特許第6862319号(P6862319)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862319
(24)【登録日】2021年4月2日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】イオン交換器
(51)【国際特許分類】
   B01J 47/022 20170101AFI20210412BHJP
   F16K 17/28 20060101ALI20210412BHJP
   H01M 8/04 20160101ALI20210412BHJP
【FI】
   B01J47/022
   F16K17/28
   H01M8/04
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2017-173849(P2017-173849)
(22)【出願日】2017年9月11日
(65)【公開番号】特開2018-69226(P2018-69226A)
(43)【公開日】2018年5月10日
【審査請求日】2020年3月25日
(31)【優先権主張番号】特願2016-210460(P2016-210460)
(32)【優先日】2016年10月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大平 純子
(72)【発明者】
【氏名】秋山 忠史
【審査官】 関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−144347(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3097872(JP,U)
【文献】 特開平8−309158(JP,A)
【文献】 米国特許第05211851(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0237488(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04−8/0668
C02F 1/42
C02F 1/28
B01J 39/00−49/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷媒を流入させる流入口及び同冷媒を流出させる流出口が設けられているとともに上方に向けて開口しているハウジングと、
イオン交換樹脂を装填することが可能であって前記ハウジング内に上方に向けて取り外しできるように取り付けられているカートリッジと、
を備え、
前記ハウジング内を流れる前記冷媒が前記カートリッジに装填された前記イオン交換樹脂を通過する際に前記冷媒中のイオンをイオン交換によって取り除くイオン交換器において、
前記カートリッジは、前記ハウジング内であって前記流入口及び前記流出口よりも上部に位置して前記イオン交換樹脂を装填することが可能である第1ケース部と、前記ハウジング内であって前記流入口及び前記流出口よりも下部に位置して前記イオン交換樹脂を装填することが可能である第2ケース部と、を備えており、
前記第1ケース部には、前記ハウジングの前記流入口に繋がって前記冷媒を流入させる第1流入部、及び、同ハウジングの前記流出口に繋がって前記冷媒を流出させる第1流出部が設けられており、
前記第2ケース部には、前記ハウジングの前記流入口に繋がって前記冷媒を流入させる第2流入部、及び、同ハウジングの前記流出口に繋がって前記冷媒を流出させる第2流出部が設けられていることを特徴とするイオン交換器。
【請求項2】
前記カートリッジは、前記ハウジングの前記流入口と前記流出口とを繋ぐ管部を備えており、
前記管部における前記流入口と前記流出口との間の部分には、冷媒の流通面積が他の部分よりも小さい縮径部が形成されており、
前記第1ケース部の前記第1流入部は、前記管部における前記縮径部よりも前記流入口寄りの部分と同第1ケース部の下端とを繋ぐものであり、
前記第1ケース部の前記第1流出部は、前記第1ケース部内で上下方向に延びて前記管部における前記縮径部よりも前記流出口寄りの部分に繋がるチューブ部材の内部に形成されており、
前記第2ケース部の前記第2流入部は、前記第2ケース部の外壁と前記ハウジングの内壁との間に形成されているとともに、前記管部における前記縮径部よりも前記流入口寄りの部分と同第2ケース部の下端とを繋ぐものであり、
前記第2ケース部の前記第2流出部は、前記第2ケース部の上端と前記管部における前記縮径部よりも前記流出口寄りの部分とを繋ぐものである請求項1に記載のイオン交換器。
【請求項3】
前記第2ケース部の外壁は、同第2ケース部の上部に大径部を有する一方、その大径部に対し段差を挟んで同第2ケース部の下部に位置するとともに前記大径部よりも小径の小径部を有しており、その小径部と前記ハウジングの内壁との間に前記第2流入部を形成するものであり、
前記段差は、その上端が前記ハウジングの前記流入口に最も近くなる一方、下方に向うほど前記ハウジングの前記流入口から遠ざかる斜状に形成されている請求項2に記載のイオン交換器。
【請求項4】
前記管部の前記流入口と前記流出口との間の部分には、その部分における冷媒の流通面積を可変とすべく開閉動作する弁機構が設けられており、
前記縮径部は、前記弁機構によって実現されている請求項2又は3に記載のイオン交換器。
【請求項5】
前記弁機構は、前記管部を流れる冷媒の流量が閾値未満であるとき、同流量が前記閾値以上であるときと比較して、前記管部の前記流入口と前記流出口との間の部分における冷媒の流通面積が小さくなるよう動作するものである請求項4に記載のイオン交換器。
【請求項6】
前記弁機構は、前記管部を流れる冷媒の流量に応じて弾性変形する弁体を有するものであって、
前記弁体は、前記管部を流れる冷媒の流量が閾値未満であるとき、同流量が前記閾値以上であるときと比較して、前記管部の前記流入口と前記流出口との間の部分における冷媒の流通面積が小さくなるよう弾性変形する請求項5に記載のイオン交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に燃料電池を搭載する場合、発電時における燃料電池の温度上昇を抑制することを目的に、その燃料電池を冷却するための冷媒を流す冷却回路が設けられる。
こうした冷却回路においては、製造直後の新品時、同冷却回路内の冷媒に対し配管等からイオン(カチオン)が多く溶出して冷媒中のイオンの濃度が急速に高くなる。また、上記冷媒に対するイオンの溶出が時間の経過に従っておさまったとしても、燃料電池を冷媒によって冷却するときに冷媒中の成分が加熱分解され、それに伴ってイオン(アニオン)が発生して徐々に冷媒中のイオンの濃度が高くなる。
【0003】
上記冷却回路において、冷媒中に含まれるイオンの濃度が高くなると、それに伴い冷却回路における金属部分の腐食を招いたり、冷媒の電気電導率が上がって燃料電池の機能低下を招いたりするおそれがある。このため、冷却回路には、冷媒に含まれるイオンをイオン交換樹脂によるイオン交換を通じて取り除くイオン交換器が設けられる(特許文献1参照)。
【0004】
また、イオン交換器は、イオン交換樹脂を定期的に新しいものに取り替える必要があることから、イオン交換樹脂の取り替えを容易に行うことができる構造を有している。詳しくは、イオン交換器のハウジングは上方に向けて開口しており、同ハウジングには冷却回路の冷媒を流入させる流入口、及び、ハウジング内に流入した冷媒を冷却回路に流出させる流出口が設けられている。また、ハウジング内には、イオン交換樹脂を装填したカートリッジが、同ハウジングの開口から上方に向けて取り外しできるように取り付けられている。
【0005】
そして、冷却回路の冷媒が流入口を介してハウジング内に流れ込んで上記カートリッジのイオン交換樹脂を通過する際、その冷媒に含まれるイオンがイオン交換樹脂によるイオン交換を通じて取り除かれる。こうしてイオンが取り除かれた後の冷媒は、ハウジング内から上記流出口を介して冷却回路に流出する。また、上記イオン交換器におけるイオン交換樹脂の取り替えは、そのイオン交換樹脂をカートリッジごとハウジング内から上方に向けて取り外し、その後に新しいイオン交換樹脂が装填された別のカートリッジをハウジング内に上方から落とし込んで取り付けることによって行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4113715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、冷却回路の製造直後であって冷媒中のイオン濃度が高くなるときに冷媒からイオンを効果的に取り除くためには、イオン交換樹脂を多く装填できるように大型化したカートリッジをイオン交換器のハウジングに取り付けなければならない。ただし、車両等におけるイオン交換器(カートリッジ)の設置スペースの関係から、ハウジングに取り付けられるカートリッジを水平方向に大型化することには限界があり、同カートリッジを上下方向に大型化せざるを得ない。
【0008】
ハウジングに取り付けられる上記カートリッジが上下方向に大型化した場合、そのカートリッジに装填されたイオン交換樹脂を効果的に用いるためには、同イオン交換樹脂を冷媒が上下方向に通過するようにしなければならず、それによって冷媒がイオン交換樹脂を通過する際の同冷媒の流路長さが長くなる。その結果、冷媒がイオン交換樹脂を通過する際の圧力損失が増大する。
【0009】
本発明の目的は、カートリッジに装填されたイオン交換樹脂を冷媒が通過するときの圧力損失を小さく抑えることができるイオン交換器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するイオン交換器は、冷媒を流入させる流入口及び同冷媒を流出させる流出口が設けられているとともに上方に向けて開口しているハウジングと、イオン交換樹脂を装填することが可能であって前記ハウジング内に上方に向けて取り外しできるように取り付けられているカートリッジと、を備える。このイオン交換器は、ハウジング内を流れる冷媒がカートリッジに装填されたイオン交換樹脂を通過する際に冷媒中のイオンをイオン交換によって取り除く。上記イオン交換器のカートリッジは、ハウジング内であって上記流入口及び上記流出口よりも上部に位置してイオン交換樹脂を装填することが可能である第1ケース部と、ハウジング内であって上記流入口及び上記流出口よりも下部に位置してイオン交換樹脂を装填することが可能である第2ケース部と、を備える。上記第1ケース部には、ハウジングの上記流入口に繋がって冷媒を流入させる第1流入部、及び、同ハウジングの上記流出口に繋がって冷媒を流出させる第1流出部が設けられている。また、上記第2ケース部には、ハウジングの上記流入口に繋がって冷媒を流入させる第2流入部、及び、同ハウジングの上記流出口に繋がって冷媒を流出させる第2流出部が設けられている。
【0011】
上記構成によれば、流入口からハウジング内に流入した冷媒は、カートリッジにおける第1ケース部と第2ケース部とを個別に通過する。すなわち、流入口からハウジング内に流入した冷媒の一部は、第1流入部から第1ケース部内に流入して同第1ケース部内のイオン交換樹脂によるイオン交換を通じて冷媒中のイオンが取り除かれた後、第1流出部を介して第1ケース部外に流出し、更にハウジングの流出口を介して同ハウジング外に流出する。また、上記冷媒の流れとは別に、流入口からハウジング内に流入した冷媒の一部は、第2流入部から第2ケース部内に流入して同第2ケース部内のイオン交換樹脂によるイオン交換を通じて冷媒中のイオンが取り除かれた後、第2流出部を介して第2ケース部外に流出し、更にハウジングの流出口を介して同ハウジング外に流出する。このようにハウジング内(カートリッジ)における冷媒の流れとして、第1ケース部を通過する冷媒の流れと第2ケース部を通過する冷媒の流れとが別々に生じる。言い換えれば、カートリッジに装填されたイオン交換樹脂を冷媒が通過するときの同冷媒の流路が、第1ケース部側の流路と第2ケース部側の流路との二系統に分けられる。このため、二系統の流路のうちの一つ一つを短くすることができ、それぞれの流路を冷媒が通過するときの圧力損失を小さく抑えることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、カートリッジに装填されたイオン交換樹脂を冷媒が通過するときの圧力損失を小さく抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】イオン交換器が設けられる冷却回路の全体構成を示す略図。
図2】イオン交換器の構造を示す断面図。
図3】(a)は図2の管部を上方から見た状態を示す平面図、(b)は同管部を下方から見た状態を示す底面図、(c)は(a)の管部を矢印A−A方向から見た状態を示す断面図。
図4】(a)は第1ケース部を上方から見た状態を示す平面図、(b)は(a)の第1ケース部を矢印B−B方向から見た状態を示す断面図。
図5】(a)は第2ケース部を上方から見た状態を示す平面図。(b)は第2ケース部を水平方向から見た状態を示す側面図。
図6】イオン交換器の構造を示す断面図。
図7】カートリッジの第1ケース部、管部、及び第2ケース部を示す側面図。
図8】(a)は第2ケース部及び管部をハウジングの流入口側から見た状態を示す側面図、(b)は第2ケース部及び管部をハウジングの流出口側から見た状態を示す側面図。
図9】イオン交換器における管部内の通路であって、流入口と流出口との間の部分を示す概略図。
図10図9の調整弁を矢印C−C方向から見た状態を示す断面図。
図11】イオン交換器における管部内の通路であって、流入口と流出口との間の部分を示す概略図。
図12図11の調整弁を矢印D−D方向から見た状態を示す断面図。
図13】弁機構の他の例を示す略図。
図14】同弁機構を示す略図。
図15】弁機構の他の例を示す略図。
図16】同弁機構を示す略図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
[第1実施形態]
以下、イオン交換器の第1実施形態について、図1図5を参照して説明する。
図1に示すように、燃料電池1を搭載した車両には、その燃料電池1を冷却するための冷媒を流す冷却回路2が設けられている。なお、こうした冷媒としては、エチレングリコールを含有した冷却水(ロングライフクーラント)等が用いられる。そして、冷却回路2では、ポンプ3の駆動により冷媒が循環するようになっている。
【0015】
冷却回路2において、燃料電池1はポンプ3よりも下流側の部分に設けられており、同燃料電池1よりも下流側かつポンプ3よりも上流側の部分にはラジエータ4が設けられている。そして、発電時に温度上昇する燃料電池1は、冷却回路2を循環して燃料電池1を通過する冷却水によって冷却される。燃料電池1の熱を奪って温度上昇した冷媒は、ラジエータ4を通過する際に外気によって冷却され、その後にポンプ3に流れる。
【0016】
また、冷却回路2には、冷媒に含まれるイオンを取り除くためのイオン交換器5、及び、そのイオン交換器5に冷媒を流すためのバイパス配管6が設けられている。上記イオン交換器5はバイパス配管6の途中に設けられている。そして、バイパス配管6の一方の端部は、冷却回路2における燃料電池1よりも下流側かつラジエータ4よりも上流側の部分に接続されている。また、バイパス配管6のもう一方の端部は、冷却回路2におけるラジエータ4よりも下流側かつポンプ3よりも上流側の部分にバルブ7を介して接続されている。
【0017】
上記バルブ7は、燃料電池1を通過した冷媒をバイパス配管6(イオン交換器5)に流すか否かを定めるべく開閉動作する。詳しくは、バルブ7を閉じた状態のもとでは、上記冷媒がバイパス配管6に流れることなくラジエータ4側に流れる。一方、バルブ7を開くと、燃料電池1を通過した冷媒の一部がラジエータ4側に流れるのではなくバイパス配管6内に流れ込む。このようにバイパス配管6に流れ込んだ冷媒は、イオン交換器5を通過する際にイオンが除去され、その後に冷却回路2におけるラジエータ4よりも下流側かつポンプ3よりも上流側の部分に流れる。
【0018】
次に、イオン交換器5の構造について説明する。
図2に示すように、イオン交換器5は、上下方向に延びるとともに上方に向けて開口しているハウジング8を備えている。このハウジング8の上下方向中央部における図中の左右方向一方側(図中の左側)の部分には、バイパス配管6(図1)におけるイオン交換器5よりも上流側の部分に繋がってハウジング8内に冷媒を流入させる流入口9が形成されている。また、ハウジング8の上下方向中央部における図中の左右方向他方側(図2の右側)の部分には、ハウジング8内の冷媒を流出させる流出口10が形成されている。この流出口10は、バイパス配管6(図1)におけるイオン交換器5よりも下流側の部分と繋がっている。
【0019】
ハウジング8内には、イオン交換樹脂11,12を装填可能であるカートリッジ13が取り付けられている。上記イオン交換樹脂11,12としては、アニオン樹脂とカチオン樹脂とを所定の割合で配合したものが用いられる。また、カートリッジ13は、ハウジング8に対し、その開口から上方に向けて取り外すことが可能となっている。そして、イオン交換器5では、ハウジング8内を流れる冷媒がカートリッジ13に装填されたイオン交換樹脂11,12を通過する際、その冷媒中のイオンがイオン交換を通じて取り除かれるようになる。
【0020】
カートリッジ13は、ハウジング8内で流入口9と流出口10とを繋ぐよう水平方向に延びる通路16aが設けられた管部16を備えている。更に、カートリッジ13は、ハウジング8内であって流入口9及び流出口10よりも上部に位置してイオン交換樹脂11を装填することが可能である第1ケース部14と、ハウジング8内であって流入口9及び流出口10よりも下部に位置してイオン交換樹脂12を装填することが可能である第2ケース部15と、を備えている。これら第1ケース部14及び第2ケース部15はそれぞれ管部16の上面及び下面に対し固定されており、同管部16によって第1ケース部14と第2ケース部15とが隔てられている。
【0021】
図3において、(a)は図2の管部16を上方から見た状態を示しており、(b)は同管部16を下方から見た状態を示しており、(C)は(a)の管部16を矢印A−A方向から見た状態の断面を示している。図3(a)に示すように、管部16の中央部には同管部16の上面で開口する挿入孔17が形成されており、管部16における挿入孔17よりも左側の部分には同管部16の上面で開口する第1連通孔18が形成されている。また、図3(b)及び(c)に示すように、管部16における右側の部分には同管部16の下面で開口する第2連通孔19が形成されており、管部16における左端の部分には同管部16の下面で開口するスリット20が形成されている。
【0022】
図2に示すように、管部16の通路16aは、上述した挿入孔17、第1連通孔18、第2連通孔19、及びスリット20と連通している。通路16aにおける流入口9と流出口10との間の部分には、冷媒の流通面積が他の部分よりも小さい縮径部24が形成されている。そして、上記第1連通孔18は縮径部24よりも上記流入口9寄りの部分に位置しており、上記挿入孔17は縮径部24よりも上記流出口10寄りの部分に位置している。また、上記スリット20は縮径部24よりも上記流入口9寄りの部分であって同流入口9に隣接する部分に位置しており、上記第2連通孔19は縮径部24よりも上記流出口10寄りの部分に位置している。
【0023】
図4において、(a)は第1ケース部14を上方から見た状態を示しており、(b)は(a)の第1ケース部14を矢印B−B方向から見た状態を示している。第1ケース部14は、上下方向に延びる円筒状の外壁21と、その外壁21の内部で上下方向に延びるとともに同外壁21に支持されたチューブ部材22と、を備えている。チューブ部材22は外壁21の中心線に沿って延びており、その外壁21との間にはイオン交換樹脂11(図2)を装填することが可能となっている。外壁21の下側の開口部には冷媒を通過させることが可能なメッシュ23が設けられており、そのメッシュ23の中心部を上記チューブ部材22の下端部が貫通している。
【0024】
図2に示すように、第1ケース部14が管部16の上面に固定された状態では、チューブ部材22の下端部が管部16の挿入孔17に挿入されており、チューブ部材22の内部が管部16の通路16aにおける縮径部24よりも下流側の部分と連通している。更に、この状態のもとでは、第1ケース部14におけるメッシュ23と管部16の上面との間の部分が、第1ケース部14の下端(外壁21の下側の開口)と管部16の第1連通孔18とを繋ぐ第1流入部25となる。この第1流入部25は、管部16における第1連通孔18及び通路16aを介してハウジング8の流入口9に繋がっており、その流入口9から第1ケース部14(外壁21)内に冷媒を流入させるためのものである。
【0025】
第1ケース部14における外壁21の上端の開口には冷媒を通過させることが可能なメッシュ26が設けられており、そのメッシュ26の中心部をチューブ部材22の上端部が貫通している。外壁21の上端部には同外壁21の上端の開口を閉塞するキャップ27が固定されており、キャップ27の内側には上記チューブ部材22の上端が位置している。このチューブ部材22の内部は、管部16の通路16aを介してハウジング8の流出口10に繋がっており、第1ケース部14内の冷媒を流出させる第1流出部28となっている。また、キャップ27は、ハウジング8の上端部に対しボルト締結によって取り付けられており、そのボルト締結を解除することによってハウジング8の上端部から取り外すことが可能となっている。
【0026】
図5において、(a)は第2ケース部15を上方から見た状態を示しており、(b)は第2ケース部15を側方から見た状態を示している。第2ケース部15は、上下方向に延びる円筒状の外壁31を備えている。外壁31の外径は、ハウジング8(図2)の内径よりも僅かに小さい外径となっている。また、外壁21における図5(a)及び図5(b)の左端は、外壁31の上端から下端に亘って延びる平坦部33となっている。この外壁31の内側には、イオン交換樹脂12(図2)を装填することが可能となっている。また、外壁21の下側の開口部には冷媒を通過させることが可能なメッシュ32が設けられている一方、外壁21の上側の開口部には冷媒を通過させることが可能なメッシュ36が設けられている。
【0027】
図2に示すように、第2ケース部15が管部16の下面に固定された状態では、外壁31の上端が管部16の下面に当接することにより、外壁31の平坦部33とハウジング8の内壁との間の部分が管部16のスリット20に対応して位置して同スリット20と連通する。更に、第2ケース部15のメッシュ32とハウジング8の内側底面との間には隙間があり、その隙間に対し外壁31の平坦部33とハウジング8の内壁との間の部分が連通している。そして、第2ケース部15における外壁31の平坦部33とハウジング8の内壁との間の部分は、第2ケース部15(外壁31)内に冷媒を流入させる第2流入部34となっている。この第2流入部34は、管部16のスリット20及び通路16aを介してハウジング8の流入口9に繋がるとともに、メッシュ32とハウジング8の内側底面との間の隙間、及び同メッシュ32を介して第2ケース部15の外壁31における下端の開口に繋がっている。
【0028】
第2ケース部15が管部16の下面に固定された状態では、外壁31の上端が管部16の下面に当接することにより、第2ケース部15における外壁31の上端の開口が管部16のスリット20に対し遮断される一方、第2ケース部15の上端における管部16の下面との間の部分を介して同管部16の第2連通孔19と連通する。そして、第2ケース部15の上端における管部16の下面との間の部分は、管部16の第2連通孔19及び通路16aを介してハウジング8の流出口10に繋がっており、第2ケース部15(外壁31)内の冷媒を流出させる第2流出部35となっている。
【0029】
次に、イオン交換器5の作用について説明する。
製造直後であって新品の冷却回路2などにおいては、同冷却回路2内の冷媒に対し配管等からイオン(カチオン)が多く溶出して冷媒中のイオンの濃度が急速に高くなるおそれがある。従って、この場合にはイオン交換器5によって冷媒から効果的にイオンを取り除くため、第1ケース部14にイオン交換樹脂11を装填するとともに第2ケース部15にイオン交換樹脂12を装填したカートリッジ13が、イオン交換器5のハウジング8に取り付けられる。なお、この場合のイオン交換樹脂11,12におけるカチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂との配合割合は、上記イオンを冷媒から効果的に取り除くことが可能な割合とされている。
【0030】
上記イオン交換器5において、流入口9からハウジング8内に流入した冷媒は、カートリッジ13における管部16の通路16aに流入する。通路16a内の冷媒は、縮径部24を通過してハウジング8の流出口10から流出するものと、カートリッジ13における第1ケース部14もしくは第2ケース部15を通過した後にハウジング8の流出口10から流出するものとに分かれる。以下、通路16a内の冷媒のうち、第1ケース部14を通過する冷媒の流れ、及び、第2ケース部15を通過する冷媒の流れについて個別に述べる。
【0031】
通路16a内においては縮径部24よりも上流側の部分が同縮径部24よりも下流側の部分に対し高圧となるため、第1ケース部14においても第1流出部28側よりも第1流入部25側の方が高圧となり、そうした圧力差を通じて通路16a内の冷媒の一部が第1ケース部14を通過する。詳しくは、上記冷媒が第1流入部25から第1ケース部14内(外壁21の下端)に流入してイオン交換樹脂11を下から上に向けて通過し、その際にイオン交換樹脂11によるイオン交換を通じて冷媒中のイオンが取り除かれる。そして、イオンが取り除かれた後の冷媒は、第1流出部28を介して第1ケース部14外(通路16a)に流出し、更にハウジング8の流出口10を介して同ハウジング8外に流出する。
【0032】
また、通路16a内において縮径部24よりも上流側の部分が同縮径部24よりも下流側の部分に対し高圧となるため、第2ケース部15においても第2流出部35側よりも第2流入部34側の方が高圧となり、そうした圧力差を通じて通路16a内の冷媒の一部が第2ケース部15を通過する。詳しくは、上記冷媒が第2流入部34から第2ケース部15内(外壁31の下端)に流入してイオン交換樹脂12を下から上に向けて通過し、その際にイオン交換樹脂12によるイオン交換を通じて冷媒中のイオンが取り除かれる。そして、イオンが取り除かれた後の冷媒は、第2流出部35を介して第2ケース部15外(通路16a)に流出し、更にハウジング8の流出口10を介して同ハウジング8外に流出する。
【0033】
このようにハウジング8内におけるイオン交換樹脂11,12を通過する冷媒の流れ、すなわちカートリッジ13における冷媒の流れとして、第1ケース部14(イオン交換樹脂11)を通過する冷媒の流れと第2ケース部15(イオン交換樹脂12)を通過する冷媒の流れとが別々に生じる。言い換えれば、カートリッジ13に装填されたイオン交換樹脂11,12を冷媒が通過するときの同冷媒の流路が、第1ケース部14側の流路と第2ケース部15側の流路との二系統に分けられる。このため、二系統の流路のうちの一つ一つを短くすることができ、それぞれの流路を冷媒が通過するときの圧力損失を小さく抑えることができる。
【0034】
イオン交換器5のイオン交換樹脂11,12を新しいものに取り替える際には、カートリッジ13ごと新しいものに取り替えられる。すなわち、ハウジング8の上端部に対するキャップ27のボルト締結を解除し、その状態でカートリッジ13をハウジング8内から上方に向けて取り外す。その後、新しいイオン交換樹脂11,12が装填された別のカートリッジ13をハウジング8内に上方から落とし込み、キャップ27をハウジング8に対しボルト締結することにより、上記カートリッジ13がハウジング8内に取り付けられる。
【0035】
ちなみに、イオン交換器5のカートリッジ13を新しいものに交換する際、冷却回路2の製造直後から時間が経過して冷媒中のイオン濃度が徐々にしか高くならないなど、同冷媒からイオンを効果的に取り除く必要がない状況であれば、第1ケース部14のみにイオン交換樹脂11を装填したカートリッジ13がハウジング8に対し取り付けられる。この場合、第1ケース部14に装填されたイオン交換樹脂11だけで冷媒から十分にイオンを取り除くことができ、カートリッジ13に装填されるイオン交換樹脂の量が冷媒からイオンを取り除くうえで過剰になることはない。なお、このときのカートリッジ13としては、管部16におけるスリット20と第2連通孔19との少なくとも一方を塞ぐとともに、そうした状態のもとで第1ケース部14内を冷媒が適正流量で流れるよう縮径部24における冷媒の流通面積が調整されたものとすることが好ましい。
【0036】
以上詳述した本実施形態によれば、以下に示す効果が得られるようになる。
(1)冷媒からイオンを効果的に取り除くべく第1ケース部14及び第2ケース部15にイオン交換樹脂11,12を装填したカートリッジ13をハウジング8に取り付けた場合、イオン交換樹脂11,12を冷媒が通過するときの同冷媒の流路が第1ケース部14側の流路と第2ケース部15側の流路との二系統に分けられて一つ一つの流路が短くなる。このため、各流路を冷媒が通過するときの圧力損失を小さく抑えることができる。
【0037】
(2)冷媒からイオンを効果的に取り除く必要がない状況であるときには、第1ケース部14のみにイオン交換樹脂11が装填されたカートリッジ13を用いることにより、同カートリッジ13に装填されたイオン交換樹脂の量が冷媒からイオンを取り除くうえで過剰になることを抑制できる。
【0038】
(3)冷媒が第1ケース部14を通過する際、冷媒は管部16の通路16aから第1流入部25を介して第1ケース部14の下端に流入し、同第1ケース部14内を上に向けて流れた後、チューブ部材22の上端及びその内部(第1流出部28)を介して第1ケース部14から流出する。従って、第1ケース部14内を下から上に通過する冷媒と同第1ケース部14内に装填されたイオン交換樹脂11とを効率よく接触させることができ、そのイオン交換樹脂11によるイオン交換を通じて冷媒からイオンを効率よく取り除くことができる。
【0039】
(4)冷媒が第2ケース部15を通過する際、冷媒は管部16の通路16aから第2流入部34を介して第2ケース部15の下端に流入し、同第2ケース部15内を上に向けて流れた後に第2流出部35を介して第2ケース部15から流出する。従って、第2ケース部15内を下から上に通過する冷媒と同第2ケース部15内に装填されたイオン交換樹脂12とを効率よく接触させることができ、そのイオン交換樹脂12によるイオン交換を通じて冷媒からイオンを効率よく取り除くことができる。
【0040】
[第2実施形態]
次に、イオン交換器の第2実施形態について図6図8を参照して説明する。
図6に示すように、この実施形態のイオン交換器5では、カートリッジ13における管部16と第2ケース部15とが一体化されている点が第1実施形態と異なっているとともに、第2ケース部15における外壁31の外周面の形状が第1実施形態とは異なっている。
【0041】
図7に示すように、第2ケース部15の外壁31は、第2ケース部15の上部に大径部31aを有する一方、その大径部31aに対し段差31bを挟んで同第2ケース部15の下部に位置する小径部31cを有している。この小径部31cの外径(外周面の径)は、大径部31aの外径(外周面の径)よりも小さくされている。そして、この小径部31cの外周面と図6に示すハウジング8の内壁との間には、第2流入部34が形成されている。
【0042】
図8において、(a)は第2ケース部15及び管部16をハウジング8(図6)の流入口9側から見た状態を示しており、(b)は第2ケース部15及び管部16をハウジング8の流出口10側から見た状態を示している。図8及び図7から分かるように、上記段差31bは、その上端がハウジング8の流入口9に最も近くなる一方、下方に向うほどハウジング8の流入口9から遠ざかる斜状に形成されている。
【0043】
次に、本実施形態におけるイオン交換器5の作用効果について説明する。
(5)図2に示す第1実施形態のイオン交換器5では、第2流入部34が管部16における流入口9寄りの部分から真っ直ぐ下に延びてメッシュ32とハウジング8の内側底面との間の隙間に繋がっているため、冷媒が上記第2流入部34を介して第2ケース部15の下端(上記隙間)に達したときの位置が上記流入口9寄りに偏る。このため、第2ケース部15の下端から同第2ケース部15内に冷媒が流入した後、第2ケース部15内(イオン交換樹脂12)を冷媒が下から上に流れる際の同冷媒の流量に第2ケース部15内の水平方向の位置に応じた偏りが生じる。その結果、第2ケース部15内のイオン交換樹脂12を通過する冷媒から効率よくイオンを取り除くことが難しくなる。
【0044】
しかし、本実施形態のイオン交換器5では、管部16から第2流入部34に流入した冷媒が同第2流入部34を通って第2ケース部15の下端に向う際、図8及び図7に示す斜状の段差31bにより案内されて水平方向においてハウジング8の流出口10寄りに広がりながら第2ケース部15の下端に向って同下端に到達する。従って、冷媒が上記第2流入部34を介して第2ケース部15の下端に達したときの位置が上記流入口9寄りに偏ることを抑制でき、第2ケース部15の下端から同第2ケース部15内に冷媒が流入して上に流れる際、同冷媒の流量に第2ケース部15内の水平方向の位置に応じた偏りが生じにくくなる。その結果、第2ケース部15内のイオン交換樹脂12を冷媒が通過するとき、その冷媒からイオンを効率よく取り除くことができる。
【0045】
[第3実施形態]
次に、イオン交換器の第3実施形態について図9図12を参照して説明する。
図9は、この実施形態のイオン交換器5における管部16内の通路16aであって、流入口9と流出口10との間の部分を概略的に示している。図9に示されるように、管部16内の通路16aにおける上記部分には、同部分における冷媒の流通面積を可変とすべく開閉動作する弁機構41が設けられている。この弁機構41は、通路16aの内周面から管部16の中心線に向けて突出する円環状のフランジ42と、そのフランジ42の中央部を管部16における上流側(図9の左側)から下流側(図9の右側)に貫通する調整弁43と、を備えている。
【0046】
調整弁43は、ゴム等の弾性を有する材料で形成されている。この調整弁43は、上記フランジ42の中央部を貫通する円筒状の胴部44と、その胴部44における外周面の上流端(左端)に管部16の内周面に向けて突出するように形成された突部45と、を備えている。上記胴部44の下流端(右端)は、フランジ42から下流側に突出しており、下流側に向かうほど外径が縮小するテーパ状に形成されている。従って、胴部44における下流端の開口面積は、上流側の開口面積よりも小さくなっている。
【0047】
図10は、図9の調整弁43を矢印C−C方向から見た状態を示している。図10から分かるように、胴部44における下流側の端部であって上述したようにテーパ状に形成された部分には、胴部44の周方向に等間隔をおいて胴部44の中心線に向けて延びる複数の切れ目46が形成されている。そして、胴部44における下流側の端部であって上述したようにテーパ状に形成された部分は、上記複数の切れ目46により、胴部44における下流側の開口部分を周方向に囲む複数の弁体47に分割されている。なお、調整弁43(弁機構41)の胴部44における下流側の開口部分、すなわち複数の弁体47で囲まれた部分は、冷媒の流通面積が管部16における他の部分よりも小さい縮径部としての役割を担っている。
【0048】
胴部44における下流側の開口部分を周方向に囲む複数の弁体47は、弾性を有しているため、胴部44(管部16)内を冷媒が通過するとき、その冷媒の流量が多くなるほど胴部44における下流端の開口面積(冷媒の流通面積)が大きくなるよう弾性変形する。ちなみに、図11及び図12は、胴部44の各弁体47が弾性変形することにより、胴部44における下流端の冷媒の流通面積が大きくなっている状態を示している。なお、図12は、図11の調整弁43を矢印D−D方向から見た状態を示している。
【0049】
調整弁43(弁機構41)は、胴部44(管部16)を流れる冷媒の流量に応じた各弁体47の弾性変形を通じて、管部16を流れる冷媒の流量が閾値未満という小流量時には、同流量が上記閾値以上であるという大流量時と比較して、胴部44における下流端の冷媒の流通面積を小さくする。これにより、管部16内の通路16aを流れる冷媒の流量が閾値未満という小流量時であっても、通路16aにおける調整弁43の上流側と下流側との圧力差が小さくなることは抑制される。
【0050】
次に、本実施形態におけるイオン交換器5の作用について説明する。
イオン交換器5において、第1ケース部14内のイオン交換樹脂11を通過する冷媒の流量、及び、第2ケース部15内のイオン交換樹脂12を通過する冷媒の流量は、管部16内の通路16aにおける調整弁43の上流側と下流側との圧力差に応じて変わる。詳しくは、上記圧力差が大きくなるほど、第1ケース部14内のイオン交換樹脂11を通過する冷媒の流量、及び、第2ケース部15内のイオン交換樹脂12を通過する冷媒の流量が多くなる。一方、上記圧力差が小さくなるほど、第1ケース部14内のイオン交換樹脂11を通過する冷媒の流量、及び、第2ケース部15内のイオン交換樹脂12を通過する冷媒の流量が少なくなる。
【0051】
また、管部16内の通路16aにおける調整弁43の上流側と下流側との圧力差は、通路16a内を通過する冷媒の流量から影響を受ける。すなわち、調整弁43における胴部44の下流端の開口面積(冷媒の流通面積)を一定とした条件のもとでは、上記通路16a内を通過する冷媒の流量が多くなるほど上記圧力差が大きくなる一方、同冷媒の流量が少なくなるほど上記圧力差が小さくなる。従って、管部16内の通路16aを通過する冷媒の流量が閾値未満という小流量時、通路16aにおける調整弁43の上流側と下流側との圧力差が小さくなると、第1ケース部14内のイオン交換樹脂11を通過する冷媒の流量、及び、第2ケース部15内のイオン交換樹脂12を通過する冷媒の流量が少なくなる。その結果、それらイオン交換樹脂11,12でのイオン交換を通じて冷媒からイオンを取り除く効率が低下するおそれがある。
【0052】
しかし、調整弁43(弁機構41)においては、管部16内の通路16aを流れる冷媒の流量が閾値未満という小流量時、同流量が上記閾値以上であるという大流量時と比較して、胴部44における下流端の冷媒の流通面積が小さくなるよう、各弁体47が弾性変形する。このため、管部16内の通路16aを流れる冷媒の流量が閾値未満という小流量時であっても、通路16aにおける調整弁43の上流側と下流側との圧力差が小さくなることは抑制される。その結果、第1ケース部14内のイオン交換樹脂11を通過する冷媒の流量、及び、第2ケース部15内のイオン交換樹脂12を通過する冷媒の流量が少なくなることを抑制でき、ひいてはイオン交換樹脂11,12でのイオン交換を通じて冷媒からイオンを取り除く効率が低下することを抑制できるようになる。
【0053】
以上詳述した本実施形態によれば、第1及び第2実施形態の効果に加え、以下に示す効果が得られるようになる。
(6)管部16内の通路16aを流れる冷媒の流量の小流量時、第1ケース部14内のイオン交換樹脂11を通過する冷媒の流量、及び、第2ケース部15内のイオン交換樹脂12を通過する冷媒の流量が少なくなることを抑制でき、イオン交換樹脂11,12でのイオン交換を通じて冷媒からイオンを取り除く効率が低下することを抑制できる。
【0054】
[その他の実施形態]
なお、上記各実施形態は、例えば以下のように変更することもできる。
・イオン交換器5のハウジング8は、鉛直方向に対し管部16の中心線周りに傾いていてもよい。
【0055】
・第1及び第2実施形態において、冷媒からイオンを効果的に取り除く必要がない状況のとき、第2ケース部15のみにイオン交換樹脂12を装填したカートリッジ13をハウジング8に対し取り付けるようにしてもよい。なお、このときのカートリッジ13としては、管部16における第1連通孔18と挿入孔17との少なくとも一方を塞ぐとともに、そうした状態のもとで第2ケース部15内を冷媒が適正流量で流れるよう縮径部24における冷媒の流通面積が調整されたものとすることが好ましい。
【0056】
・第2実施形態において、管部16と第2ケース部15とは第1実施形態のように分割されていてもよい。
・第3実施形態において、弁機構41の代わりに図13及び図14に示す弁機構51を設けてもよい。この弁機構51は、軸52を中心に回動して管部16における通路16aの冷媒の流通面積を可変とすべく開閉動作する板状の弁体53と、その弁体53を閉じる方向(冷媒の流通面積を小さくする方向)に付勢するばね54と、を備えている。この場合、管部16内の通路16aにおける弁体53によって冷媒の流通面積が可変とされる部分が、管部16における他の部分よりも小さい縮径部として機能する。この構成によれば、管部16を流れる冷媒の流量が閾値未満という小流量時(図13)には、同流量が上記閾値以上であるという大流量時(図14)と比較して、通路16aにおける冷媒の流通面積が弁機構51の弁体53の動作を通じて小さくされる。
【0057】
図13及び図14に示す弁機構51において、ばね54の代わりに磁石によって弁体53を閉じる方向(冷媒の流通面積を小さくする方向)に付勢するようにしてもよい。この場合、図15及び図16に示すように、弁体53に磁石55を設ける一方で管部16に上記磁石55に対し反発する磁石56を設ける。これにより、弁体53は、磁石55と磁石56との反発力により、管部16における通路16aの冷媒の流通面積を小さくする方向に付勢される。この構成によれば、管部16を流れる冷媒の流量が閾値未満という小流量時(図15)には、同流量が上記閾値以上であるという大流量時(図16)と比較して、通路16aにおける冷媒の流通面積が弁機構51の弁体53の動作を通じて小さくされる。
【0058】
・第3実施形態において、調整弁43の代わりにバタフライバルブ及びピストンバルブといったバルブを設け、そうしたバルブの開度制御を通じて管部16内の通路16aにおける冷媒の流通面積を可変とするようにしてもよい。この場合、通路16a内の冷媒の流量をセンサによって検出したりポンプ3の駆動状態等から推定したりし、その流量が閾値未満であるときに同流量が閾値以上であるときと比較して上記バルブの開度が小さくなるよう同バルブの開度制御を行う。
【符号の説明】
【0059】
1…燃料電池、2…冷却回路、3…ポンプ、4…ラジエータ、5…イオン交換器、6…バイパス配管、7…バルブ、8…ハウジング、9…流入口、10…流出口、11…イオン交換樹脂、12…イオン交換樹脂、13…カートリッジ、14…第1ケース部、15…第2ケース部、16…管部、16a…通路、17…挿入孔、18…第1連通孔、19…第2連通孔、20…スリット、21…外壁、22…チューブ部材、23…メッシュ、24…縮径部、25…第1流入部、26…メッシュ、27…キャップ、28…第1流出部、31…外壁、31a…大径部、31b…段差、31c…小径部、32…メッシュ、33…平坦部、34…第2流入部、35…第2流出部、36…メッシュ、41…弁機構、42…フランジ、43…調整弁、44…胴部、45…突部、46…切れ目、47…弁体、51…弁機構、52…軸、53…弁体、54…ばね、55…磁石、56…磁石。
図1
図2
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