特許第6873249号(P6873249)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6873249薄膜封止構造、製造方法及び当該構造の表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6873249
(24)【登録日】2021年4月22日
(45)【発行日】2021年5月19日
(54)【発明の名称】薄膜封止構造、製造方法及び当該構造の表示装置
(51)【国際特許分類】
   H05B 33/04 20060101AFI20210510BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20210510BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20210510BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20210510BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20210510BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20210510BHJP
【FI】
   H05B33/04
   H05B33/14 A
   H01L27/32
   H05B33/10
   G09F9/30 365
   G09F9/30 309
   G09F9/00 342
【請求項の数】8
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2019-538433(P2019-538433)
(86)(22)【出願日】2018年4月28日
(65)【公表番号】特表2020-505727(P2020-505727A)
(43)【公表日】2020年2月20日
(86)【国際出願番号】CN2018085172
(87)【国際公開番号】WO2019041866
(87)【国際公開日】20190307
【審査請求日】2019年7月16日
(31)【優先権主張番号】201710752001.5
(32)【優先日】2017年8月28日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】516189213
【氏名又は名称】クンシャン ゴー−ビシオノクス オプト−エレクトロニクス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Kunshan Go−Visionox Opto−Electronics Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リウ シェンファン
(72)【発明者】
【氏名】リ シュエユァン
(72)【発明者】
【氏名】ヂュー ピン
(72)【発明者】
【氏名】ヂュー ケー
(72)【発明者】
【氏名】ルゥー シャオペン
(72)【発明者】
【氏名】ソン イァンチン
【審査官】 中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0380235(US,A1)
【文献】 特開2017−147191(JP,A)
【文献】 特開2010−244697(JP,A)
【文献】 特開2012−216452(JP,A)
【文献】 特開2005−353589(JP,A)
【文献】 特開2007−012410(JP,A)
【文献】 特開2006−236997(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/065213(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 33/04
H05B 33/10
H01L 51/50
H01L 27/32
G09F 9/00
G09F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機発光ダイオードの一側面に交互積層されている複数の無機層と少なくとも一つの有機層とを含み、前記無機層の各々は前記有機発光ダイオードに近い内側と前記有機発光ダイオードから遠い外側とを有する薄膜封止構造であって、
前記複数の無機層は、内側から順番で第一無機層から第N無機層までにするN層の無機層(N≧2)を含み、
前記複数の無機層の各々は、前記内側から前記外側に向けて屈折率が増加し、前記複数の無機層の各々は前記第一無機層から前記第N無機層に向けて次第に屈折率が増加していくことを特徴とする薄膜封止構造。
【請求項2】
前記第一無機層は、内側から順番で第一サブ層から第Mサブ層までにするM層のサブ層(M≧2)を含み、前記第一無機層のM層のサブ層における各サブ層の屈折率が、前記第一サブ層から第Mサブ層までに次第増加することを特徴とする請求項1に記載の薄膜封止構造。
【請求項3】
前記第一無機層の前記M層のサブ層における各サブ層の厚さは、前記第一サブ層から前記第Mサブ層までに次第増加することを特徴とする請求項2に記載の薄膜封止構造。
【請求項4】
前記第一無機層の屈折率範囲は、1.45〜1.91になることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の薄膜封止構造。
【請求項5】
前記第一無機層の前記第一サブ層の屈折率範囲は、1.45〜1.81になることを特徴とする請求項2に記載の薄膜封止構造。
【請求項6】
前記薄膜封止構造の前記複数の無機層に前記有機発光ダイオードに一番遠隔された無機層が前記第N無機層であり、前記第N無機層の屈折率範囲は、1.63〜1.91になることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の薄膜封止構造。
【請求項7】
請求項1〜のいずれか一項に記載の薄膜封止構造を製造するための方法であって、
蒸着法により前記有機発光ダイオードの一側面にN層の無機層及び少なくとも一層の有機層を交互に形成し、
前記無機層の各々は前記有機発光ダイオードに近い内側と前記有機発光ダイオードから遠い外側とを有し、
前記複数の無機層の各々は、前記内側から前記外側に向けて屈折率が増加し、前記複数の無機層の各々は前記第一無機層から前記第N無機層に向けて次第に屈折率が増加していくことを特徴とすることを含む方法。
【請求項8】
前記第一無機層は、内側から順番で第一サブ層から第Mサブ層までにするM層のサブ層(M≧2)を含み、
前記第一無機層を形成する際に、
30℃から60℃の温度又は300Wのパワー蒸着法で前記第一無機層の少なくとも一つの前記有機発光ダイオードに隣接するサブ層を形成し、
80℃の温度蒸着法で前記第一無機層の少なくとも一つの前記有機発光ダイオードから離れるサブ層を形成することを含み、
前記蒸着法により有機発光ダイオードの一側面にN層の無機層及び少なくとも一層の有機層を交互に形成することと、少なくとも前記第一無機層は屈折率が内側から外につれ増加していく際に、前記有機発光ダイオードに隣接する前記第一無機層を形成することを含むことを特徴とする請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はディスプレイ技術分野に関し、特に薄膜封止構造、製造方法及び当該構造の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
封止技術は、有機発光ダイオード(OLED)において常用された技術である。有機発光ダイオードが封止処理される目的は、特に水、酸素から有機発光ダイオードの発光層を保護するように有機発光ダイオードを保護することである。一般的には、ガラスフリット封止、乾燥シート追加カバー封止等で有機発光ダイオードを封止することにより、水、酸素に対する遮断能力を向上させる。しかしながら、上記封止構造は、普通にハードスクリーンに対するもので、フレキシブルスクリーンに使用できないため、フレキシブルスクリーンの技術発展に制限される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
これに鑑みて、本出願は、水、酸素に対する遮断能力を高める薄膜封止構造を提供する。また、本出願は、上記薄膜封止構造を備える表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様は、薄膜封止構造を提供する。当該薄膜封止構造は、有機発光ダイオードの一側面に交互積層されている複数の無機層と少なくとも一つの有機層とを含み、前記複数の無機層は、内側から順番で第一無機層から第N無機層までにするN層の無機層(N≧2)を含み、少なくとも前記第一無機層の屈折率が内側から外につれ増加していく。
【0005】
一実施例において、前記第一無機層は、内側から順番で第一サブ層から第Mサブ層までにするM層のサブ層(M≧2)を含み、前記第一無機層のM層のサブ層における各サブ層の屈折率が、第一サブ層から第Mサブ層までに次第増加する。
【0006】
一実施例において、前記第一無機層の前記M層のサブ層における各サブ層の厚さは、前記第一サブ層から前記第Mサブ層までに次第増加する。
【0007】
一実施例において、前記複数の無機層の屈折率が、内側から外につれ増加していく。
【0008】
一実施例において、前記封止構造の前記複数の無機層の屈折率が、第一無機層から第N無機層までに次第増加する。
【0009】
一実施例において、前記薄膜封止構造の前記複数の無機層において、前記有機発光ダイオードに隣接する無機層は第一無機層である。
【0010】
一実施例において、前記第一無機層の屈折率範囲は、1.45〜1.91になる。
【0011】
一実施例において、前記第一無機層の第一サブ層の屈折率範囲は、1.45〜1.81になる。
【0012】
一実施例において、前記薄膜封止構造の前記複数の無機層に前記有機発光ダイオードに一番遠隔された無機層が第N無機層であり、前記第N無機層の屈折率範囲は、1.63〜1.91になる。
【0013】
本発明の他の態様は、表示装置を提供する。当該表示装置は、基板、表示素子、及び上記薄膜封止構造を含む。
【発明の効果】
【0014】
上記薄膜封止構造は、有機発光ダイオードの一側面に交互積層されているので複数の無機層と有機層を含み、少なくとも第一無機層の屈折率が内側から外につれ増加していく。第一無機層の有機発光ダイオードに隣接する少なくとも一つのサブ層は、温度が低い又はパワーが低いので蒸着法で形成されるにより、蒸着による有機発光ダイオードに与える損傷を減少することができる。一方、第一無機層の有機発光ダイオードから離れる少なくとも一つのサブ層は、温度が高い又はパワーが高いので蒸着法で形成されるにより、屈折率が高く、欠陥が少なく、より緻密の無機層が形成でき、封止構造の水・酸素遮断能力を向上させることができ、有機発光ダイオードの貯蔵寿命を大幅に伸ばされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明の実施例または従来技術による技術案をより明らかに説明するために、実施例または従来技術を記述するのに必要な図面を簡単に説明する。後述する図面は本発明の実施例に過ぎず、当業者として創造的な努力を必要とせずに、これらの図面に基づいて他の実施例の図面を得られることが明らかである。
図1】本発明の一実施例に係る表示装置の構造概略図である。
図2】本発明の実施例1に係る薄膜封止構造の概略図である。
図3】本発明の実施例2に係る薄膜封止構造の概略図である。
図4】比較例1に係る薄膜封止構造の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の上記目的、技術案及び利点をより明確にさせるため、以下、図面を参照しつつ、本発明の具体的な実施例をもって本発明の薄膜封止構造及び表示装置を詳細に説明する。次の説明において、本発明が理解されるために具体的な内容を述べているが、本発明は以下の具体的な実施例に限定されていない。
【0017】
図1図4に示すように、本発明の薄膜封止構造は、有機発光ダイオード例えば表示素子(OLED素子等)の一側面に交互積層されている複数の無機層及び少なくとも一つの有機層を含む。複数の無機層は、内側から順番で第一無機層から第N無機層までにするN層の無機層(N≧2)を含む。ここで、少なくとも第一無機層の屈折率は内側から外につれ増加していく。
【0018】
屈折率の高さは、無機層の品質と関係がある。薄膜がより緻密になるほど、屈折率が高くなり、水・酸素遮断能力も高くなる。薄膜封止構造が、有機発光ダイオードの一側面に隣接する第一無機層の屈折率が内側から外につれ増加していくように設置されている。有機発光ダイオードに隣接する第一無機層の少なくとも一つのサブ層は、温度が低い又はパワーが低いので蒸着法で形成されるにより、蒸着による有機発光ダイオードに与える損傷を減少することができる。一方、第一無機層の有機発光ダイオードから離れる少なくとも一つのサブ層は、温度が高い蒸着法で形成されるにより、屈折率が高く、欠陥が少なく、より緻密の無機層が形成でき、封止構造の水・酸素遮断能力を向上させることができ、有機発光ダイオードの貯蔵寿命を大幅に伸ばされる。
【0019】
蒸着法で第一無機層を形成する際に、蒸着温度が高すぎると、有機発光ダイオードに損傷を与える可能性があるが、温度が低すぎると、蒸着された原子群のエネルギー移行が足りなくて、欠陥が多い。その一方、本発明において、まず有機発光ダイオード上に屈折率が低い隣接する第一無機層を蒸着する。温度が低い(例えば30℃〜60℃)条件と、設備状況に対応する低いパワー条件で隣接する第一無機層を蒸着形成できるから、有機発光ダイオードに与える損傷を減少することができる。また、形成された有機発光ダイオードに隣接する第一無機層が有機発光ダイオードをカバーするから、以降蒸着するような無機層に良好な界面環境を提供し、さらに、以降のプロセスに蒸着温度を増加して屈折率が高い第一無機層を形成するメリットがある。屈折率が高い第一無機層はより緻密であり、欠陥が少なく、優れた水・酸素遮断能力を備える。
【0020】
なお、蒸着で第一無機層を形成する方法とは、マグネトロンスパッタ法、原子層蒸着法、電子ビーム蒸着法、プラズマ強化化学蒸着法などを用いることができる。好ましい実施形態として、第一無機層は、内側から順番で第一サブ層から第Mサブ層までにするM層のサブ層(M≧2)を含み、第一無機層の屈折率が、第一サブ層から第Mサブ層までに次第増加する。他の無機層についても同様である。
【0021】
封止工程から見れば、一般的に、屈折率が低い第一サブ層が、有機発光ダイオードに与える損傷が小さい方法で形成される。第一サブ層が、パワーも温度も低い損傷抑え工程で形成されるため、第一層の封止膜とされると有機発光ダイオードに与える損傷を減少することができる。
【0022】
屈折率が増加させた第二サブ層は、屈折率が低い同質層である第一サブ層上に積層される。第二サブ層と第一サブ層とは同質層であるため、両者の構造はマッチされて結合力が高い。第二サブ層は、パワーも温度も高くなる条件による工程で製造されて、膜質を向上させ、屈折率がより高い第二サブ層の内部欠陥を減少させ、より緻密であるから、水・酸素遮断能力をより向上させることができる。第二サブ層の製造時のパワー及び温度が高くなるが、第一サブ層による有機発光ダイオードに対する保護作用があるため、第二サブ層を蒸着する工程において有機発光ダイオードに損傷を与えることはない。このように、第一サブ層と第二サブ層の結合により、水・酸素遮断能力を向上させるが、OLED素子に与える損傷が回避できるという総合的な効果が達成される。
【0023】
同様に、屈折率が次第増加させた第三サブ層から第Mサブ層までに順次積層して蒸着する。蒸着プロセスにおいて温度とパワーがさらに高くなれ、よって水・酸素遮断能力がさらに向上された高品質な膜層を得ることができる。
【0024】
多段蒸着で屈折率が次第増加させる同質層は第一サブ層〜第Mサブ層とするより、各サブ層の欠陥が拡散と伸びることを効果的に防止することができ、かつ、屈折率が高い膜層はより緻密であり、応力も次第低下された。
【0025】
好ましくは、薄膜封止プロセスにおいて、多段蒸着法で無機材料を提供し、蒸着条件を次第変化して同質な無機材料でも屈折率を次第増加させ、緻密性も次第向上させ、内部欠陥も次第低下させる。このように、第一無機層の屈折率が内側から外につれ増加していく。
【0026】
好ましくは、無機材料はSiOx、SiNx、TiO2、Al2O3のいずれか一種又はそれらの混合物であってもよい。
【0027】
例えば、薄膜封止プロセスにおいて、まず、化学蒸着法(Chemical vapor deposition、CVD)で有機発光ダイオードの一側面に無機材料を蒸着して、緩衝層として屈折率が低い第一サブ層を成長させ、そして屈折率がより高い第二サブ層として屈折率が高い同質膜を成長させる。ここで、屈折率が低い第一膜層は形成される際に、ベースとしたOLED素子に与える損傷を回避するために、温度が50℃、パワーが300Wという低温低パワー条件で工程が行われる。一方、屈折率がより高い第二膜層は形成される際に、その品質を向上させるために、温度が80℃、パワーが800Wという高温高パワー条件で工程が行われる。好ましい実施形態として、第一サブ層から第Mサブ層までの厚さを次第に増加する。層厚は次第に増加されるより、屈折率が高くてより緻密な膜層の厚さを保証でき、水・酸素遮断能力が一層向上する。
【0028】
好ましい実施形態として、薄膜封止構造における各無機層の屈折率が、いずれも内側から外につれ増加していく。
【0029】
例えば、薄膜封止構造は、内側から順番で積層された第一無機層、第一有機層、第二無機層を含む。第一無機層の屈折率が内側から外につれ増加していく、第二無機層の屈折率も内側から外につれ増加していく。
【0030】
第二無機層は第一サブ層、及び屈折率が第一サブ層より高い第二サブ層を含む。第一サブ層は屈折率が低いため、温度もパワーも低い条件で蒸着されることができ、第一有機層に与える損傷を減少する。第二サブ層は屈折率が高いから、温度もパワーもより高い条件で、第一有機層に損傷を与えなくて蒸着されることができる。また、第一サブ層を緩衝層とするため、第二サブ層は、温度もパワーもより高い条件で形成されることができ、欠陥が減少され、より緻密になり、水・酸素遮断能力も一層向上する。また、第二サブ層は、封止構造の表面に配置されているため、屈折率が高く、より緻密で、水・酸素遮断能力も高い薄膜層になるように形成される必要がある。
【0031】
全ての無機層の屈折率が内側から外につれ増加していくので、即ち封止構造表面に近接する膜層であるほど屈折率が高くなることにより、水・酸素遮断性能がより優れ、封止構造の耐用寿命が伸ばされる。
【0032】
好ましい実施形態として、封止構造の屈折率は第一無機層から第N無機層までに次第増加する。
【0033】
好ましい実施形態として、薄膜封止構造の複数の無機層において、有機発光ダイオードに隣接する無機層は第一無機層とする。第一無機層の第一サブ層は屈折率が低いため、一般にパワーも温度も低い条件の損傷抑え工程で形成される。このように、第一無機層の製造時に有機発光ダイオードに与える損傷を減少できる。
【0034】
好ましい実施形態として、第一無機層の屈折率範囲は1.45〜1.91になる。
【0035】
好ましい実施形態として、第一無機層の第一サブ層の屈折率範囲は1.45〜1.80になる。好ましくは、第一無機層の第一サブ層の蒸着温度は30〜60℃の範囲になり、蒸着パワーは設備の実際的な状況に対応して確定されたが、低パワー条件で行う。
【0036】
好ましい実施形態として、薄膜封止構造の複数の無機層において、前記有機発光ダイオードに一番遠隔された無機層は第N無機層とし、屈折率範囲は1.63〜1.90になる。
【0037】
図1に示すように、本発明の表示装置は基板10、表示素子20及び薄膜封止構造を含む。表示素子20は有機発光ダイオードである。薄膜封止構造は、表示素子20の基板10から離れる側に配置され、表示素子20を封止する。薄膜封止構造は、表示素子20の一側面に内側から順番で積層された第一無機層110、第一有機層210、第二無機層120及び第二有機層220を含む。
【0038】
実施例1
図2に示すように、本実施例の薄膜封止構造は有機発光ダイオードの一側面に内側から順番で積層される第一無機層110、第一有機層210及び第二無機層120を含む。
【0039】
ここで、第一無機層110は、内側から順番に窒化ケイ素で形成された第一無機層の第一サブ層111と第一無機層の第二サブ層112である。第一無機層の第一サブ層111と第一無機層の第二サブ層112は屈折率がそれぞれに1.78、1.85であり、厚さがそれぞれに200nm、800nmである。
【0040】
第二無機層120は、内側から順番に窒化ケイ素で形成された第二無機層の第一サブ層121と第二無機層の第二サブ層122である。第二無機層の第一サブ層121と第二無機層の第二サブ層122は、屈折率がそれぞれに1.79、1.85であり、厚さがそれぞれに200nm、800nmである。
【0041】
当該実施例の薄膜封止構造で封止された表示装置は、高温高湿(60℃、90H)の実験条件で測定された上、貯蔵寿命が760hを超える。
【0042】
実施例2
図3に示すように、本実施例の薄膜封止構造は有機発光ダイオードの一側面に内側から順番で積層される第一無機層110、第一有機層210及び第二無機層120を含む。
【0043】
ここで、第一無機層110は、内側から順番に窒化ケイ素で形成された第一無機層の第一サブ層111、第一無機層の第二サブ層112、及び第一無機層の第三サブ層113である。第一無機層の第一サブ層111、第一無機層の第二サブ層112、第一無機層の第三サブ層113は屈折率がそれぞれに1.76、1.83、1.85であり、厚さがそれぞれに100nm、400nm、500nmである。
【0044】
第二無機層120は、内側から順番に窒化ケイ素で形成された第二無機層の第一サブ層121、第二無機層の第二サブ層122、及び第二無機層の第三サブ層123を含む。第二無機層の第一サブ層121、第二無機層の第二サブ層122、第二無機層の第三サブ層123は屈折率がそれぞれに1.76、1.83、1.87であり、厚さがそれぞれに100nm、400nm、500nmである。
【0045】
当該実施例の薄膜封止構造で封止された表示装置は、60℃、90Hの実験条件で測定された上、貯蔵寿命が870hである。
【0046】
実施例3
本実施例の薄膜封止構造は、有機発光ダイオードの一側面に内側から順番で積層される第一無機層、第一有機層及び第二無機層を含む。
【0047】
ここで、第一無機層は、内側から順番に窒化ケイ素で形成された第一無機層の第一サブ層、第一無機層の第二サブ層、及び第一無機層の第三サブ層である。第一無機層の第一サブ層、第一無機層の第二サブ層、及び第一無機層の第三サブ層は、屈折率がそれぞれに1.76、1.83、1.85であり、厚さがそれぞれに200nm、500nm、600nmである。
【0048】
第二無機層は、窒化ケイ素で形成された単一な屈折率を有するサブ層である。第二無機層は、屈折率が1.87であり、厚さが1000nmである。
【0049】
当該実施例の薄膜封止構造で封止された表示装置は、高温高湿(60℃、90H)の実験条件で測定された上、貯蔵寿命が760hを超える。
【0050】
実施例4
本実施例の薄膜封止構造は、有機発光ダイオードの一側面に内側から順番に積層される第一無機層、第一有機層及び第二無機層を含む。
【0051】
ここで、第一無機層は、内側から順番に窒化ケイ素で形成された第一無機層の第一サブ層と第一無機層の第二サブ層である。第一無機層の第一サブ層、第一無機層の第二サブ層は、屈折率がそれぞれに1.78、1.80であり、厚さがそれぞれに500nm、600nmである。
【0052】
第二無機層は、内側から順番に窒化ケイ素で形成された第二無機層の第一サブ層と第二無機層の第二サブ層を含む。第二無機層の第一サブ層、第二無機層の第二サブ層は、屈折率がそれぞれに1.83、1.87であり、厚さがそれぞれに500nm、600nmである。
【0053】
当該実施例の薄膜封止構造で封止された表示装置は、高温高湿(60℃、90H)の実験条件で測定された上、貯蔵寿命が760hを超える。
【0054】
比較例1
図4に示すように、本比較例の薄膜封止構造は有機発光ダイオードの一側面に内側から順番で積層される第一無機層110、第一有機層210及び第二無機層120を含む。
【0055】
ここで、第一無機層110は、窒化ケイ素で形成された単一な屈折率を有する無機層である。第一無機層110は、屈折率が1.78であり、厚さが実施例1の第一無機層の厚さと同じく1000nmである。
【0056】
第二無機層120は、窒化ケイ素で形成された単一な屈折率を有する無機層である。第二無機層120は、屈折率が1.78であり、厚さが実施例1の第二無機層の厚さと同じく1000nmである。
【0057】
当該比較例の薄膜封止構造で封止された表示装置は、高温高湿(60℃、90H)の実験条件で測定された上、貯蔵寿命が240hである。
【0058】
比較例2
本比較例の薄膜封止構造は有機発光ダイオードの一側面に内側から順番で積層される第一無機層、第一有機層及び第二無機層を含む。
【0059】
ここで、第一無機層は、内側から順番に窒化ケイ素で形成された第一無機層の第一サブ層と第一無機層の第二サブ層である。第一無機層の第一サブ層と第一無機層の第二サブ層は、屈折率がそれぞれに1.85、1.78であり、厚さがそれぞれに200nm、800nmである。
【0060】
第二無機層は、内側から順番に窒化ケイ素で形成された第二無機層の第一サブ層と第二無機層の第二サブ層である。第二無機層の第一サブ層と第二無機層の第二サブ層は、屈折率がそれぞれに1.85、1.79であり、厚さがそれぞれに200nm、800nmである。
【0061】
当該比較例の薄膜封止構造で封止された表示装置は、高温高湿(60℃、90H)の実験条件で測定された上、貯蔵寿命が350hである。
【0062】
比較例3
本実施例の薄膜封止構造は有機発光ダイオードの一側面に内側から順番で積層される第一無機層、第一有機層及び第二無機層を含む。
【0063】
ここで、第一無機層は、内側から順番に窒化ケイ素で形成された第一無機層の第一サブ層、第一無機層の第二サブ層、及び第一無機層の第三サブ層である。第一無機層の第一サブ層、第一無機層の第二サブ層、及び第一無機層の第三サブ層は、屈折率がそれぞれに1.85、1.83、1.76であり、厚さがそれぞれに200nm、500nm、600nmである。
【0064】
第二無機層は、窒化ケイ素で形成された単一な屈折率を有するサブ層である。第二無機層は、屈折率が1.87であり、厚さが1000nmである。
【0065】
当該比較例の薄膜封止構造で封止された表示装置は、60℃、90Hの実験条件で測定された上、貯蔵寿命が380hである。
【0066】
比較例4
本比較例の薄膜封止構造は有機発光ダイオードの一側面に内側から順番で積層される第一無機層、第一有機層及び第二無機層を含む。
【0067】
ここで、第一無機層は、内側から順番に窒化ケイ素で形成された第一無機層の第一サブ層、第一無機層の第二サブ層である。第一無機層の第一サブ層、第一無機層の第二サブ層は、屈折率がそれぞれに1.80、1.76であり、厚さがそれぞれに600nm、500nmである。
【0068】
第二無機層は、内側から順番に窒化ケイ素で形成された第二無機層の第一サブ層、第二無機層の第二サブ層である。第二無機層の第一サブ層、第二無機層の第二サブ層は、屈折率がそれぞれに1.87、1.83であり、厚さがそれぞれに600nm、500nmである。
【0069】
当該比較例の薄膜封止構造で封止された表示装置は、高温高湿(60℃、90H)の実験条件で測定された上、貯蔵寿命が380hである。
【0070】
上記の技術案で記述されたように、以下の表1に本発明実施例と各比較例における貯蔵寿命が示される。従来技術における単一な屈折率を有する無機層と有機層とを交互積層した封止構造に比べて、本発明の薄膜封止構造は、同じ封止厚さで、屈折率が次第増加させるサブ層を利用して、無機層の緻密性が向上させ、対応的に屈折率が次第増加させるサブ層の応力も次第低減された。よって、製品の水・酸素遮断能力を効果的に向上させ、製品の貯蔵寿命を伸ばされる。
【表1】
【0071】
本発明の記述において、「第一」、「第二」という術語は、説明するためのものに過ぎず、重要性を指示か又は暗示するものではない。
【0072】
上述した実施例は、本発明のいくつかの実施形態を示したものにすぎず、その記述が具体的かつ詳細であるが、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。なお、当業者にとって、本発明の趣旨から逸脱しないかぎり、若干の変形及び改良を行うことができ、これらもすべて本発明の保護範囲内にある。本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に準ずるべきである。
図1
図2
図3
図4