特許第6863452号(P6863452)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6863452二次電池用電極の製造方法および二次電池の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863452
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】二次電池用電極の製造方法および二次電池の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20210412BHJP
   H01M 10/058 20100101ALI20210412BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20210412BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20210412BHJP
【FI】
   H01M4/139
   H01M10/058
   H01M10/052
   H01M10/0566
【請求項の数】10
【全頁数】29
(21)【出願番号】特願2019-511076(P2019-511076)
(86)(22)【出願日】2018年2月8日
(86)【国際出願番号】JP2018004385
(87)【国際公開番号】WO2018186017
(87)【国際公開日】20181011
【審査請求日】2019年9月6日
(31)【優先権主張番号】特願2017-74381(P2017-74381)
(32)【優先日】2017年4月4日
(33)【優先権主張国】JP
(31)【優先権主張番号】特願2017-225612(P2017-225612)
(32)【優先日】2017年11月24日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(72)【発明者】
【氏名】乙幡 牧宏
(72)【発明者】
【氏名】吉田 登
【審査官】 近藤 政克
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−229479(JP,A)
【文献】 特開2008−198596(JP,A)
【文献】 特開2008−034215(JP,A)
【文献】 特開平09−223499(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 4/139
H01M 10/052
H01M 10/0566
H01M 10/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の正極および負極として用いられる電極の製造方法であって、
集電体の表面に第1層用スラリーを塗工する工程と、
前記第1層用スラリーが乾燥する前に、前記第1層用スラリー上に第2層用スラリーを塗工する工程と、
前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーの塗工後、前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーを乾燥させ、前記集電体上に第1層および第2層がこの順に積層された積層構造を得る工程と、
を含み、
前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーの粘度は、25℃においてせん断速度1/secで測定したとき、前記第1層用スラリーの粘度が12000mPa・s以上、かつ/または前記第2層用スラリーの粘度が4000mPa・s以上である、
二次電池用電極の製造方法。
【請求項2】
前記第2層用スラリーの前記粘度が4000mPa・s以上であり、かつ、前記第1層用スラリーの前記粘度は5000mPa・s以上である請求項1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項3】
前記第1層用スラリーおよび/または前記第2層用スラリーは、25℃においてせん断速度5/secで測定したときの粘度が、25℃においてせん断速度1/secで測定したときの前記粘度の半分以下である請求項1または2に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項4】
記第1層は活物質層であり、かつ、前記第2層は絶縁層である、請求項1から3のいずれか一項に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項5】
前記第1層は、高密着活物質層、低抵抗活物質層または導電層である、請求項1から3のいずれか一項に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項6】
前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーは、主材、バインダおよび溶媒を含む請求項1から5のいずれか一項に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項7】
前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーは、前記バインダの主成分が同じである請求項6に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項8】
前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーは、前記溶媒の主成分が同じである請求項6または7に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項9】
前記第2層用スラリーの固形分比が30%以上である請求項1からのいずれか一項に記載の二次電池用電極の製造方法。
【請求項10】
請求項1からのいずれか一項に記載の製造方法によって正極および負極を製造する工程と、
前記正極と前記負極とを対向配置し、電池要素を構成する工程と、
前記電池要素を、電解液とともに外装体に封入する工程と、
を有する二次電池の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池の正極および負極として用いられる電極の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ノート型コンピュータ、デジタルカメラ等のポータブル電子機器の電源として広く普及しており、さらには電気自動車の電源や家庭用の電源としての用途も拡大してきている。中でも、高エネルギー密度で軽量なリチウムイオン二次電池は、現在の生活に欠かせないエネルギー蓄積デバイスとなっている。
【0003】
二次電池も含め、一般的な電池は、セパレータを間において電極である正極と負極とを対向させた構造を有している。正極および負極は、シート状の集電体と、その両面に形成された活物質層とを有している。セパレータは、正極と負極との短絡を防ぎ、かつ、正極と負極との間でイオンを効果的に移動させる役割を果たす。従来、セパレータとして、ポリプロピレンやポリエチレン材料からなるポリオレフィン系の微多孔質セパレータが主として用いられている。しかし、ポリプロピレンやポリエチレン材料の融点は一般に110℃〜160℃である。そのため、ポリオレフィン系のセパレータを高エネルギー密度の電池に用いた場合、電池の高温時にセパレータが溶融し、広い面積で電極間での内部短絡が発生し、電池が発煙、発火するおそれがある。
【0004】
そこで、二次電池の安全性を向上させるために、以下に示すような技術が知られている。特許文献1(特許第3622383号公報)には、集電体上に電極材料層および保護層を、それぞれの塗布液を集電体上に同時に塗布し乾燥することによって、これらが積層された構造を有する二次電池の電極を製造する技術が記載されている。
【0005】
特許文献2(特開2013−191550号公報)には、集電体上に形成された活物質層と、この活物質層上に形成された多孔質絶縁層とを有する二次電池用電極が記載されている。特許文献3(特開2014−211945号公報)には、集電体の表面に、活物質の合剤層を形成し、その表面に、リチウムの受け入れ性が向上する表面層を形成した、二次電池用電極が記載されている。合剤層と表面層との界面の最大高さ粗さが2〜25μmであり、かつ、表面層の厚みを3〜20μmとすることにより、合剤層と表面層との密着強度が担保させ、かつ、安全性と充電特性に優れた二次電池用電極が提供される。
【0006】
特許文献4(国際公開第2015/045533号)にも、二次電池用の電極の製造方法として、集電体の表面に電極材層を形成し、その表面に絶縁層を形成することが記載されている。より詳しくは、集電体の表面に電極材スラリーを塗布した後、このスラリーに含まれるバインダ成分を析出させる固化液を塗布して電極材スラリーの表面を固化する。その後、表面が固化した電極材スラリー上に絶縁材スラリーを塗布する。最後に、電極材スラリーおよび絶縁材スラリーを乾燥させ、これによって集電体上に電極材層および絶縁層が積層した構成を得る。あるいは、集電体上に電極材スラリーを塗布した後、電極材スラリーのバインダを析出させる第1成分を含む絶縁材スラリーを塗布する。次いで、電極材スラリーのバインダを析出させる第2成分を含む固化液を電極材スラリーに供給して電極材スラリーを固化する。最後に、電極材スラリーおよび絶縁材スラリーを乾燥させ、れによって集電体上に電極材層および絶縁層が積層した構成を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3622383号公報
【特許文献2】特開2013−191550号公報
【特許文献3】特開2014−211945号公報
【特許文献4】国際公開第2015/045533号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、活物質層の塗布液が乾燥する前に絶縁層の塗布液を塗布するので、活物質層と絶縁層との界面付近で両方の塗布液が混合し、活物質層と絶縁層とは界面で混合部を形成する。両層の局所的な混合は、両層の密着力向上のためには望ましい。しかし大幅な混合は、充放電容量の減少、電池抵抗の上昇、絶縁効果の減少などの原因となるおそれがある。両層の混合を抑制するためには、特許文献2に記載のように、活物質層の乾燥後に絶縁層を形成すればよいが、その場合は電極の製造工程が煩雑になる。
【0009】
あるいは、活物質層と絶縁層との混合を抑制するために、特許文献3に記載のように、両層の界面の最大高さ粗さを規定することも考えられるが、実際の電極の製造において、両層の界面の最大高さ粗さが特定の範囲内になるように管理するのは極めて困難である。
【0010】
一方、特許文献4に記載の製造方法では、電極材スラリーを固化させる固化液を供給する工程が必要であり、特許文献2に記載の製造方法と同様、電極製造工程が煩雑になってしまう。
【0011】
本発明の目的は、集電体上に第1層および第2層が積層された二次電池用電極を製造するに際し、第1層の乾燥前に第2層を形成しつつ、第1層と第2層との混合が抑制される二次電池用電極の製造方法および二次電池の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の二次電池用電極の製造方法は、二次電池の正極および負極として用いられる電極の製造方法であって、
集電体の表面に第1層用スラリーを塗工する工程と、
前記第1層用スラリーが乾燥する前に、前記第1層用スラリー上に第2層用スラリーを塗工する工程と、
前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーの塗工後、前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーを乾燥させ、前記集電体上に第1層および第2層がこの順に積層された積層構造を得る工程と、
を含み、
前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーの粘度は、25℃においてせん断速度1/secで測定したとき、前記第1層用スラリーの粘度が12000mPa・s以上、かつ/または前記第2層用スラリーの粘度が4000mPa・s以上である。
【0013】
また、前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーの粘度は、25℃においてせん断速度1/secで測定したとき、前記第1層用スラリーの粘度が5000mPa・s以上であり、かつ、前記第2層用スラリーの粘度が4000mPa・s以上である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、集電体上に第1層および第2層が積層された構造を有する電極を、第1層と第2層との界面での混合を抑制しつつ、効率的に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態による電池の分解斜視図である。
図2図1に示す電池要素の断面図である。
図3図2に示す正極および負極の構造を説明する模式的断面図である。
図4A】電池要素における正極および負極の配置の一例を示す断面図である。
図4B】電池要素における正極および負極の配置の他の例を示す断面図である。
図4C】電池要素における正極および負極の配置の他の例を示す断面図である。
図5】本発明の他の形態による二次電池の分解斜視図である。
図6図2に示す構造を有する電極を製造する電極製造装置の一実施形態の模式図である。
図6A】電極製造装置の他の形態の模式図である。
図6B】電極製造装置の他の形態の模式図である。
図7】二次電池を備えた電気自動車の一例を示す模式図である。
図8】二次電池を備えた蓄電装置の一例を示す模式図である。
図9】本発明の実験例による絶縁性評価結果を示すグラフである。
図10】本発明の実験例による混合度評価結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1を参照すると、電池要素10と、電池要素10を電解液とともに内包する外装体と、を有する、本発明の一実施形態による電池1の分解斜視図が示されている。外装体は、電池要素10をその厚さ方向両側から挟んで包囲し、外周部が互いに接合されることで電池要素10および電解液を封止する外装材21、22を有する。電池要素10には、正極端子31および負極端子32がそれぞれ外装体から一部を突出させて接続されている。
【0017】
電池要素10は、図2に示すように、複数の正極11と複数の負極12とが交互に位置するように対向配置された構成を有する。また、正極11と負極12との間には、正極11と負極12との間でのイオン伝導を確保しつつ正極11と負極12との短絡を防止するセパレータ13を有することができるが、セパレータ13は本形態では必須ではない。
【0018】
正極11および負極12の構造について、図3をさらに参照して説明する。なお、図3に示す構造は、正極11および負極12を特に区別していないが、正極11および負極12のどちらにも適用し得る構造である。正極11および負極12(これらを区別しない場合は総称して「電極」ともいう)は、金属箔で形成することができる集電体110と、集電体110の片面または両面に形成された活物質層111と、を有している。活物質層111は、好ましくは平面視矩形状に形成されており、集電体110は、活物質層111が形成された領域から延びる延長部110aを有する形状とされている。
【0019】
正極11の延長部110aと負極12の延長部110aとは、正極11と負極12とが積層された状態において互いに重ならない位置に形成されている。ただし、正極11の延長部110a同士および負極12の延長部110a同士は、それぞれ互いに重なる位置とされる。このような延長部110aの配置により、複数の正極11は、それぞれの延長部110aが一つに集められて溶接されることによって正極タブ10aを形成する。同様に、複数の負極12は、それぞれの延長部110aが一つに集められて溶接されることによって負極タブ10bを形成する。正極端子31は正極タブ10aに電気的に接続され、負極端子32は負極タブ10bに電気的に接続される。
【0020】
正極11および負極12の少なくとも一方は、活物質層111上に形成された絶縁層112をさらに有する。絶縁層112は、平面視において活物質層111を露出させない領域に形成されており、延長部110aの一部を覆うように形成されていてもよい。活物質層111が集電体110の両面に形成されている場合、絶縁層112は、両方の活物質層111上に形成されてもよいし、片方の活物質層111上のみに形成されてもよい。
【0021】
このような構造を有する正極11および負極12の配置のいくつかの例を図4A図4Cに示す。図4Aに示す配置では、両面に絶縁層112を有する正極11と、絶縁層を有していない負極12とが交互に積層されている。図4Bに示す配置では、片面のみに絶縁層112を有する正極11および負極12が、それぞれの絶縁層112同士が対向しない向きで配置されて交互に積層されている。図4Cに示す配置では、両面に絶縁層112を有する正極11と、両面に絶縁層112を有する負極12とが交互に積層されている。
【0022】
これら図4A図4Cに示す構造では、正極11と負極12との間に絶縁層112が存在しているので、セパレータ13を不要とすることができる。なお、正極11および負極12は打ち抜き加工等によって所定の形状とされるが、この際に大きなバリが生じることがある。よって、セパレータを不要とする場合は、このような大きなバリによる正極11と負極1との短絡を防止するために、正極11および負極12は、それぞれ両面に絶縁層112を有することが好ましい。
【0023】
正極11および負極12の構造および配置は上記の例に限定されるものではなく、正極11および負極12の少なくとも一方の少なくとも片面に絶縁層112を有し、正極11と負極12との間に絶縁層112が存在するように正極11および負極12が配置されている限り、種々の変更が可能である。例えば、図4Aおよび図4Bに示した構造において、正極11と負極12との関係を逆にすることも可能である。
【0024】
図示したような平面的な積層構造を有する電池要素10は、曲率半径の小さい部部分(巻回構造の巻き芯に近い領域)がないため、巻回構造を持つ電池要素に比べて、充放電に伴う電極の体積変化に対する影響を受けにくいという利点がある。すなわち、体積膨張を起こしやすい活物質を用いた電池要素に有効である。
【0025】
なお、図1および2に示した形態では、正極端子31および負極端子32が互いに反対方向に引き出されているが、正極端子31および負極端子32の引き出し方向は任意であってよい。例えば、図5に示すように、電池要素10の同じ辺から正極端子31および負極端子32が引き出されていてもよいし、図示しないが、電池要素10の隣り合う2辺から正極端子31および負極端子32が引き出されていてもよい。いずれの場合でも、正極タブ10aおよび負極タブ10bは、正極端子31および負極端子32が引き出される方向に対応した位置に形成することができる。
【0026】
また、図示した形態では、複数の正極11および複数の負極12を有する積層構造の電池要素10を示した。しかし、巻回構造を有する電池要素においては、正極11の数および負極12の数はそれぞれ1つずつであってもよい。
【0027】
ここで、電池要素10を構成する各要素および電解液について詳細に説明する。なお、以下の説明では、特に限定されるものではないが、リチウムイオン二次電池における各要素について説明する。
【0028】
[1]負極
負極は、例えば、負極活物質が負極用結着剤によって負極集電体に結着され、負極活物質が負極活物質層として負極集電体上に積層された構造を有する。本実施形態における負極活物質は、充放電に伴いリチウムイオンを可逆的に吸蔵及び放出が可能な材料であれば、本発明の効果を著しく損なわない限り任意のものを用いることができる。通常は、正極の場合と同様に、負極も集電体上に負極活物質層を設けて構成されたものを用いる。なお、正極と同様に、負極も適宜その他の層を備えていてもよい。
【0029】
負極活物質としては、リチウムイオンの吸蔵放出が可能な材料であれば他に制限は無く、公知の負極活物質を任意に用いることができる。例えば、コークス、アセチレンブラック、メゾフェーズマイクロビーズ、グラファイト等の炭素質材料;リチウム金属;リチウム−シリコン、リチウム−スズ等のリチウム合金、チタン酸リチウムなどを使用することが好ましい。これらの中でもサイクル特性及び安全性が良好でさらに連続充電特性も優れている点で、炭素質材料を使用するのが最も好ましい。なお、負極活物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
【0030】
さらに、負極活物質の粒径は、本発明の効果を著しく損なわない限り任意であるが、初期効率、レ−ト特性、サイクル特性等の電池特性が優れる点で、通常1μm以上、好ましくは15μm以上であり、通常50μm以下、好ましくは30μm以下程度である。また、例えば、上記の炭素質材料をピッチ等の有機物で被覆した後で焼成したもの、CVD法等を用いて表面に上記炭素質材料よりも非晶質の炭素を形成したものなども、炭素質材料として好適に使用することができる。ここで、被覆に用いる有機物としては、軟ピッチから硬ピッチまでのコールタールピッチ;乾留液化油等の石炭系重質油;常圧残油、減圧残油等の直留系重質油;原油、ナフサ等の熱分解時に副生する分解系重質油(例えばエチレンヘビーエンド)等の石油系重質油が挙げられる。また、これらの重質油を200〜400℃で蒸留して得られた固体状残渣物を、1〜100μmに粉砕したものも使用することができる。さらに塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂なども使用することができる。
【0031】
本発明の一形態において、負極は、金属および/または金属酸化物ならびに炭素を負極活物質として含む。金属としては、例えば、Li、Al、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La、またはこれらの2種以上の合金等が挙げられる。また、これらの金属又は合金は2種以上混合して用いてもよい。また、これらの金属又は合金は1種以上の非金属元素を含んでもよい。
【0032】
金属酸化物としては、例えば、酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化リチウム、またはこれらの複合物等が挙げられる。本実施形態では、負極活物質として酸化スズもしくは酸化シリコンを含むことが好ましく、酸化シリコンを含むことがより好ましい。これは、酸化シリコンが、比較的安定で他の化合物との反応を引き起こしにくいからである。また、金属酸化物に、窒素、ホウ素および硫黄の中から選ばれる一種または二種以上の元素を、例えば0.1〜5質量%添加することもできる。こうすることで、金属酸化物の電気伝導性を向上させることができる。また、金属や金属酸化物を、たとえば蒸着などの方法で、炭素等の導電物質を用いて被覆することでも、同様に電気伝導度を向上させることができる。
【0033】
炭素としては、例えば、黒鉛、非晶質炭素、ダイヤモンド状炭素、カーボンナノチューブ、またはこれらの複合物等が挙げられる。ここで、結晶性の高い黒鉛は、電気伝導性が高く、銅などの金属からなる負極集電体との接着性および電圧平坦性が優れている。一方、結晶性の低い非晶質炭素は、体積膨張が比較的小さいため、負極全体の体積膨張を緩和する効果が高く、かつ結晶粒界や欠陥といった不均一性に起因する劣化が起きにくい。
【0034】
金属および金属酸化物は、リチウムの受容能力が炭素に比べて遥かに大きいことが特徴である。したがって、負極活物質として金属および金属酸化物を多く使用することで電池のエネルギー密度を改善することができる。高エネルギー密度を達成するため、負極活物質中の金属および/または金属酸化物の含有比率が高い方が好ましい。金属および/または金属酸化物は、多いほど負極全体としての容量が増加するので好ましい。金属および/または金属酸化物は、負極活物質の0.01質量%以上の量で負極に含まれることが好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。しかしながら、金属および/または金属酸化物は、炭素にくらべてリチウムを吸蔵・放出した際の体積変化が大きくなり、電気的な接合が失われる場合があることから、99質量%以下、好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。上述した通り、負極活物質は、負極中の充放電に伴いリチウムイオンを可逆的に受容、放出可能な材料であり、それ以外の結着剤などは含まない。
【0035】
負極活物質層は、例えば、上述の負極活物質をロール成型してシート電極としたり、圧縮成型によりペレット電極としたりすることも可能であるが、通常は、上述の負極活物質と、結着剤(バインダ)と、必要に応じて各種の助剤等とを、溶媒でスラリー化してなる塗布液を、集電体に塗布し、乾燥することにより製造することができる。
【0036】
負極用結着剤としては、特に制限されるものではないが、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフルオライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、アクリル、アクリル酸、アクリル酸ナトリウム、ポリイミド、ポリアミドイミド等を用いることができる。前記のもの以外にも、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。SBR系エマルジョンのような水系の結着剤を用いる場合、カルボキシメチルセルロース(CMC)等の増粘剤を用いることもできる。使用する負極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、負極活物質100質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましい。上記の負極用結着剤は、混合して用いることもできる。
【0037】
負極集電体の材質としては、公知のものを任意に用いることができるが、電気化学的な安定性から、例えば、銅、ニッケル、ステンレス、アルミニウム、クロム、銀およびそれらの合金等の金属材料が好ましく用いられる。中でも加工し易さとコストの点から特に銅が好ましい。また、負極集電体も、予め粗面化処理しておくのが好ましい。さらに、集電体の形状も任意であり、箔状、平板状、メッシュ状等が挙げられる。また、エキスパンドメタルやパンチングメタルのような穴あきタイプの集電体を使用することもできる。
【0038】
負極の作製方法としては、例えば、負極集電体上に、負極活物質と負極用結着剤を含む負極活物質層を形成することで作製することができる。負極活物質層の形成方法としては、例えば、ドクターブレード法、ダイコーター法、CVD法、スパッタリング法などが挙げられる。予め負極活物質層を形成した後に、蒸着、スパッタ等の方法でアルミニウム、ニッケルまたはそれらの合金の薄膜を形成して、負極集電体としてもよい。
【0039】
負極活物質を含む塗工層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、鱗片状、煤状、繊維状の炭素質微粒子等、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相法炭素繊維(昭和電工製VGCF(登録商標))等が挙げられる。
【0040】
[2]正極
正極とは、電池内における高電位側の電極のことをいい、一例として、充放電に伴いリチウムイオンを可逆的に吸蔵、放出可能な正極活物質を含み、正極活物質が正極結着剤により一体化された正極活物質層として集電体上に積層された構造を有する。本発明の一形態において、正極は、単位面積当たりの充電容量を3mAh/cm以上有し、好ましくは3.5mAh/cm以上有する。また、安全性の観点などから単位面積当たりの正極の充電容量が、15mAh/cm以下であることが好ましい。ここで、単位面積当たり充電容量とは、活物質の理論容量から計算される。すなわち、単位面積当たりの正極の充電容量は、(正極に用いられる正極活物質の理論容量)/(正極の面積)によって計算される。なお、正極の面積とは、正極両面ではなく片面の面積のことを言う。
【0041】
本実施形態における正極活物質としては、リチウムを吸蔵放出し得る材料であれば特に限定されず、いくつかの観点から選ぶことができる。高エネルギー密度化の観点からは、高容量の化合物であることが好ましい。高容量の化合物としては、ニッケル酸リチウム(LiNiO)のNiの一部を他の金属元素で置換したリチウムニッケル複合酸化物が挙げられ、下式(A)で表される層状リチウムニッケル複合酸化物が好ましい。
LiNi(1−x) (A)
(但し、0≦x<1、0<y≦1.2、MはCo、Al、Mn、Fe、Ti及びBからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である。)
【0042】
高容量の観点では、Niの含有量が高いこと、即ち式(A)において、xが0.5未満が好ましく、さらに0.4以下が好ましい。このような化合物としては、例えば、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.7、γ≦0.2)、LiαNiβCoγAlδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、β≧0.6好ましくはβ≧0.7、γ≦0.2)などが挙げられ、特に、LiNiβCoγMnδ(0.75≦β≦0.85、0.05≦γ≦0.15、0.10≦δ≦0.20)が挙げられる。より具体的には、例えば、LiNi0.8Co0.05Mn0.15、LiNi0.8Co0.1Mn0.1、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.8Co0.1Al0.1等を好ましく用いることができる。
【0043】
また、熱安定性の観点では、Niの含有量が0.5を超えないこと、即ち、式(A)において、xが0.5以上とすることもできる。また特定の遷移金属が半数を超えないことも好ましい。このような化合物としては、LiαNiβCoγMnδ(0<α≦1.2好ましくは1≦α≦1.2、β+γ+δ=1、0.2≦β≦0.5、0.1≦γ≦0.4、0.1≦δ≦0.4)が挙げられる。より具体的には、LiNi0.4Co0.3Mn0.3(NCM433と略記)、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.5Co0.2Mn0.3(NCM523と略記)、LiNi0.5Co0.3Mn0.2(NCM532と略記)など(但し、これらの化合物においてそれぞれの遷移金属の含有量が10%程度変動したものも含む)を挙げることができる。
【0044】
また、式(A)で表される化合物を2種以上混合して使用してもよく、例えば、NCM532またはNCM523とNCM433とを9:1〜1:9の範囲(典型的な例として、2:1)で混合して使用することも好ましい。さらに、式(A)においてNiの含有量が高い材料(xが0.4以下)と、Niの含有量が0.5を超えない材料(xが0.5以上、例えばNCM433)とを混合することで、高容量で熱安定性の高い電池を構成することもできる。
【0045】
上記以外にも正極活物質として、例えば、LiMnO、LiMn(0<x<2)、LiMnO、LiMn1.5Ni0.5(0<x<2)等の層状構造またはスピネル構造を有するマンガン酸リチウム;LiCoOまたはこれらの遷移金属の一部を他の金属で置き換えたもの;これらのリチウム遷移金属酸化物において化学量論組成よりもLiを過剰にしたもの;及びLiFePOなどのオリビン構造を有するもの等が挙げられる。さらに、これらの金属酸化物をAl、Fe、P、Ti、Si、Pb、Sn、In、Bi、Ag、Ba、Ca、Hg、Pd、Pt、Te、Zn、La等により一部置換した材料も使用することができる。上記に記載した正極活物質はいずれも、1種を単独で、または2種以上を組合せて用いることができる。
【0046】
正極活物質層は、負極活物質層の場合と同様、例えば、上述の正極活物質をロール成型してシート電極としたり、圧縮成型によりペレット電極としたりすることも可能であるが、通常は、上述の正極活物質と、結着剤(バインダ)と、必要に応じて各種の助剤等とを、溶媒でスラリー化してなる塗布液を、集電体に塗布し、乾燥することにより製造することができる。
【0047】
正極用結着剤としては、負極用結着剤と同様のものを用いることができる。中でも、汎用性や低コストの観点から、ポリフッ化ビニリデンまたはポリテトラフルオロエチレンが好ましく、ポリフッ化ビニリデンがより好ましい。使用する正極用結着剤の量は、トレードオフの関係にある「十分な結着力」と「高エネルギー化」の観点から、正極活物質100質量部に対して、2〜10質量部が好ましい。
【0048】
正極活物質を含む塗工層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、鱗片状、煤状、線維状の炭素質微粒子等、例えば、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック、気相法炭素繊維(例えば、昭和電工製VGCF)等が挙げられる。
【0049】
正極集電体としては、負極集電体と同様のものを用いることができる。特に正極としては、アルミニウム、アルミニウム合金、鉄・ニッケル・クロム・モリブデン系のステンレスを用いた集電体が好ましい。
【0050】
正極活物質を含む正極活物質層には、インピーダンスを低下させる目的で、導電補助材を添加してもよい。導電補助材としては、グラファイト、カーボンブラック、アセチレンブラック等の炭素質微粒子が挙げられる。
【0051】
[3]絶縁層
(材質および作製方法等)
絶縁層は、正極または負極の活物質層の一部を被覆するように絶縁層用スラリー組成物を塗布し、溶媒を乾燥除去することにより形成することができる。絶縁層は電極の片面のみに形成してもよいが、両面に絶縁層を形成した場合(特に対称構造として)、電極のソリを低減できるという利点がある。
【0052】
絶縁層用スラリーは、多孔性の絶縁層を形成するためのスラリー組成物である。したがって、「絶縁層」は、「多孔質絶縁層」ということもできる。絶縁層用スラリーは、非導電性粒子と特定組成の結着剤(バインダ)とからなり、固形分として該非導電性粒子、該バインダ及び任意の成分を、溶媒に均一に分散したものである。
【0053】
非導電性粒子は、リチウムイオン二次電池の使用環境下で安定に存在し、電気化学的にも安定であることが望まれる。非導電性粒子としては、例えば各種の無機粒子、有機粒子やその他の粒子を使用することができる。中でも、無機酸化物粒子または有機粒子が好ましく、特に、粒子の熱安定性の高さから、無機酸化物粒子を使用することがより好ましい。粒子中の金属イオンは、電極付近で塩を形成することがあり、電極の内部抵抗の増大や二次電池のサイクル特性の低下の原因となるおそれがある。また、その他の粒子としては、カーボンブラック、グラファイト、SnO、ITO、金属粉末などの導電性金属及び導電性を有する化合物や酸化物の微粉末の表面を、非電気伝導性の物質で表面処理することによって、電気絶縁性を持たせた粒子が挙げられる。非導電性粒子として、上記粒子を2種以上併用して用いてもよい。
【0054】
無機粒子としては、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化チタン、BaTiO、ZrO、アルミナ−シリカ複合酸化物等の無機酸化物粒子;窒化アルミニウム、窒化硼素等の無機窒化物粒子;シリコン、ダイヤモンド等の共有結合性結晶粒子;硫酸バリウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム等の難溶性イオン結晶粒子;タルク、モンモリロナイトなどの粘土微粒子等が用いられる。これらの粒子は必要に応じて元素置換、表面処理、固溶体化等されていてもよく、また単独でも2種以上の組合せからなるものでもよい。これらの中でも電解液中での安定性と電位安定性の観点から無機酸化物粒子が好ましい。
【0055】
非導電性粒子の形状は、特に限定はされず、球状、針状、棒状、紡錘状、板状等であってもよい。
【0056】
好ましく用いられる板状の非導電性粒子、特に無機粒子としては、各種市販品が挙げられ、例えば、旭硝子エスアイテック社製「サンラブリー」(SiO)、石原産業社製「NST−B1」の粉砕品(TiO)、堺化学工業社製の板状硫酸バリウム「Hシリーズ」、「HLシリーズ」、林化成社製「ミクロンホワイト」(タルク)、林化成社製「ベンゲル」(ベントナイト)、河合石灰社製「BMM」や「BMT」(ベーマイト)、河合石灰社製「セラシュールBMT−B」[アルミナ(Al)]、キンセイマテック社製「セラフ」(アルミナ)、住友化学社製「AKPシリーズ」(アルミナ)、斐川鉱業社製「斐川マイカ Z−20」(セリサイト)などが入手可能である。この他、SiO、Al、ZrOについては、特開2003−206475号公報に開示の方法により作製することができる。
【0057】
非導電性粒子が球状である場合、非導電性粒子の平均粒子径は、好ましくは0.005〜10μm、より好ましくは0.1〜5μm、特に好ましくは0.3〜2μmの範囲にある。非導電性粒子の平均粒子径が上記範囲にあることで、絶縁層スラリーの分散状態の制御がしやすくなるため、均質な所定厚みの多孔質絶縁層の製造が容易になる。さらに、バインダとの接着性が向上し、多孔質絶縁層を巻回した場合であっても非導電性粒子の剥落が防止され、多孔質絶縁層を薄膜化しても十分な安全性を達成しうる。また、多孔質絶縁層中の粒子充填率が高くなることを抑制することができるため、多孔質絶縁層中のイオン伝導性が低下することを抑制することができる。さらにまた、多孔質絶縁層を薄く形成することができる。
【0058】
なお、非導電性粒子の平均粒子径は、SEM(走査電子顕微鏡)画像から、任意の視野において50個の一次粒子を任意に選択し、画像解析を行い、各粒子の円相当径の平均値として求めることができる。
【0059】
非導電性粒子の粒子径分布(CV値)は、好ましくは0.5〜40%、より好ましくは0.5〜30%、特に好ましくは0.5〜20%である。非導電性粒子の粒子径分布を上記範囲とすることにより、非導電性粒子間において所定の空隙を保つことができるため、本発明の二次電池中においてリチウムの移動を阻害し抵抗が増大することを抑制することができる。なお、非導電性粒子の粒子径分布(CV値)は、非導電性粒子の電子顕微鏡観察を行い、200個以上の粒子について粒子径を測定し、平均粒子径および粒子径の標準偏差を求め、(粒子径の標準偏差)/(平均粒子径)を算出して求めることができる。CV値が大きいほど、粒子径のバラツキが大きいことを意味する。
【0060】
絶縁層用スラリーに含まれる溶媒が非水系の溶媒の場合には、非水系の溶媒に分散または溶解するポリマーをバインダとして用いることができる。非水系溶媒に分散または溶解するポリマーとしてはポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリ3フッ化塩化エチレン(PCTFE)、ポリパーフルオロアルコキシフルオロエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミドなどが、バインダとして使用することができるが挙げられるがこれらに限定されない。
【0061】
この他にも活物質層の結着に用いるバインダを使用することができる。
【0062】
絶縁層用スラリーに含まれる溶媒が水系の溶媒(バインダの分散媒として水または水を主成分とする混合溶媒を用いた溶液)の場合には、水系の溶媒に分散または溶解するポリマーをバインダとして用いることができる。水系溶媒に分散または溶解するポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂が挙げられる。アクリル系樹脂としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、2‐ヒドロキシエチルメタクリレート、メチルメタアクリレート、エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート等のモノマーを1種類で重合した単独重合体が好ましく用いられる。また、アクリル系樹脂は、2種以上の上記モノマーを重合した共重合体であってもよい。さらに、上記単独重合体及び共重合体の2種類以上を混合したものであってもよい。上述したアクリル系樹脂のほかに、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリエチレン(PE)等のポリオレフィン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等を用いることができる。これらポリマーは、一種のみを単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。バインダの形態は特に制限されず、粒子状(粉末状)のものをそのまま用いてもよく、溶液状あるいはエマルション状に調製したものを用いてもよい。二種以上のバインダを、それぞれ異なる形態で用いてもよい。
【0063】
絶縁層は、上述した非導電性フィラーおよびバインダ以外の材料を必要に応じて含有することができる。そのような材料の例として、後述する絶縁層用スラリーの増粘剤として機能し得る各種のポリマー材料が挙げられる。特に水系溶媒を使用する場合、上記増粘剤として機能するポリマーを含有することが好ましい。該増粘剤として機能するポリマーとしてはカルボキシメチルセルロース(CMC)やメチルセルロース(MC)が好ましく用いられる。
【0064】
特に限定するものではないが、絶縁層全体に占める非導電性フィラーの割合はおよそ70質量%以上(例えば70質量%〜99質量%)が適当であり、好ましくは80質量%以上(例えば80質量%〜99質量%)であり、特に好ましくはおよそ90質量%〜95質量%である。
【0065】
また、絶縁層中のバインダの割合はおよそ1〜30質量%以下が適当であり、好ましくは5〜20質量%以下である。また、無機フィラー及びバインダ以外の絶縁層形成成分、例えば増粘剤を含有する場合は、該増粘剤の含有割合をおよそ10質量%以下とすることが好ましく、およそ7質量%以下することが好ましい。上記バインダの割合が少なすぎると、絶縁層自体の強度(保形性)、及び活物質層との密着性が低下して、ヒビや剥落等の不具合が生じうる。上記バインダの割合が多すぎると、絶縁層の粒子間の隙間が不足し、絶縁層のイオン透過性が低下する場合がある。
【0066】
絶縁層の空孔率(空隙率)(見かけ体積に対する空孔体積の割合)は、イオンの電導性を維持するために、好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上確保することが必要である。しかしながら、空孔率が高すぎると絶縁層の摩擦や衝撃などによる脱落や亀裂が生じることから、80%以下が好ましく、70%以下であれば更に好ましい。
【0067】
なお、空孔率は、絶縁層を構成する材料の比率と真比重および塗工厚みから計算することができる。
【0068】
(絶縁層の形成)
次に、絶縁層の形成方法について説明する。絶縁層を形成するための材料としては、非導電性フィラー、バインダおよび溶媒を混合分散したペースト状(スラリー状またはインク状を含む。以下同じ。)のものが用いられる。
【0069】
絶縁層用スラリーに用いられる溶媒としては、水または水を主体とする混合溶媒が挙げられる。かかる混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶媒(低級アルコール、低級ケトン等)の一種または二種以上を適宜選択して用いることができる。あるいは、N‐メチルピロリドン(NMP)、ピロリドン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、等の有機系溶媒またはこれらの2種以上の組み合わせであってもよい。絶縁層用スラリーにおける溶媒の含有率は特に限定されないが、塗料全体の40〜90質量%、特には50〜70質量%程度が好ましい。
【0070】
上記非導電性フィラー及びバインダを溶媒に混合させる操作は、ボールミル、ホモディスパー、ディスパーミル(登録商標)、クレアミックス(登録商標)、フィルミックス(登録商標)、超音波分散機などの適当な混練機を用いて行うことができる。
【0071】
絶縁層用スラリーを塗布する操作は、従来の一般的な塗布手段を特に限定することなく使用することができる。例えば、適当な塗布装置(グラビアコーター、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、ディップコート等)を使用して、所定量の絶縁層用スラリーを均一な厚さにコーティングすることにより塗布され得る。本形態のように粘度が高いスラリーを塗布する場合、これらの中でも、ポンプでスラリーを押し出して塗布する、スリットコーターおよびダイコーターが好ましい。
【0072】
その後、適当な乾燥手段で塗布物を乾燥することによって、絶縁層用スラリー中の溶媒を除去するとよい。
【0073】
(厚み)
絶縁層の厚みは、1μm以上30μm以下であることが好ましく、2μm以上15μm以下であることがより好ましい。
【0074】
[4]電解液
電解液は、特に限定されないが、電池の動作電位において安定な非水電解液が好ましい。非水電解液の具体例としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、フルオロエチレンカーボネート(FEC)、t−ジフルオロエチレンカーボネート(t−DFEC)、ブチレンカーボネート(BC)、ビニレンカーボネート(VC)、ビニルエチレンカーボネート(VEC)等の環状カーボネート類;アリルメチルカーボネート(AMC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジプロピルカーボネート(DPC)等の鎖状カーボネート類;プロピレンカーボネート誘導体;ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;γ―ブチロラクトン(GBL)等の環状エステル類、などの非プロトン性有機溶媒が挙げられる。非水電解液は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。また、スルホラン、フッ素化スルホラン、プロパンスルトン、プロペンスルトン等の含硫黄環状化合物を用いることが出来る。
【0075】
電解液中に含まれる支持塩の具体例としては、特にこれらに制限されるものではないが、LiPF、LiAsF、LiAlCl、LiClO、LiBF、LiSbF、LiCFSO、LiCSO、Li(CFSO、LiN(CFSO等のリチウム塩が挙げられる。支持塩は、一種を単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。
【0076】
[5]セパレータ
電池要素10が正極11と負極12との間にセパレータ13を有する場合、セパレータ13としては特に制限されず、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ素系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、セルロース等の多孔質フィルムや不織布、また、これらを基材としてシリカやアルミナ、ガラスなどの無機物を、付着もしくは接合したものや、単独で不織布や布として加工したものを用いることができる。セパレータ13の厚みは任意であってよい。ただし、高エネルギー密度の観点からは薄いほうが好ましく、例えば、10〜30μmとすることができる。
【0077】
本発明は、以上のリチウムイオン二次電池に限られず、どのような電池にも適用可能である。但し、熱の問題は、多くの場合、高容量化した電池において問題になることが多いため、本発明は、高容量化した電池、特にリチウムイオン二次電池に適用することが好ましい。
【0078】
次に、図3に示した電極の製造方法の一例を説明する。以下の説明では正極11と負極12とを特に区別せず「電極」として説明するが、正極11と負極12とは使用する材料や形状等が異なるだけであり、以下の説明は正極11および負極12のどちらにも適用可能である。
【0079】
電極は、最終的に集電体110上に活物質層111および絶縁層112がこの順番で積層された構造を有している。このような積層構造は、集電体110上に活物質層用スラリーを塗工する工程と、活物質用スラリーが乾燥する前に、活物質用スラリー上に絶縁層用スラリーを塗工する工程と、これらの塗工後、活物質用スラリーおよび絶縁層用スラリーを乾燥させて、集電体上に活物質層および絶縁層がこの順に積層された積層構造を得る工程と、を含む方法によって製造される。ここで、活物質用スラリーおよび絶縁層用スラリーの粘度は、25℃においてせん断速度1/secで測定したとき、活物質用スラリーの粘度が12000mPa・s以上、かつ/または絶縁層用スラリーの粘度が4000mPa・s以上である。または、活物質層用スラリーの粘度が5000mPa・s以上、かつ絶縁層用スラリーの粘度が4000mPa・s以上である。
【0080】
このように活物質層用スラリーの粘度および/または絶縁層用スラリーの粘度を調整することで、集電体上に塗工した活物質用スラリーが乾燥する前に絶縁層用スラリーを塗工して、活物質層および絶縁層を効率良く形成しつつ、活物質層と絶縁層との界面での混合が抑制される。このことにより、活物質層および絶縁層を必要以上に厚く塗工することなく、活物質層および絶縁層それぞれの役割を効果的に果たすことができる。具体的には、活物質層と絶縁層との界面での混合が抑制されることにより、得られた電極を使用した二次電池の充放電容量の減少および電池抵抗の上昇が抑制される。また、電極間の絶縁性も良好に保たれる。
【0081】
なお、活物質層用スラリーおよび絶縁層用スラリーの粘度が高すぎると、活物質層および絶縁層を均一な厚さで形成することが困難になる。また、スラリーの粘度が高すぎると、スラリーの取り扱いが困難となり、コーターでの塗工も難しくなる。そこで、活物質層および絶縁層の厚さの均一性を確保し、かつ、コーターでの塗工性を確保するためには、活物質層用スラリーおよび絶縁層用スラリーの上記の測定条件における粘度は、200000mPa・s以下であることが好ましい。
【0082】
上記で規定した粘度は、活物質層用スラリーおよび絶縁層用スラリーの塗工後の状態を想定した粘度であるが、塗工時の粘度が高すぎると、活物質層および/または絶縁層の塗工性が低下するおそれがある。そこで、活物質層用スラリーおよび/または絶縁層用スラリーは、25℃においてせん断速度5/secで測定したときの粘度が、25℃においてせん断速度1/secで測定した上記粘度の半分以下であることが好ましい。こうすることによって、塗工時の活物質層用スラリーおよび/または絶縁層用スラリーの流動性が確保され、効率の良い塗工か可能となる。
【0083】
活物質層と絶縁層との混合をより効果的に抑制するためには、活物質用スラリーを塗工した後、絶縁層用スラリーを塗工する前に、活物質層用スラリーの少なくとも表面を冷却することが好ましい。ここでいう活物質層用スラリーの冷却とは、塗工された活物質用スラリーの少なくとも表面を、塗工された活物質用スラリーの温度(通常、例えば5〜35℃の常温)以下とすることである。活物質層用スラリーの少なくとも表面が冷却された状態では、活物質層用スラリーの表面の実質的な粘度が高くなるので、そのような状態で活物質層用スラリー上に絶縁層用スラリーが塗工されることで、活物質層と絶縁層との混合をより効果的に抑制することができる。塗工された活物質用スラリーの冷却は、例えば、ファンなどを用いて、活物質用スラリーの温度以下の冷却風を、塗工された活物質用スラリーの表面に吹き付けることによって行うことができる。
【0084】
活物質層用スラリーと絶縁層用スラリーとがそれらの界面で混ざりにくくするという観点では、絶縁層用スラリーの固形分比を高くする(例えば、30%以上)ことが好ましい。絶縁層用スラリーの固形分比を高くすることによって、活物質層用スラリーと絶縁層用スラリーとがその界面で十分に混合する前に絶縁層用スラリーの乾燥が促進され、結果的に、活物質層用スラリーと絶縁層用スラリーとの界面での混合を抑制することができる。
【0085】
積層構造を得る工程では、絶縁層用スラリーの塗工完了から活物質用スラリーおよび絶縁層用スラリーの乾燥開始までの時間はできるだけ短い(例えば、10秒以下)ことが好ましい。この場合も、上記と同様、活物質層用スラリーと絶縁層用スラリーとがその界面で十分に混合する前に絶縁層用スラリーの乾燥が促進され、結果的に、活物質層用スラリーと絶縁層用スラリーとの界面での混合を抑制することができる。
【0086】
活物質層と絶縁層との密着力の観点からは、活物質層用スラリーおよび絶縁層用スラリーは、バインダの主成分が同じであるか、溶媒の主成分が同じであるか、またはこれらの両方が同じであることが好ましい。このように、活物質層用スラリーおよび絶縁層用スラリーのバインダの主成分および溶媒の主成分の少なくとも一方が同じであることにより、活物質層と絶縁層との密着力が向上する。
【0087】
電極の製造には、例えば図6に示す製造装置を用いることができる。図6に示す製造装置は、バックアップローラー201と、ダイコーター210と、乾燥炉203とを有する。
【0088】
バックアップローラー201は、その外周面上に長尺の集電体110を巻いた状態で回転することによって、集電体110の裏面を支持しながら、集電体110をバックアップローラー201の回転方向に送る。ダイコーター210は、それぞれバックアップローラー201の外周面に対してバックアップローラー201の半径方向および周方向に間隔をあけて配置された、第1のダイヘッド211および第2のダイヘッド212を有する。
【0089】
第1のダイヘッド211は、集電体110の表面に活物質層111を塗工するためのものであり、集電体110の送り方向に対して第2のダイヘッド212よりも上流側に位置している。第1のダイヘッド211のバックアップローラー201に対向する先端には、活物質層111の塗工幅に対応した幅を有する吐出口211aが開口しており、この吐出口211aから活物質層用スラリーが吐出される。活物質層用スラリーは、活物質材料の粒子とバインダ(結着剤)とを溶媒に分散させたものであり、これら活物質材料およびバインダを溶媒に分散させたものが用意されて第1のダイヘッド211に供給される。
【0090】
第2のダイヘッド212は、活物質層111の表面に絶縁層112を塗工するためのものであり、集電体110の送り方向に対して第1のダイヘッド211よりも下流側に位置している。第2のダイヘッド212のバックアップローラー201に対向する先端には、絶縁層112の塗工幅に対応した幅を有する吐出口212aが開口しており、この吐出口212aから絶縁層用スラリーが吐出される。絶縁層用スラリーは、非導電性粒子とバインダ(結着剤)とを溶媒に分散させたものであり、これら非導電性粒子およびバインダを溶媒に分散させたものが用意されて第2のダイヘッド212に供給される。
【0091】
活物質層用スラリーの作製および絶縁層用スラリーの作製には溶媒が用いられるが、その溶媒としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を用いると、水系の溶媒を用いた場合と比較して、溶媒の蒸発により得られた層の剥離強度を高くすることができる。溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた場合は、その後の工程で溶媒を蒸発させても、溶媒は完全には蒸発せず、得られた層は、わずかではあるが、N−メチル−2−ピロリドンを含有している。
【0092】
乾燥炉203は、第1のダイヘッド211および第2のダイヘッド212からそれぞれ吐出された活物質層用スラリーおよび絶縁層用スラリーから溶媒を蒸発させるためのものであり、溶媒の蒸発によってスラリーは乾燥し、活物質層111および絶縁層112となる。
【0093】
次に、図6に示した製造装置による、電極の製造手順を説明する。なお、説明の便宜上、活物質層用スラリーとそれから得られた活物質層とを区別せず、「活物質層111」として説明しているが、実際には、「活物質層111」は、乾燥前のものは活物質層用スラリーを意味する。「絶縁層112」についても同様、乾燥前のものは絶縁層用スラリーを意味する。
【0094】
まず、バックアップローラー201上に支持されて送られている長尺の集電体110の表面に、第1のダイヘッド211から、溶媒によってスラリーとされた活物質層111を間欠塗工する。これにより、図6Aに示すように、集電体110上には、集電体110の送り方向Aに間隔をあけて、スラリー状の活物質層111が塗工される。また、活物質層111が第1のダイヘッド211により間欠塗工されることで、活物質層111は、集電体110の送り方向Aと平行な縦長さおよびそれと直交する方向に沿った横長さを有する矩形状に塗工される。
【0095】
次に、塗工された活物質層111の、集電体110の送り方向での先端が第2のダイヘッド212の吐出口212aと対向する位置まで送られたら、その活物質層111上に、第2のダイヘッド212から、溶媒によってスラリーとされた絶縁層112を間欠塗工する。絶縁層112が塗工されるのは、活物質層111が乾燥する前、すなわち、活物質層111の溶媒が蒸発する前である。絶縁層112が第2のダイヘッド212により間欠塗工されることで、絶縁層112は、集電体110の送り方向Aと平行な縦長さおよびそれと直交する方向に沿った横長さを有する矩形状に塗工される。
【0096】
本形態では、第1のダイヘッド211と第2のダイヘッド212とは、吐出口211a、212aの幅(集電体110の送り方向Aに直交する方向での寸法)が等しく、活物質層111および絶縁層112は同じ塗工幅とされる。
【0097】
活物質層111および絶縁層112の塗工後、集電体110は乾燥炉203に送られ、乾燥炉203で、活物質層用スラリーおよび絶縁層用スラリーの溶媒を蒸発させ、これによって活物質用スラリーおよび絶縁層用スラリーを乾燥させる。溶媒の蒸発後、集電体110はロールプレス機に送られ、ここで活物質層111および絶縁層112が圧縮成形される。これにより、活物質層111の形成は絶縁層112の形成と同時に行われる。
【0098】
最後に、集電体110は、打ち抜きなど適宜の方法によって所望の形状に切断される。これによって電極が得られる。この切断工程は、1回の加工で所望の形状が得られるように行ってもよいし、複数回の加工で所望の形状が得られるように行ってもよい。
【0099】
以上、本発明を一形態により説明したが、本発明は上述した形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更することが可能である。
【0100】
例えば、上述した形態では、活物質層111および絶縁層112を塗工するのに、図6に示したような、それぞれ吐出口211a、212aが開口した2つのダイヘッド211、212を備えたダイコーター210を用いた。しかし、図6Aに示すように、2つの吐出口221a、221bが開口した単一のダイヘッド221を備えたダイコーター220を用いて、集電体110上に活物質層111および絶縁層112を塗工することもできる。
【0101】
2つの吐出口221a、221bは、バックアップローラー201の回転方向、すなわち集電体110の送り方向に間隔をあけて配置されている。集電体110の送り方向について上流側に位置する吐出口221aによっては活物質層用スラリーが塗工され、下流側に位置する吐出口221bによって絶縁層用スラリーが塗工される。したがって、2つの吐出口221a、221bからそれぞれ活物質層用スラリーおよび絶縁層用スラリーを吐出することで、集電体110の表面に活物質層111が間欠塗工され、かつ、活物質層111の表面に絶縁層112が塗工された構造を得ることができる。
【0102】
ダイコーターのさらに他の形態として、図6Bに示すダイコーター220も用いることができる。図6Bに示すダイコーター220は、第1のバックアップローラー201aおよび第2のバックアップローラー201bを有しており、それぞれに対応して第1のダイヘッド231および第2のダイヘッド232が配置されている。集電体110の搬送方向上流側に位置する第1のダイヘッド231によって活物質層111が塗工され、下流側に位置する第2のダイヘッド232によって絶縁層112が塗工される。このような構成によっても、集電体110の表面に活物質層111が間欠塗工され、かつ、活物質層111の表面に絶縁層112が塗工された構造を得ることができる。
【0103】
なお、図6Bに示したような複数のバックアップローラー201a、201bを有するダイコーター220を用いる場合、第1のバックアップローラー201aの上流側に第1のセンサ240a、第1のバックアップローラー201aと第2のバックアップローラー201bとの間に第2のセンサ240b、第2のバックアップローラー201bの下流側に第3のセンサ240cをそれぞれ配置することができる。これらセンサ240a、240b、240cは、例えば膜厚計とすることができ、これによって、活物質層111の厚さおよび絶縁層112の厚さを測定することができる。活物質層111の厚さは、第2のセンサ240bによる測定結果と第1のセンサ240aによる測定結果との差分から求めることができ、絶縁層112の厚さは、第3のセンサ240cによる測定結果と第2のセンサ240bによる測定結果との差分から求めることができる。
【0104】
膜厚計としては、放射線(α線、γ線、X線)膜厚計およびレーザー膜厚計など、公知の膜厚計を用いることができる。膜厚計は非接触式であることが望ましい。また、膜厚計としては、反射型および透過型のいずれを用いることもできる。
【0105】
さらに、上述した形態では、集電体110の片面側に活物質層111および絶縁層112を塗工する場合を説明したが、同様にしてもう一方の面にも活物質層および絶縁層112を塗工し、集電体110の両面に活物質層111および絶縁層112を有する電極を製造することもできる。活物質層111および絶縁層112を集電体110の両面に形成した後、集電体110はロールプレス機に送られ、ここで活物質層111および絶縁層112が圧縮形成される。
【0106】
ここでは、電極およびその製造方法について、第1層が活物質層であり第2層が絶縁層である場合について説明した。しかし、第1層および第2層の組み合わせはこれに限定されない。
【0107】
例えば、第1層を、バインダの量を通常より増加させた高密着活物質層とし、第2層を、高エネルギー密度活物質層とすることができる。このような層構成とすることによって、集電体からの活物質層の脱落を抑制しつつ、電池のエネルギー密度を向上させることができる。また、第1層を、導電材料の量を通常より増加させた低抵抗活物質層、または、導電材料とバインダとからなる導電層とし、第2層を、高エネルギー密度活物質層とすることで、電池のエネルギー密度および充放電出力密度の両方を向上させることができる。
【0108】
また、本発明により得られた電池は、種々の使用形態で使用されることができる。以下に、そのいくつかの例を説明する。
【0109】
[組電池]
複数の電池を組み合わせて組電池とすることができる。組電池は、例えば、本実施形態に係る2以上の電池を、直列および/または並列に接続した構成とすることができる。電池の直列数および並列数はそれぞれ、組電池の目的とする電圧および容量に応じて適宜選択することができる。
【0110】
[車両]
上述した電池またはその組電池は、車両に用いることができる。電池または組電池を利用できる車両としては、ハイブリッド車、燃料電池車、電気自動車(いずれも四輪車(乗用車、トラック、バス等の商用車、軽自動車等)のほか、二輪車(バイク)や三輪車を含む)が挙げられる。なお、本実施形態に係る車両は自動車に限定されるわけではなく、他の車両、例えば電車、船舶、潜水艦、人工衛星等の、地上だけでなく地上以外でのあらゆる移動体の各種電源として用いることもできる。このような車両の一例として、図7に電気自動車の模式図を示す。図7に示す電気自動車300は、上述した電池を複数、直列および並列に接続し、必要とされる電圧および容量を満たすように構成された組電池310を有する。
【0111】
[蓄電装置]
上述した電池またはその組電池は、蓄電装置に用いることができる。二次電池または組電池を利用した蓄電装置としては、例えば、一般家庭に供給される商用電源と家電製品等の負荷との間に接続され、停電時等のバックアップ電源や補助電源として使用されるものや、太陽光発電等の、再生可能エネルギーによる時間変動の大きい電力出力を安定化するための、大規模電力貯蔵用としても使用されるものが挙げられる。このような蓄電装置の一例を、図8に模式的に示す。図8に示す蓄電装置301は、上述した電池を複数、直列および並列に接続し、必要とされる電圧および容量を満たすように構成された組電池311を有する。
【0112】
[その他]
さらに、上述した電池またはその組電池は、携帯電話、ノートパソコンなどのモバイル機器の電源などとしてもとして利用できる。
【0113】
<実験例>
集電体上に、第1層として正極活物質層を形成するとともに、第2層として絶縁層を形成し形成し、複数の模擬正極を、それぞれスラリー塗工時の活物質用スラリーの粘度および絶縁層用スラリーの粘度が異なる条件で作製した。なお、実験は、塗工時のスラリー吐出速度と塗工速度を変えて、2種類の塗工条件(塗工条件A、塗工条件B)で行った。
【0114】
[正極活物質用スラリーの作製]
正極活物質としてのリチウムニッケル複合酸化物(LiNi0.80Mn0.15Co0.05)、導電補助材としてのカーボンブラック、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、92:5:3の質量比で計量し、それらを溶媒としてN−メチルピロリドンを用いて混練し、正極活物質層用スラリーとした。ここで、溶媒の混合比を種々変更し、表1に示す、粘度の異なる5種類の正極活物質用スラリーを塗工条件ごとに用意した。表1に示す粘度は、温度25℃、せん断速度1(/sec)にて測定した粘度である。粘度の測定には、BROOK FIELD社の回転粘度計DV−II+Proを用いた。
【0115】
【表1】
【0116】
[絶縁層用スラリーの作製]
アルミナ(住友化学社製AKP−3000)と結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)を、90:10の重量比で計量し、それらを溶媒としてN−メチルピロリドンを用いて混練し、絶縁層用スラリーとした。ここで、溶媒の混合比を種々変更し、表2に示す、粘度の異なる5種類の絶縁層用スラリーを塗工条件ごとに用意した。粘度の測定条件は、正極活物質用スラリーの場合と同じである。
【0117】
【表2】
【0118】
[試料(正極)の作製]
集電体として厚み20μmのアルミニウム箔を用意した。アルミニウム箔上に、上記の正極活物質層用スラリーを塗工し、さらに、正極活物質層用スラリーが乾燥する前に、正極活物質層用スラリー上に絶縁層用スラリーを塗工し、これらを乾燥することで、複数の正極の模擬試料を作製した。模擬試料は、塗工条件ごとに正極活物質層用スラリーおよび絶縁層用スラリーの組み合わせを変えたものを複数種類作製した。
【0119】
正極活物質層用スラリーおよび絶縁層用スラリーの塗工には、2つのダイヘッドを有する2ヘッド式ダイコーターを用いた。正極活物質層用スラリーの塗工量は、10mg/cmとした。また、絶縁層用スラリーの塗工量は2mg/cmとした。塗工速度を変えて2種類の塗工条件としているが、塗工量は塗工条件Aと塗工条件Bで同じとした。塗工速度は、塗工条件Aでは2m/min、塗工条件Bでは4m/minとした。なお、絶縁層用スラリー1(粘度16300mPa・s)を用いたときのみ、他の塗工条件Aよりもさらに遅い塗工速度で塗工した。
【0120】
[評価(塗工条件A)]
(絶縁性)
塗工条件Aで作製した複数種の模擬試料について絶縁性を評価した。絶縁性の評価は、最下層のアルミニウム箔と最上層の絶縁層表面との導通の有無を、各模擬試料について10個所ずつテスターにて確認した。導通している個所の数が多いほど、内部短絡が発生している箇所が多いということができる。よって、絶縁が保たれている個所の数に応じて以下の3段階で評価した。
7〜10個所:〇
3〜6個所:△
0〜2個所:×
模擬試料におけるスラリーの組み合わせと評価結果を表3および図9のグラフに示す。
【0121】
【表3】
【0122】
(第1層/第2層混合度)
作製した複数種の模擬試料について、EDX(エネルギー分散型X線分光法)にて模擬試料の表面(絶縁層の表面)の組成分析を行い、絶縁層の表面で検出された金属(Al、Ni、Co、Mn)に対する、活物質層が含有する金属(Ni、Co、Mn)の割合を調べた。EDXでは、表面からある程度の深さまでの金属が検出されるので、絶縁層の下の活物質層に含まれる金属がより多く検出される(上記割合が高い)ほど、絶縁層と活物質層との界面の凹凸が大きく、絶縁層と活物質層との混合度合いが大きいといえる。したがって、上記割合を、絶縁層と活物質層との混合度の指標として用いることができる。
【0123】
ここで、活物質層を塗工および乾燥させた後、絶縁層を塗工する従来の方法で製造された構造では、検出された金属に対する活物質層に含まれる金属の割合は約6%である。そこで、活物質層/絶縁層混合度の評価に際しては、この6%という値を基準とし、混合度(M)を以下の3段階で評価した。
M≦6%:〇
6%<M≦8%:△
8%<M:×
模擬試料におけるスラリーの組み合わせと評価結果を表4および図10のグラフに示す。
【0124】
【表4】
【0125】
以上、絶縁性および混合度の評価結果を総合的に判断すると、概ね以下のことがいえる。
【0126】
第1層である正極活物質層用スラリーの粘度が12000(mPa・s)以上であること、および、第2層である絶縁層用スラリーの粘度が4000(mPa・s)以上であることの少なくとも一方が満たされていれば正極活物質層と絶縁層との混合が抑制され、かつ、絶縁層表面と集電体との間の絶縁性も良好に保たれる。また、絶縁層用スラリーの粘度が4000(mPa・s)以上である場合、正極活物質用スラリーの粘度は5000(mPa・s)以上あれば、上記の効果を十分に発揮することができる。さらに、表3からわかるように、絶縁性の観点では、絶縁層用スラリーの粘度は9400(mPa・s)以上であることが好ましい。
【0127】
なお、絶縁層用スラリーの粘度が4400(mPa・s)の場合など、混合度評価では良好な結果が得られているが絶縁性評価ではあまり良い結果が得られないようなケースが見受けられる。これは、混合度評価では良好な結果が得られていることを考慮すると、内部短絡が全体的に発生しているのではなく、例えば活物質層用スラリーの粘度が高いことで活物質が絶縁層を抜けてしまっている箇所が所々に存在しているためであると推測される。
【0128】
[絶縁性評価(塗工条件B)]
塗工条件Bで作製した複数種の模擬試料について絶縁性を評価した。絶縁性の評価は、塗工条件Aの場合と同様に、最下層のアルミニウム箔と最上層の絶縁層表面との導通の有無を、各模擬試料について20個所ずつテスターにて確認した。絶縁性の評価結果としては、20個所のうち絶縁が保たれている個所に応じて以下の3段階で評価した。
14〜20個所:〇
6〜13個所:△
0〜5個所:×
模擬試料におけるスラリーの組み合わせと評価結果を表5に示す。なお、塗工条件Aの場合と比べて、高粘度の絶縁層用スラリーを用いた場合の吐出口からのスラリーの吐出が安定していた。吐出速度を大きくしたことにより、偽塑性流体であるスラリーの粘度が低下し、流動性の上昇に伴って塗膜の平滑性が向上したと考えられる。
【0129】
縁性の観点では、塗工速度は2m/min以上であることが好ましい。
【0130】
【表5】
【0131】
第2層である絶縁層用スラリーの粘度が6000(mPa・s)以上、好ましくは10000(mPa・s)以上、さらに好ましくは76000(mPa・s)以上であれば、絶縁層表面と集電体との間の絶縁性が良好に保たれることがわかる。また、絶縁層用スラリーの粘度が10000(mPa・s)以上の場合、正極活物質層用スラリーの粘度が12000(mPa・s)以上であれば、絶縁層表面と集電体との間の絶縁性が良好に保たれることがわかる。特に、正極活物質層用スラリーの粘度が67000(mPa・s)以上であれば、絶縁層用スラリーの粘度が例えば2000(mPa・s)と低くても絶縁層表面と集電体との間の絶縁性が良好に保たれることがわかる。
【0132】
[絶縁層組成の検討]
表2の絶縁層用スラリーではアルミナと結着剤を90:10としていたが、この比を変えた場合についても検討した。
【0133】
[絶縁層用スラリーの作製]
アルミナ(住友化学社製AKP−3000)と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、95:5、97:3および99:1の質量比(以下これを組成比という)で計量し、この固形分とほぼ同質量のN−メチルピロリドンを溶媒として混合して混練し、絶縁層用スラリーとした。これにより表6に示すように組成の異なる3種類の絶縁層用スラリーを用意した。粘度の測定条件は、正極活物質層用スラリーの場合と同じである。
【0134】
【表6】
【0135】
正極活物質層用スラリーとして表1における正極活物質層用スラリー11を用いて、これまで述べた方法と同様に、模擬試料を作製した。塗工条件は塗工条件Bとした。絶縁性評価としてはこれまでと同様に、導通の有無を、各模擬試料について10個所ずつテスターにて確認し、10個所のうち絶縁が保たれている個所の割合を「絶縁率」としてまとめた。また、模擬試料の表面を観測し、ひびが見られた試料については観測されたひびの中で最大のひびの幅を測定した。本実験例において、ひびの幅とは、ひびの延びる方向に垂直な方向でのひび割れの寸法を意味する。これらの結果を表7にまとめた。
【0136】
【表7】
【0137】
表7からわかるように、固形分中のPVdFの比率、すなわち絶縁層中のバインダの質量割合を5%、3%、1%と減らしていっても、今回の実験では表面に若干ひびが観測されたものの、良好な絶縁性を有していた。このことから、前述した好ましい粘度のスラリーを用いる限り、絶縁層中のバインダの質量割合を減らしても良好な絶縁性が得られることがわかる。ひびの観点からは、絶縁層中のバインダの質量割合としては、1%以上が好ましく、3%以上がより好ましく、5%以上がさらに好ましいことがわかる。
【0138】
(付記)
以上、本発明について詳細に説明したが、本明細書は、以下の付記に記載された発明を開示する。ただし、本明細書の開示事項は以下の付記に限定されない。
【0139】
[付記1]
二次電池の正極および負極として用いられる電極の製造方法であって、
集電体の表面に第1層用スラリーを塗工する工程と、
前記第1層用スラリーが乾燥する前に、前記第1層用スラリー上に第2層用スラリーを塗工する工程と、
前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーの塗工後、前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーを乾燥させ、前記集電体上に第1層および第2層がこの順に積層された積層構造を得る工程と、
を含み、
前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーの粘度は、25℃においてせん断速度1/secで測定したとき、前記第1層用スラリーの粘度が12000mPa・s以上、かつ/または前記第2層用スラリーの粘度が4000mPa・s以上である、
二次電池用電極の製造方法。
【0140】
[付記2]
前記第2層用スラリーの前記粘度が4000mPa・s以上であり、かつ、前記第1層用スラリーの前記粘度は5000mPa・s以上である付記1に記載の二次電池用電極の製造方法。
【0141】
[付記3]
前記第1層用スラリーおよび/または前記第2層用スラリーは、25℃においてせん断速度5/secで測定したときの粘度が、25℃においてせん断速度1/secで測定したときの前記粘度の半分以下である付記1または2に記載の二次電池用電極の製造方法。
【0142】
[付記4]
前記前記第1層は活物質層であり、かつ、前記第2層は絶縁層である、付記1から3のいずれかに記載の二次電池用電極の製造方法。
【0143】
[付記5]
前記第1層は、高密着活物質層、低抵抗活物質層または導電層である、付記1から3のいずれかに記載の二次電池用電極の製造方法。
【0144】
[付記6]
前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーは、主材、バインダおよび溶媒を含む付記1から5のいずれかに記載の二次電池用電極の製造方法。
【0145】
[付記7]
前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーは、前記バインダの主成分が同じである付記6に記載の二次電池用電極の製造方法。
【0146】
[付記8]
前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーは、前記溶媒の主成分が同じである付記6または7に記載の二次電池用電極の製造方法。
【0147】
[付記9]
前記第1層用スラリーを塗工した後、前記第2層用スラリーを塗工する前に、前記第1層用スラリーの少なくとも表面を冷却する工程をさらに含む、付記1から8のいずれかに記載の二次電池用電極の製造方法。
【0148】
[付記10]
前記第2層用スラリーの固形分比が30%以上である付記1から9のいずれかに記載の二次電池用電極の製造方法。
【0149】
[付記11]
前記積層構造を得る工程は、前記第2層用スラリーの塗工完了から前記第1層用スラリーおよび前記第2層用スラリーの乾燥開始までの時間が10秒以内である付記1から10のいずれかに記載の二次電池用電極の製造方法。
【0150】
[付記12]
付記1から10のいずれかに記載の製造方法によって正極および負極を製造する工程と、
前記正極と前記負極とを対向配置し、電池要素を構成する工程と、
前記電池要素を、電解液とともに外装体に封入する工程と、
を有する二次電池の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0151】
本発明による二次電池は、例えば、電源を必要とするあらゆる産業分野、ならびに電気的エネルギーの輸送、貯蔵および供給に関する産業分野において利用することができる。具体的には、携帯電話、ノートパソコン等のモバイル機器の電源;電気自動車、ハイブリットカー、電動バイク、電動アシスト自転車等を含む電動車両、電車、衛星、潜水艦等の移動・輸送用媒体の言々;UPS等のバックアップ電源;太陽光発電、風力発電等で発電した電力を蓄える蓄電設備;等に、利用することができる。
【符号の説明】
【0152】
10 電池要素
10a 正極タブ
10b 負極タブ
11 正極
12 負極
13 セパレータ
31 正極端子
32 負極端子
110 集電体
110a 延長部
111 活物質層
112 絶縁層
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10