特許第6866318号(P6866318)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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特許6866318温度検知ラベル及びそれを用いた物品管理システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6866318
(24)【登録日】2021年4月9日
(45)【発行日】2021年4月28日
(54)【発明の名称】温度検知ラベル及びそれを用いた物品管理システム
(51)【国際特許分類】
   G01K 11/12 20210101AFI20210419BHJP
【FI】
   G01K11/12 A
【請求項の数】13
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2018-7802(P2018-7802)
(22)【出願日】2018年1月22日
(65)【公開番号】特開2019-128166(P2019-128166A)
(43)【公開日】2019年8月1日
【審査請求日】2020年6月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】坪内 繁貴
(72)【発明者】
【氏名】會田 航平
(72)【発明者】
【氏名】森 俊介
(72)【発明者】
【氏名】川崎 昌宏
【審査官】 清水 靖記
(56)【参考文献】
【文献】 特開平07−309070(JP,A)
【文献】 特開2006−200894(JP,A)
【文献】 特開2001−116628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00 − 19/00
B41M 5/00 − 5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、前記支持体に設けられた温度検知部と、前記温度検知部に覆設された保護層と、を備える温度検知ラベルであって、
前記温度検知部は、昇温過程において温度Tで顕色し始め、温度Tで溶融することにより消色し始め、降温過程において温度以下に冷却すると消色したまま固化する温度検知材料を有し、
前記温度検知材料は、ロイコ染料と消色剤と顕色剤とを含み、
前記温度以上前記温度以下の温度で外観変化する部材、又は融点若しくはガラス転移点がTよりも高い高融点材料を備えることを特徴とする温度検知ラベル。
【請求項2】
請求項1に記載の温度検知ラベルであって、
前記部材の外観変化は、色変化、透明度の変化、形状変化のいずれかであることを特徴とする温度検知ラベル。
【請求項3】
請求項1に記載の温度検知ラベルであって、
前記部材は、前記保護層に設けられていることを特徴とする温度検知ラベル。
【請求項4】
請求項3に記載の温度検知ラベルであって、
前記部材は、前記温度以上前記温度以下の温度で不可逆的に変色する感熱シートであることを特徴とする温度検知ラベル。
【請求項5】
請求項3に記載の温度検知ラベルであって、
前記部材は、前記温度以上前記温度以下の温度で不可逆的に収縮するフィルムであることを特徴とする温度検知ラベル。
【請求項6】
請求項3又は5に記載の温度検知ラベルであって、
前記部材は、前記温度よりも高い温度の融点又はガラス転移温度を有する材料からなることを特徴とする温度検知ラベル。
【請求項7】
請求項1に記載の温度検知ラベルであって、
前記高融点材料は、前記温度検知部に配置され、前記温度検知材料と混合されていることを特徴とする温度検知ラベル。
【請求項8】
請求項1に記載の温度検知ラベルであって、
前記温度検知部は、前記温度検知材料からなる第1領域と、前記部材からなる第2領域と、を有し、
前記第2領域は、前記第1領域と形成する温度検知材料と同一の温度検知材料で形成され、
前記温度T未満の温度である初期状態において前記第1領域は消色状態、前記第2領域は顕色状態であることを特徴とする温度検知ラベル。
【請求項9】
支持体と、前記支持体に設けられた温度検知部と、前記温度検知部に覆設された保護層と、を備える温度検知ラベルであって、
前記温度検知部は、昇温過程において温度Tで顕色し始め、温度Tで溶融することにより消色し始め、降温過程において前記温度T以下に冷却すると消色したまま固化する温度検知材料を有し、前記温度検知材料は、ロイコ染料と消色剤と顕色剤と、を含み、
前記温度検知部は、さらに前記温度検知材料中に空隙を有することを特徴とする温度検知ラベル。
【請求項10】
物品に添付された請求項4に記載の温度検知ラベルの使用前の画像及び使用後の画像を取得する情報取得部と、
前記使用後の画像における前記温度検知材料の色から管理環境からの温度逸脱の有無を判定し、
温度逸脱が無いと判定されたときに、前記使用前の画像における前記感熱シートの色と前記使用後の画像における前記感熱シートの色と、に基づき、前記温度検知材料の初期化の有無を判定する演算部と、備えることを特徴とする物品管理装置。
【請求項11】
物品に添付された請求項5又は6に記載の温度検知ラベルの使用前の画像及び使用後の画像を取得する情報取得部と、
前記使用後の画像における前記温度検知材料の色から管理環境からの温度逸脱の有無を判定し、
温度逸脱が無いと判定されたときに、前記使用前の画像における前記保護層の形状と前記使用後の画像における前記保護層の形状と、に基づき、前記温度検知材料の初期化の有無を判定する演算部と、備えることを特徴とする物品管理装置。
【請求項12】
物品に添付された請求項7に記載の温度検知ラベルの使用前の画像及び使用後の画像を取得する情報取得部と、
前記使用後の画像における前記温度検知材料の色から管理環境からの温度逸脱の有無を判定し、
温度逸脱が無いと判定されたときに、前記使用前の画像における前記高融点材料の配置と前記使用後の画像における前記高融点材料の配置と、に基づき、前記温度検知材料の初期化の有無を判定する演算部と、備えることを特徴とする物品管理装置。
【請求項13】
物品に添付された請求項に記載の温度検知ラベルの使用前の画像及び使用後の画像を取得する情報取得部と、
前記使用後の画像における前記温度検知材料の色から管理環境からの温度逸脱の有無を判定し、
温度逸脱が無いと判定されたときに、前記使用前の画像における前記空隙の数又は形状と、前記使用後の画像における前記空隙の数又は形状と、に基づき、前記温度検知材料の初期化の有無を判定する演算部と、備えることを特徴とする物品管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度検知ラベル及びそれを用いた物品管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
温度に応答して顕色したり、消色したりする温度検知ラベルは、温度管理が必要な生鮮食品や医薬品等の品質管理に用いられている。
【0003】
特許文献1には、温度上昇および温度下降の両方を検知可能な示温剤が開示されている。この示温剤はロイコ染料を利用しており、可逆的に色変化するものである。
【0004】
特許文献2には、変造防止を目的とした温度検知体が開示されている。特許文献2の温度検知材料は、昇温時に消色開始する温度Ta1と降温時に顕色開始する温度Td1とが異なる第一のインクと、昇温時に消色開始する温度Ta2と降温時に顕色開始する温度Td2とが異なる第二のインクと、を含み、消色開始温度Ta1と顕色開始温度Td1と消色開始温度Ta2と顕色開始温度Td2とが、Td1<Td2<Ta1<Ta2の関係を有する。
【0005】
品質管理以外の用途で使われる感熱性ラベルとしては、ICカードやポイントカード上のリライタブルなラベルがある。これらの表示目的は、使用者にカード内の情報を可視化するためであり、意図的な加熱により表示を消失し、改ざんしたとしてもデータ自体がIC等に記録されているため偽造防止機能は不要である。また、これらのカードは情報が更新されるために、書き換えられることを前提としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平2−19155号公報
【特許文献2】WO2017/068657
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された示温剤は、可逆的に色変化するため、一度色変化しても温度を調節することにより変色前の色に戻すことができる。物品の流通時の温度管理には、管理温度からの逸脱を検知可能であって、逸脱後も元の状態に戻ることのない変造防止機能を有する温度検知材料が求められている。
【0008】
特許文献2に開示された温度検知体は、二種のインクがそれぞれ独立した温度検知機能を果たす必要があり、ラベル内に二種のインクを配置するか、それぞれのインクをマイクロカプセル化する必要があった。
【0009】
そこで、本発明は、簡易な構成で変造を抑制できる温度検知ラベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る温度検知ラベルは、支持体と、支持体に設けられた温度検知部と、を備え、温度検知部は、昇温過程において温度Tで顕色し始め、温度Tで溶融することにより消色し始め、降温過程において温度T以下に冷却すると消色したまま固化する温度検知材料を有し、温度検知材料は、ロイコ染料と消色剤と顕色剤とを含み、温度検知ラベルは、さらに、T以上T以下の温度で外観変化する部材、又は融点若しくはガラス転移点がTよりも高い高融点材料を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、簡易な構成で変造を抑制できる温度検知ラベルを提供することができる。上記した以外の課題、構成及び効果は以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態に係る示温材の示差走査熱重量測定(DSC)曲線である。
図2図1に係る示温材の温度と色濃度の関係を模式的に示す図である。
図3】一実施形態に係る温度検知材料の相分離構造の模式図である。
図4】一実施形態に係る温度検知材料の光学顕微鏡写真である。
図5】実施例1に係る温度検知ラベルの模式図である。
図6】実施例1に係る温度検知ラベルの模式図である。
図7】実施例1に係る温度検知ラベルの模式図である。
図8】実施例1に係る温度検知ラベルの模式図である。
図9】実施例2に係る温度検知ラベルの模式図である。
図10】実施例2に係る温度検知ラベルの模式図である。
図11】実施例2に係る温度検知ラベルの模式図である。
図12】実施例2に係る温度検知ラベルの模式図である。
図13】実施例3に係る温度検知ラベルの模式図である。
図14】実施例3に係る温度検知ラベルの模式図である。
図15】実施例3に係る温度検知ラベルの模式図である。
図16】実施例4に係る温度検知ラベルの模式図である。
図17】実施例4に係る温度検知ラベルの模式図である
図18】実施例4に係る温度検知ラベルの模式図である
図19】実施例5に係る温度検知ラベルの模式図である。
図20】実施例5に係る温度検知ラベルの模式図である。
図21】実施例5に係る温度検知ラベルの模式図である。
図22】物品管理システムの構成図である。
図23】物品管理装置の構成図である。
図24】不正検知の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面等を用いて、本発明の実施形態について説明する。以下の説明は本発明の内容の具体例を示すものであり、本発明がこれらの説明に限定されるものではなく、本明細書に開示される技術的思想の範囲内において当業者による様々な変更および修正が可能である。また、本発明を説明するための全図において、同一の機能を有するものは、同一の符号を付け、その繰り返しの説明は省略する場合がある。
【0014】
本明細書では、温度検知ラベルを例にして説明するが、本発明の技術的思想は、TTI(Time Temperature Indicator)などに対しても適用することができる。
【実施例1】
【0015】
実施例1に係る温度検知ラベルは、支持体と、支持体に設けられた温度検知部と、温度検知部に覆設された保護層と、不正検知部材と、を備える。
【0016】
<支持体>
支持体は、汎用性の樹脂が好ましい。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフリン、ポリエチレンテレフタラート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートがあげられる。
【0017】
<保護層>
保護層は、汎用性の樹脂が好ましい。具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフリン、ポリエチレンテレフタラート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネートがあげられる。保護層は支持体と同一素材であってもよい。ただし、保護層の下部に配置された温度検知部の色変化が確認できる程度に透明であることが要求される。
【0018】
<温度検知部>
温度検知部は、昇温過程において温度Tで顕色し始め、温度Tに達すると溶融することにより消色し始め、降温過程において温度T以下に冷却すると消色したまま固化する温度検知材料を有する。
【0019】
(温度検知材料)
温度検知材料は、電子供与性化合物であるロイコ染料と、電子受容性化合物である顕色剤と、変色の温度範囲を制御するための消色剤と、を含む示温材により構成される。
【0020】
示温材をそのまま用いても良いし、示温材をマイクロカプセルで内包した構造や、示温材を顕色および消色作用のないマトリックス材料で保護した相分離構造としても良い。また、示温材を固体材料としたものを、溶剤と混合し、インク・塗料化しても良い。
【0021】
上記示温材は、温度によって固体状態から液体状態へ又は液体状態から固体状態へ変化する。温度検知機能の阻害を抑制するために、示温材は、他の材料から分離されていることが好ましい。例えば、上述したように、示温材をマイクロカプセル化したり、相分離構造体とすることにより、他の材料と分離でき、さらに温度によらず固体状態の材料とすることができる。ほかにも、樹脂、ガラスなどの多孔質材に内包させてもよい。
【0022】
(示温材)
示温材は、温度変化(昇温/降温)により色濃度が変化し、色濃度−温度曲線にヒステリシス特性を有する。溶融した状態から冷却すると結晶化せずに非晶質状態で凝固する材料である。
【0023】
図1に一実施形態に係る示温材の示差走査熱量測定(DSC)曲線を示す。降温過程(図の左向き矢印(←))において、結晶化が起こらないため、結晶化による発熱ピークが観察されない。一方、昇温過程(図の右向き矢印(→))において、結晶化による発熱ピークが観察される。Tは昇温過程における開始温度(昇温過程における結晶化開始温度)である。Tは融点である。
【0024】
図2は、図1に係る示温材の温度と色濃度の関係を示す図である。昇温していくと、温度Tで結晶化することにより示温材の顕色が開始する。そのまま昇温し続け融点Tに達すると、融解することにより消色が開始する。消色した状態で、冷却していくと、結晶化せずに非晶質状態のまま凝固することにより、消色状態が維持される。したがって、この示温材料は、温度T以上に昇温することにより、色変化を初期化することができる。
【0025】
昇温過程において結晶化が開始する温度は、昇温速度や経過時間に依存する。低速で昇温すると低温に開始温度が現れ、高速で昇温すると高温に開始温度が現れる、もしくは開始温度が現れず融点Tで融解する。結晶化が起こると顕色するため、検知温度と検知時間の要求に合わせて、開始温度を設定する。Tはガラス転移点である。ガラス転移点以下では、結晶化が開始されない。結晶化しやすい材料の場合、ガラス転移点以上の温度になると容易に結晶化するため、開始温度とガラス転移点が同じ温度になることが多い。
【0026】
(ロイコ染料)
ロイコ染料は、電子供与性化合物であって、従来、感圧複写紙用の染料や、感熱記録紙用染料として公知のものを利用できる。例えば、トリフェニルメタンフタリド系、フルオラン系、フェノチアジン系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系、スピロピラン系、ローダミンラクタム系、トリフェニルメタン系、トリアゼン系、スピロフタランキサンテン系、ナフトラクタム系、アゾメチン系等が挙げられる。ロイコ染料の具体例としては、9−(N−エチル−N−イソペンチルアミノ)スピロ[ベンゾ[a]キサンテン−12,3’−フタリド]、2−メチル−6−(Np−トリル−N−エチルアミノ)−フルオラン6−(ジエチルアミノ)−2−[(3−トリフルオロメチル)アニリノ]キサンテン−9−スピロ−3’−フタリド、3,3−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、2’−アニリノ−6’−(ジブチルアミノ)−3’−メチルスピロ[フタリド−3,9’−キサンテン]、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、1−エチル−8−[N−エチル−N−(4−メチルフェニル)アミノ]−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロスピロ[11H−クロメノ[2,3−g]キノリン−11,3’−フタリドが挙げられる。示温材は、2種以上のロイコ染料を組み合わせて用いてもよい。
【0027】
(顕色剤)
顕色剤は、電子供与性のロイコ染料と接触することで、ロイコ染料の構造を変化させて呈色させるものである。顕色剤としては、感熱記録紙や感圧複写紙等に用いられる顕色剤として公知のものを利用できる。このような顕色剤の具体例としては、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,2′−ビフェノール、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、パラオキシ安息香酸エステル、没食子酸エステル等のフェノール類等を挙げることができる。顕色剤は、これらに限定されるものではなく、電子受容体でありロイコ染料を変色させることができる化合物であればよい。また、カルボン酸誘導体の金属塩、サリチル酸及びサリチル酸金属塩、スルホン酸類、スルホン酸塩類、リン酸類、リン酸金属塩類、酸性リン酸エステル類、酸性リン酸エステル金属塩類、亜リン酸類、亜リン酸金属塩類等を用いてもよい。特に、ロイコ染料や後述する消色剤に対する相溶性が高いものが好ましく、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、2,2′−ビスフェノール、ビスフェノールA、没食子酸エステル類等の有機系顕色剤が好ましい。
【0028】
示温材は、これらの顕色剤を1種、または、2種類以上組み合わせてもよい。顕色剤を組合せることによりロイコ染料の呈色時の色濃度を調整可能である。本顕色剤の使用量は所望される色濃度に応じて選択する。例えば、通常前記したロイコ色素1重量部に対して、0.1〜100重量部程度の範囲内で選択すればよい。
【0029】
(消色剤)
消色剤はとしては、ロイコ染料と顕色剤との結合を解離させることが可能である材料を幅広く用いることができる。極性が低くロイコ染料に対して顕色性を示さず、ロイコ染料と顕色剤を溶解させる程度に極性が高ければ、様々な材料が消色剤になり得る。
【0030】
代表的には、ヒドロキシ化合物、エステル化合物、ペルオキシ化合物、カルボニル化合物、芳香族化合物、脂肪族化合物、ハロゲン化合物、アミノ化合物、イミノ化合物、N−オキシド化合物、ヒドロキシアミン化合物、ニトロ化合物、アゾ化合物、ジアゾ化合物、アジ化合物、エーテル化合物、油脂化合物、糖化合物、ペプチド化合物、核酸化合物、アルカロイド化合物、ステロイド化合物など、多様な有機化合物を用いることができる。具体的には、トリカプリン、ミリスチン酸イソプロピル、酢酸 m−トリル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、1、4−ジアセトキシブタン、デカン酸デシル、フェニルマロン酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、くえん酸トリエチル、フタル酸ベンジルブチル、ブチルフタリルブチルグリコラート、N−メチルアントラニル酸メチル、アントラニル酸エチル、サリチル酸2−ヒドロキシエチル、ニコチン酸メチル、4−アミノ安息香酸ブチル、p−トルイル酸メチル、4−ニトロ安息香酸エチル、フェニル酢酸2−フェニルエチル、けい皮酸ベンジル、アセト酢酸メチル、酢酸ゲラニル、こはく酸ジメチル、セバシン酸ジメチル、オキサル酢酸ジエチル、モノオレイン、パルミチン酸ブチル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、酢酸リナリル、フタル酸ジ−n−オクチル、安息香酸ベンジル、ジエチレングリコールジベンゾアート、p−アニス酸メチル、酢酸 m−トリル、けい皮酸シンナミル、プロピオン酸2−フェニルエチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸メチル、アントラニル酸メチル、酢酸ネリル、パルミチン酸イソプロピル、4−フルオロ安息香酸エチル、シクランデラート (異性体混合物)、ブトピロノキシル、2−ブロモプロピオン酸エチル、トリカプリリン、レブリン酸エチル、パルミチン酸ヘキサデシル、酢酸 tert−ブチル、1、1−エタンジオールジアセタート、しゅう酸ジメチル、トリステアリン、トリミリスチン、アセチルサリチル酸メチル、ベンザルジアセタート、2−ベンゾイル安息香酸メチル、2、3−ジブロモ酪酸エチル、2−フランカルボン酸エチル、アセトピルビン酸エチル、バニリン酸エチル、イタコン酸ジメチル、3−ブロモ安息香酸メチル、アジピン酸モノエチル、アジピン酸ジメチル、1、4−ジアセトキシブタン、ジエチレングリコールジアセタート、パルミチン酸エチル、テレフタル酸ジエチル、プロピオン酸フェニル、ステアリン酸フェニル、酢酸1−ナフチル、ベヘン酸メチル、アラキジン酸メチル、4−クロロ安息香酸メチル、ソルビン酸メチル、イソニコチン酸エチル、ドデカン二酸ジメチル、ヘプタデカン酸メチル、α−シアノけい皮酸エチル、N−フェニルグリシンエチル、イタコン酸ジエチル、ピコリン酸メチル、イソニコチン酸メチル、DL−マンデル酸メチル、3−アミノ安息香酸メチル、4−メチルサリチル酸メチル、ベンジリデンマロン酸ジエチル、DL−マンデル酸イソアミル、メタントリカルボン酸トリエチル、ホルムアミノマロン酸ジエチル、1、2−ビス(クロロアセトキシ)エタン、ペンタデカン酸メチル、アラキジン酸エチル、6−ブロモヘキサン酸エチル、ピメリン酸モノエチル、乳酸ヘキサデシル、ベンジル酸エチル、メフェンピル−ジエチル、プロカイン、フタル酸ジシクロヘキシル、サリチル酸4−tert−ブチルフェニル、4−アミノ安息香酸イソブチル、4−ヒドロキシ安息香酸ブチル、トリパルミチン、1、2−ジアセトキシベンゼン、イソフタル酸ジメチル、フマル酸モノエチル、バニリン酸メチル、3−アミノ−2−チオフェンカルボン酸メチル、エトミデート、クロキントセット−メキシル、ベンジル酸メチル、フタル酸ジフェニル、安息香酸フェニル、4−アミノ安息香酸プロピル、エチレングリコールジベンゾアート、トリアセチン、ペンタフルオロプロピオン酸エチル、3−ニトロ安息香酸メチル、酢酸4−ニトロフェニル、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸メチル、くえん酸トリメチル、3−ヒドロキシ安息香酸エチル、3−ヒドロキシ安息香酸メチル、トリメブチン、酢酸4−メトキシベンジル、ペンタエリトリトールテトラアセタート、4−ブロモ安息香酸メチル、1−ナフタレン酢酸エチル、5−ニトロ−2−フルアルデヒドジアセタート、4−アミノ安息香酸エチル、プロピルパラベン、1、2、4−トリアセトキシベンゼン、4−ニトロ安息香酸メチル、アセトアミドマロン酸ジエチル、バレタマートブロミド、安息香酸2−ナフチル、フマル酸ジメチル、アジフェニン塩酸塩、4−ヒドロキシ安息香酸ベンジル、4−ヒドロキシ安息香酸エチル、酪酸ビニル、ビタミンK4、4−ヨード安息香酸メチル、3、3−ジメチルアクリル酸メチル、没食子酸プロピル、1、4−ジアセトキシベンゼン、メソしゅう酸ジエチル、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸ジメチル (cis−、 trans−混合物)、1、1、2−エタントリカルボン酸トリエチル、ヘキサフルオログルタル酸ジメチル、安息香酸アミル、3−ブロモ安息香酸エチル、5−ブロモ−2−クロロ安息香酸エチル、フタル酸ビス(2−エチルヘキシル)、アリルマロン酸ジエチル、ブロモマロン酸ジエチル、エトキシメチレンマロン酸ジエチル、エチルマロン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジエチル、1、3−アセトンジカルボン酸ジメチル、フタル酸ジメチル、3−アミノ安息香酸エチル、安息香酸エチル、4−(ジメチルアミノ)安息香酸エチル、ニコチン酸エチル、フェニルプロピオル酸エチル、ピリジン−2−カルボン酸エチル、2−ピリジル酢酸エチル、3−ピリジル酢酸エチル、安息香酸メチル、フェニル酢酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸アミル、2、5−ジアセトキシトルエン、4−オキサゾールカルボン酸エチル、1、3、5−シクロヘキサントリカルボン酸トリメチル (cis−、 trans−混合物)、3−(クロロスルホニル)−2−チオフェンカルボン酸メチル、ペンタエリトリトールジステアラート、ラウリン酸ベンジル、アセチレンジカルボン酸ジエチル、メタクリル酸フェニル、酢酸ベンジル、グルタル酸ジメチル、2−オキソシクロヘキサンカルボン酸エチル、フェニルシアノ酢酸エチル、1−ピペラジンカルボン酸エチル、ベンゾイルぎ酸メチル、フェニル酢酸メチル、酢酸フェニル、こはく酸ジエチル、トリブチリン、メチルマロン酸ジエチル、しゅう酸ジメチル、1、1−シクロプロパンジカルボン酸ジエチル、マロン酸ジベンジル、4−tert−ブチル安息香酸メチル、2−オキソシクロペンタンカルボン酸エチル、シクロヘキサンカルボン酸メチル、4−メトキシフェニル酢酸エチル、4−フルオロベンゾイル酢酸メチル、マレイン酸ジメチル、テレフタルアルデヒド酸メチル、4−ブロモ安息香酸エチル、2−ブロモ安息香酸メチル、2−ヨード安息香酸メチル、3−ヨード安息香酸エチル、3−フランカルボン酸エチル、フタル酸ジアリル、ブロモ酢酸ベンジル、ブロモマロン酸ジメチル、m−トルイル酸メチル、1、3−アセトンジカルボン酸ジエチル、フェニルプロピオル酸メチル、酪酸1−ナフチル、o−トルイル酸エチル、2−オキソシクロペンタンカルボン酸メチル、安息香酸イソブチル、3−フェニルプロピオン酸エチル、マロン酸ジ−tert−ブチル、セバシン酸ジブチル、アジピン酸ジエチル、テレフタル酸ジエチル、フタル酸ジプロピル、1、1−エタンジオールジアセタート、アジピン酸ジイソプロピル 、フマル酸ジイソプロピル、けい皮酸エチル、2−シアノ−3、3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル、ネオペンチルグリコールジアクリラート、トリオレイン 、ベンゾイル酢酸エチル、p−アニス酸エチル、スベリン酸ジエチル、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノステアレート、ステアリン酸アミド、モノステアリン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセロール、3−(tert−ブトキシカルボニル)フェニルボロン酸、ラセカドトリル、4−[(6−アクリロイルオキシ)ヘキシルオキシ]−4’−シアノビフェニル、2−(ジメチルアミノ)ビニル3−ピリジルケトン、アクリル酸ステアリル、4−ブロモフェニル酢酸エチル、フタル酸ジベンジル、3、5−ジメトキシ安息香酸メチル、酢酸オイゲノール、3、3’−チオジプロピオン酸ジドデシル、酢酸バニリン、炭酸ジフェニル、オキサニル酸エチル、テレフタルアルデヒド酸メチル、4−ニトロフタル酸ジメチル、(4−ニトロベンゾイル)酢酸エチル、ニトロテレフタル酸ジメチル、2−メトキシ−5−(メチルスルホニル)安息香酸メチル、3−メチル−4−ニトロ安息香酸メチル、2、3−ナフタレンジカルボン酸ジメチル、アジピン酸ビス(2−エチルヘキシル)、4’−アセトキシアセトフェノン、trans−3−ベンゾイルアクリル酸エチル、クマリン−3−カルボン酸エチル、BAPTA テトラエチルエステル、2、6−ジメトキシ安息香酸メチル、イミノジカルボン酸ジ−tert−ブチル、p−ベンジルオキシ安息香酸ベンジル、3、4、5−トリメトキシ安息香酸メチル、3−アミノ−4−メトキシ安息香酸メチル、ジステアリン酸ジエチレングリコール、3、3’−チオジプロピオン酸ジテトラデシル、4−ニトロフェニル酢酸エチル、4−クロロ−3−ニトロ安息香酸メチル、1、4−ジプロピオニルオキシベンゼン、テレフタル酸ジメチル、4−ニトロけい皮酸エチル、5−ニトロイソフタル酸ジメチル、1、3、5−ベンゼントリカルボン酸トリエチル、N−(4−アミノベンゾイル)−L−グルタミン酸ジエチル、酢酸2−メチル−1−ナフチル、7−アセトキシ−4−メチルクマリン、4−アミノ−2−メトキシ安息香酸メチル、4、4’−ジアセトキシビフェニル、5−アミノイソフタル酸ジメチル、1、4−ジヒドロ−2、6−ジメチル−3、5−ピリジンジカルボン酸ジエチル、4、4’−ビフェニルジカルボン酸ジメチル、オクタン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸−4−ベンジルオキシフェニルエチル、オクタン酸1、1−ジフェニルメチル、ノナン酸1、1−ジフェニルメチル、デカン酸1、1−ジフェニルメチル、ウンデカン酸1、1−ジフェニルメチル、ドデカン酸1、1−ジフェニルメチル、トリデカン酸1、1−ジフェニルメチル、テトラデカン酸1、1−ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1、1−ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1、1−ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1、1−ジフェニルメチル、オクタデカン酸1、1−ジフェニルメチルなどのエステル化合物や、コレステロール、コレステリルブロミド、β−エストラジオール、メチルアンドロステンジオール、プレグネノロン、安息香酸コレステロール、酢酸コレステロール、リノール酸コレステロール、パルミチン酸コレステロール、ステアリン酸コレステロール、n−オクタン酸コレステロール、オレイン酸コレステロール、3−クロロコレステン、trans−けい皮酸コレステロール、デカン酸コレステロール、ヒドロけい皮酸コレステロール、ラウリン酸コレステロール、酪酸コレステロール、ぎ酸コレステロール、ヘプタン酸コレステロール、ヘキサン酸コレステロール、こはく酸水素コレステロール、ミリスチン酸コレステロール、プロピオン酸コレステロール、吉草酸コレステロール、フタル酸水素コレステロール、フェニル酢酸コレステロール、クロロぎ酸コレステロール、2、4−ジクロロ安息香酸コレステロール、ペラルゴン酸コレステロール、コレステロールノニルカルボナート、コレステロールヘプチルカルボナート、コレステロールオレイルカルボナート、コレステロールメチルカルボナート、コレステロールエチルカルボナート、コレステロール
イソプロピルカルボナート、コレステロールブチルカルボナート、コレステロールイソブチルカルボナート、コレステロールアミルカルボナート、コレステロール n−オクチルカルボナート、コレステロールヘキシルカルボナート、アリルエストレノール、アルトレノゲスト、9(10)−デヒドロナンドロロン、エストロン、エチニルエストラジオール、エストリオール、安息香酸エストラジオール、β−エストラジオール17−シピオナート、17−吉草酸β−エストラジオール、α−エストラジオール、17−ヘプタン酸β−エストラジオール、ゲストリノン、メストラノール、2−メトキシ−β−エストラジオール、ナンドロロン、(−)−ノルゲストレル、キネストロール、トレンボロン、チボロン、スタノロン、アンドロステロン、アビラテロン、酢酸アビラテロン、デヒドロエピアンドロステロン、デヒドロエピアンドロステロンアセタート、エチステロン、エピアンドロステロン、17β−ヒドロキシ−17−メチルアンドロスタ−1、4−ジエン−3−オン、メチルアンドロステンジオール、メチルテストステロン、Δ9(11)−メチルテストステロン、1α−メチルアンドロスタン−17β−オール−3−オン、17α−メチルアンドロスタン−17β−オール−3−オン、スタノゾロール、テストステロン、プロピオン酸テストステロン、アルトレノゲスト、16−デヒドロプレグネノロンアセタート、酢酸16、17−エポキシプレグネノロン、11α−ヒドロキシプロゲステロン、17α−ヒドロキシプロゲステロンカプロアート、17α−ヒドロキシプロゲステロン、酢酸プレグネノロン、17α−ヒドロキシプロゲステロンアセタート、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン、酢酸プレグネノロン、5β−プレグナン−3α、20α−ジオール、ブデソニド、コルチコステロン、酢酸コルチゾン、コルチゾン、コルテキソロン、デオキシコルチコステロンアセタート、デフラザコート、酢酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、17−酪酸ヒドロコルチゾン、6α−メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、プレドニゾン、酢酸プレドニゾロン、デオキシコール酸ナトリウム、コール酸ナトリウム、コール酸メチル、ヒオデオキシコール酸メチル、β−コレスタノール、コレステロール−5α、6α−エポキシド、ジオスゲニン、エルゴステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、β−シトステロールアセタートなどのステロイド化合物などが挙げられる。ロイコ染料および顕色剤との相溶性の観点から、これらの化合物を含むことが好ましい。勿論、これらの化合物に限定されるものではなく、ロイコ染料と顕色剤との結合を解離させることが可能である材料であれば何でもよい。
【0031】
示温材の検知温度は、消色剤の状態変化温度に依存する。上記化合物のなかでも、消色剤としては結晶化し難い材料であることが好ましい。急冷により非晶状態を形成することで、上限温度の逸脱を検知可能な示温材は、急冷過程において結晶化せず、ガラス転移点近傍で非晶化する必要があるためである。冷却速度を早くすることにより、非晶状態を形成しやすくなるが、実用性を考慮すると、融解状態から自然に冷却する過程で非晶状態を形成する程度に結晶化しにくい材料が好ましい。この条件として、1℃/分以上の速度で融点からガラス転移点まで冷却したときに非晶状態を形成する消色剤が好ましく、20℃/分以上の速度で融点からガラス転移点まで冷却したときに非晶状態を形成する消色剤がさらに好ましい。
【0032】
また、これらの消色剤を1種、または2種類以上組合せてもよい。消色剤を組合せることにより、凝固点、融点の調整が可能である。
【0033】
(マイクロカプセル化)
上記示温材を内包させたマイクロカプセルについて、以下で説明する。
【0034】
マイクロカプセルに用いる樹脂被膜としては、多価アミンとカルボニル化合物から成る尿素樹脂被膜、メラミン・ホルマリンプレポリマ、メチロールメラミンプレポリマ、メチル化メラミンプレポリマーから成るメラミン樹脂被膜、多価イソシアネートとポリオール化合物から成るウレタン樹脂被膜、多塩基酸クロライドと多価アミンから成るアミド樹脂被膜、酢酸ビニル、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、塩化ビニル等の各種モノマー類から成るビニル系の樹脂被膜が挙げられるが、これらに限定されるものではない。さらに、形成した樹脂被膜の表面処理を行い、インクや塗料化する際の表面エネルギーを調整することで、マイクロカプセルの分散安定性を向上させる等、追加の処理をすることもできる。
【0035】
マイクロカプセルの直径は、装置適合性、保存安定性等の観点から、0.1〜100μm程度の範囲が好ましく、さらに好ましくは、0.1〜10μmの範囲が良い。
【0036】
マイクロカプセル化には、公知の各種手法を適用することが可能である。例えば、乳化重合法、懸濁重合法、コアセルベーション法、界面重合法、スプレードライング法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、2種以上異なる方法を組み合わせてもよい。
【0037】
マイクロカプセル化することにより、組成の湿度等に対する耐環境性が向上し、保存安定性、変色特性の安定化が可能となる。また、マイクロカプセル化により、インク、塗料などに調製した際に、ロイコ染料、顕色剤、消色剤が他の樹脂剤、添加剤等の化合物から受ける影響を抑制することが可能である。
【0038】
(相分離構造体)
相分離構造体とは、示温材をマトリックス材料中に分散させ固体材料化したものである。相分離構造とすることにより、簡便な方法で保存安定性、変色特性の安定化が可能となる。また、インク、塗料などに調製した際に、ロイコ染料、顕色剤、消色剤が他の樹脂剤、添加剤等の化合物から受ける影響を抑制することが可能である。
【0039】
図3に相分離構造を有する温度検知材料の模式図、図4に相分離構造を有する温度検知材料の光学顕微鏡写真を示す。図3、4において、(a)は顕色状態、(b)は消色状態である。図4はハロゲンランプを光源とした光学顕微鏡による反射像である。温度検知材料1は、マトリックス材料3中に示温材2が分散した相分離構造を形成している。つまり、ロイコ染料と顕色剤と、消色剤とを含む相が、マトリックス材料中に分散した構造を形成している。
【0040】
温度検知材料は、マトリックス材料の融点が示温材の融点よりも高く、示温材料の変色温度において固体状態を保持する。そのため、示温材が固体から液体、液体から固体への状態変化を伴い、色変化が生じたとしても、温度検知材料は固体状態のままである。
【0041】
また、マトリックス材料と示温材とは相分離しており、且つマトリックス材料が示温材の色変化に影響を与えないことから、示温材の温度検知機能をそのまま保持することが可能である。
【0042】
マトリックス材料中に分散した示温材からなる相の長径は、100nm以上1mm以下であることが好ましく、1μm以上100μm以下であることがより好ましい。示温材からなる相の大きさは特に限定されないが、100nm以上とすることにより示温材とマトリックス材料の界面による検知温度への影響を抑制できる。また、1mm以下とすることにより、示温材とマトリックス材料とを区別して視認することが困難となり、温度検知材料の色ムラを抑えることができる。示温材からなる相の大きさは、界面活性剤を添加することや冷却工程において攪拌しながら冷却することにより、小さくすることができる。なお、示温材からなる相の長径とは、示温材からなる相を楕円に近似したときの近似楕円の長径である。
【0043】
相分離構造体は、乳鉢などで砕いて、粉体化することも可能である。これによりマイクロカプセルと同様の取り扱いが可能になる。
【0044】
マトリックス材料としては、示温材と混合したときに、示温材の顕色性および消色性を損なわない材料である必要がある。そのため、マトリックス材料自身が顕色性を示さない材料であることが好ましい。このような材料としては、電子受容体ではない非極性材料が挙げられる。
【0045】
また、マトリックス材料中に示温材が分散した相分離構造を形成させるために、マトリックス材料としては、温度検知材料の使用温度で固体状態であること、融点が示温材の融点よりも高いこと、ロイコ染料、消色剤、および顕色材と相溶性の低い材料であること、が要求される。
【0046】
マトリックス材料が温度検知材料の使用温度で固体であること、マトリックス材料の融点が示温材の融点よりも高いこと、によって、示温材が固体から液体、液体から固体への状態変化した場合であっても温度検知材料は固体状態を維持することができる。また、温度検知材料が、ロイコ染料、消色剤、および顕色材と相溶性の低い材料であることによって、示温材の温度検知機能を維持することができる。
【0047】
以上の条件を満たすマトリックス材料としては、ハンセン溶解度パラメーターにより予測される分子間の双極子相互作用によるエネルギーδdおよび分子間の水素結合によるエネルギーδhがそれぞれ3以下である材料を好ましく用いることができる。具体的には、極性基を有さない材料、炭化水素のみで構成される材料である。さらに具体的には、パラフィン系、マイクロクリスタリン系、オレフィン系、ポリプロピレン系、ポリエチレン系などのワックスや、プロピレン、エチレン、スチレン、シクロオレフィン、シロキサン、テルペンなどの骨格を多く持つ低分子材料や高分子材料、これらの共重合体などが挙げられる。
【0048】
これらの中でも、融点以上で低粘度の溶融液になり、融点以下で容易に固体化する材料は取扱い性が良いため好ましい。また、有機溶媒に溶け、有機溶媒の揮発過程で固体化する材料も取扱い性がよい。マトリックス材料としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ポリオレフィン、テルペン樹脂などが特に好ましい。ポリオレフィンとしては、例えば、低分子ポリエチレン、低分子ポリプロピレンなどが挙げられる。ポリオレフィンの分子量および液体状態での粘度は特に限定されないが、液体状態で低粘度であると気泡の内包が少なく成形性がよい。具体的には、分子量5万以下であって、融点近傍での粘度が10Pa・S以下であることが好ましく、分子量1万以下であって、融点近傍での粘度が1Pa・S以下であることがさらに好ましい。
【0049】
これらのマトリックス材料は、複数種を併用することも可能である。
【0050】
また、使用温度において液体状態であるマトリックス材料でも、示温材及び温度検知インクの溶媒と相分離構造を示せば、温度検知材料として用いることが可能である。マトリックス材料が高粘度の液体であれば、固体状態のマトリックス材料と同様に取り扱い性に優れる。しかしながら、マトリックス材料が高粘度液体の場合、長期間の使用においてマトリックス材料中の示温材の沈降は避けられず、最終的には二相に分離してしまう。そのため、温度検知材料としての長期安定性は低い。
【0051】
マトリックス材料中に内包する示温材の濃度は特に限定されないが、示温材1重量部に対して、マトリックス材料0.1重量部以上100重量部以下含むことが好ましい。示温材1重量部に対するマトリックス材料の濃度が100重量部以下であると、温度検知材料としての視認性の低下を抑制できる。また、マトリックス材料の濃度を、示温材の濃度と同等以上とすることにより、マトリックス材料および示温材それぞれが繋がりあった構造(以下、共連続構造という。)になるのを抑制することができる。共連続構造でもマトリックス材料と示温材とは相分離しているため、温度検知材料としての機能は損なわれないが、マトリックス材料中から示温材が液漏れすることがあり、長期安定性を損なう恐れがある。そのため、示温材1重量部に対して、マトリックス材料は1〜10重量部程度にすることがさらに好ましい。
【0052】
相分離構造体およびマイクロカプセルは、インク化のための分散安定化や、溶剤への耐性向上や、光や湿度等に対する耐環境性が向上などのため、シランカップリング処理、表面グラフト化、コロナ処理などにより表面処理をしても構わない。また、相分離構造体およびマイクロカプセルを、さらにマトリックス材料やマイクロカプセルで被覆することも可能である。
【0053】
相分離構造体は例えば、以下の方法で作製することができる。ロイコ染料と、顕色剤と、消色剤と、マトリックス材料と、をマトリックス材料の融点以上の温度に加温し、混合する混合し、得られた混合物を、マトリックス材料の凝固点以下の温度に冷却する。冷却過程において、マトリックス材料と示温材とが速やかに相分離し、マトリックス材料中にロイコ染料と、顕色剤と、消色剤とからなる相が分散した相分離構造が形成する。
【0054】
マトリックス材料の融点以上に加温し液体状態にする際、示温材と、マトリックス材料の相溶性によっては、示温材とマトリックス材料とが相溶する場合と、相溶しない場合とがある。このとき、相溶している方が取扱いやすさの観点において好ましい。示温材とマトリックス材料は、マトリックス材料が固体状態である使用温度のときは相分離している必要があるが、マトリックス材料が液体状態である加温状態では相分離している必要はない。使用温度で示温材とマトリックス材料が相分離させ、加温状態で示温材とマトリックス材料を相溶させるためには、用いる消色剤の極性を調整すればよい。消色剤の極性が小さすぎると、温度検知材料の使用温度でマトリックス材料と示温材とが相溶してしまい、消色剤の極性が大きすぎると、加温状態でマトリックス材料と分離してしまう。具体的には、ハンセン溶解度パラメーターにより予測される分子間の双極子相互作用によるエネルギーδdおよび分子間の水素結合によるエネルギーδhがそれぞれ1以上10以下である材料を好ましく用いることができる。なお、消色剤の極性が大きく、加温状態でも示温材とマトリックス材料が相溶しない場合であっても、撹拌しながら冷却することで、相分離構造を形成させることができる。また、界面活性剤を添加して、示温材とマトリックス材料とを相溶させてもよい。
【0055】
マトリックス材料の凝固点以下に冷却し、相分離構造を形成させる際、示温材と、マトリックス材料の相溶性によっては示温材の分散構造の大きさが異なる。特に含有量の多い消色剤とマトリックス材料の相溶性がよいと細かく分散し、相溶性が悪いと大きく分散する。
【0056】
(インク・塗料)
温度検知材料を作製し、溶剤と混合することにより、温度検知インクを作製することが可能である。温度検知インクは、ペン、スタンプ、クレヨン、インクジェットなどのインクや印刷用の塗料に適用することが可能となる。
【0057】
温度検知インクは、溶剤中に温度検知材料が分散した形態を示す。そのためには、示温材を包含するマトリックス材料やマイクロカプセルと相溶性が低い溶剤を用いる必要がある。
【0058】
マトリックス材料を用いた相分離構造体を温度検知材料として用いる場合、溶剤としては、極性の高い溶媒を用いることが好ましい。極性の高い溶媒としては、水、グリセリン、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類を好ましく用いることができる。他にも、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類、ジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等を用いることができる。
【0059】
マイクロカプセル化した温度検知材料を用いる場合、溶剤としては、マイクロカプセルの材質が耐性をもつ溶媒を用いることが好ましい。マイクロカプセルの材質として極性の高い材質を用いた場合、極性の低い有機溶媒を用いたほうが良く、具体的には、ヘキサン、ベンゼン、トルエンなどの無極性溶媒、石油、鉱物油、シリコーンオイルなどの油類が特に好ましく、他には、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類、ジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等があげられる。
【0060】
マイクロカプセルの材質として極性の低い材質を用いた場合、極性の高い溶媒を用いたほうが良く、具体的には、水、グリセリン、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類を好ましく用いることができる。他にも、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチルなどのエステル類、ジメチルエーテル、テトラヒドロフランなどのエーテル類等を用いることができる。
【0061】
これらの温度検知インクは液体状態においても温度及び時間検知機能を有し、さらに被印字対象等に印字、筆記、押印等することにより溶媒が揮発することで、温度検知材料のみが印字物を構成する。この印字物を、温度及び時間検知インジケータとして使用することができる。
【0062】
温度検知インクには、温度及び時間検知機能に影響しない程度であれば、有機溶媒や水などの溶液に添加物をさらに添加してもよい。例えば、顔料を含むことで、消色時、顕色時の色を変更することが可能である。
【0063】
温度検知インクは、各種添加剤や溶媒が使用可能である。また温度検知材料や添加剤の量を変えることで、粘度を調整することも可能である。これにより、オフセット印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、ラベルプリンタ、サーマルプリンタなどの様々な印刷装置用インクとして適用可能である。
【0064】
(インクジェット用インク)
温度検知材料は、帯電制御方式インクジェット用インクに適用することもできる。
【0065】
帯電制御式インクジェットプリンタ用インクは、温度検知材料と、揮発性の有機溶媒と、樹脂と、導電剤と、を含む。
【0066】
インク溶液の抵抗が高い場合、帯電制御式インクジェットプリンタにおけるインクの吐出部において、インク粒子がまっすぐ飛ばず、曲がる傾向がある。そのため、インク溶液の抵抗は概ね2000Ωcm以下にする必要がある。
【0067】
インクに含まれる樹脂、顔料、有機溶媒(特に、インクジェットプリンタ用インクの有機溶媒としてよく用いられる2−ブタノン、エタノール)は導電性が低いので、インク溶液の抵抗は5000〜数万Ωcm程度と大きい。抵抗が高いと、帯電制御式インクジェットプリンタでは所望の印字が困難となる。そこで、インク溶液の抵抗を下げるために、インクに導電剤を添加する必要がある。
【0068】
導電剤としては、錯体を用いることが好ましい。導電剤は用いる溶剤に溶解することが必要で、色調に影響を与えないことも重要である。また導電剤は一般には塩構造のものが用いられる。これは分子内に電荷の偏りを有するため、高い導電性が発揮できるものと考えられる。具体的には、導電剤の陽イオンはテトラアルキルアンモニウムイオン構造が好適である。アルキル鎖は直鎖、分岐どちらでもよく、炭素数が大きいほど溶媒に対する溶解性は向上する。アルキル鎖の炭素数は2〜8であることが好ましい。導電剤の陰イオンはヘキサフルオロフォスフェートイオン、テトラフルオロボレートイオン等が溶剤に対する溶解性が高い点で好ましい。
【0069】
導電剤として、具体的には、テトラエチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラプロピルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラブチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラペンチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラヘキシルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラオクチルアンモニウムヘキサフルオロフォスフェート、テトラエチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラプロピルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラペンチルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラヘキシルアンモニウムテトラフルオロボレート、テトラオクチルアンモニウムテトラフルオロボレート等を用いることができる。
【0070】
<不正検知部材>
不正検知部材は、示温材の顕色開始温度T以上かつ示温材の消色開始温度T以下で外観変化する部材、又は融点又はガラス転移点がTより高い高融点材料である。外観変化とは、例えば、色変化、透明度の変化、形状変化等である。
【0071】
本実施例では、T以上T以下の温度で色変化する部材を備える温度検知ラベルについて説明する。図5〜8に実施例1に係る温度検知ラベルの模式図を示す。図5〜8において、(a)は温度検知ラベルの断面図、(b)は温度検知ラベルの上面図である。
【0072】
図5は、示温材の顕色開始温度T未満の温度における温度検知ラベルである。温度検知ラベルは、支持体110と、温度検知材料120からなる温度検知部と、温度検知部に覆設させた保護層130と、を備える。保護層130の表面には、不正検知部材として、T以上T以下の温度で不可逆的に変色する感熱シート140を有する。支持体110と保護層130とは接着されており、温度検知材料は密閉された状態で保持されている。温度T未満では温度検知材料は消色した固体状態である。なお、感熱シートの下部の温度検知材料を視認できる程度に感熱シートが透明であれば、感熱シートは温度検知部全体を覆っていても良いし、一部を覆っていても良い。
【0073】
図6は、示温材の顕色開始温度T以上かつ感熱シートの変色温度未満の温度における温度検知ラベルである。このとき温度検知材料は顕色状態となる。一方、感熱シートの色は変化しない。
【0074】
図7は、示温材の顕色開始温度T以上、示温材の消色開始温度未満で、かつ感熱シートの変色温度以上の温度における温度検知ラベルである。このとき温度検知材料は顕色状態のままであり、感熱シートの色も変化する。なお、感熱シートの変色温度がTであるときは、図6の状態を経ずに、図5の状態から図7の状態に変化する。
【0075】
図8は、示温材の消色開始温度T以上の温度における温度検知ラベルである。このとき、温度検知材料は消色した液体状態となる。温度がT以上となると、温度検知材料は顕色状態から消色状態に変化するためである。一方、感熱シートは、変色した状態のままである。図8の状態を経て、温度を示温材の顕色開始温度T未満に戻しても、感熱シートの色変化は不可逆的であるために、感熱シートの色は元に戻らない。温度検知材料は、消色したままだが、液体から固体に変化する。
【0076】
以上から、温度検知材料が消色状態であっても感熱シートが変色した状態であるときは、管理温度からの温度逸脱があったことが確認できる。したがって、温度検知材料を初期状態に戻そうとする不正を抑制できる。また、不正により温度検知材料を初期状態に戻した場合であっても、その不正の有無を確認することができる。
【0077】
<感熱シート>
感熱シートは、T以上T以下の温度で不可逆的に色変化するものであればよい。具体的には、ロイコ染料と顕色材を用いた感熱紙や感熱シートを用いることができる。感熱シートの下部の温度検知材料を視認できる程度に感熱シートが透明であることが好ましい。感熱シートがその下部の温度検知材料を視認できる程度に透明である場合は、感熱シートは温度検知部全体を覆っていても良い。
【実施例2】
【0078】
実施例2以下では、実施例1と同一の構成については説明を省略する。実施例2に係る温度検知ラベルは、不正検知部材として、T以上T以下の温度で不可逆的に収縮する熱収縮フィルム用いたものである。図9〜12に実施例2に係る温度検知ラベルの模式図を示す。図9〜12において、(a)は温度検知ラベルの断面図、(b)は温度検知ラベルの上面図である。
【0079】
図9は、示温材の顕色開始温度T未満の温度における温度検知ラベルである。不正検知部材として、T以上T以下の温度で不可逆的に収縮する熱収縮フィルム210を用いたこと以外実施例1と同様の構成である。熱収縮フィルムは、保護層の表面に設けられている。T未満の温度のときは、温度検知材料は消色した固体状態、熱収縮フィルムは収縮していない状態である。
【0080】
図10は、T以上、かつ熱収縮フィルムの熱収縮温度未満の温度における温度検知ラベルである。温度検知材料は、消色状態から顕色状態に変化するが熱収縮フィルムの状態又は形状は変化しない。
【0081】
図11は、T以上T未満で、かつ熱収縮フィルムの熱収縮温度以上の温度における温度検知ラベルである。このとき温度検知材料は顕色状態のままである。熱収縮フィルムは熱により収縮した状態となる。なお、熱収縮フィルムの熱収縮温度がTであるときは、図10の状態を経ずに、図9の状態から図11の状態に変化する。
【0082】
図12は、T以上の温度における温度検知ラベルである。このとき、温度検知材料は消色した液体状態となる。一方、熱収縮フィルムは、収縮した状態のままである。T以上の温度環境に温度検知ラベルを置き、その後、温度をT未満に戻しても、熱収縮フィルムの変化は不可逆的であるために、熱収縮した状態は元に戻らない。このとき、温度検知材料は、消色したままだが、液体から固体に変化する。
【0083】
以上から、温度検知材料が消色状態であっても熱収縮フィルムが収縮した状態であるときは、管理温度からの温度逸脱があったことが確認できる。
【0084】
<熱収縮フィルム>
フィルムとしては、T1以上T2以下の温度で不可逆的に収縮するフィルムであればよい。フィルムとしては、T以上T以下の温度の融点又はガラス転移温度を有する材料を用いることができる。具体的には、ポリエチレン等のポリオレフリン系、ポリ塩化ビニル等の熱収縮フィルムがあげられる。
【0085】
また、フィルムは、フィルム下部の温度検知材料を視認できる程度に透明であることが好ましい。フィルムがその下部の温度検知材料を視認できる程度に透明である場合は、フィルムは温度検知部全体を覆っていても良い。なお、実施例2では、熱収縮フィルムを用いたが、熱により不可逆的に外観が変化する材料を用いることができる。
【実施例3】
【0086】
実施例3に係る温度検知ラベルは、不正検知部材として、融点又はガラス転移点がTよりも高い材料(以下、高融点材料という。)を用いたものである。図13〜15に実施例3に係る温度検知ラベルの模式図を示す。図13〜15において、(a)は温度検知ラベルの断面図、(b)は温度検知ラベルの上面図である。
【0087】
図13は、示温材の顕色開始温度T未満の温度における温度検知ラベルである。不正検知部材として、高融点材料310を用いたこと以外実施例1と同様の構成である。高融点材料は、温度検知部に配置され、温度検知材料に混合されている。T未満の温度のときは、温度検知材料は消色した固体状態であり、温度検知材料中に高融点材料が分散した状態である。
【0088】
図14は、T以上T未満での温度における温度検知ラベルである。このとき温度検知材料は、消色状態から顕色状態となる。高融点材料の配置は図13の状態のままである。
【0089】
図15は、T以上高融点材料の融点又はガラス転移点未満の温度における温度検知ラベルである。このとき、温度検知材料は消色した液体状態となる。温度検知材料が液体状態となることにより、高融点材料は、温度検知材料中を移動でき、高融点材料の配置が変化する。
【0090】
以上の温度環境に温度検知ラベルを置き、その後、温度をT未満に戻しても、高融点材料の配置は変化してしまっている。したがって、温度検知材料が消色状態であっても、使用前後の高融点材料の位置から、管理温度からの温度逸脱の有無を確認できる。
【0091】
<高融点材料>
本明細書において、高融点材料とは、融点又はガラス転移点が温度検知材料の消色開始温度Tよりも高い材料を示す。高融点材料310は、天然物、人工物によらず、示温材の消色開始温度T2よりも高い温度においても固体状態を維持し続けるものであればよい。なお、汎用性樹脂から構成される支持体110および保護層130の耐熱性を考慮すると、示温材の消色開始温度T2は150℃以下であることが好ましい。したがって、高融点材料は少なくとも150℃以上の耐熱性を有するものが好ましい。具体的には、SiO、Al、Fe、MgO、CaO、NaO等の無機酸化物、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタラート、ポリ塩化ビニル、テフロン(登録商標)等のフッ素置換ポリマー、ポリスチレン、ナイロン等の高融点ポリマー、塩化カリウム、塩化ナトリウム、硝酸カリウム、硫酸カリウム、などの無機塩、黒鉛、炭素繊維等の炭素化合物、アルミニウム、鉄、ニッケル、チタンなどの純金属および合金、砂、砂利などの工業鉱物があげられる。これらを複合して使用することもできる。
【実施例4】
【0092】
実施例4に係る温度検知ラベルは、不正検知部材として、温度検知部に用いた温度検知材料と同一の材料を用いたものである。図16〜18に実施例4に係る温度検知ラベルの模式図を示す。図16〜18において、(a)は温度検知ラベルの断面図、(b)は温度検知ラベルの上面図である。
【0093】
図16は、示温材の顕色開始温度T未満の温度における温度検知ラベルである。温度検知部は、温度検知材料からなる第1領域120と、第1領域と同一の温度検知材料からなる第2領域410と、を有する。T未満温度において、第1領域120は消色した固体状態、第2領域410は顕色した固体状態としておく。温度検知材料をT以上T未満の温度環境に置き、顕色させた状態で、T未満に冷却することにより、T未満の温度でも温度検知材料を顕色状態とすることができる。
【0094】
図17は、T以上T未満の温度における温度検知ラベルである。第1領域の温度検知材料も顕色状態となり、第1領域及び第2領域が両方とも顕色した状態となる。
【0095】
図18は、T以上の温度における温度検知ラベルである。第1領域の温度検知材料及び第2領域の温度検知材料が両方とも消色した液体状態となる。この状態(T以上の温度環境に温度検知ラベルを置いた状態)から、温度をT未満に戻すと、第1領域と第2領域は両方とも消色したまま、固体に変化する。
【0096】
以上から、一度、T以上の温度環境下に温度検知ラベルを置くと、第1領域と第2領域の色が異なる初期状態には戻すことができない。そのため、管理温度の逸脱があったときに、温度検知材料を初期化することによる不正を抑制できる。
【実施例5】
【0097】
実施例5に係る温度検知ラベルは、不正検知部材として、温度検知材料中に生じる空隙を用いたものである。図19〜21に実施例5に係る温度検知ラベルの模式図を示す。図19〜21において、(a)は温度検知ラベルの断面図、(b)は温度検知ラベルの上面図である。
【0098】
図19は、示温材の顕色開始温度T未満の温度における温度検知ラベルである。不正検知部材として、温度検知材料中に生じる空隙を利用したこと以外実施例1と同様の構成である。T未満の温度のときは、温度検知材料は消色した固体状態であり、温度検知材料の任意の位置に空隙510が存在した状態である。
【0099】
図20は、T以上T未満での温度における温度検知ラベルである。このとき温度検知材料は、消色状態から顕色状態となる。空隙の数、位置は変化せず、図13の状態のままである。
【0100】
図21は、T以上高融点材料の融点又はガラス転移点未満の温度における温度検知ラベルである。このとき温度検知材料は消色した液体状態となる。温度検知材料が液体状態となることにより、温度検知材料に存在した空隙は、消失したり、その位置を変えたりする。
【0101】
したがって、T以上の温度環境に温度検知ラベルを置き、その後、温度をT未満に戻しても、空隙の形態(数、位置、形状など)は変化してしまっている。したがって、温度検知材料が消色状態であっても、使用前後の空隙の形態から、管理温度からの温度逸脱の有無を確認できる。
【0102】
<空隙>
空隙510は、気泡、クラック等である。空隙の形状特に限定されない。空隙のサイズは温度検知材料部の状態を判定する機器の解像度に依存するが、スマートフォンなどの簡易的なデバイスの適用を考えるとミリサイズ以上であることが好ましい。
【実施例6】
【0103】
以下では、上記実施例に係る温度検知ラベルを用いたときの不正検知方法及び物品管理装置を、図22図24を用いて説目する。
【0104】
<不正検知方法及び管理装置>
図22に実施例1〜5に係る温度検知ラベルを用いた物品管理システムの構成図を示す。物品は、工場から店舗に搬送される。例えば、工場から、倉庫、出荷場を経由し、搬送車で搬送される。搬送車で搬送された物品は積替場などの経由地点で別の搬送車に積み替えられ、店舗に届けられる。温度検知ラベルは商品やその梱包等の物品に添付される。少なくとも出荷前の工場及び搬送の最終拠点である店舗で温度検知ラベルの画像を取得する。なお、温度逸脱の場所を特定したい場合は、倉庫、出荷場、搬送車、積替場、店舗などの各拠点で温度検知ラベルの画像を撮影すると良い。撮影された画像は撮像装置や各拠点におかれた端末などからネットワーク回線を通して、管理装置600に記憶される。
【0105】
図22に物品管理装置の構成図である。物品管理装置600は、入力部610、出力部620、商品の搬送経路に置かれている端末や撮像装置とネットワークを介して通信する通信部(情報取得部)630、管理環境からの温度逸脱の有無及び不正(温度検知材料の初期化)の有無を判定する演算部640、使用前後の温度検知ラベルの画像、温度検知ラベルの識別情報、物品情報、搬送に関する情報などを記憶する記憶部650を備える。
【0106】
図23に不正検知の手順を示す。まず、はじめに、管理装置は、使用前後の温度検知ラベルの画像を取得する。画像は、通信部630を介して各拠点の端末や撮像装置から取得する。取得された画像は記憶部650に記憶される。次に、演算部の温度逸脱判定部641が、温度検知ラベルの使用後の画像における温度検知材料の色から管理温度からの逸脱の有無を判定する。管理温度からの逸脱が「無し」と判定された場合、演算部の不正判定部642が、使用前と使用後の温度検知ラベルを比較して、不正(温度検知材料の初期化)の有無を判定する。例えば、実施例1に係る温度検知ラベルを用いた場合は、使用前と使用後の感熱シートの色を比較することにより、温度検知ラベルの不正の有無を判定することができる。実施例2に係る温度検知ラベルを用いた場合は使用前後における熱収縮フィルムの形状、実施例3に係る温度検知ラベルを用いた場合は使用前後における温度検知部の高融点材料の配置、実施例4に係る温度検知ラベルを用いた場合は使用前後における第2領域の色、実施例5に係る温度検知ラベルを用いた場合は、使用前後における空隙の数、形状、位置、から不正の有無を判定することができる。温度逸脱の有無の判定結果及び不正の有無の判定結果は、出力部により出力される。なお、通信部が各拠点の端末に判定結果を送信してもよい。
【符号の説明】
【0107】
110:支持体
120:温度検知材料
130:保護層
140:感熱シート
210:低融点フィルム
310:高融点材料
410:温度検知材料
510:空隙
600:管理装置
610:入力部
620:出力部
630:通信部
640:演算部
650:記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
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図18
図19
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図21
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