特許第6863778号(P6863778)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6863778
(24)【登録日】2021年4月5日
(45)【発行日】2021年4月21日
(54)【発明の名称】配電系統の運用支援装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/12 20060101AFI20210412BHJP
   H02J 3/16 20060101ALI20210412BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20210412BHJP
【FI】
   H02J3/12
   H02J3/16
   H02J3/38 120
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2017-43618(P2017-43618)
(22)【出願日】2017年3月8日
(65)【公開番号】特開2018-148739(P2018-148739A)
(43)【公開日】2018年9月20日
【審査請求日】2019年11月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 政紀
(72)【発明者】
【氏名】友部 修
(72)【発明者】
【氏名】古川 健太
(72)【発明者】
【氏名】坂井 希
(72)【発明者】
【氏名】柴丸 昇
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 哲也
(72)【発明者】
【氏名】三川 玄洋
(72)【発明者】
【氏名】八田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 浩
【審査官】 杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−195220(JP,A)
【文献】 特開2004−222476(JP,A)
【文献】 特開2009−65788(JP,A)
【文献】 特開2014−155430(JP,A)
【文献】 特開2016−165169(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第104600714(CN,A)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0035077(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機械機構を有する複数の電圧調整装置と自然変動電源とを備える配電系統の運用支援装置であって、
少なくとも、前記自然変動電源の変動量と、前記複数の電圧調整装置について、その動作を定めるための整定パラメータとを入力する入力部と、前記複数の電圧調整装置の間で生じるハンチング現象の発生要因を判定する複数の不等式を記憶するハンチング発生要因判定不等式群記憶部と、入力した自然変動電源の変動量および整定パラメータを前記複数の不等式に適用して、前記複数の電圧調整装置の間で生じるハンチング現象の発生可能性を算出するハンチング可能性算出部と、当該ハンチング可能性算出部で求めたハンチング現象の発生可能性を提示する出力部を備えるとともに、
前記複数の不等式は、配電系統の電源側と負荷側の電圧調整装置が動作する前に成立すべき前提条件で定まる第1の不等式と、配電系統の電源側と負荷側の電圧調整装置が動作した後にハンチング動作へと結び付くための動作条件で定まる第2の不等式を含み、前記ハンチング可能性算出部は、成立する不等式の数に応じてハンチング現象の発生可能性の大小を算出することを特徴とする配電系統の運用支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の配電系統の運用支援装置であって、
前記ハンチング可能性算出部において、ハンチング現象の発生が示された時に、当該ハンチング現象を回避する新たな前記整定パラメータを求めるハンチング低減整定パラメータ領域算出部を備え、前記出力部に新たな前記整定パラメータを提示する出力部を備えることを特徴とする配電系統の運用支援装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の配電系統の運用支援装置であって、
前記第1の不等式は、配電系統の負荷側の電圧調整装置が動作する前に電源側の電圧調整装置が動作することになるときの、前記複数の電圧調整装置における前記整定パラメータの値の大小関係を判断する不等式であることを特徴とする配電系統の運用支援装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の配電系統の運用支援装置であって、
前記第2の不等式は、配電系統の電源側と負荷側の電圧調整装置について、その一方が動作したときに他方の電圧調整装置が動作することの可否から定められた不等式であることを特徴とする配電系統の運用支援装置。
【請求項5】
機械機構を有する複数の電圧調整装置と自然変動電源とを備える配電系統の運用支援方法であって、
少なくとも、前記自然変動電源の変動量と、前記複数の電圧調整装置について、その動作を定めるための整定パラメータとを入力し、前記複数の電圧調整装置の間で生じるハンチング現象の発生要因を判定する複数の不等式を記憶しておき、入力した自然変動電源の変動量および整定パラメータを前記複数の不等式に適用して、前記複数の電圧調整装置の間で生じるハンチング現象の発生可能性を算出し、ハンチング現象の発生可能性を提示するとともに、
前記複数の不等式は、配電系統の電源側と負荷側の電圧調整装置が動作する前に成立すべき前提条件で定まる第1の不等式と、配電系統の電源側と負荷側の電圧調整装置が動作した後にハンチング動作へと結び付くための動作条件で定まる第2の不等式を含み、成立する不等式の数に応じてハンチング現象の発生可能性の大小を算出することを特徴とする配電系統の運用支援方法。
【請求項6】
請求項5に記載の配電系統の運用支援方法であって、
前記ハンチング現象の発生が示された時に、当該ハンチング現象を回避する新たな前記整定パラメータを求めるための推奨策を提唱することを特徴とする配電系統の運用支援方法。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の配電系統の運用支援方法であって、
前記第1の不等式は、配電系統の負荷側の電圧調整装置が動作する前に電源側の電圧調整装置が動作することになるときの、前記複数の電圧調整装置における前記整定パラメータの値の大小関係を判断する不等式であることを特徴とする配電系統の運用支援方法。
【請求項8】
請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の配電系統の運用支援方法であって、
前記第2の不等式は、配電系統の電源側と負荷側の電圧調整装置について、その一方が動作したときに他方の電圧調整装置が動作することの可否から定められた不等式であることを特徴とする配電系統の運用支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力系統に接続された電圧調整器の運用支援装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
配電系統にはタップ付変圧器の二次側電圧が許容領域から逸脱した電圧の積分値が動作設定値を超えたことをもって前記タップ付変圧器のタップを調整する電圧調整装置であるSVR(SVR:Step Voltage Regulator)や、無効電力を調整するキャパシタまたはリアクトルを備えた電圧調整装置が、複数配置されている。
【0003】
各電圧調整装置ではその検知する電圧を許容領域内にすべく、SVRではタップ付変圧器のタップ位置や、無効電力調整のためのキャパシタおよびリアクトルが並列に接続する数を調整している。
【0004】
然るに、配電系統の複数個所で電圧調整装置が電圧逸脱を検知して個々に制御しているため、電圧調整器の整定パラメータの設定値次第で、各電圧調整器が互いに制御量の調整を繰り返す一連の動作を表すハンチングが発生する。ハンチングが発生すると、SVRのタップ切り換え等の電圧調整器の機械的な切り換え回数が増加して、劣化が早まり耐用年数が減少する。
【0005】
このため、タップ動作回数を低減する配電系統の運用手法が提案されており、例えば、特許文献1には、「配電系統に設置された電圧調整装置の整定に関して、シミュレーション結果を基に、基準電圧逸脱時間やタップ動作回数を指標として、複数の電圧制御方式の中から最適なものを選択する」ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−222476号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1では、整定パラメータを入力した後に、シミュレーションによってハンチングの発生を検知するが、ハンチング発生を回避する整定パラメータの変更先が分からず、膨大な組み合わせ数のシミュレーションを総当たり的に探索する必要があるため、ハンチングを低減する整定パラメータ領域を表示できないという課題がある。
【0008】
そこで本発明では、ハンチングを低減させる整定パラメータの領域を配電系統運用者に提示することにより負担軽減を図ることができる配電系統の運用支援装置および方法を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明は、「機械機構を有する複数の電圧調整装置と自然変動電源とを備える配電系統の運用支援装置であって、少なくとも、自然変動電源の変動量と、複数の電圧調整装置について、その動作を定めるための整定パラメータとを入力する入力部と、複数の電圧調整装置の間で生じるハンチング現象の発生要因を判定する複数の不等式を記憶するハンチング発生要因判定不等式群記憶部と、入力した自然変動電源の変動量および整定パラメータを複数の不等式に適用して、複数の電圧調整装置の間で生じるハンチング現象の発生可能性を算出するハンチング可能性算出部と、ハンチング可能性算出部で求めたハンチング現象の発生可能性を提示する出力部を備えることを特徴とする配電系統の運用支援装置。」としたものである。
【0010】
また本発明は、「機械機構を有する複数の電圧調整装置と自然変動電源とを備える配電系統の運用支援方法であって、少なくとも、自然変動電源の変動量と、複数の電圧調整装置について、その動作を定めるための整定パラメータとを入力し、複数の電圧調整装置の間で生じるハンチング現象の発生要因を判定する複数の不等式を記憶しておき、入力した自然変動電源の変動量および整定パラメータを複数の不等式に適用して、複数の電圧調整装置の間で生じるハンチング現象の発生可能性を算出し、ハンチング現象の発生可能性を提示することを特徴とする配電系統の運用支援方法。」としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電圧調整器の整定パラメータ入力時に、ハンチングを低減する整定パラメータ領域を表示することによって、運用者にハンチング回避する整定パラメータの設定を促し、SVRタップの切り替えやタップ切換並列コンデンサのキャパシタ投入数の切り替え回数を低減し、電圧調整機器を長寿命化できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】配電系統の運用支援装置の機能構成例を示す図。
図2】配電系統の運用支援装置を計算機で構成するときの、ハード構成例と配電系統の全体構成例を示す図。
図3】運用支援装置における処理例の全体を示すフローチャート。
図4】ハンチング可能性算出部の処理例を示すフローチャート。
図5】ハンチング低減整定パラメータ領域算出部の処理を示すフローチャートの例。
図6】ハンチング可能性とハンチング低減整定パラメータ領域の表示画面の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
【実施例】
【0014】
以下においては、まず図1を用いて配電系統の運用支援装置1の機能構成を説明する。次に、図2を用いて本発明に係る配電系統の運用支援装置1と、配電系統2との全体構成について説明する。次に、図3を用いて配電系統の運用支援装置1の処理を説明する。
【0015】
図1は、配電系統の運用支援装置1の機能構成例を示した図である。計算機で構成された運用支援装置1は、表示部12、入力部13、記憶部17、演算部(CPU)15、通信部14により構成されている。運用支援装置1は、その入力部13から入力データとして、配電系統における整定パラメータデータD1と、系統情報データD2と、自然電源出力変動量データD3を入力として得、これらを適宜記憶部17に格納する。
【0016】
図1の記憶部17には上記入力データなどを含む各種のデータやプログラムが格納されているが、図1ではハンチング発生要因判定不等式データD4を記憶することを例示している。
【0017】
図1の演算部15は、ハンチング発生可能性算出部101とハンチング低減整定パラメータ領域算出部102の機能を備えており、ハンチング発生可能性算出部101の処理によりハンチング発生可能性データD5を生成し、ハンチング低減整定パラメータ領域算出部102の処理によりハンチング低減整定パラメータ領域データD6を生成する。生成された情報(ハンチング発生可能性データD5、ハンチング低減整定パラメータ領域データD6)は適宜通信部14を介して表示部12に与えられる。
【0018】
演算部15内の各機能における処理をより具体的に述べると、ハンチング発生可能性算出部101では、整定パラメータデータD1と、系統情報データD2と、自然電源出力変動量データD3と、ハンチング発生要因判定不等式データD4を用いて、ハンチング発生要因判定不等式を用いたフロー判定を行い、ハンチング発生可能性データD5を出力する。
【0019】
ハンチング低減整定パラメータ領域算出部102では、整定パラメータデータD1と、系統情報データD2と、自然電源出力変動量データD3と、ハンチング発生要因判定不等式データD4と、ハンチング発生可能性データD5を用いて、判定不等式の不成立数が増加する整定パラメータ領域を算出し、ハンチング低減整定パラメータ領域データD6を出力する通信部14では、ハンチング発生可能性データD5とハンチング低減整定パラメータ領域データD6を表示部12に表示する。
【0020】
図2は、配電系統の運用支援装置1を計算機で構成するときのハード構成例と配電系統の全体構成例を示す図である。以下では、配電系統を先に説明し、その後に運用支援装置1のハード構成例を説明する。
【0021】
まず配電系統2は、配電用変電所22、母線26、配電線23、負荷25、自然変動電源を含む分散電源24、電圧調整装置21(21a、21b)などで構成されている。配電用変電所22に接続された配電線23には、電圧調整装置21(21a、21b)が複数台直並列に設置されている。また配電系統の運用支援装置1は、通信ネットワーク3を介して、電圧調整装置21(21a、21b)や配電系統各所のセンサ(図示せず)からデータを取得してもよい。
【0022】
ここで配電系統の運用支援装置とは、配電系統2上に設置された電圧調整装置21(21a、21b)などの設備の運用計画を支援する装置であり、さらに具体的には配電系統上の複数の電圧調整装置21(21a、21b)における頻繁なタップ制御とハンチングを阻止するために、各電圧調整装置21(21a、21b)に設定する整定パラメータにおけるハンチングの可能性とハンチング可能性が低減される整定パラメータ領域を表示装置のディスプレイ画面などに表示する。なお整定パラメータの設定および整定パラメータの再算出などを配電系統運用者に委ねてもよい。この場合における整定パラメータの設定は、配電系統運用者が各電圧調整装置21(21a、21b)の設置地点に移動して手動で設定してもよいし、通信ネットワーク3を通じて遠隔で設定してもよい。
【0023】
電圧調整装置21について、図2では自動電圧調整器SVR(SVR:Step Voltage Regulator)21a、および多段並列コンデンサの接続数をタップ切換え器で調整するタップ切換並列コンデンサ21bを採用した例を示している。これらは負荷時タップ切換変圧器LRT(LRT:Load Ratio Control Transformer)としてもよい。また、リアクトルの接続数をタップ切換え器で調整するタップ切換分路リアクトルとしてもよい。本発明では、これらを総称して電圧調整装置21としている。以下の説明では、配電系統の電源側の電圧調整装置21がSVR21aであり、配電系統の負荷側の電圧調整装置21がタップ切換並列コンデンサ21bである場合を例として説明する。
【0024】
図2の自動電圧調整器SVR21aは、単巻変圧器とタップチェンジャで構成される変圧器と、変圧器のタップを制御する制御部と、センサと、配電系統の運用支援装置1から通信ネットワーク3を介して制御部の整定パラメータを送受信する通信部で構成されている。通信部を有しないSVR21aでは、配電系統運用者が制御部の整定パラメータを直接入力するための入力装置で構成される。
【0025】
自動電圧調整器SVR21aは電圧制御方法として、変圧器二次側のセンサで計測した電流および電圧の計測値を用いて、線路電圧降下補償回路(LDC)により配電線23の所定位置における電圧降下を推定し、推定した電圧が設定した基準電圧の不感帯領域から逸脱した動作時間、および逸脱電圧量などに応じて、変圧器のタップ位置の変更を指令する。自動電圧調整器SVR21a内の制御部は、線路電圧降下補償回路における仮想の配電線インピーダンスの値、動作時間、不感帯、基準電圧などの整定パラメータを予め適切な値に設定されており、これらの整定パラメータに従い、配電線23の電圧を適正範囲内に収める。これらの整定パラメータは、配電系統の運用支援装置1から自動的に設定され、あるいは運用支援装置1内の表示部12に表示された情報を配電系統運用者が確認のうえ手動で設定される。
【0026】
図2のタップ切替並列コンデンサ21bは、接続数が変更できる複数の並列コンデンサと、電圧センサと、制御部で構成されており、動作時間、不感帯、基準電圧などの整定パラメータに従って配電系統の電圧を制御する。電圧センサによって計測した配電系統への接続点の電圧が設定した基準電圧からの不感帯領域から逸脱した時間が、所定の動作時間を超過した場合に、接続するコンデンサの数を増減する。これらの整定パラメータも、自動電圧調整器SVR21aと同様に、配電系統の運用支援装置1から自動的に設定され、あるいは運用支援装置1内の表示部12に表示された情報を配電系統運用者が確認のうえ手動で設定される。
【0027】
これらの電圧調整装置21(自動電圧調整器SVR21a、およびタップ切換並列コンデンサ21b)は、タップや接点といった機械部品を備えた機械機構により構成されており、頻繁な切り替えや接続は摩耗の原因となることから、必要以上に不要な操作、例えばタップを上げ操作した直後に下げ操作をするような、いわゆるハンチング動作を避けて運用するように工夫される必要がある。配電系統の運用支援装置1は、ハンチングを起こしにくい整定パラメータを設定している。
【0028】
図2の配電系統の運用支援装置1のハード構成について説明する。運用支援装置1は、表示部12、キーボードやマウス等の入力部13、通信部14、コンピュータや計算機サーバ(CPU:Central Processing Unit)などの演算部15、演算家庭のデータなどを一時記憶するRAMなどのメモリ16、記憶部17がバス線11により接続されている。
【0029】
このうち入力部13は、例えば、キーボードスイッチ、マウス等のポインティング装置、タッチパネル、音声指示装置、視線移動と瞬きの検知による非接触型入力装置等の少なくともいずれか一つを備えて構成できる。
【0030】
通信部14は、通信ネットワーク3に接続するための回路及び通信プロトコルを備える。演算部15は、記憶部17から所定のコンピュータプログラムデータD7を読み込んで実行する。演算部15は、一つまたは複数の半導体チップとして構成してもよいし、または、計算機サーバのようなコンピュータ装置として構成してもよい。メモリ16は、例えば、RAM(Random Access Memory)として構成され、記憶部17から読みだされたプログラムデータD7を記憶したり、各処理に必要な計算結果データを記憶したりする。
【0031】
また入力部13を介して配電系統から得るデータは、具体的には以下のようである。
【0032】
整定パラメータデータD1は、電圧調整装置21に設定する制御パラメータである。ここでは、各電圧調整装置21の制御パラメータとして、設定変更前の現時点における値、あるいはこれから設定しようとする値が取り込まれている。
【0033】
系統情報データD2には、電圧調整装置21の情報(例えば、制御方式、タップの数、インピーダンス等)と、配電線23のネットワーク構成と、配電線23および変圧器のインピーダンス等が含まれる。
【0034】
自然電源出力変動量データD3には、推定される分散電源24の出力変動量等が含まれる。自然電源出力変動量データD3は、分散電源24の発電設備の定格容量と、分散電源24が直流電源である場合は電力系統への連系用インバータの皮相電力容量および種類(電圧上昇時の抑制方法等、電圧上昇時に自律的抑制を始める電圧の閾値)と、抑制に関する契約(抑制日数上限、抑制の優先順位等)等から推定してもよい。
【0035】
ハンチング発生要因判定不等式データD4は、後述するようにハンチングが発生する条件を表す不等式で構成され、予め定められて、記憶部17に格納されている。
【0036】
次に、配電系統の運用支援装置1の計算処理内容について図3を用いて説明する。図3は、配電系統の運用支援装置1の処理の全体を示すフローチャートの例である。
【0037】
図3についてまず、簡単に流れを説明する。最初の処理ステップS1では、入力部13を介して、整定パラメータデータD1と、系統情報データD2と、自然電源出力変動量データD3とを入力する。
【0038】
処理ステップS2は、図1のハンチング発生可能性算出部101に対応しており、ここでは、整定パラメータデータD1と、系統情報データD2と、自然電源出力変動量データD3と、ハンチング発生要因判定不等式データD4用いて、ハンチング発生可能性データD5を算出する。
【0039】
処理ステップS3は、図1のハンチング低減整定パラメータ領域算出部102に対応しており、ここでは、整定パラメータデータD1と、系統情報データD2と、自然電源出力変動量データD3と、ハンチング発生要因判定不等式データD4と、ハンチング発生可能性データD5用いて、ハンチング低減整定パラメータ領域D6を算出する。
【0040】
最後に、処理ステップS4において、算出したハンチング発生可能性データD5、ハンチング低減整定パラメータ領域D6を用いて、ハンチング可能性およびハンチングの低減方法を通信部14から表示部12に表示する。以上の概略処理の流れを処理ステップごとにさらに詳細に説明する。
【0041】
まず、処理ステップS1では、整定パラメータデータD1と、系統情報データD2と、自然電源出力変動量データD3を入力部13および表示部12を用いて入力する。このとき通信ネットワーク3および通信部14を通してデータを入力してもよい。
【0042】
処理ステップS2では、整定パラメータデータD1と、系統情報データD2と、自然電源出力変動量データD3と、ハンチング発生要因判定不等式データD4を用いて、ハンチング発生要因判定不等式を用いたフロー判定を行い、ハンチング発生可能性データD5を算出する。
【0043】
ここで、図4を用いて、ハンチング発生可能性判定方法の流れを説明する。図4は、処理ステップS21〜S25を通して、ハンチングの発生順不等式を満たすことでハンチング可能性を判定する方法を示している。
【0044】
ここでは、ハンチング発生を、電圧調整器21の動作前後の電圧値が所定の順番で不感帯内に入るか否かを表した単独または複数の不等式によって判定する。このときに使用する電圧調整器21の動作前後の電圧値、あるいは電圧値を推定するための潮流計算の入力パラメータである配電線および電圧調整器のインピーダンス・ネットワーク構成が系統情報データD2に対応し、不感帯が整定パラメータデータD1に対応する。また不等式は、電圧調整器21の整定パラメータである動作時間、目標電圧、不感帯などで表す。このパラメータは整定パラメータデータD1に対応する。
【0045】
図4では、不等式は複数準備されており、不等式の成立数に基づいて、ハンチング可能性を、大、中、小として出力する。例えば、電源側の自動電圧調整器SVR21aと、負荷側のタップ切換並列コンデンサ21bの組合せの場合のハンチングパターンの時系列的事象は、以下のようである。この事象は例えば、まず太陽光発電出力変動(自然電源出力変動量データD3に対応)によって系統電圧が変動したときに、最初に電源側の自動電圧調整器SVR21aが電圧逸脱を検出してタップを切換え、二番目に電源側の自動電圧調整器SVR21aのタップ切換え後に負荷側のタップ切換並列コンデンサ21bが電圧逸脱を検出してタップ切換並列コンデンサ21bのコンデンサ接続数を切換え、三番目に電源側の自動電圧調整器SVR21aがコンデンサ接続数切換を受けた電圧変動に伴う電圧逸脱を検出して自動電圧調整器SVR21aが元のタップ位置に戻るように切換えることをハンチング動作として判定する。
【0046】
このハンチングは、太陽光発電出力変動(自然電源出力変動量データD3に対応)によって系統電圧が変動したときに、最初に負荷側のタップ切換並列コンデンサ21bが電圧逸脱を検出してタップ切換並列コンデンサ21bのコンデンサ接続数を切換えるべきところ、電源側の自動電圧調整器SVR21aが先に応動してしまうような整定パラメータデータの関係にあったことが問題である。また二番目の事象が発生し、ひいては三番目の事象にまで至るような整定パラメータデータの関係にあったことが問題である。
【0047】
このときのハンチング条件は、「自動電圧調整器SVR21a、タップ切換並列コンデンサ21bが動作する前に成立すべき条件(前提条件)」と、「自動電圧調整器SVR21a、タップ切換並列コンデンサ21bが動作した後にハンチング動作へと結び付くための条件(動作条件)」の2つに分けて考えることで、ハンチングが発生する可能性を判定すればよい。処理の流れを以下で説明する。
【0048】
処理ステップS21では、前提条件となる不等式を満たすか否かを判定する。例えば、配電用変電所22側に設置された自動電圧調整器SVR21aとタップ切換並列コンデンサ21bの組み合わせでは判定不等式1および判定不等式2を用いるのがよい。
【0049】
判定不等式1は、自動電圧調整器SVR21aとタップ切換並列コンデンサ21bの動作時間整定の大小関係の条件であり、自動電圧調整器SVR21aがタップ切換並列コンデンサ21bよりも先に動くような動作時間整定の大小関係を判定する。自動電圧調整器SVR21aの整定動作時間Taと、タップ切換並列コンデンサ21bの整定動作時間Tbについて、Ta<Tbの不等式が成立するときには、ハンチングに至る可能性が高いと判断することができる。
【0050】
判定不等式2は、タップ切換並列コンデンサ21bが動作する前に自動電圧調整器SVR21aが動作しようとする直前の条件であり、タップ切換並列コンデンサ21bの動作前の自動電圧調整器SVR21aの動作条件として、不感帯領域の設定幅εaについての不等式である。これらの電圧調整装置21は検出した電圧に対して不感帯領域を設定しており、不感帯領域の設定幅εを超える電圧超過が機器動作の条件である。このため、計測あるいは推定された電圧Vが不感帯領域を逸脱する条件として、自動電圧調整器SVR21a不感帯領域の設定幅εaについて、V<Vbase−εa、あるいはVbase+εa<Vの不等式が成立するときには、ハンチングに至る可能性が高いと判断することができる。
【0051】
処理ステップS21では、前提条件となる不等式(判定不等式1、判定不等式2)がどちらも成立するときには処理ステップS23の処理に移り、不等式(判定不等式1、判定不等式2)が一つ以上成立しないときには処理ステップS22の処理に移り、ハンチング可能性小として、ハンチング発生可能性データD5を出力してフローを終了する。
【0052】
処理ステップS23では、残りの判定不等式を満たすか否かを判定する。例えば、配電用変電所側に設置された自動電圧調整器SVR21aと、負荷側のタップ切換並列コンデンサ21bの組み合わせでは、判定不等式3、判定不等式4を用いる。判定不等式3、判定不等式4は、「自動電圧調整器SVR21a、タップ切換並列コンデンサ21bが動作した後にハンチング動作へと結び付くための条件(動作条件)」についてのものである。
【0053】
判定不等式3は、自動電圧調整器SVR21aのタップ切換えにより、自動電圧調整器SVR21a設置点の電圧逸脱解消(自動電圧調整器SVR21a動作後自動電圧調整器SVR21aの2次側電圧が不感帯に入る条件)かつ、タップ切換並列コンデンサ21b設置点の電圧逸脱解消(自動電圧調整器SVR21a動作後、タップ切換並列コンデンサ21bが動作する条件)を判定するものである。
【0054】
判定不等式4は、タップ切換並列コンデンサタップ21b切換え後、自動電圧調整器SVR21a側で電圧逸脱(タップ切換並列コンデンサ21b動作後自動電圧調整器SVR21aが動作する条件)を判定するものである。
【0055】
判定不等式3、判定不等式4が成立する場合には、一方の電圧調整装置21の操作に連動して、他方の電圧調整装置21が動作しやすいという条件であり、交互に連続する動作が発生することがハンチングの原因となる。
【0056】
処理ステップS23では、動作条件となる判定不等式(判定不等式3、判定不等式4)のいずれか一つでも満たさない場合は、処理ステップS24に進む。処理ステップS24では、ハンチング可能性を中として、ハンチング発生可能性データD5を出力してフローを終了する。
【0057】
処理ステップS23で動作条件となる判定不等式をすべて満たす場合は、処理ステップS25に進む。処理ステップS25では、ハンチング可能性を大として、ハンチング発生可能性データD5を出力してフローを終了する。
【0058】
図3に戻り、処理ステップS3では、ハンチング低減整定パラメータ領域算出部102において、整定パラメータデータD1と、系統情報データD2と、自然電源出力変動量データD3と、ハンチング発生要因判定不等式データD4と、ハンチング発生可能性データD5を用いて、ハンチング低減整定パラメータ領域データD6を算出する。
【0059】
ここで、図5を用いて、ハンチング低減整定パラメータ領域算出部102における算出方法の流れを説明する。図5は、処理ステップS31〜S33を通して、判定不等式を満たさないような整定パラメータ領域を算出する方法を示している。
【0060】
処理ステップS31では、ハンチング発生可能性算出部101の処理において成立した判定不等式すべてについて、ハンチングを低減する整定パラメータ領域を算出したか判定する。ハンチングを低減する整定パラメータ領域を算出していない判定不等式が存在する場合には、処理ステップS32に進む。
【0061】
処理ステップS32では、ハンチング発生可能性算出部101の処理において成立した判定不等式に対して、不等式を満たさない整定パラメータ領域を算出し、処理ステップS31に進む。例えば、判定不等式1であれば、タップ切替並列コンデンサ21bの動作時間Tbを自動電圧調整器SVR21aの動作時間Taより小さくするなどを領域として求める。判定不等式2であれば、自動電圧調整器SVR21aの不感帯領域の設定幅εaを電圧変動幅より大きくするなどを領域として求める。
【0062】
ハンチング発生可能性算出部101の処理において成立した判定不等式すべてについて整定パラメータ領域を算出終了した場合には、処理ステップS33に進む。処理ステップS33では、算出したハンチング低減整定パラメータ領域データD6を出力して終了する。
【0063】
図3に戻り、処理ステップS4では、ハンチング発生可能性データD5、ハンチング低減整定パラメータ領域データD6を用いて、ハンチング可能性およびハンチングの低減方法を通信部14から表示部12に表示する。
【0064】
ここで、図6を用いて、ハンチング可能性およびハンチングの低減方法の表示画面の例を説明する。
【0065】
図6の表示画面90は、例えば上下2画面構成とされている。上画面91では、運用支援装置1の入出力関係を、表示している。
【0066】
入力は、配電系統における整定パラメータデータD1と、系統情報データD2と、自然電源出力変動量データD3について表示される。整定パラメータデータD1は、電源側の自動電圧調整器SVR、およびタップ切換並列コンデンサ(図6ではSSCと表記)について、動作時間(sec)、不感帯ε(%)をそれぞれ表示し、他には基準電圧Vbase(V)を表示している。系統情報データD2について、変電所22と自動電圧調整器SVRの間、自動電圧調整器SVRとタップ切換並列コンデンサSSCの間のインピーダンス(線路の抵抗r(Ω)、線路のリアクタンスX(Ω))を表示している。自然電源出力変動量データD3について、有効電力変動ΔPpv(kW)を表示している。
【0067】
出力Oは、判定式の成立関係が○または×で表記され、図示の例では全ての不等式成立でハンチング可能性大であることを表記している。
【0068】
図6の表示画面90の下画面92には、ハンチング可能性大であるときに、運用支援装置1が提唱する判定内容と対応の推奨策が関係表示されている。
【0069】
判定不等式1が成立するときの判定1では、ハンチングの可能性の原因要因として、「自動電圧調整器SVRがタップ切換並列コンデンサSSCよりも先に動くこと」を指摘し、推奨策として「タップ切換並列コンデンサSSCの動作時間整定パラメータTbを自動電圧調整器SVRの動作時間整定パラメータTaより小さくする、もしくはTaをTbより大きい値への変更」が提唱される。
【0070】
判定不等式2が成立するときの判定2では、ハンチングの可能性の原因要因として、「負荷急変によりタップ切換並列コンデンサSSCの動作前の自動電圧調整器SVRの動作する条件を満たしている」を指摘し、推奨策として「自動電圧調整器SVRの不感帯領域の設定幅εaをXXよりも大きい値に変更」が提唱される。
【0071】
判定不等式3が成立するときの判定3では、ハンチングの可能性の原因要因として、「自動電圧調整器SVRの動作後、タップ切換並列コンデンサSSCが動作する条件を満たしている」を指摘し、推奨策として「タップ切換並列コンデンサSSCの不感帯領域の設定幅εbを自動電圧調整器SVRの不感帯領域の設定幅εaよりも大きい値への変更」が提唱される。
【0072】
判定不等式4が成立するときの判定4では、ハンチングの可能性の原因要因として、「タップ切換並列コンデンサSSCの動作後、自動電圧調整器SVRが動作する条件を満たしている」を指摘し、推奨策として「自動電圧調整器SVRの不感帯領域の設定幅εaを○○よりも大きい値に変更」が提唱される。
【0073】
これらの表記を通して、配電系統運用者は提唱される推奨策の内容とその理由を明確に確認可能である。後は、配電系統運用者の判断を加味して、具体的な整定パラメータデータの変更が行われる。
【0074】
このように図6の表示画面90には、ハンチングの可能性が大と表示された場合、中や小へ発生率を下げるための指針が示される。そのうえで、ハンチング判定が成立した判定不等式と整定パラメータデータD1を提示し、ハンチング可能性が大から小となるような、不感帯、動作時間整定パラメータの変化させる方向を提示することにより、配電系統運用者に整定パラメータの変更の方向性を示すことができる。
【0075】
本発明によれば、電圧調整器の整定パラメータ入力時に、ハンチングを低減する整定パラメータ領域を表示することによって、配電系統運用者にハンチング回避する整定パラメータの設定を促し、自動電圧調整器SVRタップの切り替えやタップ切換並列コンデンサのキャパシタ投入数の切り替え回数を低減し、電圧調整装置を長寿命化できる。
【符号の説明】
【0076】
1:運用支援装置
2:配電系統
3:通信ネットワーク
11:バス線
12:表示部
13:入力部
14:通信部
15:CPU
16:メモリ
17:記憶部
21:電圧調整装置
21a:自動電圧調整器SVR
21b:タップ切替並列コンデンサ
22:配電用変電所
23:配電線
24:分散電源
25:負荷
26:母線
101:ハンチング発生可能性算出部
102:ハンチング低減整定パラメータ領域算出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6