特許第6862779号(P6862779)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6862779
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】画像形成装置および画像形成方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20210412BHJP
   G03G 15/01 20060101ALI20210412BHJP
   G03G 9/08 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   G03G21/00 370
   G03G15/01 K
   G03G15/01 Y
   G03G9/08
【請求項の数】12
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2016-222488(P2016-222488)
(22)【出願日】2016年11月15日
(65)【公開番号】特開2018-81174(P2018-81174A)
(43)【公開日】2018年5月24日
【審査請求日】2019年8月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】特許業務法人鷲田国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100155620
【弁理士】
【氏名又は名称】木曽 孝
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 裕行
(72)【発明者】
【氏名】石川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】川崎 智広
(72)【発明者】
【氏名】古田 達也
(72)【発明者】
【氏名】五十里 亮英
(72)【発明者】
【氏名】窪田 愛子
【審査官】 市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−035419(JP,A)
【文献】 特開2016−126199(JP,A)
【文献】 特開2012−103535(JP,A)
【文献】 米国特許第08830526(US,B2)
【文献】 米国特許出願公開第2016/0195829(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0370191(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数色のトナーを記録材上に重ねることにより入力画像情報に基づくトナー像を形成する画像形成部と、
前記記録材に形成されたトナー像を定着させる定着部と、
前記入力画像情報から、前記記録材上に重ねられるトナーの量を算出するトナー量算出部と、
算出されたトナー量に応じた量で、前記入力画像情報に基づくトナー像を形成するトナーの溶融を補助する補助用トナーを供給するように前記画像形成部を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、算出されたトナー量が閾値を超える場合、前記トナー像の最下位層の下に前記補助用トナーを供給せず、かつ、前記トナー像の最上位層の上に前記補助用トナーを供給する一方、算出されたトナー量が閾値を超えない場合、前記トナー像の最上位層の上および最下位層の下に前記補助用トナーを供給しないように前記画像形成部を制御する、
画像形成装置。
【請求項2】
前記補助用トナーは、前記入力画像情報に基づくトナー像を形成するトナーよりも熱伝導率が高い高熱伝導性トナーである、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記トナー量算出部は、前記記録材上に重ねられるトナーの量を単位領域毎に算出し、 前記制御部は、前記単位領域毎に前記補助用トナーを供給するか否かを決定し、供給すると決定された領域に前記補助用トナーを供給するように前記画像形成部を制御する、
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記トナー量算出部の算出結果により算出されたトナー量が多いほど前記補助用トナーの供給量を多くするように、前記画像形成部を制御する、
請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像形成部は、前記入力画像情報に基づくトナー像を形成する第1のトナー形成ユニットと、前記補助用トナーからなるトナー像を形成する第2のトナー形成ユニットと、を備える、
請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記第2のトナー形成ユニットは、前記補助用トナーを前記記録材に形成されるトナー像の最上位層の上に供給する位置に備えられている、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記高熱伝導性トナーは、金属系顔料を20〜50重量%の範囲で含有する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記高熱伝導性トナーは、前記金属系顔料と、結着樹脂と、定着離型剤と、帯電制御剤とを含む、
請求項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記高熱伝導性トナーは、熱伝導率が1.5W/mK以上である、
請求項またはに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御部は、記録材へのトナー付着量の制限が無いモードにおいて、前記補助用トナーを供給するように前記画像形成部を制御する、
請求項1からのいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像形成部は、前記記録材にトナーを転写するための中間転写ベルトを有し、
前記制御部は、前記中間転写ベルトを介して前記補助用トナーを前記記録材上に供給するように前記画像形成部を制御する、
請求項1から10のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項12】
複数色のトナーを記録材上に重ねることにより入力画像情報に基づくトナー像を形成する画像形成装置における画像形成方法であって、
前記入力画像情報から、前記記録材上に重ねられるトナーの量を算出し、
算出されたトナー量に応じた量で、前記入力画像情報に基づくトナー像を形成するトナーの溶融を補助する補助用トナーを供給し、
前記記録材に供給されたトナー像および前記補助用トナーを定着させ
算出されたトナー量が閾値を超える場合、前記トナー像の最下位層の下に前記補助用トナーを供給せず、かつ、前記トナー像の最上位層の上に前記補助用トナーを供給する一方、算出されたトナー量が閾値を超えない場合、前記トナー像の最上位層の上および最下位層の下に前記補助用トナーを供給しない、
画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、フルカラーのトナー像を用紙上に形成する電子写真方式の画像形成装置(複写機、プリンター、ファクシミリ、これらの複合機)では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)の3原色のトナーとK(黒)トナーを用いて、カラー再現を行う。
【0003】
従来、YMCのトナー像を用いて混色を作像するとき、これらYMCのトナーの総量が規定値を超える場合があり、かかる場合、定着プロセスにおいてトナーを用紙に固定するためのエネルギー(熱量)が多く必要になる。かかる方策として、用紙搬送速度を低下させて定着時間を十分に確保することが考えられるが、この場合、印刷の生産性が低下するという問題がある。
【0004】
他方、印刷の生産性を落とさないように用紙搬送速度を維持するためには、定着プロセスにおいて、定着温度すなわちヒーターなどの加熱源の設定温度を上げる必要がある。しかしながら、このとき、ヒーターに近い側に位置するトナーと遠い側に位置するトナーとの間での熱吸収性の違いにより、定着不良(ホットオフセット)が発生するという問題がある。
【0005】
また、電子写真方式の画像形成装置では、消費電力の内の多くが定着装置によって占められており、近年の省エネルギー化の要請に伴い定着部の消費電力削減が求められている。このため、定着部の定着温度を上げることは、消費電力が増加し、省エネルギー化の要請に応えることができない。
【0006】
このような実情により、電子写真方式の画像形成装置では、YMCの有色トナーの付着量を減少させてトナーの総量を調整するために、UCR(Under color removal:下色除去)の処理を行うものがある。このUCRの処理は、YMC3原色の重なりからなるグレー成分に対して、K(黒)の成分で置き換えるものである。かかるUCR処理を行うことにより、付着されるトナーの総量が減少するため、定着性の改善に寄与することができる。しかしながら、UCR処理を行う場合、本来YMCの3原色で表現可能な画像についてKを加えて表現することから、例えば写真画像を出力するときに、黒色の深さ、黒色背景中の画像の精彩さなど低下してしまう、という問題がある。
【0007】
特許文献1では、入力画像情報よりトナー付着量を予測し、定着温度を制御する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2013−25218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
他方、特許文献1に開示された技術は、トナー付着量が多い場合に定着温度を上げる構成であり、かかる方式では、熱エネルギーの消費量が多くなり、上述した省エネルギー化の要請に応えることができない。
【0010】
本発明の目的は、生産性および画質を維持し、かつ省エネルギーでトナー像を定着することが可能な画像形成装置および画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る画像形成装置は、
複数色のトナーを記録材上に重ねることにより入力画像情報に基づくトナー像を形成する画像形成部と、
前記記録材に形成されたトナー像を定着させる定着部と、
前記入力画像情報から、前記記録材上に重ねられるトナーの量を算出するトナー量算出部と、
算出されたトナー量に応じた量で、前記入力画像情報に基づくトナー像を形成するトナーの溶融を補助する補助用トナーを供給するように前記画像形成部を制御する制御部と、
を備え
前記制御部は、算出されたトナー量が閾値を超える場合、前記トナー像の最下位層の下に前記補助用トナーを供給せず、かつ、前記トナー像の最上位層の上に前記補助用トナーを供給する一方、算出されたトナー量が閾値を超えない場合、前記トナー像の最上位層の上および最下位層の下に前記補助用トナーを供給しないように前記画像形成部を制御する。
【0012】
本発明に係る画像形成方法は、
複数色のトナーを記録材上に重ねることにより入力画像情報に基づくトナー像を形成する画像形成装置における画像形成方法であって、
前記入力画像情報から、前記記録材上に重ねられるトナーの量を算出し、
算出されたトナー量に応じた量で、前記入力画像情報に基づくトナー像を形成するトナーの溶融を補助する補助用トナーを供給し、
前記記録材に供給されたトナー像および前記補助用トナーを定着させ
算出されたトナー量が閾値を超える場合、前記トナー像の最下位層の下に前記補助用トナーを供給せず、かつ、前記トナー像の最上位層の上に前記補助用トナーを供給する一方、算出されたトナー量が閾値を超えない場合、前記トナー像の最上位層の上および最下位層の下に前記補助用トナーを供給しない
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、生産性および画質を維持し、かつ省エネルギーでトナー像を定着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施の形態における画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
図2】本実施の形態における画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
図3】本実施の形態の画像形成装置における画像形成方法を説明するための図であり、YMCKのトナー層の上に定着補助用トナーが付着した状態を模式的に示す側面図である。
図4】本実施の形態の画像形成装置における画像形成方法を説明するための図であり、図4Aは定着補助用のトナーが供給された用紙の状態を、図4Bは定着補助用のトナーが供給された用紙が定着部を通過する際の状態を、それぞれ模式的に示す。
図5】定着部からの熱が高熱伝導性トナーを通じて有色トナーに伝えられる様子を模式的に示す図である。
図6】本実施の形態の画像形成装置の画像形成時における制御フローチャートの一例を示す。
図7】本実施の形態の画像形成装置の画像形成時における高伝導率トナーの供給量の制御例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
【0016】
図1は、本発明の実施の形態における画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。図2は、本実施の形態における画像形成装置1の制御系の主要部を示す。図1、2に示す画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体ドラム413上に形成されたY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色トナー像を中間転写ベルト421に一次転写し、中間転写ベルト421上で最大4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙Sに二次転写することにより、トナー像を形成する。
【0017】
また、画像形成装置1には、YMCKの4色に対応する感光体ドラム413を中間転写ベルト421の走行方向に直列配置し、中間転写ベルト421に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0018】
本実施の形態では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の4色のトナーは、入力画像データ(入力画像情報)に基づくトナー像を像担持体である中間転写ベルト421を介して記録材としての用紙Sに形成するためのトナーとして使用される。他方、本実施の形態では、用紙へのトナー付着量の制限が無いモードにおける画像形成時に、定着補助用のSP(サポート)トナーを供給可能な構成となっており、かかる構成については後述する。
【0019】
図2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60等を備える。
【0020】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103等を備える。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されている各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)やハードディスクドライブで構成される。
【0021】
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙Sにトナー像を形成させる。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0022】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11および原稿画像走査装置12(スキャナー)等を備えて構成される。
【0023】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0024】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿またはコンタクトガラス上に載置された原稿を光学的に走査し、原稿からの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0025】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21および操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面、画像の状態表示、各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー、スタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
【0026】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定またはユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備える。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正、シェーディング補正等の各種補正処理や、圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0027】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分、K成分の各有色トナーによる画像を形成するための有色画像形成ユニット(第1のトナー形成ユニット)41Y、41M、41C、41K、中間転写ユニット42等を備える。また、画像形成部40は、印刷ジョブの実行時に定着補助用のSP(サポート)トナーを付与するための、定着補助用トナー形成ユニット(第2のトナー形成ユニット)41SPを備える。
【0028】
これら有色画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、および定着補助用トナー形成ユニット41SPは、相互に同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C、K、又はSPを添えて示す。図1では、定着補助用トナー形成ユニット41SPの構成要素についてのみ符号が付され、その他のユニット41Y、41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。以下、これらのユニット41Y、41M、41C、41K、および41SPについて、トナー形成ユニット41と総称し、共通する構成について説明する。
【0029】
トナー形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、およびドラムクリーニング装置415等を備える。
【0030】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)、電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層した負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。電荷発生層は、電荷発生材料(例えばフタロシアニン顔料)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト)に分散させた有機半導体からなり、露光装置411による露光により一対の正電荷と負電荷を発生する。電荷輸送層は、正孔輸送性材料(電子供与性含窒素化合物)を樹脂バインダー(例えばポリカーボネイト樹脂)に分散させたものからなり、電荷発生層で発生した正電荷を電荷輸送層の表面まで輸送する。
【0031】
制御部100は、感光体ドラム413を回転させる駆動モーター(図示略)に供給される駆動電流を制御することにより、感光体ドラム413を一定の周速度(例えば線速460mm/sec)で回転させる。
【0032】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されることにより、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0033】
現像装置412は、例えば二成分現像方式の現像装置であり、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。
【0034】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレード等を有し、一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーを除去する。
【0035】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0036】
中間転写ベルト421は、無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0037】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0038】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0039】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側(一次転写ローラー422と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0040】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側(二次転写ローラー424と当接する側)にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0041】
ベルトクリーニング装置426は、中間転写ベルト421の表面に摺接するベルトクリーニングブレード等を有し、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。なお、二次転写ローラー424に代えて、二次転写ローラーを含む複数の支持ローラーに、二次転写ベルトがループ状に張架された構成(いわゆるベルト式の二次転写ユニット)を採用してもよい。
【0042】
定着部60は、用紙Sのトナー像が形成されている面(定着面)側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面(定着面の反対の面)側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、及び加熱源(図示せず)等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
【0043】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。また、定着器Fには、エアを吹き付けることにより、定着面側部材から用紙Sを分離させるエア分離ユニット(図示略)が配置されている。
【0044】
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の上定着ベルト61、上加熱ローラー62、および上加圧ローラー63を有する(ベルト加熱方式)。上定着ベルト61は、上加熱ローラー62と上加圧ローラー63とに所定のベルト張力(例えば、400N)で張架されている。上定着ベルト61および上加圧ローラー63は、後述する下定着ベルト64および下加圧ローラー66とともに、定着ニップを形成する。
【0045】
下側定着部60Bは、上側定着部60Aと類似の構成を有する。具体的には、下側定着部60Bは、裏面側支持部材である無端状の下定着ベルト64、下加熱ローラー65、および下加圧ローラー66を有する(ベルト加熱方式)。下定着ベルト64は、下加熱ローラー65と下加圧ローラー66とに所定のベルト張力(例えば、400N)で張架されている。
【0046】
上側定着部60Aにおける上定着ベルト61は、トナー像が形成された用紙Sに接触して、当該トナー像を用紙Sに定着温度(例えば、160〜200℃)で加熱定着する。ここで、定着温度とは、用紙S上のトナーを溶融するのに必要な熱量を供給しうる温度であり、画像形成される用紙Sの紙種等によって異なる。上加熱ローラー62および下加熱ローラー65は、上定着ベルト61および下定着ベルト64をそれぞれ加熱する。これら加熱ローラー62および65は、懸架される定着ベルト61および64を加熱する加熱源(ハロゲンヒーター)をそれぞれ内蔵している。かかる加熱源の温度は、制御部100によって制御される。それぞれの加熱源によって加熱ローラー62および65が加熱され、その結果、対応する定着ベルト61および64が加熱される。
【0047】
上加圧ローラー63は、定着部60における主駆動源(図示せず)により駆動回転する下加圧ローラー66に、上定着ベルト61および下定着ベルト64を介して圧接される。制御部100は、主駆動源(駆動モーター)を制御して、下加圧ローラー66を図1中の反時計回り方向に回転させる。駆動モーターの駆動制御(例えば、回転のオン/オフ、周速度等)は、制御部100によって行われる。下加熱ローラー65の加熱源が発熱することにより、下定着ベルト64を通じて下加圧ローラー66は加熱される。制御部100は、加熱源に供給する電力を制御し、下加圧ローラー66を所定温度(例えば、80〜120℃)に制御する。
【0048】
下加圧ローラー66は、上定着ベルト61および下定着ベルト64を介して上加圧ローラー63に所定の定着荷重(例えば、2650N)で圧接される。このようにして、上定着ベルト61および上加圧ローラー63と下定着ベルト64および下加圧ローラー66との間には、用紙Sを狭持して搬送する定着ニップが形成される。下加圧ローラー66が回転すると、定着ベルト61が時計回り方向に従動回転する。これに伴い、上加圧ローラー63は、時計回り方向に従動回転する。
【0049】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52および搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a〜51cには、斤量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類ごとに収容される。搬送経路部53は、レジストローラー対53a等の複数の搬送ローラー対を有する。
【0050】
給紙トレイユニット51a〜51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、搬送経路部53により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー対53aが配設されたレジストローラー部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されるとともに搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に一括して二次転写され、定着部60において定着工程が施される。画像形成された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により機外に排紙される。
【0051】
ところで、かかる電子写真方式の画像形成装置でカラー印刷を行う場合、生産性の確保と省エネルギー化を図るために、上述したUCR(Under color removal:下色除去)の処理を行うことがある。この場合、トナー量制限を設け、YMCのトナーが重なるグレー成分に対して、墨入れとしてKのトナーに置き換えるように画像形成の制御を行う。かかる制御により、例えば、本来YMCのトナーを100%ずつ合計300%載せる場合に、YMCのトナーを80%ずつ合計240%載せかつKのトナーを少量載せるようにUCRの処理を行うことで、一般的な色空間を変えることなくトナーの消費量を抑えることができる。
【0052】
しかしながら、かかるUCRの処理を行うと、画像の再現性や精彩さの低下、黒領域やシャドー部の深みや奥行きの低下などが生じ、特にシャドー部の再現性が顕著に悪化する、という問題があった。すなわち、UCR処理を行う場合、本来YMCの3原色で表現可能な画像についてKを加えて表現することから、例えば写真画像を用紙上に出力するときに、黒色の深さ、黒色背景中の画像の精彩さなどが低下してしまう、という問題がある。このため、UCRの処理では、写真画像の印刷などの高い色再現性を要求される場合にユーザーの要求に応えることができないという問題があった。
【0053】
そこで、本実施の形態では、画像形成プロセスにおいて、用紙上に重ねられるトナーの溶融を補助する補助用トナーとしての定着補助用トナーSPを、用紙上に重ねられるトナーの量に応じた量で供給する処理を行う。
【0054】
ここで、定着補助用トナーSPは、他のYMCKのトナーの溶融を補助し定着性を確保ないし向上させるために、入力画像データに基づくトナー像を形成するトナー(以下、単に有色トナーともいう。)よりも熱伝導率が高い高熱伝導性トナーを用いることが望ましい。かかる高熱伝導性トナーは、例えば金属系顔料を含有することにより実現することができる。
【0055】
本実施の形態では、定着補助用トナーSPとして、黒色の高熱伝導性トナーとしており、金属系顔料と、結着樹脂と、定着離型剤と、帯電制御剤とを含む構成とした。ここで、金属系顔料としては、マグネタイトを使用することができる。
【0056】
定着補助用トナーSPの成分に金属系顔料を含める場合、金属系顔料の含有量(割合)は、20重量%以上とすることが望ましい。金属系顔料の含有量が20重量%に満たないと、有色トナーの溶融ないし定着を補助する効果が少なくなり、定着性が悪くなる。
【0057】
金属系顔料の含有量(割合)の上限は、定着補助用トナーSPの色や用紙上の付与位置などによっても変わり得るが、本実施の形態では、50重量%以下とすることが望ましい。金属系顔料の含有量が50重量%を超えると、目視による画像の濁りが目立つようになる。
【0058】
上記のような構成とすることで、有色トナーの熱伝導率が0.15W/mK程度である場合、定着補助用トナーSPの熱伝導率を1.3〜3.2W/mK程度に高くすることができる。
【0059】
以下、本実施の形態の画像形成装置1における印刷ジョブ実行時の制御について説明する。制御部100は、印刷ジョブの実行時に、入力画像データから、用紙S上に重ねられる入力画像用の有色トナー(YMCK)の供給量ないし付着量(以下、単にトナー量ともいう。)を算出し、算出されたトナー量に応じた量の定着補助用トナーSPを供給するように画像形成部40を制御する。
【0060】
かかる制御を行った場合の定着補助用トナーSPが供給された状態を図3に模式的に示す。図3では、用紙S上に、下からKCMYのトナーが積層され、かつ最上層のYトナーの上に黒色の定着補助用トナーSPが付着している状態を示している。
【0061】
本実施の形態では、中間転写ベルト421の回転方向における最上流側に定着補助用トナー形成ユニット41SPが配置されているため、中間転写ベルト421の最下層側から、定着補助用トナーSP、Yトナー、Mトナー、Cトナー、Kトナーの順で重ねられて一次転写される。そして、中間転写ベルト421上に一次転写されたトナーが二次転写ニップを通過する用紙Sに二次転写されることで、図4Aに示すように、有色トナーの最上層のYトナーの上に黒色の定着補助用トナーSPが付着した用紙Sが定着部60に向けて搬送される。
【0062】
かかる用紙Sは、図4Bに示すように、定着部60を通過する際に、所定温度に加熱されている定着面側部材(上加圧ローラー63等)と裏面側支持部材(下加圧ローラー66等)とによる定着ニップにより、熱と圧力が加えられる。このとき、定着部60からの熱が定着補助用トナー(高熱伝導性トナー)SPに蓄熱され(図5参照)、個々の定着補助用トナーSPの周辺のトナーが溶けやすくなり、相対的に熱伝導率の低い有色トナーの溶融が補助される。すなわち、定着部60の熱が高熱伝導性トナーを通じて有色トナーにより多く伝導され、有色トナーは、より溶けやすくなり、用紙への付着性が高まる。したがって、本実施の形態によれば、有色トナーの定着性の向上を図ることが可能となる。
【0063】
また、本実施の形態では、より熱源に近い、有色トナー層の最上部分に熱伝導率の高い定着補助用トナーSPを供給することで、定着部60から供給される熱の損失を可及的に抑えながら、定着部60の熱が定着補助用トナーSPを通じて有色トナーに伝達され、有色トナーの溶融が補助される。
【0064】
また、本実施の形態によれば、トナー量が多い場合であっても用紙搬送速度を下げる或いは定着温度を上げる必要がないため、生産性を維持し、有色トナーの定着性を向上させつつ、省エネルギー化の要請に応えることができる。
【0065】
また、本実施の形態によれば、トナー量が多い場合に、トナー総量を減らすための上述したUCRの処理を行う必要が無いので、例えば風景や顔写真などの画像をフルカラー印刷する場合など、高い色再現性が要求される場合でも、画像の深みや精彩を高い精度で再現することが可能となる。
【0066】
このように、本実施の形態によれば、生産性および画質を維持し、かつ省エネルギーでトナー像を定着することが可能となる。
【0067】
図5の例では、定着補助用トナーSPの粒子径がYMCの有色トナーの粒子径よりも大きいものを用いた場合を模式的に示しているが、かかる粒子径の大小関係は、特に制限されない。
【0068】
定着補助用トナーSPの単位面積当たりの供給量は、有色トナーの定着性を確保する観点からは、0.05g/m以上とすることが好ましい。
【0069】
定着補助用トナーSPの単位面積当たりの供給量の上限は、特に制限されず、色や用途等に応じて適宜変更することができる。他方、本実施の形態のように、定着補助用トナーSPを黒色とし且つ用紙に形成されるトナー像の最上位層の上に付与する構成とする場合、供給量が多くなると、目視で濁りが目立つようになる。このため、本実施の形態では、定着補助用トナーSPを0.08g/m以下とすることが好ましい。
【0070】
以下、印刷ジョブの実行時に制御部100が行う制御例について、図6のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
ステップS1において、制御部100は、ユーザーにより入力操作された操作信号を参照して、所定の場合にトナー付着量制限モードをオフにする。例えば、操作信号が、写真の画像をフルカラーで印刷する設定の場合に、制御部100は、トナー付着量制限モードをオフにする。本実施の形態では、トナー付着量制限モードがオフになった場合、上述したUCRの処理は行われない。
【0072】
続くステップS2において、制御部100は、印刷しようとする1枚分の用紙Sの入力画像データを取得してステップS3に移行する。ステップS3において、制御部100は、取得した入力画像データを解析して、用紙S上に重ねられるトナーの付与量を、単位領域毎に算出する。ここで、単位領域とは、画像形成領域の全体を単位面積毎に区分けしたn個の領域の内の一つの領域をいう。
【0073】
続くステップS4において、制御部100は、算出されたトナーの付与量が閾値を超える領域があるか否かを判定する。本実施の形態では、閾値に関するデフォルト値が240%に設定されている。かかる240%の値は、Y、M、およびCのトナーを各々最大量(100%)ずつ用紙Sに付与する場合のトナー最大付与量を300%とし、かかるトナー最大付与量の8割の付与量に相当する値である。
【0074】
なお、ステップS4の閾値に関する値は、操作表示部20の操作などにより変更可能な構成としてもよい。
【0075】
制御部100は、算出されたトナーの付与量が240%以上の領域があると判定すると(ステップS4、Yes)、ステップS5に移行し、定着補助用トナーを供給する定着補助モードで画像形成の制御を行う。他方、制御部100は、算出されたトナーの付与量が240%以上の領域がないと判定すると(ステップS4、No)、ステップS6に移行し、定着補助用トナーの供給を行わない通常モードで画像形成の制御を行う。
【0076】
定着補助モードであるステップS5において、制御部100は、トナーの付与量が閾値を超える領域に対応する用紙Sの領域に、高熱伝導性トナーを付与するように画像形成部40を制御する。より具体的には、制御部100は、トナーの付与量が閾値を超える用紙Sの領域に対応する中間転写ベルト421上の領域に、高熱伝導性トナーを付与した後にYMCKのいずれか3種以上のトナーを付与するように、各トナー形成ユニット41を制御する。
【0077】
また、ステップS5において、制御部100は、その他の領域、すなわちトナーの付与量が閾値以下である用紙Sの領域に対応する中間転写ベルト421上の領域に、高熱伝導性トナーを付与せずにYMCKのいずれか3種以上のトナーを付与するように、各トナー形成ユニット41を制御する。
【0078】
高熱伝導性トナーを付与する場合の付与量の制御の一例を図7に示す。図7では、横軸に有色トナーの付着量を、縦軸に定着補助用トナーの供給量を示している。この例では、トナーの付与量の閾値に関する値を240%と280%の2つに設定し、有色トナーの付着量が多くなると高熱伝導性トナーの付与量を増やすようになっている。
【0079】
すなわち、ステップS5の定着補助モードにおいて、制御部100は、中間転写ベルト421および用紙Sに対するトナーの付着量が240%未満の画像領域については、高熱伝導性トナーを付与する必要がないものと見なし、有色トナーだけ供給するように各トナー形成ユニット41を制御する。また、制御部100は、中間転写ベルト421および用紙Sに対するトナーの付着量が240%以上280%未満の画像領域については、高熱伝導性トナーを0.05g/m付与するように各トナー形成ユニットを制御する。さらに、制御部100は、中間転写ベルト421および用紙Sに対するトナーの付着量が280%以上の画像領域については、高熱伝導性トナーを0.08g/m付与するように各トナー形成ユニット41を制御する。
【0080】
高熱伝導性トナーの付与量の制御の他の例として、トナーの付与量が240%を超える場合、当該超える量に比例して単位面積当たりの高熱伝導性トナーの付与量を増やすようにしてもよい。
【0081】
通常モードであるステップS6において、制御部100は、トナーを付与する用紙Sの全ての領域に対応する中間転写ベルト421上の領域に、高熱伝導性トナーを付与せずにYMCKのいずれか1種以上のトナーを付与するように、各トナー形成ユニットを制御する。
【0082】
ステップS5またはステップS6の後のステップS7において、制御部100は、印刷ジョブが終了したか否かを判定する。制御部100は、印刷ジョブが終了したと判定した場合(ステップS7、Yes)、上述した一連の処理を終了する。他方、制御部100は、印刷ジョブが終了していないと判定した場合(ステップS7、No)、ステップS2に戻り、次に印刷する用紙SについてステップS2以降の画像形成に関する制御を続行する。
【0083】
制御部100によって上述のような画像形成の制御を行うことにより、高熱伝導性トナーの消費量が抑えられ、かつ、後の定着プロセスにおいて定着温度を高める或いは用紙搬送速度を下げることなく、深みや奥行きを持たせた色再現性の高い画像を用紙S上に出力することが可能となる。
【0084】
上述した実施の形態では、有色トナーの溶融を補助する高熱伝導性トナーとしてK(黒色)トナーを例示した。他方、かかる高熱伝導性トナーは、黒色以外の色とすることもできる。
【0085】
例えば、C(シアン)トナーの場合、コバルトや酸化銅などの金属系顔料を成分に含めることで、熱伝導性を高くすることができる。また、M(マゼンタ)トナーの場合、ベンガラ(酸化鉄)などの金属系顔料を成分に含めることで、熱伝導性を高くすることができる。また、Y(イエロー)トナーの場合、黄色酸化鉄などの金属系顔料を成分に含めることで、熱伝導性を高くすることができる。また、白色トナーの場合、TiO(酸化チタン)などの金属系顔料を成分に含めることで、熱伝導性を高くすることができる。上述した種々の顔料は、単独あるいは組み合わせて使用することができる。
【0086】
他方、例えば写真の画像を印刷する場合などで、深みや奥行きのある画像を用紙S上に出力したい場合には、定着補助用のトナーは、黒色あるいは黒色に近い暗い色とすることが好ましい。
【0087】
上述した実施の形態では、定着補助用のトナーを供給するユニット(第2のトナー形成ユニット)は、当該トナーを用紙に形成されるトナー像の最上位層の上に付与するように、中間転写ベルト421の回転方向における有色(YMCK)トナーの最上流に配置される構成とした。他方、定着補助用のトナーを供給するユニットは、例えば、Yトナーを供給するユニットとMトナーを供給するユニットとの間の位置に配置されることもできる。
【0088】
また、上述した実施の形態では、定着補助用のトナーを供給するユニット(第2のトナー形成ユニット)を一つ設けた構成としたが、かかるユニットを複数個設けてもよい。
【0089】
また、他の構成例として、入力画像データに基づく画像を形成するための有色画像形成ユニット41、例えば用紙Sの最上位に形成されるYトナーを供給する有色画像形成ユニット41Yから定着補助用のトナー(黄色酸化鉄などを含有した黄色のトナー)を供給する構成としてもよい。
【0090】
他方、上述したような金属系顔料を含有させた高熱伝導性トナーは、色味の点で、通常の有色トナーよりも劣る傾向がある。したがって、色再現性を可及的に向上させる観点からは、本実施の形態のように、入力画像データに基づく画像を形成するための有色画像形成ユニット41とは別に専用の定着補助用トナー形成ユニット41SPを設け、必要に応じて定着補助用のトナーを供給することが好ましい。
【実施例】
【0091】
以下、本発明を適用した実施例(実施例1および実施例2)を説明する。本発明者らは、上述した実施の形態の構成を備えた画像形成装置1を用いて、色再現性およびトナー定着性についての試験を行った。
【0092】
以下の各実施例および比較例に共通する条件として、画像形成装置における感光体ドラムの線速を460mm/sec、上定着ベルトの加熱温度を168℃、下定着ベルトの加熱温度を80℃に設定した。また、各実施例では、定着補助用のトナーとして、マグネタイトの顔料を含有した黒色の高熱伝導性トナーを用いた。
【0093】
(実施例1)
実施例1では、画像形成時の制御として、トナー総量が240%、250%、260%、および270%のYMC画像に対して、定着補助用の高熱伝導性トナーを0.05g/m供給して印刷した。また、トナー総量が280%、290%、300%のYMC画像に対して、上述した定着補助用の高熱伝導性トナー(黒色)を0.08g/m供給して印刷し、各々の印刷物について色再現性およびトナー定着性の試験を行った。
【0094】
また、これらに対する比較例として、定着補助用トナーを付与しないこと以外は実施例と同様の条件で試験を行った。
【0095】
色再現性の評価は、目視により行い、印刷された画像に濁りが認識できなければ○、濁りが認識できる場合は×とした。
【0096】
トナー定着性の評価は、画像を印刷した用紙の印刷面に対して、綺麗な用紙(白紙)を擦り合わせて試験を行い、かかる試験の前後における白紙の汚れの度合いを評価した。具体的には、紙の汚れの値として、以下の数式(1)に従って算出した。
紙の汚れΔL=試験後の汚れた紙の明度L−試験前の紙の明度L・・・(数式(1))
【0097】
そして、数式(1)に従った算出の結果、ΔLが0.5未満であれば汚れなく良好なレベル(○)、ΔLが0.5以上1.5未満であれば汚れはあるが実用上は問題ない許容レベル(△)、ΔLが1.5以上であれば許容できないレベルの汚れ(×)と判定した。
【0098】
実施例1および比較例における実験結果を表1に示す。
【0099】
【表1】
【0100】
表1に示すように、実施例1では、いずれの場合も色再現性および定着性が良好であった。これに対して、定着補助用トナーを付与しない比較例では、トナー総量が240%の場合は色再現性および定着性が良好であったが、トナー総量が250%に増えると定着性が低下し、トナー総量が260%以上になると許容できないレベルの汚れが発生した。
【0101】
(実施例2)
実施例2では、マグネタイトの顔料の含有量を種々の範囲、具体的には18重量%、20重量%、26重量%、42重量%、50重量%、52重量%とした6種類の定着補助用の黒色トナーを作り、実施例1と同様の制御の設定で実験を行った。
【0102】
すなわち、実施例2では、画像形成時の制御として、トナー総量が240%、250%、260%、および270%のYMC画像に対して、上述の定着補助用の黒色トナーを0.05g/m供給して印刷した。また、トナー総量が280%、290%、300%のYMC画像に対して、上述した定着補助用の黒色トナーを0.08g/m供給して印刷し、各々の印刷物について色再現性およびトナー定着性の試験を行った。色再現性およびトナー定着性の評価は、実施例1と同一である。
【0103】
実施例2における実験結果を表2に示す。
【0104】
【表2】
【0105】
表2に示すように、マグネタイトの顔料の含有量を20〜50重量%の範囲とした場合、いずれも色再現性および定着性が良好であった。なお、マグネタイトの顔料の含有量を18重量%とした場合、定着性の点で、許容レベルではあるが若干の汚れが生じた。他方、マグネタイトの顔料の含有量を52重量%とした場合、色再現性の点で、許容レベルではあるが若干の濁りが認識された。
【0106】
以上のように、本発明を適用した画像形成装置および画像形成方法によれば、生産性および画質を維持し、かつ省エネルギーでトナー像を定着することが可能な画像形成装置および画像形成方法を提供することができる。
【0107】
上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0108】
1 画像形成装置
10 画像読取部
20 操作表示部
30 画像処理部
40 画像形成部
41 画像形成ユニット(トナー形成ユニット)
41Y,41M,41C,41K 有色画像形成ユニット(第1のトナー形成ユニット)
41SP 定着補助用トナー形成ユニット(第2のトナー形成ユニット)
50 用紙搬送部
60 定着部
60A 上側定着部
60B 下側定着部
61 上定着ベルト
62 上加熱ローラー
63 上加圧ローラー
64 下定着ベルト
65 下加熱ローラー
66 下加圧ローラー
100 制御部(トナー量算出部)
S 用紙(記録材)
SP 定着補助用トナー(補助用トナー)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7