(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0011】
<実施例1>
実施例1の水洗式便器1は、
図1に示すように、便器本体10の後側に配置されるフレーム50、下側前板51、及び上側前板52等によって、便器本体10を固定する、水洗式便器固定部材90である便器固定部材11、洗浄水を貯蔵する便器洗浄タンク12、及び便器洗浄タンク12を固定する、水洗式便器固定部材90であるタンク固定部材13等が隠蔽される構成である。なお、上下は
図1における上側下側であり、前後は
図1における左側右側であり、左右は、
図1における奥側手前側である。
【0012】
水洗式便器1は、便器固定部材11、タンク固定部材13、ソケット30、便器本体10、洗浄管14、及び便器洗浄タンク12を備えている。
【0013】
便器固定部材11は、
図2に示すように、一対の脚部11A、及び一対のベース部11Bを有している。一対の脚部11Aは上下方向に延びて互いに平行に位置している。一対のベース部11Bは各脚部11Aの下端のそれぞれに設けられ水平方向に拡がっている。
また、各脚部11Aの上下方向の中間部には、便器本体取付けボルト11Cが互いに水平方向に平行に延びて設けられている。便器本体取付けボルト11Cは一対の脚部11Aが並ぶ方向に対して直交する方向の一方側に延びている。また、各脚部11Aの上下方向の中間部のそれぞれには、平板状をなして互いに対向する方向に延びる固定片11Dが設けられている。各固定片11Dには、板厚方向に貫通した複数の挿通孔11Eが形成されている。
便器固定部材11は、各ベース部11Bの下面を設置する設置面Fに当接させ、各ベース部が設置面Fに固定されている(
図1、9参照。)。
【0014】
タンク固定部材13は便器固定部材11に取り付けられる。タンク固定部材13は、
図3に示すように、第1固定部材13A、及び第2固定部材13Bを有している。第1固定部材13Aは、第1固定部材本体13C、及び一対の連結片13Dを具備している。第1固定部材本体13Cは水平方向に拡がる平板状をなし、一方向に延びている。第1固定部材本体13Cは一方向に延びる辺(以降、長手方向の辺ともいう)の中央部に一方の長手方向の辺から他方の長手方向の辺に向けてコ字状に切り欠かれた第2切欠き部13Eが形成されている。また、第1固定部材本体13Cは、第2切欠き部13Eを長手方向に挟んで第2切欠き部13Eの近傍に一対のねじ孔13Fが形成されている。また、第1固定部材本体13Cは長手方向の両端の辺(以降、短手方向の辺ともいう)のそれぞれに、短手方向の辺から突出して延びる延長部13Gが設けられている。各延長部13Gの先端部には板厚方向に貫通してねじ孔13Hが設けられている。
また、第1固定部材本体13Cの他方の長手方向の辺には屈曲して上方向に延びて立上がり部13Vが設けられており、立上がり部13Vの先端の中央部には、立上がり部13Vに対して直交する方向であって、第1固定部材本体13Cから離れる方向に延びて水平部13Wが設けられている。
【0015】
一対の連結片13DはそれぞれがL字状をなしている。各連結片13DはねじS5を用いて第1固定部材本体13Cに着脱自在に連結されている。具体的には、各連結片13Dは第1固定部材本体13Cの第2切欠き部13Eを挟んで配置されている。L字状の各連結片13Dは、
一方側を第1固定部材本体13Cの下面に当接し、他方側を第1固定部材本体13Cの下面から下方向に垂下する向きにしている。また、各連結片13Dの他方側は第1固定部材本体13Cの一方の辺に沿うように配置されている。各連結片13Dの他方側の先端部(下端部)には板厚方向に貫通して上下に並んで一対のねじ孔13Jが形成されている。
第1固定部材13Aは、各連結片13Dを便器固定部材11の固定片11Dに当接させて、各ねじ孔13Jに便器固定部材11の固定片11Dの複数の挿通孔11Eの内の一部を合わせ、各ねじ孔13Jに合わせた各挿通孔11EにねじS1を挿通し、各連結片13Dのねじ孔13JにねじS1を締め込むことによって、便器固定部材11に連結されている。
便器固定部材11に第1固定部材13Aを取り付けたところで、フレーム50を便器固定部材11に取り付け、下側前板51をフレーム50に取り付ける(
図1、11参照。)。詳細は後述する水洗式便器1の施工方法において説明する。
【0016】
第2固定部材13Bは、後述する便器本体10を便器固定部材11に取り付け、洗浄管14を便器本体10に取り付けた後に第1固定部材13Aに取り付ける。
第2固定部材13Bは、水平方向に拡がる平板状をなし一方向に延びている。第2固定部材13Bは長手方向の中央部に板厚方向に開口して開口孔13Lが形成されている。また、第2固定部材13Bには開口孔13Lを短手方向に挟んで開口孔13Lの近傍に一対の挿通孔13Mが形成されている。また、第2固定部材13Bは開口孔13Lを長手方向に挟み、一方の長手方向の辺から他方の長手方向の辺に向けて切り欠かれた一対の第1切欠き部13Nが形成されている。
【0017】
また、第2固定部材13Bは一方の長手方向の辺の両端部のそれぞれに固定部13Pが設けられている。各固定部13Pは、第2固定部材13Bに直交する方向に立ち上がる基部13Q、基部13Qの先端から第2固定部材13Bに平行な方向であって、第2固定部材13Bから離れる方向に屈曲して延びる屈曲部13R、及び屈曲部13Rの先端から、第2固定部材13Bに直交する方向であって、第2固定部材13Bから離れる方向に延びる先端部13Sを具備している。各先端部13Sには板厚方向に貫通するねじ孔13Tが形成されている。
また、第2固定部材13Bには、各固定部13Pの基部13Qの近傍のそれぞれに長手方向に延びて一対の長孔13Uが貫通して形成されている。
【0018】
ソケット30は後述する便器洗浄タンク12の流出口12Aと後述する便器本体10に連通する後述する洗浄管14とを接続する。ソケット30は外形がほぼ円筒状をなして中心軸Aが上下方向に向いている(
図8参照。)。ソケット30は第1筒部30A及び第2筒部30Bを具備している。第1筒部30Aは円筒状をなしており内側が円筒状の上面から下面に向けて傾斜しつつ縮径した傾斜面30Lを具備する絞り部30Cが形成されている。また、第1筒部30Aの外周面には、周方向に窪んで形成された溝30Dが形成されており、溝30DにOリング30Eが嵌め込まれている。
【0019】
第2筒部30Bは第1筒部30Aより外径が小さな円筒状をなしている。第2筒部30Bは第1筒部30Aに対して同軸上に、第1筒部30Aの下面の外縁部30Kよりも内側から下方に延びている。また、第2筒部30Bの外周面には、ねじ山が形成されている。ねじ山には袋ナット30Fが螺合されている。また、袋ナット30Fの内側には、円環状をなし可撓性を有したパッキン30Gが第2筒部30Bの下面に沿うように配置されている(
図5参照。)。
【0020】
また、第1筒部30Aの下面には第2筒部30Bを挟んだ反対の位置に第1筒部30Aの上面に向けて窪んだ一対のねじ穴30Hが形成されている。各ねじ穴30Hは傾斜面30Lの下方であって、絞り部30Cよりも下方の第1筒部30Aに位置している(
図5、6参照。)。
ソケット30は、第2筒部30Bの下面から第1筒部30Aの上面に向けて絞り部30Cの内径より大きい内径の挿入部30Jが形成されている(
図5、6参照。)。挿入部30Jには後述する洗浄管14が挿入される(
図6参照。)。挿入部30Jに挿入された洗浄管14の端は第2固定部材13Bの開口孔13Lよりも上方に位置する(
図6参照。)。挿入部30Jは第2筒部30Bの下面から第1筒部30Aの下面と上面との間の位置まで延びて形成されている(
図5、6参照。)。つまり、挿入部30Jは第1筒部30Aの下面よりも上面側まで形成されている。
【0021】
第2固定部材13Bは開口孔13Lに固定部13Pの基部13Qが延びている方向からソケット30の第2筒部30Bを挿通している。そして、第1筒部30Aの下面の外縁部30Kを第2固定部材13Bの開口孔13Lの外周縁部に載置し、第1筒部30Aの一対のねじ穴30Hに第2固定部材13Bの挿通孔13Mを合わせ、挿通孔13Mに対して固定部13Pの基部13Qが延びていない方向からねじS2を挿通してねじ穴30Hに締め込まれている。こうして、ソケット30は第2固定部材13Bに固定されている。
ソケット30は第1筒部30Aの下面にねじ穴30Hを形成している。このため、ソケット30はねじ穴を形成する目的で第1筒部30Aの外周面から鍔状に拡がる鍔形状を設けなくて済み、鍔形状を設けない分ソケット30の最大の外径を小さくすることができる。
さらに、ねじS2が第1筒部30Aの外周面の外側に沿って配置しなくて良いため、後述する便器洗浄タンク12の流出口12Aに、ねじS2が干渉することを考慮しなくて済む。つまり、便器洗浄タンク12の流出口12Aに、ねじS2が干渉することを避けつつ、流出口12Aに挿入される第1筒部30Aの挿入代を確保するために第1筒部30Aの上下方向の寸法を大きくする必要がないため、第1筒部30Aの上下方向の寸法をより小さくすることができる。これにより、便器洗浄タンク12をより低い位置で取り付けることができ、取り付け易い。
また、第2筒部30Bの外周面に第1筒部30Aと同じ外径の鍔形状を設け、鍔形状にねじ穴を形成した場合、鍔形状の厚みや、鍔形状に形成されたねじ穴に締め込むねじのねじ頭の厚みの分、第2筒部30Bの上下方向の寸法(すなわちソケット30の上下方向の寸法)を大きくする必要がある。これに対してソケット30は、鍔形状を設けない分、第2筒部30Bの上下方向の寸法を小さくすることができる。
【0022】
便器本体10は、
図4に示すように、便鉢部10A、便鉢部10Aの下流側に連通した便器排水路(図示せず)を有している。また、便器本体10の後面には、便鉢部10A内に洗浄水を供給する流入口(図示せず)が形成されており、流入口には外形がほぼ円筒状をなしたスパッド10Bが連通して連結されている。また、スパッド10Bの先端部(便器本体10から離れた側)の外周面には、ねじ山が設けられており、ねじ山に袋ナット10Cが螺合されている。また、袋ナット10Cの内側には、円環状をなし可撓性を有したパッキン10Dがスパッド10Bの先端面に沿うように配置されている(
図5参照。)。また、便器本体10の後面には、便器排水路の下流端が連通する排出口10Eが形成されている。また、便器本体10の後端部の左右両側のそれぞれには前後方向に貫通してボルト挿通孔10Fが形成されている。
便器本体10は、各ボルト挿通孔10Fに後方から便器本体取付けボルト11Cが挿通され、各ボルト挿通孔10Fから突出した便器本体取付けボルト11Cの先端部にナット11Fを締め込むことによって便器固定部材11に固定される(
図1、12参照。)。つまり、便器固定部材11は便器本体10を固定する。また、便器固定部材11が有する一対の脚部11Aは、便器本体10を固定した状態において、便器本体10よりも後方で左右に並んで上下方向に延びている(
図13、14参照。)。
【0023】
洗浄管14は、
図5、6に示すように、一端から他端にわたり同じ外径に形成された円筒状の金属パイプをL字状に曲げ加工を施すことによって形成されている。L字状をなした洗浄管14の一方側及び他方側の中心軸方向の寸法はほぼ同じである。このため、洗浄管14は一方側及び他方側の位置が入れ替わっても取り付けることができる。洗浄管14は上流端部である他方側を上方向に向けて、下流端部側である一方側が便器本体10のスパッド10Bに挿入される(
図13参照。)。
【0024】
第2固定部材13Bに固定されたソケット30は挿入部30J(
図5、6参照)に上方向を向いた洗浄管14の上流端部側である他方側が挿入されており、第2固定部材13Bが第1固定部材本体13Cに載置されている(
図14参照。)。そして、
図3に示すように、第2固定部材13Bの一対の長孔13Uを第1固定部材本体13Cの第2切欠き部13Eの近傍の一対のねじ孔13Fに合わせている。そして、各長孔13UにねじS3を挿通し、第2切欠き部13Eの近傍のねじ孔13FにねじS3を締め込むことによって、第2固定部材13Bは第1固定部材13Aに固定されている。
また、
図8に示すように、ソケット30の中心軸Aが便器固定部材11の一対の脚部11Aの後端11Hよりも前方に配置されている。脚部11Aの後端11Hは、脚部11Aの上側の後端部において上下方向に延びる側面として形成された部分である。なお、ソケット30の中心軸Aは、便器固定部材11の一対の脚部11Aの後側の角部11Jよりも前方に配置されることがより好ましい。このため、ソケット30と便器本体10のスパッド10Bとの前後方向の寸法がより小さくなり、これに伴い、洗浄管14の長さがより短いものとなっている。
【0025】
便器洗浄タンク12は、
図7に示すように、ほぼ長方体形状をなしている。また、便器洗浄タンク12が設置された状態において、便器洗浄タンク12の下端面には円筒状をなして下方向に突出して流出口12Aが形成されている。また、便器洗浄タンク12の下端部には連結部12Bが設けられている。連結部12Bは、例えば、鋼板に折り曲げ加工を施す等して形成されており、便器洗浄タンク12をタンク固定部材13に載置した際に、第1固定部材本体13Cの各延長部13Gのねじ孔13H、及び第2固定部材13Bの各固定部13Pのねじ孔13Tに連通する複数の挿通孔12Cが設けられている。
【0026】
便器洗浄タンク12はタンク固定部材13に載置されている。便器洗浄タンク12の流出口12Aにはソケット30の第1筒部30Aが挿入されている(
図8参照。)。第1筒部30AのOリング30Eが流出口12Aの内周面に当接して押しつぶされることによって、便器洗浄タンク12とソケット30とが水密状に連結されている(
図8参照。)。そして、便器洗浄タンク12の連結部12Bの各挿通孔12Cが第1固定部材本体13Cの各延長部13Gのねじ孔13H、及び第2固定部材13Bの各固定部13Pのねじ孔13Tに合わせられ、各挿通孔12CにねじS4を挿通して、第1固定部材本体13Cの各延長部13Gのねじ孔13H、及び第2固定部材13Bの各固定部13Pのねじ孔13TにねじS4を締め込むことによって、便器洗浄タンク12がタンク固定部材13に固定されている(
図15参照。)。つまり、タンク固定部材13は便器固定部材11に連結され便器洗浄タンク12を固定する。
このとき、第1固定部材本体13Cの各延長部13Gのねじ孔13Hは、便器洗浄タンク12の左右の外側に位置している。
【0027】
また、
図8に示すように、便器洗浄タンク12の流出口12Aは便器洗浄タンク12の前後方向の中央部に形成されており、ソケット30の中心軸Aが便器洗浄タンク12の前後方向の中央部に位置している。なお、便器洗浄タンク12の前後方向の中央部とは、便器洗浄タンク12の前端部及び後端部を除いた部分であり、前後方向の中央、及び前後方向の中央から前後方向に若干ずれた位置も含む。そして、ソケット30の中心軸Aが便器固定部材11の一対の脚部11Aの後端11Hよりも前方に位置している。これにより、便器洗浄タンク12の重心が便器固定部材11のほぼ真上に位置することになる。このため、水洗式便器固定部材90は便器洗浄タンク12を便器固定部材11でバランスよく支持することができる。
また、便器固定部材11に対して便器洗浄タンク12の位置がより前方向に位置することになるため、水洗式便器固定部材90は便器本体10の前端から便器洗浄タンク12の後端までの寸法をより小さくすることができ、設置した水洗式便器1における前出寸法Lをより小さくすることができる(
図1参照。)。
【0028】
次に、水洗式便器1の施工方法について説明する。
【0029】
先ず、
図9に示すように、水洗式便器1を設置する設置面Fに便器固定部材11を取り付ける。このとき、便器固定部材11の向きを各便器本体取付けボルト11Cが前方向に突出する向きにして、一対のベース部11Bの下面を設置面Fに当接させ、便器固定部材11の各ベース部11Bを設置面Fに複数のボルト11Gを用いて固定する。
【0030】
次に、便器固定部材11の後側に排水管70等を敷設し、
図10に示すように、第1固定部材13Aを便器固定部材11に取り付ける。このとき、第1固定部材13Aの各連結片13Dを便器固定部材11の固定片11Dに合わせつつ、各連結片13Dの各ねじ孔13Jに便器固定部材11の固定片11Dの複数の挿通孔11Eの内の一部を合わせる(
図3参照。)。そして、各ねじ孔13Jに合わせた各挿通孔11EにねじS1を挿通し、各連結片13Dの各ねじ孔13JにねじS1を締め込み、第1固定部材13Aを便器固定部材11に固定する。
【0031】
次に、
図11に示すように、フレーム50及び下側前板51を取り付ける。
フレーム50は一方向に長く形成された複数の柱状部材を格子状に組んで形成されている。フレーム50は便器固定部材11に柱状部材の一部を連結し、敷設された排水管70、便器固定部材11、第1固定部材13A等を囲うように便器固定部材11に固定する(
図1参照。)。
下側前板51は平板状をなしている。下側前板51には開口孔51Aが設けられている。下側前板51をフレーム50の前側に沿うようにフレーム50に固定する。なお、下側前板51の開口孔51Aは便器固定部材11の一対の脚部11Aの間に位置している。
【0032】
次に、
図12に示すように、便器本体10を取り付ける。このとき、便器本体10のボルト挿通孔10Fに便器本体取付けボルト11Cを挿通し、ボルト挿通孔10Fから突出した便器本体取付けボルト11Cの先端部にナット11Fを締め込み、便器本体10を便器固定部材11に固定する(
図1参照。)。そして、便器本体10の排出口10Eに排水管70を接続する(
図1参照。)。便器本体10の上端と下側前板51の上端とは高さ方向の位置がほぼ同じである。
【0033】
次に、
図13に示すように、洗浄管14の下流端部側である一方側を便器本体10のスパッド10Bに接続する。このとき、洗浄管14を第1固定部材13Aの第2切欠き部13Eを介して洗浄管14の一方側をスパッド10Bに挿入するため、洗浄管14が第1固定部材13Aに接触する機会を減らすことができる。このため、水洗式便器1のように、作業する作業空間が狭い場合において、洗浄管14を便器本体10に取り付ける作業における作業性が良好である。つまり、第1固定部材13Aは、便器固定部材11に固定された便器本体10に洗浄管14を取り付ける際に、洗浄管14が接触することを避けるように切り欠かれた第2切欠き部13Eが形成されている。
また、このとき、スパッド10Bの袋ナット10Cは締め込まないが、洗浄管14は上流端部である他端側を上方向に延びた状態にして保持される。
【0034】
次に、
図14に示すように、ソケット30が固定された第2固定部材13Bを第1固定部材13Aに取り付ける。このとき、ソケット30の挿入部30Jに洗浄管14の上流端部側である他方側を挿入し(
図5、6参照)、第2固定部材13Bを第1固定部材本体13Cに載置する。
このとき、ソケット30の袋ナット30Fの高さ方向の位置は、便器本体10の上端及び下側前板51の上端の高さ方向の位置より上である(
図1参照。)。
そして、便器本体10に対する洗浄管14の位置や、第1固定部材13Aに対する第2固定部材13Bの位置等を調整した後、スパッド10Bの袋ナット10C、及びソケット30の袋ナット30Fを締め込む(本締め)。このとき、スパッド10Bと洗浄管14、及びソケット30と洗浄管14が互いに水密状に連結され、洗浄管14の位置が容易にずれない程度に袋ナット10C及び袋ナット30Fを締め込む。
ソケット30の挿入部30Jが第2筒部30Bの下面から第1筒部30Aの下面と上面との間まで延びており、挿入部30Jに洗浄管14が挿入される挿入代がより長くなっているため、施工時において洗浄管14の長さのばらつきをより広範囲に許容することができる。
【0035】
また、袋ナット10C及び袋ナット30Fを締め込む際にはモンキーレンチ等の工具を用いる。タンク固定部材13は便器固定部材11に固定された状態において、第1切欠き部13Nがソケット30の左右に形成されいる。また、第1切欠き部13Nは、袋ナット30Fの上方の左右に位置している。モンキーレンチ等の工具は、持ち手側が袋ナット30Fよりも上方に持ち上げられて傾いた姿勢で袋ナット30Fの前側上方(
図14における、手前上方)から袋ナット30Fに係合し、この姿勢でソケット30の軸周りに回動する。
また、第1切欠き部13Nは、袋ナット10Cの上方の左右に位置している。モンキーレンチ等の工具は、持ち手側が袋ナット10Cの上方に位置した姿勢で袋ナット10Cの上方(
図14における、上方)から袋ナット10Cに係合させ、スパッド10Bの軸周りに回動する。
こうして、第1切欠き部13Nによって、モンキーレンチ等の工具の持ち手側が第2固定部材13Bに接触する機会を減らすことができ、モンキーレンチ等の工具をソケット30の軸周り及びスパッド10Bの軸周りに回動させる範囲をより広くすることができる。これにより、水洗式便器1のように、作業する作業空間が狭い場合において、洗浄管14と便器本体10のスパッド10Bとを接続する作業、及び洗浄管14とソケット30とを接続する作業における作業性を良好にすることができる。つまり、第2固定部材13Bは、ソケット30と洗浄管14の上流端部とを接続する際、及び洗浄管14の下流端部と便器本体10の流入口に連結されたスパッド10Bとを接続する際に用いるモンキーレンチ等の工具が接触することを避けるように第1切欠き部13Nが切り欠かれて形成されている。
そして、第2固定部材13Bの一対の長孔13UにねじS3を挿通して、第1固定部材本体13Cの第2切欠き部13Eの近傍のねじ孔13FにねじS3を締め込み、第2固定部材13Bを第1固定部材13Aに固定する(
図3参照。)。
【0036】
次に、
図15に示すように、便器洗浄タンク12をタンク固定部材13に固定する。このとき、便器洗浄タンク12はフレーム50の隣り合う柱状部材の間をくぐらせてフレーム50の前方からタンク固定部材13の上方に配置する。そして、便器洗浄タンク12を下降させて、便器洗浄タンク12の流出口12Aにソケット30の第1筒部30Aを挿入する(
図7、8参照。)。
そして、便器洗浄タンク12の連結部12Bの各挿通孔12Cを第1固定部材本体13Cの各延長部13Gのねじ孔13H、及び第2固定部材13Bの各固定部13Pのねじ孔13Tに合わせる(
図7参照。)。そして、各挿通孔12CにねじS4を挿通し、第1固定部材本体13Cの各延長部13Gのねじ孔13H、及び第2固定部材13Bの各固定部13Pのねじ孔13TにねじS4を締め込み、便器洗浄タンク12をタンク固定部材13に固定する(
図7参照。)。
【0037】
ソケット30は、絞り部30C(
図3、5、6参照)によって便器洗浄タンク12から流入する洗浄水の流れがスムーズになり、洗浄水が流下する方向に絞り部30Cが縮径することによって洗浄水を勢いよく流すことができる。
また、タンク固定部材13は、便器固定部材11に固定された状態において、第2固定部材13Bが第1切欠き部13Nより左右外側の前端部に便器洗浄タンク12を固定する固定部13Pを有している(
図3参照。)。第2固定部材13Bの固定部13Pがソケット30に対して第1切欠き部13Nを挟んだ位置に設けられているため、モンキーレンチ等の工具をソケット30の軸周りに回動させ易くしつつ、便器洗浄タンク12を固定することができる。
【0038】
次に、上側前板52をフレーム50に取り付ける(
図1参照。)。上側前板52は平板状をなしている。上側前板52の左右方向の寸法は下側前板51の左右方向の寸法と同じである。上側前板52の左右方向の位置を下側前板51の左右方向の位置に合わせて、上側前板52の下端を下側前板51の上端に合わせてフレーム50の前側に固定する。
【0039】
このように、水洗式便器固定部材90は、タンク固定部材13に取り付けられたソケット30の中心が、脚部11Aの後端11Hよりも前方に位置し、便器洗浄タンク12の前後方向の中央部に位置しているため、便器洗浄タンク12の重心が便器固定部材11のほぼ真上に位置することになる。このため、水洗式便器固定部材90は便器洗浄タンク12を便器固定部材11でバランスよく支持することができる。また、便器固定部材11に対して便器洗浄タンク12の位置がより前方向に位置することになるため、水洗式便器固定部材90は便器本体10の前端から便器洗浄タンク12の後端までの寸法をより小さくすることができ、設置した水洗式便器1における前出寸法Lをより小さくすることができる。
【0040】
したがって、本発明の水洗式便器固定部材90は、便器洗浄タンク12を良好に支持することができる。
【0041】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例1に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例1では、第1固定部材本体に一対の連結片が連結されているが、第1固定部材本体と連結片とを一体的に形成してもよい。
(2)実施例1では、ソケットに一対のねじ穴が形成されているが、ねじ穴を1つ形成してもよく、3つ以上形成してもよい。
(3)実施例1では、第2固定部材に固定部が形成されているが、固定部を第1固定部材に設けてもよい。
(4)実施例1では、第2固定部材にソケットを固定しているが、例えばソケットより大きい外径の円環状をなした円環部材にソケットを固定し、円環部材を第2固定部材に固定してもよい。つまり、円環部材を介してソケットを第2固定部材に固定してもよい。