特許第6864555号(P6864555)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6864555
(24)【登録日】2021年4月6日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20210419BHJP
【FI】
   A61B8/14
【請求項の数】4
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2017-100519(P2017-100519)
(22)【出願日】2017年5月22日
(65)【公開番号】特開2018-192174(P2018-192174A)
(43)【公開日】2018年12月6日
【審査請求日】2020年1月8日
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大山 誠司
(72)【発明者】
【氏名】長野 智章
【審査官】 姫島 あや乃
(56)【参考文献】
【文献】 特開2016−214438(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/083789(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00−8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受することにより得られた心臓の超音波画像内において当該心臓の心室の輪郭と心房の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、
前記超音波画像内において前記心房内を区切る境界を設定する境界設定手段と、
を有し、
前記心室の輪郭と前記心房の輪郭と前記心房内を区切る境界を構成要素として含むトレースラインを得て、
前記境界設定手段は、
前記心臓内の2つの弁輪部の位置にユーザにより設定された補助点を結ぶ線を、前記心房の深さ方向に所定の距離だけ移動させることで、前記心房内を区切る境界を設定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
超音波を送受することにより得られた心臓の超音波画像内において当該心臓の心室の輪郭と心房の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、
前記超音波画像内において前記心房内を区切る境界を設定する境界設定手段と、
を有し、
前記心室の輪郭と前記心房の輪郭と前記心房内を区切る境界を構成要素として含むトレースラインを得て、
前記輪郭抽出手段は、前記超音波画像内において前記心臓内の特徴部位を検出し、検出した特徴部位の位置に基づいて前記心室の輪郭と前記心房の輪郭を抽出し、
前記境界設定手段は、
前記輪郭抽出手段が検出した前記心臓内の特徴部位の位置に応じて幾何学的に定められた箇所に、前記心房内を区切る境界を設定し、
前記境界設定手段は、
特徴部位として前記輪郭抽出手段が検出した前記心臓内の2つの弁輪部の位置を結ぶ線を、前記心房の深さ方向に所定の距離だけ移動させることで、前記心房内を区切る境界を設定する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の超音波診断装置において、
前記輪郭抽出手段は、前記超音波画像内において前記心臓に繋がる大動脈の輪郭を抽出し、
前記境界設定手段は、前記超音波画像内において前記大動脈内を区切る境界を設定し、
前記心室の輪郭と前記心房の輪郭と前記大動脈の輪郭と前記心房内を区切る境界と前記大動脈内を区切る境界によって構成されるトレースラインを得る、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか1項に記載の超音波診断装置において、
ベクトルフローマッピングのための複数のトラッキングポイントを前記トレースライン上に設定し、各前記トラッキングポイントごとにトラッキング処理を実行するトラッキング処理部、を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置に関し、特に心臓の診断に適した装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は生体内の様々な組織の診断に利用されている。例えば心臓の診断においても超音波診断装置の重要性は高く、心臓の診断に好適な技術開発も盛んである。
【0003】
例えば、特許文献1には、超音波診断装置を利用して得られた心臓の断層画像内において、乳頭筋などの構造物による誤抽出を防ぎ心室の輪郭を精度よく抽出する技術が開示されている。また、特許文献2には、記憶部に予め記憶された輪郭画像データに基づいて、超音波診断装置により得られた動画像データを解析することにより、心筋の輪郭に相当する輪郭領域を追跡して壁運動のパラメータを得る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−217818号公報
【特許文献2】特開2009−172186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
超音波診断装置による心臓の診断に利用される技術の具体例として、心臓内における血流の状態を超音波画像内に二次元的に表現するVFM(ベクトルフローマッピング)が知られている。VFMを利用することにより、例えば心臓の左心室内における血流の渦流、乱流、停滞などの状態を視覚的に直感的に確認できるようになる。
【0006】
例えばVFMを利用した近年の診断においては、左心室内の血流に加え、左心室に繋がる左心房内や大動脈内の血流の解析も重要になってきている。そのため、例えば、左心室などの心室に加え、心室に繋がる心房や大動脈などの腔を対象とした診断に適した装置の登場が望まれている。
【0007】
本発明の目的は、心室に加えてその心室に繋がる腔を対象とする診断に好適な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の関連技術に係る超音波診断装置は、超音波を送受することにより得られた心臓の超音波画像内において当該心臓の心室の輪郭と心房の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、前記超音波画像内において前記心房内を区切る境界を設定する境界設定手段と、を有し、前記心室の輪郭と前記心房の輪郭と前記心房内を区切る境界を構成要素として含むトレースラインを得て、前記境界設定手段は、ユーザにより前記心房内に指定された指定点を通るように、前記心房内を区切る境界を設定する、ことを特徴とする。
【0009】
上記構成の超音波診断装置によれば、心室の輪郭に加えてその心室に繋がる心房の輪郭と心房内を区切る境界を構成要素として含むトレースラインを得ることができる。これにより、例えば、心室と心房内の少なくとも一部を含むトレースラインにより特定される領域を対象として、例えばVFM(ベクトルフローマッピング)等による心臓内の血流の診断が可能になる。
【0010】
また、本発明は、超音波を送受することにより得られた心臓の超音波画像内において当該心臓の心室の輪郭と心房の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、前記超音波画像内において前記心房内を区切る境界を設定する境界設定手段と、を有し、前記心室の輪郭と前記心房の輪郭と前記心房内を区切る境界を構成要素として含むトレースラインを得て、前記境界設定手段は、前記心臓内の2つの弁輪部の位置にユーザにより設定された補助点を結ぶ線を、前記心房の深さ方向に所定の距離だけ移動させることで、前記心房内を区切る境界を設定する、ことを特徴とする
【0011】
また、本発明は、超音波を送受することにより得られた心臓の超音波画像内において当該心臓の心室の輪郭と心房の輪郭を抽出する輪郭抽出手段と、前記超音波画像内において前記心房内を区切る境界を設定する境界設定手段と、を有し、前記心室の輪郭と前記心房の輪郭と前記心房内を区切る境界を構成要素として含むトレースラインを得て、前記輪郭抽出手段は、前記超音波画像内において前記心臓内の特徴部位を検出し、検出した特徴部位の位置に基づいて前記心室の輪郭と前記心房の輪郭を抽出し、前記境界設定手段は、前記輪郭抽出手段が検出した前記心臓内の特徴部位の位置に応じて幾何学的に定められた箇所に、前記心房内を区切る境界を設定し、前記境界設定手段は、特徴部位として前記輪郭抽出手段が検出した前記心臓内の2つの弁輪部の位置を結ぶ線を、前記心房の深さ方向に所定の距離だけ移動させることで、前記心房内を区切る境界を設定することを特徴とする。
【0013】
例えば、前記輪郭抽出手段は前記超音波画像内において前記心臓に繋がる大動脈の輪郭を抽出し、前記境界設定手段は前記超音波画像内において前記大動脈内を区切る境界を設定し、前記心室の輪郭と前記心房の輪郭と前記大動脈の輪郭と前記心房内を区切る境界と前記大動脈内を区切る境界によって構成されるトレースラインを得ることが望ましい。前記超音波診断装置は、望ましくは、ベクトルフローマッピングのための複数のトラッキングポイントを前記トレースライン上に設定し、各前記トラッキングポイントごとにトラッキング処理を実行するトラッキング処理部、を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、心室に加えてその心室に繋がる腔を対象とする診断に好適な装置が提供される。例えば本発明の好適な態様によれば、心室の輪郭に加えてその心室に繋がる心房の輪郭と心房内を区切る境界を構成要素として含むトレースラインを得ることができる。これにより、例えば、心室と心房内の少なくとも一部を含むトレースラインにより特定される領域を対象として、例えばVFM(ベクトルフローマッピング)等による心臓内の血流の診断が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施において好適な超音波診断装置の具体例を示す図である。
図2】トレースライン形成処理の具体例1を説明するための図である。
図3】トレースライン形成処理の具体例2を説明するための図である。
図4】トレースライン形成処理の具体例3を説明するための図である。
図5】トレースライン形成処理の具体例4を説明するための図である。
図6】トレースライン形成処理の具体例5を説明するための図である。
図7】トレースライン形成処理の好適な手順を示すフローチャートである。
図8】境界設定処理の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1は、本発明の実施において好適な超音波診断装置の具体例を示す図である。図1の超音波診断装置は、血流(血液の流れ)の移動情報を得る機能を備えており、特に、生体の心臓内における血流の診断に好適である。
【0017】
プローブ10は、例えば生体内の心臓などの診断対象を含む領域に超音波を送受波する超音波探触子である。プローブ10は、複数の振動素子を備えており、複数の振動素子が電子的に走査制御されて、心臓を含む空間内で超音波ビームが走査される。プローブ10は、例えば、医師等のユーザ(検査者)に把持されて被検者の体表面上に当接して用いられる。なお、プローブ10は、被検者の体腔内に挿入して用いられるものであってもよいし、電子的な走査と機械的な走査とを組み合わせた探触子であってもよい。プローブ10としては例えばコンベックス型が望ましいもののセクタ型やリニア型等であってもよい。
【0018】
送受信部12は、送信ビームフォーマーおよび受信ビームフォーマーとしての機能を備えている。つまり、送受信部12は、プローブ10が備える複数の振動素子の各々に対して送信信号を出力することにより送信ビームを形成し、さらに、複数の振動素子から得られる複数の受波信号に対して整相加算処理などを施して受信ビームを形成する。これにより、超音波ビーム(送信ビームと受信ビーム)が走査面内において走査され、超音波ビームに対応した受信信号が形成される。
【0019】
画像形成部20は、走査面内から得られる超音波の受信信号に基づいて、超音波画像のデータ(画像データ)を形成する。画像形成部20は、例えば、検波処理やフィルタ処理やAD変換処理等が施された超音波の受信信号に基づいて、Bモード画像の画像データを形成する。もちろん、Bモード画像以外の公知の超音波画像に係る画像データが形成されてもよい。
【0020】
ドプラ処理部30は、超音波ビームに対応した受信信号に含まれるドプラシフトを計測する。ドプラ処理部30は、例えば公知のドプラ処理により、血流によって超音波の受信信号内に生じるドプラシフトを計測し、血流についての超音波ビーム方向の速度情報(ドプラ情報)を得る。
【0021】
速度ベクトル演算部40は、血流についての超音波ビーム方向の速度情報から、走査面内における2次元の速度ベクトルの分布を形成する。速度ベクトル演算部40は、例えば参考文献1(特開2013−192643号公報)に説明される公知の手法により、血流についての超音波ビーム方向の速度情報に加えて、トラッキング処理部70から得られる心臓壁の運動情報を利用して、走査面内の各位置における血流の2次元速度ベクトルを得る。
【0022】
輪郭抽出部50は、画像形成部20において形成された心臓の超音波画像(Bモード画像)内において心臓の心室の輪郭と心房の輪郭を抽出する。また、境界設定部60は、画像形成部20において形成された心臓の超音波画像(Bモード画像)内において心房内を区切る境界を設定する。これにより、心臓の超音波画像(Bモード画像)内に心室の輪郭と心房の輪郭と心房内を区切る境界を構成要素として含むトレースラインが形成される。
【0023】
トラッキング処理部70は、心臓の超音波画像内に形成されたトレースライン上に複数のトラッキングポイントを設定し、各トラッキングポイントごとに例えば画像データに基づく追跡処理(トラッキング処理)を実行して、複数フレーム(複数時相)に亘って心臓壁(内壁)の動きをトラッキングする。これにより、複数のトラッキングポイントから、心臓壁の運動情報が得られる。そして、心臓壁の運動情報を利用して、速度ベクトル演算部40が走査面内の各位置における血流の2次元速度ベクトルを得ることは既に説明したとおりである。
【0024】
表示処理部80は、画像形成部20から得られる超音波画像の画像データと、速度ベクトル演算部40から得られる血流の2次元速度ベクトルに基づいて、心臓内の血流の状態を2次元的に示した表示画像を形成する。表示処理部80において形成された血流表示画像は表示部82に表示される。
【0025】
制御部100は、図1の超音波診断装置内を全体的に制御する。制御部100による全体的な制御には、操作デバイス90を介して医師や検査技師などのユーザから受け付けた指示も反映される。
【0026】
図1に示す構成のうち、送受信部12,画像形成部20,ドプラ処理部30,速度ベクトル演算部40,輪郭抽出部50,境界設定部60,トラッキング処理部70,表示処理部80の各部は、例えば、電気電子回路やプロセッサ等のハードウェアを利用して実現することができ、その実現において必要に応じてメモリ等のデバイスが利用されてもよい。また上記各部に対応した機能の少なくとも一部がコンピュータにより実現されてもよい。つまり、上記各部に対応した機能の少なくとも一部が、CPUやプロセッサやメモリ等のハードウェアと、CPUやプロセッサの動作を規定するソフトウェア(プログラム)との協働により実現されてもよい。
【0027】
表示部82の好適な具体例は液晶ディスプレイや有機EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ等である。操作デバイス90は、例えばマウス、キーボード、トラックボール、タッチパネル、その他のスイッチ類等のうちの少なくとも一つにより実現できる。そして、制御部100は、例えば、CPUやプロセッサやメモリ等のハードウェアと、CPUやプロセッサの動作を規定するソフトウェア(プログラム)との協働により実現することができる。
【0028】
図1の超音波診断装置の全体構成は以上のとおりである。次に、図1の超音波診断装置により実現される機能等について詳述する。なお、図1に示した構成(部分)については以下の説明において図1の符号を利用する。
【0029】
図2から図6は、トレースライン形成処理の具体例を説明するための図である。図2から図6の各図には、画像形成部20により形成されたBモード画像22を含む表示画像84の具体例が図示されている。各図に示す画像例において、Bモード画像22内には、生体(被検者)の心臓内における左心室と左心房と大動脈の断層画像が含まれている。
【0030】
図2は、トレースライン形成処理の具体例1を説明するための図である。図2の具体例1では、まず、検査者(医師や検査技師等のユーザ)により、心臓のBモード画像22内に複数の補助点Pa〜Pfが設定される。検査者は、例えばマウスやトラックボールやタッチパネルなどの操作デバイス90を操作してBモード画像22内の所望の位置を指定することにより、複数の補助点Pa〜Pfを設定する。
【0031】
補助点Pa〜Pdは心臓内の特徴部位の位置に設定される。図2の具体例1では、3つの弁輪部の位置に補助点Pa,Pb,Pcが設定され、1つの心尖部の位置に補助点Pdが設定されている。また、補助点Pe,Pfは心臓内の注目位置に設定される。図2の具体例1では左心房内に補助点Peが設定され、大動脈内に補助点Pfが設定されている。
【0032】
複数の補助点Pa〜Pfが設定されると、輪郭抽出部50により左心室と左心房と大動脈の輪郭が抽出され、境界設定部60により心房内を区切る境界と大動脈内を区切る境界が設定される。
【0033】
輪郭抽出部50は、検査者により設定された補助点Pa〜Pdに基づいて、つまり、3つの弁輪部の位置に対応した補助点Pa,Pb,Pcと1つの心尖部の位置に対応した補助点Pdに基づいて、左心室と左心房と大動脈の輪郭を抽出する。輪郭抽出部50は、例えば参考文献2(国際公開第2011/083789号パンフレット)に説明される動的輪郭モデルなどの公知の手法により、左心室と左心房と大動脈の輪郭を抽出する。
【0034】
境界設定部60は、検査者により設定された補助点Pe,Pfを指定点とし、指定点を通るように心房内を区切る境界と大動脈を区切る境界を設定する。例えば、左心房の一方側の輪郭から補助点Peを通り左心房の他方側の輪郭に達するように心房内を区切る境界が設定され、大動脈の一方側の輪郭から補助点Pfを通り大動脈の他方側の輪郭に達するように大動脈内を区切る境界が設定される。
【0035】
こうして、左心室の輪郭と左心房の輪郭と大動脈の輪郭と心房内を区切る境界と大動脈を区切る境界とによって構成されるトレースラインが形成される。
【0036】
トレースラインが形成されると、トラッキング処理部70により、トレースライン上に複数のトラッキングポイントTPが設定される。例えば、トレースライン上において、等間隔に100個程度のトラッキングポイントTPが設定される。例えば、トレースライン上に初期設定された複数のトラッキングポイントTPの間隔の平均値が算出され、その平均値を一定間隔として、トレースライン上に新たな複数のトラッキングポイントTPが等間隔に設定されてもよい。
【0037】
図3は、トレースライン形成処理の具体例2を説明するための図である。図3の具体例2では、まず、検査者(医師や検査技師等のユーザ)により、心臓のBモード画像22内に複数の補助点Pa〜Pdが設定される。検査者は、例えばマウスやトラックボールやタッチパネルなどの操作デバイス90を操作してBモード画像22内の所望の位置を指定することにより、複数の補助点Pa〜Pdを設定する。
【0038】
補助点Pa〜Pdは心臓内の特徴部位の位置に設定される。図3の具体例2では、3つの弁輪部の位置に補助点Pa,Pb,Pcが設定され、1つの心尖部の位置に補助点Pdが設定されている。なお、図3の具体例2では、左心房内と大動脈内の補助点(図2の補助点Pe,Pf)は設定されない。
【0039】
複数の補助点Pa〜Pdが設定されると、輪郭抽出部50により左心室と左心房と大動脈の輪郭が抽出される。輪郭抽出部50は、検査者により設定された補助点Pa〜Pdに基づいて、例えば参考文献2に説明される動的輪郭モデルなどの公知の手法により、左心室と左心房と大動脈の輪郭を抽出する。
【0040】
こうして、左心室の輪郭と左心房の輪郭と大動脈の輪郭によって構成されるトレースラインが形成される。つまり、図3の具体例では、心房内を区切る境界と大動脈を区切る境界が利用されずにトレースラインが形成される。
【0041】
トレースラインが形成されると、トラッキング処理部70により、トレースライン上に複数のトラッキングポイントTPが設定される。例えば、トレースライン上において、等間隔に100個程度のトラッキングポイントTPが設定される。
【0042】
図4は、トレースライン形成処理の具体例3を説明するための図である。図4の具体例3では、まず、検査者(医師や検査技師等のユーザ)により、心臓のBモード画像22内に複数の補助点Pa〜Pdが設定される。検査者は、例えばマウスやトラックボールやタッチパネルなどの操作デバイス90を操作してBモード画像22内の所望の位置を指定することにより、複数の補助点Pa〜Pdを設定する。
【0043】
補助点Pa〜Pdは心臓内の特徴部位の位置に設定される。図4の具体例3では、3つの弁輪部の位置に補助点Pa,Pb,Pcが設定され、1つの心尖部の位置に補助点Pdが設定されている。なお、図4の具体例3では、左心房内と大動脈内の補助点(図2の補助点Pe,Pf)は設定されない。
【0044】
複数の補助点Pa〜Pdが設定されると、輪郭抽出部50により左心室と左心房と大動脈の輪郭が抽出される。輪郭抽出部50は、検査者により設定された補助点Pa〜Pdに基づいて、例えば参考文献2に説明される動的輪郭モデルなどの公知の手法により、左心室と左心房と大動脈の輪郭を抽出する。
【0045】
さらに、境界設定部60により心房内を区切る境界と大動脈内を区切る境界が設定される。境界設定部60は、心臓内の特徴部位の位置に応じて幾何学的に定められた箇所に、心房内を区切る境界と大動脈を区切る境界を設定する。
【0046】
例えば、弁輪部に対応した補助点Paと補助点Pbの各々を、左心房の輪郭に沿って深さ方向(左心室から遠ざかる方向)に所定の距離だけ移動させ、移動後の補助点Pa´と補助点Pb´を結ぶ線分が心房内を区切る境界とされる。同様に、弁輪部に対応した補助点Pbと補助点Pcの各々を、大動脈の輪郭に沿って深さ方向(左心室から遠ざかる方向)に所定の距離だけ移動させ、移動後の補助点Pb´と補助点Pc´を結ぶ線分が、大動脈内を区切る境界とされる。
【0047】
また、例えば、弁輪部に対応した補助点Paと補助点Pbを結ぶ線分を深さ方向(左心室から遠ざかる方向)に所定の距離だけ平行移動させ、平行移動後の線分が心房内を区切る境界とされてもよい。同様に、弁輪部に対応した補助点Pbと補助点Pcを結ぶ線分を深さ方向(左心室から遠ざかる方向)に所定の距離だけ平行移動させ、平行移動後の線分が大動脈内を区切る境界とされてもよい。なお、左心房の中心位置を通る線分を心房内を区切る境界とし、大動脈の中心位置を通る線分を大動脈を区切る境界としてもよい。
【0048】
こうして、左心室の輪郭と左心房の輪郭と大動脈の輪郭と心房内を区切る境界と大動脈を区切る境界とによって構成されるトレースラインが形成される。
【0049】
トレースラインが形成されると、トラッキング処理部70により、トレースライン上に複数のトラッキングポイントTPが設定される。例えば、トレースライン上において、等間隔に100個程度のトラッキングポイントTPが設定される。
【0050】
図5は、トレースライン形成処理の具体例4を説明するための図である。図5の具体例4では、輪郭抽出部50が、Bモード画像22内において心臓内の特徴部位を検出し、検出した特徴部位の位置に基づいて心室の輪郭と心房の輪郭と大動脈の輪郭を抽出する。
【0051】
輪郭抽出部50は、心臓内の特徴部位として、例えば3つの弁輪部の位置(図2の補助点Pa,Pb,Pcの位置)と1つの心尖部の位置(図2の補助点Pdの位置)を検出する。輪郭抽出部50は、例えば参考文献3(国際公開第2013/115194号パンフレット)に説明される探索処理(参考文献3の図5参照)などの公知の手法により、弁輪部の位置と心尖部の位置を検出する。
【0052】
また、輪郭抽出部50は、検出した3つの弁輪部の位置と1つの心尖部の位置に基づいて、左心室と左心房と大動脈の輪郭を抽出する。輪郭抽出部50は、例えば参考文献2(国際公開第2011/083789号パンフレット)に説明される動的輪郭モデルなどの公知の手法により、左心室と左心房と大動脈の輪郭を抽出する。
【0053】
さらに、境界設定部60により心房内を区切る境界と大動脈内を区切る境界が設定される。境界設定部60は、心臓内の特徴部位の位置に応じて幾何学的に定められた箇所に、心房内を区切る境界と大動脈を区切る境界を設定する。これらの境界の設定には、例えば図4を利用して説明した具体例が適用される。
【0054】
こうして、左心室の輪郭と左心房の輪郭と大動脈の輪郭と心房内を区切る境界と大動脈を区切る境界とによって構成されるトレースラインが形成される。
【0055】
トレースラインが形成されると、トラッキング処理部70により、トレースライン上に複数のトラッキングポイントTPが設定される。例えば、トレースライン上において、等間隔に100個程度のトラッキングポイントTPが設定される。
【0056】
図6は、トレースライン形成処理の具体例5を説明するための図である。図6の具体例5では、まず、検査者(医師や検査技師等のユーザ)により、心臓のBモード画像22内に複数の補助点Pa〜Pfが設定される。図2の具体例1と同様に、図6の具体例5においても、3つの弁輪部の位置に補助点Pa,Pb,Pcが設定され、1つの心尖部の位置に補助点Pdが設定され、左心房内に補助点Peが設定され、大動脈内に補助点Pfが設定される。
【0057】
複数の補助点Pa〜Pfが設定されると、輪郭抽出部50により左心室と左心房と大動脈の輪郭が抽出され、境界設定部60により心房内を区切る境界と大動脈内を区切る境界が設定される。
【0058】
こうして、図2の具体例1と同様に、図6の具体例5においても、左心室の輪郭と左心房の輪郭と大動脈の輪郭と心房内を区切る境界と大動脈を区切る境界とによって構成されるトレースラインが形成される。
【0059】
トレースラインが形成されると、トラッキング処理部70により、トレースライン上に複数のトラッキングポイントTPが設定される。但し、図6の具体例5では、左心室の輪郭と左心房の輪郭の一部と大動脈の輪郭の一部を対象として、複数のトラッキングポイントTPが設定される。つまり、心房内を区切る境界と大動脈を区切る境界にはトラッキングポイントTPが設定されない。なお、図4の具体例3と図5の具体例4において、心房内を区切る境界と大動脈を区切る境界にトラッキングポイントTPを設定しない変形例が適用されてもよい。
【0060】
図2から図6を利用して説明した具体例により、心臓のBモード画像22内に設定された複数のトラッキングポイントTPは、複数フレーム(複数時相)に亘って心臓壁(内壁)の動きをトラッキングする追跡処理に利用される。
【0061】
図7は、トレースライン形成処理の好適な手順を示すフローチャートである。まず、検査者(医師や検査技師等のユーザ)により、トレースラインが形成されるBモード画像が選択される(S1)。例えば、図1の超音波診断装置が備える画像データ用のメモリ等に記憶された複数フレームのBモード画像の中から、検査者が所望のフレームのBモード画像を選択する。
【0062】
次に、Bモード画像の断面種類が指定される(S2)。例えば心臓の診断においては、心尖部二腔断面(A2C)、心尖部三腔断面(A3C)、心尖部四腔断面(A4C)などの代表的な断面種類が知られており、S1で選択されたBモード画像がこれらの断面種類のいずれに該当するのかを検査者が指定する。なお、断面種類に加えて、S1で選択されたBモード画像の時相(拡張末期または収縮末期)や、反転状態(左右反転または上下反転)などが指定されてもよい。
【0063】
次に、補助点が設定される(S3)。例えば、図2から図6に示す心尖部三腔断面(A3C)のBモード画像22の場合には、例えば図2に示す具体例1のように、3つの弁輪部の位置に補助点Pa,Pb,Pcが設定され、1つの心尖部の位置に補助点Pdが設定され、左心房内に補助点Peが設定され、大動脈内に補助点Pfが設定される。なお、図3〜5に示す具体例2〜4のように、複数の補助点のうちのいくつかの設定が省略されてもよい。また、心尖部二腔断面(A2C)と心尖部四腔断面(A4C)の場合には、例えば、左右の2つの弁輪部の位置と1つの心尖部の位置と左心房内に補助点が設定される。
【0064】
補助点が設定されると、輪郭抽出部50により輪郭抽出処理が実行され(S4)、境界設定部60により境界設定処理が実行され(S5)、そして、トラッキング処理部70によりトラッキングポイントが設定される(S6)。Bモード画像の断面種類が心尖部三腔断面(A3C)であれば、例えば、図2から図6を利用して説明した具体例により、輪郭抽出と境界設定とトラッキングポイント設定が実現される。
【0065】
なお、輪郭抽出部50はBモード画像の断面種類に応じた抽出アルゴリズムを利用して輪郭抽出を行うことが望ましい。例えば、心尖部三腔断面(A3C)であればA3Cに対応した抽出アルゴリズムを利用して左心室と左心房と大動脈の輪郭が抽出される。心尖部二腔断面(A2C)であればA2Cに対応した抽出アルゴリズムを利用して左心室と左心房の輪郭が抽出され、心尖部四腔断面(A4C)であればA4Cに対応した抽出アルゴリズムを利用して左心室と左心房の輪郭が抽出される。
【0066】
また、境界設定部60による境界設定処理には、以下に説明する具体例が利用されてもよい。
【0067】
図8は、境界設定処理の具体例を説明するための図である。図8には、輪郭抽出部50により抽出された左心房の輪郭を利用して、境界設定部60が左心房内を区切る境界を設定する具体例が図示されている。図8には、Bモード画像に含まれる左心房内に境界を設定する処理の具体例が図示されている。
【0068】
弁輪部の位置に補助点Pa,Pbが設定されると、補助点Pa,Pbを基準として初期輪郭の中心位置Cが決定されて左心房内に初期輪郭が設定される(S1)。例えば補助点Pa,Pbの位置(2つの弁輪部の位置)と左心房の方向を示すベクトルを用いて初期輪郭の中心位置Cが決定される。そして、複数の輪郭モデル点OPにより構成される初期輪郭が左心房内に設定される。
【0069】
次に、初期輪郭に対する拡大処理により左心房の輪郭が抽出される(S2)。例えば、輪郭抽出部50は、Bモード画像内において左心房のエッジ(心腔と心筋の境界)を検出し、検出したエッジに到達するまで、初期輪郭を構成する複数の輪郭モデル点OPを移動する。こうして得られた移動後の複数の輪郭モデル点OPにより構成される輪郭が左心房の輪郭となる。
【0070】
左心房の輪郭が抽出されると、境界設定部60により左心房内を区切る境界に対応した境界ラインBLが設定される(S3)。例えば、左心房内に設定された補助点Pe(図2参照)を通り、補助点Pa,Pbを結ぶ線分に平行な境界ラインBLが設定される。
【0071】
次に、境界ラインBLよりも弁輪部(補助点Pa,Pb)の反対側にはみ出した複数の輪郭モデル点OPが境界ラインBL上にシフトされる(S4)。例えば、S4に図示する具体例のように、境界ラインBLよりもY軸の負方向側に弁輪部(補助点Pa,Pb)がある場合に、境界ラインBLよりもY軸の正方向側(図の下側)にある複数の輪郭モデル点OPを境界ラインBL上に移動させる。例えば、左心房の輪郭を構成する全輪郭モデル点OPについて、各輪郭モデル点OPごとに境界ラインBLよりもY軸の正方向側にあるか否かが判定され、正方向側にあると判定された各輪郭モデル点OPを境界ラインBL上に達するまでY軸方向に移動させる。
【0072】
さらに、境界ラインBL上へのシフトにより左心房の輪郭の外側(心筋側)に外れてしまった複数の輪郭モデル点OPが左心房内にシフトされる(S5)。S5には、左心房の輪郭と境界ラインBLの交点CP(S4における左側(X軸の負方向側)の交点)近傍の拡大図が示されている。
【0073】
例えば、S5に図示する具体例のように、左心房の輪郭と境界ラインBLの交点CPよりも左側にはみ出した各輪郭モデル点OPが交点CPの位置にシフトされる。例えば、交点CPよりも左側にはみ出した各輪郭モデル点OPが、交点CPに最も近い輪郭モデル点OPのX座標(XL)の位置にシフトされてもよい。なお、S4における右側(X軸の正方向側)の交点についても、その交点より右側にはみ出した各輪郭モデル点OPが交点の位置にシフトされる。また、シフトにより同じ位置に複数の輪郭モデル点OPが重なった場合には、それら複数の輪郭モデル点OPのうちの一つのみを残すようにしてもよい。
【0074】
こうして、左心房の輪郭と左心房内を区切る境界に沿って並ぶ複数の輪郭モデル点OPが形成される(S6)。
【0075】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、上述した実施形態は、あらゆる点で単なる例示にすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。本発明は、その本質を逸脱しない範囲で各種の変形形態を包含する。
【符号の説明】
【0076】
10 プローブ、12 送受信部、20 画像形成部、40 速度ベクトル演算部、50 輪郭抽出部、60 境界設定部、70 トラッキング処理部、80 表示処理部、82 表示部、90 操作デバイス、100 制御部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8