特許第6860004号(P6860004)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6860004
(24)【登録日】2021年3月30日
(45)【発行日】2021年4月14日
(54)【発明の名称】冷却装置
(51)【国際特許分類】
   F28D 15/02 20060101AFI20210405BHJP
【FI】
   F28D15/02 101L
   F28D15/02 E
   F28D15/02 102A
【請求項の数】5
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-509083(P2018-509083)
(86)(22)【出願日】2017年3月21日
(86)【国際出願番号】JP2017011159
(87)【国際公開番号】WO2017169969
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2020年2月17日
(31)【優先権主張番号】特願2016-72859(P2016-72859)
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】千葉 正樹
(72)【発明者】
【氏名】蜂矢 真弘
(72)【発明者】
【氏名】吉川 実
【審査官】 古川 峻弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−276054(JP,A)
【文献】 特開2009−088127(JP,A)
【文献】 国際公開第2015/146110(WO,A1)
【文献】 特開2012−255624(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 15/02
H01L 23/46
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体から熱伝導される矩形状の第一の面を備えた蒸発器と、
前記蒸発器に収容され、前記発熱体から吸収した熱によって気化する熱媒体と、
気化した状態の前記熱媒体を液化する凝縮器と、
前記蒸発器から前記凝縮器へ前記気化した状態の前記熱媒体を導く蒸気管と、
前記凝縮器から前記蒸発器へ液化した状態の前記熱媒体を導く液管と、を備え、
前記蒸発器側の前記蒸気管の第一の開口部と前記蒸発器側の前記液管の第二の開口部とは、前記第一の面の長手方向に沿う第一の方向において互いに異なる位置に配置されるとともに、前記第一の面に沿い、且つ前記第一の方向に対して直交する第二の方向において互いに異なる位置に、更に前記第一の面に対して直交する第三の方向において互いに異なる位置に、前記蒸発器の内部の熱媒体収容空間に開口するように配置されており、
前記蒸気管と、前記液管とは、前記第二の方向から前記蒸発器に接続されている
冷却装置。
【請求項2】
前記第一の開口部は、前記蒸発器内の前記液化した状態の前記熱媒体の液面より上方で開口するように配置され、
前記第二の開口部は、前記液面より下方で開口するように配置されている請求項1の冷却装置。
【請求項3】
前記発熱体は、前記第一の方向において並んで複数設けられている請求項1または2に記載の冷却装置。
【請求項4】
前記蒸発器は、
前記第一の面を有する主板部と、前記主板部との間に前記熱媒体収容空間を形成するカバー部と、を備え、
前記カバー部は、前記蒸気管および前記液管が接続されている請求項1から3の何れか一項に記載の冷却装置。
【請求項5】
前記第一の開口部及び前記第二の開口部の各々は、前記蒸発器の内部に延伸して配置されており、
所定の姿勢において、前記第二の開口部が前記熱媒体の液面より下方で開口するように配置されており、
前記所定の姿勢は、前記第三の方向が水平面に対して直交して、かつ、前記第二の開口部が前記第一の開口部よりも下方に配置される第一の姿勢、前記第二の方向が前記水平面に対して直交して、かつ、前記第二の開口部が前記第一の開口部よりも下方に配置される第二の姿勢、及び、前記第一の方向が前記水平面に対して直交して、かつ、前記第二の開口部が前記第一の開口部よりも下方に配置される第三の姿勢を含む
請求項1から4の何れか一項に記載の冷却装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子等の発熱体を冷却する冷却装置として、ポンプを使用することなく冷媒液を循環可能な相変化冷却方式(サーモサイフォン型とも言う)の冷却装置が知られている。
この相変化冷却方式の冷却装置は、蒸発潜熱を利用することから、水冷方式の冷却装置等と比較して冷却効率が高い。さらに、相変化冷却方式の冷却装置は、冷媒液を自重により蒸発器に送り込むことが可能であり基本的にポンプを必要としない。そのため、非常にコンパクトに構成でき、狭いスペースにも設置することができる。
【0003】
特許文献1には、電子機器の冷却装置として、ポンプを使用することなく冷媒液を循環可能とする自然循環方式の冷却装置が提案されている。この特許文献1は、高さを抑えるために、配管の接続位置等を工夫している。
特許文献2には、コンピュータ等に使われる発熱電子部品の熱の吸熱性能を向上させるために、冷媒液を蒸発器に送り込むための液管の開口部を受熱面に対向し、且つ、近接して設ける技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−010211号公報
【特許文献2】特開2009−088125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した冷却装置は、例えば、発熱体の設置向きの都合で蒸発器の向きを変える必要が生じる場合がある。しかし、特許文献1や特許文献2に記載の冷却装置の場合、基本的に、受熱面が下向きにならないと、受熱面からの入熱により蒸発した冷媒蒸気が液管を逆流してしまう可能性が有る。このように冷媒蒸気が液管を逆流した場合、冷却装置の冷却性能が著しく低下してしまう。そのため、この種の冷却装置においては、一般に、蒸発器の設置自由度が低いという課題がある。
【0006】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、冷却性能を低下させることなく、蒸発器の設置自由度を向上することが可能な冷却装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一態様によれば、冷却装置は、発熱体から熱伝導される第一の面を備えた蒸発器と、前記蒸発器に収容され、前記発熱体から吸収した熱によって気化する熱媒体と、気化した状態の前記熱媒体を液化する凝縮器と、前記蒸発器から前記凝縮器へ前記気化した状態の前記熱媒体を導く蒸気管と、前記凝縮器から前記蒸発器へ液化した状態の前記熱媒体を導く液管と、を備え、前記蒸発器側の前記蒸気管の第一の開口部と前記蒸発器側の前記液管の第二の開口部とは、前記第一の面に沿う第一の方向において互いに異なる位置に配置されるとともに、前記第一の面に沿い、且つ前記第一の方向とは異なる第二の方向において互いに異なる位置に、更に前記第一の面と交差する第三の方向において互いに異なる位置に、前記蒸発器の内部の熱媒体収容空間に開口するように配置されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、冷却性能を低下させることなく、蒸発器の設置自由度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】この発明の第一実施形態における冷却装置において、第一の姿勢の蒸発器を示す斜視図である。
図2】この発明の第二実施形態における冷却装置において、第一の姿勢の蒸発器を示す断面図である。
図3】この発明の第二実施形態における冷却装置において、第二の姿勢の蒸発器を示す断面図である。
図4】この発明の第二実施形態における冷却装置において、第三の姿勢の蒸発器を示す断面図である。
図5A】比較例における冷却装置において、蒸発器の姿勢を第一軸線および第二軸線回りに変化させたときの発熱体の温度を表すグラフを示す図である。
図5B】第二実施形態における冷却装置において、蒸発器の姿勢を第一軸線および第二軸線回りに変化させたときの発熱体の温度を表すグラフを示す図である。
図6】この発明の第三実施形態における冷却装置において、第一の姿勢の蒸発器を示す斜視図である。
図7】この発明の第三実施形態における冷却装置において、第一の姿勢の蒸発器を示す断面図である。
図8】この発明の第三実施形態における冷却装置において、第二の姿勢の蒸発器を示す断面図である。
図9】この発明の第三実施形態における冷却装置において、第三の姿勢の蒸発器を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一実施形態)
次に、この発明の第一実施形態における冷却装置を図面に基づき説明する。
図1は、この発明の第一実施形態における冷却装置において、第一の姿勢の蒸発器を示す斜視図である。
図1に示すように、この第一実施形態における冷却装置1は、蒸発器2と、凝縮器3と、蒸気管4と、液管5と、熱媒体6と、を備えている。この冷却装置1は、図示しない発熱体を冷却する。
蒸発器2は、図示しない発熱体から熱伝導される第一の面2aを備えている。蒸発器2は、その内部空間(熱媒体収容空間)2Kに熱媒体6の液相と気相との両方を有している。第一の面2aは、発熱体からの熱を熱媒体6の少なくとも液相に伝達させる。発熱体から吸収した熱により第一の面2aが設定温度を上回った場合に、液相の熱媒体6が蒸発して気化する。この熱媒体6の蒸発潜熱により発熱体が冷却される。
【0011】
凝縮器3は、気化した状態の熱媒体を液化する。具体的には、凝縮器3は、気化した状態の熱媒体を冷却することで液化させる。この凝縮器3は、蒸発器2よりも鉛直方向で上方に配置されている。
【0012】
蒸気管4は、上述した蒸発器2から凝縮器3へ気化した状態の熱媒体6を導くように形成されている。蒸気管4の第一端部4aは蒸発器2に接続され、蒸気管4の第二端部4bは凝縮器3に接続されている。蒸気管4は、その内部空間が、蒸発器2の内部空間および、凝縮器3の内部の流路とそれぞれ連通している。この蒸気管4によって、蒸発器2の内部で蒸発した熱媒体6が、蒸発器2から、蒸発器2よりも上方に配置された凝縮器3に向かって、いわゆる熱対流により送り込まれる。
【0013】
液管5は、上述した凝縮器3から蒸発器2へ液化した状態の熱媒体6を導くように形成されている。液管5の第一端部5aは蒸発器2に接続され、液管5の第二端部5bは凝縮器3に接続されている。液管5は、その内部空間が、蒸発器2の内部空間および、凝縮器3の内部の流路とそれぞれ連通している。この液管5によって、凝縮器3の内部で液化した熱媒体6が、凝縮器3から、凝縮器3よりも下方に配置された蒸発器2に向かって、その自重により送り込まれる。
【0014】
蒸気管4の蒸発器2側の開口部(第一の開口部)10、および、液管5の蒸発器2側の開口部(第二の開口部)11は、第一の面2aに沿う第一の方向Aにおいて互いに異なる位置に配置されている。同様に、開口部10と、開口部11とは、第一の面2aに沿い、且つ第一の方向Aとは異なる第二の方向Bにおいて互いに異なる位置に配置されている。更に、開口部10と、開口部11とは、第一の面2aと交差する第三の方向Cにおいても互いに異なる位置に配置されている。
【0015】
したがって、上述した第一実施形態の冷却装置1によれば、蒸発器2側の蒸気管4の開口部10と蒸発器2側の液管5の開口部11とが、第一の面2aに沿う第一の方向Aにおいて互いに異なる位置に配置されるとともに、第一の面2aに沿い、且つ第一の方向Aとは異なる第二の方向Bにおいて互いに異なる位置に、更に第一の面2aと交差する第三の方向Cにおいて互いに異なる位置に、蒸発器2の内部空間2Kに開口するように配置されている。そのため、液管5の開口部11が蒸気管4の開口部10よりも下方に配置された状態を維持しつつ、第一軸線O1と第二軸線O2との二つの軸線回りに姿勢を変化させることが可能になる。その結果、液管5に熱媒体6の蒸気が逆流することを抑制して冷却性能を低下させることなく、蒸発器2の設置自由度を向上することが可能になる。
【0016】
(第二実施形態)
次に、この発明の第二実施形態を図面に基づき説明する。この第二実施形態は、上述した第一実施形態における液管5の開口部11が、熱媒体の液面よりも下方で開口している点で異なる。したがって、図1を援用するとともに、第一実施形態と同一部分に同一符号を付して説明するとともに、重複説明を省略する。
この第二実施形態における冷却装置も、蒸発器2側の蒸気管4の開口部10と蒸発器2側の液管5の開口部11とが、第一の面2aに沿う第一の方向Aにおいて互いに異なる位置に配置されている。さらに、開口部10と開口部11とは、第一の面2aに沿い、且つ第一の方向Aとは異なる第二の方向Bにおいて互いに異なる位置に、更に第一の面2aと交差する第三の方向Cにおいて互いに異なる位置に、蒸発器2の内部空間2Kに開口するように配置されている。
【0017】
図2は、この発明の第二実施形態における冷却装置において、第一の姿勢の蒸発器を示す断面図である。
図2に示すように、熱媒体6は、蒸発器2の内部空間2Kにおいて液相と気相とを有している。熱媒体6は、液相の液面レベルL1が、第一の姿勢で内部空間2Kの第三の方向Cにおいて半分程度の高さとなるように設定されている。言い換えれば、この実施形態における内部空間2Kには、内部空間2Kの容積の半分程度の熱媒体6が液体で収容されている。
【0018】
上述した蒸発器2の第一の姿勢とは、蒸発器2の第一の面2aが下方を向く姿勢、言い換えれば第一の面2aが水平方向に広がるように設置されたときの姿勢である。この第一の姿勢においては、発熱体Hは、第一の面2aの下方に配置される。発熱体Hと第一の面2aとの間には、熱伝導率の高い絶縁体等を設けても良いし、発熱体Hを第一の面2aと接触させてもよい。
【0019】
第一の姿勢において、蒸気管4の開口部10は、内部空間2Kの気相内に配置されている。さらに、第一の姿勢において、液管5の開口部11は、内部空間2Kの液相内に配置されている。つまり、開口部11は、開口部10よりも下方に配置される。言い換えれば、第一の姿勢において、開口部10が気相に開口し、開口部11が液相内に開口するように、開口部10,11の配置、および、液面レベルL1が設定されている。
【0020】
図3は、この発明の第二実施形態における冷却装置において、第二の姿勢の蒸発器を示す断面図である。
図3に示すように、蒸発器2が第二の姿勢の場合においても、内部空間2Kに、熱媒体6の液相と気相とが形成される。この第二の姿勢は、例えば、図1に示す第一軸線O1を中心に蒸発器2を、開口部11が開口部10よりも下方に配置されるように90度だけ回転させた姿勢である。この第二の姿勢においては、発熱体Hが熱媒体6の側方に配置され、この発熱体Hに対向するように第一の面2aが側方を向いて配置されている。この第二の姿勢における液面レベルL2も、内部空間2Kの第二の方向Bにおいて半分程度の高さとなる。
【0021】
第二の姿勢においても、第一の姿勢と同様に、蒸気管4の開口部10は、内部空間2Kの気相内に配置され、液管5の開口部11は、内部空間2Kの液相内に配置されている。
【0022】
図4は、この発明の第二実施形態における冷却装置において、第三の姿勢の蒸発器を示す断面図である。
図4に示すように、蒸発器2が第三の姿勢の場合においても、内部空間2Kに、熱媒体6の液相と気相とが形成される。この第三の姿勢は、例えば、図1に示す第二軸線O2を中心に、開口部11が開口部10よりも下方に配置されるように90度だけ回転させた姿勢である。この第三の姿勢においては、発熱体Hが熱媒体6の側方に配置され、この発熱体Hに対向するように第一の面2aが側方を向いて配置されている。
【0023】
第三の姿勢においても、第一、第二の姿勢と同様に、蒸気管4の開口部10は、内部空間2Kの気相内に配置され、液管5の開口部11は、内部空間2Kの液相内に配置されている。
【0024】
図5Aは、比較例における冷却装置において、蒸発器の姿勢を第一軸線および第二軸線回りに変化させたときの発熱体の温度を表すグラフを示す図である。図5Bは、第二実施形態における冷却装置において、蒸発器2の姿勢を第一軸線O1および第二軸線O2回りに変化させたときの発熱体Hの温度を表すグラフを示す図である。
図5A及び図5Bにおいて、縦軸は発熱体Hの温度であり、同図中の破線は、発熱体Hの許容する上限温度である。この図5Aの比較例は、第一軸線O1および第二軸線O2周りに蒸発器の姿勢を、第二の姿勢、第三の姿勢に変化させたときに、熱媒体6の蒸気が液管から逆流してしまう場合を示す。この場合、冷却装置の冷却性能が低下して、発熱体Hの温度が上限温度を超えてしまっている。
一方で、図5Bに示すように、上述した第二実施形態の蒸発器2では、第一の姿勢、第二の姿勢、第三の姿勢の何れの姿勢においても、冷却装置1の冷却性能の低下は見られなかった。
【0025】
したがって、上述した第二実施形態によれば、第一の姿勢、第二の姿勢、および、第三の姿勢の何れの姿勢においても液管5から熱媒体6の蒸気が逆流することを抑制可能になる。
その結果、冷却装置1の冷却性能を低下させることなく、蒸発器2の設置自由度を向上することが可能になる。
【0026】
(第三実施形態)
次に、この発明の第三実施形態を図面に基づき説明する。
図6は、この発明の第三実施形態における冷却装置において、第一の姿勢の蒸発器を示す斜視図である。図7は、この発明の第三実施形態における冷却装置において、第一の姿勢の蒸発器を示す断面図である。図8は、この発明の第三実施形態における冷却装置において、第二の姿勢の蒸発器を示す断面図である。図9は、この発明の第三実施形態における冷却装置において、第三の姿勢の蒸発器を示す断面図である。
【0027】
図6から図9に示すように、この第三実施形態における冷却装置1Bは、蒸発器2Bと、凝縮器3Bと、蒸気管4Bと、液管5Bと、熱媒体6B(図7参照)と、を備えている。この冷却装置1Bは、複数の発熱体H1〜H4を冷却する。この第三実施形態においては発熱体が4つ設けられる場合を一例に説明するが、発熱体の数は4つに限られない。
【0028】
蒸発器2Bは、主板部20とカバー部21とを備えている。
主板部20は、第一の方向Aおよび第二の方向Bを含む平面上に形成されて、第二の方向Bの寸法よりも第一の方向Aの寸法が大きい矩形の平板状に形成されている。この主板部20は、その厚さ方向が第三の方向Cとされている。この主板部20は、蒸発器2Bの外面を形成するとともに発熱体H1〜H4から熱伝導される第一の面2a(図9参照)を備えている。この実施形態においては、発熱体H1〜H4が直列に並んで配置されている。主板部20は、その矩形状の長手方向が、発熱体H1〜H4の並ぶ方向と一致するように配置されている。主板部20は、第一の面2aとはその厚さ方向で反対側となる内面に、複数の放熱フィンFが固定されている。これら放熱フィンFは、それぞれ発熱体H1〜H4の配置と対応するように直列に4つ配置されている。
【0029】
カバー部21は、主板部20との間に内部空間2Kを形成する。カバー部21は、側壁部22と主壁部23とを備えている。
【0030】
側壁部22は、主板部20の4辺近傍からそれぞれ立ち上がるように形成されている。
より具体的には、側壁部22は、第三の方向Cに立ち上がるように形成されている。
主壁部23は、板状に形成され、主板部20に対向する位置に配置されている。これら主板部20の内面、側壁部22の内面、および主壁部23の内面によって囲まれて、蒸発器2Bの内部空間2Kが形成されている。この実施形態における主壁部23は、平板状の場合を例示しているが、凸や凹に湾曲した板状であってもよい。
【0031】
蒸発器2Bは、内部空間2Kに熱媒体6Bの液相と気相との両方を有している。第一の面2aは、発熱体H1〜H4の熱を熱媒体6Bの少なくとも液相に伝達させる。つまり、蒸発器2Bの少なくとも主板部20は、熱伝導性に優れた材質、例えば、アルミニウム合金等により形成されている。発熱体H1〜H4の熱により第一の面2aが設定温度を上回った場合に、主板部20の内面や放熱フィンFに接触している、熱媒体6の液体が蒸発して気化する。この熱媒体6の蒸発潜熱により発熱体H1〜H4がそれぞれ冷却される。
【0032】
凝縮器3Bは、第一、第二実施形態と同様に、気化した状態の熱媒体6Bを液化する。
具体的には、凝縮器3Bは、気化した状態の熱媒体6Bを冷却することで液化させる。この凝縮器3Bは、蒸発器2Bよりも鉛直方向で上方に配置されている。凝縮器3Bは、熱媒体6Bを凝縮可能であればよく、いわゆる空冷式や水冷式等、種々の方式を用いることができる。
【0033】
蒸気管4Bは、上述した蒸発器2Bから凝縮器3Bへ気化した状態の熱媒体6Bを導くように形成されている。蒸気管4Bの第一端部4Baは蒸発器2Bに接続され、蒸気管4Bの第二端部4Bbは凝縮器3Bに接続されている。より具体的には、蒸気管4Bの第一端部4Baは、蒸発器2Bの凝縮器3Bに近い側の第一側壁部22a(図7図8参照)に接続されている。この蒸気管4Bは、第一の面2aに沿い且つ第一の方向Aとは異なる、第二の方向Bに向かって延びて互いにオフセット配置された部分4B1,4B2と、これら部分4B1,4B2とを繋ぐ部分4B3とによりクランク状に形成されている。
【0034】
蒸気管4Bは、その内部空間が、蒸発器2Bの内部空間2Kおよび、凝縮器3Bの内部の流路とそれぞれ連通している。この蒸気管4Bによって、蒸発器2Bの内部で蒸発した熱媒体6Bが、蒸発器2Bから、この蒸発器2Bよりも上方に配置された凝縮器3Bに向かって、いわゆる熱対流により送り込まれる。
【0035】
液管5Bは、上述した凝縮器3Bから蒸発器2Bへ液化した状態の熱媒体6Bを導くように形成されている。液管5Bの第一端部5Baは蒸発器2Bに接続され、液管5Bの第二端部5Bbは凝縮器3Bに接続されている。より具体的には、液管5Bの第一端部5Baは、蒸発器2Bの凝縮器3Bに近い側の第一側壁部22aに接続されている。この液管5Bは、第二の方向Bに延びる部分5B1と、第三の方向Cに延びる部分5B2とによりL字状に形成されている。
【0036】
この第三実施形態における蒸気管4Bと液管5Bとは、それぞれ蒸発器2Bの第一側壁部22aを貫通するようにして蒸発器2Bに固定されている。言い換えれば、蒸気管4Bと液管5Bとは、第二の方向Bすなわち凝縮器3Bから蒸発器2Bに向かう同一方向から蒸発器2Bに接続されている。更に言い換えれば、蒸気管4Bと液管5Bとは、図6に示す冷却装置1Bの上面視で、凝縮器3Bから蒸発器2Bに向かって第二の方向Bに延びて、蒸発器2Bを貫通するように接続されている。そして、蒸発器2B内において蒸気管4Bよりも液管5Bの長さを大きくすることで、開口部10Bと開口部11Bとが第二の方向Bにおいて間隔を空けて配置されている。このように構成することで、冷却装置1Bは、その体積(横幅)が膨らむ(増大する)ことを抑制することができる。なお、この実施形態においては、第二の方向Bで同一方向から蒸気管4Bと液管5Bとが接続される場合について説明した。しかし、第一の方向Aや第三の方向Cにおいて、蒸気管4Bおよび液管5Bを同一方向から蒸発器2Bに接続するようにしても良い。
【0037】
液管5Bは、その内部空間が、蒸発器2の内部空間2Kおよび、凝縮器3Bの内部の流路とそれぞれ連通している。この液管5Bによって、凝縮器3Bの内部で液化した熱媒体6Bが、凝縮器3Bから、この凝縮器3Bよりも下方に配置された蒸発器2Bに向かって、その自重により送り込まれる。
【0038】
蒸気管4Bの蒸発器2B側の開口部10B、および、液管5Bの蒸発器2B側の開口部11Bは、第一の面2aに沿う第一の方向Aにおいて互いに異なる位置に配置されている。同様に、開口部10Bと、開口部11Bとは、第一の面2aに沿い、且つ第一の方向Aとは異なる第二の方向Bにおいて互いに異なる位置に配置されている。更に、開口部10Bと、開口部11Bとは、第一の面2aと交差する第三の方向Cにおいても互いに異なる位置に配置されている。
【0039】
より具体的には、開口部10Bと開口部11Bとは、それぞれ第一の方向A、第二の方向B、および、第三の方向Cにおいて、それぞれ蒸発器2Bの内部空間2Kの中心点C1を挟んで、内部空間2Kの反対側に配置されている。ここで、この実施形態における図7から図9においては、開口部10B,11Bが、最も離れた位置に配置されているが、上記中心点C1に対する配置条件を満たしていれば、この配置に限られない。
上述した中心点C1とは、第一の方向Aにおける内部空間2Kの中央位置と、第二の方向Bにおける内部空間2Kの中央位置と、第三の方向における内部空間2Kの中央位置とがそれぞれ重なる点である。
【0040】
この第三実施形態における熱媒体6Bの液面は、図7から図9に示す第一の姿勢から第三の姿勢の何れの姿勢においても中心点C1の近傍に位置するように設定されている。また、上述した蒸発器2B、凝縮器3B、蒸気管4B、および、液管5Bによって形成される循環路は、大気圧よりも低い真空雰囲気とされ、その真空度は、発熱体H1〜H4の設定温度に応じて調整されている。熱媒体6Bとしては、例えば、HFC(ハイドロフルオロカーボン)、HFO(ハイドロフルオロオレフィン)、HFE(ハイドロフルオロエーテル)、PFC(パーフルオロカーボン)等を用いることが可能である。さらに、具体的には、HFC−134aやHFO−1234yf等を用いることも可能である。なお、第一の姿勢から第三の姿勢は、上述した第二実施形態と同様であるため、詳細説明を省略する。
【0041】
したがって、上述した第三実施形態の冷却装置1Bによれば、蒸発器2B側の蒸気管4Bの開口部10Bと蒸発器2B側の液管5Bの開口部11Bとが、第一の面2aに沿う第一の方向Aにおいて互いに異なる位置に配置されるとともに、第一の面2aに沿い、且つ第一の方向Aとは異なる第二の方向Bにおいて互いに異なる位置に、更に第一の面2aと交差する第三の方向Cにおいて互いに異なる位置に、蒸発器2Bの内部空間2Kに開口するように配置されている。
そのため、液管5Bの開口部11Bが蒸気管4Bの開口部10Bよりも下方に配置された状態を維持しつつ、第一の方向Aに延びる第一軸線O1と第二の方向Bに延びる第二軸線O2との二つの軸線回りに姿勢を変化させることが可能である。その結果、液管5Bに熱媒体6Bの蒸気が逆流することを抑制して冷却性能を低下させることなく、蒸発器2Bの設置自由度を向上することが可能になる。
【0042】
さらに、第一の姿勢、第二の姿勢、および、第三の姿勢の何れの姿勢においても液管5Bの開口部11Bが熱媒体6Bの液面よりも下方の液相に配置され、蒸気管4Bの開口部10Bが熱媒体6Bの液面よりも上方の気相に配置される。そのため、液管5Bから熱媒体6Bの蒸気が逆流することを抑制可能である。その結果、冷却装置1の冷却性能を低下させることなく、蒸発器2の設置自由度を向上することが可能になる。
【0043】
さらに、第一の姿勢、第二の姿勢、および、第三の姿勢において、開口部10Bと開口部11Bとが何れも中心点C1を挟んで配置されている。そのため、熱媒体6Bの液面を中心点C1の位置に合わせるように設定すれば、開口部10Bと開口部11Bとを内部空間2Kの最も離れた位置に配置しなくとも、液管5Bへの蒸気の逆流を抑制することが可能になる。
【0044】
さらに、蒸発器2Bが、第一の方向Aに並んだ複数の放熱フィンFを備えている。そのため、熱媒体6Bと、複数の発熱体H1〜H4から熱が伝達される主板部20の内面とが、接触する面積を増加させることが可能になる。その結果、冷却装置1Bの冷却性能を向上することが可能になる。
さらに、複数の発熱体H1〜H4を、第一の姿勢、第二の姿勢の何れの姿勢においても、同時に冷却することが可能である。
【0045】
さらに、蒸発器2Bが主板部20とカバー部21とを備えている。そのため、蒸発器2Bを組み立てる際に、カバー部21に対して蒸気管4Bおよび液管5Bを溶接等により固定した後に、放熱フィンFを備える主板部20によりカバー部21を閉塞するように固定するだけでよい。したがって、開口部10Bおよび開口部11Bの位置決めを容易に行うことが可能になり、蒸発器2Bを容易に組立することが可能になる。
【0046】
この発明は、上述した各実施形態に限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した各実施形態に種々の変更を加えたものを含む。すなわち、実施形態で挙げた具体的な形状や構成等は一例にすぎず、適宜変更が可能である。
【0047】
上述した各実施形態の説明においては、蒸発器2,2Bが直方体の場合を例示した。しかし、直方体に限られない。蒸発器2,2Bは、内部空間2Kを有し、発熱体を冷却可能な形状であれば如何なる形状であっても良い。例えば、蒸発器2,2Bにおけるカバー部21が曲面を有する形状であってもよい。具体的には、蒸発器2,2Bの形状がかまぼこ形状、すなわち蒸発器2,2Bの第二軸線O2に沿った断面が半円形状となるような形状であってもよい。
【0048】
また上述したカバー部21の断面が半円形状となるような形状の場合でも、第一、第二及び第三の姿勢のときに、蒸気管4,4Bの開口部10,10Bは、内部空間2Kの気相内に配置され、液管5,5Bの開口部11,11Bは、内部空間2Kの液相内に配置されている構成であれば同様の効果が得られる。
【0049】
さらに、上述した各実施形態においては、蒸気管4,4Bおよび液管5,5Bが、蒸発器2,2Bに対して、凝縮器3,3Bに近い側から貫通する場合を一例に説明した。しかし、開口部10および開口部11の配置関係、開口部10Bおよび11Bの配置関係が、上述した配置関係になっていればよく、蒸発器2,2Bに対して蒸気管4,4Bおよび液管5,5Bが貫通する位置は、上述した位置に限られない。
【0050】
さらに、例えば、上述した第三実施形態においては、4つの発熱体H1〜H4を冷却する場合について説明したが、冷却対象の発熱体は複数であればよく4つに限られない。
すなわち3つ以下の発熱体を冷却したり、5つ以上の発熱体を冷却したりするようにしても良い。さらに、複数の発熱体が直列に並べて配置される場合について説明したが、発熱体の配列は、直列に限られない。例えば、複数の発熱体を並列に配置したり、直列と並列との組み合わせにより配列したりしても良い。
【0051】
この出願は、2016年3月31日に日本出願された特願2016−072859号を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明によれば、冷却性能を低下させることなく、蒸発器の設置自由度を向上することができる。
【符号の説明】
【0053】
1,1B 冷却装置
2 蒸発器
2a 第一の面
2B 蒸発器
2K 内部空間(熱媒体収容空間)
3,3B 凝縮器
4 蒸気管
4a 第一端部
4b 第二端部
4B 蒸気管
4B1〜4B3 部分
4Ba 第一端部
4Bb 第二端部
5 液管
5a 第一端部
5b 第二端部
5B 液管
5B1,5B2 部分
5Ba 第一端部
5Bb 第二端部
6,6B 熱媒体
10,10B 開口部
11,11B 開口部
20 主板部
21 カバー部
22 側壁部
22a 第一側壁部
23 主壁部
A 第一の方向
B 第二の方向
C 第三の方向
C1 中心点
F 放熱フィン
H,H1〜H4 発熱体
L1,L2 液面レベル
O1 第一軸線
O2 第二軸線
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9