(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る空気循環制御装置10を備えた全館空調システムの概略構成図である。
この実施の形態1では、
図1に示すように、全館空調システムは、建物内の複数の部屋100a〜100cを対象に空調を行うものとする。
なお、この実施の形態1では、全館空調システムは、部屋100a〜100cの3つの部屋を空調の対象とするが、これは一例に過ぎず、全館空調システムは、例えば、2つまたは4つ以上の部屋を空調するものとしてもよいし、空調の対象を、建物内の通路等としてもよい。この実施の形態1では、空調の対象となる、建物内の複数の部屋または通路等を、まとめて区画ともいうものとする。
【0010】
また、
図1では、全館空調システムは、建物は、例えば1階建てとし、建物内の1フロアの部屋100a〜100cを対象に空調を行う場合を示しているが、これは一例に過ぎず、全館空調システムは、複数の階を有する建物内の区画を対象に空調を行うものであってもよい。
また、この実施の形態1では、全館空調システムは、VAV(Variable Air Volume Control)制御(可変風量制御)の機能を搭載するものを想定している。VAV制御では、建物内の区画ごとの温度設定を可能とし、ダンパ5a〜5c(詳細は後述する)が各区画への風量を調整することで、各区画の温度を設定温度に近づける制御を行う。
【0011】
空調システムは、冷風または温風を生成し、送出する空調機1と、空調機1が生成した冷風または温風が導入されるチャンバ2と、チャンバ2に接続して部屋100a〜100cの吹出口4a〜4cに通じるダクト3a〜3dと、ダンパ5a〜5c等で構成される。
空調機1は、廊下等の室内に設置される室内機(図示省略)と室外に設置される室外機(図示省略)とで構成される。ここでは、空調機1は、室内機を示すものとして以下説明する。
空調機1は、熱源機11と、送風機12と、制御部13と、吹出温度検知部14と、還気温度検知部15とを備える。また、空調機1は、空気循環制御装置10を搭載する。
熱源機11は、室外機からの冷媒配管(図示省略)に接続された、蒸発器または凝縮器として機能し、冷風または温風を生成して、送風機12に出力する。
送風機12は、熱源機11が生成した冷風または温風等の空気を、ダクト3dに送出する。
空調機1は、例えば天井裏に設置されたチャンバ2に当該ダクト3dを介して接続され、空調機1が生成し、送出した冷風または温風等は、チャンバ2内へ導入される。
空調機1側からチャンバ2内へ導入された冷風または温風は、ダクト3a〜3cに分岐して、それぞれ、部屋100a〜100cに設置された吹出口4a〜4cから、各部屋100a〜100c内に送出される。すなわち、空調機1で生成された冷風または温風等の空気は、吹出口4a〜4cから、各部屋100a〜100cに供給される。
【0012】
吹出口4a〜4cには、
図1に示すように、通風量を調整するダンパ5a〜5cが備えられる。
吹出口4a〜4cから吹き出された冷風または温風は、ダクト3a〜3cにつながる各部屋100a〜100cの吹出口4a〜4cに備えられたダンパ5a〜5cの開度によって送風量を調整される。調整されて送出されることで各部屋100a〜100cに供給された空気(吹出空気。
図1のA参照)は、各部屋100a〜100cを通過した
後、空調機1に戻される(還気。
図1のB参照)。
なお、この実施の形態1では、上述のとおり、吹出口4a〜4cにダンパ5a〜5cが設置され、当該ダンパ5a〜5cによって、各部屋100a〜100cへ供給される送風量が調整されるものとしたが、各部屋100a〜100cへ供給される送風量の調整は、ダンパ5a〜5cが行うものに限らず、ダンパ以外の可変風量装置が行うものであってもよく、各部屋100a〜100cへ供給される送風量が調整できるようになっていればよい。この実施の形態1では、ダンパ5a〜5c、および、ダンパ以外の可変風量装置も含め、各部屋100a〜100cへ供給される送風量を調整する装置等を、まとめて、可変風量制御部ともいうものとする。可変風量制御部は、ここでは、一例として、吹出口4a〜4cに設置されるものとしているが、これに限らず、可変風量制御部は、分岐チャンパ内またはダクト内等、空気の供給路中に設置されてもよい。
【0013】
空調機1の吹出温度検知部14は、空調機1から各部屋100a〜100cへ送出する吹出空気の空気温度を検知する。
また、空調機1の還気温度検知部15は、各部屋100a〜100cから空調機1に戻される還気の温度を検知する。
吹出温度検知部14および還気温度検知部15は、例えば、温度センサである。
【0014】
空調機1の制御部13は、吹出温度検知部14および還気温度検知部15が検知した空気温度の情報と、例えば各部屋100a〜100cに設置されたリモコン(図示省略)から取得した各部屋100a〜100cにおける設定温度の情報に基づき、吹出空気の温度制御動作を実行する。具体的には、制御部13は、吹出温度検知部14および還気温度検知部15が検知した空気温度の情報と、例えば各部屋100a〜100cに設置されたリモコンから取得した各部屋100a〜100cにおける設定温度の情報に基づき、送出する吹出空気の温度を算出し、熱源機11に対して、算出した温度となる空気を生成させる。また、制御部13は、吹出温度検知部14および還気温度検知部15が検知した空気温度の情報と、例えば各部屋100a〜100cに設置されたリモコンから取得した各部屋100a〜100cにおける設定温度の情報に基づき、送出すべき送風量となるダンパ5a〜5cの開度を算出し、ダンパ5a〜5cに対して、算出した開度となるよう駆動制御し、送風量を調整させる。
なお、制御部13は、リモコンから、リモコンインタフェース部(図示省略)を介して、設定温度の情報を取得するようにすればよい。
ユーザは、リモコンを操作して、各部屋100a〜100cの設定温度を所望の温度に設定することができる。
【0015】
空気循環制御装置10は、各部屋100a〜100cにおける設定温度の情報、区画内温度の情報、および、空調機1の還気温度検知部15が検知した空気温度に基づき、部屋100a〜100c間での空気の循環制御を行う。
ここで、循環制御とは、区画内温度よりも設定温度に近い空気を、他の部屋100a〜100cから、対象の部屋100a〜100cに供給することによって、対象の部屋100a〜100cの区画内温度を制御することをいう。当該循環制御においては、空調機1の熱源機11を必要としない。
【0016】
当該循環制御について、空調機1が暖房運転を行っている場合、すなわち、空調機1から各部屋100a〜100cに温風を供給している場合を例にとって、その原理を説明する。
暖房運転の際には、空調機1は、区画内温度よりも温度が高い空気(暖気)を供給して空調の対象となる部屋100a〜100cを暖めている。
しかし、全館空調システムにおいては、暖気が空調機1の近く、または、他の部屋100a〜100cに存在する場合がある。各部屋100a〜100cの設定温度の違い、または、日当たり等の影響によって、部屋100a〜100cごとに室内の温度状況が異なるためである。
【0017】
そこで、全館空調システムにおいては、例えば、日当たり等の影響によって区画内温度が設定温度に満たない部屋(対象の部屋)があれば、他の部屋に存在する暖気を当該対象の部屋に供給することによって、空調機1の熱源機11を用いずに、対象の部屋の区画内温度を上げることができる。
また、例えば、日当たり等の影響によって区画内温度が設定温度を超過する部屋(対象の部屋)があれば、より設定温度に近い、他の部屋の空気を供給することで、対象の部屋の区画内温度の超過を抑えることができる。
このように、区画間で熱の循環を行うことを、循環制御という。
なお、通常の個室エアコンにおいては、暖気は熱源機によって作り出さなければ存在し得ず、対象の区画への空気の供給元となる他の区画が存在しない。よって、当該循環制御は、全館空調システムのメリットの一つであると言える。
【0018】
図2は、この発明の実施の形態1に係る空気循環制御装置10の構成図である。
空気循環制御装置10は、設定温度取得部101と、区画内温度取得部102と、還気温度取得部103と、循環可否判定部104と、熱源機制御指示部105と、風量制御指示部106とを備える。
空気循環制御装置10は、ソフトウェアに基づくCPUを用いたプログラム処理によって実行される。
【0019】
設定温度取得部101は、例えば各部屋100a〜100cに設置されたリモコンから、各部屋100a〜100cにおける設定温度の情報を取得する。具体的な動作は、上述した、空調機1の制御部13が各部屋100a〜100cにおける設定温度の情報を取得する動作と同様であるため重複した説明は省略する。
設定温度取得部101は、取得した設定温度の情報を循環可否判定部104に出力する。
【0020】
区画内温度取得部102は、例えば各部屋100a〜100cに設置された温度センサから、各部屋100a〜100cの区画内温度の情報を取得する。
区画内温度取得部102は、取得した区画内温度の情報を循環可否判定部104に出力する。
【0021】
還気温度取得部103は、空調機1の還気温度検知部15が検知した還気の温度の情報を取得する。
還気温度取得部103は、取得した還気の温度の情報を循環可否判定部104に出力する。
【0022】
循環可否判定部104は、設定温度取得部101から取得した設定温度の情報と、区画内温度取得部102から取得した区画内温度の情報と、還気温度取得部103から取得した還気の温度の情報とに基づき、部屋100a〜100cのうち、空調機1への還気を供給することで区画内温度を設定温度に近い温度になると判断できる部屋100a〜100c、すなわち、室内の空気の循環が可能な部屋100a〜100cがあるかどうかを判定する。
循環可否判定部104は、室内の空気の循環が可能な部屋100a〜100cがあると判定した場合、当該室内の空気の循環が可能な部屋100a〜100cに関する情報を、循環区画情報として作成し、熱源機制御指示部105および風量制御指示部106に出力する。
室内の空気の循環が可能な部屋100a〜100cを、循環区画ともいうものとする。
【0023】
熱源機制御指示部105は、循環可否判定部104から、循環区画情報が出力されると、空調機1の制御部13に対して、熱源機11の運転を停止させる停止制御指示を出力する。
当該停止制御指示が出力されると、制御部13は、熱源機11の運転を停止させる。
【0024】
風量制御指示部106は、循環可否判定部104から、循環区画情報が出力されると、空調機1の制御部13に対して、該当の部屋100a〜100cの室内へ吹出空気を供給する可変風量制御部に風量増加指示を出力する。例えば、この実施の形態1では、風量制御指示部106は、制御部13に対して、該当の部屋100a〜100cの室内へ吹出空気を供給する吹出口4a〜4cに設置されたダンパ5a〜5cを開放させる風量増加指示を出力する。
当該風量増加指示が出力されると、制御部13は、該当のダンパ5a〜5cを開放させる制御を行う。例えば、制御部13は、開放させるダンパ5a〜5cの開度は全開とすればよい。
また、風量制御指示部は、循環可否判定部104から、循環区画情報が出力されると、循環区画以外の部屋100a〜100cの室内へ吹出空気を供給する可変風量制御部に風量減少指示を出力する。
当該風量減少指示が出力されると、制御部13は、風量制御指示部106からの風量を増加させる指示の対象とならない部屋100a〜100cについて、室内の空気の循環が可能な区画ではないため、空気を循環させる制御は行わないようにする。
【0025】
次に、この発明の実施の形態1に係る空気循環制御装置10の動作について説明する。
図3は、この発明の実施の形態1に係る空気循環制御装置10による循環制御の動作を説明するフローチャートである。
図3のフローチャートに沿って、空気循環制御装置10の動作を説明する。
なお、以下の説明において、一例として、全館空調システムは、
図1に示すように、建物内の1フロアの部屋100a〜100cを対象に空調を行うものとする。また、部屋100a〜100cの設定温度は、それぞれ、23℃、23℃、24℃であり、部屋100a〜100cの区画内温度は、それぞれ、24℃、22℃、24℃であるものとする。また、部屋100a〜部屋100cから空調機1への還気の温度は23℃であり、空調機1によって各部屋100a〜100cへ供給される空気は、一律23℃であるものとする。
【0026】
設定温度取得部101は、例えば各部屋100a〜100cに設置されたリモコンから、各部屋100a〜100cにおける設定温度の情報を取得する(ステップST301)。ここでは、設定温度取得部101は、部屋100aの設定温度23℃、部屋100bの設定温度23℃、および、部屋100cの設定温度24℃の情報を取得する。
設定温度取得部101は、取得した設定温度の情報を循環可否判定部104に出力する。
【0027】
区画内温度取得部102は、例えば各部屋100a〜100cに設置された温度センサから、各部屋100a〜100cの区画内温度の情報を取得する(ステップST302)。ここでは、区画内温度取得部102は、部屋100aの区画内温度24℃、部屋100bの区画内温度22℃、および、部屋100cの区画内温度24℃の情報を取得する。
区画内温度取得部102は、取得した区画内温度の情報を循環可否判定部104に出力する。
【0028】
還気温度取得部103は、空調機1の還気温度検知部15が検知した還気の温度の情報を取得する(ステップST303)。ここでは、還気温度取得部103は、還気の温度23℃の情報を取得する。
還気温度取得部103は、取得した還気の温度の情報を循環可否判定部104に出力する。
【0029】
循環可否判定部104は、ステップST301において設定温度取得部101が取得した設定温度の情報と、ステップST302において区画内温度取得部102が取得した区画内温度の情報と、ステップST303において還気温度取得部103が取得した還気の温度の情報とに基づき、循環区画があるかどうか、すなわち、部屋100a〜100cのうち、室内の空気の循環が可能な部屋100a〜100cがあるかどうかを判定する(ステップST304)。
【0030】
ステップST304において、部屋100a〜100cのうち、室内の空気の循環が可能な部屋100a〜100cがあると判定した場合(ステップST304の“YES”の場合)、ステップST305に進む。
【0031】
一方、ステップST304において、部屋100a〜100cのうち、室内の空気の循環が可能な部屋100a〜100cがないと判定した場合(ステップST304の“NO”の場合)、処理を終了する。
ここでは、部屋100aは、設定温度23℃に対して区画内温度が24℃であり、区画内温度が設定温度を超過している。また、空調機1への還気の温度は23℃であり、部屋100aの区画内温度よりも低い温度になっている。
また、部屋100bは、設定温度23℃に対して区画内温度が22℃であり、設定温度に対して区画内温度が不足している。また、空調機1への還気の温度は23℃であり、部屋100bの区画内温度よりも高い温度になっている。
【0032】
そこで、循環可否判定部104は、部屋100aおよび部屋100bで空気の循環が可能であると判定し、ステップST305に進む。すなわち、循環可否判定部104は、部屋100aおよび部屋100bが、循環区画であると判定する。
このように、循環可否判定部104は、空調機1への還気を供給して室内の空気を循環させることで、区画内温度が設定温度に近い温度になると判断できる部屋100a〜100cが存在する場合、部屋100a〜100cのうち、室内の空気の循環が可能な部屋100a〜100cがあると判定する。
つまり、循環可否判定部104は、「空調機1の還気を供給すると区画内温度が改善するか否か」で、空調機1への還気を供給して室内の空気を循環させるかどうかを判断する。循環可否判定部104は、当該判断を、還気の温度と、部屋100a〜100cの設定温度と、部屋100a〜100cの区画内温度とによって行う。なお、区画内温度が改善する、すなわち、区画内温度が設置温度に近い温度になると判断できる部屋100a〜100cは、1つでもあれば、当該部屋の空気の循環を行う。
【0033】
循環可否判定部104は、空気の循環が可能であると判定した部屋100a〜100cについて、当該部屋100a〜100cに関する情報を、循環区画情報として作成する(ステップST305)。ここでは、循環可否判定部104は、各部屋100a〜100cのうち、空調機1への還気を供給して室内の空気を循環させることで、区画内温度が設定温度に近い温度になると判断した部屋100aおよび部屋100bの情報を含む循環区画情報を作成する。なお、循環区画情報は、空調機1への還気を供給して室内の空気の循環が可能であると判定した部屋100a〜100cを特定できるようになっていればよい。
【0034】
循環可否判定部104は、ステップST305で作成した循環区画情報を、熱源機制御指示部105および風量制御指示部106に出力する(ステップST306)。
【0035】
熱源機制御指示部105は、ステップST306において、循環可否判定部104から、循環区画情報が出力されると、空調機1の制御部13に対して、熱源機11の運転を停止させる停止制御指示を出力する(ステップST307)。
当該停止制御指示が出力されると、制御部13は、熱源機11の運転を停止させる。
【0036】
風量制御指示部106は、ステップST306において、循環可否判定部104から、循環区画情報が出力されると、空調機1の制御部13に対して、該当の部屋100a〜100cの室内へ吹出空気を供給する吹出口4a〜4cに設置されたダンパ5a〜5cを開放させる風量増加指示を出力する。また、このとき、風量制御指示部106は、循環区画以外の部屋100a〜100cについては、制御部13に対して、当該循環区画以外の部屋100a〜100cの吹出口4a〜4cに設置されたダンパ5a〜5cから部屋100a〜100cに供給される風量を減少させる風量減少指示を出力する(ステップST308)。
【0037】
ここでは、風量制御指示部106は、部屋100a,100bの室内へ吹出空気を供給する吹出口4a,4bに設置されたダンパ5a,5bを開放させる風量増加指示を出力する。また、風量制御指示部106は、部屋100cの循環空気のやり取りが行われないようにする指示を、風量減少指示として出力する。例えば、風量制御指示部106は、部屋100cの室内へ吹出空気を供給する吹出口4cに設置されたダンパ5cを閉鎖させる風量減少指示を出力する。なお、これは一例に過ぎず、部屋100cの室内への吹出空気を減少させるものであればよいので、風量制御指示部106は、必ずしもダンパ5cを閉鎖させる風量減少指示とする必要はない。
【0038】
風量増加指示が出力されると、制御部13は、該当のダンパ5a,5bを開放させる制御を行う。
これにより、空調機1から23℃の空気を部屋100a,100bの双方の部屋に供給し、空調機1を経由して二つの部屋100a,100bの空気が循環されるようになる(
図1のC参照)。
また、制御部13は、風量制御指示部106からの風量を増加させる指示の対象とならない部屋100cについては、空気を循環させる制御を行わない。これにより、循環区画以外の区画については、循環空気のやり取りは行わない。
【0039】
部屋100aおよび部屋100bで室内空気が循環されるので、部屋100aの区画内温度は下がり、部屋100bの区画内温度は上がって、それぞれの部屋の区画内温度が設定温度に近づくようになる。また、区画内温度が設定温度と等しい部屋100cについては、循環空気のやり取りは行われず、設定温度を達成した状態が維持される。
また、このとき、空調機1の熱源機11は、運転を停止しているので(ステップST307参照)、全館空調システムの省エネに貢献することができる。
【0040】
なお、以上の説明では、ステップST301からステップST308の順で処理するものとして説明したが、ステップST301〜ステップST303の順番は入れ替わってもよい。また、ステップST307とステップST308の処理の順番は入れ替わってもよい。
【0041】
以上の実施の形態1では、空気循環制御装置10は、空調機1に搭載されるものとしたが、これに限らず、空気循環制御装置10は、空調機1の外部に備えられ、ネットワークを介して、空調機1に対して制御指示を行い、全館空調システムにおける循環制御を行うものとしてもよい。
【0042】
また、以上の実施の形態1では、
図1で示したように、全館空調システムが備えるダクト3a〜3cは単一のダクトで構成されるものとし、建物内の各区画への冷気または暖気または空調機の還気の供給は、当該単一のダクト使用するものとしたが、これに限らない。例えば、建物内の各区画への冷気または暖気の供給を行う冷暖気用ダクトと、建物内の各区画への空調機の還気の供給を行う還気専用ダクトとを別々に備えるようにしてもよい。
【0043】
以上のように、この実施の形態1によれば、全館空調システムにおいて循環制御を行う空気循環制御装置10について、複数の区画(部屋100a〜100c)
ごとに個別に設定される設定温度の情報を取得する設定温度取得部101と、複数の区画の区画内温度の情報を取得する区画内温度取得部102と、
複数の区画にそれぞれ設置された吹出口4a〜4bに設置され、複数の区画に供給する風量を制御する可変風量制御部(ダンパ5a〜5c)と、空調機1で生成され、複数の区画に
それぞれ設置された吹出口4a〜4bから各区画へ供給された
後、当該各区画から空調機1に戻される空気である還気の温度の情報を取得する還気温度取得部103と、設定温度取得部101が取得した設定温度、区画内温度取得部102が取得した区画内温度、および、還気温度取得部103が取得した還気の温度の情報に基づき
、複数の区画のうち、還気を供給することで、区画内温度を設定温度に近づけることが可能な循環区画
があるか否かを判定する循環可否判定部104と、循環可否判定部104が循環区画ありと判定した場合、当該循環区画の可変風量制御部に
、還気を吹出口4a〜4bから当該循環区画に供給させるための風量増加指示を出力する風量制御指示部106
と、循環可否判定部104が循環区画ありと判定した場合、空調機か1ら各区画へ供給する空気を生成する熱源機11の運転を停止させる停止制御指示を出力する熱源機制御指示部105を備えるように構成したので、区画内の空気を循環させることで設定温度に近づける区画について、空気を循環させる制御を行うことができる。
また、風量制御指示部106は、循環可否判定部104が循環区画ありと判定した場合、当該循環区画以外の可変風量制御部に風量減少指示を出力するようにしたので、目標を達成している区画の温度達成状態を維持したまま、その他の区画について、設定温度に近づけるよう、建物内の各区画の空気を循環させることができる。
【0044】
また、この実施の形態1によれば、循環可否判定部104が循環区画ありと判定した場合、空調機1から各区画へ供給する空気を生成する熱源機11の運転を停止させる停止制御指示を出力する熱源機制御指示部105を備えるように構成したので、全館空調システムの省エネに貢献することができる。
【0045】
なお、本願発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。