特許第6862732号(P6862732)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6862732検出装置、検出方法、蓄電システムおよびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862732
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】検出装置、検出方法、蓄電システムおよびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/3842 20190101AFI20210412BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20210412BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20210412BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   G01R31/3842
   H01M10/48 P
   H02J7/00 Q
   H02J7/10 B
   H02J7/10 H
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2016-181841(P2016-181841)
(22)【出願日】2016年9月16日
(65)【公開番号】特開2018-44928(P2018-44928A)
(43)【公開日】2018年3月22日
【審査請求日】2019年8月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】仲松 弥
(72)【発明者】
【氏名】長野 洋幸
【審査官】 川瀬 正巳
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−257411(JP,A)
【文献】 特開2008−067523(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/3842
H01M 10/48
H02J 7/00
H02J 7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された複数の蓄電池に定電流定電圧充電を行う際、前記複数の蓄電池の電圧値および該複数の蓄電池へ流れる電流値それぞれを所定の時間間隔で測定する監視部と、
前記複数の蓄電池のうち、前記監視部が測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定された該所定の蓄電池の電圧値とそのときに前記監視部が測定した電流値と所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出し、該算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、前記抵抗値が増加しているか否かを判定する判定部とを有し、
前記判定部は、前記所定の蓄電池の電圧値が所定の期間に測定された値であると判定された電圧値から前記比較電圧値を差し引いた値を、該電圧値を測定したときに前記監視部が測定した電流値から前記比較電流値を差し引いた値で除算した値を前記抵抗値として算出する検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検出装置において、
前記比較電圧値は、前記所定の蓄電池の電流値が前記比較電流値以下となったときに測定された該所定の蓄電池の電圧値である検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の検出装置において、
前記判定部は、前記算出した抵抗値が前記抵抗閾値よりも大きな値である場合、前記抵抗値が増加していると判定する検出装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の検出装置において、
前記所定の蓄電池は、前記複数の蓄電池のうち、前記監視部が測定した電圧値が最大である蓄電池である検出装置。
【請求項5】
請求項1からのいずれか1項に記載の検出装置において、
前記所定の期間は、前記所定の蓄電池の電圧値が最大値となる点を含む期間である検出装置。
【請求項6】
直列に接続された複数の蓄電池に定電流定電圧充電を行う際、前記複数の蓄電池の電圧値および該複数の蓄電池へ流れる電流値それぞれを所定の時間間隔で測定する処理と、
前記複数の蓄電池のうち、前記測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定された該所定の蓄電池の電圧値とそのときに測定した電流値と所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出する処理と、
前記算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、前記抵抗値が増加しているか否かを判定する判定処理とを行い、
前記判定処理は、前記所定の蓄電池の電圧値が所定の期間に測定された値であると判定された電圧値から前記比較電圧値を差し引いた値を、該電圧値を測定したときに前記測定した電流値から前記比較電流値を差し引いた値で除算した値を前記抵抗値として算出する検出方法。
【請求項7】
直列に接続された複数の蓄電池と、
前記複数の蓄電池の抵抗値を検出する検出装置とを有し、
前記検出装置は、
前記複数の蓄電池に定電流定電圧充電を行う際、前記複数の蓄電池の電圧値および該複数の蓄電池へ流れる電流値それぞれを所定の時間間隔で測定する監視部と、
前記複数の蓄電池のうち、前記監視部が測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定された該所定の蓄電池の電圧値とそのときに前記監視部が測定した電流値と所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて前記抵抗値を算出し、該算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、前記抵抗値が増加しているか否かを判定する判定部とを有し、
前記判定部は、前記所定の蓄電池の電圧値が所定の期間に測定された値であると判定された電圧値から前記比較電圧値を差し引いた値を、該電圧値を測定したときに前記監視部が測定した電流値から前記比較電流値を差し引いた値で除算した値を前記抵抗値として算出する蓄電システム。
【請求項8】
コンピュータに、
直列に接続された複数の蓄電池に定電流定電圧充電を行う際、前記複数の蓄電池の電圧値および該複数の蓄電池へ流れる電流値それぞれを所定の時間間隔で測定する手順と、
前記複数の蓄電池のうち、前記測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定された該所定の蓄電池の電圧値とそのときに測定した電流値と所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出する手順と、
前記算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、前記抵抗値が増加しているか否かを判定する判定手順とを実行させるためのものであり、
前記判定手順は、前記所定の蓄電池の電圧値が所定の期間に測定された値であると判定された電圧値から前記比較電圧値を差し引いた値を、該電圧値を測定したときに前記測定した電流値から前記比較電流値を差し引いた値で除算した値を前記抵抗値として算出するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、検出方法、蓄電システムおよびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の蓄電池を具備した蓄電システムにおいて、蓄電池の電圧測定回路内の抵抗値が増加することを原因として、システム停止や容量の低下が生じることがある。その抵抗値の増加を、定電流定電圧(CC−CV)充電時の電圧値を用いて検出する方法が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載の検出方法では、CC充電時の電圧上昇速度があらかじめ設定された基準値よりも大きく、CV充電後の開回路電圧値があらかじめ設定された基準値よりも小さな場合に抵抗値の増加を判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−257411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されたような方法では、充電開始時から充電終了後まで抵抗値の測定が必要となる。さらに、充電終了後の開回路電圧の測定も必要となり、長い期間における測定が必要となってしまうという問題点がある。さらに、抵抗値の増加を判定するタイミングが充電終了時以降に限定されるため、充電中に過充電の誤検出等の不具合が生じても、それを充電中に検出することはできないという問題点がある。
【0005】
本発明の目的は、上述した課題を解決する検出装置、検出方法、蓄電システムおよびプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の検出装置は、
複数の蓄電池に定電流定電圧充電を行う際、前記複数の蓄電池の電圧値および該複数の蓄電池へ流れる電流値それぞれを所定の時間間隔で測定する監視部と、
前記複数の蓄電池のうち、前記監視部が測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定された該所定の蓄電池の電圧値とそのときに前記監視部が測定した電流値と所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出し、該算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、前記抵抗値が増加しているか否かを判定する判定部とを有する。
また、本発明の検出方法は、
複数の蓄電池に定電流定電圧充電を行う際、前記複数の蓄電池の電圧値および該複数の蓄電池へ流れる電流値それぞれを所定の時間間隔で測定する処理と、
前記複数の蓄電池のうち、前記測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定された該所定の蓄電池の電圧値とそのときに測定した電流値と所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出する処理と、
前記算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、前記抵抗値が増加しているか否かを判定する処理とを行う。
また、本発明の蓄電システムは、
複数の蓄電池と、
前記複数の蓄電池の抵抗値を検出する検出装置とを有し、
前記検出装置は、
前記複数の蓄電池に定電流定電圧充電を行う際、前記複数の蓄電池の電圧値および該複数の蓄電池へ流れる電流値それぞれを所定の時間間隔で測定する監視部と、
前記複数の蓄電池のうち、前記監視部が測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定された該所定の蓄電池の電圧値とそのときに前記監視部が測定した電流値と所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて前記抵抗値を算出し、該算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、前記抵抗値が増加しているか否かを判定する判定部とを有する。
また、本発明のプログラムは、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
複数の蓄電池に定電流定電圧充電を行う際、前記複数の蓄電池の電圧値および該複数の蓄電池へ流れる電流値それぞれを所定の時間間隔で測定する手順と、
前記複数の蓄電池のうち、前記測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定された該所定の蓄電池の電圧値とそのときに測定した電流値と所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出する手順と、
前記算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、前記抵抗値が増加しているか否かを判定する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように、本発明においては、充電中の短い期間に測定した測定値を用いて抵抗値の増加を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の検出装置を用いた蓄電システムの第1の実施の形態を示す図である。
図2図1に示した検出装置の内部構成の一例を示す図である。
図3図1に示した蓄電システムにおける抵抗値増加の検出方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の検出装置を用いた蓄電システムの第2の実施の形態を示す図である。
図5図4に示した検出装置の内部構成の一例を示す図である。
図6】正常時における、定電流定電圧充電を行っている蓄電池の電圧値および電流値の時間的変化の一例を示す図である。
図7】抵抗値増加が生じた場合の、定電流定電圧充電を行っている蓄電池の電圧値および電流値の時間的変化の一例を示す図である。
図8図5に示した判定部における抵抗値の算出方法を説明するための図である。
図9図4に示した蓄電システムにおける抵抗値増加の検出方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0010】
本発明を適用する蓄電システムは、複数の蓄電モジュールが、少なくとも一部が直列に接続された構成を有する。また、蓄電システムを構成する各蓄電モジュールは、1以上の蓄電池(電池セル)から構成されるものである。
(第1の実施の形態)
【0011】
図1は、本発明の検出装置を用いた蓄電システムの第1の実施の形態を示す図である。
本形態は図1に示すように、検出装置100と、複数の蓄電池200−1〜200−3とを有している。なお、図1には、蓄電池200−1〜200−3が3つである場合を例に挙げて示しているが、この数に限らない。
【0012】
蓄電池200−1〜200−3は、充電および放電可能な二次電池である。検出装置100は、蓄電池201−0〜200−3の電圧値および蓄電池201−0〜200−3に流れる電流値を測定する。なお、蓄電池200−1〜200−3それぞれの内部に、自身の電圧値および電流値を測定する機構が設けられている場合、検出装置100は、それらの測定値を取得する。
【0013】
図2は、図1に示した検出装置100の内部構成の一例を示す図である。図1に示した検出装置100は図2に示すように、監視部110と、判定部120とを有している。なお、図2には、図1に示した検出装置100が具備する構成要素のうち、本実施の形態に関わる主要な構成要素の一例を示す。
【0014】
監視部110は、蓄電池200−1〜200−3に定電流定電圧充電を行う際、蓄電池200−1〜200−3の電圧値それぞれを所定の時間間隔で測定または取得する。また、監視部110は、蓄電池200−1〜200−3に定電流定電圧充電を行う際、蓄電池201−1〜201−3に流れる電流値を、電圧値の測定または取得のタイミングと同じタイミングで測定または取得する。このとき、監視部110は、蓄電池200−1〜200−3から構成される蓄電システム全体における電流値を、電圧値の測定または取得のタイミングと同じタイミングで測定または取得するものであっても良い。
判定部120は、蓄電池200−1〜200−3のうち、監視部110が測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定されたその所定の蓄電池の電圧値と、そのときに監視部110が測定した電流値と、所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出する。判定部120は、算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、抵抗値が増加しているか否かを判定する。例えば、判定部120は、蓄電池200−1〜200−3のうち、所定の蓄電池の電圧値がその所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間に測定された値であるかどうかを判定しても良い。具体的に、判定部120は、所定の蓄電池の電圧値が所定の期間に測定された値であるか否かの判定に際して、電圧値の変化量の大きさに基づいて判定しても良いし、電圧値の変化を関数でフィッティングすることにより判定しても良い。判定部120は、所定の蓄電池の電圧値が所定の期間に測定された値である場合、その電圧値とそのときに監視部110が測定した電流値と、所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出する。
【0015】
以下に、図1に示した蓄電システムにおける抵抗値増加の検出方法について説明する。図3は、図1に示した蓄電システムにおける抵抗値増加の検出方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0016】
まず、蓄電池200−1〜200−3に対して定電流定電圧充電を開始する(ステップS1)。すると、監視部110は、蓄電池200−1〜200−3の電圧値それぞれを、また蓄電池200−1〜200−3に流れる電流値を所定の時間間隔で測定する(ステップS2)。
続いて、判定部120は、蓄電池200−1〜200−3のうち、監視部110が測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間に測定された値であるかどうかを判定する(ステップS3)。所定の蓄電池の電圧値が所定の期間に測定された値である場合、判定部120は、その電圧値とそのときに監視部110が測定した電流値と、所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出する(ステップS4)。続いて、判定部120は、算出した抵抗値とあらかじめ設定された抵抗閾値とに基づいて、抵抗値が増加しているか否かを判定する(ステップS5)。
【0017】
このように、監視部が測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定されたその所定の蓄電池の電圧値および電流値と、所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出し、その抵抗値と所定の抵抗閾値とを比較して、抵抗値が増加しているかどうかを判定する。そのため、充電中の短い期間に測定した測定値を用いて抵抗値の増加を検出することができる。
(第2の実施の形態)
【0018】
図4は、本発明の検出装置を用いた蓄電システムの第2の実施の形態を示す図である。
本形態は図4に示すように、検出装置101と、複数の蓄電池201−1〜201−3とを有している。なお、図4には、蓄電池201−1〜201−3が3つである場合を例に挙げて示しているが、この数に限らない。
【0019】
蓄電池201−1〜201−3は、充電および放電可能な二次電池である。検出装置101は、蓄電池201−1〜201−3の電圧値および蓄電池201−1〜201−3に流れる電流値を測定する。なお、蓄電池201−1〜201−3それぞれの内部に、自身の電圧値および電流値を測定する機構が設けられている場合、検出装置101は、それらの測定値を取得する。
【0020】
図5は、図4に示した検出装置101の内部構成の一例を示す図である。図4に示した検出装置101は図5に示すように、監視部111と、判定部121と、記憶部131とを有している。なお、図5には、図4に示した検出装置101が具備する構成要素のうち、本実施の形態に関わる主要な構成要素の一例を示す。
【0021】
監視部111は、蓄電池201−1〜201−3に定電流定電圧充電を行う際、蓄電池202−1〜202−3の電圧値それぞれを所定の時間間隔で測定または取得する。また、監視部111は、蓄電池201−1〜201−3に定電流定電圧充電を行う際、蓄電池202−1〜202−3に流れる電流値を、電圧値の測定または取得のタイミングと同じタイミングで測定または取得する。このとき、監視部111は、蓄電池201−1〜201−3から構成される蓄電システム全体における電流値を、電圧値の測定または取得のタイミングと同じタイミングで測定または取得するものであっても良い。
記憶部131は、監視部111が測定または取得した電圧値と電流値とを対応付けて記憶する。このとき記憶部131は、それらの電圧値および電流値を監視部111が測定した時刻も対応付けて記憶するものであっても良い。また、記憶部131は、監視部111が測定または取得した電圧値および電流値をすべて記憶する必要はなく、判定部121が記憶部131に対して書き込みを行った電圧値および電流値を記憶すれば良い。
判定部121は、蓄電池201−1〜201−3のうち、監視部111が測定した電圧値が最大である蓄電池(最大蓄電池)の電圧値が所定の期間に測定された値であるかどうかを判定する。
ここで「所定の期間」とは、最大蓄電池の電圧値が最大値となる点を含む期間である。この「期間」は、蓄電システムの充電電流や充電レートなどに応じて設定される。この「期間」は、例えば、充電レートが0.3C、充電電流が10Aの蓄電システムでは、電圧値が最大値をとる時刻の前後3分間と設定されるものであっても良い。また、この「期間」は、この期間内のどの時刻に測定された電圧値および電流値を用いて抵抗値を算出しても、その抵抗値が、セル電圧値が最大値を記録する時刻に測定された電圧値および電流値を用いて算出した抵抗値と比べて大きく変化しないように設定される。例えば、セル電圧値が最大値を記録する時刻以降、セル電圧値とともに充電電流も減少するため、抵抗値の変化はセル電圧値が最大値を記録する時刻以前よりも小さい。そのため、電圧の最大値を記録する以降の時刻に関しては、より大きく範囲をとってもよい。例えば、充電レートが0.3C、充電電流が10Aの蓄電システムの場合では、期間はセル電圧値が最大値をとる時刻の前3分間および後10分間としても良い。
判定部121は、蓄電池201−1〜201−3のうち、監視部111が測定した電圧値が最大である蓄電池(最大蓄電池)の電圧値が所定の期間に測定された値である場合、その電圧値(Vcc)とそのときに監視部111が測定した電流値(Icc)とを記憶部131に書き込む。このとき、VccおよびIccは、最大蓄電池の電圧値が最大値となる点を含む期間に測定された電圧値および電流値であれば、どの電圧値および電流値であっても良い。その後、判定部121は、監視部111が測定した電流値があらかじめ設定された電流値(Icv:比較電流値)以下であるかどうかを判定する。判定部121は、最大蓄電池の電圧値が所定の期間に測定された値であるか否かの判定に際して、電圧値の変化量の大きさに基づいて判定しても良いし、電圧値の変化を関数でフィッティングすることにより判定しても良い。判定部121は、監視部111が測定した電流値がIcv以下である場合、監視部111がその電流値を測定したときに測定した電圧値(Vcv:比較電圧値)とVccとIcvとIcvとを用いて、最大蓄電池の抵抗値を算出する。この抵抗値の算出方法について、具体的に説明する。
【0022】
図6は、正常時における、定電流定電圧充電を行っている蓄電池の電圧値および電流値の時間的変化の一例を示す図である。図6に示すように、まず定電流充電が行われ、蓄電池の電圧値が一定の電圧値になると、定電圧充電が行われる。このとき、複数の充電池は互いに電圧値の差があるため、そのうち、電圧値が最大である最大蓄電池と、電圧値が最小である最小蓄電池とが存在する。図6では、最大蓄電池の電圧値を「最大セル電圧値」と示し、最小蓄電池の電圧値を「最小セル電圧値」と示す。抵抗値が増加した蓄電池の電圧は、充電時に電圧降下分の影響で大きくなる。そのため、蓄電システムの充電時における最大セル電圧値は、その蓄電池の電圧値になる。
【0023】
図7は、抵抗値増加が生じた場合の、定電流定電圧充電を行っている蓄電池の電圧値および電流値の時間的変化の一例を示す図である。図7に示すように、図6に示したものと比べて、電流が流れているときの最大セル電圧値と最小セル電圧値との差が大きくなる。特に充電末期では、SOC(State Of Charge)の変化に起因した電圧値の変化が小さくなり、内部抵抗値に起因した電圧降下の寄与が大きくなる。
【0024】
本形態においては、この充電末期において、電圧値に基づいて抵抗値を算出することで、抵抗値増加を検知する。
【0025】
図8は、図5に示した判定部121における抵抗値の算出方法を説明するための図である。図8に示すように、本形態においては、判定部121は、定電流充電終了時(第1の時刻:t0)から定電圧充電終了時(第2の時刻:t1)までの充電末期の期間において抵抗値を算出する。本形態においては、判定部121は、充電末期を最大セル電圧値が時系列で最大(図8においてVcc)となった点として検出する。ここで、最大となった点の電圧値を用いるものでなく、電圧値が最大となった測定点の前後の所定の数点(充電レートに応じた数)の期間に含まれる電圧値をVccとして用いるものであっても良い。その時刻での電流値をIccとする。また、判定部121は、電流値が所定の電流値Icv(Iccよりもはるかに小さな値であって、0ではない値)になった時刻の最大セル電圧値をVcvとする。
【0026】
判定部121は、最大蓄電池の電圧値を用いて抵抗値を算出する。本形態においては、判定部121は、以下の式を用いて抵抗値を算出する。
抵抗値=(Vcc−Vcv)/(Icc−Icv)…(式1)
判定部121は、算出した抵抗値が、セルが劣化したときの抵抗値よりも大きな値である場合、抵抗値が増加したと判定する。このセルが劣化したときの抵抗値は、過去の運用履歴や実験等で得られた値であって、あらかじめ設定されている閾値である。
【0027】
以下に、図4に示した蓄電システムにおける抵抗値増加の検出方法について説明する。図9は、図4に示した蓄電システムにおける抵抗値増加の検出方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0028】
まず、蓄電池201−1〜201−3に対して定電流定電圧充電を開始する(ステップS11)。すると、監視部111は、蓄電池201−1〜201−3の電圧値それぞれを、また蓄電池201−1〜201−3に流れる電流値を所定の時間間隔で測定する(ステップS12)。
判定部121は、蓄電池201−1〜201−3のうち、監視部111が測定した電圧値が最大である蓄電池の最大セル電圧値が所定の期間に測定された値であるかどうかを判定する(ステップS13)。最大セル電圧値が所定の期間に測定された値である場合、判定部121は、その電圧値(Vcc)とそのときに監視部111が測定した電流値(Icc)とを記憶部131に書き込む(ステップS14)。判定部121は、引き続き、監視部111は、蓄電池201−1〜201−3の電圧値それぞれを、また蓄電池201−1〜201−3に流れる電流値を所定の時間間隔で測定する(ステップS15)。
判定部121は、監視部111が測定した電流値があらかじめ設定された電流値(Icv:比較電圧値)以下であるかどうかを判定する(ステップS16)。判定部121は、監視部111が測定した電流値がIcv以下である場合、監視部111がその電流値を測定したときに測定した電圧値(Vcv:比較電圧値)とVccとIcvとIcvとを用いて、最大蓄電池の抵抗値を算出する(ステップS17)。具体的には、判定部121は(式1)を用いて抵抗値を算出する。すると、判定部121は、算出した抵抗値と、あらかじめ設定されている抵抗閾値とに基づいて、抵抗値が増加しているかどうかを判定する(ステップS18)。具体的には、判定部121は、算出した抵抗値が、セルが劣化したときの抵抗値(抵抗閾値)よりも大きな値である場合、抵抗値が増加したと判定する。
【0029】
なお、図5に示した記憶部131が、電圧値および電流値を記憶する場合、蓄電池を識別できる識別情報と対応付けて記憶するものであっても良い。これにより、抵抗値が増加している電圧値の蓄電池を特定することが可能となる。
【0030】
また、上述したVcvを満充電電圧値とし、Icvを0とするものであっても良い。この場合、最大セル電圧値の最大となる1点のみで抵抗値を算出することができる。
【0031】
また、図5に示した記憶部131が電圧値および電流値を記憶する時刻の範囲は閾値に対応した範囲を含んでいれば、その範囲の広さは限定しない。また、その範囲は、複数の範囲に分かれていてもよい。
【0032】
このように、蓄電池の電圧値が所定の期間に測定された値または最大値となった時の電圧値および電流値と、所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出し、その抵抗値と所定の抵抗閾値とを比較して、抵抗値が増加しているかどうかを判定する。そのため、充電中の短い期間に測定した測定値を用いて抵抗値の増加を検出することができる。
【0033】
なお、上述した形態を単独で用いるものであっても良いし、組み合わせて用いるものであっても良い。また、抵抗値増加を原因として電圧降下が生じることを利用するものであれば、他の方法を用いるものであっても良い。また、蓄電池の種類や材質については、特に規定しない。
【0034】
上述した検出装置100,101それぞれに設けられた各構成要素は、ハードウェア単位の要素ではなく、機能単位の要素を示している。また、検出装置100,101それぞれが行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を検出装置100,101それぞれにて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを検出装置100,101それぞれに読み込ませ、実行するものであっても良い。検出装置100,101それぞれにて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu−ray(登録商標) Discなどの移設可能な記録媒体の他、検出装置100,101それぞれに内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、検出装置100,101それぞれに設けられたCPU(Central Processing Unit)にて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【0035】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態に限定されたものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更を行うことができる。
【0036】
上記の実施の形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)複数の蓄電池に定電流定電圧充電を行う際、前記複数の蓄電池の電圧値および該複数の蓄電池へ流れる電流値それぞれを所定の時間間隔で測定する監視部と、
前記複数の蓄電池のうち、前記監視部が測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定された該所定の蓄電池の電圧値とそのときに前記監視部が測定した電流値と所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出し、該算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、前記抵抗値が増加しているか否かを判定する判定部とを有する検出装置。
(付記2)前記比較電圧値は、前記蓄電池の満充電電圧値であり、前記比較電流値は0である、付記1に記載の検出装置。
(付記3)前記比較電圧値は、前記所定の蓄電池の電流値が前記比較電流値以下となったときに測定された該所定の蓄電池の電圧値である、付記1に記載の検出装置。
(付記4)前記判定部は、前記所定の蓄電池の電圧値が所定の期間に測定された値であると判定された電圧値から前記比較電圧値を差し引いた値を、該電圧値を測定したときに前記監視部が測定した電流値から前記比較電流値を差し引いた値で除算した値を前記抵抗値として算出する、付記1から3のいずれか1項に記載の検出装置。
(付記5)前記判定部は、前記算出した抵抗値が前記抵抗閾値よりも大きな値である場合、前記抵抗値が増加していると判定する、付記1から4のいずれか1項に記載の検出装置。
(付記6)前記所定の蓄電池は、前記複数の蓄電池のうち、前記監視部が測定した電圧値が最大である蓄電池である、付記1から5のいずれか1項に記載の検出装置。
(付記7)前記所定の期間は、前記所定の蓄電池の電圧値が最大値となる点を含む期間である、付記1から6のいずれか1項に記載の検出装置。
(付記8)複数の蓄電池に定電流定電圧充電を行う際、前記複数の蓄電池の電圧値および該複数の蓄電池へ流れる電流値それぞれを所定の時間間隔で測定する処理と、
前記複数の蓄電池のうち、前記測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定された該所定の蓄電池の電圧値とそのときに測定した電流値と所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出する処理と、
前記算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、前記抵抗値が増加しているか否かを判定する処理とを行う検出方法。
(付記9)複数の蓄電池と、
前記複数の蓄電池の抵抗値を検出する検出装置とを有し、
前記検出装置は、
前記複数の蓄電池に定電流定電圧充電を行う際、前記複数の蓄電池の電圧値および該複数の蓄電池へ流れる電流値それぞれを所定の時間間隔で測定する監視部と、
前記複数の蓄電池のうち、前記監視部が測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定された該所定の蓄電池の電圧値とそのときに前記監視部が測定した電流値と所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて前記抵抗値を算出し、該算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、前記抵抗値が増加しているか否かを判定する判定部とを有する蓄電システム。
(付記10)コンピュータに、
複数の蓄電池に定電流定電圧充電を行う際、前記複数の蓄電池の電圧値および該複数の蓄電池へ流れる電流値それぞれを所定の時間間隔で測定する手順と、
前記複数の蓄電池のうち、前記測定した所定の蓄電池の電圧値が最大となる時刻を含む所定の期間において測定された該所定の蓄電池の電圧値とそのときに測定した電流値と所定の比較電圧値および比較電流値とに基づいて抵抗値を算出する手順と、
前記算出した抵抗値と所定の抵抗閾値とに基づいて、前記抵抗値が増加しているか否かを判定する手順とを実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0037】
100,101 検出装置
110,111 監視部
120,121 判定部
131 記憶部
200−1〜200−3,201−1〜201−3 蓄電池
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9