特許第6864551号(P6864551)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6864551-積み重ね可能な椅子 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864551
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】積み重ね可能な椅子
(51)【国際特許分類】
   A47C 3/04 20060101AFI20210419BHJP
   A47C 7/18 20060101ALI20210419BHJP
【FI】
   A47C3/04
   A47C7/18
【請求項の数】2
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2017-95524(P2017-95524)
(22)【出願日】2017年5月12日
(65)【公開番号】特開2018-191710(P2018-191710A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年2月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】510274430
【氏名又は名称】コトブキシーティング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 康
(72)【発明者】
【氏名】江▲崎▼ 泰央
【審査官】 松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭63−166058(JP,U)
【文献】 特開2001−275775(JP,A)
【文献】 特開平04−282106(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47C 3/04,7/18−7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
背と、前記背の前方に設けられた座と、前記背および座の下方に設けられた脚と、を備える積み重ね可能な椅子であって、前記座は、
下方へ突出した凸部を有し、硬質の樹脂、又は金属により構成される底部材と、
当該凸部の内部により画定される空間に、少なくとも高さ方向の一部が収納された軟質のクッション部と、
を備え
前記クッション部が、高さ方向に積み重ねられた第1のクッション材および第2のクッション材とを含み、
前記第2のクッション材の全体が、前記空間に収納され、
前記第1のクッション材が、前記第2のクッション材および前記底部材の上方に配置され、
前記第2のクッション材の硬度は、前記第1のクッション材の硬度より大きく、
前記積み重ね可能な椅子を積み重ねたとき、前記凸部は前記クッション部を凹ませるように構成されている、積み重ね可能な椅子
【請求項2】
記凸部の底面が曲面を構成する、請求項1に記載の積み重ね可能な椅子
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、座およびそれを用いた椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、上下に積み重ねて収納することが可能な椅子が提案されている。例えば、椅子の座の上面側の端縁と略同形状の窪み部を座の下面に上方側に窪ませて設け、窪み部は、座の端縁側の最深部から中央側領域に向かって下方傾斜するように形成することが提案されている。構造を複雑にすることなく、下方側の椅子の座の上部に上方側の椅子の座を安定して積み重ねることができる椅子を提供している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016−86840号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、積み重ねて収納することが可能な椅子は、積み重ねた場合の収納の効率を重視しており、必ずしもその座り心地は満足し得るレベルには達していない。
【0005】
本発明は、椅子を積み重ねた場合であっても高さを増やすことなく、部品点数を抑えつつも優れた座り心地を確保し得る座および椅子に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の椅子用の座は、下方へ窪んだ凸部を有する底部材と、当該凸部により画定される空間に、少なくとも高さ方向の一部が収納された軟質のクッション部と、を備える。また、本発明の椅子は、この座を用いたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の座および椅子によれば、椅子を積み重ねた場合であっても高さを増やすことなく、優れた座り心地を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本発明の椅子の斜視図である。
図2図2は、本発明の椅子に適用される座を示し、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図を示す。
図3図3は、座の上部に位置する第1のクッション部一部を切り取って。座の内部露出させた状態を示す図である。
図4図4は、図2(a)のA−A線に沿った断面図である。
図5図5は、二台の椅子が積み重ねられた状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態の椅子1の斜視図である。椅子1は、複数台を上下に積み重ねることが可能な、いわゆるスタック型の椅子である。椅子1は、背3と、背3の前方に設けられた座10と、背3および座10の下方に設けられた脚5とを備えている。各部の形状は実施形態の物には限定されない。また、本実施形態の椅子1は、背3の側方に設けられた肘掛7を備えているが、肘掛7は、必須の部材ではない。
【0010】
図2は、椅子1用の座10を示し、(a)は上方から見た斜視図、(b)は下方から見た斜視図を示す。座10は、上側における略平面状の座面11、上側における前部の曲面12、下側の下面13とによって囲まれている。下面13の一部は、下方へ突出した凸部14を形成している。
【0011】
図3は、座10の内部を示す斜視図である。座10は、硬質の樹脂、金属などにより構成される底部材20と、第1のクッション材22と、第2のクッション材24とを備えている。図3は、底部材20の上部に位置する第1のクッション材22の一部を切り取って、座10の内部を露出させた状態を示している。座10はこの様な簡易な構成を有しているため、製造が用意であり、製造コストを抑えることが可能である。特に、底部材20を採用することにより、一般的な座に見られる下側のカバーを省略することが可能となり、部品点数を抑えることが可能となる。
【0012】
図4は、図2(a)のA−A線に沿った断面図である。底部材20の下方へ窪んだ凸部14は、その内部に空間Sを画定し、第2のクッション材24の全体が、空間Sに収納されている。高さ方向に積み重ねられた第1のクッション材22および第2のクッション材24が、軟質のクッション部を構成すると把握することができ、この場合、クッション部の少なくとも高さ方向の一部が、空間Sに収納されている。第1のクッション材22は、第2のクッション材24および底部材20の上方に配置される。
【0013】
本実施形態によれば、第1のクッション材22および第2のクッション材24を含むクッション部は、所定以上の厚みを確保することが可能となり、快適な座り心地を提供することが可能となる。一方で、クッション部の少なくとも高さ方向の一部(第2のクッション材24に相当)が、空間Sに収納されており、たとえクッション部の厚みが増大しても、座10の厚みを抑制することが可能である。
【0014】
第1のクッション材22は、例えばウレタン等により構成された本体22aと、本体22aの表面に配置された布材22bとを含む。第2のクッション材24は、例えば繊維状に形成された樹脂等により構成されている。もちろん、これらの部材の材料の種類は特に限定はされない。例えば、第2のクッション材24の硬度と、第1のクッション材22の硬度22とを異なるものにすることができる。特に、第2のクッション材24の硬度が、第1のクッション材22の硬度より大きくなるように設定するのが好ましい。このような構成によれば、より快適な座り心地を提供することが可能となる。
【0015】
本実施形態では、2つのクッション材の組み合わせを用いたが、組み合わされるクッション材の数は3つ以上であってもよく特に限定はされない。2つまたは3つ以上のクッション材の組み合わせを変えることにより、各クッション材の材料、硬度等を変えることになり、座り心地を容易に調整することができ、より快適な座り心地を追及することが可能となる。
【0016】
図5は、二台の椅子1、1Aが高さ方向に積み重ねられた状態を示す側面図である。肘掛7の図示は省略されている。上述した様に、座10の厚みを抑制しているため、二台の椅子を積み重ねても、積み重ねの高さdを抑制することが可能となる。
【0017】
また、領域Xにて、上段の椅子1Aの座10の凸部14が、下段の椅子1の座10の座面11に接触する。図2(b)にも示すように凸部14の底面が曲面を構成しているため、積み重ねられても、座面11が下側に変形するのを抑制することができる。
【0018】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明に係る座および椅子によれば、椅子を積み重ねた場合であっても高さを増やすことなく、かつ優れた座り心地を確保し得る。
【符号の説明】
【0020】
1 椅子
3 背
5 脚
7 肘掛
10 座
14 凸部
20 底部材
22 第1のクッション材
24 第2のクッション材
図1
図2
図3
図4
図5