【課題を解決するための手段】
【0004】
したがって、本発明は、抗PD−1抗体を約5mg/mL〜約15mg/mLの範囲の濃度で、クエン酸塩を約15mM〜約25mMの濃度で、ヒスチジンを約20mM〜約30mMの濃度で、マンニトールを約130mM〜約165mMの濃度で、塩化ナトリウムを約45mM〜約55mMの濃度で、エデト酸塩を約0.01mM〜約0.03mMの濃度で、ポリソルベート20またはポリソルベート80を約0.01%〜約0.03%の範囲の濃度で含み、約5.5〜約6.5のpHを有する医薬製剤であって、抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含み、2本のLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、2本のHCのアミノ酸配列が同じであり、配列番号3または配列番号4のいずれかである、医薬製剤を提供する。
【0005】
本発明は、抗PD−1抗体を約10mg/mLの濃度で、クエン酸塩を約15mM〜約25mMの濃度で、ヒスチジンを約20mM〜約30mMの濃度で、マンニトールを約130mM〜約165mMの濃度で、塩化ナトリウムを約45mM〜約55mMの濃度で、エデト酸塩を約0.01mM〜約0.03mMの濃度で、ポリソルベート20またはポリソルベート80を約0.01%〜約0.03%の範囲の濃度で含み、約5.5〜約6.5のpHを有する医薬製剤であって、抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含み、2本のLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、2本のHCのアミノ酸配列が同じであり、配列番号3または配列番号4のいずれかである、医薬製剤も提供する。
【0006】
本発明は、抗PD−1抗体を約5mg/mL〜約15mg/mLの範囲の濃度で、クエン酸塩を約20mMの濃度で、ヒスチジンを約20mM〜約30mMの濃度で、マンニトールを約130mM〜約165mMの濃度で、塩化ナトリウムを約45mM〜約55mMの濃度で、エデト酸塩を約0.01mM〜約0.03mMの濃度で、ポリソルベート20またはポリソルベート80を約0.01%〜約0.03%の範囲の濃度で含み、約5.5〜約6.5のpHを有する医薬製剤であって、抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含み、2本のLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、2本のHCのアミノ酸配列が同じであり、配列番号3または配列番号4のいずれかである、医薬製剤も提供する。
【0007】
本発明は、抗PD−1抗体を約5mg/mL〜約15mg/mLの範囲の濃度で、クエン酸塩を約15mM〜約25mMの濃度で、ヒスチジンを約25mMの濃度で、マンニトールを約130mM〜約165mMの濃度で、塩化ナトリウムを約45mM〜約55mMの濃度で、エデト酸塩を約0.01mM〜約0.03mMの濃度で、ポリソルベート20またはポリソルベート80を約0.01%〜約0.03%の範囲の濃度で含み、約5.5〜約6.5のpHを有する医薬製剤であって、抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含み、2本のLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、2本のHCのアミノ酸配列が同じであり、配列番号3または配列番号4のいずれかである、医薬製剤も提供する。
【0008】
本発明は、抗PD−1抗体を約5mg/mL〜約15mg/mLの範囲の濃度で、クエン酸塩を約15mM〜約25mMの濃度で、ヒスチジンを約20mM〜約30mMの濃度で、マンニトールを約140mMの濃度で、塩化ナトリウムを約45mM〜約55mMの濃度で、エデト酸塩を約0.01mM〜約0.03mMの濃度で、ポリソルベート20またはポリソルベート80を約0.01%〜約0.03%の範囲の濃度で含み、約5.5〜約6.5のpHを有する医薬製剤であって、抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含み、2本のLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、2本のHCのアミノ酸配列が同じであり、配列番号3または配列番号4のいずれかである、医薬製剤も提供する。
【0009】
本発明は、抗PD−1抗体を約5mg/mL〜約15mg/mLの範囲の濃度で、クエン酸塩を約15mM〜約25mMの濃度で、ヒスチジンを約20mM〜約30mMの濃度で、マンニトールを約130mM〜約165mMの濃度で、塩化ナトリウムを約50mMの濃度で、エデト酸塩を約0.01mM〜約0.03mMの濃度で、ポリソルベート20またはポリソルベート80を約0.01%〜約0.03%の範囲の濃度で含み、約5.5〜約6.5のpHを有する医薬製剤であって、抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含み、2本のLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、2本のHCのアミノ酸配列が同じであり、配列番号3または配列番号4のいずれかである、医薬製剤も提供する。
【0010】
本発明は、抗PD−1抗体を約5mg/mL〜約15mg/mLの範囲の濃度で、クエン酸塩を約15mM〜約25mMの濃度で、ヒスチジンを約20mM〜約30mMの濃度で、マンニトールを約130mM〜約165mMの濃度で、塩化ナトリウムを約45mM〜約55mMの濃度で、エデト酸塩を約0.02mMの濃度で、ポリソルベート20またはポリソルベート80を約0.01%〜約0.03%の範囲の濃度で含み、約5.5〜約6.5のpHを有する医薬製剤であって、抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含み、2本のLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、2本のHCのアミノ酸配列が同じであり、配列番号3または配列番号4のいずれかである、医薬製剤を提供する。
【0011】
本発明は、抗PD−1抗体を約5mg/mL〜約15mg/mLの範囲の濃度で、クエン酸塩を約15mM〜約25mMの濃度で、ヒスチジンを約20mM〜約30mMの濃度で、マンニトールを約130mM〜約165mMの濃度で、塩化ナトリウムを約45mM〜約55mMの濃度で、エデト酸塩を約0.01mM〜約0.03mMの濃度で、ポリソルベート20またはポリソルベート80を約0.02%の濃度で含み、約5.5〜約6.5のpHを有する医薬製剤であって、抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含み、2本のLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、2本のHCのアミノ酸配列が同じであり、配列番号3または配列番号4のいずれかである、医薬製剤も提供する。
【0012】
本発明は、抗PD−1抗体を約5mg/mL〜約15mg/mLの範囲の濃度で、クエン酸塩を約15mM〜約25mMの濃度で、ヒスチジンを約20mM〜約30mMの濃度で、マンニトールを約130mM〜約165mMの濃度で、塩化ナトリウムを約45mM〜約55mMの濃度で、エデト酸塩を約0.01mM〜約0.03mMの濃度で、ポリソルベート20またはポリソルベート80を約0.01%〜約0.03%の範囲の濃度で含み、約6.0のpHを有する医薬製剤であって、抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含み、2本のLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、2本のHCのアミノ酸配列が同じであり、配列番号3または配列番号4のいずれかである、医薬製剤も提供する。
【0013】
本発明は、抗PD−1抗体を約10mg/mLの濃度で、クエン酸塩を約20mMの濃度で、ヒスチジンを約25mMの濃度で、マンニトールを約140mMの濃度で、塩化ナトリウムを約50mMの濃度で、エデト酸塩を約0.02mMの濃度で、ポリソルベート−80を約0.02%の濃度で含み、約6.0のpHを有する医薬製剤であって、抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含み、2本のLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、2本のHCのアミノ酸配列が同じであり、配列番号3または配列番号4のいずれかである、医薬製剤も提供する。
【0014】
本発明は、抗PD−1抗体を約10mg/mLの濃度で、クエン酸塩を約20mMの濃度で、ヒスチジンを約25mMの濃度で、マンニトールを約140mMの濃度で、塩化ナトリウムを約50mMの濃度で、エデト酸塩を約0.02mMの濃度で、ポリソルベート−20を約0.02%の濃度で含み、約6.0のpHを有する医薬製剤であって、抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含み、2本のLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、2本のHCのアミノ酸配列が同じであり、配列番号3または配列番号4のいずれかである、医薬製剤も提供する。
【0015】
一実施形態では、本発明は、約5mg/mL〜約15mg/mLの濃度の抗PD−1抗体を含む医薬製剤も提供する。別の実施形態では、本発明は、約5mg/mLの濃度の抗PD−1抗体を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本発明は、約10mg/mLの濃度の抗PD−1抗体を含む医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本発明は、約15mg/mLの濃度の抗PD−1抗体を含む医薬製剤を提供する。
【0016】
一実施形態では、本発明は、約15mM〜約25mMの範囲のクエン酸塩で緩衝化した医薬製剤も提供する。別の実施形態では、本発明は、15mM〜25mMの範囲のクエン酸塩で緩衝化した医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本発明は、約15mM、約20mM、または約25mMの濃度のクエン酸塩で緩衝化した医薬製剤を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、約20mMの濃度のクエン酸塩で緩衝化した医薬製剤を提供する。
【0017】
別の実施形態では、本発明は、20mM〜30mMの範囲のヒスチジンで緩衝化した医薬製剤を提供する。別の実施形態では、本発明は、約20mM、約25mM、または約30mMの濃度のヒスチジンで緩衝化した医薬製剤を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、約25mMの濃度のヒスチジンで緩衝化した医薬製剤を提供する。
【0018】
一実施形態では、本発明は、約130mM〜約165mMの濃度のマンニトールを含む医薬製剤も提供する。別の実施形態では、本発明は、約130mM、約135mM、約140mM、約145mM、約150mM、約155mM、約160mM、または約165mMの濃度のマンニトールを含む医薬製剤を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、約140mMの濃度のマンニトールを含む医薬製剤を提供する。
【0019】
一実施形態では、本発明は、約45mM〜約55mMの濃度のNaClを含む医薬製剤も提供する。別の実施形態では、本発明は、約45mM、約50mM、または約55mMの濃度のNaClを含む医薬製剤を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、約50mMの濃度のNaClを含む医薬製剤を提供する。
【0020】
一実施形態では、本発明は、約0.01mM〜約0.03mMの濃度のエデト酸塩を含む医薬製剤も提供する。別の実施形態では、本発明は、約0.01mM、約0.015mM、約0.02mM、約0.025mM、または約0.03mMの濃度のエデト酸二ナトリウムを含む医薬製剤を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、約0.02mMの濃度のエデト酸二ナトリウムを含む医薬製剤を提供する。
【0021】
一実施形態では、本発明は、約0.01%〜約0.03%の濃度のポリソルベート−80またはポリソルベート−20を含む医薬製剤も提供する。別の実施形態では、本発明は、約0.01%、約0.015%、約0.02%、約0.025%、または約0.03%の濃度のポリソルベート−80を含む医薬製剤を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、約0.02%の濃度のポリソルベート−80を含む医薬製剤を提供する。
【0022】
一実施形態では、本発明は、約5.5〜約6.5のpH範囲内の医薬製剤も提供する。別の実施形態では、本発明は、約5.5、約6.0、または約6.5のpHを有する医薬製剤を提供する。さらなる実施形態では、本発明は、約6.0のpHを有する医薬製剤を提供する。
【0023】
特定の医薬製剤が好ましい。以下に列挙する選択肢は、そのような好ましいクラスを記載する:
1)抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含む抗体を含み、それぞれのLCが配列番号2のアミノ酸配列であり、それぞれのHCが配列番号3のアミノ酸配列または配列番号4のアミノ酸配列である;
2)抗PD−1抗体が約5mg/mL〜約15mg/mLの濃度である;
3)抗PD−1抗体が約10mg/mLの濃度である;
4)ポリソルベート−80が約0.01%〜約0.03%の濃度である
5)ポリソルベート−80が約0.02%の濃度である
6)ポリソルベート−20が約0.01%〜約0.03%の濃度である
7)ポリソルベート−20が約0.02%の濃度である
8)クエン酸塩が約15mM〜約25mMの濃度である;
9)クエン酸塩が約20mMの濃度である;
10)ヒスチジンが約20mM〜約30mMの濃度である;
11)ヒスチジンが約25mMの濃度である;
12)マンニトールが約130mM〜約165mMの濃度である;
13)マンニトールが約140mMの濃度である;
14)塩化ナトリウムが約45mM〜約55mMの濃度である;
15)塩化ナトリウムが約50mMの濃度である;
16)エデト酸塩が約0.01mM〜約0.03mMの範囲の濃度である。
17)エデト酸塩が約0.02mMの濃度である;
18)ヒスチジンが約25mMの濃度であり、クエン酸塩が約20mMの濃度である。
19)pHが5.5〜6.5である。
20)pHが約6.0である。
【0024】
さらに本発明は、有効量の本明細書に記載の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、抗PD−1抗体に応答し得るがんを治療する方法を提供する。さらに、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含むがんを治療する方法、この場合がんはメラノーマ、肺がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、膵臓がん、胃がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、または肝細胞癌の群から選択される。より詳細には本発明は、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含むメラノーマを治療する方法を提供する。さらに本発明は、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む肺がんを治療する方法を提供する。さらに本発明は、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む頭頸部を治療する方法を提供する。さらに本発明は、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む結腸直腸がんを治療する方法を提供する。さらに本発明は、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む膵臓がんを治療する方法を提供する。さらに本発明は、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む胃がんを治療する方法を提供する。さらに本発明は、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む腎臓がんを治療する方法を提供する。さらに本発明は、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む膀胱がんを治療する方法を提供する。さらに本発明は、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む前立腺がんを治療する方法を提供する。さらに本発明は、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む乳がんを治療する方法を提供する。さらに本発明は、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む卵巣がんを治療する方法を提供する。さらに本発明は、有効量の本発明の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む肝細胞癌を治療する方法を提供する。さらに本発明は、がんの治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。さらに本発明は、メラノーマ、肺がん、頭頸部がん、結腸直腸がん、膵臓がん、胃がん、腎臓がん、膀胱がん、前立腺がん、乳がん、卵巣がん、または肝細胞癌の治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。より詳細には本発明は、メラノーマの治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。さらに本発明は、肺がんの治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。さらに本発明は、頭頸部がんの治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。さらに本発明は、結腸直腸がんの治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。さらに本発明は、胃がんの治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。さらに本発明は、結腸直腸がんの治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。さらに本発明は、腎臓がんの治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。さらに本発明は、膀胱がんの治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。さらに本発明は、前立腺がんの治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。さらに本発明は、乳がんの治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。さらに本発明は、卵巣がんの治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。さらに本発明は、肝細胞癌の治療において使用するための本発明の医薬製剤を提供する。
【0025】
本発明の医薬製剤はクエン酸塩を含む。クエン酸、クエン酸三ナトリウム二水和物、およびクエン酸一水和物の1つまたは複数;またはクエン酸一水和物、二塩基性リン酸ナトリウム、およびクエン酸を使用してクエン酸塩を生成することができる。さらに、一塩基性クエン酸ナトリウム、クエン酸三ナトリウム塩、または三塩基性クエン酸ナトリウム水和物を含むクエン酸塩を生成することができる。クエン酸ナトリウム二水和物およびクエン酸とクエン酸塩が生成することが好ましい。ナトリウム以外の他の対イオンを使用することができる。
【0026】
本発明の医薬製剤はエデト酸塩を含む。エデト酸塩はエデト酸二ナトリウム(EDTA.2Na)であることが好ましい。
【0027】
抗体1は、それぞれのLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、それぞれのHCのアミノ酸配列が配列番号3である、2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含む抗PD−1抗体である。
【0028】
抗体2は、それぞれのLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、それぞれのHCのアミノ酸配列が配列番号4である、2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含む抗PD−1抗体である。
【0029】
本発明の製剤において使用するための抗PD−1抗体は、当技術分野で周知の技法、例えば組換え技術、ファージディスプレイ技術、合成技術、またはこのような技術もしくは当技術分野において容易にわかる他の技術の組合せを使用して生成することができる。抗体と抗原結合性断片を生成および精製するための方法は当技術分野で周知であり、例えばHarlow and Lane(1988)Antibodies, A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York, chapters 5-8 and 15, ISBN0-87969-314-2中に見ることができる。
【0030】
抗体1および2は、抗体分野での通常技術を使用した産業規模の細胞培養に一般に使用される、哺乳動物発現系において調製することができる。CHOまたはNS0などの、このような一般的な哺乳動物発現系において発現すると、発現した抗体は、予想されるジスルフィド結合を鎖内および鎖間に有するであろう。さらに、抗体はCH2内でグリコシル化されるであろう。
【0031】
安定であると考えられるためには、溶液中の抗体は充分な化学的安定性と物理的安定性を有していなければならない。酸化、脱アミド化、および加水分解は、製剤において抗体が有し得る化学的安定性の問題の数例である。凝集およびゲル形成は、製剤において抗体が有し得る物理的安定性の問題の数例である。製剤中の抗体の分解、修飾、凝集、生物活性の消失などの程度が許容可能に制御され、時間と共に許容不能に増大しない場合、抗体の医薬製剤は安定状態であると考えられる。試料の光散乱、見た目の光の減衰(吸光度、または光学濃度)、(例えば、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)による)凝集体もしくは他のポリマー型抗体のサイズ、示差走査熱量測定(DSC)により測定するin vitroもしくはin vivo生物活性および/または性質の測定を含めた、当技術分野で周知の方法によって安定性を評価することができる。安定性を評価するための他の方法は当技術分野で周知であり、本発明に従い使用することもできる。
【0032】
前述のように、本発明は、有効量の本明細書に記載の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、抗PD−1抗体に応答し得るがんを治療する方法を提供する。本発明の抗PD−1抗体製剤の有効量は、治療を必要とする患者に投与したとき、高いPD−1レベルを有する対象に投与したとき、許容不能な副作用を引き起こさずに所望の治療効果をもたらす量である。
【0033】
[実施例1]
固形バッファー成分を重量測定し、標的体積の80%のddH
2Oを加えたビーカーに移し、混合物は磁気撹拌器で撹拌して成分を溶かす。全ての成分が溶解した後、2Mクエン酸を使用して溶液のpHを6.0に調節し、ddH
2Oを加えて標的体積を得る。次いでポリソルベート80を、初期バッファーを使用して20mg/mLで調製し、100倍濃度のポリソルベート80を得る。抗体試料は、3800gでAmicon Ultra−30K遠心分離フィルターを使用して約15mg/mLに濃縮する。濃縮した抗体試料には、初期バッファーにおいて6〜7ラウンドのバッファー交換を施す。バッファー交換した抗体試料は、初期バッファーおよび100倍ポリソルベート80で希釈して、10mg/mLの最終濃度の抗体および0.2mg/mLの最終濃度のポリソルベート80を得る。試料は0.22μmフィルターで滅菌濾過して最終医薬品を得る。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
pHの影響
医薬製剤の安定性を得るため、物理的供給源と化学的供給源の両方の不安定性を製剤において処理する必要がある。化学的不安定性は抗体の分解をもたらす可能性がある。
【0037】
5mg/mLでの抗体1の化学的安定性に対するpHの影響を評価するため、様々なpHでクエン酸バッファー中の抗体1の試料を分析する。クエン酸バッファーは二回蒸留水(ddH
2O)中に10mMで調製し、バッファーのpHは4、5、6、7または8のpHに調節する。抗体1は様々なpHに調節したクエン酸バッファー中に5mg/mLで希釈し、10日間37℃でインキュベートした。これらの試料を、People's Republic of China, (Edition2010, Section3, Appendix IIIB)の薬局方に従いSEC−HPLC(サイズ排除クロマトグラフィー−高速液体クロマトグラフィー)によって0日と10日に試験し、親水性シリカゲルサイズ排除カラムによって検出し、試料の純度は面積正規化によって測定する。0日の主ピーク面積%は98.65%であった。
【0038】
表3中に実証した結果は、抗体1は6のpHで最も安定しており、5のpHではごくわずかに不安定であることを示す。より酸性のpH状態またはよりアルカリ性のpH状態において、抗体1は最も安定性が低い。これらの結果は、抗体1に関する医薬製剤溶液のpHはpH5とpH6の間でなければならないことを示す。
【0039】
【表3】
【0040】
抗体1の安定性に対するバッファー、多価アルコール、界面活性剤および他の賦形剤の影響
抗体の安定性に対する一般的に使用されるバッファーの影響を調べて、抗体1に最適なバッファー系が何であるかを理解する。この試験は多変量法を使用して、抗体1溶液製剤の物理的安定性と化学的安定性を調べる。抗体1溶液製剤は表4に従い調製する。リン酸バッファーとクエン酸バッファーはddH
2O中に20mMで調製する。表4中に示した様々な試験賦形剤を試験して、抗体1に最適な製剤を決定する。賦形剤を様々なバッファーに加えて、各試料に関してpHを6.0に調節する。試験試料は最大3ヶ月間25℃でインキュベートする。People's Republic of China, (Edition2010, Section three, Appendix IIIB)の薬局方に従いCEX−HPLC(イオン交換クロマトグラフィー−高速液体クロマトグラフィー)により0日、および1ヶ月と3ヶ月に安定性に関して試料を試験し、陽イオンカラムで検出し、試料の純度は面積正規化によって測定する。これらの結果は表5中に例証する。
【0041】
【表4】
【0042】
試験したそれぞれの製剤は10mg/mLの抗体1、50mMの塩化ナトリウム、および0.02%のポリソルベートを含んでおり、それぞれ6.0に調節されたそのpHを有していた。
【0043】
【表5】
【0044】
これらの結果は、製剤試験試料F2とF6には酸性種のわずかな増大があり、これは他の試験製剤と比較したとき、F2とF6の製剤は抗体1により安定的な環境をもたらすことを示すだけでなく、クエン酸バッファー中にポリソルベート80、マンニトールおよびヒスチジンの独自の組合せは抗体1に関して高い安定性をもたらすことを、驚くことに示したことを実証する。
【0045】
抗体1の安定性に対する露光の影響
試験試料F2とF6の製剤と条件を再現して、抗体1の光感受性試験に関して試験する。10mg/mLで抗体1を含有する試験試料F2とF6を、10日間25℃で高強度蛍光(5000Lux)に曝す。CEX−HPLCおよびSEC−HPLC技術を使用して0日、5日および10日に試料を安定性に関して試験する。
【0046】
【表6】
【0047】
表6中に示した結果は、試験試料F6の製剤は、試験試料F2の製剤と比較すると抗体1に関してより高い抗酸化性を与え、抗体1に関して向上した安定性と抗酸化性を結果としてもたらすことを、驚くことに実証する。
【0048】
抗体1の加速安定性試験
製剤F6を使用し加速安定性試験法によって、抗体1を安定性に関して試験する。前述の製剤中の抗体1を無菌状態でガラスバイアルに分配し、ラバーストッパーとプラスチックカバーで密封し、1ヶ月間25℃±2℃でインキュベートする。CEX−HPLCおよびSEC−HPLC技術を使用して0日および1ヶ月に試料を安定性に関して試験する。
【0049】
加速安定性試験の結果を表7および表8中に例証する。これらの結果は、前述の製剤中の抗体1の純度と全体的安定性が、加速条件下での1ヶ月のインキュベーション期間後に、著しく影響を受けることはなかったことを実証する。外観、濃度、濁度に関するさらなる分析も同様の結果を示した。したがって、この製剤は、抗体1の安定性を25℃で少なくとも1ヶ月間維持できることが示された。
【0050】
【表7】
【0051】
抗体1の長期安定性試験
生物学的医薬品を5℃±3℃で保存して、製品の保存期間にわたり化学的および物理的分解を最小にする。10mg/mLで、製剤F6における長期安定性に関して抗体1を試験する。
【0052】
抗体1を無菌状態でバイアルに分配し、ラバーストッパーとプラスチックカバーで密封し、11ヶ月間2℃〜約8℃でインキュベートする。CEX−HPLCおよびSEC−HPLC技術を使用して0日、ならびに3、6および11ヶ月の時点で試料を安定性に関して試験する。
【0053】
長期安定性試験の結果を表9および表10中に例証する。これらの結果は、前述の製剤中の抗体1の純度と全体的安定性が、長期条件下での11ヶ月のインキュベーション期間後に、著しく影響を受けることはなかったことを実証する。外観、濃度、濁度に関するさらなる分析も同様の結果を示した。この独自の製剤は、前に例示した安定性の利点以外に、抗体1の安定性を2℃〜約8℃で少なくとも11ヶ月間維持できることがさらに示された。
【0054】
【表8】
【0055】
抗体1の凍結−解凍安定性試験
10mg/mLで、製剤F6における凍結−解凍安定性に関して抗体1を試験する。実施例5における前述の製剤中の抗体1を無菌状態でガラスバイアルに分配し、ラバーストッパーとプラスチックカバーで密封し、−80℃でインキュベートし、次に室温での解凍サイクルを施す。凍結−解凍サイクルは同じ試料に関して最大6回繰り返す。CEX−HPLCおよびSEC−HPLC技術を使用して、凍結前、第3および第6の解凍サイクル時に試料を安定性に関して試験する。
【0056】
凍結−解凍安定性試験の結果を表9中に例証する。これらの結果は、前述の製剤中の抗体1の純度と全体的安定性が、6サイクル後に著しく影響を受けることはなかったことを実証する。外観、濃度、濁度に関するさらなる分析も同様の結果を示した。したがってこの製剤は、6凍結−解凍サイクルに関して抗体1の安定性を維持できることが示された。
【0057】
【表9】
【0058】
前述の実施例において実証したように、様々な条件下で組換えヒト抗プログラム細胞死−1(PD−1)モノクローナル抗体の安定性を維持できる製剤を開発するために、広範な試験を実施した。抗酸化性、長期保存期間をもたらし、おそらく抗体の臨床安全性を向上させることによって、抗PD−1抗体の物理的および化学的安定性を改善し得る性質を与える予想外の成分の組合せを含む、新しい独自の製剤。困難な条件下、ならびに2〜8℃、25℃、37℃および−80℃の範囲の様々な温度において、抗PD−1抗体が化学的および物理的安定性を維持するのを可能にする独自の製剤。
【0059】
配列
配列番号1(ヒトPD−1)
【0060】
【化1】
【0061】
配列番号2(軽鎖)
【0062】
【化2】
【0063】
配列番号3(重鎖)
【0064】
【化3】
【0065】
配列番号4(重鎖)
【0066】
【化4】
また、本発明は以下を提供する。
[1]
抗PD−1抗体を約5mg/mL〜約15mg/mLの濃度で、
クエン酸塩を約15mM〜約25mMの濃度で、
ヒスチジンを約20mM〜約30mMの濃度で、
マンニトールを約130mM〜約165mMの濃度で、
塩化ナトリウムを約45mM〜約55mMの濃度で、
エデト酸塩を約0.01mM〜約0.03mMの濃度で、および
ポリソルベート20またはポリソルベート80を約0.01%〜約0.03%の濃度で
含み、約5.5〜約6.5のpHを有する医薬製剤であって、
前記抗PD−1抗体が2本の軽鎖(LC)と2本の重鎖(HC)を含み、両方のLCのアミノ酸配列が配列番号2であり、両方のHCのアミノ酸配列が同じであり、配列番号3または配列番号4のいずれかである、医薬製剤。
[2]
前記両方のHCのアミノ酸配列が配列番号3である、[1]に記載の医薬製剤。
[3]
前記両方のHCのアミノ酸配列が配列番号4である、[1]に記載の医薬製剤。
[4]
前記抗PD−1抗体の濃度が約10mg/mLである、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[5]
前記ポリソルベート−80の濃度が約0.02%である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[6]
前記ポリソルベート−20の濃度が約0.02%である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[7]
前記クエン酸塩の濃度が20mMである、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[8]
前記ヒスチジンの濃度が25mMである、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[9]
前記マンニトールの濃度が140mMである、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[10]
前記塩化ナトリウムの濃度が50mMである、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[11]
前記pHが6.0である、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の医薬製剤。
[12]
前記抗PD−1抗体の濃度が約10mg/mLであり、
前記クエン酸塩の濃度が約20mMであり、
前記ヒスチジンの濃度が約25mMであり、
前記マンニトールの濃度が約140mMであり、
前記塩化ナトリウムの濃度が約50mMであり、
前記エデト酸塩の濃度が約0.02mMであり、
前記ポリソルベート−80の濃度が約0.02%であり、
前記pHが6.0である、
[1]に記載の医薬製剤。
[13]
有効量の[1]〜[12]のいずれか一項に記載の医薬製剤を、それを必要とする患者に投与することを含む、がんを治療する方法。
[14]
がんにおいて使用するための、[1]〜[13]のいずれか一項に記載の医薬製剤。