特許第6872978号(P6872978)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6872978
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】ユニット式建物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20210510BHJP
【FI】
   E04B1/348 L
   E04B1/348 H
   E04B1/348 T
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-108448(P2017-108448)
(22)【出願日】2017年5月31日
(65)【公開番号】特開2018-204231(P2018-204231A)
(43)【公開日】2018年12月27日
【審査請求日】2020年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】前川 佳也
【審査官】 土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−028753(JP,A)
【文献】 特開2010−180600(JP,A)
【文献】 特開2015−155596(JP,A)
【文献】 特開平09−268687(JP,A)
【文献】 特開2017−075460(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0134588(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
E04B 1/00
E04B 7/02,7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状に形成された複数の建物ユニットと、
前記建物ユニットの上方側に設けられる屋根の一部を構成すると共に、前記建物ユニットの上方側から建物外方側まで連続して延設された複数の長尺小梁と、
前記屋根の軒先の一部を構成すると共に、当該長尺小梁の建物外方側の端部同士を連結しかつ前記建物ユニットの桁方向又は妻方向に沿って延設された軒先小梁を備えた軒先形成梁と、
を有し、
一対の隣接する前記長尺小梁が、少なくとも前記建物ユニットの一方の天井大梁からこれと対向する他方の天井大梁までの間に位置する1か所を含む2か所において互いに連結されることによりアッセンブリ化されているユニット式建物。
【請求項2】
前記長尺小梁は、前記建物ユニットの上方側から建物外方側まで連続して延設された複数の軒延長小梁と、前記屋根の軒先の他の一部を構成すると共に前記軒延長小梁における建物外方側の端部に取り付けられかつ前記軒延長小梁の延設方向に沿って延設された軒先延長小梁とを含んで構成されている、
請求項1記載のユニット式建物。
【請求項3】
前記建物ユニットは、前記軒先形成梁が設けられた側の外壁の少なくとも一部が、建物内方側へオフセットされたセットバック式ユニットとされている、
請求項1又は請求項2記載のユニット式建物。
【請求項4】
前記長尺小梁は、前記建物ユニットの一方の天井大梁からこれと対向する他方の天井大梁を超えて前記ユニット式建物の外方側まで連続して延設されている、
請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のユニット式建物。
【請求項5】
前記長尺小梁の本数は、前記建物ユニットに設けられた天井小梁より少なく設定されている、
請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載のユニット式建物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット式建物に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ユニット式建物が開示されている。このユニット式建物では、勾配屋根を支持する屋根束の上端部に屋根パネルの軸組材を受けるブラケットが取り付けられている。この屋根束と、屋根束のブラケットに取り付けられた軸組材とを用いてトラス構造部を形成することができるので、勾配屋根の軒の出を大きくして庇となる部位を大型化した場合でも、トラス構造部によって大型化した部位の荷重を支えることができる。これにより、軒の出を大きくして深い軒先を形成することで、快適な軒下空間を設けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−155596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に開示された構成では、トラス構造部を形成するために屋根束にブラケットを設ける必要がある。また、深い軒先の先端部には、強度を確保するために吊柱を設ける必要がある。つまり、部品点数が増加するため、コストが増加する可能性がある。したがって、上記先行技術はこの点で改良の余地がある。
【0005】
本発明は上記問題を考慮し、コストを抑制しながら深い軒先を形成することができるユニット式建物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係るユニット式建物は、直方体状に形成された複数の建物ユニットと、前記建物ユニットの上方側に設けられる屋根の一部を構成すると共に、前記建物ユニットの上方側から建物外方側まで連続して延設された複数の長尺小梁と、前記屋根の軒先の一部を構成すると共に、当該長尺小梁の建物外方側の端部同士を連結しかつ前記建物ユニットの桁方向又は妻方向に沿って延設された軒先小梁を備えた軒先形成梁と、を有している。
【0007】
第2の態様に係るユニット式建物は、第1の態様に係る発明において、前記長尺小梁は、前記建物ユニットの上方側から建物外方側まで連続して延設された複数の軒延長小梁と、前記屋根の軒先の他の一部を構成すると共に前記軒延長小梁における建物外方側の端部に取り付けられかつ前記軒延長小梁の延設方向に沿って延設された軒先延長小梁とを含んで構成されている。
【0008】
第3の態様に係るユニット式建物は、第1又は第2の態様に係る発明において、前記建物ユニットは、前記軒先形成梁が設けられた側の外壁の少なくとも一部が、建物内方側へオフセットされたセットバック式ユニットとされている。
【0009】
第4の態様に係るユニット式建物は、第1〜3のいずれか一つの態様に係る発明において、前記長尺小梁は、前記建物ユニットの一方の天井大梁からこれと対向する他方の天井大梁を超えて前記ユニット式建物の外方側まで連続して延設されている。
【0010】
第5の態様に係るユニット式建物は、第1〜4のいずれか一つの態様に係る発明において、前記長尺小梁の本数は、前記建物ユニットに設けられた天井小梁より少なく設定されている。
【0011】
第1の態様によれば、直方体状に形成された建物ユニットの上方部に配置された屋根の一部を構成する複数の長尺小梁は、建物ユニットの上方側から建物外方側まで連続して延設されている。また、複数の長尺小梁における建物ユニットの外方側に位置する端部には、この端部同士を連結しかつ建物ユニットの桁方向又は妻方向に沿って延設された軒先小梁を備えた軒先形成梁が設けられている。つまり、建物ユニットの上方側から建物外方側まで連続して延設された長尺小梁における建物ユニットの外方側の端部に軒先が形成されるので、軒先に吊柱等の他部品を設けることなく深い軒先を形成することができる。
【0012】
第2の態様によれば、長尺小梁は、建物ユニットの上方側から建物外方側まで連続して延設された複数の軒延長小梁と、屋根の軒先の他の一部を構成すると共に軒延長小梁における建物外方側の端部に取り付けられかつ軒延長小梁の延設方向に沿って延設された軒先延長小梁とを有している。したがって、長尺小梁は、建物ユニットの外壁からより離れた位置に軒先が設けられるため、簡易な構造にて深い軒先を形成することができる。
【0013】
第3の態様によれば、建物ユニットにおける軒先形成梁が設けられた側の外壁の少なくとも一部が、建物内方側へオフセットされたセットバック式ユニットとされていることから、セットバックされた部位ではより深い軒先を形成することができる。換言すると、セットバックされた部位に合わせて屋根を切り欠く必要がないため、太陽光パネルを屋根に設置する際に太陽光パネルの面積を大きくして発電量をより多くすることができる。
【0014】
第4の態様によれば、長尺小梁は、一方の天井大梁からこれと対向する他方の天井大梁を越えて建物ユニットの外方側まで連続して延設されている。つまり、長尺小梁における建物ユニットの一方の天井大梁から他方の天井大梁までのモーメント長さよりも、長尺小梁における建物ユニットの外方側の端部から建物ユニットの他方の天井大梁までのモーメント長が短くなる。したがって、長尺小梁の建物外方側に設けられた軒先形成梁に荷重が加わる際に、建物ユニットの一方の天井大梁に加わる荷重を小さくすることができる。これにより、軒先を深くしたことによる建物ユニットの天井大梁の対荷重構造を簡易にできるので、コストをより抑制することができる。
【0015】
第5の態様によれば、長尺小梁の本数は、建物ユニットの天井小梁より少なく設定されていることから、部品点数の増加を抑制しながら深い軒先を得ることができる。これにより、一層コストを抑制することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明に係るユニット式建物は、コストを抑制しながら深い軒先を形成することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係るユニット式建物を示す概略斜視図である。
図2】(A)は一実施形態に係るユニット式建物の骨格構造の一部を建物上方から見た状態を示す概略図であり、(B)は(A)におけるA−A線に沿って切断した状態を示す断面図である。
図3】(A)は図2におけるZ部を示す拡大図であり、(B)は(A)におけるB−B線に沿って切断した状態を示す断面図である。
図4】(A)は図2におけるY部を示す拡大図であり、(B)は(A)におけるC−C線に沿って切断した状態を示す断面図であり、(C)は(A)におけるD−D線に沿って切断した状態を示す断面図である。
図5】(A)は図2におけるX部を示す拡大図であり、(B)は(A)におけるE−E線に沿って切断した状態を示す断面図であり、(C)は(A)におけるF−F線に沿って切断した状態を示す断面図である。
図6】(A)〜(C)はその他の実施形態におけるユニット式建物を示す概略斜視図である。
図7】(A)〜(D)はその他の実施形態におけるユニット式建物を示す概略斜視図である。
図8】(A)はその他の実施形態に係るユニット式建物の骨格構造の一部を建物上方から見た状態を示す概略図であり、(B)は(A)におけるG−G線に沿って切断した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1〜7を用いて、本発明に係るユニット式建物の一実施形態について説明する。
【0019】
図1に示されるように、ユニット式建物10は、図示しない基礎上に複数載置された建物ユニット12により複数階建て(一例として2階建て)に構築されている。建物ユニット12は、一例としてメインユニット12Aとハーフユニット12Bとの2種類とされており、ハーフユニット12Bの妻側(短手側)の寸法は、メインユニット12Aの妻側の寸法の略半分に設定されている。
【0020】
ユニット式建物10の一階部分及び二階部分は、それぞれメインユニット12Aとハーフユニット12Bとを複数組み合わせることで構成されている。具体的には、一階部分は桁側同士が接するように連続して配置された3つのメインユニット12Aを2組設けると共に、この2組のメインユニット12Aをそれぞれの妻側同士が接するように配置されている。また、建物外方側に面する一つのメインユニット12Aの桁側には、一つのハーフユニット12Bが設けられており、このメインユニット12Aとハーフユニット12Bとは、桁側同士が接するように連続して配置されている。なお、ユニット式建物10の二階部分も、一階部分と同様の構成とされている。上述の構成により、ユニット式建物10は、ユニット式建物10の外壁の一部が建物内側へオフセットされたセットバック式ユニットとされている。
【0021】
メインユニット12Aは、ラーメン構造にて箱型に組まれたフレームを備えている。具体的には、図2(A)に示されるように、四隅に立設された柱14と、柱14の上端部同士を連結する一対の桁側の天井大梁16と、柱14の上端部同士を連結する一対の妻側の天井大梁18と、柱14の下端部同士を連結する長短2種類の図示しない床大梁とによって構成されている。
【0022】
ハーフユニット12Bは、メインユニット12Aと同様にラーメン構造にて箱型に組まれたフレームを備えている。具体的には、図8(A)に示されるように、四隅に立設された柱14と、柱14の上端部同士を連結する一対の桁側の天井大梁16と、柱14の上端部同士を連結する一対の妻側の天井大梁20と、柱14の下端部同士を連結する長短2種類の図示しない床大梁とによって構成されている。そして、メインユニット12Aの天井大梁18に対して、ハーフユニット12Bの天井大梁20の長手方向の長さは、略半分とされている。
【0023】
図1に示されるように、ユニット式建物10の二階部分の上方には、屋根22が設けられている。この屋根22は、一例として寄棟屋根とされており、屋根フレーム24と、屋根上面部26とを含んで構成されている。
【0024】
屋根フレーム24は、フレーム底部28と、図示しないフレーム上部と、図示しないフレーム側部とを含んで構成されている。フレーム底部28は、軒延長小梁30と軒先延長小梁38とで構成される長尺小梁33と、軒先形成梁32とを有している。
【0025】
軒延長小梁30は、ユニット式建物10におけるセットバックした部位、すなわち、二階部分におけるハーフユニット12Bが設けられたメインユニット12Aに桁側にて隣接したメインユニット12Aに設けられている。また、軒延長小梁30は、一例としてチャンネル状の長尺材であり、図2(A)に示されるように、建物ユニット12の天井大梁16の上部に配置されかつ建物ユニット12の上方側から建物ユニット12の外方側まで連続して延設されている。具体的には、軒延長小梁30の長手方向一端部34が建物ユニット12の一方の天井大梁16に対応した位置に配置されていると共に、軒延長小梁30における建物外方側の端部としての長手方向他端部36が建物ユニット12の他方の天井大梁16よりも建物外方側に配置されている。なお、軒延長小梁30は、複数設けられて(本実施形態では一例として6つ)おり、この数は建物ユニット12に設けられている図示しない天井小梁よりも少ない本数に設定されている。
【0026】
軒先延長小梁38は、一例としてチャンネル状の長尺材でありかつ軒延長小梁30に沿って配設されていると共に、図3(B)に示されるように、軒延長小梁30の長手方向他端部36の建物下方側面に連結板42を介して接合されている。この連結板42は、板厚方向視にて略矩形状に形成されており、建物上方側が軒延長小梁30の長手方向他端部36における側壁部44に外側から溶接により接合されていると共に、建物下方側が軒先延長小梁38の建物内方側の端部46における側壁部48に外側から溶接により接合されている。
【0027】
図3(A)に示されるように、屋根22の軒先の一部を構成する軒先形成梁32は、長尺小梁33(軒先延長小梁38)の建物外方側の端部58に設けられている。この軒先形成梁32は、軒先小梁40と、妻壁受け小梁31とを備えている。
【0028】
軒先小梁40は、一例としてチャンネル状の長尺材とされており、隣接するハーフユニット12Bの天井大梁16と略同一線上かつ建物桁方向に沿って延設されている(図1参照)と共に、軒先延長小梁38の建物外方側の端部58に連結ブラケット52を介して締結されている。連結ブラケット52は、図3(A)に示されるように、第一側壁部54と第二側壁部56とで建物上方側から見た状態でL字状に形成されており、第一側壁部54は、軒先延長小梁38の建物外方側の端部58における側壁部48に内側から溶接により接合されている。また、第二側壁部56は、図3(B)に示されるように、軒先小梁40の側壁部60に複数のボルト62及びナット64を介して締結されている。なお、連結ブラケット52は、複数の軒先延長小梁38の建物外方側の端部58にそれぞれ設けられており、軒先小梁40は、複数の軒先延長小梁38の端部58同士を連結している。また、軒先小梁40の長手方向両端部には、図2(A)に示されるように、軒延長小梁30の長手方向と略同一の方向を長手方向とする長尺状の妻壁受け小梁31がそれぞれ設けられている。この妻壁受け小梁31は、一例として建物ユニット12の柱14と軒先小梁40の長手方向の端部とをそれぞれ連結するように構成されている。
【0029】
軒延長小梁30は、図2(A)に示されるように、横座屈防止小梁66及び束受け小梁68にて隣接する軒延長小梁30同士が互いに連結された構成とされている。図4(A)に示されるように、軒延長小梁30における横座屈防止小梁66に対応した位置には、第一取付補助部材70と第二取付補助部材72とがそれぞれ設けられている。第一取付補助部材70は、図4(C)に示されるように、板厚方向視にて略T字状に形成された板材とされており、軒延長小梁30の上壁部74、側壁部44及び下壁部76に内側から溶接により接合されている。また、第一取付補助部材70における軒延長小梁30から突出した突出部位70Aには、ボルト62及びナット64を介してチャンネル状の長尺材とされた横座屈防止小梁66(図4(A)参照)における長手方向の端部が締結されている。
【0030】
図5(A)に示されるように、軒延長小梁30における束受け小梁68に対応した位置には、第三取付補助部材78と第四取付補助部材80とがそれぞれ設けられている。第三取付補助部材78は、図5(C)に示されるように、板厚方向視にて略T字状に形成された板材とされており、軒延長小梁30の上壁部74、側壁部44及び下壁部76に内側から溶接により接合されている。また、第三取付補助部材78における軒延長小梁30から突出した突出部位78Aには、ボルト62及びナット64を介してチャンネル状の長尺材とされた束受け小梁68(図5(A)参照)における長手方向の端部が締結されている。
【0031】
一対の隣接する軒延長小梁30は、束受け小梁68及び横座屈防止小梁66にて連結されることでアッセンブリ化されている(図2中二点鎖線参照)。アッセンブリ化された軒延長小梁30は、二階部分のセットバック部に面する建物ユニット12の上方に間隔を空けて複数配設されており、アッセンブリ化された軒延長小梁30同士は、図4(C)に示される第二取付補助部材72に取り付けられた横座屈防止小梁66と、図5(C)に示される第四取付補助部材80に取り付けられた束受け小梁68とで互いに連結されている。なお、第二取付補助部材72及び第四取付補助部材80は、それぞれ板厚方向視にて略矩形状に形成された板材とされており、軒延長小梁30の側壁部44に外側から溶接により接合されている。この第二取付補助部材72には、ボルト62及びナット64を介して軒延長小梁30が締結されている。また、第四取付補助部材80には、ボルト62及びナット64を介して束受け小梁68が締結されている。
【0032】
図4(A)、(B)に示されるように、軒延長小梁30は、建物ユニット12の天井大梁16にボルト62及びナット64を介して締結されている。このボルト62及びナット64による締結によって軒延長小梁30は、建物ユニット12の一方の天井大梁16と、これと対向する他方の天井大梁16とに固定されている。
【0033】
上述した構成のフレーム底部28及び建物ユニット12の天井大梁16、18、20の上部には、図示しないフレーム上部が設けられており、フレーム上部とフレーム底部28及び建物ユニット12の天井大梁16、18、20とを含んで屋根フレーム24が構成されている。この屋根フレーム24上には、図1に示される屋根上面部26が載置されて固定されている。この屋根上面部26は、複数の垂木と、この垂木の上端面に打ち付けられた矩形平板上の野地板(いずれも不図示)とを含んで構成されている。
【0034】
次に、本実施形態の作用並びに効果を説明する。
【0035】
本実施形態によれば、図2(A)、(B)に示されるように、直方体状に形成された建物ユニット12の上方部に配置された屋根22の一部を構成する複数の長尺小梁33は、建物ユニット12の上方側から建物外方側まで連続して延設されている。また、複数の長尺小梁33における建物ユニット12の外方側に位置する端部58には、この端部58同士を連結しかつ建物ユニット12の桁方向に沿って延設された軒先小梁40を備えた軒先形成梁32が設けられている。つまり、建物ユニット12の上方側から建物外方側まで連続して延設された長尺小梁33における建物ユニット12の外方側の端部58に軒先82が形成されるので、軒先82に吊柱等の他部品を設けることなく深い軒先を形成することができる。これにより、コストを抑制しながら深い軒先を形成することができる。
【0036】
また、長尺小梁33は、建物ユニット12の上方側から建物外方側まで連続して延設された複数の軒延長小梁30と、屋根22の軒先82の他の一部を構成すると共に軒延長小梁30における長手方向他端部36に取り付けられかつ軒延長小梁30の延設方向に沿って延設された軒先延長小梁38とを有している。したがって、長尺小梁33は、建物ユニット12の外壁からより離れた位置に軒先82が設けられるため、簡易な構造にて深い軒先82を形成することができる。
【0037】
さらに、建物ユニット12における軒先形成梁32が設けられた側の外壁の少なくとも一部が、建物内方側へオフセットされたセットバック式ユニットとされていることから、セットバックされた部位ではより深い軒先82を形成することができる。換言すると、セットバックされた部位に合わせて屋根22を切り欠く必要がないため、太陽光パネルを屋根22に設置する際に太陽光パネルの面積を大きくして発電量をより多くすることができる。
【0038】
さらにまた、長尺小梁33は、一方の天井大梁16からこれと対向する他方の天井大梁16を越えて建物ユニット12の外方側まで連続して延設されている。つまり、長尺小梁33における建物ユニット12の一方の天井大梁16から他方の天井大梁16までのモーメント長さよりも、長尺小梁33における建物ユニット12の外方側の端部58から建物ユニット12の他方の天井大梁16までのモーメント長が短くなる。したがって、長尺小梁33の建物外方側に設けられた軒先形成梁32に荷重が加わる際に、建物ユニット12の一方の天井大梁16に加わる荷重を小さくすることができる。これにより、軒先82を深くしたことによる建物ユニット12の天井大梁16の対荷重構造を簡易にできるので、コストをより抑制することができる。
【0039】
また、長尺小梁33の本数は、建物ユニット12の天井小梁より少なく設定されていることから、部品点数の増加を抑制しながら深い軒先を得ることができる。これにより、一層コストを抑制することができる。
【0040】
なお、本実施形態では、図1に示されるように、ユニット式建物10は、桁方向に隣接するメインユニット12Aの一方にハーフユニット12Bを設けてセットバックを形成した構成とされているが、これに限らず、図6(B)、(C)に示されるように、一部のハーフユニット12Bの桁方向のサイズを変更することでセットバックを形成し、このセットバックした部位に軒延長小梁30及び軒先形成梁32を設けた構成としてもよい。また、図7(B)に示されるように、一部のメインユニット12Aの桁方向のサイズを変更することでセットバックを形成し、このセットバックした部位に軒延長小梁30及び軒先形成梁32を設けた構成としてもよい。さらに、図7(D)に示されるように、桁面同士を接合した複数のメインユニット12Aの妻側に別のメインユニット12Aの桁面を接合するように配置をすることでセットバックを形成し、このセットバックした部位に軒延長小梁30及び軒先形成梁32を設けた構成としてもよい。
【0041】
さらにまた、図6(A)、図7(A)、(C)に示されるように、セットバックが形成されていないユニット式建物10の桁側又は妻側に軒延長小梁30及び軒先形成梁32を設けた構成としてもよい。
【0042】
また、本実施形態では、建物ユニット12におけるメインユニット12Aに軒延長小梁30を設けた構成とされているが、これに限らず、隣接する建物ユニット12に跨るように設けられてもよい。一例として、図8(A)、(B)に示されるように、メインユニット12Aとハーフユニット12Bとに亘って連続して軒延長小梁30を設けた構成としてもよい。この場合、軒延長小梁30は、メインユニット12Aの一方の天井大梁16と、ハーフユニット12Bの建物外方側の天井大梁16との2点でボルト62及びナット64を介して締結されるのが望ましい。これにより、軒延長小梁30における建物ユニット12の外方側の長手方向他端部36からハーフユニット12Bの建物外方側の天井大梁16までのモーメント長よりも、軒延長小梁30におけるハーフユニット12Bの建物外方側の天井大梁16からメインユニット12Aの一方の天井大梁16までのモーメント長さがより長くなることから、軒延長小梁30の建物外方側に設けられた軒先形成梁32に荷重が加わる際に、ハーフユニット12Bの建物外方側の天井大梁16に加わる荷重をより小さくすることができる。これにより、軒先82を深くしたことによる建物ユニット12の天井大梁16の対荷重構造をより簡易にできるので、コストをより一層抑制することができる。
【0043】
さらに、軒延長小梁30は、長手方向一端部34が建物ユニット12の一方の天井大梁16に対応した位置に配置されていると共に、軒延長小梁30の長手方向他端部36が建物ユニット12の他方の天井大梁16よりも建物外方側に配置されているが、これに限らず、長手方向一端部34が建物ユニット12の一方の天井大梁16以外の部位に対応した位置に配置されていてもよい。すなわち、軒延長小梁30の長手方向一端部34が建物ユニット12の建物外方側に配置されることで、軒延長小梁30の長手方向他端部36側とは反対側にも深い軒先を形成する構成としてもよい。また、これとは逆に、図7(A)、(B)に示されるように、軒延長小梁30の長手方向一端部34が建物ユニット12の一方の天井大梁と他方の天井大梁との間に配置された構造としてもよい。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0045】
10 ユニット式建物
12 建物ユニット
16 天井大梁
22 屋根
30 軒延長小梁
32 軒先形成梁
33 長尺小梁
36 長手方向他端部(軒延長小梁における建物外方側の端部)
38 軒先延長小梁
40 軒先小梁
58 端部
82 軒先
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8