特許第6859106号(P6859106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859106
(24)【登録日】2021年3月29日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】シフトバイワイヤシステム
(51)【国際特許分類】
   F16H 61/28 20060101AFI20210405BHJP
   F16H 59/68 20060101ALI20210405BHJP
   F16H 61/12 20100101ALI20210405BHJP
   H02P 25/08 20160101ALI20210405BHJP
【FI】
   F16H61/28
   F16H59/68
   F16H61/12
   H02P25/08
【請求項の数】6
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2017-2383(P2017-2383)
(22)【出願日】2017年1月11日
(65)【公開番号】特開2018-112238(P2018-112238A)
(43)【公開日】2018年7月19日
【審査請求日】2019年11月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003214
【氏名又は名称】特許業務法人服部国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
(72)【発明者】
【氏名】山本 大祐
(72)【発明者】
【氏名】岩田 理孝
(72)【発明者】
【氏名】竹森 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】森 泰三
【審査官】 鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−180250(JP,A)
【文献】 特開2015−128846(JP,A)
【文献】 特開2014−222803(JP,A)
【文献】 特開2008−133931(JP,A)
【文献】 特開2010−078093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 61/28
F16H 59/68
F16H 61/12
H02P 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者により操作されるシフト選択部(45)からの信号に応じて自動変速機(20)のシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤシステム(3)であって、
電力を供給可能な第1電源(18)と、
前記第1電源よりも供給電力が小さい第2電源(19)と、
電力により回転可能なモータ部(32)、前記モータ部の回転に応じてパルス信号を出力し、前記モータ部の回転角(θm)を検出可能なエンコーダ(34)および前記モータ部の回転を減速して出力する減速部(33)を有するアクチュエータ(30)と、
前記減速部に接続されており、前記アクチュエータにより回転可能で、駐車用のレンジであるPレンジに対応するとともに回転方向の一方側に形成される第1凹部(61)を有するディテントプレート(52)と、
規制部(53)を有し、前記第1凹部に前記規制部が嵌り込むことによって、前記ディテントプレートの回転を規制し、前記自動変速機のシフトレンジを固定可能なディテントスプリング(55)と、
前記第1電源から前記アクチュエータへ供給される電力を第1電力(W1)とし、前記第2電源から前記アクチュエータへ供給される電力を第2電力(W2)とすると、
前記第1電力の供給が失陥したか否かを判定する電源異常判定部(81)と、
前記第1電力の供給が失陥したと前記電源異常判定部が判定したとき、前記アクチュエータに供給する電力を前記第1電力から前記第2電力に切り替える電源切替部(82)と、
前記アクチュエータに供給する電力を前記第1電力から前記第2電力に前記電源切替部が切り替えたときから前記自動変速機のシフトレンジが前記Pレンジに切り替わったときまで前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御部(83)と、
前記アクチュエータに供給する電力を前記第1電力から前記第2電力に前記電源切替部が切り替えたときから前記自動変速機のシフトレンジが前記Pレンジに切り替わったときまで、前記第2電力を削減するように制御する電力制御部(84)と、
を備え
基準位置の学習状態がリセットされた場合、
前記第1電源が正常である場合、再度、前記基準位置の学習を行い、前記アクチュエータを通常制御し、
前記第1電源が失陥し、前記第2電源にて前記アクチュエータを駆動する場合、前記基準位置の再学習を行わず、オープン制御とするシフトバイワイヤシステム。
【請求項2】
前記アクチュエータ制御部は、前記モータ部の回転角に基づいて前記アクチュエータをフィードバック制御する請求項1に記載のシフトバイワイヤシステム。
【請求項3】
前記ディテントプレートは、回転方向の他方側に形成され、前記規制部が嵌り込む第2凹部(64)をさらに有し、
前記アクチュエータ制御部は、前記ディテントプレートが前記第2凹部から前記第1凹部まで回転するときの前記モータ部の回転角に基づいて、前記アクチュエータを制御する請求項1または2に記載のシフトバイワイヤシステム。
【請求項4】
前記電力制御部と前記アクチュエータは、2系統以上の配線(75、76)で接続されており
前記第1電源が正常である場合、複数系統を用いて前記アクチュエータに通電し、
前記第1電源が失陥し、前記第2電源にて前記アクチュエータを駆動する場合、複数系統のうちの1系統を用いて前記アクチュエータに通電する請求項1から3のいずれか一項に記載のシフトバイワイヤシステム。
【請求項5】
前記第1電源が正常である場合、レンジ切替が完了した場合、通電による停止制御を行い、
前記第1電源が失陥し、前記第2電源にて前記アクチュエータを駆動する場合、レンジ切替が完了した場合、通電による停止制御を行わずに通電をオフにする請求項1〜4のいずれか一項に記載のシフトバイワイヤシステム。
【請求項6】
車両の運転者により操作されるシフト選択部(45)からの信号に応じて自動変速機(20)のシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤシステム(3)であって、
電力を供給可能な第1電源(18)と、
前記第1電源よりも供給電力が小さい第2電源(19)と、
電力により回転可能なモータ部(32)、前記モータ部の回転に応じてパルス信号を出力し、前記モータ部の回転角(θm)を検出可能なエンコーダ(34)および前記モータ部の回転を減速して出力する減速部(33)を有するアクチュエータ(30)と、
前記減速部に接続されており、前記アクチュエータにより回転可能で、駐車用のレンジであるPレンジに対応するとともに回転方向の一方側に形成される第1凹部(61)を有するディテントプレート(52)と、
規制部(53)を有し、前記第1凹部に前記規制部が嵌り込むことによって、前記ディテントプレートの回転を規制し、前記自動変速機のシフトレンジを固定可能なディテントスプリング(55)と、
前記第1電源から前記アクチュエータへ供給される電力を第1電力(W1)とし、前記第2電源から前記アクチュエータへ供給される電力を第2電力(W2)とすると、
前記第1電力の供給が失陥したか否かを判定する電源異常判定部(81)と、
前記第1電力の供給が失陥したと前記電源異常判定部が判定したとき、前記アクチュエータに供給する電力を前記第1電力から前記第2電力に切り替える電源切替部(82)と、
前記アクチュエータに供給する電力を前記第1電力から前記第2電力に前記電源切替部が切り替えたときから前記自動変速機のシフトレンジが前記Pレンジに切り替わったときまで前記アクチュエータを制御するアクチュエータ制御部(83)と、
前記アクチュエータに供給する電力を前記第1電力から前記第2電力に前記電源切替部が切り替えたときから前記自動変速機のシフトレンジが前記Pレンジに切り替わったときまで、前記第2電力を削減するように制御する電力制御部(84)と、
を備え
前記電力制御部と前記アクチュエータとは、2系統以上の配線(75、76)で接続されており、
前記第1電源が正常である場合、複数系統を用いて前記アクチュエータに通電し、
前記第1電源が失陥し、前記第2電源にて前記アクチュエータを駆動する場合、複数系統のうちの1系統を用いて前記アクチュエータに通電するシフトバイワイヤシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動変速機のシフトレンジを切り替えるシフトバイワイヤシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両制御の分野において、車両の運転者が指令し、バイワイヤ制御回路によって車両状態を変更可能なアクチュエータを電気制御するバイワイヤシステムが実用されている。特許文献1に記載のように、主電源である第1電源が失陥したとき、予備電源である第2電源を用いてアクチュエータを電気制御するバイワイヤシステムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4147420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のように、第2電源の容量を小さくする場合、電力不足によって第1電源を用いたときと同様のアクチュエータの制御ができない虞がある。このため、第2電源の容量を比較的大きくする必要があり、第2電源が大型化する虞がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、第1電源が失陥しても適切にアクチュエータを制御し、第2電源が小型化可能なシフトバイワイヤシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシフトバイワイヤシステムは、車両の運転者により操作されるシフト選択部(45)からの信号に応じて自動変速機(20)のシフトレンジを切り替える。
本発明のシフトバイワイヤシステムは、第1電源(18)、第2電源(19)、アクチュエータ(30)、ディテントプレート(52)、ディテントスプリング(55)、電源異常判定部(81)、電源切替部(82)、アクチュエータ制御部(83)および電力制御部(84)を備える。
【0007】
第1電源は、電力を供給可能である。
第2電源は、第1電源よりも供給電力が小さい。
アクチュエータは、モータ部(32)、エンコーダ(34)および減速部(33)を有する。
モータ部は、電力により回転可能である。
エンコーダは、モータ部の回転に応じてパルス信号を出力し、モータ部の回転角(θm)を検出可能である。
減速部は、モータ部の回転を減速して出力する。
【0008】
ディテントプレートは、減速部に接続されており、アクチュエータにより回転可能で、第1凹部(61)を有する。
第1凹部は、駐車用のレンジであるPレンジに対応するとともにディテントプレートの回転方向の一方側に形成される。
ディテントスプリングは、規制部(53)を有し、第1凹部に規制部が嵌り込むことによって、ディテントプレートの回転を規制し、自動変速機のシフトレンジを固定可能である。
【0009】
第1電源からアクチュエータへの電力を第1電力(W1)とし、第2電源からアクチュエータへの電力を第2電力(W2)とする。
電源異常判定部は、第1電力の供給が失陥したか否かを判定する。
電源切替部は、第1電力の供給が失陥したと電源異常判定部が判定したとき、アクチュエータに供給する電力を第1電力から第2電力に切り替える。
【0010】
アクチュエータ制御部は、アクチュエータに供給する電力を第1電力から第2電力に電源切替部が切り替えたときから自動変速機のシフトレンジがPレンジに切り替わったときまでアクチュエータを制御する。
電力制御部は、アクチュエータに供給する電力を第1電力から第2電力に電源切替部が切り替えたときから自動変速機のシフトレンジがPレンジに切り替わったときまで、第2電力を削減するように制御する。
第1態様では、基準位置の学習状態がリセットされた場合、第1電源が正常である場合、再度、基準位置の学習を行い、アクチュエータを通常制御し、第1電源が失陥し、第2電源にてアクチュエータを駆動する場合、基準位置の再学習を行わず、オープン制御とする。
第2態様では、電力制御部とアクチュエータとは、2系統以上の配線(75、76)で接続されている。第1電源が正常である場合、複数系統を用いてアクチュエータに通電し、第1電源が失陥し、第2電源にてアクチュエータを駆動する場合、複数系統のうちの1系統を用いてアクチュエータに通電する。
【0011】
このような構成にすることによって、第1電源が失陥したとき、電源異常判定部、電源切替部およびアクチュエータ制御部によって、Pレンジへの切り替わりが完了するまで、適切にアクチュエータを制御できる。また、このとき、電力制御部が第2電力を削減し、省電力でアクチュエータの制御ができる。このため、第2電源の容量を比較的小さくでき、第2電源が小型化可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムを含む車両制御システムを示す概略図。
図2】本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムの変速機構部およびその近傍を示す図。
図3】本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムのアクチュエータを示す断面図。
図4】本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムのディテントプレートを示す図。
図5】本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムのSBW−ECUにおけるブロック図。
図6】本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムのSBW−ECUの処理を説明するためのタイムチャート。
図7】本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムのSBW−ECUが2系統の配線を1系統の配線にする構成図。
図8】本発明の第1実施形態によるシフトバイワイヤシステムのSBW−ECUの処理を説明するためのフローチャート。
図9】本発明の第2実施形態によるシフトバイワイヤシステムのSBW−ECUにおけるブロック図。
図10】本発明の第2実施形態によるシフトバイワイヤシステムのSBW−ECUの処理を説明するためのタイムチャート。
図11】本発明の第2実施形態によるシフトバイワイヤシステムのSBW−ECUの処理を説明するためのフローチャート。
図12】本発明の第3実施形態によるシフトバイワイヤシステムのSBW−ECUの処理を説明するためのタイムチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態によるシフトバイワイヤシステムを図面に基づいて説明する。複数の実施形態において、第1実施形態と実質的に同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。「本実施形態」という場合、第1から第3実施形態を包括する。また、以下の説明では、電子制御ユニットを「ECU」と記載する。
【0014】
(第1実施形態)
図1に示すように、本実施形態によるシフトバイワイヤシステム3を含む車両制御システム1を示している。
車両制御システム1は、例えば、四輪の車両に搭載され、自動変速機制御システム2、シフトバイワイヤシステム3、エンジン制御システム4および統合ECU10で構成されている。
【0015】
自動変速機制御システム2は、AT−ECU12を有し、シフトバイワイヤシステム3は、SBW−ECU13を有し、エンジン制御システム4は、EC−ECU14を有する。
AT−ECU12、SBW−ECU13およびEC−ECU14は、マイクロコンピュータを主体に構成された電気回路で、車両内のLAN回線17を経由して電気的または光学的に相互に接続されている。
また、AT−ECU12、SBW−ECU13およびEC−ECU14は、第1電源18および第2電源19に電気的に接続されている。
【0016】
第1電源18は、車両が備える主電源で、電力を供給可能である。
第2電源19は、車両が備える予備電源で、電力を供給可能であり、第2電源19の容量は第1電源18の容量よりも小さい。
AT−ECU12、SBW−ECU13およびEC−ECU14は、第1電源18または第2電源19から供給される電力によって作動する。
【0017】
統合ECU10は、AT−ECU12、SBW−ECU13およびEC−ECU14と同様に、第1電源18または第2電源19に電気的に接続されている。
また、統合ECU10は、AT−ECU12、SBW−ECU13およびEC−ECU14と共同して車両制御システム1全体を制御する。
さらに、統合ECU10は、表示装置47に接続されている。
表示装置47は、車両の運転席前方に設けられており、自動変速機20の実際のレンジを表示可能である。以下、自動変速機20の実際のレンジを「実レンジ」と記載する。
【0018】
自動変速機制御システム2は、車両の自動変速機20を油圧により駆動し、油圧回路21を備えている。
自動変速機20は、走行レンジとしてのDレンジおよびRレンジ、並びに、非走行レンジとしてのPレンジおよびNレンジのシフトレンジが設定されている。
また、自動変速機20は、シフトレンジのいずれかで締結する複数の摩擦係合要素を備えている。なお、Dレンジは前進用のレンジで、Rレンジは後進用のレンジで、Pレンジは駐車用のレンジで、Nレンジは中立のレンジである。
【0019】
油圧回路21は、マニュアルバルブ22および複数の電磁弁23を有し、自動変速機20のシフトレンジおよび変速段を切り替える。
マニュアルバルブ22は、レンジ位置選択機構としてのスプールバルブで、軸方向に移動にすることによって油圧回路21を切り替える。油圧回路21が切り替わり、自動変速機20がDレンジ、Rレンジ、PレンジまたはNレンジのいずれかに設定される。
電磁弁23は、対応する自動変速機20の摩擦係合要素を油圧によって駆動する。電磁弁23から供給される油圧によって、各摩擦係合要素が締結または開放する。
【0020】
AT−ECU12は、電磁弁23等の電気要素に電気的に接続されており、各電磁弁23から供給される油圧を電気的に制御し、自動変速機20の摩擦係合要素を締結または解放する。
また、AT−ECU12は、自動変速機20の出力軸の回転数から車両の車速を測定可能な車速センサ24と電気的に接続されており、車速センサ24から出力された検出信号を受信して、電磁弁23を制御する。
【0021】
シフトバイワイヤシステム3は、アクチュエータ30および変速機構部31を備えている。
アクチュエータ30は、モータ部32、減速部33およびエンコーダ34を有する。
図2に示すように、アクチュエータ30は、パーキングロック機構70を駆動する
【0022】
図3に示すように、モータ部32は、例えば、スイッチトリラクタンス(SR)モータであり、永久磁石を用いることなく駆動力を発生し、U相、V相およびW相を含む3相のブラシレスモータで、ステータ35およびロータ37を含む。
ステータ35は、回転方向に配列された複数のコイル36に嵌合されている。
ロータ37は、ステータ35の内側に設けられ、中心部に軸部材38を有し、アクチュエータ30のハウジングに回転可能に支持されている。
ロータ37および軸部材38は、SBW−ECU13が複数のコイル36に所定のタイミングで順次通電したとき、回転する。
【0023】
エンコーダ34は、ロータ37の回転角であるモータ回転角θmを検出可能である。
また、エンコーダ34は、アクチュエータ30のハウジング内に設けられており、ロータ37と一体に回転する磁石と、磁気検出用のホールIC等により構成されている。
さらに、エンコーダ34は、モータ回転角θmの変化分に応じてパルス信号をSBW−ECU13に出力する。
【0024】
エンコーダ34から出力されたパルス信号に応じて、SBW−ECU13によってカウント用の値(カウント値)を減少または増加し、SBW−ECU13がロータ37の回転状態を検出する。SBW−ECU13がロータ37の回転状態を検出することによって、モータ部32が脱調することなく高速回転できる。
なお、車両電源のオン毎(シフトバイワイヤシステム3の起動毎)に、モータ部32の励磁通電相学習(エンコーダ34から出力されたパルス信号に応じたカウント値と通電相の同期)のための初期駆動制御が行われる。この初期駆動制御により、アクチュエータ30の回転を適切に制御できるようになる。
【0025】
図2に戻って、ディテントプレート52は、マニュアルシャフト51の径方向内側から径方向外側に伸びてマニュアルシャフト51と一体に構成されており、アクチュエータ30によって回転可能で、ピン54が設けられている。
ピン54は、マニュアルバルブ22に接続されている。ピン54によって、ディテントプレート52がマニュアルシャフト51とともに回転し、マニュアルバルブ22が軸方向に往復移動する。
【0026】
図4に示すように、ディテントプレート52は、マニュアルシャフト51の径方向外側に第1凹部61、複数の中間凹部62、63および第2凹部64を有する。
第1凹部61は、ディテントプレート52の回転方向の一方側に形成されている。
第2凹部64は、ディテントプレート52の回転方向の他方側に形成されている。
中間凹部62、63は、第1凹部61と第2凹部64との間に形成されている。
【0027】
第1凹部61は、自動変速機20のシフトレンジである「Pレンジ」に対応して形成されており、第2凹部64とは反対側に第1壁65を含む。
中間凹部62は、「Rレンジ」に対応して形成されている。
中間凹部63は、「Nレンジ」に対応して形成されている。
第2凹部64は、「Dレンジ」に対応して形成されており、第1凹部61とは反対側に第2壁66を有する。なお、第2凹部64は、「最低速段レンジ」に対応して形成してもよい。
【0028】
ディテントスプリング55は、「規制部」としてのディテントローラ53を先端に有する。
ディテントローラ53は、マニュアルシャフト51を経由してディテントプレート52に回転方向の所定の力が加わるとき、各凹部61−64間に形成される凸部を乗り越えて隣接する他の凹部61−64に移動する。アクチュエータ30によってマニュアルシャフト51が回転し、マニュアルバルブ22の軸方向の位置およびパーキングロック機構70の状態が変化し、自動変速機20のシフトレンジが変更される。
【0029】
ディテントローラ53は、第1凹部61、中間凹部62、中間凹部63または第2凹部64のいずれかに嵌り込むことでディテントプレート52の回転を規制する。ディテントプレート52の回転が規制され、マニュアルバルブ22の軸方向の位置およびパーキングロック機構70の状態が決定され、自動変速機20のシフトレンジが固定可能になる。
【0030】
シフトレンジがPレンジ側からRレンジ、NレンジおよびDレンジ側に切り替わるときに減速部33が回転する方向を、正回転方向とする。
一方、シフトレンジがDレンジ側からNレンジ、RレンジおよびPレンジ側に切り替わるときに減速部33が回転する方向を、逆回転方向とする。
【0031】
ディテントプレート52の回転可能範囲は、第1壁65とディテントローラ53とが接触する位置から、第2壁66とディテントローラ53とが接触する位置までの範囲となる。
図2において、回転可能範囲は、ディテントローラ53との関係におけるディテントプレート52の回転可能範囲である。このため、ディテントスプリング55の撓み量、伸び量およびマニュアルシャフト51のねじれ量等を含めると、ディテントプレート52の絶対的な回転可能範囲は、図4に示す回転可能範囲よりも大きくなる。
【0032】
シフトレンジがDレンジであるとき、すなわち、Pレンジ以外のレンジであるときのパーキングロック機構70の状態を示している。この状態で、パーキングギア74はパーキングロックポール73によってロックされていないため、車両の車輪の回転は妨げられない。
【0033】
この状態から減速部33が逆回転方向に回転するとき、ディテントプレート52を経由してロッド71が矢印X方向に押され、ロッド71の先端に設けられているテーパ部72がパーキングロックポール73を矢印Yの方向に押し上げる。
パーキングロックポール73がパーキングギア74に噛み合い、パーキングギア74がロックされ、ディテントローラ53が第1凹部61に嵌り、車輪の回転が規制された状態になる。このとき、実レンジはPレンジである。
【0034】
図1に戻って、SBW−ECU13は、モータ部32、エンコーダ34およびレンジセレクタ45に電気的に接続されている。
レンジセレクタ45は、シフト選択部であり、セレクタセンサ46が設けられている。
セレクタセンサ46は、車両の運転者がレンジセレクタ45を操作することにより指令したレンジを検出し、検出した信号をSBW−ECU13に出力する。以下、車両の運転者がレンジセレクタ45を操作することにより指令したレンジを「指令レンジ」と記載する。
【0035】
SBW−ECU13は、セレクタセンサ46から出力された指令レンジの信号に基づき、目標レンジを決定する。例えば、セレクタセンサ46の信号、ブレーキペダル48の信号および車速センサ24の信号に基づき目標レンジが決定される。
また、SBW−ECU13は、自動変速機20のシフトレンジが目標レンジとなるようにアクチュエータ30の回転を制御する。SBW−ECU13により自動変速機20の実レンジが運転者の意図するレンジに切り替わる。
【0036】
エンコーダ34は、インクリメンタル型でモータ部32の相対的な回転位置のみ検出可能である。エンコーダ34を用いてシフトレンジが所望のレンジに切り替わるために、SBW−ECU13は、減速部33の絶対位置に対応する基準位置を学習する。
SBW−ECU13は、基準位置を学習した後、学習した基準位置および所定の回転量に基づき各シフトレンジに対応するアクチュエータ30の回転位置を演算により求める。演算により求めた回転位置となるように、アクチュエータ30が回転し、実レンジが所望のシフトレンジに切り替わる。
【0037】
また、SBW−ECU13は、基準位置を学習した後、学習した基準位置、所定の回転量およびエンコーダ34からのパルス信号のカウント値に基づく演算により、そのときの実レンジを検出することができる。
【0038】
EC−ECU14は、車両のエンジン40のスロットル41、インジェクタ42、アクセルセンサ44およびブレーキペダル48に電気的に接続されている。
スロットル41は、エンジン40の吸気通路を流れる吸気の流量を調整する。
インジェクタ42は、エンジン40の吸気通路または各気筒へ噴射する燃料の量を調整する。
アクセルセンサ44は、アクセルペダル43に接続されており、運転者がアクセルペダル43の操作量であるアクセル開度を検出し、検出した信号をEC−ECU14に出力する。
ブレーキペダル48は、運転者の足で操作可能で、油圧式で作動する。
【0039】
また、EC−ECU14は、運転者によってアクセルペダル43の操作に基づいてスロットル41およびインジェクタ42を電気的に制御し、エンジン40の回転数および出力トルクを調整する。
【0040】
SBW−ECU13による「アクチュエータ30の基準位置の学習」について説明する。本実施形態では、アクチュエータ30の基準位置の学習は、第1基準位置の学習または第2基準位置の学習である。
【0041】
図4に戻って、第1基準位置は、ディテントローラ53が第1壁65に接触した状態におけるアクチュエータ30の回転位置のことであり、シフトレンジのPレンジに対応する位置である。
第2基準位置は、ディテントローラ53が第2壁66に接触した状態におけるアクチュエータ30の回転位置のことであり、シフトレンジのDレンジに対応する位置である。
【0042】
SBW−ECU13は、第1基準位置の学習を実施するとき、ディテントローラ53が第1壁65に接触する。
また、SBW−ECU13は、アクチュエータ30の回転が規制される方向、すなわち、逆回転方向にアクチュエータ30が回転するように制御する。ディテントローラ53が第1壁65に接触するとともに押されることによって、ディテントスプリング55が撓み始める。
【0043】
ディテントスプリング55が撓み、エンコーダ34から出力されたパルス信号のカウント値の最小値または最大値が所定時間変化しない状態を検出する。
SBW−ECU13は、エンコーダ34が検出した状態からディテントプレート52およびアクチュエータ30の回転が停止したと、判定する。カウント値の最小値または最大値のいずれかを監視するかは、エンコーダ34の特性に応じて設定される。なお、カウント値の最小値または最大値が所定時間変化しないことは、ディテントプレート52が動かなくなった状態を示す。
【0044】
SBW−ECU13は、このときのカウント値を、アクチュエータ30の第1基準位置に対応する値として、記憶部15のRAM等の揮発性メモリに記憶する。これにより、アクチュエータ30の第1基準位置の学習が完了する。ここで、SBW−ECU13は、「第1位置学習部」として機能する。
第1基準位置から各シフトレンジに対応する位置までのモータ部32の回転量を示す複数の所定値を第1所定値とする。
記憶部15は、予め、第1所定値が記憶されている。
【0045】
SBW−ECU13は、第1基準位置の学習後、第1基準位置および各第1所定値に基づき、各シフトレンジに対応するアクチュエータ30の回転位置を演算により求める。演算により求めた回転位置となるように、アクチュエータ30をフィードバック制御する。
アクチュエータ30が回転し、SBW−ECU13は、実レンジを所望のシフトレンジに切り替えることができ、通常制御状態になる。
【0046】
一方、SBW−ECU13は、第2基準位置の学習を実施するとき、ディテントローラ53が第2壁66に接触することによって、アクチュエータ30の回転が規制される方向、すなわち、正回転方向にアクチュエータ30が回転するように制御する。ディテントローラ53が第2壁66に接触するとともに引っ張られることによって、ディテントスプリング55が伸び始める。
【0047】
SBW−ECU13は、第1基準位置の学習を実施するときと同様に、エンコーダ34が検出した状態からディテントプレート52およびアクチュエータ30の回転が停止したと、判定する。
SBW−ECU13は、このときのカウント値を、アクチュエータ30の第2基準位置に対応する値として、記憶部15に記憶する。これにより、アクチュエータ30の第2基準位置の学習が完了する。ここで、SBW−ECU13は、「第2位置学習部」として機能する。
第2基準位置から各シフトレンジに対応する位置までのモータ部32の回転量を示す複数の所定値を第2所定値とする。
記憶部15は、予め、第2所定値が記憶されている。
【0048】
SBW−ECU13は、第2基準位置の学習後、第2基準位置および各第2所定値に基づき、各シフトレンジに対応するアクチュエータ30の回転位置を演算により求める。第1基準位置の学習後と同様に、SBW−ECU13は、実レンジを所望のシフトレンジに切り替えることができ、通常制御状態になる。
【0049】
SBW−ECU13は、第1基準位置または第2基準位置の学習を実施し、シフトバイワイヤシステム3を通常制御が可能な状態にする。
第1所定値および第2所定値は、設定値であり、ディテントプレート52の各凹部61−64の角度、各係合部材間のあそびまたはディテントスプリング55の撓み量もしくは伸び量等を考慮して設定されている。
また、第1所定値および第2所定値は、記憶部15のROMやEEPROM等の不揮発性メモリに記憶され、記憶部15への車両電源の供給が絶たれても消去されることはない。
【0050】
このように、本実施形態のシフトバイワイヤシステム3は、SBW−ECU13が第1基準位置または第2基準位置を学習する。第1基準位置または第2基準位置と、第1所定値または第2所定値と、に基づき、各シフトレンジに対応するアクチュエータ30の回転位置をSBW−ECU13が演算により求める。演算により求めた回転位置となるように、アクチュエータ30が回転し、所望のシフトレンジに実レンジが切り替えられる。
【0051】
従来、特許文献1の構成のように、主電源である第1電源が失陥したときに、予備電源である第2電源を用いてアクチュエータを電気制御することが知られている。しかし、車両の居住スペースを確保する等のために、第2電源の容量を小さくして、第2電源を小型化する場合がある。この場合、電力不足によって第1電源を用いたときと同様のアクチュエータの制御ができない虞がある。このため、第2電源の容量を比較的大きくする必要があり、第2電源が大型化する。
そこで、本実施形態のシフトバイワイヤシステム3では、第1電源18からの電力供給が失陥しても適切にアクチュエータ30を制御し、第2電源19が小型化可能にする。
【0052】
本実施形態のシフトバイワイヤシステム3におけるSBW−ECU13は、第1電源18、第2電源19、アクチュエータ30および2系統の配線75、76に電気的に接続されている。
配線75、76は、アクチュエータ30のモータ部32のU相、V相およびW相からSBW−ECU13にそれぞれ接続されている3本の導線である。本実施形態では、3本の導線を1系統とする。図中において、煩雑さを避けるため、配線75、76は、1本の線で記載している。
【0053】
図5に示すように、SBW−ECU13は、電源異常判定部81、電源切替部82、アクチュエータ制御部83および電力制御部84を有する。
第1電源18からSBW−ECU13を経由してアクチュエータ30へ供給される電力を第1電力W1とし、第2電源19からSBW−ECU13を経由してアクチュエータ30へ供給される電力を第2電力W2とする。
【0054】
電源異常判定部81は、第1電力W1を取得し、取得した第1電力W1と予め設定される閾値Wt1とを比較する。比較することによって、電源異常判定部81は、第1電力W1が失陥したか否かを判定し、この判定を値として電源切替部82に出力する。
電源異常判定部81は、取得した第1電力W1が閾値Wt1を超えるとき、第1電力W1が供給されており、第1電力W1の供給が正常であると判定する。
一方、電源異常判定部81は、取得した第1電力W1が閾値Wt1以下であるとき、第1電力W1の供給が失陥したと判定する。
【0055】
電源切替部82は、電源異常判定部81およびアクチュエータ制御部83に、電気的に接続されている。
電源切替部82は、第1電力W1の供給が正常であると電源異常判定部81が判定したとき、第1電源18とアクチュエータ30とを電気的に接続し、第2電源19とアクチュエータ30との電気的な接続を遮断する。このとき、電源異常判定部81、電源切替部82、アクチュエータ制御部83および電力制御部84を経由して、第1電力W1がアクチュエータ30に供給される。
【0056】
また、電源切替部82は、第1電力W1の供給が失陥したと電源異常判定部81が判定したとき、第1電源18とアクチュエータ30との電気的な接続を遮断し、第2電源19とアクチュエータ30とを電気的に接続する。このとき、電源異常判定部81、電源切替部82、アクチュエータ制御部83および電力制御部84を経由して、第2電力W2がアクチュエータ30に供給される。
【0057】
さらに、このとき、電源異常判定部81は、第2電力W2を取得し、取得した第2電力W2と予め設定される閾値Wt2とを比較する。比較することによって、電源異常判定部81は、第2電力W2が失陥したか否かを判定し、この判定を値として電源切替部82に出力する。
電源異常判定部81は、取得した第2電力W2が閾値Wt2を超えるとき、第2電力W2が供給されており、第2電力W2の供給が正常であると判定する。
一方、電源異常判定部81は、取得した第2電力W2が閾値Wt2以下であるとき、第2電力W2の供給が失陥したと判定する。
【0058】
アクチュエータ制御部83は、電源切替部82および電力制御部84に接続されている。
アクチュエータ制御部83は、第1電力W1の供給が正常であるとき、第1基準位置または第2基準位置の学習を実施する。
また、アクチュエータ制御部83は、シフトバイワイヤシステム3を通常制御が可能な状態にし、アクチュエータ30の通常制御を行う。
【0059】
さらに、アクチュエータ制御部83は、第1電力W1の供給が失陥し、第1電力W1から第2電力W2に切り替えたときからシフトレンジがPレンジに切り替わったときまで、電力制御部84を経由してアクチュエータ30を制御する。
このとき、アクチュエータ制御部83は、通常制御と同様に、エンコーダ34からモータ回転角θmを取得し、モータ回転角θmに基づいて目標値となるようにアクチュエータ30をフィードバック制御できる。図中において、フィードバックは、「F/B」と記載する。
【0060】
電力制御部84は、配線75、76を経由してアクチュエータ30に接続されている。
電力制御部84は、第1電力W1の供給が正常であるとき、第1電力W1をアクチュエータ30に供給し、第1電力W1を制御する。
一方、電力制御部84は、第1電力W1の供給が失陥し、第1電力W1から第2電力W2に切り替え、第2電力W2がアクチュエータ30に供給されたときからシフトレンジがPレンジに切り替わったときまで、第2電力W2を削減するように制御する。
【0061】
また、電力制御部84は、第1電力W1の供給が失陥したとき、配線75、76の一方を遮断し、配線75、76の他方のみを通電する。
さらに、電力制御部84は、シフトレンジがPレンジに切り替わった後、すなわち、アクチュエータ30が停止するとき、第2電力W2の供給を遮断可能である。
【0062】
第1電源18が失陥したときの第1実施形態のSBW−ECU13による処理を図6のタイムチャートを参照して説明する。
初期状態では、アクチュエータ30は制御可能な状態である準備状態であり、シフトレンジはDレンジになっている。また、第1電力W1の供給は正常であり、第2電力W2はゼロである。ここで、「ゼロ」は常識的な誤差範囲を含む。以下、「ゼロ」は、拡大解釈するものとする。
【0063】
まず、第1電源18が正常で、第1電力W1がアクチュエータ30に供給され、アクチュエータ30が通常制御される場合を説明する。
図6において、アクチュエータ30が通常制御されるときのアクチュエータ30の駆動状態およびアクチュエータ30への供給電力を一点鎖線で示す。なお、基準位置の学習は完了したものとする。
【0064】
時刻t2に、運転者によって、シフトレンジがDレンジからPレンジに切り替える指令がされ、アクチュエータ30に第1電力W1が供給され、アクチュエータ制御部83がアクチュエータ30をフィードバック制御し、通常制御を開始する。
時刻t3に、シフトレンジがDレンジからPレンジに切り替わり始め、電力制御部84が時刻t2時と比較して第1電力W1を小さくする。
【0065】
時刻t4に、DレンジからPレンジへの切り替わりが完了し、アクチュエータ制御部83は、アクチュエータ30が停止するように制御する。
また、時刻t4に、電力制御部84は、時刻t3時と比較して第1電力W1を大きくする。
時刻t5に、アクチュエータ30の停止が完了し、アクチュエータ30は、準備状態に戻り、電力制御部84は、第1電力W1をゼロにする。
このように、第1電源18が正常であるとき、アクチュエータ制御部83は、アクチュエータ30の通常制御を行う。
【0066】
第1電源18が失陥したときの第1実施形態のSBW−ECU13による処理を説明する。
図6に示すように、時刻t0に、故障等の原因で第1電力W1が低下し、第1電力W1が閾値Wt1以下になる。
このとき、電源異常判定部81は、第1電力W1の供給が失陥したと判定し、この判定を電源切替部82に出力する。
【0067】
時刻t1に、電源切替部82は、第1電源18から第2電源19に接続を切り替え、第2電力W2がアクチュエータ30に供給される。
また、図7に示すように、時刻t1に、電力制御部84は、一方の配線76からアクチュエータ30に通電しないように、アクチュエータ30と配線76との電気的な接続を遮断する。
【0068】
時刻t2に、運転者によって、シフトレンジがDレンジからPレンジに切り替える指令がされ、アクチュエータ制御部83は、アクチュエータ30をフィードバック制御する。
また、時刻t2に、電力制御部84は、第2電力W2が第1制限値W2_lim1以下となるように、通常制御されるときの第1電力W1と比較して第2電力W2を削減するように第2電力W2を制御する。
【0069】
時刻t3に、アクチュエータ30によってシフトレンジがDレンジからPレンジに切り替わり始める。
また、時刻t3に、電力制御部84は、第2電力W2が第2制限値W2_lim2以下となるように第2電力W2をさらに削減する。
なお、第2制限値W2_lim2は、第1制限値W2_lim1以下となるように、すなわち、W2_lim1≧W2_lim2 となるように設定されている。また、第1制限値W2_lim1および第2制限値W2_lim2は、アクチュエータ30の回転に支障をきたさないように設定されている。
【0070】
時刻t4に、DレンジからPレンジへの切り替わりが完了し、アクチュエータ制御部83は、アクチュエータ30のフィードバック制御を停止し、アクチュエータ30が停止するように制御する。
また、時刻t4に、電力制御部84は、第2電力W2が第1制限値W2_lim1以下となるように、第2電力W2を制御する。
【0071】
時刻t5に、アクチュエータ30の停止が完了し、アクチュエータ30は、準備状態に戻る。
また、時刻t5に、電力制御部84は、第2電力W2をゼロにする。
【0072】
第1電源18が失陥したときのSBW−ECU13による処理を図8のフローチャートを参照して説明する。フローチャートにおいて、記号「S」はステップを意味する。
ステップ101において、電源異常判定部81は、第1電源18がオン状態であるか確認し、処理がステップ102に移行する。
【0073】
ステップ102において、電源異常判定部81は、第1電力W1が閾値Wt1以下であるか否かを判定する。
第1電力W1が閾値Wt1を超える場合、すなわち、W1>Wt1 である場合、電源異常判定部81は、第1電源18が正常であると判定し、処理は、ステップ103に移行する。
一方、第1電力W1が閾値Wt1以下である場合、すなわち、W1≦Wt1 である場合、電源異常判定部81は、第1電源18が失陥したと判定し、処理は、ステップ104に移行する。
【0074】
ステップ103において、アクチュエータ制御部83は、通常制御を行い、電力制御部84は、第1電力W1を制御する。ステップ103が終了後、処理は、終了しステップ101に戻る。
ステップ104において、電源異常判定部81は、第2電源19がオン状態であるか確認し、処理は、ステップ105に移行する。
【0075】
ステップ105において、電源異常判定部81は、第2電力W2が予め設定される閾値Wt2以下であるか否かを判定する。
第2電力W2が閾値Wt2を超える場合、すなわち、W2>Wt2 である場合、電源異常判定部81は、第2電力W2の供給が正常であると判定し、処理は、ステップ106に移行する。
一方、第2電力W2が閾値Wt2以下である場合、すなわち、W2≦Wt2 である場合、電源異常判定部81は、第2電力W2の供給が失陥していると判定し、処理は、終了しステップ101に戻る。
【0076】
ステップ106において、電力制御部84は、電源切替部82が第1電力W1から第2電力W2に切り替えたときからシフトレンジがPレンジに切り替わったときまで、第2電力W2を削減するように制御する。
また、アクチュエータ制御部83は、削減された第2電力W2で、モータ回転角θmに基づいてアクチュエータ30をフィードバック制御する省電力フィードバック制御を行い、処理は、終了しステップ101に戻る。
【0077】
(効果)
[1]このように、第1電源18が失陥したとき、電源異常判定部81、電源切替部82およびアクチュエータ制御部83によって、Rレンジ、NレンジまたはDレンジからPレンジへの切り替わりが完了するまで、適切にアクチュエータ30を制御できる。また、このとき、電力制御部84が第2電力W2を削減し、省電力でアクチュエータ30の制御ができる。このため、第2電源19の容量を比較的小さくでき、第2電源19が小型化可能になる。
[2]電力制御部84は、第1電力W1の供給が失陥したとき、配線75、76の一方を遮断し、配線75、76の他方のみを通電する。これにより、第2電力W2の消費量が削減される。
【0078】
(第2実施形態)
第2実施形態では、SBW−ECUがアクチュエータにフィードバック制御を行わず、オープン制御を行う点を除き、第1実施形態と同様である。
中間凹部62、63または第2凹部64から第1凹部61までディテントプレート52が回転する角度を凹部回転角θoとする。図4中において、第2凹部64から第1凹部61までの凹部回転角θoとディテントプレート52の回転可能範囲の角度とが一致している。
【0079】
図9に示すように、アクチュエータ制御部83は、ディテントプレート52が凹部回転角θo分の回転をするときのモータ部32の回転角θaに基づいて、フィードバック制御をしないで、アクチュエータ30に通電して制御するオープン制御が可能である。
なお、凹部回転角θoおよび回転角θaは、アクチュエータ30、ディテントプレート52またはディテントローラ53等の設計で予め設定される。アクチュエータ制御部83は、RAM等を含み、アクチュエータ30の回転角θaをRAM等の揮発性メモリに記憶している。
【0080】
第1電源18が失陥し、SBW−ECU13の基準位置の学習状態がリセットされたときの第2実施形態のSBW−ECU13による処理を図10のタイムチャートを参照して説明する。
初期状態は、第1実施形態と同様である。
【0081】
まず、第1電源18が正常で、第1電力W1がアクチュエータ30に供給され、アクチュエータ30が通常制御される場合を説明する。
図10において、アクチュエータ30が通常制御されるときのアクチュエータ30の駆動状態およびアクチュエータ30への供給電力を二点鎖線で示す。
【0082】
時刻t12に、故障等の原因で第1電源18が瞬断し、アクチュエータ30の基準位置の学習状態がリセットされる。
また、時刻t12に、アクチュエータ30に第1電力W1が供給され、SBW−ECU13の基準位置の学習が開始される。
時刻t13に、ディテントローラ53が第2壁66に接触する。
時刻t14に、SBW−ECU13は、第2基準位置の学習が完了し、電力制御部84は、時刻t12時と比較して第1電力W1を大きくする。
【0083】
時刻t15に、運転者によって、シフトレンジがDレンジからPレンジに切り替える指令がされ、アクチュエータ制御部83は、アクチュエータ30のフィードバック制御を開始する。
時刻t16に、シフトレンジがDレンジからPレンジに切り替わり始め、時刻t14時と比較して電力制御部84が第1電力W1を小さくする。
【0084】
時刻t17に、DレンジからPレンジへの切り替わりが完了し、アクチュエータ制御部83は、アクチュエータ30が停止するように制御する。
また、時刻t17に、電力制御部84は、時刻t16時と比較して第1電力W1を大きくする。
時刻t18に、アクチュエータ30の停止が完了し、アクチュエータ30は、準備状態に戻り、電力制御部84は、第1電力W1をゼロにする。
このように、第1電源18が正常であり、基準位置の学習状態がリセットされたとき、アクチュエータ制御部83は、再度、基準位置の学習を行い、アクチュエータ30の通常制御を行う。
【0085】
第1電源18が失陥しSBW−ECU13の基準位置の学習状態がリセットされたときの第2実施形態のSBW−ECU13による処理を説明する。
図10に示すように、
時刻t10および時刻t11は、第1実施形態の時刻t0および時刻t1と同様である。
時刻t12に、故障等の原因で第2電源19が瞬断し、アクチュエータ30の基準位置の学習状態がリセットされる。なお、SBW−ECU13は、学習状態がリセットされる前の実レンジの位置を記憶部15が記憶している。
【0086】
第2実施形態のSBW−ECU13は、時刻t12から時刻t15に、SBW−ECU13による第2基準位置の学習をしないで、電力制御部84が第2電力W2をゼロに制御する。
【0087】
時刻t15に、運転者によって、シフトレンジがDレンジからPレンジに切り替える指令がされ、アクチュエータ制御部83は、アクチュエータ30のオープン制御を開始する。
また、時刻t15に、電力制御部84は、第2電力W2が第3制限値W2_lim3以下となるように、第1電力W1と比較して第2電力W2を削減する。なお、第3制限値W2_lim3は、第1電力W1よりも小さくなるように、予め設定されており、アクチュエータ30の回転に支障をきたさないように設定されている。
【0088】
時刻t16に、アクチュエータ30によってシフトレンジがDレンジからPレンジに切り替わり始める。
時刻t17に、DレンジからPレンジへの切り替わりが完了し、アクチュエータ30のオープン制御は継続されている。
【0089】
時刻t18に、アクチュエータ30のオープン制御を停止し、アクチュエータ30は準備状態に戻る。
また、時刻t18に、電力制御部84は、第2電力W2をゼロにする。
【0090】
次に、第2実施形態のSBW−ECU13による処理を図11のフローチャートを参照して説明する。
第2実施形態では、第1実施形態のステップ106の処理が異なる。
ステップ101−105は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
図11に示すように、ステップ105において、第2電力W2が閾値Wt2を超える場合、電源異常判定部81は、第2電源19が正常であると判定し、処理は、ステップ206に移行する。
【0091】
ステップ206において、電力制御部84は、電源切替部82が第1電力W1から第2電力W2に切り替えたときからシフトレンジがPレンジに切り替わったときまで、第2電力W2を削減するように制限する。
また、アクチュエータ制御部83は、削減された第2電力W2で、アクチュエータ30の回転角θaに基づいて、アクチュエータ30に通電して制御する省電力オープン制御を行い、処理は、ステップ101に戻る。
このような形態においても、第1実施形態と同様の効果を奏する。さらに、第2実施形態では、第2電源19の瞬断等によって、SBW−ECU13の基準位置の学習状態がリセットされたときに、第2電力W2の消費量が削減される。
【0092】
(第3実施形態)
第3実施形態では、シフトレンジがPレンジに切り替わったときに、アクチュエータ制御部がアクチュエータを制御しないで、電力制御部が第2電力をゼロとする点を除き、第1実施形態と同様である。
第3実施形態のSBW−ECU13による処理を図12のタイムチャートを参照して説明する。
初期状態は、第1実施形態と同様である。
【0093】
図12に示すように、時刻t20、時刻t21、時刻t22および時刻t23は、第1実施形態における時刻t0から時刻t3までの期間と同様であるため、説明を省略する。
時刻t24に、DレンジからPレンジへの切り替わりが完了し、アクチュエータ制御部83は、アクチュエータ30のフィードバック制御を停止し、電力制御部84は、第2電力W2がゼロになるように制限する。
【0094】
時刻t24以降に、ディテントローラ53が第1凹部61内を移動し、実レンジはPレンジの範囲で動く。ディテントローラ53の運動エネルギーがゼロになるまで、アクチュエータ30は回転する。
時刻t25に、ディテントローラ53の運動エネルギーがゼロになり、アクチュエータ30が停止し、アクチュエータ30が準備状態になる。
【0095】
このように、DレンジからPレンジへの切り替わりが完了したとき、電力制御部84は、第2電力W2がゼロになるように制限する。これにより、第2電力W2の消費量が削減される。
【0096】
(その他の実施形態)
(i)第1実施形態において、アクチュエータ制御部は、アクチュエータをフィードバック制御する時間または停止するように制御する時間を短縮するように制御してもよい。
(ii)第3実施形態において、アクチュエータの停止する時間が短縮されるように、ディテントローラ、第1凹部またはアクチュエータを設定してもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0097】
3 ・・・シフトバイワイヤシステム、
18 ・・・第1電源、 19 ・・・第2電源、
20 ・・・自動変速機、
30 ・・・アクチュエータ、 32 ・・・モータ部、 33 ・・・減速部、
34 ・・・エンコーダ、
45 ・・・シフト選択部、
52 ・・・ディテントプレート、 53 ・・・規制部、
55 ・・・ディテントスプリング、 61 ・・・第1凹部、
81 ・・・電源異常判定部、 82 ・・・電源切替部、
83 ・・・アクチュエータ制御部、 84 ・・・電力制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12