特許第6859728号(P6859728)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6859728
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】ワイパ装置
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/08 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   B60S1/08 D
【請求項の数】3
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2017-17774(P2017-17774)
(22)【出願日】2017年2月2日
(65)【公開番号】特開2018-122788(P2018-122788A)
(43)【公開日】2018年8月9日
【審査請求日】2019年11月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】田之上 寛
(72)【発明者】
【氏名】角谷 貴博
【審査官】 森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−006809(JP,A)
【文献】 特開2014−015158(JP,A)
【文献】 特開2001−026255(JP,A)
【文献】 特開2002−264776(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/00−1/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力軸の回転によりワイパブレードを往復払拭動作させるワイパモータと、
指令信号に応じて前記ワイパモータの回転を制御すると共に、往復払拭動作中の前記ワイパブレードが、往復払拭動作の反転位置の手前の切替禁止領域以外の領域に位置した状態で、前記指令信号が変更された場合、変更前の指令信号に応じた回転速度から変更後の指令信号に応じた回転速度に切り替える制御を行い、往復払拭動作中の前記ワイパブレードが、前記切替禁止領域に位置した状態で、前記指令信号が前記ワイパモータの回転を低速作動モードから高速作動モードに切り替えるように変更された場合、前記ワイパブレードが前記反転位置に到達するまで変更前の指令信号に応じて前記ワイパモータの回転を制御し、かつ前記ワイパブレードが前記反転位置で反転する際に変更後の指令信号に基づいて前記ワイパモータの回転を制御する制御部と、
を含むワイパ装置。
【請求項2】
前記制御部は、往復払拭動作中の前記ワイパブレードが、前記切替禁止領域以外の領域に位置した状態で、前記指令信号が変更された場合、変更前の指令信号に応じた回転速度から変更後の指令信号に応じた回転速度まで、回転速度を徐々に変化させる制御を行う請求項1に記載のワイパ装置。
【請求項3】
前記回転速度を徐々に変化させる時間、または前記回転速度を徐々に変化させる回転速度の変化率は予め定められている請求項2に記載のワイパ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイパ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のウィンドシールドガラス上の上反転位置と下反転位置との間でワイパブレードを払拭動作させるワイパ装置は、ワイパブレードの払拭動作の速度を変更可能に構成されている。ワイパ装置の払拭動作は、ウィンドシールドガラス上のワイパブレードの位置に対する目標速度を予め定めた目標速度マップに基づいて制御される。払拭動作の速度(払拭速度)を変更する場合には、現在時点で用いている目標速度マップとは目標速度が異なる目標速度マップを用いることによって、払拭速度を変更する。目標速度マップは、図7に示したようなものであり、例えば、ワイパブレードの位置をワイパモータの回転角度又は時間で横軸に定義し、縦軸に目標速度を定義している。図7において、例えば、P1は払拭範囲の上反転位置を示し、P2は払拭範囲の下反転位置を示している。
【0003】
特許文献1には、反転位置の間で停止したワイパブレードを再始動する場合に、通常の払拭動作の際に使用される基準モータ速度よりも遅い「滑らか起動速度」でワイパモータを始動するワイパ制御装置の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−218998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の「滑らか起動速度」での制御は、反転位置の間で途中停止したワイパブレードを再始動する場合に適用されるものであり、例えば、払拭動作中に払拭速度を低速から高速に変更する指示がなされた場合は、その限りではない。仮に、図7に示したように、時間t01でワイパスイッチが切り替えられて低速用の目標速度マップ192が示す目標速度から高速用の目標速度マップ190が示す目標速度まで払拭速度を「滑らか起動速度」のように徐々に変更した場合であっても、ワイパスイッチが操作された時間によっては、切り替え後の目標速度に実際の払拭速度が到達する前にワイパブレードが上反転位置P1に到達してしまうおそれがある。
【0006】
その結果、上反転位置P1でワイパブレードがオーバーランするおそれがあるのみならず、ユーザがワイパ装置の動作に違和感を覚えるおそれがあった。
【0007】
本発明は上記に鑑みてなされたもので、ワイパブレードの払拭速度を円滑に変更できるワイパ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を解決するために請求項1に記載のワイパ装置は、出力軸の回転によりワイパブレードを往復払拭動作させるワイパモータと、指令信号に応じて前記ワイパモータの回転を制御すると共に、往復払拭動作中の前記ワイパブレードが、往復払拭動作の反転位置の手前の切替禁止領域以外の領域に位置した状態で、前記指令信号が変更された場合、変更前の指令信号に応じた回転速度から変更後の指令信号に応じた回転速度に切り替える制御を行い、往復払拭動作中の前記ワイパブレードが、前記切替禁止領域に位置した状態で、前記指令信号が前記ワイパモータの回転を低速作動モードから高速作動モードに切り替えるように変更された場合、前記ワイパブレードが前記反転位置に到達するまで変更前の指令信号に応じて前記ワイパモータの回転を制御し、かつ前記ワイパブレードが前記反転位置で反転する際に変更後の指令信号に基づいて前記ワイパモータの回転を制御する制御部と、を含んでいる。
【0009】
このワイパ装置によれば、ワイパブレードが反転位置手前の切替禁止領域内の場合には、ワイパスイッチが操作されても払拭速度の変更を行わず、ワイパブレードが反転位置に到達してから払拭速度を変更するので、ワイパブレードの払拭速度を円滑に変更することができる。
【0010】
請求項2に記載のワイパ装置は、請求項1に記載のワイパ装置において、前記制御部は、往復払拭動作中の前記ワイパブレードが、前記切替禁止領域以外の領域に位置した状態で、前記指令信号が変更された場合、変更前の指令信号に応じた回転速度から変更後の指令信号に応じた回転速度まで、回転速度を徐々に変化させる制御を行う。
【0011】
このワイパ装置によれば、所定の切替時間内に払拭速度を徐々に変更することにより、ワイパブレードの払拭速度を円滑に変更することができる。
【0012】
請求項3に記載のワイパ装置は、請求項2に記載のワイパ装置において、前記回転速度を徐々に変化させる時間、または前記回転速度を徐々に変化させる回転速度の変化率は予め定められている。
【0013】
このワイパ装置によれば、回転速度を徐々に変化させる時間、または回転速度を徐々に変化させる回転速度の変化率は予め定められ、定められた時間または変化率に従って、ワイパブレードの払拭速度を円滑に変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置の構成を示す概略図である。
図2】本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置の構成の概略の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置において、低速払拭時に対応した目標速度マップで定められた目標速度から高速払拭時に対応した目標速度マップで定められた目標速度に変更する場合の一例を示した説明図である。
図4】本発明の第1の実施の形態に係るワイパ装置の払拭速度変更処理の一例を示したフローチャートである。
図5】本発明の第2の実施の形態に係るワイパ制御回路の構成の一例の概略を示すブロック図である。
図6】(A)は高トルク回転制御におけるコイルへの通電パターンの一例を示したタイムチャートであり、(B)は、高回転制御におけるコイルへの通電パターンの一例を示したタイムチャートである。
図7】ワイパスイッチが切り替えられて低速用の目標速度マップが示す目標速度から高速用の目標速度マップが示す目標速度まで払拭速度を徐々に変更する場合の一例を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[第1の実施の形態]
図1は、本実施の形態に係るワイパ装置10の構成を示す概略図である。ワイパ装置10は、例えば、乗用自動車等の車両に備えられたウィンドシールドガラス12を払拭するためのものであり、一対のワイパ14、16と、ワイパモータ18と、リンク機構20と、ワイパ装置10の中核に相当するワイパ制御回路22とを備えている。
【0016】
ワイパ14、16は、それぞれワイパアーム24、26とワイパブレード28、30とにより構成されている。ワイパアーム24、26の基端部は、後述するピボット軸42、44に各々固定されており、ワイパブレード28、30は、ワイパアーム24、26の先端部に各々固定されている。
【0017】
ワイパ14、16は、ワイパアーム24、26の回動に伴ってワイパブレード28、30がウィンドシールドガラス12上を往復移動し、ワイパブレード28、30がウィンドシールドガラス12を払拭する。また、ウィンドシールドガラス12の下部には高速払拭時下反転位置P2、低速払拭時下反転位置P3及び格納位置P4が設けられている。
【0018】
ワイパモータ18は、主にウォームギアで構成された減速機構52を介して、正逆回転可能な出力軸32を有し、リンク機構20は、クランクアーム34と、第1リンクロッド36と、一対のピボットレバー38、40と、一対のピボット軸42、44と、第2リンクロッド46とを備えている。
【0019】
クランクアーム34の一端側は、出力軸32と固定されており、クランクアーム34の他端側は、第1リンクロッド36の一端側と回動可能に連結されている。また、第1リンクロッド36の他端側は、ピボットレバー38のピボット軸42を有する端とは異なる端寄りのカ所に回動可能に連結されており、ピボットレバー38のピボット軸42を有する端とは異なる端及びピボットレバー40におけるピボットレバー38の当該端に対応する端には、第2リンクロッド46の両端がそれぞれ回動可能に連結されている。
【0020】
また、ピボット軸42、44は、車体に設けられた図示しないピボットホルダによって回動可能に支持されており、ピボットレバー38、40におけるピボット軸42、44を有する端は、ピボット軸42、44を介してワイパアーム24、26が各々固定されている。
【0021】
本実施の形態に係るワイパ装置10では、出力軸32が正逆回転されると、この出力軸32の回転力がリンク機構20を介してワイパアーム24、26に伝達され、このワイパアーム24、26の往復回動に伴ってワイパブレード28、30がウィンドシールドガラス12上で往復移動をする。例えば、出力軸32が回転角度θAの範囲で正逆転されると、ワイパブレードは、高速払拭時下反転位置P2と上反転位置P1との間を往復移動する。出力軸32が回転角度θBの範囲で正逆転されると、ワイパブレードは、低速払拭時下反転位置P3と上反転位置P1との間を往復移動する。また、出力軸32が回転角度θCの範囲で正逆転されると、ワイパブレードは、格納位置P4と上反転位置P1との間を往復移動する。出力軸32が回転角度θAの範囲で正逆転される場合は、後述するワイパスイッチ50が高速作動モード選択位置の場合である。また、出力軸32が回転角度θBの範囲で正逆転される場合は、後述するワイパスイッチ50が低速作動モード選択位置又は間欠作動モード選択位置の場合である。
【0022】
本実施の形態に係るワイパ装置10では、図1に示されるように、ワイパブレード28、30が格納位置P4に位置された場合には、クランクアーム34と第1リンクロッド36とが直線状をなす構成とされている。
【0023】
ワイパモータ18には、ワイパモータ18の回転を制御するためのワイパ制御回路22が接続されている。本実施の形態に係るワイパ制御回路は、絶対角センサ54が検知した出力軸32の回転角からワイパブレード28、30のウィンドシールドガラス12上における位置に応じて出力軸32の回転速度が変化するように駆動回路56を制御するマイクロコンピュータ58及び駆動回路56の制御に用いるデータを記憶したメモリ60を有して構成され、マイクロコンピュータ58には、ワイパスイッチ50が接続されている。
【0024】
メモリ60は、ワイパブレード28、30の位置に応じてワイパモータ18の回転速度を規定した目標速度マップを記憶している。図3の目標速度マップ90、92は、本実施の形態における目標速度マップの一例である。図3に示したように、目標速度マップは、開始位置θ0(上反転位置P1)、目標払拭位置θ1(高速払拭時下反転位置P2)及び目標払拭位置θ2(低速払拭時下反転位置P3)でワイパモータ18の回転速度は0に定められ、上反転位置P1と高速払拭時下反転位置P2との間でワイパモータ18の回転速度が最大になるように、上の凸の曲線を描いている。図3の横軸は時間である。そのため、払拭速度が遅い目標速度マップ92は、払拭速度が速い目標速度マップ90に比して、一方の反転位置にワイパブレード28、30が到達するのに時間がかかる。また、図3の目標速度マップ90、92の横軸をワイパモータ18の出力軸32の回転角度にして、ワイパモータ18の回転制御に使用してもよい。かかる目標速度マップであれば、出力軸32の回転角度がワイパブレード28、30の位置と対応することに鑑み、出力軸32の回転角度でワイパブレード28、30の位置を規定することができる。
【0025】
マイクロコンピュータ58は、ワイパスイッチ50がオンになった場合に、メモリ60に記憶されている目標速度マップと、絶対角センサ54によって検出されたワイパモータ18の出力軸32の回転角度に従って駆動回路56を制御する。
【0026】
絶対角センサ54は、ワイパモータ18の減速機構52内に設けられ、出力軸32の回転角度を検出するセンサである。絶対角センサは、一例として、磁気抵抗効果素子を用いたMRセンサであり、出力軸32の末端に設けられたセンサマグネット(図示せず)の磁界を検出する。絶対角センサ54は、出力軸32の回転によるセンサマグネットの磁界の変化に応じた信号をシリアル通信で出力し、マイクロコンピュータ58は、絶対角センサ54から入力された信号から出力軸32の回転角度を算出する。
【0027】
マイクロコンピュータ58は、メモリ60に記憶された横軸が出力軸32の回転角度である目標速度マップを参照し、目標速度マップにおいて算出した出力軸32の回転角度に対応する回転速度を抽出し、ワイパモータ18の出力軸32の回転角度が目標速度マップから抽出した回転速度になるように駆動回路56を制御する。
【0028】
駆動回路56は、ワイパモータ18に印加する電圧をPWM(pulse width modulation)によって生成する。駆動回路56は、スイッチング素子にFET(電界効果トランジスタ)を使用したHブリッジ回路を含み、マイクロコンピュータ58の制御によって、所定のデューティ比の電圧を出力する。
【0029】
本実施の形態に係るワイパモータ18は、前述のように減速機構52を有しているので、出力軸32の回転速度及び回転角は、ワイパモータ本体の回転速度及び回転角と同一ではない。しかしながら、本実施の形態では、ワイパモータ本体と減速機構52は一体不可分に構成されているので、以下、出力軸32の回転速度及び回転角を、ワイパモータ18の回転速度及び回転角とみなすものとする。
【0030】
ワイパスイッチ50は、車両のバッテリからワイパモータ18に供給される電力をオン又はオフするスイッチである。
【0031】
ワイパスイッチ50は、ワイパブレード28、30を、低速で回動させる低速作動モード選択位置、高速で回動させる高速作動モード選択位置、一定周期で間欠的に回動させる間欠作動モード選択位置、格納(停止)モード選択位置に切換可能である。また、各モードの選択位置に応じた信号をマイクロコンピュータ58に出力する。
【0032】
ワイパスイッチ50から各モードの選択位置に応じて出力された信号がワイパ制御回路22に入力されると、ワイパ制御回路22がワイパスイッチ50からの出力信号に対応する制御をメモリ60に記憶されている目標速度マップに従って行うようになっている。
【0033】
図2は、本実施の形態に係るワイパ装置10の構成の概略の一例を示すブロック図である。また、図2示したワイパモータ18は、一例として、ブラシ付きDCモータである。
【0034】
図2に示したワイパ装置10は、ワイパモータ18のコイルの端子に印加する電圧を生成する駆動回路56と、駆動回路56を構成するスイッチング素子のオン及びオフを制御するワイパ制御回路22のマイクロコンピュータ58とを含んでいる。マイクロコンピュータ58には、ダイオード66を介してバッテリ80の電力が供給されると共に、供給される電力の電圧は、ダイオード66とマイクロコンピュータ58との間に設けられた電圧検出回路62によって検知され、検知結果はマイクロコンピュータ58に出力される。また、ダイオード66とマイクロコンピュータ58との間に一端が接続され、他端(−)が接地された電解コンデンサC1が設けられている。電解コンデンサC1は、マイクロコンピュータ58の電源を安定化するためのコンデンサである。電解コンデンサC1は、例えば、サージ等の突発的な高電圧を蓄え、接地領域に放電することにより、マイクロコンピュータ58を保護する。
【0035】
マイクロコンピュータ58には信号入力回路64を介してワイパスイッチ50からワイパモータ18の回転速度を指示するための指令信号が入力される。ワイパスイッチ50から出力された指令信号がアナログ信号の場合には、当該信号は信号入力回路64においてデジタル化されてマイクロコンピュータ58に入力される。
【0036】
また、マイクロコンピュータ58には、出力軸32の回転に応じて変化するセンサマグネット70の磁界を検知する絶対角センサ54が接続されている。マイクロコンピュータ58は、絶対角センサ54が出力した信号に基づいて、出力軸32の回転角度を算出することにより、ワイパブレード28、30のウィンドシールドガラス12上での位置を特定する。また、マイクロコンピュータ58は、単位時間での出力軸32の回転角度の変化から、出力軸32の回転速度を算出する。
【0037】
さらに、マイクロコンピュータ58は、メモリ60に記憶されているワイパブレード28、30の位置に応じてワイパモータ18の回転速度を規定した目標速度マップを参照して、ワイパモータ18の回転が、特定したワイパブレード28、30の位置に応じた回転速度になるように駆動回路56を制御する。絶対角センサ54で検出された回転角度から算出された出力軸32の回転速度と、ワイパブレード28、30の位置に応じた回転速度とに偏差が生じている場合には、当該偏差を解消するようにして、出力軸32の回転速度を制御する。
【0038】
駆動回路56は、図2に示すように、スイッチング素子にN型のFETであるトランジスタTr1、Tr2、Tr3、Tr4を用いたHブリッジ回路56Aを備えている。トランジスタTr1及びトランジスタTr2は、ドレインがノイズ防止コイル76を介してバッテリ80に各々接続されており、ソースがトランジスタTr3及びトランジスタTr4のドレインに各々接続されている。また、トランジスタTr3及びトランジスタTr4のソースは接地されている。
【0039】
また、トランジスタTr1のソース及びトランジスタTr3のドレインは、ワイパモータ18のコイルの一端に接続されており、トランジスタTr2のソース及びトランジスタTr4のドレインは、ワイパモータ18のコイルの他端に接続されている。
【0040】
トランジスタTr1及びトランジスタTr4の各々のゲートにハイレベル信号が入力されることにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr4がオンになり、ワイパモータ18には例えばワイパブレード28、30を車室側から見て時計回りに動作させるCW電流72が流れる。さらに、トランジスタTr1及びトランジスタTr4の一方をオン制御しているとき、他方をPWM制御により、小刻みにオンオフ制御することにより、CW電流72の電圧を変調できる。
【0041】
また、トランジスタTr2及びトランジスタTr3の各々のゲートにハイレベル信号が入力されることにより、トランジスタTr2及びトランジスタTr3がオンになり、ワイパモータ18には例えばワイパブレード28、30を車室側から見て反時計回りに動作させるCCW電流74が流れる。さらに、トランジスタTr2及びトランジスタTr3の一方をオン制御しているとき、他方をPWM制御により、小刻みにオンオフ制御することにより、CCW電流74の電圧を変調できる。
【0042】
本実施の形態では、電源であるバッテリ80と駆動回路56との間には逆接続保護回路68及びノイズ防止コイル76が設けられると共に、駆動回路56に対して並列になるように電解コンデンサC2が設けられている。ノイズ防止コイル76は、駆動回路56のスイッチングによって発生するノイズを抑制するための素子である。
【0043】
電解コンデンサC2は、駆動回路56から生じるノイズを緩和すると共に、サージ等の突発的な高電圧を蓄え、接地領域に放電することにより、当該高電圧の駆動回路56に過大な電流が入力されるのを防止するための素子である。
【0044】
逆接続保護回路68は、バッテリ80の正極と負極が図2に示した場合とは逆に接続された場合に、ワイパ制御回路22を構成する素子を保護するための回路である。逆接続保護回路68は、一例として、自身のドレインとゲートを接続した、いわゆるダイオード接続されたFET等で構成される。
【0045】
以下、本実施の形態に係るワイパ装置10の作用及び効果について説明する。図3は、本実施の形態に係るワイパ装置10において、低速払拭時に対応した目標速度マップ92で定められた目標速度から高速払拭時に対応した目標速度マップ90で定められた目標速度に変更する場合の一例を示している。図3の横軸は時間である。図3の横軸上のP1、P2は、ワイパブレード28、30が上反転位置P1、高速払拭時下反転位置P2に達した場合の時間を示している。従って、低速払拭時に対応した目標速度マップ92のP1(P2)は、高速払拭時に対応した目標速度マップ90のP1(P2)よりも、時系列では後の時間になる。
【0046】
図3に示したように、目標速度マップ92で定められた目標速度から目標速度マップ90で定められた目標速度に変更される場合は、時間t1に、ワイパスイッチ50が低速作動モード選択位置から高速作動モード選択位置に切り替えられた場合である。本実施の形態では、時間t1から時間t2までの間に、目標速度マップ92で定められた目標速度から目標速度マップ90で定められた目標速度に徐々に近付ける。
【0047】
本実施の形態では、払拭速度の目標速度は、図3に示したように線形的に変化し、目標速度の変化率は一定である。例えば、図3において時間t1での目標速度(切替前の目標速度)がS1で、時間t2での目標速度(切替後の目標速度)がS2で、払拭速度の切替に要する時間がt2−t1=T1の場合、目標速度の変化率αは下記の式(1)で算出される。切替時間T1は、払拭速度の切替が円滑に行われるように、設計時の計算及び実機の試験を通じて具体的に決定する。
α=(S2−S1)/T1 …(1)
【0048】
変化率αは予め定められた値でもよい。ワイパスイッチ50が操作された場合、払拭速度を変化率αに従って徐々に変化させ、変更後の目標速度に達した場合に、速度変更の処理を終了する。かかる場合は、切替時間T1は、変更前後の目標速度の差に応じて変化する。また、変化率αは、図3のような直線状以外に、時間や位置に応じて変化する曲線状を示すように変化させてもよい。
【0049】
ワイパスイッチ50が低速作動モード選択位置から高速作動モード選択位置に切り替えられる時間t1がワイパブレード28、30が上反転位置P1(又は高速払拭時下反転位置P2)に到達する時間に近い場合は、切り替え後の目標速度に実際の払拭速度が到達する前にワイパブレードが上反転位置P1(又は高速払拭時下反転位置P2)に到達してしまうおそれがある。
【0050】
本実施の形態では、図3に示したように、ワイパブレード28、30が上反転位置P1(又は高速払拭時下反転位置P2)に到達する時間を含む所定の時間の範囲又はワイパブレード28、30の所定の位置の範囲を切替禁止領域96とし、上述の時間t1が切替禁止領域96内にある場合には、時間t1から払拭速度の変更を行わず、上反転位置P1(又は高速払拭時下反転位置P2)に到達するまでは、切替前の目標速度マップ92を指令値としてワイパブレード28、30を払拭動作させる。そして、ワイパブレード28、30が上反転位置P1(又は高速払拭時下反転位置P2)に到達した際に、切替後の目標速度マップである目標速度マップ90を指令値とした払拭速度の制御に切り替える。
【0051】
本実施の形態では、ワイパブレード28、30が上反転位置P1と高速払拭時下反転位置P2(又は低速払拭時下反転位置P3)との間を払拭動作中にワイパスイッチ50が操作された場合には、上述の式(1)に示したような目標速度の変化率αに従って、徐々に目標速度を変化させ、かつ実際の払拭速度を当該目標速度の変化に応じて変化させる。しかしながら、ワイパスイッチ50が操作されたタイミングが、ワイパブレード28、30が上反転位置P1(高速払拭時下反転位置P2又は低速払拭時下反転位置P3)の近くに達した場合は、変化率αに従って払拭速度を徐々に変化させていたのでは、払拭速度が切替後の目標速度に達する前に、ワイパブレード28、30が上反転位置P1(高速払拭時下反転位置P2又は低速払拭時下反転位置P3)付近に到達する。その結果、上反転位置P1(高速払拭時下反転位置P2又は低速払拭時下反転位置P3)でワイパブレード28、30がオーバーランする場合があるし、ユーザがワイパ装置10の動作に違和感を覚える場合がある。
【0052】
本実施の形態では、上述のように、ワイパスイッチが操作されたタイミングが切替禁止領域96内の場合には、ワイパブレード28、30が上反転位置P1(高速払拭時下反転位置P2又は低速払拭時下反転位置P3)に到達した際に、制御に使用する目標速度マップを切替えることにより、上反転位置P1(高速払拭時下反転位置P2又は低速払拭時下反転位置P3)付近での払拭速度の変更に伴う払拭動作の乱れを防止する。
【0053】
切替禁止領域96の範囲は、ワイパ装置10の仕様によって異なるが、一例として、ワイパブレード28、30が上反転位置P1(高速払拭時下反転位置P2又は低速払拭時下反転位置P3)に到達する時間よりも切替時間T1に相当する時間前又は当該時間以上前の時間から切替禁止領域96が始まるようにする。
【0054】
なお、図3では横軸を時間で示したが、横軸を、絶対角センサ54が検知したワイパモータ18の出力軸32の回転角度に基づくワイパブレード28、30の位置で示してもよい。かかる場合に切替禁止領域96は、上反転位置P1(又は高速払拭時下反転位置P2)から切替時間T1に相当する時間前又は当該時間以上前のワイパブレード28、29の位置から切替禁止領域96が始まるようにする。
【0055】
図4は、本実施の形態に係るワイパ装置10の払拭速度変更処理の一例を示したフローチャートである。ステップ400では、ワイパスイッチ50の位置に応じた指令信号に基づく回転制御が実行される。
【0056】
ステップ402では、ワイパスイッチ50が操作されて指令信号に変化が生じたか否かが判定され、否定判定の場合にはステップ400の手順を継続し、肯定判定の場合にはステップ404で、ワイパスイッチ50が操作された時間又はワイパスイッチ50が操作された際のワイパブレード28、30の位置が切替禁止領域96外か否かを判定する。
【0057】
ステップ404で肯定判定の場合には、ステップ406で払拭速度を変更する。ステップ408では、ワイパブレード28、30の実際の払拭速度が変更後の払拭速度に到達したか否かを判定し、否定判定の場合にはステップ406での払拭速度の変更を継続し、肯定判定の場合には、処理をリターンする。
【0058】
ステップ404で否定判定の場合には、ステップ410でワイパブレード28、30が上反転位置P1又は高速払拭時下反転位置P2に到達したか否かを判定する。ステップ410で否定判定の場合には、ワイパブレード28、30が上反転位置P1又は高速払拭時下反転位置P2に到達するまで変更前の払拭速度での払拭動作を継続し、ステップ410で肯定判定の場合には、ステップ412で到達した反転位置で払拭速度を変更して処理をリターンする。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態によれば、ワイパスイッチが操作されたタイミングが反転位置に近い場合にはワイパブレード28、30が反転位置に到達した際に、ワイパスイッチ50の操作に基づいた払拭速度に変更する制御を行う。かかる制御により、反転位置付近でのワイパブレードの払拭動作の乱調を抑制することができ、ワイパブレードの払拭速度を円滑に変更できる。
【0060】
[第2の実施の形態]
続いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、ワイパモータ118がブラシレスDCモータである点が第1の実施の形態と相違するが、その他の構成については、図1に示した第1の実施の形態と同じなので、詳細な説明は省略する。
【0061】
図5は、本実施の形態に係るワイパ制御回路122の構成の一例の概略を示すブロック図である。図5に示したワイパ制御回路122は、ワイパモータ118のコイルの端子に印加する電圧を生成する駆動回路126と、駆動回路126を構成するスイッチング素子のオン及びオフを制御するマイクロコンピュータ124とを含んでいる。
【0062】
マイクロコンピュータ124は、メモリ160に記憶されているワイパブレード28、30の位置に応じてワイパモータ118の回転速度を規定した目標速度マップを参照して、ワイパモータ118の回転が、特定したワイパブレード28、30の位置に応じた回転速度になるように駆動回路126を制御する。絶対角センサ54で検出された回転角度から算出された出力軸32の回転速度と、ワイパブレード28、30の位置に応じた回転速度とに偏差が生じている場合には、当該偏差を解消するようにして、出力軸32の回転速度を制御する。
【0063】
ワイパモータ118のロータ172は、各々3つのS極及びN極の永久磁石で構成されている。ロータ172の磁界は、ホールセンサ170によって検知される。ホールセンサ170は、ロータ172の永久磁石の極性に対応してロータ172とは別に設けられたセンサマグネットの磁界を検知してもよい。ホールセンサ170は、ロータ172又はセンサマグネットの磁界を、ロータ172の位置を示す磁界として検知する。
【0064】
ホールセンサ170は、ロータ172又はセンサマグネットにより形成された磁界を検出することにより、ロータ172の位置を検出するためのセンサである。ホールセンサ170は、U、V、Wの各相に対応する3つのホール素子を含んでいる。ホールセンサ170は、ロータ172の回転によって生じた磁界の変化を、正弦波に近似した電圧の変化の信号として出力する。
【0065】
ホールセンサ170が出力した信号は、制御回路であるマイクロコンピュータ124に入力される。マイクロコンピュータ124は、集積回路であり、スタンバイ回路150によって電源であるバッテリ80から供給される電力が制御されている。
【0066】
ホールセンサ170からマイクロコンピュータ124に入力されたアナログ波形の信号は、マイクロコンピュータ124内にある、コンパレータ等のアナログ信号をデジタル信号に変換する回路を備えたホールセンサエッジ検出部156に入力される。ホールセンサエッジ検出部156では、入力されたアナログ波形をデジタル波形に変換し、デジタル波形からエッジ部分を検出する。
【0067】
デジタル波形及びエッジの情報はモータ位置推定部154に入力され、ロータ172の位置が算出される。算出されたロータ172の位置の情報は、通電制御部158に入力される。
【0068】
また、マイクロコンピュータ124の指令値算出部152には、ワイパスイッチ50からワイパモータ118(ロータ172)の回転速度を指示するための信号が入力される。指令値算出部152は、ワイパスイッチ50から入力された信号からワイパモータ118の回転速度に係る指令を抽出して、通電制御部158に入力する。
【0069】
通電制御部158は、モータ位置推定部154で算出されたロータ172の位置に応じて変化する電圧の位相を算出すると共に、算出した位相及びワイパスイッチ50により指示されたロータ172の回転速度に基づいて駆動デューティ値を決定する。また、通電制御部158は、駆動デューティ値に応じたパルス信号であるPWM信号を生成して駆動回路126に出力するPWM制御を行う。
【0070】
駆動回路126は、三相(U相、V相、W相)インバータにより構成されている。図5に示すように、駆動回路126は、各々が上段スイッチング素子としての3つのNチャンネル電界効果トランジスタ(MOSFET)174U、174V、174W(以下、「FET174U、174V、174W」と言う)、各々が下段スイッチング素子としての3つのNチャンネル電界効果トランジスタ176U、176V、176W(以下、「FET176U、176V、176W」と言う)とを備えている。なお、FET174U、174V、174W及びFET176U、176V、176Wは、各々、個々を区別する必要がない場合は「FET174」、「FET176」と総称し、個々を区別する必要がある場合は、「U」、「V」、「W」の符号を付して称する。
【0071】
FET174、FET176のうち、FET174Uのソース及びFET176Uのドレインは、コイル140Uの端子に接続されており、FET174Vのソース及びFET176Vのドレインは、コイル140Vの端子に接続されており、FET174Wのソース及びFET176Wのドレインは、コイル140Wの端子に接続されている。
【0072】
FET174及びFET176のゲートは通電制御部158に接続されており、PWM信号が入力される。FET174及びFET176は、ゲートにHレベルのPWM信号が入力するとオン状態になり、ドレインからソースに電流が流れる。また、ゲートにLレベルのPWM信号が入力されるとオフ状態になり、ドレインからソースへ電流が流れない状態になる。
【0073】
また、本実施の形態のワイパ制御回路122には、バッテリ80、ノイズ防止コイル82、及び平滑コンデンサ84A、84B等が構成されている。バッテリ80、ノイズ防止コイル82、及び平滑コンデンサ84A、84Bは略直流電源を構成している。なお、図5には図示していないが、バッテリ80の電圧を検出する電圧センサ、ワイパモータ118のコイル140の電流であるモータ電流を検出する電流センサ、及びワイパ制御回路122が実装された基板の温度を検出するためのサーミスタ等が実装されている。
【0074】
図6(A)は高トルク回転制御におけるコイル140U、140V、140Wへの通電パターンの一例を示したタイムチャートである。図6(A)において矩形で示された通電102U、102V、102W及び通電104U、104V、104Wは、コイル140U、140V、140Wへ通電されるタイミングを示している。図6において、通電102U、102V、102W及び通電104U、104V、104Wは、便宜上、矩形で示されているが、実際の通電では、PWMによりパルス状に変調された電圧がコイル140U、140V、140Wに印加される。なお、図6の単位時間(例えば、時間t0から時間t1の間)は、ロータ172が電気角で60°回転する時間である。また、図6(A)における通電のタイミングは、ホールセンサ170によって検出したロータ172の磁極の位置に対応したタイミングである。
【0075】
時間t0から時間t1までは、FET174WとFET176Vとがオンになり、コイル140Wからコイル140Vへ通電される。時間t1から時間t2では、FET174UとFET176Vとがオンになり、コイル140Uからコイル140Vへ通電される。時間t2から時間t3では、FET174UとFET176Wとがオンになり、コイル140Uからコイル140Wへ通電される。時間t3から時間t4では、FET174VとFET176Wとがオンになり、コイル140Vからコイル140Wへ通電される。時間t4から時間t5では、FET174VとFET176Uとがオンになり、コイル140Vからコイル140Uへ通電される。時間t5から時間t6では、FET174WとFET176Uとがオンになり、コイル140Wからコイル140Uへ通電される。時間t6から時間t7では、FET174WとFET176Vとがオンになり、コイル140Wからコイル140Vへ通電される。時間t7から時間t8では、FET174UとFET176Vとがオンになり、コイル140Uからコイル140Vへ通電される。
【0076】
図6(B)は、高回転制御におけるコイル140U、140V、140Wへの通電パターンの一例を示したタイムチャートである。図6(B)では、図6(A)の通電102U、102V、102W、104U、104V、104Wに対して通電のタイミングを各々tα早めた(進角させた)タイミングで通電106U、106V、106W、108U、108V、108Wを行っている。tαは、ワイパモータの仕様等によって異なるので、設計時のシミュレーション、又は実機を用いた実験を通じて具体的に決定する。
【0077】
一般にブラシレスDCモータでは、出力軸を高速回転させる場合に、U、V、Wの各相への通電タイミングの電気角を進角させることが効果的である。また、出力軸のトルクを担保しつつモータ電流を抑制するには、ホールセンサ170によって検出したロータ172の磁極の位置に対応したタイミングでU、V、Wの各相へ通電する。本実施の形態では、ワイパモータ118の出力軸32を高速回転させる場合には図6(B)に示したように通電タイミングを進角させ、出力軸のトルクを担保しつつモータ電流を抑制するには図6(A)に示したようにホールセンサ170によって検出したロータ172の磁極の位置に対応したタイミングでU、V、Wの各相へ通電する。なお、図6(A)に示した通電タイミングよりも遅角させたタイミングでU、V、Wの各相に通電した場合は、ワイパモータ118の出力軸32のトルクがさらに向上する場合があるが、モータ電流は増大し、また、通電タイミングの遅角が過大な場合には、ワイパモータ118は出力軸32の回転を維持できず脱調するおそれがある。
【0078】
本実施の形態では、ワイパスイッチ50が、低速作動モード選択位置の場合に低回転制御を行い、高速作動モード選択位置の場合に高回転制御を行う。上述のように、低回転制御では、ワイパモータ18の出力軸32のトルクを大きくしてもモータ電流は、高回転制御の場合よりも抑制される。ワイパ装置10を始動する際には、多くの場合、ワイパスイッチ50を格納(停止)モード選択位置から低速作動モード選択位置に切り替えるが、ワイパ装置10の始動直後には、ウィンドシールドガラス12上には積雪等の障害物が存在する場合がある。本実施の形態では、かかる障害物を払拭排除するために、始動直後に選択される機会が多い低速作動モードでワイパモータ18の出力軸32のトルクを大きくする低回転制御を行う。
【0079】
本実施の形態では、ワイパスイッチ50が低速作動モード選択位置から高速作動モード選択位置に切り替えられた場合は、ワイパモータ118のコイルに印加する電圧のデューティ比を徐々に大きくすると共に、通電タイミングを徐々に進角させて、低回転制御から高回転制御に切り替える。
【0080】
また、本実施の形態では、ワイパスイッチ50が高速作動モード選択位置から低速作動モード選択位置に切り替えられた場合は、ワイパモータ118のコイルに印加する電圧のデューティ比を徐々に小さくすると共に、通電タイミングを徐々に遅角させて、高回転制御から低回転制御に切り替える。
【0081】
また本実施の形態では、第1の実施の形態のように、ワイパスイッチが操作されたタイミングが反転位置に近い場合にはワイパブレード28、30が反転位置に到達した際に、ワイパスイッチ50の操作に基づいた払拭速度に変更する制御を行う。かかる制御により、反転位置付近でのワイパブレードの払拭動作の乱調を抑制することができ、ワイパブレードの払拭速度を円滑に変更できる。
【符号の説明】
【0082】
10…ワイパ装置、12…ウィンドシールドガラス、14,16…ワイパ、18…ワイパモータ、20…リンク機構、22…ワイパ制御回路、24,26…ワイパアーム、28,30…ワイパブレード、32…出力軸、34…クランクアーム、36…リンクロッド、38…ピボットレバー、40…ピボットレバー、42,44…ピボット軸、46…リンクロッド、50…ワイパスイッチ、52…減速機構、54…絶対角センサ、56…駆動回路、56A…Hブリッジ回路、58…マイクロコンピュータ、60…メモリ、62…電圧検出回路、64…信号入力回路、66…ダイオード、68…逆接続保護回路、70…センサマグネット、72…CW電流、74…CCW電流、76…ノイズ防止コイル、80…バッテリ、82…ノイズ防止コイル、84A…平滑コンデンサ、90,92…目標速度マップ、96…切替禁止領域、102U,102V,102W,104U,104V,104W,106U,106V,106W,108U,108V,108W…通電、118…ワイパモータ、122…ワイパ制御回路、124…マイクロコンピュータ、126…駆動回路、140U,140V,140W…コイル、150…スタンバイ回路、152…指令値算出部、154…モータ位置推定部、156…ホールセンサエッジ検出部、158…通電制御部、160…メモリ、170…ホールセンサ、172…ロータ、174U,174V,174W,176U,176V,176W…FET、190,192…目標速度マップ、α…変化率、θ0…開始位置、θ1,θ2…目標払拭位置、θA,θB,θC…回転角度、C1,C2…電解コンデンサ、P1…上反転位置、P2…高速払拭時下反転位置、P3…低速払拭時下反転位置、P4…格納位置、T1…切替時間、Tr1,Tr2,Tr3,Tr4…トランジスタ、t0,t01,t1,t2,t3,t4,t5,t6,t7,t8…時間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7