特許第6855237号(P6855237)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6855237血管検出装置、磁気共鳴イメージング装置、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6855237
(24)【登録日】2021年3月19日
(45)【発行日】2021年4月7日
(54)【発明の名称】血管検出装置、磁気共鳴イメージング装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/055 20060101AFI20210329BHJP
【FI】
   A61B5/055 380
   A61B5/055 382
【請求項の数】12
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2016-253456(P2016-253456)
(22)【出願日】2016年12月27日
(65)【公開番号】特開2018-102688(P2018-102688A)
(43)【公開日】2018年7月5日
【審査請求日】2019年11月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
(74)【代理人】
【識別番号】100115462
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 猛
(74)【代理人】
【識別番号】100151286
【弁理士】
【氏名又は名称】澤木 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博
(74)【代理人】
【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久
(74)【代理人】
【識別番号】100113974
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 拓人
(72)【発明者】
【氏名】後藤 隆男
【審査官】 伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−131023(JP,A)
【文献】 特開2015−023944(JP,A)
【文献】 特開2016−154701(JP,A)
【文献】 特開2010−035991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/055
A61B 6/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
血管を含む第1の部位の画像を生成する画像生成手段と、
前記第1の部位内の基準位置に基づいて前記画像に交差するスライスを設定する設定手段であって、前記血管に対して前記スライスの角度を変更することができるように前記スライスを設定する設定手段と、
前記角度ごとに、前記スライス内において前記血管を識別するための識別処理を実行し、識別結果を表す指標を求める手段であって、前記スライス内の画像から血管を識別するための識別器を用いて前記指標を求める、前記指標を求める手段と、
前記指標に基づいて、前記スライスが前記血管を含むときの角度を決定する決定手段と
を有する血管検出装置。
【請求項2】
血管を含む第1の部位の画像を生成する画像生成手段と、
前記第1の部位内の基準位置に基づいて前記画像に交差するスライスを設定する設定手段であって、前記血管に対して前記スライスの角度を変更することができるように前記スライスを設定する設定手段と、
前記角度ごとに、前記スライス内において前記血管を識別するための識別処理を実行し、識別結果を表す指標を求める手段と、
前記指標に基づいて、前記スライスが前記血管を含むときの角度を決定する決定手段と、
前記血管の断面を含む複数の断面画像の中から第1の断面画像を選択する選択手段と、
前記第1の断面画像の中から、前記血管の断面を検出する断面検出手段と、
前記第1の部位の画像の中から、前記断面検出手段により検出された前記血管の断面に対応する断面の位置を特定する特定手段と
を有し、
前記特定手段が特定した断面の位置が、前記基準位置である、血管検出装置。
【請求項3】
前記設定手段は、
前記スライスを第1の角度から第2の角度までの範囲内で変更する、請求項1又は2に記載の血管検出装置。
【請求項4】
前記指標を求める手段は、
前記スライス内の画像の中から、前記指標を求めるために使用される画像部分を抽出し、
前記識別器は、
前記画像部分の中から血管を識別するための識別処理を行う、請求項に記載の血管検出装置。
【請求項5】
前記指標を求める手段は、
前記基準位置に基づいて、前記画像部分の範囲を決定する、請求項4に記載の血管検出装置。
【請求項6】
前記設定手段は、
前記基準位置を通る軸を中心として前記スライスを回転させる、請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の血管検出装置。
【請求項7】
前記複数の断面画像の各々は、アキシャル面の断面画像である、請求項に記載の血管検出装置。
【請求項8】
前記血管は、上行大動脈、大動脈弓、および下行大動脈を含み、
前記特定手段が検出した断面は、下行大動脈の断面である、請求項2又は7に記載の血管検出装置。
【請求項9】
前記第1の部位の画像は、3Dスキャンにより得られた画像である、請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の血管検出装置。
【請求項10】
請求項1〜のうちのいずれか一項に記載の血管検出装置を有する磁気共鳴イメージング装置。
【請求項11】
血管を含む第1の部位の画像を生成する画像生成処理と、
前記第1の部位内の基準位置に基づいて前記画像に交差するスライスを設定する設定処理であって、前記血管に対して前記スライスの角度を変更することができるように前記スライスを設定する設定処理と、
前記角度ごとに、前記スライス内において前記血管を識別するための識別処理を実行し、識別結果を表す指標を求める処理であって、前記スライス内の画像から血管を識別するための識別器を用いて前記指標を求める、前記指標を求める処理と、
前記指標に基づいて、前記スライスが前記血管を含むときの角度を決定する決定処理と
を計算機に実行させるためのプログラム。
【請求項12】
血管を含む第1の部位の画像を生成する画像生成処理と、
前記第1の部位内の基準位置に基づいて前記画像に交差するスライスを設定する設定処理であって、前記血管に対して前記スライスの角度を変更することができるように前記スライスを設定する設定処理と、
前記角度ごとに、前記スライス内において前記血管を識別するための識別処理を実行し、識別結果を表す指標を求める処理と、
前記指標に基づいて、前記スライスが前記血管を含むときの角度を決定する決定処理と
を計算機に実行させるためのプログラムであって、
前記血管の断面を含む複数の断面画像の中から第1の断面画像を選択する選択処理と、
前記第1の断面画像の中から、前記血管の断面を検出する断面検出処理と、
前記第1の部位の画像の中から、前記断面検出手段により検出された前記血管の断面に対応する断面の位置を特定する特定処理と
を有し、
前記特定処理が特定した断面の位置が、前記基準位置である、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、血管を検出する血管検出装置、被検体の画像を取得し、取得した画像から血管を検出する磁気共鳴イメージング装置、および血管を検出するためのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、造影剤を用いて被検体を撮影する磁気共鳴イメージング装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−261904号公報
【特許文献2】特開2015−123306号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
造影剤を用いて被検体を撮影する方法の一例として、オペレータが大動脈を横切るスライス(例えば、アキシャルのスライス)を手動で設定し、このスライスにおける断面画像をリアルタイムで表示画面に表示させ、オペレータが表示画面に表示された断面画像を見ながら大動脈に造影剤のボーラスが流入したか否かを確認する方法がある。この方法では、オペレータは、大動脈に造影剤のボーラスが到達したと判断したら、撮影部位の画像を取得するためのイメージングシーケンスを実行する。したがって、撮影部位の造影画像を得ることができる。
【0005】
しかし、上記の方法では、大動脈を横切るスライスをオペレータが手動で設定する必要があるので、オペレータの作業負担が増えるという問題がある。
【0006】
そこで、大動脈の位置を自動的に検出する技術が開示されている(特許文献2)。特許文献2の方法では、検出対象の血管が含まれる部位に複数のアキシャル面を設定し、アキシャル面ごとに大動脈の断面の位置を検出している。したがって、特許文献2の技術を用いることにより、オペレータの作業負担を軽減することが可能となる。
【0007】
一方、近年、造影剤を用いて被検体を撮影する方法の一例として、できるだけ心臓に近い位置で造影剤のボーラスを観測し、造影撮像を行う方法がある。この方法では、心臓に近い位置で造影剤のボーラスを観測できるようにするため、オペレータは、大動脈弓を含む血管を縦断するように手動でスライスを設定している。
【0008】
しかし、大動脈弓を含む血管は、心臓から背中側に向かって延在する湾曲形状であり、複雑な形状を有している。したがって、オペレータが手動でスライスを設定することは難しいという問題がある。
【0009】
そこで、大動脈弓を含む血管の断面を検出する場合に、特許文献2の検出技術を用いることが考えられる。しかし、特許文献2の方法は、背骨に沿って走行する大動脈を検出対象としている。一方、大動脈弓を含む血管は、背骨に沿って走行するものではなく、心臓から背中側に向かって湾曲しながら走行するものである。したがって、特許文献2の方法では、大動脈弓を含む血管を検出することは難しいという問題がある。
【0010】
そこで、特許文献2の手法では検出が困難な血管であっても、当該血管を検出することが可能な技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の観点は、血管を含む第1の部位の画像を生成する画像生成手段と、
前記第1の部位内の基準位置に基づいて前記画像に交差するスライスを設定する設定手段であって、前記血管に対して前記スライスの角度を変更することができるように前記スライスを設定する設定手段と、
前記角度ごとに、前記スライス内において前記血管を識別するための識別処理を実行し、識別結果を表す指標を求める手段と、
前記指標に基づいて、前記スライスが前記血管を含むときの角度を決定する決定手段と、
を有する血管検出装置である。
【0012】
本発明の第2の観点は、本発明の第1の観点に記載の血管検出装置を有する磁気共鳴イメージング装置である。
【0013】
本発明の第3の観点は、血管を含む第1の部位の画像を生成する画像生成処理と、
前記第1の部位内の基準位置に基づいて前記画像に交差するスライスを設定する設定処理であって、前記血管に対して前記スライスの角度を変更することができるように前記スライスを設定する設定処理と、
前記角度ごとに、前記スライス内において前記血管を識別するための識別処理を実行し、識別結果を表す指標を求める処理と、
前記指標に基づいて、前記スライスが前記血管を含むときの角度を決定する決定処理と、
を計算機に実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0014】
前記第1の部位内の基準位置に基づいてスライスの角度が変更される。そして、変更された角度ごとに、前記スライス内において前記血管を識別するための識別処理が実行され、識別結果を表す指標が求められる。したがって、スライスに前記血管が含まれる場合のスライスの角度を決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一形態の磁気共鳴イメージング装置の概略図である。
図2】処理装置10の機能ブロック図の説明図である。
図3】本形態で実行されるスキャンを示す図である。
図4】撮影部位を概略的に示す図である。
図5】MRI装置の動作フローの一例を示す図である。
図6】ローカライザスキャンLSにより得られたアキシャル面AX〜AX10の画像DA〜DA10を概略的に示す図である。
図7】ローカライザスキャンLSにより得られたコロナル面CO〜CO10の画像DC〜DC10を概略的に示す図である。
図8】3Dデータ収集スキャンASが実行される部位を概略的に示す図である。
図9】3D画像DTに交差する垂直面VSを示す図である。
図10】3D画像DTに交差するオブリーク面OBを示す図である。
図11】選択されたコロナル画像DC、DC、およびDCを概略的に示す図である。
図12】アキシャル画像DA〜DA10の中から選択されたアキシャル画像を示す図である。
図13】ステップST7の説明図である。
図14】識別器Cの作成方法の説明図である。
図15】3D画像DTに交差するスライスSLを概略的に示す図である。
図16】スライスSLの角度θがθ=θに設定された場合の説明図である。
図17】抽出された画像部分を概略的に示す図である。
図18】スライスSL内に検出対象の血管VEが含まれているか否かを判断する方法の説明図である。
図19】θ=θにおける説明図である。
図20】θ=θにおける説明図である。
図21】本スキャンMSの説明図である。
図22】表示部に表示された差分画像Ddifを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための形態について説明するが、本発明は、以下の形態に限定されることはない。
【0017】
図1は、本発明の一形態の磁気共鳴イメージング装置の概略図である。
磁気共鳴イメージング装置(以下、「MRI装置」と呼ぶ。MRI:Magnetic Resonance Imaging)1は、マグネット2、テーブル3、受信コイル4、造影剤注入装置5などを有している。
【0018】
マグネット2は、被検体14が収容される収容空間21を有している。また、マグネット2は、超伝導コイル22と、勾配コイル23と、RFコイル24とを有している。超伝導コイル22は静磁場を印加し、勾配コイル23は勾配パルスを印加し、RFコイル24はRFパルスを印加する。尚、超伝導コイル22の代わりに、永久磁石を用いてもよい。
【0019】
テーブル3は、被検体14を搬送するためのクレードル3aを有している。クレードル3aによって、被検体14は収容空間21に搬送される。
【0020】
受信コイル4は、被検体14に取り付けられている。受信コイル4は、被検体14からの磁気共鳴信号を受信する。
造影剤注入装置5は、被検体14に造影剤を注入する。
【0021】
MRI装置1は、更に、制御部6、送信器7、勾配磁場電源8、受信器9、処理装置10、記憶部11、操作部12、および表示部13などを有している。
【0022】
制御部6は、処理装置10から、シーケンスで使用されるRFパルスおよび勾配パルスの波形情報や印加タイミングなどを含むデータを受け取る。そして、制御部6は、RFパルスのデータに基づいて送信器7を制御し、勾配パルスのデータに基づいて勾配磁場電源8を制御する。また、制御部6は、造影剤注入装置5の造影剤の注入開始のタイミングの制御や、クレードル3aの移動の制御なども行う。尚、図1では、制御部6が、造影剤注入装置5、送信器7、勾配磁場電源8、クレードル3aなどの制御を行っているが、造影剤注入装置5、送信器7、勾配磁場電源8、クレードル3aなどの制御を複数の制御部で行ってもよい。例えば、造影剤注入装置5を制御する制御部と、送信器7および勾配磁場電源8を制御する制御部と、クレードル3aを制御する制御部とを別々に設けてもよい。
【0023】
送信器7は、制御部6から受け取ったデータに基づいて、RFコイル24に電流を供給する。
勾配磁場電源8は、制御部6から受け取ったデータに基づいて、勾配コイル23に電流を供給する。
受信器9は、受信コイル4で受信された磁気共鳴信号に対して、検波などの処理を行い、処理装置10に出力する。
【0024】
記憶部11には、処理装置10により実行されるプログラムなどが記憶されている。尚、記憶部11は、ハードディスク、CD−ROMなどの非一過性の記憶媒体であってもよい。処理装置10は、記憶部11に記憶されているプログラムを読み出し、プログラムに記述されている処理を実行するプロセッサとして動作する。処理装置10は、プログラムに記述されている処理を実行することにより、種々の手段を実現する。図2は、処理装置10の機能ブロック図の説明図である。
【0025】
画像生成手段101は、被検体14の撮影部位の画像を生成する。
コロナル画像選択手段102は、コロナル画像DC〜DC10図7参照)の中から、肝臓を横切るコロナル画像を選択する。
エッジ検出手段103は、コロナル画像選択手段102により選択されたコロナル画像ごとに、肝臓のz方向における肺側のエッジを検出する。
エッジ位置選択手段104は、z座標の値が最も大きい肝臓のエッジの位置を選択する。
アキシャル画像選択手段105は、ローカライザスキャンLSにより得られたアキシャル画像DA〜DA10の中から、肝臓のエッジの位置に最も近いアキシャル画像を選択する(図12参照)。アキシャル画像選択手段105は選択手段の一例に相当する。
【0026】
断面検出手段106は、選択されたアキシャル画像の中から、下行大動脈Adeの断面を検出する。
特定手段107は、3D画像DTの中から、下行大動脈Adeの断面の位置Pに対応する位置Qを特定する(図13参照)。
設定手段108は、3D画像DTに交差するスライスSLを設定する。スライスSLについては、図15図20で詳細に説明する。
抽出手段109は、スライスSL内における画像の中から、識別器Cによる識別処理が行われる画像部分を抽出する(図17参照)。
計算手段110は、識別器Cを用いて後述する指標VI(図18図20参照)を計算する。尚、抽出手段109および計算手段110を合わせたものが、指標を求める手段の一例に相当する。
決定手段111は、計算手段110の計算結果に基づいて、スライスSL内が検出対象の血管を含むときのスライスSLの角度を決定する。
【0027】
MRI装置1は、処理装置10を含むコンピュータを備えている。処理装置10は、記憶部11に記憶されているプログラムを読み出すことにより、画像生成手段101〜決定手段111などを実現する。尚、処理装置10は、一つのプロセッサで画像生成手段101〜決定手段111を実現してもよいし、2つ以上のプロセッサで、画像生成手段101〜決定手段111を実現してもよい。また、処理装置10が実行するプログラムは、一つの記憶部に記憶させておいてもよいし、複数の記憶部に分けて記憶させておいてもよい。処理装置10は血管検出装置の一例に相当する。
【0028】
図1に戻って説明を続ける。
操作部12は、オペレータにより操作され、種々の情報を入力する。表示部13は種々の情報を表示する。
MRI装置1は、上記のように構成されている。
【0029】
図3は本形態で実行されるスキャンを示す図、図4は撮影部位を概略的に示す図である。
本形態では、ローカライザスキャンLSと、3Dデータ収集スキャンASと、本スキャンMSなどが実行される。
【0030】
ローカライザスキャンLSは、肝臓および下行大動脈Adeを含む部位の画像を取得するためのスキャンである。ローカライザスキャンLSで得られた画像は、肝臓のz方向におけるエッジの位置z図11参照)や、下行大動脈Adeの断面の位置P(図12参照)を求めるために使用される。これらの位置を求める方法については後で述べる。
【0031】
3Dデータ収集スキャンASは、上行大動脈Aas、大動脈弓Aarc、および下行大動脈Adeを含む部位の3D画像を得るためのスキャンである。
【0032】
本スキャンMSは、肝臓を含む部位の画像を得るためのスキャンである。本スキャンMSでは、被検体に造影剤が注入され、肝臓の画像を取得するためのイメージングシーケンスが実行される。以下に、ローカライザスキャンLS、3Dデータ収集スキャンAS、および本スキャンMSを実行するときのMRI装置の動作フローの一例について説明する。
【0033】
図5は、MRI装置の動作フローの一例を示す図である。
ステップST1では、ローカライザスキャンLS(図3参照)が実行される。
ローカライザスキャンLSは、肝臓および下行大動脈Adeを含む部位の画像を取得するための2Dスキャンである。
【0034】
ローカライザスキャンLSを実行する場合、制御部6(図1参照)は、ローカライザスキャンLSで使用されるシーケンスのRFパルスのデータを送信器7に送り、ローカライザスキャンLSで使用されるシーケンスの勾配パルスのデータを勾配磁場電源8に送る。送信器7は、制御部6から受け取ったデータに基づいてRFコイル24に電流を供給し、勾配磁場電源8は、制御部6から受け取ったデータに基づいて勾配コイル23に電流を供給する。したがって、RFコイル24はRFパルスを印加し、勾配コイル23は勾配パルスを印加する。ローカライザスキャンLSが実行されることにより、撮影部位からMR信号が発生する。MR信号は受信コイル4(図1参照)で受信される。受信コイル4は、MR信号を受信し、MR信号の情報を含むアナログ信号を出力する。受信器9は、受信コイル4から受け取った信号に対して、検波などの信号処理を行い、信号処理により得られたデータを処理装置10に出力する。
【0035】
画像生成手段101(図2参照)は、ローカライザスキャンLSにより収集されたデータに基づいて、アキシャル面、サジタル面、およびコロナル面の画像を生成する。図6は、ローカライザスキャンLSにより得られたアキシャル面AX〜AX10の画像DA〜DA10を概略的に示す図であり、図7は、ローカライザスキャンLSにより得られたコロナル面CO〜CO10の画像DC〜DC10を概略的に示す図である(尚、説明の便宜上、サジタル面の画像は図示省略されている)。図6では、10枚のアキシャル面の例が示されており、図7では、10枚のコロナル面の例が示されているが、アキシャル面およびコロナル面(およびサジタル面)は、10枚に限定されることはなく、10枚より多くても少なくてもよい。図6および図7において、x方向、y方向、およびz方向は、それぞれ、RL方向、AP方向、およびSI方向に対応する。アキシャル面AX〜AX10は、z方向に並んでおり、コロナル面CO〜CO10は、y方向に並んでいる。以下では、アキシャル面の画像を「アキシャル画像」と呼び、コロナル面の画像を「コロナル画像」と呼ぶ。
【0036】
図6では、アキシャル画像DA〜DA10のうち、アキシャル画像DA、DA、DA、およびDA10が概略的に示されている。アキシャル面AX〜AX10は、下行大動脈Adeを横切っているので、アキシャル画像DA〜DA10には、下行大動脈Adeの断面が描出される。
【0037】
一方、図7では、コロナル画像DC〜DC10のうち、コロナル画像DC、DC、DC、DC、およびDC10が概略的に示されている。コロナル画像DC〜DC10には、肝臓の断面を含むコロナル画像(例えば、DC4、DC、DC)と、肝臓を横切らないコロナル画像(例えば、DC、DC10)とが含まれている。
ローカライザスキャンLSを実行した後、ステップST2に進む。
【0038】
ステップST2では、3Dデータ収集スキャンASが実行される。
図8は、3Dデータ収集スキャンASが実行される部位を概略的に示す図である。
3Dデータ収集スキャンASは、上行大動脈Aas、大動脈弓Aarc、および下行大動脈Adeを含む血管VEと、その周辺の臓器とを含む部位の画像を取得するための3Dスキャンである。3Dスキャンを実行することにより、大動脈弓Aarcを含む部位の3D画像DTを得ることができる。大動脈弓Aarcの端部e1は上行大動脈Aasに繋がっており、大動脈弓Aarcの端部e2は下行大動脈Adeに繋がっている。
【0039】
図9および図10は、3D画像DTに含まれる上行大動脈Aas、大動脈弓Aarc、および下行大動脈Adeの相対的な位置関係を概略的に説明するための面である。尚、図9および図10では、説明の便宜上、肝臓および心臓などの臓器は図示省略されている。
【0040】
先ず、図9について説明する。
図9において、(a1)は3D画像DTの斜視図であり、(a2)は3D画像DTをz方向から見た図である。(a1)および(a2)には、3D画像DTに交差する垂直面VSが示されている。(a3)は、垂直面VSにおける断面画像DVを概略的に示す図である。
【0041】
垂直面VSは、y方向およびz方向に平行であるがx方向に対して垂直の面である。下行大動脈Adeおよび大動脈弓Aarcの端部e2は、垂直面VS内(又は垂直面VSの近傍)に位置する。しかし、大動脈弓Aarcはy方向に対して斜めに傾いているので、大動脈弓Aarcの端部e1は垂直面VSからずれている(a2参照)。したがって、垂直面VSの断面画像DV(a3参照)は、下行大動脈Adeおよび大動脈弓Aarcの端部e2を含むが、大動脈弓Aarcの端部e1および上行大動脈Aasを含んでいないことがわかる。
【0042】
次に、図10について説明する。
図10において、(b1)は3D画像DTの斜視図であり、(b2)は3D画像DTをz方向から見た図である。(b1)および(b2)には、3D画像DTに交差するオブリーク面OBが示されている。(b3)は、オブリーク面OBにおける断面画像DOを概略的に示す図である。
【0043】
大動脈弓Aarcはy方向に対して斜めに傾いている。したがって、x軸に対して斜めの角度θで3D画像DTに交差する面(オブリーク面)OBを考えると、オブリーク面OBは、上行大動脈Aas、大動脈弓Aarc、および下行大動脈Adeを縦断するように3D画像DTに交差する。θの値は、典型的には、例えば、95°〜120°である。
したがって、大動脈弓Aarcは、角度θのオブリーク面OB内で湾曲形状を描きながら、上行大動脈Aasと下行大動脈Adeとに繋がっていることがわかる。
【0044】
3D画像DTを取得するための3Dデータ収集スキャンASを実行した後、ステップST3に進む。
【0045】
ステップST3では、コロナル画像選択手段102(図2参照)が、ステップST1で得られたコロナル画像DC〜DC10図7参照)の中で、肝臓を横切るコロナル画像を選択する。肝臓を横切るコロナル画像を選択方法は、例えば、特開2016−059397号公報の段落[0038]に記載された方法を用いることができる。本形態では、説明の便宜上、コロナル画像選択手段102は、肝臓を横切るコロナル画像として、3枚のコロナル画像DC、DC、およびDCを選択したとする。図11に選択されたコロナル画像DC、DC、およびDCを概略的に示す。コロナル画像を選択した後、ステップST4に進む。
【0046】
ステップST4では、エッジ検出手段103(図2参照)が、選択されたコロナル画像DC、DC、およびDCごとに、肝臓のz方向における肺側のエッジを検出する。エッジの検出方法は、例えば、特開2016−059397号公報の段落[0041]−[0071]に記載された方法を用いることができる。図11では、検出された肝臓のエッジの位置が、z、z、およびzで示されている。
【0047】
肝臓のエッジを検出した後、エッジ位置選択手段104(図2参照)は、コロナル画像DC、DC、およびDCごとに検出された肝臓のエッジのz方向における位置z、z、およびzの中から、z座標の値が最も大きいエッジの位置を選択する。ここでは、コロナル画像DCの中から検出されたエッジのz座標zが最も大きいとする。したがって、エッジ位置選択手段104は、z座標の値が最も大きいエッジの位置として、zを選択する。zを選択した後、ステップST5に進む。
【0048】
ステップST5では、アキシャル画像選択手段105(図2参照)が、ローカライザスキャンLSにより得られたアキシャル画像DA〜DA10図6参照)の中から、ステップST4で選択した肝臓のエッジの位置zに最も近いアキシャル画像を選択する。図12に、アキシャル画像DA〜DA10の中から選択されたアキシャル画像を示す。ここでは、アキシャル画像DAが肝臓のエッジの位置zに最も近いとする。したがって、アキシャル画像選択手段105は、アキシャル画像DAを選択する。アキシャル画像DAを選択した後、ステップST6に進む。
【0049】
ステップST6では、断面検出手段106(図2参照)が、ステップST5で選択されたアキシャル画像DAの中から、下行大動脈Adeの断面を検出する。アキシャル画像DAの中から下行大動脈Adeの断面を検出する方法は、特開2015−123306号公報に記載された方法を用いることができる。図12では、アキシャル画像DAの中から検出された下行大動脈Adeの断面の位置を、符号「P」で示してある。下行大動脈Adeの断面を検出した後、ステップST7に進む。
【0050】
図13は、ステップST7の説明図である。
ステップST7では、特定手段107(図2参照)が、ステップST2で生成された3D画像DTの中から、アキシャル画像DAにおける下行大動脈Adeの断面の位置Pに対応する位置Qを特定する。したがって、3D画像DTの中から、下行大動脈Adeの断面の位置Qを特定することができる。位置Qを特定した後、ステップST8に進む。
【0051】
ステップST8では、ステップST7で特定された下行大動脈Adeの位置Qに基づいて、血管VEを縦断するオブリーク面OB(図10参照)を求める。以下に、このオブリーク面OBの求め方について説明する。
【0052】
本形態では、血管VEを識別するための識別器Cを用いて、オブリーク面OBを求めている。識別器Cは、被検体を撮影する前に予め作成されている。以下に、識別器Cの作成方法について簡単に説明する。
【0053】
図14は、識別器Cの作成方法の説明図である。
本形態では、複数のデータ提供者SUB〜SUBの胴部の3D画像DT〜DTから、教師データとして使用可能な画像部分を取り出す。教師データには、例えば、以下のデータが含まれている。
(1)上行大動脈Aas、大動脈弓Aarc、および下行大動脈Adeを含む血管VEの断面を表すデータ
(2)血管VEの一部の断面しか含まないデータ(例えば、上行大動脈Aasの断面を含むが大動脈弓Aarcおよび下行大動脈Adeの断面を含まないデータ、下行大動脈Adeの断面を含むが大動脈弓Aarcおよび上行大動脈Aasの断面を含まないデータ)
(3)血管VEを含まないデータ
【0054】
これらの教師データを機械学習の手法を用いて学習することにより、血管VEを識別するための識別器Cが作成される。
【0055】
ステップST8では、上記のようにして作成された識別器Cを用いて、被検体14の血管VEを縦断するオブリーク面OB(図10参照)を求める。以下に、ステップST8について、図15図20を参照しながら説明する。
【0056】
ステップST8では、先ず、設定手段108(図2参照)が、被検体14の3D画像DTに交差するスライスを設定する(図15参照)。
【0057】
図15は、3D画像DTに交差するスライスSLを概略的に示す図である。
図15において、(a1)は被検体14の3D画像DTの斜視図であり、(a2)は被検体14の3D画像DTをz方向から見た図である。
【0058】
設定手段108はスライスSLを設定する。スライスSLは、下行大動脈Adeの断面の位置Qを通り、且つz方向に平行に設定される。スライスSLの厚さtは、検出対象の血管VEの直径を考慮して設定することができる。検出対象である血管VEの直径が、例えば1cm程度であるとすると、tは、例えばt=1cm〜1.5cm程度の値に設定することができる。尚、図15では、スライスSLを簡潔な図形で表現するために、スライスSLは正方形で表されている。したがって、図15では、スライスSLの厚さtは表現されていないが、実際には、スライスSLの厚さtは血管VEの直径を考慮して設定されていることに留意されたい。
【0059】
設定手段108は、位置Qを通りz方向に平行な回転軸αを中心としてスライスSLを回転させる。ここでは、設定手段108は、スライスSLの角度θが所定の角度範囲θ≦θ≦θ内で変更されるように、回転軸αを中心としてスライスSLを回転する(スライスSLの角度θは、スライスSLと水平面HSとの成す角度として定義されている)。この角度範囲θ≦θ≦θは、血管VEの標準的な形状、血管VEの標準的なサイズ、心臓に対する血管VEの標準的な位置などを考慮して設定されている。θは、例えば、θ=60°とすることができ、θは、例えば、θ=135°とすることができる。
【0060】
以下では、先ず、設定手段108が、スライスSLの角度θを、θ=θに設定した場合について説明する。
【0061】
図16は、スライスSLの角度θがθ=θに設定された場合の説明図である。
図16において、(a1)は被検体14の3D画像DTの斜視図であり、(a2)は被検体14の3D画像DTをz方向から見た図であり、(a3)はθ=θにおけるスライスSLの画像DSを概略的に示す図である。
【0062】
(a3)に示すスライスSLの画像DSは、例えば、スライスSL内のボクセルの値をスライスSLの厚さ方向に加算平均することにより得ることができる画像である。スライスSLの角度θをθ=θに設定した後、抽出手段109(図2参照)は、スライスSL内における画像(a3参照)の中から、識別器Cによる識別処理が行われる画像部分を抽出する(図17参照)。
【0063】
図17は、抽出された画像部分を概略的に示す図である。
抽出手段109は、下行大動脈Adeの断面の位置Qを基準にして画像部分IRを抽出する(a3参照)。画像部分IRの辺r1およびr2は、血管VEの標準的な大きさを考慮して予め決められている。辺r1およびr2は、例えば、40ピクセル〜100ピクセルに対応する長さとすることができる。
【0064】
また、画像部分IRの辺r1は、下行大動脈Adeの断面の位置Qを通りz方向に平行なラインL1に対してf:gの比に設定される。この画像部分IRの辺r1の比f:gも、血管VEの標準的な大きさを考慮して予め決められている。f:gは、例えば、f:g=4:1とすることができる。
【0065】
更に、画像部分IRの辺r1は、下行大動脈Adeの断面の位置Qからz方向に距離dだけ離れた位置に位置決めされる。dの値も血管VEの標準的な大きさを考慮して予め決められている。
【0066】
スライスSLの画像DSから画像部分IRを抽出した後、抽出された画像部分IRに基づいて、スライスSL内に検出対象の血管VEが含まれているか否かを判断する(図18参照)。
【0067】
図18は、スライスSL内に検出対象の血管VEが含まれているか否かを判断する方法の説明図である。
計算手段110(図2参照)は、識別器Cを用いて、スライスSL内に検出対象の血管VEが含まれているか否かを判断するための指標VIを求める。具体的には、計算手段110は、抽出した画像部分IR内において、識別器Cを用いて、検出対象の血管VEを識別するための識別処理を実行する。本形態では、画像部分IRに血管VEの全体が含まれている場合、識別器Cは、スライスSL内に検出対象の血管VEが含まれていると判断し、一方、画像部分IRに血管VEの一部しか含まれていない又は血管VEが含まれていない場合、識別器Cは、スライスSL内に検出対象の血管VEが含まれていないと判断する。識別器Cは、スライスSL内に検出対象の血管VEが含まれていると判断した場合、指標VIの値として「1」を出力し、一方、スライスSL内に検出対象の血管VEが含まれていないと判断した場合、指標VIの値として「0」を出力する。したがって、スライスSL内に血管VEが含まれているか否かを決定することができる。図18では、画像部分IRは、下行大動脈Adeおよび大動脈弓Aarcの端部e2を含むが、大動脈弓Aarcの端部e1側の部分および上行大動脈Aasは含んでいない。したがって、θ=θでは、識別器Cが出力する指標VIの値は「0」である。このため、決定手段111(図2参照)は、θ=θにおいてスライスSLは検出対象の血管VEを含んでいないと決定する。
【0068】
次に、設定手段108は、スライスSLの角度θの値をθからθに変更する。
図19は、θ=θにおける説明図である。
設定手段108は、回転軸αを中心として、スライスSLをθからΔθだけ回転させる。これにより、スライスSLの角度θは、θからθ(=θ+Δθ)に変更される。抽出手段109は、θにおけるスライスSLの画像DS内から画像部分IRを抽出する。そして、計算手段110は、識別器Cを用いて、θにおけるスライスSL内に血管VEが含まれているか否かを表す指標VIを計算する。θでも、θと同様に、画像部分IRには、血管VEの全範囲は含まれていないので、VI=0である。したがって、決定手段111は、θ=θにおいてスライスSLは検出対象の血管VEを含んでいないと決定する。
【0069】
以下同様に、角度θ≦θ≦θの範囲内でスライスSLの角度θを変更し、スライスSLの角度θを変更するたびに、検出対象の血管VEが含まれているか否かを決定する。したがって、角度範囲θ〜θの中から、スライスSLが検出対象の血管VEを含むときのスライスSLの角度θを決定することができる。
【0070】
図20は、θ=θにおける説明図である。
θにおけるスライスSLから抽出された画像部分IRには、上行大動脈Aas、大動脈弓Aarc、および下行大動脈Adeの全てが含まれている。この場合、識別器Cは指標VIの値として「1」を出力するので、決定手段111は、スライスSLが検出対象の血管VEを含むときの角度は、θ=θであると決定する。
【0071】
したがって、θ=θの平面を、血管VEを縦断するオブリーク面OB(図10参照)として求めることができる。このようにして、血管VEが検出される。血管VEを検出した後、ステップST9に進む。
【0072】
ステップST9では、本スキャンMSが実行される。
図21は、本スキャンMSの説明図である。
本スキャンMSでは、θにおけるオブリーク面OBの断面画像を取得するためのシーケンスSEが繰り返し実行される。画像生成手段101は、シーケンスSEが実行されるたびに、θにおけるオブリーク面OB内の断面画像を生成する。そして、画像生成手段101は、最新の断面画像と直前の断面画像との差分画像Ddifを生成する。差分画像Ddifは、表示部に表示される。図22に、表示部に表示された差分画像Ddifを概略的に示す。
【0073】

シーケンスSEが実行されるたびに、差分画像Ddifはほぼリアルタイムで更新される。したがって、撮影技師は、表示部を見ることによって、最新の差分画像を視覚的に認識することができる。
【0074】
また、本スキャンMSでは、シーケンスSEを実行する前に、又はシーケンスSEが実行されている途中で、被検体14に造影剤が注入される。
【0075】

オペレータは、表示部に表示されている差分画像Ddifを見ながら、心臓から血管VEに造影剤のボーラスが流入したか否かを確認する。差分画像Ddifは、最新の断面画像と直前の断面画像とを差分することにより得られる画像であるので、血管VEに造影剤のボーラスが流入する前は、表示部に表示されている断面画像は全体的に暗い画像である。しかし、造影剤のボーラスが血管VEに流入すると、差分画像Ddifのうち、造影剤のボーラスに対応する部分が明るくなる。したがって、撮影技師は、血管VEに造影剤のボーラスが流入したことを視覚的に認識することができる。撮影技師は、血管VEに造影剤が流入したと認識したら、操作部を操作し、肝臓の画像を取得するためのイメージングシーケンスの開始命令を入力する。この命令が入力されると、ボーラス観測用シーケンスSEが終了し、イメージングシーケンスの実行が開始される。
【0076】
肝臓の画像を生成するために必要なデータが収集されたら、本スキャンMSを終了する。このようにして、フローが終了する。
【0077】
本形態では、被検体14の3D画像DTの中から、下行大動脈Adeの断面の位置Qを検出する(図13参照)。そして、検出した下行大動脈Adeの断面の位置Qを基準にして、所定の角度範囲θ≦θ≦θ内においてスライスSLの角度θを変更し、角度θごとに、スライスSL内に血管VEが含まれているか否かを判断している(図15図20参照)。したがって、スライスSL内に検出対象の血管VEが含まれるときのスライスSLの角度θ図20参照)を求めることができるので、複数のアキシャル面を設定する方法では検出が困難な血管であっても、本形態の手法を用いることにより血管VEを検出することができる。
【0078】
本形態では、ボーラス観測用シーケンスSEを実行することにより、血管VEを縦断するオブリーク面OBの断面画像がほぼリアルタイムで生成され、最新の断面画像と直前の断面画像との差分画像Ddifが表示部に表示される(図22参照)。したがって、撮影技師は、表示された画面を見ることにより、造影剤のボーラスが血管VEに流入したタイミングを視覚的に認識することができるので、所望のタイミングでイメージングスキャンを実行することができる。
【0079】
本形態では、下行大動脈Adeの断面の位置Qを基準位置として、スライスSLを設定している(図15図20参照)。しかし、位置Qとは別の位置を基準にしてスライスSLを設定してもよい。
【0080】
本形態では、3D画像に交差するスライスSLの角度θを所定の角度範囲θ≦θ≦θ内で変更している(図15図20参照)。この角度範囲θ≦θ≦θは、血管VEの標準的な形状、血管VEの標準的なサイズ、心臓に対する血管VEの標準的な位置などを考慮して設定されている。したがって、3D画像のうち、検出対象の血管VEが存在している可能性が低い角度範囲は、スライスSLの角度が変更される角度範囲θ≦θ≦θから除外される。このため、血管VEが存在している可能性が高いと思われる角度範囲θ≦θ≦θ内で、スライスSLの角度を変更することができるので、角度θの値を特定するために必要な計算時間を短縮することができる。
【0081】
本形態では、機械学習の手法を用いて作成された識別器Cを用いて、スライスSL内に血管VEが含まれるか否かを判定している。しかし、機械学習とは別の手法を用いて、スライスSL内に血管VEが含まれているか否かを判定してもよい。
【0082】
本形態では、肝臓のエッジの近くの下行大動脈Adeの断面の位置Qに基づいて、画像部分IRの範囲を決定している(図17参照)。しかし、位置Qよりも肝臓側又は心臓側に離れた位置に基づいて画像部分IRの範囲を決定してもよい。
【0083】
本形態では、下行大動脈Adeの断面の位置Qを通り、且つz方向に平行な回転軸αを中心としてスライスSLを回転させている(図15図20参照)。しかし、血管VEを検出することができるのであれば、位置Qからずれた回転軸、又はz方向に対して斜めの回転軸を中心にしてスライスSLを回転させてもよい。
【0084】
本形態では、スライスSLの画像DSから画像部分IRが抽出され、識別器Cは、抽出された画像部分IR内において識別処理を実行している(図18参照)。しかし、スライスSLの画像DSから画像部分IRを抽出せずに、スライスSLの画像DSの全領域において識別処理が実行されるようにしてもよい。
【0085】
本形態では、3Dデータ収集スキャンAS(図3参照)を実行している。しかし、検出対象の血管VEを検出することができるのであれば、3Dスキャンの代わりに、2Dスキャンを実行してもよい。
【0086】
また、本形態では、肝臓を含む部位に対してローカライザスキャンLSを実行している(図6参照)。しかし、ローカライザスキャンLSのスキャン範囲に検出対象の血管VE(上行大動脈Aas、大動脈弓Aarc、および下行大動脈Ade)が含まれるように、ローカライザスキャンLSのスキャン範囲を広げて、ローカライザスキャンLSにより得られた血管VEの部分の画像を、3D画像DT(図8参照)の代わりに用いてもよい。この場合、3Dデータ収集スキャンASが不要となるので、被検体14の撮影に必要なトータルの時間を短縮することができる。
【0087】
本形態では、3D画像DTの位置Qを基準にして1枚のスライスSLを設定し、このスライスSLが検出対象の血管VEを含むときの角度θ=θを求めることにより、オブリーク面OB(図10参照)を得ている。しかし、3D画像DTの位置Qおよび位置Qの近傍に、互いに平行に並ぶ複数枚のスライスSL1〜SLzを設定し、スライスごとに、検出対象の血管VEを含むときの角度θ=θk1〜θkzを求め、θk1〜θkzに基づいて、オブリーク面OBを求めてもよい。この場合、例えば、θk1〜θkzの平均値を、オブリーク面OBの角度θとすることができる。複数枚のスライスSL1〜SLzを用いることにより、血管VEとオブリーク面OBとの位置ずれが更に小さくなるようにオブリーク面OBの角度θを求めることができるので、血管VEの検出精度を高めることが可能となる。複数枚のスライスSL1〜SLzを設定する場合、各スライスの厚さは、血管VEの直径よりも小さく設定することができる。尚、複数枚のスライスSL1〜SLzは、互いに交差するように設定することも可能である。
【0088】
本形態では、上行大動脈Aas、大動脈弓Aarc、および下行大動脈弓Adeを含む血管VEを検出する例について説明されている。しかし、本発明は、血管VEの検出に限定されることはなく、複数のアキシャル面を設定する手法では検出が困難な血管に対して適用することができる。例えば、首の頚動脈は、首から頭部に向かって複数の分岐部分を有する血管であるので、複数のアキシャル面を設定する方法では検出することが難しい。しかし、本発明では、スライスSLの角度を変更することにより、頚動脈の複数の分岐部分がスライスSL内に含まれるときのスライスSLの角度θを特定することができる。したがって、人体内の様々な形状の血管を検出する場合に適用することができる。また、本発明の検出対象は動脈に限定されることはなく、本発明は静脈を検出する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0089】
1 MRI装置
2 マグネット
3 テーブル
3a クレードル
4 受信コイル
5 造影剤注入装置
6 制御部
7 送信器
8 勾配磁場電源
9 受信器
10 処理装置
11 記憶部
12 操作部
13 表示部
14 被検体
21 ボア
22 超伝導コイル
23 勾配コイル
24 RFコイル
101 画像生成手段
102 コロナル画像選択手段
103 エッジ検出手段
104 エッジ位置選択手段
105 アキシャル画像選択手段
106 断面検出手段
107 特定手段
108 設定手段
109 抽出手段
110 計算手段
111 決定手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
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図19
図20
図21
図22