特許第6863326号(P6863326)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6863326選別支援装置、選別支援システム、選別支援方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863326
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】選別支援装置、選別支援システム、選別支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/04 20180101AFI20210412BHJP
   G01N 23/083 20180101ALI20210412BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20210412BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20210412BHJP
   G01N 23/10 20180101ALI20210412BHJP
【FI】
   G01N23/04
   G01N23/083
   G06N20/00
   G06T7/00 350B
   G01N23/10
【請求項の数】8
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-66026(P2018-66026)
(22)【出願日】2018年3月29日
(65)【公開番号】特開2019-174421(P2019-174421A)
(43)【公開日】2019年10月10日
【審査請求日】2018年4月20日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(74)【代理人】
【識別番号】100119415
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 充
(74)【代理人】
【識別番号】100168310
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 幹夫
(72)【発明者】
【氏名】梶 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】池村 和行
(72)【発明者】
【氏名】義経 真一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 花織
【審査官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2017/014194(WO,A1)
【文献】 特表2007−517275(JP,A)
【文献】 特表2017−509903(JP,A)
【文献】 特表2010−540930(JP,A)
【文献】 特開2012−068965(JP,A)
【文献】 特開2017−041984(JP,A)
【文献】 特開2012−137387(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0012419(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 23/00−23/2276
G06N 20/00−20/20
JSTPlus(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査対象物に電磁波を照射して得られた透過画像を入力する入力部と、
選別支援装置が配置されている拠点の取り扱い貨物の傾向に応じて作成された使用条件と対応付けられ、前記取り扱い貨物に含まれる少なくとも1以上の物品毎に最適化された複数の学習モデルを記憶する記憶部と、
指定された使用条件に基づいて、前記学習モデルを選択し、該学習モデルを用いて、前記検査対象物に、前記1以上の物品が含まれているか否かを判定する判定部と、
を備え、
前記取り扱い貨物は、複数の品目が入っている可能性のある荷物を含む、
選別支援装置。
【請求項2】
前記学習モデルは、選別を行う時期の取り扱い貨物の傾向に応じて作成されている請求項1の選別支援装置。
【請求項3】
前記学習モデルは、差出地別の取り扱い貨物の傾向に応じて作成されている請求項1又は2の選別支援装置。
【請求項4】
前記判定部における前記1以上の物品が含まれているか否かを判定するための閾値を変更可能である請求項1から3いずれか一の選別支援装置。
【請求項5】
請求項1から4いずれか一の選別支援装置を多段に配置して、異なる学習モデルを用いて、段階的に、前記1以上の物品が含まれているか否かを判定する選別支援システム。
【請求項6】
第1段の選別支援装置は、紙と、紙以外のものを選別するために最適化された学習モデルを用い、
第2段以降の選別支援装置において、前記紙以外のものをさらに選別するために最適化された学習モデルを用いるよう構成されている請求項5の選別支援システム。
【請求項7】
検査対象物に電磁波を照射して得られた透過画像を入力する入力部と、
選別支援装置が配置されている拠点の取り扱い貨物の傾向に応じて作成された使用条件と対応付けられ、前記取り扱い貨物に含まれる少なくとも1以上の物品毎に最適化された複数の学習モデルを記憶する記憶部と、を備えた選別支援装置が、
指定された使用条件に基づいて、前記学習モデルを選択するステップと、
該学習モデルを用いて、前記検査対象物に、前記1以上の物品が含まれているか否かを判定するステップと、
を含み、
前記取り扱い貨物は、複数の品目が入っている可能性のある荷物を含む、
選別支援方法。
【請求項8】
検査対象物に電磁波を照射して得られた透過画像を入力する入力部と、
選別支援装置が配置されている拠点の取り扱い貨物の傾向に応じて作成された使用条件と対応付けられ、前記取り扱い貨物に含まれる少なくとも1以上の物品毎に最適化された複数の学習モデルを記憶する記憶部と、を備えた選別支援装置に搭載されたコンピュータに、
指定された使用条件に基づいて、前記学習モデルを選択する処理と、
該学習モデルを用いて、前記検査対象物に、前記1以上の物品が含まれているか否かを判定する処理と、
を実行させるプログラムであって、
前記取り扱い貨物は、複数の品目が入っている可能性のある荷物を含む、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別支援装置、選別支援システム、選別支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
外国から日本国内に輸入される品目には、各種の禁止品目、規制品目がある。例えば、禁止品目には、銃器、爆発物、麻薬、指定薬物等がある。これらの検査は各地の税関や、税関の外郵出張所等が置かれている郵便局(以下、「外郵」という)で行われている。
【0003】
また、国内の一般貨物についても、同様の規制がある。加えて、リチウム電池や火薬など、航空危険物として航空輸送が禁止されている品目もある。これらの検査は、税関や物流業者の拠点などで行われている。
【0004】
これらの検査ではX線検査装置が利用されている。例えば、特許文献1に、着衣の個人(22)が疑わしい隠蔽された物体(25)を携帯しているかどうかを決定するためのシステム、方法、デバイスおよび装置が開示されている。同文献によると、200MHz〜1THz範囲の電磁放射による検査を通じて、反射された放射線の強度および反射する表面の深度差分に対応する画像データを受け取り処理して、疑わしい隠蔽された物体(25)を検知することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−517275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
税関では、X線検査のほかに、麻薬犬や、申告された内容物と重さや大きさが整合しているかどうかといった観点での検査などを併用して検査が行われている。しかしながら、近年、禁止品目、規制品目が巧妙に持ち込まれることがあり、こうしたケースでは、職員による検査に頼らざるを得ず、職員の業務負荷が高まっている。
【0007】
本発明は、上記した物流過程における検査業務に要する負荷軽減に貢献できる選別支援装置、選別支援システム、選別支援方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の視点によれば、検査対象物に電磁波を照射して得られた透過画像を入力する入力部と、想定される使用条件と対応付けられ、少なくとも1以上の物品毎に最適化された複数の学習モデルを記憶する記憶部と、指定された使用条件に基づいて、前記学習モデルを選択し、該学習モデルを用いて、前記検査対象物に、前記1以上の物品が含まれているか否かを判定する判定部と、を備えた選別支援装置が提供される。
【0009】
第2の視点によれば、上記した選別支援装置を多段に配置して、異なる学習モデルを用いて、段階的に、前記1以上の物品が含まれているか否かを判定する選別支援システムが提供される。
【0010】
第3の視点によれば、検査対象物に電磁波を照射して得られた透過画像を入力する入力部と、想定される使用条件と対応付けられ、少なくとも1以上の物品毎に最適化された複数の学習モデルを記憶する記憶部と、を備えた選別支援装置が、指定された使用条件に基づいて、前記学習モデルを選択するステップと、該学習モデルを用いて、前記検査対象物に、前記1以上の物品が含まれているか否かを判定するステップと、を含む選別支援方法が提供される。本方法は、入力部と、記憶部と、各処理ステップを実施するプロセッサを備える選別支援装置という、特定の機械に結びつけられている。
【0011】
第4の視点によれば、検査対象物に電磁波を照射して得られた透過画像を入力する入力部と、想定される使用条件と対応付けられ、少なくとも1以上の物品毎に最適化された複数の学習モデルを記憶する記憶部と、を備えた選別支援装置に搭載されたえコンピュータに、指定された使用条件に基づいて、前記学習モデルを選択する処理と、該学習モデルを用いて、前記検査対象物に、前記1以上の物品が含まれているか否かを判定する処理と、を実行させるプログラムが提供される。なお、このプログラムは、コンピュータが読み取り可能な(非トランジトリーな)記憶媒体に記録することができる。即ち、本発明は、コンピュータプログラム製品として具現することも可能である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記した物流過程における検査業務に要する負荷軽減に貢献することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態の構成を示す図である。
図2】本発明の第1の実施形態の選別支援装置を含むシステムの全体構成を示す図である。
図3】本発明の第1の実施形態の選別支援装置の構成を示す機能ブロック図である。
図4】本発明の第1の実施形態の選別支援装置の保持する学習モデルのセットの一例を示す図である。
図5】本発明の第1の実施形態の選別支援装置の動作を表したフローチャートである。
図6】本発明の第2の実施形態の選別支援装置の保持する学習モデルのセットの一例を示す図である。
図7】本発明の第3の実施形態の選別支援装置の構成を示す機能ブロック図である。
図8】本発明の第3の実施形態の選別支援装置の保持する学習モデルのセットの一例を示す図である。
図9】本発明の第3の実施形態の選別支援装置の動作を表したフローチャートである。
図10】本発明の第4の実施形態の選別支援装置を含むシステムの全体構成を示す図である。
図11】本発明の選別支援装置を構成するコンピュータの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
はじめに本発明の一実施形態の概要について図面を参照して説明する。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。
【0015】
本発明は、その一実施形態において、図1に示すように、入力部11と、記憶部12と、判定部13と、を備えた選別支援装置10にて実現できる。より具体的には、入力部11は、検査対象物に電磁波を照射して透過画像を得る装置等から透過画像を入力する。
【0016】
記憶部12は、想定される使用条件と対応付けられ、少なくとも1以上の物品毎に最適化された複数の学習モデルA〜Cを記憶する。この学習モデルA〜Cは、ディープラーニングに代表されるAI(Artificial Intelligence)を用いて、それぞれの物品の透過画像を教師データとして用いて作成することができる。
【0017】
判定部13は、指定された使用条件に基づいて、前記学習モデルを選択し、該学習モデルを用いて、前記検査対象物に、前記1以上の物品が含まれているか否かを判定し、その結果を出力する。
【0018】
本発明の選別支援装置は、貨物の内容物の検査が要請されるさまざまな拠点に設置される。そして、これらの拠点ごとに、本装置により検出が期待される品目は異なる。そこで、これらの検出が期待される品目を教師付き学習データとして用いて、上記学習モデルA〜Cを作成することで、各拠点に特化した選別支援を行うことが可能となる。
【0019】
例えば、ある物流事業者では、リチウム電池を内蔵させたまま荷受される小型家電に悩んでいる場合、リチウム電池や小型家電を好適に検出できるように最適化された学習モデルを用意する。そして、当該物流事業者の航空便貨物検査場では、選別支援装置は、使用条件(リチウム電池検出)に対応するこの学習モデルを利用して前記検査対象物の判定を行う。
【0020】
例えば、同様に、ある物流事業者では、昆虫や小動物などの生き物が荷受されることに悩んでいる場合、これらの生き物を好適に検出できるように最適化された学習モデルを用意する。そして、当該物流事業者の貨物検査場では、選別支援装置は、使用条件(生き物検出)に対応するこの学習モデルを利用して前記検査対象物の判定を行う。
【0021】
なお、学習モデルの選択は、選別支援装置10の利用者が明示的に使用条件を指定することでもよいし、あるいは、選別支援装置10の利用者から入力される情報に基づいて、選別支援装置10が使用条件を判断し、学習モデルを選択することでもよい。
【0022】
以上のとおり、本発明によれば、選別支援装置10の選別の精度を向上させ、また、誤判定を低減することが可能となる。その理由は、指定された使用条件に基づいて選別支援装置10において使用する学習モデルの選択が行われる構成を採用したことにある。
【0023】
[第1の実施形態]
続いて、透過画像を得るための電磁波としてX線を用い、外郵での郵便物等の検査作業を支援することを想定した本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図2は、本発明の第1の実施形態の選別支援装置を含むシステムの全体構成を示す図である。図2を参照すると、荷物300を移動させるベルトコンベア190を跨る形で選別支援装置100が示されている。図2の例では、選別支援装置100は、回転灯170と操作端末180とに接続されている。
【0024】
選別支援装置100は、検査対象物である荷物300に、特定の品物が内包されていると判定した場合に、回転灯170を作動させるとともに、ベルトコンベア190を停止する動作を行う。もちろん、回転灯170の代わりに、スピーカーを接続して、ブザーや音声アナウンスを出力する形態も採用可能である。また、これらの代わりに、操作端末の表示画面上のコンソールやダッシュボード(情報表示プログラム)等に、警告表示を行う形態も採用可能である。検査員はこれらの出力を受けて、荷物300の重量が内容物とつりあっているか否かを確認したり、開封するなどの詳細検査を行う。また、これらの過程における検査員の作業量を減らすために、特定の品物が内包されていると判定した荷物を自動で選り分ける装置などを併設してもよい。
【0025】
操作端末180は、選別支援装置100に後記する学習モデルを設定したり、選別支援装置100の使用条件を設定するために用いるパーソナルコンピュータ(PC)等の装置である。また操作端末180を用いて、選別支援装置100が、荷物に特定の品物が内包されていると判定した場合の動作を設定できるようにしてもよい。
【0026】
図3は、本発明の第1の実施形態の選別支援装置の構成を示す機能ブロック図である。図3を参照すると、入力部101と、記憶部102と、判定部103と、を備えた選別支援装置100が示されている。
【0027】
入力部101は、選別支援装置の内部筐体内に配置されたX線カメラ104からX線画像が入力されると、判定部103に出力する。また、このときに、入力部101が判定部103の判定精度を高めるために、必要な前処理を行ってもよい。
【0028】
記憶部102は、想定される使用条件と対応付けられ、少なくとも1以上の物品毎に最適化された複数の学習モデルを記憶する。この学習モデルは、ディープラーニングに代表されるAIを用いて、実際に得られた大量のX線画像を教師データとして用いて作成することができる。
【0029】
図4は、記憶部102に記憶される拠点(選別地)別の学習モデルのセットの例である。図4の学習モデルAは、例えば、船便の多い外郵(以下、この種の外郵を「外郵A」と記す)での使用を想定して作成された学習モデルである。具体的には、学習モデルAは、外郵Aで実際に発見された各種の禁止品目、規制品目の画像データを用いてその特徴量を計算するなどして作成される。同様に、学習モデルBは、例えば、航空便やEMS(Express Mail Service)の多い外郵(以下、この種の外郵を「外郵B」と記す)での使用を想定して作成された学習モデルである。具体的には、学習モデルBは、外郵Bで実際に発見された各種の禁止品目、規制品目の画像データを用いてその特徴量を計算するなどして作成される。外郵に入ってくる荷物(郵便物)は極めて多種多様であるが、このように学習モデルを切り分けることで、選別支援装置の要求性能を高めることなく、特定の品目の検出精度を上げ、かつ、誤判定率を下げることが可能となる。なお、各外郵での取り扱い品目の相違により、学習モデルA、B以外の学習モデルを用意してもよいことはもちろんである。
【0030】
なお、図4の学習モデルSPは、重点検査品目を想定した学習モデルである。例えば、各税関において、期間を定めて特定の品目の検査を強化することが行われている。この学習モデルSPは、こうした重点検査品目として設定された品目の検査を強化するために作成された学習モデルである。このような学習モデルSPを単独又は、学習モデルA、Bと併用することで、重点検査品目の検査の強化に対応することができる。なお、図4に示した学習モデルのセットはあくまでその一例を示したものであり、学習モデルのセットを、拠点(選別地)ごとに変更してもよい。
【0031】
判定部103は、操作端末180から入力された選別支援装置100の使用条件に基づいて、学習モデルを選択し、荷物の検査を行う。例えば、判定部103は、前記学習モデルを用いて、X線画像を検査し、前記検査対象物に、指定された物品が含まれている確率(尤度)を計算する。そして、その確率(尤度)が、所定の閾値以上である場合、判定部103は、前記検査対象物に、前記物品が含まれていると判定し、回転灯170を作動させるとともに、ベルトコンベア190を停止する動作を行う。
【0032】
続いて、本実施形態の動作について図面を参照して詳細に説明する。図5は、本発明の第1の実施形態の選別支援装置の動作を表したフローチャートである。図5を参照すると、まず、操作端末180にて学習モデルの選択が行われ、検査が開始される(ステップS001)。これにより、ベルトコンベア190が作動し、X線カメラ104で撮影された画像が選別支援装置100に送られる。
【0033】
選別支援装置100は、X線画像が入力されると(ステップS002)、前記選択された学習モデルを用いて、X線画像に特定の物品が写りこんでいるか否かを確認する(ステップS003)。ここで、X線画像に特定の物品が写りこんでいると判定した場合(ステップS004のYES)、選別支援装置100は、報知動作として、回転灯170を作動させるとともに、ベルトコンベア190を停止する動作を行う(ステップS005)。
【0034】
前記報知動作を受けた検査員は、X線画像に特定の物品が写りこんでいると判定された荷物300を詳細に確認し、必要に応じて、開封検査等を行う。
【0035】
一方、X線画像に特定の物品が写りこんでいないと判定した場合(ステップS004)、選別支援装置100は、検査が終了するまで、X線画像の入力、判定を継続する(ステップS002〜S006を継続)。
【0036】
なお、検査の終了は、例えば、操作端末180から終了操作の入力や、所定の時刻の到来などで判定することができる。
【0037】
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、選別支援装置の判定精度を飛躍的に向上させることができる。その理由は、複数の学習モデルを用意し、使用条件に応じて選択して使用する構成を採用したことによる。また、上記判定精度の向上の裏返しとして、本実施形態によれば、誤判定を低減させることが可能となる。
【0038】
[第2の実施形態]
続いて、記憶部102に記憶する学習モデルのセットに変更を加えた第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第2の実施形態は、上記第1の実施形態と同様の構成にて実現可能であるので、以下、相違点を中心に説明する。
【0039】
図6は、第2の実施形態の選別支援装置100の記憶部102に記憶される学習モデルのセットの例である。図4に示した学習モデルのセットとの相違点は、同一の外郵について、季節や時期を考慮した学習モデルが複数用意されている点である。
【0040】
図6の学習モデルA1は、船便の多い外郵Aで、クリスマスシーズンでの使用を想定して作成された学習モデルである。具体的には、学習モデルA1は、外郵Aで実際に、クリスマスシーズンの取り扱い品目の傾向を考慮して準備した禁止品目、規制品目の画像データを用いて作成される。同様に、学習モデルA2は、外郵Aで実際に、クリスマスシーズン以外の取り扱い品目の傾向を考慮して準備した禁止品目、規制品目の画像データを用いて作成される。このように、クリスマスシーズンとそれ以外のシーズンで学習モデルを使い分けることで、クリスマスシーズンにおいては、急増するグリーティングカードやプレゼントを考慮した選別を行うことが可能となる。また、その他のシーズンにおいては、グリーティングカードやプレゼントの存在を考慮しない学習モデルを用いることで、選別の精度を向上させることが可能となる。
【0041】
図6の学習モデルB1は、外郵Bで、1−3月での使用を想定して作成された学習モデルである。同様に、学習モデルB2は、外郵Bで、4−12月での使用を想定して作成された学習モデルである。例えば、アジア圏などでは、旧正月に伴ない取り扱い品目に変化が生じるので、このような学習モデルの使い分けが有効となる。
【0042】
以上のように、本実施形態によれば、季節や時期による荷物の変化を考慮した選別支援を行うことが可能となる。なお、上記した説明では、外郵A、外郵Bといった外郵単位で季節や時期別に学習モデルを使い分けるものとして説明したが、外郵の違いを考慮することなく、季節別、時期別の学習モデルを用意して、複数の外郵で学習モデルを共用する構成も採用可能である。
【0043】
[第3の実施形態]
続いて、差出地(発地)を考慮して学習モデルを使い分けるようにした第3の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。第3の実施形態も、基本的には、上記第1の実施形態と同様の構成にて実現可能であるので、以下、相違点を中心に説明する。
【0044】
図7は、本発明の第3の実施形態の選別支援装置100aの構成を示す機能ブロック図である。図3に示した第1の実施形態の選別支援装置100との相違点は、差出地認識部105が追加され、判定部103が差出地認識部105にて認識された差出地を用いて学習モデルの選択を行う点である。
【0045】
差出地認識部105は、荷物300に取り付けられた荷札、宛名ラベル、航空会社のシール、バーコードなどから、差出地を認識する。なお、差出地を認識する方法として、文字認識技術を用いてもよい。また、前記荷札等から、直接差出地を認識する方法のほか、荷物300の追跡情報、問い合わせ番号などから荷物300を特定し、外部のサーバ等に差出地を問い合わせる構成も採用可能である。
【0046】
図8は、第3の実施形態の選別支援装置100aの記憶部102に記憶される学習モデルのセットの例である。図4に示した学習モデルのセットとの相違点は、同一の外郵について、差出地別に学習モデルが複数用意されている点である。
【0047】
図8の学習モデルAAは、船便の多い外郵Aで、差出地をA国とする荷物を対象として作成された学習モデルである。具体的には、学習モデルAAは、外郵Aで実際に、A国から発送された荷物の中から発見された禁止品目、規制品目の画像データを用いて作成される。同様に、学習モデルABは、外郵Aで実際に、B国から発送された荷物の中から発見された禁止品目、規制品目の画像データを用いて作成される。同様に、学習モデルAXは、外郵Aで実際に、A国、B国以外から発送された荷物の中から発見された禁止品目、規制品目の画像データを用いて作成される。このように、差出地別に学習モデルを使い分けることで、各国から発送される荷物の傾向を考慮した選別を行うことが可能となる。
【0048】
そして、本実施形態の判定部103は、操作端末180から入力された選別支援装置100aの使用条件に加えて、差出地認識部105にて得られた差出地情報に基づいて、学習モデルを選択し、荷物の検査を行う。
【0049】
図9は、本実施形態の選別支援装置100aの動作を表したフローチャートである。第1の実施形態の動作を示した図5に対して、ステップS011と、S012が追加されている。即ち、選別支援装置100aは、X線画像の入力後、差出地の自動認識を行う(ステップS011)。なお、図9の例では、X線画像の入力後に、差出地の自動認識を行うものとしているが、差出地の自動認識を先に行ってもよい。
【0050】
そして、選別支援装置100aは、前記認識した差出地を考慮して学習モデルの再選択を行う(ステップS012)。その後の動作は第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0051】
以上のように、本実施形態によれば、差出地の違いによる荷物の変化を考慮した選別支援を行うことが可能となる。なお、上記した説明では、外郵A、外郵Bといった外郵単位で差出地別に学習モデルを使い分けるものとして説明したが、外郵の違いを考慮することなく、差出地別の学習モデルを用意して、複数の外郵で学習モデルを共用する構成も採用可能である。
【0052】
[第4の実施形態]
続いて、上記第1〜第3の実施形態の選別支援装置を組み合わせて、段階的に荷物の選別を行うようにした第4の実施形態について説明する。図10は、本発明の第4の実施形態の選別支援装置を含むシステムの全体構成を示す図である。例えば、第1段の選別支援装置100−1では、外郵B向けの学習モデルBを用いて荷物の検査を行う。そして、第2段の選別支援装置100−2では、重点検査品目の検査に特化した学習モデルSPを用いて荷物の検査を行う。
【0053】
例えば、図10に示すように、選別支援装置100−1は、学習モデルBを用いて、雑多な荷物(P1〜P3)を検査して、紙以外の品目が入っている可能性のある荷物(図10のP3)を選り分ける。そして、選別支援装置100−2は、学習モデルSPを用いて、紙以外の品目が入っている可能性のある荷物(図10のP3)だけを検査して、重点検査品目が入っているか否かという観点で判定を行うことになる。
【0054】
以上のような多段構成とした第4の実施形態によれば、より難しい検査、判定を行う選別支援装置に送られる荷物の数を絞り、よりセンシティブな検査を行う学習モデルを用いる選別支援装置に送ることができる。また、このセンシティブな検査は、同一の学習モデルを使う場合であっても、その判定閾値を変えることで実現することができる。例えば、学習モデルを用いた計算において被疑品目が入っていると判定した確率が60%以上である場合に、特定品目ありと判定する通常時の動作に代えて、同確率が50%以上である場合に、特定品目ありと判定するように閾値を変更すればよい。
【0055】
また、図10の例では、選別支援装置100−1と、選別支援装置100−2による2段構成を想定したが、3台以上の選別支援装置を用いて、3段以上の多段階で検査を行うようにしてもよい。
【0056】
また、別の視点において、高リスクの品目を先に検出する構成を採用することもできる。例えば、薬物の可能性の高い「粉末」、「錠剤」類の検出に最適化された学習モデルを用いて検査を行う選別支援装置を複数段の前段に配置してもよい。同様の観点で、目視検査が要請される「刃物」や「ブランド製品」等の品目の検出に最適化された学習モデルを用いて検査を行う選別支援装置を複数段のいずれかの段に配置してもよい。さらに、第1段の選別支援装置における除外対象に紙以外の低リスクの品目を加えてもよい。
【0057】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で、更なる変形・置換・調整を加えることができる。例えば、各図面に示したネットワーク構成、各要素の構成、メッセージの表現形態は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。また、以下の説明において、「A及び/又はB」は、A及びBの少なくともいずれかという意味で用いる。
【0058】
例えば、上記した各実施形態においては、使用条件に応じて、複数の学習モデルの使い分けを行うことを中心に説明したが、使用条件に応じて上述した判定部103における判定閾値を変えることも可能である。例えば、外郵Aでの使用を想定した学習モデルAを、外郵Aで用いる場合、1以上の物品が含まれているか否かを判定するための閾値としての判定閾値を50%とするが、その他の外郵で学習モデルAを用いる場合、判定閾値を別の値にすることも可能である。同様に、季節や差出地に応じて学習モデルだけでなく判定閾値を変更して、全体の判定精度を高めることも可能である。
【0059】
また、上記した各実施形態では、選別支援装置100、100a、100−1、100−2が、1つの学習モデルを選択するものとして説明したが、これらの選別支援装置が複数の学習モデルを選択して、判定を行うこととしてもよい。例えば、禁止品目ごとに学習モデルを作成し、選別支援装置100がこれらの禁止品目の検査を順番に行うことで、制度を落とさずに検査を実施することが可能となる。
【0060】
また、上記した各実施形態では、操作端末180より選別支援装置100の使用条件を設定するものとして説明したが、選別支援装置100が使用条件を特定する形態はこれに限られない。例えば、上記操作端末180による設定に代えて、選別支援装置100に対する使用条件の設定情報を含んだメッセージの送信や電子メールの送信等により、使用条件を設定する形態も採用可能である。また、例えば、選別支援装置100自身が、自身の設定されている情報やネットワークへの問い合わせを行って、これら情報により間接的に指定された使用条件を判定して、学習モデルを選択する構成も採用可能である。
【0061】
また、上記した各実施形態では、外郵での荷物の選別に本発明の選別支援装置を用いる例を挙げて説明したが、本発明の選別支援装置の用途は、これの例に限られない。必要な学習モデルを用意することで、例えば、国内の物流業者や航空会社の集荷拠点での荷物の検査等にも適用することが可能である。
【0062】
例えば、航空危険物に指定されているリチウム電池は、小型家電製品などと一緒に同封されている場合があるが、本発明によれば、店頭での荷受時の確認や空港でのX線検査において、複数の学習モデルの中から、リチウム電池の検出に最適化された学習モデルを用いることで、効率よく検出することが可能となる。
【0063】
また、上記した第1〜第4の実施形態に示した手順は、選別支援装置として機能するコンピュータ(図11の9000)に、選別支援装置としての機能を実現させるプログラムにより実現可能である。このようなコンピュータは、図11のCPU(Central Processing Unit)9010、通信インタフェース9020、メモリ9030、補助記憶装置9040を備える構成に例示される。すなわち、図11のCPU9010にて、学習モデルを用いた判定プログラムや学習モデルの選択プログラムを実行し、その補助記憶装置9040等に保持された各計算パラメーターの更新処理を実施させればよい。
【0064】
即ち、上記した第1〜第4の実施形態に示した選別支援装置の各部(処理手段、機能)は、選別支援装置に搭載されたプロセッサに、そのハードウェアを用いて、上記した各処理を実行させるコンピュータプログラムにより実現することができる。
【0065】
最後に、本発明の好ましい形態を要約する。
[第1の形態]
(上記第1の視点による選別支援装置参照)
[第2の形態]
上記した選別支援装置において、前記学習モデルは、前記選別支援装置が配置されている拠点の取り扱い貨物の傾向に応じて作成されていることが好ましい。
[第3の形態]
上記した選別支援装置において、前記学習モデルは、選別を行う時期の取り扱い貨物の傾向に応じて作成されていることが好ましい。
[第4の形態]
上記した選別支援装置において、前記学習モデルは、差出地別の取り扱い貨物の傾向に応じて作成されていることが好ましい。
[第5の形態]
上記した選別支援装置において、前記判定部における前記1以上の物品が含まれているか否かを判定するための閾値を変更可能であることが好ましい。
[第6の形態]
(上記第2の視点による選別支援システム参照)
[第7の形態]
(上記第3の視点による選別支援方法参照)
[第8の形態]
(上記第4の視点によるプログラム参照)
なお、上記第6〜第8の形態は、第1の形態と同様に、第2〜第5の形態に展開することが可能である。
【0066】
なお、上記の特許文献および非特許文献の各開示を、本書に引用をもって繰り込むものとする。本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態ないし実施例の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせ、ないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【符号の説明】
【0067】
10 選別支援装置
11、101 入力部
12、102 記憶部
13、103 判定部
100、100a、100−1、100−2 選別支援装置
104 X線カメラ
105 差出地認識部
170 回転灯
180 操作端末
190 ベルトコンベア
300、P1〜P3 荷物
9000 コンピュータ
9010 CPU
9020 通信インタフェース
9030 メモリ
9040 補助記憶装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
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図10
図11