。こうすることにより、パターンのエッジ(後述する領域Raと領域Rbとの境界)を綺麗に形成できる。
【0039】
(評価結果)
図6A(上段)は比較例のコンクリートの外観を示す図であり、図6B(下段)は本実施例のコンクリートの外観を示す図である。ここでは、使用するシート20として3種類用いており、コンクリートの表面形状もシート20に対応してそれぞれ3種類形成されている。なお、図において、Raで示す領域はコンクリートの硬化部1aに対応する部位である。すなわち、脱型時に硬化していた部位である。また、Rbで示す領域は、未硬化部1bに対応する部位である。すなわち、脱型時に未硬化であり、洗い出し工程の際にセメント等が水で流されて骨材が多く露出した部位である。
【0040】
図に示すように、比較例(上段)のコンクリートの表面は、領域Raではやや暗い灰色色であり、また、領域Rbでも陸砂(S3)などの骨材が露出しており暗い色となっている。
【0041】
これに対し、本実施例(下段)のコンクリートの表面は、領域Raではホワイトセメントの白色であり、また、領域Rbではいろいろな色のガラス砂が露出している。これにより、比較例よりも見た目が明るい印象になり、また、ガラス砂に光が当った場合、光がガラス砂によって反射するので、綺麗で色彩豊かにできる。よって、多彩な色彩を表現でき、外観上の美的効果を高めることができる。
【0042】
<<変形例>>
図7A図7Hは、コンクリート製造方法の変形例の説明図である。前述の実施形態では、型枠10の内側にシート20(凝結遅延剤)を配置していたが、この変形例では、後述するように、型枠以外の場所に凝結遅延剤を配置している。
【0043】
まず、図7Aに示すように型枠10´を組み、その内部にコンクリート1(生コンクリート)を打設する。ただし、この変形例では、型枠10´には凝結遅延剤の設けられたシートが取り付けられていない。
【0044】
コンクリート1の打設後、図7Bに示すように、上面(天端面)を鏝120などで仕上げる。そして、図7Cに示すように、ブリージング水があるうちに上面にクロス22を配置する。このクロス22は、通気性のある(空気が抜けやすい)メッシュ状のシートであり、クロス22には全面に凝結遅延剤が刷り込まれている。
【0045】
クロス22の配置後、図7Dに示すように、クロス22の上から鏝120などで軽く抑えてコンクリート1とクロス22との間のエア(空気)を抜いて仕上げる。
【0046】
仕上げ後、養生する。凝結遅延剤が設けられたクロス22を配置しているのでコンクリート1には、図7Eに示すように、未硬化部1bと硬化部1aとが形成される。なお、この例では、クロス22の全面に凝結遅延剤が刷り込まれているためコンクリート1の上面全てが未硬化部1bとなっている。
【0047】
そして、所定時間経過後(例えば、硬化部1aの圧縮強度が12N/mm2以上になった後)、図7Fに示すように、型枠10´を脱型し、クロス22を剥がす(脱型工程)。そして、図7Gに示すように、高圧洗浄機100を用いて未硬化部1bを水で洗い流す(洗い出し工程)。これにより、図7Hに示すように洗い出し仕上げ面が形成される。
【0048】
なお、この例では、クロス22の全面に凝結遅延剤が刷り込まれているためコンクリート1の上面全てが未硬化部1bとなっていたが、前述の実施形態と同様に、クロス22に凝結遅延剤の刷り込まれていない領域を設けることによって、上面に未硬化部1bと硬化部1aとを形成するようにしてもよい。こうすることにより、洗い出し処理で所望のパターンを形成することができる。
【0049】
また、この例では、コンクリートの打設後に鏝120で上面を押さえて平滑に仕上げていたが、これには限らず、例えば、コンクリートにセルフレべリングの機能を持たせて、押さえ無しで仕上げるようにしてもよい。
【0050】
===その他の実施形態について===
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0051】
前述の実施形態では、コンクリートの場合について説明していたが、他の水硬性組成物に適用してもよい。例えば、粗骨材を含有しないモルタルに適用してもよい。この場合もホワイトセメントと粒形が0〜5mmのガラス砂を用いることで、前述の実施形態と同様に色彩を豊かにすることができる。
【0052】
前述の実施形態では型枠10は板状の部材であったが、型枠はどのような形状であってもよい。例えば、円柱状の型枠などであってもよい。
【0053】
また、コンクリートの使用材料や配合条件は図2の条件には限られない。例えば、粒径0〜5mmのガラス砂(S1)と粒径2〜5mmのガラス砂(S2)との混合比率を変えてもよい。あるいは、細骨材として粒径0〜5mmのガラス砂(S1)のみを用いてもよい。ただし、粒径2〜5mmのガラス砂(S2)のみでは、細かい粒子が無いのでフレッシュコンクリートの性状が悪くなるおそれがある。よって、少なくともガラス砂(S1)を用いることが望ましい。なお、前述の実施例のように、ガラス砂(S1)とガラス砂(S2)との混合によって粒径2〜5mmのガラス砂の割合を40%以上とすることで、色彩をより強調することができる。
【符号の説明】
【0054】
1 コンクリート
1a 硬化部
1b 未硬化部
10 型枠
20 シート
20a 凝結遅延剤が刷り込まれていない領域
20b 凝結遅延剤が刷り込まれた領域
22 クロス
100 高圧洗浄機
120 鏝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7