特許第6863408号(P6863408)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6863408情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863408
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20210412BHJP
   G06T 7/90 20170101ALI20210412BHJP
   A61B 5/1171 20160101ALI20210412BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   G06T7/00 510F
   G06T7/00 660A
   G06T7/90 A
   A61B5/1171 200
   A61B5/00 101A
【請求項の数】6
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2019-114205(P2019-114205)
(22)【出願日】2019年6月20日
(62)【分割の表示】特願2015-562742(P2015-562742)の分割
【原出願日】2015年2月12日
(65)【公開番号】特開2019-194888(P2019-194888A)
(43)【公開日】2019年11月7日
【審査請求日】2019年6月20日
(31)【優先権主張番号】特願2014-24655(P2014-24655)
(32)【優先日】2014年2月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100124154
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 直樹
(72)【発明者】
【氏名】森下 雄介
【審査官】 山田 辰美
(56)【参考文献】
【文献】 Ting-Wei Lee, Gwo-Hwa Ju, Heng-Sung Liu, Yu-Shan Wu,Liveness detection using frequency entropy of image sequences,2013 IEEE International Conference on Acoustics, Speech and Signal Processing,米国,IEEE,2013年 5月26日,pp.2367-2370,URL,https://ieeexplore.ieee.org/stamp/stamp.jsp?tp=&arnumber=6638078
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
A61B 5/00
A61B 5/1171
G06T 7/90
IEEE Xplore
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定の人物の顔を含む複数の画像を入力する入力部と、
前記複数の画像から抽出された、前記特定の人物の顔の色の時間的な変化に基づいて前記特定の人物の顔がなりすましであると判定する判定部と、
を含み、
前記判定部は、前記複数の画像の緑成分に対応する周波数スペクトルのうち、人の脈拍に相当する周波数の範囲に対応する周波数スペクトルと、前記複数の画像の青成分に対応する周波数スペクトルのうち、人の脈拍に相当する周波数の範囲に対応する周波数スペクトルとの間の差分に基づく指標値を用いて、前記特定の人物の顔がなりすましか否かを判定する
情報処理装置。
【請求項2】
前記判定部は、抽出された前記色の時間的な変化が脈拍に基づくものでない場合、前記特定の人物の顔がなりすましであると判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記変化の頻度が脈拍に基づくものでない場合、前記特定の人物の顔がなりすましであると判定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判定部は、抽出された前記色の時間的な変化が血流の変化に基づくものでない場合、前記特定の人物の顔がなりすましであると判定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
特定の人物の顔を含む複数の画像を入力し、
前記複数の画像から抽出された、前記特定の人物の顔の色の時間的な変化に基づいて前記特定の人物の顔がなりすましであると判定し、
前記判定において、前記複数の画像の緑成分に対応する周波数スペクトルのうち、人の脈拍に相当する周波数の範囲に対応する周波数スペクトルと、前記複数の画像の青成分に対応する周波数スペクトルのうち、人の脈拍に相当する周波数の範囲に対応する周波数スペクトルとの間の差分に基づく指標値を用いて、前記特定の人物の顔がなりすましか否かを判定する
情報処理方法。
【請求項6】
特定の人物の顔を含む複数の画像を入力する処理と、
前記複数の画像から抽出された、前記特定の人物の顔の色の時間的な変化に基づいて前記特定の人物の顔がなりすましであると判定する処理と、
をコンピュータに実行させ
前記判定の処理において、前記複数の画像の緑成分に対応する周波数スペクトルのうち、人の脈拍に相当する周波数の範囲に対応する周波数スペクトルと、前記複数の画像の青成分に対応する周波数スペクトルのうち、人の脈拍に相当する周波数の範囲に対応する周波数スペクトルとの間の差分に基づく指標値を用いて、前記特定の人物の顔がなりすましか否かを判定する処理を、
前記コンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、顔認証技術に関する。
【背景技術】
【0002】
顔認証を用いたセキュリティシステムに関し、他人のフリをして不正にシステムを利用する「なりすまし」行為を検知する技術が広く知られている。
【0003】
例えば、特許文献1は、まばたき等の表情の変動の大きさを判定することにより生体判定を行う方法を開示する。
【0004】
特許文献2は、角度の異なる二つ以上のカメラから撮影した顔画像から、それぞれ複数の特徴点を抽出し、それらが同一平面上にあるか否かで生体判定を行う方法を開示する。
【0005】
特許文献3は、赤外線を含む三つのセンサで顔までの距離を測定し平面性を測定することで、なりすましであるか否かを判定する方法を開示する。
【0006】
なお、本発明と技術分野が異なる、診断系分野の先行技術に、特許文献4が存在する。
特許文献4は、撮影された顔画像のRGBの色成分の変化から独立成分分析を用いて脈拍に相当する成分を抽出することで、心拍数を計測する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−090452号公報
【特許文献2】特許第5035467号公報
【特許文献3】特許第4734980号公報
【特許文献4】特開2012−239661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1〜3に記載の技術では、より精巧な変装用マスクを装着して行うなりすましを検知することができない。
【0009】
具体的には、例えば、変装用マスクではマスクの目や口の部分をくりぬくことにより、まばたき等顔部位の動きを検知させることが可能であるため、特許文献1に開示されている方法では、変装用マスクをなりすましであると検知することはできない。
【0010】
また、変装用マスクは立体的に造形されているものであり人間の顔と同様の凹凸があるため、特許文献2や特許文献3に開示されている方法では、変装用マスクをなりすましであると検知することはできない。
【0011】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、顔認証システムにおける顔認証の際に、偽物の顔が提示された場合のなりすましを精度良く検知することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る情報処理装置は、特定の人物の顔を含む複数の画像を入力する入力部と、前記複数の画像から抽出された、前記特定の人物の顔の色の時間的な変化に基づいて前記特定の人物の顔がなりすましであると判定する判定部と、を含む。
【0013】
また、本発明の一態様に係る情報処理方法は、特定の人物の顔を含む複数の画像を入力し、前記複数の画像から抽出された、前記特定の人物の顔の色の時間的な変化に基づいて前記特定の人物の顔がなりすましであると判定する。
【0014】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、特定の人物の顔を含む複数の画像を入力する処理と、前記複数の画像から抽出された、前記特定の人物の顔の色の時間的な変化に基づいて前記特定の人物の顔がなりすましであると判定する処理と、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、顔認証システムにおける顔認証の際に、偽物の顔が提示された場合のなりすましを精度良く検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】なりすまし検知装置1の構成例を示すブロック図である。
図2】なりすまし検知装置1のなりすまし検知処理の動作を示すフローチャートである。
図3】なりすまし検知装置1が処理の対象にする顔画像列の例を示す説明図である。
図4】なりすまし検知装置1の色情報抽出手段120が抽出する色情報の例を示す説明図である。
図5】なりすまし検知装置1の特徴量計算手段130が図4の色情報からFFTにより求めた周波数スペクトルの例を示す説明図である。
図6】なりすまし検知装置2の構成例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
まず、本発明の理解を容易にするために、本発明の背景と概要を説明する。
【0018】
顔認証システムに対するなりすましは、顔撮影用のカメラに、システム利用者本人とは異なる顔を提示することにより行われる。この異なる顔を提示する方法としては、1)他人の顔写真をシステムのカメラに提示する、2)スマートフォン等のディスプレイに他人の顔の映像を映し、システムのカメラに提示する、3)システム利用者の顔に変装用のマスク(他人の顔)を貼りつけ、システムのカメラに提示する、等の方法が存在する。
【0019】
なりすまし行為に対しては、上述の特許文献1〜3のように様々な対策技術が提案されている。具体的には、対策技術として、顔や顔部位の動きに着目し、動きが確認されなければなりすましと判定する方法(顔写真の提示に対するなりすまし対策)、二つ以上のカメラで顔画像を撮影し、立体物でなければなりすましと判定する方法(顔写真、スマートフォン等のディスプレイの提示に対するなりすまし対策)、近赤外カメラ等の可視光以外の情報を用いてなりすましと判定する方法(顔写真、ディスプレイ等の提示に対するなりすまし対策)、等が提案されている。
【0020】
しかしながら、上記の対策技術では、変装用マスクを装着した場合等のなりすましを検知することができない。本発明は、顔画像から測定される血流の変化等に由来する情報に基づき、なりすましか否かを判定する。そのため、本発明によれば、精度良くなりすましを検知することができる。
【0021】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、顔認証システムに対するなりすましを検知するなりすまし検知装置1の構成例を示すブロック図である。図1に示すなりすまし検知装置1は、データ処理装置100を含む。
【0022】
データ処理装置100は、顔画像列入力部110と、色情報抽出部120と、特徴量計算部130と、なりすましスコア算出部140と、なりすまし判定部150と、出力部160とを有する。
【0023】
顔画像列入力部110は、外部から時系列の複数枚の顔画像(以下「顔画像列」ともいう。)を入力する機能を有する。顔画像列(時系列の複数枚の顔画像)は、一定時間ごとに撮影された人間の顔の画像の列である。顔画像列入力部110は、外部から予め顔の部分だけが切り出された顔画像列の入力を受け付けても良いし、一般的な監視カメラが撮影した複数枚の画像から、それぞれ顔の部分だけを切り出し、顔画像列を生成して入力しても良い。顔画像列入力部110が入力する顔の画像は、R(赤)、G(緑)、B(青)の色成分からなるRGB画像でも良く、色情報が抽出可能であればRGB画像に限定されない。以下では、顔画像列入力部110はRGB画像を入力するものとして説明する。
【0024】
色情報抽出部120は、顔画像列入力部110によって入力された顔画像列から、所定の色情報を抽出する機能を有する。抽出する所定の色情報とは、顔画像列のそれぞれの顔画像のR、G、Bの色成分、又はそれらを色空間変換した色成分のうちの一つ若しくは複数でも良い。また、所定の色情報は、RGBの色成分のうちGとBの二つの色成分をそれぞれ顔画像全体で平均化した値でも良い。所定の色情報は、いくつかの色成分を顔画像全体で単純平均した値でも良く、又は、例えばおでこ、ほほ、鼻等の顔の部位毎に重み付けをして平均化した値でも良い。図示しない記憶部が個人毎の顔の特性を記憶していても良く、その場合、色情報抽出部120は、入力された顔の個人を特定して、記憶部を参照の上、個人毎に変更した重みを使用しても良い。
【0025】
特徴量計算部130は、色情報抽出部120が抽出した所定の色情報から、特徴量を計算する機能を有する。特徴量計算部130が計算する特徴量は、色情報の周波数スペクトルでも良い。
【0026】
なりすましスコア算出部140は、特徴量計算部130が算出した特徴量から、所定の評価関数に従ってなりすましであるかを表すスコアを算出する機能を有する。
【0027】
なりすまし判定部150は、顔画像列から抽出された所定の色情報の時間的な変化に基づいて、当該顔画像列に含まれる顔がなりすましであるか否かを判定する機能を有する。
具体的には、なりすまし判定部150は、なりすましスコア算出部140が算出したスコアと所定の閾値とを比較することで、顔画像列入力部110によって入力された顔画像列に含まれる顔がなりすましであるか否かを判定する。
【0028】
出力部160は、なりすまし判定部150による判定結果を外部に出力する。
【0029】
以下、本実施形態のなりすまし検知処理の動作を図2のフローチャートを参照して説明する。図2は、なりすまし検知装置1の顔認証におけるなりすまし検知処理の動作を示すフローチャートである。
【0030】
顔画像列入力部110は、外部から時系列の顔のRGB画像を入力する(ステップS111)。
【0031】
次いで、色情報抽出部120は、顔画像列入力部110によって入力された顔画像列から、所定の色情報を抽出する(ステップS112)。
【0032】
次いで、特徴量計算部130は、色情報抽出部120が抽出した色情報から、特徴量を計算する(ステップS113)。
【0033】
次いで、なりすましスコア算出部140は、特徴量計算部130が算出した特徴量から、所定の評価関数に従ってなりすましであるかを表すスコアを算出する(ステップS114)。
【0034】
次いで、なりすまし判定部150は、なりすましスコア算出部が算出したスコアと所定の閾値とを比較することで、顔画像列入力部110によって入力された顔画像列がなりすましであるか否かを判定する(ステップS115)。
【0035】
第1実施形態に係るプログラムは、上記のなりすまし検知処理をコンピュータに実行させるプログラムであれば良い。
【0036】
顔認証システムにおいて、真の人間が撮影されていれば、顔画像中に、特定の色成分に偏った時系列的な色変化が表れる。しかしながら、なりすましを目的として顔を変装用マスクで覆った場合、顔の皮膚ではなく変装用マスクの素材が表面に現れ、顔画像として撮影される。そのため、変装用マスクを装着している場合には、顔画像の色変化は小さくかつその色変化は特定の色成分に偏って表れることはない。本発明は、顔画像の時系列的な色変化に着目することが、真の人間であるか否かを精度良く判定可能にするという新たな知見に基づくものである。
【0037】
以上説明したように、本発明の第1実施形態に係るなりすまし検知装置、なりすまし検知方法及びプログラム記録媒体によれば、変装用マスクを装着した場合においても、なりすましであることを精度良く検知することが可能となる。
[具体例]
以下、第1実施形態の動作を、具体例を用いて説明する。本具体例においては、なりすまし検知装置1に図3に示す顔画像が入力される場合を例に説明する。図3は、なりすまし検知装置1が処理の対象にする顔画像列の例を示す説明図である。
【0038】
顔画像列入力部110は、外部から時系列の複数枚の顔画像を入力する(ステップS111)。
【0039】
本具体例において、顔画像列入力部110が入力する時系列の複数枚の顔画像とは、一定時間ごとに撮影されたR(赤)、G(緑)、B(青)の色成分からなるRGB画像から、それぞれ顔の部分だけが切り出された画像の列である。顔画像列入力部110は、予め顔の部分だけが切り出された画像列を入力しても良い。または、顔画像列入力部110は、公知の顔検出技術を用いて画像中の顔の位置を求め、求めた顔の位置に従って予め顔の部分だけを切り出しても良い。また、顔画像列入力部110は、ビデオカメラ等から出力される時系列の画像を入力しても良いし、HDD(Hard Disk Drive)等に予め保存された動画データ等の時系列の画像を入力しても良い。
【0040】
図3は、顔画像列入力部110が入力の対象にする顔画像列の例を示す説明図である。
図3に示す例では、時系列の顔画像が、時間が1からTに亘って入力されている。
【0041】
色情報抽出部120は、顔画像列入力部110によって入力された顔画像列から、所定の色情報を抽出する(ステップS112)。
【0042】
色情報抽出部120が抽出する所定の色情報とは、顔画像列のそれぞれの顔画像のR、G、Bの色成分、又はそれらをHSV(Hue Saturation Value)色空間等の色空間変換した色成分のうちの一つ若しくは複数でも良い。又は、所定の色情報は、RGBの色成分のうちGとBの二つの色成分をそれぞれ顔画像全体で平均化した値でも良い。
【0043】
さらに、顔画像列入力部110によって入力された顔画像列が、屋外環境で撮影された顔画像列であり照明条件が一定しない等、顔画像列の輝度値の変化が不安定である場合は、所定の色情報として、例えば、前述のGとBの代わりに、Gと、BおよびRを加算して2で割った値((B+R)/2)を用いても良い。
【0044】
照明条件が一定しない等、環境条件が変動する場合、図示しないセンサ等が環境情報を取得しても良く、その場合、色情報抽出部120は、当該環境情報に応じて所定の色情報の割合等を変更して抽出しても良い。
【0045】
以下では、色情報抽出部120が抽出する所定の色情報として、RGBの色成分のうちGとBの二つの色成分をそれぞれ顔画像全体で単純平均した値を用いる場合について記載する。つまり、色情報抽出部120では、一つの顔画像についてGの平均値が一つとBの平均値が一つ計算される。よって、長さTの顔画像列(T枚の顔画像)からは、Gの平均値がT個、Bの平均値がT個計算される。
【0046】
なお本具体例では、前述のように、所定の色情報としてRGBの色成分のうちGとBの二つの色成分をそれぞれ顔画像全体で平均化した値を用いる場合について記載するが、本発明の範囲は以下に記載される内容に限定されない。
【0047】
図4は、色情報抽出部120が抽出する一つの色情報の例を示す説明図である。図4の例では、人間の顔をある一定時間撮影し、撮影した顔画像列のそれぞれの顔画像から抽出した色成分(ここではG)の平均値を示す。本例では、図4に示すように、顔画像列から抽出した色情報が、時間的に変化することが確認できる。
【0048】
特徴量計算部130は、色情報抽出部120が抽出した色情報から、特徴量を計算する(ステップS113)。
【0049】
以下では、色情報抽出部120が抽出した色情報から周波数スペクトルを計算して、これを特徴量とする場合について記載するが、本発明の範囲は以下に記載される内容に限定されない。
【0050】
特徴量計算部130は、周波数スペクトルの計算に、例えば、離散フーリエ変換を計算機上で高速に計算するアルゴリズムであるFFT(高速フーリエ変換)や、最大エントロピー等を用いても良い。
【0051】
図5は、特徴量計算部130が図4の色情報からFFTにより求めた周波数スペクトルの例を示す説明図である。図5に示す例では、図5の横軸(周波数)の55付近に大きなピークがあることが確認できる。これは、血流の変化に起因する顔画像の色変化が一分間におよそ55回の頻度で起きていることを示しており、つまり、この変化の頻度が人間の脈拍に相当する。
【0052】
なりすましスコア算出部140は、特徴量計算部130が算出した特徴量から、所定の評価関数に従ってなりすましであるかを表すスコアを算出する(ステップS114)。
【0053】
なりすましであるかを表すスコアの算出は、具体的には以下に従って行う。まず、色情報抽出部120が抽出する色情報のうち、x(G)をG(緑)成分の時系列データ、x(B)をB(青)成分の時系列データとする。このとき、特徴量計算部130は、色情報に対応する周波数スペクトルf(G)、f(B)を、FFTを処理する関数FFTを用いて、数式1のように計算する。ここで、iは時間を、jは周波数を表す。
(数1)
【0054】

次に、なりすましスコア算出部140は、数式1の周波数スペクトルf(G)、f(B)から、数式2に従って指標F、Fを算出する。なお、数式2のν、ν、νは、指標F、Fの計算に使用するスペクトルの周波数範囲を示している。νからνの範囲は、人の脈拍に相当する周波数の範囲、νからνの範囲は、脈拍以外の成分、つまりノイズ成分に相当する周波数の範囲を示す。指標F、Fはそれぞれ、脈拍に相当する周波数スペクトルとノイズに相当する周波数スペクトルの比を表す。
(数2)
【0055】

なりすましスコア算出部140は、最終的に、以下の数式3に従ってなりすましであるかを表すスコアJを算出する。分子のF−Fは、青成分に比べて、緑成分の脈伯に相当する周波数スペクトルの比率が高い場合、低い値となることを示す。F+Fで除算することで、スコアJは、−1から+1までの範囲の値を取り、Jの値が大きければなりすましである可能性が高いことを示す。
(数3)
【0056】
なりすまし判定部150は、なりすましスコア算出部140が算出したスコアJと所定の閾値とを比較することで、顔画像列入力部110によって入力された顔画像列に含まれる顔がなりすましであるか否かを判定する(ステップS115)。
【0057】
上記の具体例において、なりすましスコア算出部140で算出するスコアは、顔画像列入力部110で入力した顔画像列が、真の人間の顔であればそのスコアは低く、変装用マスクを装着している等の真の人間の顔でなければそのスコアが高くなるように設計されている。そのため、なりすましスコア算出部140で算出するスコアと所定の閾値とを比較し、スコアが所定の閾値より低ければ人間の顔、スコアが所定の閾値よりも高ければなりすましであると判定する。
【0058】
なりすまし判定部150で用いられる所定の閾値は、用途によって変化させても良い。
例えば、変装用マスクを装着した人物を取り逃すことが致命的である用途では、閾値を低めに設定すると良い。反対に、真の人間が誤ってなりすましであると判定されることが問題である用途では、閾値を高めに設定すると良い。
【0059】
なお、上述したなりすましスコアの算出方法はあくまで一例であり、上記の方法に限定されない。特徴量計算部130、なりすましスコア算出部140及びなりすまし判定部150は、所定の色情報に関するパラメータであって、上記の具体例とは異なる特徴量、スコア及び閾値によってなりすましを判定しても良い。
【0060】
<第2実施形態>
次に図6を参照して、本発明の第2実施形態に係るなりすまし検知装置2の機能構成を説明する。
【0061】
図6は、なりすまし検知装置2の構成を示すブロック図である。図6に示すように、なりすまし検知装置2は、データ処理装置200を含む。データ処理装置200は、入力部210と判定部220とを含む。
【0062】
入力部210は、所定の時間の顔画像列を入力する。
【0063】
判定部220は、顔画像列から抽出された所定の色情報の時間的な変化に基づいて、当該顔画像列に含まれる顔がなりすましであるか否かを判定する。
【0064】
第2実施形態に係るプログラムは、上記各動作をコンピュータに実行させるプログラムであれば良い。
【0065】
以上説明したように、第2実施形態に係るなりすまし検知装置、なりすまし検知方法及びプログラム記録媒体によれば、精巧な変装用マスクを装着した場合においても、なりすましであることを正しく検知することが可能となる。
【0066】
なお、上述の各実施形態のなりすまし検知装置を構成する各部は、制御部、メモリ、メモリにロードされたプログラム、プログラムを格納するハードディスク等の記憶ユニット、ネットワーク接続用インターフェース等からなり、ハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。
【0067】
制御部は、CPU(Central Processing Unit)等からなり、オペレーティングシステムを動作させてなりすまし検知装置の全体を制御する。また、制御部は、例えばドライブ装置等に装着された記録媒体からメモリにプログラムやデータを読み出し、これにしたがって各種の処理を実行する。
【0068】
記録媒体は、例えば光ディスク、フレキシブルディスク、磁気光ディスク、外付けハードディスク、半導体メモリ等であって、コンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能に記録する。また、コンピュータプログラムは、通信網に接続されている図示しない外部コンピュータからダウンロードされても良い。
【0069】
また、図1及び図6は、ハードウェア単位の構成ではなく、機能単位のブロックを示している。これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの任意の組み合わせによって実現される。また、これらの図においては、各実施形態の構成部は物理的に結合した一つの装置により実現されるよう記載されているが、その実現手段は特に限定されない。すなわち、二つ以上の物理的に分離した装置を有線または無線で接続し、これら複数の装置により、各実施形態のシステムを実現しても良い。
【0070】
以上、各実施形態及び具体例を参照して本発明を説明したが、本発明は以上の実施形態及び具体例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で同業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0071】
<実施形態の他の表現>
上記の各実施形態においては、以下に示すような情報処理装置、情報処理方法及びプログラムの特徴的構成が示されている(以下のように限定されるわけではない)。
【0072】
(付記1)
所定の時間の顔画像列を入力する入力部と、
前記顔画像列から抽出された所定の色情報の時間的な変化に基づいて、当該顔画像列に含まれる顔がなりすましであるか否かを判定する判定部と、
を含む情報処理装置。
【0073】
(付記2)
前記判定部は、前記所定の色情報の時間的な変化が、人の脈拍に基づくものではない場合、なりすましであると判定する、
付記1に記載の情報処理装置。
【0074】
(付記3)
前記所定の色情報は、緑色成分と青色成分の色情報である、
付記1又は2に記載の情報処理装置。
【0075】
(付記4)
前記所定の色情報は、前記顔画像列のそれぞれの顔画像毎の顔画像全体の緑色成分と青色成分のそれぞれの平均値である、
付記3に記載の情報処理装置。
【0076】
(付記5)
前記所定の色情報は、前記顔画像列のそれぞれの顔画像に含まれる顔の部位毎に重みを付けた、顔画像全体の緑色成分と青色成分のそれぞれの重み付け平均値である、
付記3に記載の情報処理装置。
【0077】
(付記6)
前記入力部によって入力された前記顔画像列から、所定の色情報を抽出する色抽出部と、
前記所定の色情報に対応する特徴量をそれぞれ計算する特徴量計算部と、
前記特徴量から、所定の評価関数に従ってなりすましであるかを表すスコアを算出するスコア算出部と、
をさらに含み、
前記判定部は、前記スコアと所定の閾値とを比較することで、入力された前記顔画像列に含まれる顔がなりすましであるか否かを判定する、
付記1〜5のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【0078】
(付記7)
前記特徴量計算部は、前記所定の色情報に対応する周波数スペクトルを特徴量として計算する、
付記6に記載の情報処理装置。
【0079】
(付記8)
前記スコア算出部は、前記周波数スペクトルから、第1の周波数区間のスペクトル強度の総和と第2の周波数区間のスペクトル強度の総和の比をそれぞれ計算し、緑色成分と青色成分の二つの色情報からそれぞれ算出された比の値を比較することで、なりすましであるかを表すスコアを算出する、
付記7に記載の情報処理装置。
【0080】
(付記9)
所定の時間の顔画像列を入力し、
前記顔画像列から抽出された所定の色情報の時間的な変化に基づいて、当該顔画像列に含まれる顔がなりすましであるか否かを判定する、
情報処理方法。
【0081】
(付記10)
前記所定の色情報の時間的な変化が、人の脈拍に基づくものではない場合、なりすましであると判定する、
付記9に記載の情報処理方法。
【0082】
(付記11)
前記所定の色情報は、緑色成分と青色成分の色情報である、
付記9又は10に記載の情報処理方法。
【0083】
(付記12)
前記所定の色情報は、前記顔画像列のそれぞれの顔画像毎の顔画像全体の緑色成分と青色成分のそれぞれの平均値である、
付記11に記載の情報処理方法。
【0084】
(付記13)
前記所定の色情報は、前記顔画像列のそれぞれの顔画像に含まれる顔の部位毎に重みを付けた、顔画像全体の緑色成分と青色成分のそれぞれの重み付け平均値である、
付記11に記載の情報処理方法。
【0085】
(付記14)
前記入力された前記顔画像列から、所定の色情報を抽出し、
前記所定の色情報に対応する特徴量をそれぞれ計算し、
前記特徴量から、所定の評価関数に従ってなりすましであるかを表すスコアを算出し、 前記判定は、前記スコアと所定の閾値とを比較することで、入力された前記顔画像列に含まれる顔がなりすましであるか否かを判定することで行われる、
付記9〜13のいずれか1項に記載の情報処理方法。
【0086】
(付記15)
前記特徴量の計算は、前記所定の色情報に対応する周波数スペクトルを特徴量として行われる、
付記14に記載の情報処理方法。
【0087】
(付記16)
前記スコアの算出は、前記周波数スペクトルから、第1の周波数区間のスペクトル強度の総和と第2の周波数区間のスペクトル強度の総和の比をそれぞれ計算し、緑色成分と青色成分の二つの色情報からそれぞれ算出された比の値を比較することで行われる、
付記15に記載の情報処理方法。
【0088】
(付記17)
所定の時間の顔画像列を入力する入力処理と、
前記顔画像列から抽出された所定の色情報の時間的な変化に基づいて、当該顔画像列に含まれる顔がなりすましであるか否かを判定する判定処理と、
をコンピュータに実行させるプログラム。
【0089】
(付記18)
前記判定処理は、前記所定の色情報の時間的な変化が、人の脈拍に基づくものではない場合、なりすましであると判定する処理である、
付記17に記載のプログラム。
【0090】
(付記19)
前記所定の色情報は、緑色成分と青色成分の色情報である、
付記17又は18に記載のプログラム。
【0091】
(付記20)
前記所定の色情報は、前記顔画像列のそれぞれの顔画像毎の顔画像全体の緑色成分と青色成分のそれぞれの平均値である、
付記19に記載のプログラム。
【0092】
(付記21)
前記所定の色情報は、前記顔画像列のそれぞれの顔画像に含まれる顔の処理位毎に重みを付けた、顔画像全体の緑色成分と青色成分のそれぞれの重み付け平均値である、
付記19に記載のプログラム。
【0093】
(付記22)
前記入力処理によって入力された前記顔画像列から、所定の色情報を抽出する色抽出処理と、
前記所定の色情報に対応する特徴量をそれぞれ計算する特徴量計算処理と、
前記特徴量から、所定の評価関数に従ってなりすましであるかを表すスコアを算出するスコア算出処理と、
をさらに含み、
前記判定処理は、前記スコアと所定の閾値とを比較することで、入力された前記顔画像列に含まれる顔がなりすましであるか否かを判定する処理である、
付記17〜21のいずれか1項に記載のプログラム。
【0094】
(付記23)
前記特徴量計算処理は、前記所定の色情報に対応する周波数スペクトルを特徴量として計算する処理である、
付記22に記載のプログラム。
【0095】
(付記24)
前記スコア算出処理は、前記周波数スペクトルから、第1の周波数区間のスペクトル強度の総和と第2の周波数区間のスペクトル強度の総和の比をそれぞれ計算し、緑色成分と青色成分の二つの色情報からそれぞれ算出された比の値を比較することで、なりすましであるかを表すスコアを算出する処理である、
付記23に記載のプログラム。
【0096】
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
【0097】
この出願は、2014年2月12日に出願された日本出願特願2014−024655を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明に係る情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムは、顔認証を用いたシステムのセキュリティレベルを向上する目的に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0099】
1、2 なりすまし検知装置
100、200 データ処理装置
110 顔画像列入力部
120 色情報抽出部
130 特徴量計算部
140 なりすましスコア算出部
150 なりすまし判定部
210 入力部
220 判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6