特許第6859627号(P6859627)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859627
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】外観検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/95 20060101AFI20210405BHJP
   G01B 11/30 20060101ALI20210405BHJP
【FI】
   G01N21/95 Z
   G01B11/30 A
【請求項の数】1
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-156461(P2016-156461)
(22)【出願日】2016年8月9日
(65)【公開番号】特開2018-25439(P2018-25439A)
(43)【公開日】2018年2月15日
【審査請求日】2019年7月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】特許業務法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅原 二郎
【審査官】 越柴 洋哉
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−075325(JP,A)
【文献】 特開2014−240763(JP,A)
【文献】 特開平09−063547(JP,A)
【文献】 特開2002−116153(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0118136(US,A1)
【文献】 特開2015−222241(JP,A)
【文献】 特開2012−068025(JP,A)
【文献】 特開2001−126064(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84−21/958
G01B 11/00−11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
転がり軸受の外輪および/または内輪の、当該転がり軸受の回転軸に直交する端面に含まれる平坦な検査面と、この端面に隣接する面取り加工された角部と、を撮影する撮影装置と、
光源からの光を拡散光として前記検査面に照射する照明装置と、
前記撮影装置と前記光源との少なくとも一方を移動させて、前記撮影装置と前記光源との位置関係を第1の位置関係と、第2の位置関係と、第3の位置関係の間で変化させる移動部と、を備え、
前記光源は、前記回転軸上に位置する点を中心とした、リング状の光源であり、
前記第1の位置関係は、前記検査面上の全ての位置において、当該位置における下記の角度θと当該位置に対する前記拡散光の入射角αとがθ≠αを満たす、位置関係であり、
前記第2の位置関係は、撮影装置と前記光源との少なくとも一方を移動させたときの位置関係であって、前記検査面上のいずれかの位置において、当該位置における前記角度θと当該位置に対する前記拡散光の入射角αとがθ=αを満たす位置関係であり、
第3の位置関係は、前記角部の表面に欠陥がない場合、前記拡散光が照射された当該角部における鏡面反射による反射光が前記撮影装置に入射しない位置関係であり、
前記第1の位置関係における前記照明装置と前記検査面との間の高さは、前記第2の位置関係における前記照明装置と前記検査面との間の高さよりも低く、
前記第3の位置関係における前記照明装置と前記検査面との間の高さは、前記第1の位置関係における前記照明装置と前記検査面との間の高さよりも低く
前記撮影装置は、前記回転軸に沿って配置され、前記撮影装置と前記光源との位置関係が第1の位置関係、第2の位置関係、及び第3の位置関係のそれぞれの場合において前記検査面と、前記角部とを撮影する
外観検査装置。
角度θ:前記検査面上の任意の位置と前記撮影装置とを結ぶ直線と、当該位置における前記検査面の垂線との成す角度
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は外観検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な外観検査方法では、検査面をカメラで撮像して得られる撮影画像における色の濃度に基づいて、検査面上の欠陥の有無が判定される。たとえば、検査面に存在する傷は、傷のない領域よりも色が濃く(暗く)撮像されるため、撮影画像中の色の濃度の高い領域を傷のある領域、色の濃度の低い領域を傷のない領域と判定できる。
【0003】
たとえば、特開2002−116153号公報(特許文献1)は、上記のような方法で軸受軌道輪などの円筒形加工物の端面の外観検査を行う装置として、図10の外観検査装置を開示している。図10を参照して、特許文献1の外観検査装置では、照明装置13から照射された光が検査面24である軸受軌道輪内輪の端面で反射し、その反射光が撮像装置11によって撮像されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−116153号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図10に示されるように、一般的な外観検査装置では、検査面で鏡面反射した反射光が入射する位置にカメラが設置されている。つまり、検査面で鏡面反射した反射光の進行方向とカメラによる撮影方向とが一致している。検査面からカメラに入射する光には検査面で拡散反射した反射光と鏡面反射した反射光とが含まれるが、そのうち、鏡面反射してカメラに入射する光量の割合が非常に高い。検査面の欠陥が傷等の大きな凹凸ではなく、表面粗さの違い程度の比較的小さな凹凸である場合には、欠陥のある領域とない領域とでの鏡面反射する反射光の差分が小さい。カメラに入射する光のうち検査面で鏡面反射してカメラに入射する反射光の光量の割合が非常に高い場合、上記差分は、カメラに入射する光量に対して非常に小さくなる。そのため、撮影画像における色の濃淡の差が小さくなり、検査面に存在する欠陥の検出精度が低下する場合がある。
【0006】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、外観検査の精度を向上させることができる外観検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
参考例にかかる外観検査方法は、平坦な検査面を撮影装置によって撮影して得られる撮影画像を用いる、検査対象物の外観検査方法であって、照明装置によって、光源からの光を拡散光として検査面に照射するステップと、拡散光が照射されている検査面を、検査面上の全ての位置において当該位置における下記の角度θが当該位置に対する拡散光の入射角と一致しない方向から、撮影装置によって撮影するステップと、を備える。
角度θ:検査面上の任意の位置と撮影装置とを結ぶ直線と、当該位置における検査面の垂線との成す角度
照明装置によって拡散光が照射されている平坦な検査面を、検査面上の全ての位置において当該位置における角度θが当該点に対する拡散光の入射角と一致しない位置から撮影装置によって撮影することによって、検査面で鏡面反射した反射光が撮影装置に入射することが防止される。そのため、検査面から撮影装置に入射する光のうちの拡散反射して入射する反射光の割合を高くすることができる。その結果、シューマークと呼ばれる、製造工程のうちの主に表面研磨の工程において表面に研磨屑などの異物が接触することなどによって生じる表面粗さの違いによって拡散反射して入射する光量に領域ごとの差異が生じる場合に、その差異の、撮影装置に入射する光量全体に対する割合を大きくすることができる。それによって、撮影装置による撮影画像における表面粗さの違いに基づいた色の濃淡のコントラストが大きくなる。そのため、撮影画像における色の濃淡に基づいて、検査面に存在するシューマークなどの表面粗さの違いを高精度に検出することができる。
【0008】
この発明にかかる外観検査装置は、転がり軸受の外輪および/または内輪の、当該転がり軸受の回転軸に直交する端面に含まれる平坦な検査面と、この端面に隣接する面取り加工された角部と、を撮影する撮影装置と、光源からの光を拡散光として前記検査面に照射する照明装置と、前記撮影装置と前記光源との少なくとも一方を移動させて、前記撮影装置と前記光源との位置関係を第1の位置関係と、第2の位置関係と、第3の位置関係の間で変化させる移動部と、を備え、前記光源は、前記回転軸上に位置する点を中心とした、リング状の光源であり、前記第1の位置関係は、前記検査面上の全ての位置において、当該位置における下記の角度θと当該位置に対する前記拡散光の入射角αとがθ≠αを満たす、位置関係であり、前記第2の位置関係は、撮影装置と前記光源との少なくとも一方を移動させたときの位置関係であって、前記検査面上のいずれかの位置において、当該位置における前記角度θと当該位置に対する前記拡散光の入射角αとがθ=αを満たす位置関係であり、第3の位置関係は、前記角部の表面に欠陥がない場合、前記拡散光が照射された当該角部における鏡面反射による反射光が前記撮影装置に入射しない位置関係であり、前記第1の位置関係における前記照明装置と前記検査面との間の高さは、前記第2の位置関係における前記照明装置と前記検査面との間の高さよりも低く、前記第3の位置関係における前記照明装置と前記検査面との間の高さは、前記第1の位置関係における前記照明装置と前記検査面との間の高さよりも低く前記撮影装置は、前記回転軸に沿って配置され、前記撮影装置と前記光源との位置関係が第1の位置関係、第2の位置関係、及び第3の位置関係のそれぞれの場合において前記検査面と、前記角部とを撮影する。
角度θ:前記検査面上の任意の位置と前記撮影装置とを結ぶ直線と、当該位置における前記検査面の垂線との成す角度
撮影装置と光源とが第1の位置関係で配置されていることによって、検査面で鏡面反射した反射光が撮影装置に入射することが防止される。そのため、検査面から撮影装置に入射する光のうちの拡散反射して入射する反射光の割合を高くすることができる。その結果、シューマークなどの表面粗さの違いによって拡散反射して入射する光量に領域ごとの差異が生じる場合に、その差異の、撮影装置に入射する光量全体に対する割合を大きくすることができる。それによって、撮影装置による撮影画像における表面粗さの違いに基づいた色の濃淡のコントラストが大きくなる。そのため、撮影画像における色の濃淡に基づいて、検査面に存在するシューマークなどの表面粗さの違いを高精度に検出することができる。
【0009】
また、外観検査装置は、撮影装置と光源との少なくとも一方を移動させて、撮影装置と光源との位置関係を第1の位置関係と第2の位置関係と第3の位置関係との間で変化させる移動部をさらに備える。第2の位置関係は、検査面上のいずれかの位置において、当該位置における角度θと当該位置に対する拡散光の入射角αとがθ=αを満たす位置関係である。
撮影装置と光源とが第2の位置関係で配置されていることによって、照明装置によって拡散光が照射されている検査面から鏡面反射した反射光が撮影装置に入射する。そのため、検査面に傷などの凹凸のある領域で鏡面反射して撮影装置に入射する反射光の光量が、凹凸のない領域で鏡面反射して撮影装置に入力する反射光の光量よりも少なくなる。これによって、撮影画像における色の濃淡に基づいて検査面に存在する傷などの凹凸を検出することができる。さらに、撮影装置と光源との位置関係を第1の位置関係と第2の位置関係とに変化させることができるため、検査面に存在するシューマークなどの表面粗さの違いと、傷などの凹凸との両方を、異なる外観検査装置を使い分けることなく同じ外観検査装置によって検査することができる。
【0010】
好ましくは、検査対象物は、内輪および外輪を含む転がり軸受であって、検査面は外輪および内輪の、転がり軸受の回転軸に直交する端面であって、撮影装置は、回転軸に沿って配置され、光源は、回転軸上に位置する点を中心とした、リング状の光源である。
これにより、転がり軸受の外輪および内輪の端面を検査面とした外観検査の精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によると、外観検査の精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態にかかる外観検査装置の正面から見た概略図である。
図2】外観検査装置における検査原理を説明するための概略図である。
図3】外観検査装置の要部を示す概略平面図である。
図4】外観検査装置において、照明装置を第1の位置に配置して行う外観検査を説明するための図である。
図5】外観検査装置において、照明装置を第2の位置に配置して行う外観検査を説明するための図である。
図6】外観検査装置において、照明装置を第3の位置に配置して行う外観検査を説明するための図である。
図7】外観検査装置によって検査面を撮影して得られた撮影画像である。
図8】従来の外観検査装置を示す概略図である。
図9】従来の外観検査装置によって検査面を撮影して得られた撮影画像である。
図10】従来の外観検査装置を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、図面を参照しつつ、好ましい実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらの説明は繰り返さない。
【0014】
[第1の実施の形態]
<全体構成>
本実施の形態にかかる外観検査装置100は、表面が高反射率である、つまり表面が光沢を有する工業製品の外観検査を行う。外観検査装置100による検査対象物は、たとえば転がり軸受である。以降の説明では、外観検査装置100が転がり軸受の外輪および/または内輪の、当該転がり軸受の回転軸に直交する端面(以下、単に端面という)に含まれる検査面を検査するものとする。なお、外観検査装置100による外観検査の対象物となる転がり軸受300は、外輪301、内輪302、複数の転動体303、および保持器304を有している。
【0015】
図1は、本実施の形態にかかる外観検査装置100を正面から見た概略図である。図1を参照して、外観検査装置100は、LED(Light Emitting Diode)等の光源10Aを有し、検査対象物である転がり軸受300の外輪301および内輪302の端面に含まれる検査面Kに光源10Aからの光を照射する照明装置10と、検査面Kの撮影画像を得る撮影装置の一例であるカメラ20と、を含む。
【0016】
転がり軸受300は、回転軸に相当する中心軸Cが鉛直方向となるように配置される。カメラ20の撮影方向は、中心軸Cを含む直線上に、つまり中心軸Cに沿って鉛直下向きに設定される。カメラ20は、制御装置であるコンピュータ(PC:パーソナルコンピュータ)500に接続され、撮影画像をPC500に入力する。PC500は、当該PC500を制御するためのCPU(Central Processing Unit)50を含む。
【0017】
なお、以降の説明においては、水平方向をx方向とし、図1の右向きをx方向の正の向き(+x向きとも称する)とする。図1の左向きをx方向の負の向き(−x向きとも称する)とする。また、鉛直方向をy方向とし、図1の上向きをy方向の正の向き(+y向きとも称する)とする。図1の下向きをy方向の負の向き(−y向きとも称する)とする。
【0018】
照明装置10は、光源10Aからの光を拡散光として検査面Kに照射する。一例として、光源10Aは、中心軸Cを含む直線に含まれる点、つまり中心軸C上に位置する点を中心とし、転がり軸受300の端面に平行な面に含まれるリング状である。照明装置10は、図示しない拡散板や反射板などを用いることによって、光源10Aからの光を、指向性の低い拡散光として検査面K全体に照射する。好ましくは、照明装置10による照射光は白色光である。白色光は、赤、緑、青などの色に比べて欠陥の有無の差が明確となるため、欠陥に対する検出の精度をより向上することができる。なお、以降の説明において、照明装置10は、発光する面、つまり照射面そのものを指す。
【0019】
照明装置10は、移動装置30によってy方向に移動する。移動装置30は、たとえばy方向のレールと、照明装置10を該レールに沿って上下させる駆動部とを含む。移動装置30はPC500と接続されて、PC500の制御によって照明装置10を移動させる。つまり、光源10Aとカメラ20とは、PC500の制御に従って相対的に位置関係が変化する。
【0020】
<検査原理>
外観検査装置100は、検査面Kに照明装置10によって拡散光を照射する。そして、検査面Kで反射してカメラ20に入射した光量に基づいて、検査面Kの欠陥の有無を検査する。外観検査装置100の検査する検査面Kの欠陥は、たとえば、(1)シューマークと呼ばれる、製造工程のうちの主に表面研磨の工程において表面に研磨屑などの異物が接触することによって生じる表面粗さの違いや、(2)製造後に表面に物体が接触することによって生じる傷(擦り傷、打ち傷等)などの凹凸である。表面が研磨されたり、コーティングされたりすることによって光沢を有する工業製品は、表面での反射率が高い。転がり軸受300も表面が研磨されるため、反射率が高い。検査面Kに上記欠陥を有する範囲と有さない範囲とがある場合、各範囲からの反射量が異なる。そこで、外観検査装置100はこの反射量の差異を利用して、検査面Kからの反射量に基づいて検査面Kの欠陥の有無を検査する。
【0021】
図2を用いて、外観検査装置100で検査面の表面粗さの違いである欠陥の有無を検査する際の検査原理を説明する。図2は、検査面Kを斜め上から見た図であって、検査面Kよりも上方に照明装置10およびカメラ20A,20Bが配置されている。検査面Kは、シューマークの存在する範囲S1と存在しない範囲S2とを有している。範囲S1は、研磨屑などの異物が表面に押し付けられた状態で研磨される。そのため、表面粗さが範囲S2の表面粗さに対して小さい。これにより、範囲S1への照射光L1が検査面Kの表面で鏡面反射する光量は、範囲S2への照射光L2が検査面Kの表面で鏡面反射する光量よりも高い。これに対して、範囲S2への照射光L2が検査面Kの表面で拡散反射する光量は、範囲S1への照射光L1が検査面Kの表面で拡散反射する光量よりも高い。
【0022】
ここで、検査面K上の任意の位置とカメラの図示しないレンズの中心点(撮影軸上の点)とを結ぶ直線と、当該位置における検査面Kの垂線Mとの成す角度を角度θとする。検査面K上のある位置に対する拡散光の入射角度αと、当該位置における上記角度θとが等しい(θ=α)方向にカメラが配置されていた場合、カメラには、当該位置で鏡面反射した反射光が入射する。さらに、カメラには、他の位置で拡散反射した反射光も入射する。
【0023】
図2において、カメラ20Aは、検査面K上のいずれかの位置(たとえば図の点A)から鏡面反射した反射光が入射する方向に配置されている(θ=α)。つまり、カメラ20Aは、照明装置10の光源に対して、検査面K上のいずれかの位置についてθ=αを満たす位置関係(第2の位置関係)にある。カメラ20Aには、範囲S1で鏡面反射した反射光および拡散反射した反射光と、範囲S2で拡散反射した反射光とが入射する。検査面Kが光沢面である場合、カメラ20Aに入射する光量のうち、鏡面反射してカメラ20Aに入射する反射光の割合の方が、拡散反射してカメラ20Aに入射する反射光の割合より格段に高い。そのため、範囲S1からの拡散反射光と範囲S2からの拡散反射光との光量の差異が、カメラ20Aに入射する反射光全体の光量に対して非常に小さい。従って、この差異に基づいて範囲S1,S2、すなわち検査面Kの表面粗さの違いを検出することが困難な場合がある。
【0024】
図2において、カメラ20Bは、検査面K上のいずれの位置(たとえば図の点B,C)から鏡面反射した反射光も入射しない方向に配置されている(θ≠α)。つまり、カメラ20Bは、照明装置10の光源に対して、検査面K上のいずれの位置についてもθ≠αを満たす位置関係(第1の位置関係)にある。カメラ20Bには、範囲S1で鏡面反射した反射光も範囲S2で鏡面反射した反射光も入射しない。一方、カメラ20Bには、範囲S1で拡散反射した反射光と範囲S2で拡散反射した反射光とが入射する。そのため、範囲S1からの拡散反射光と範囲S2からの拡散反射光と光量との差異が、カメラ20Bに入射する反射光全体の光量に対して大きくなる。従って、この差異に基づいて範囲S1,S2、すなわち検査面Kの表面粗さの違いが検出しやすい。
【0025】
<カメラと光源との位置関係>
外観検査装置100におけるカメラ20と照明装置10との位置関係を、図3を用いて説明する。図3は、外観検査装置100の要部を示す概略平面図である。
【0026】
図3を参照して、カメラ20は、検査面Kから高さHに設置される。照明装置10は、検査面Kから高さHBの位置(第1の位置)に設置される。高さHBは高さHよりも低く(HB<H)、カメラ20と光源10Aとが上記第1の位置関係となる高さである。従って、検査面K上のいずれの位置(シューマークの存在する範囲S1と存在しない範囲S2)に対しても、当該位置における角度θと当該点に対する拡散光LBの入射角αとが一致しない(θ≠α)。そのため、照明装置10からの拡散光LBが検査面Kで鏡面反射した反射光は、カメラ20に入射しない。
【0027】
図4は、照明装置10を第1の位置に配置して行う外観検査を説明するための図である。図4を参照して、第1の位置にある照明装置10からの拡散光LBが検査面Kで鏡面反射した反射光はカメラ20に入射せず、拡散反射した反射光がカメラ20に入射する。そこで、照明装置10を第1の位置とすることによって、カメラ20に入射した、検査面Kの範囲S1からの拡散反射光と範囲S2からの拡散反射光との光量の差異に基づいて範囲S1および範囲S2を検出することができる。つまり検査面Kの表面粗さの違い(シューマーク等)を検出することができる。
【0028】
照明装置10は、移動装置30によって、第1の位置と、検査面Kから高さHAの位置(第2の位置)との間を移動する。高さHAは高さHよりも低く、かつ高さHBよりも高く(HB<HA<H)、カメラ20と光源10Aとが上記第2の位置関係となる高さである。なお、第2の位置は検査面Kとの距離が大きいため、検査面Kに届く光の量を補うために上部に反射板10Bが設けられている。従って、検査面K上のいずれかの位置に対して、当該位置における角度θと当該位置に対する拡散光LAの入射角αとが一致する(θ=α)。そのため、照明装置10からの拡散光LAが検査面Kで鏡面反射した反射光は、カメラ20に入射する。
【0029】
図5は、照明装置10を第2の位置に配置して行う外観検査を説明するための図である。図5を参照して、第2の位置にある照明装置10からの拡散光LAが検査面Kで鏡面反射した反射光はカメラ20に入射する。検査面Kに傷等の凹凸のある範囲S4からは、傷等の凹凸のない範囲S3よりも鏡面反射が少なく、拡散反射が多い。そのため、範囲S4からカメラ20に入射する光量は範囲S3よりも少ない。つまり、カメラ20の撮影画像において、範囲S3は白く(明るく)なり、範囲S4は黒く(暗く)なる。そこで、照明装置10を第2の位置とすることによって、カメラ20に入射した、範囲S3からの鏡面反射光と範囲S4からの鏡面反射光との光量の差異に基づいて範囲S3および範囲S4を検出することができる。つまり検査面Kの傷などの凹凸を検出することができる。
【0030】
好ましくは、照明装置10は、移動装置30によって、さらに、検査面Kから高さHCの位置(第3の位置)の間を移動する。高さHCは高さHBよりも低い(HC<HB)。そのため、照明装置10からの照射光LCが検査面Kで鏡面反射した反射光は、カメラ20に入射しない。
【0031】
図6は、照明装置10を第3の位置に配置して行う外観検査を説明するための図である。図6を参照して、第3の位置にある照明装置10からの照射光LCは、検査面Kである転がり軸受300の(たとえば内輪302の)端面と、検査面Kのx方向の端部に連続しy方向に延びる平面とで形成される角部に照射される。通常、転がり軸受の角部には面取り加工(角部を斜めまたは丸く削って滑らかにする加工)が施されている。面取り加工された角部の表面に欠陥がない場合には照射光LCは角部において概ね鏡面反射し、その反射光はカメラ20には入射しない。しかしながら、図6に表わされたように、角部の表面に傷や欠け等の凹凸がある場合、照射光LCが拡散反射した反射光がカメラ20に入射する。そのため、カメラ20の撮影画像では上記欠損の箇所が白く(明るく)なる。そこで、照明装置10を第3の位置とすることによって、カメラ20に入射した角部からの反射光に基づいて転がり軸受300の角部の傷や欠け等の凹凸を検出することができる。
【0032】
移動装置30は、PC500の制御に従って照明装置10を移動させて第1の位置〜第3の位置とする。そこで、本実施の形態にかかる外観検査装置100では、シューマーク等の表面に物体が接触することによって生じる表面粗さの違いの有無を検査する際には照明装置10を第1の位置とし、傷等の凹凸の有無を検査する際には照明装置10を第2の位置とし、角部の傷や欠け等の凹凸の有無を検査する際には照明装置10を第3の位置とする。これにより、複数種類の外観検査のためにそれぞれ異なる外観検査装置を用いる必要がなく、1台の外観検査装置100を用いて容易に複数種類の外観検査を行うことができる。
【0033】
図7は、照明装置10を第1の位置としてカメラ20によって転がり軸受300の外輪301および内輪302の端面である検査面Kを撮影して得られた撮影画像である。図7を参照して、外観検査装置100によって得られた撮影画像では、外輪301の端面の黒色のラインP1が鮮明である。ラインP1は、外輪301の端面に存在するシューマークを表している。外観検査装置100では照明装置10の位置を第1の位置としてカメラ20によって撮影することで、撮影画像の色の濃淡のコントラストが大きくなる。そのため、撮影画像において、シューマークなどの検査面Kの表面粗さの大きい範囲と小さい範囲との色の濃淡差が鮮明になる。
【0034】
たとえば、PC500においてCPU50が解析処理を実行し、カメラ20からの撮影画像(図7)の色の濃淡、すなわち明度を解析することによって、検査面Kのシューマークの存在を検出することができる。また、撮影画像をPC500の図示しないディスプレイに表示することで、ユーザによる目視によってシューマークの存在が検出されてもよい。
【0035】
<第1の実施の形態の効果>
従来の外観検査装置による検査結果と比較して本実施の形態にかかる外観検査装置100による外観検査の効果を確認する。図8は、比較に用いた従来の外観検査装置の構成の概略図である。図9は、検査結果として従来の外観検査装置で撮影された撮影画像である。図9の撮影画像は、図7の撮影画像と同じ転がり軸受を被写体とし、同じ面を検査面Kとして撮影されたものである。
【0036】
図8を参照して、従来の外観検査装置では、拡散光よりも指向性の高いLEDなどの光を照射する照明装置が用いられる。そして、検査面で鏡面反射した反射光がカメラ20Aに入射する位置関係となるようにLEDとカメラ20Aとが配置されている。そのために、たとえば図8に表されたようにハーフミラーHMを用いてLEDからの照射方向が調整されてもよい。
【0037】
図9を参照して、従来の外観検査装置で撮影された画像に存在する、図7のラインP1に相当するラインP2は、図7のラインP1と比較して不鮮明である。なぜなら、図9の撮影画像は、全体に色の濃淡のコントラストが小さいためである。つまり、図7図9とを比較すると、図7の方が色の濃淡のコントラストが大きく、検査面Kのシューマークが鮮明である。このように、カメラ20と光源10Aとの位置関係を第1の位置関係としてカメラ20に入射する拡散反射光の光量の違いを利用することによって、検査面Kの表面の粗さの差が撮影画像の鮮明な濃淡差となる。これにより、シューマークなどの表面の粗さの違いである検査面Kの欠陥を高精度で検出することができる。
【0038】
さらに、本実施の形態にかかる外観検査装置100では、照明装置10を上記の第1の位置と第2の位置との間で変化させることができるため、カメラ20と光源10Aとの位置関係を容易に第1の位置関係と第2の位置関係とに変化させることができる。これにより、鏡面反射して入射した反射光の光量の差異を利用して検査面Kの凹凸の有無を検出する外観検査と、拡散反射して入射した反射光の光量の差異を利用して検査面Kの表面粗さの違いを検出する外観検査との両検査を、それぞれに適した異なる外観検査装置を用いることなく、1つの外観検査装置100で実現することができる。また、異なる径や高さをもった軸受に対しても、カメラと光源との位置関係を変化させることができる。すなわち、様々な種類の軸受にも1つの装置で対応することが可能である。
【0039】
好ましくは、本実施の形態にかかる外観検査装置100では、照明装置10をさらに上記の第3の位置とすることができる。これにより、検査面K上の欠陥の検査のみならず、検査面Kと検査面Kのx方向の端部に連続しy方向に延びる平面とでなす角部の表面の欠陥も外観検査装置100で検査することができる。
【0040】
[第2の実施の形態]
なお、上の例ではカメラ20の位置を固定し、照明装置10を移動装置30によって移動させることによって、カメラ20と光源10Aとの位置関係を異ならせるものとしている。しかしながら、上記位置関係を異ならせるためには、カメラ20と照明装置10との少なくとも一方を移動させればよい。そのため、照明装置10のみを移動させる構成には限定されない。他の例として、カメラ20が移動装置30によってy方向に移動可能であってもよい。この場合、カメラ20は、移動装置30によって第1の位置と第2の位置とを移動可能とする。第1の位置は光源10Aとの位置関係が第1の位置関係となるカメラ20の位置である。第2の位置は光源10Aとの位置関係が第2の位置関係となるカメラ20の位置である。
【0041】
[第3の実施の形態]
上の例では、カメラ20を転がり軸受300の中心軸Cを含む直線上に、−y方向に向けて配置するものとしている。これにより、転がり軸受300の端面全体が撮影範囲に収まる面積である場合には、一度で検査面Kである転がり軸受300の+y方向を向いた端面全体をバランスよく(端面が撮影画像の中央に位置するように)撮影することができる。しかしながら、光源10Aとの位置関係が第1の位置関係または第2の位置関係となる位置であり、かつ、検査面Kを撮影範囲とする位置であればいずれの位置であってもよい。
【0042】
なお、検査面Kがカメラ20の撮影範囲よりも広い場合、外観検査装置100は、さらに、転がり軸受300を移動(回転)させるための装置を含んでもよい。そして、カメラ20は、該装置によって移動(回転)している転がり軸受300の端面に含まれる検査面Kを複数回に分けて撮影してもよい。
【0043】
また、転がり軸受300の反対側の(−y方向を向く)端面の外観検査を行う場合、転がり軸受300のy方向の向きを反転させればよい。外観検査装置100は、さらに、転がり軸受300のy方向の向きを反転させるための装置を含んでもよい。
【0044】
[第4の実施の形態]
上の例では、光源10Aが転がり軸受300の中心軸Cを含む直線に含まれる点を中心とし、転がり軸受300の端面に平行な面に含まれるリング状であるものとしている。これにより、照明装置10がカメラ20の撮影範囲に入り込む可能性や、カメラ20の影が撮影範囲に入り込む可能性を低くすることができる。その結果、照明装置10とカメラ20との配置の自由度を大きくすることができる。
【0045】
しかしながら、光源10Aの形状はリング状に限定されず、たとえば面形状(面光源)などの、他の形状であってもよい。この場合、照明装置10とカメラ20とは、上記の第1の位置関係および第2の位置関係となるように配置する。さらに、照明装置10がカメラ20の撮影範囲に入り込むことのない位置関係となるように配置する必要がある。また、カメラ20の影が撮影範囲に入り込むことのない位置関係となるように配置する必要がある。
【0046】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0047】
100 外観検査装置、300 転がり軸受、301 外輪、302 内輪、10 照明装置、10A 光源、20 カメラ、K 検査面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10