(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下に本開示の第1実施形態を図面とともに説明する。
【0015】
本実施形態の酸素センサ1は、
図1に示すように、ガスセンサ素子2、セラミックヒータ3およびケーシング4を備える。なお、
図1では、酸素センサ1の先端側が下方側で、後端側が上方側となるように示している。
【0016】
ガスセンサ素子2は、ZrO
2を主成分とする固体電解質体により軸線Oの方向(以下、軸線方向DA)に延びて先端が閉じた有底筒状に形成されている。セラミックヒータ3は、棒状に形成されており、ガスセンサ素子2内に配置されてガスセンサ素子2を加熱する。ケーシング4は、酸素センサ1の内部構造物を収容するとともに酸素センサ1を車両の排気管等の取付部に固定するための部材である。
【0017】
またケーシング4は、ガスセンサ素子2を保持するとともにその先端側の検出部2aを排気管等の内部に突出させる主体金具5と、主体金具5の上部に延びてガスセンサ素子2との間で基準ガス空間を形成する外筒6とを備える。
【0018】
主体金具5は、円筒状の本体を有する。そして主体金具5は、ガスセンサ素子2を下方から支持する支持部材51と、支持部材51の上部に充填される滑石粉末からなる充填部材52と、充填部材52を上方から押圧するスリーブ53等を内部に収容する。
【0019】
すなわち、主体金具5の先端側の内周には、内向きに突出した段部54が設けられており、この段部54にパッキン55を介して支持部材51が支持されることにより、ガスセンサ素子2が下方から支持されている。そして、支持部材51の上側における主体金具5の内周面とガスセンサ素子2の外周面との間に充填部材52が配置され、さらに充填部材52の上側に筒状のスリーブ53およびパッキン56が順次同軸状に挿入された状態で主体金具5の後端部が内方(すなわち、
図1の下方)に加締められる。これにより、充填部材52が加圧充填され、ガスセンサ素子2が主体金具5に対してしっかりと固定される。
【0020】
また、主体金具5の先端側外周には、ガスセンサ素子2の突出部分を覆うとともに、複数の孔部を有する金属製のプロテクタ57が溶接によって取り付けられている。プロテクタ57は、二重構造をなしており、外側プロテクタ58と内側プロテクタ59とを備える。外側には、有底円筒状の外側プロテクタ58が配置され、内側には、有底円筒状の内側プロテクタ59が配置される。
【0021】
外筒6は、その先端開口部内に主体金具5の上部を嵌め込んだ状態で溶接が施されることにより、主体金具5に装着される。
【0022】
外筒6の後端開口部の近傍には、セラミックで筒状に形成された絶縁性のセパレータ7が挿入されている。
【0023】
セパレータ7は、その軸方向中央付近の外周面に、径方向外側に突出したフランジ部71を有している。このセパレータ7は、フランジ部71に係止する金属製の筒状の保持部材8を介して、外筒6の内部に保持されている。
【0024】
またセパレータ7は、後端面72から先端面73に向けて貫通する複数の挿入孔74と、セラミックヒータ3の後端部31を収容可能に先端面73に形成された凹部75とを備えている。そしてセパレータ7は、ガスセンサ素子2の後端の外周面からリード線11の先端に延びる金属端子9と、ガスセンサ素子2の後端の内周面からリード線12の先端に延びる金属端子10とをそれぞれ異なる挿入孔74内に収容して、金属端子9と金属端子10との絶縁性と、金属端子9,10と外筒6との絶縁性とを保持している。
【0025】
外筒6の後端開口部は、フッ素系樹脂製のグロメット13により閉塞されており、このグロメット13を貫いてリード線11,12が配置されている。
【0026】
ガスセンサ素子2は、先端部21が閉塞された有底筒形状であり、軸線方向DAに延びる円筒状の素子本体22を備えている。
【0027】
素子本体22の外周には、周方向に沿って径方向外向きに突出した素子鍔部23が形成されている。
【0028】
図2に示すように、素子本体22の外周面には、ガスセンサ素子2の先端部21において、外側電極24が形成されている。外側電極24は、PtあるいはPt合金を多孔質に形成した電極である。また、素子本体22の外周面には、外側電極24からガスセンサ素子2の後端側へ向かって延びる図示しないリード部が形成されている。
【0029】
素子本体22の内周面には、ガスセンサ素子2の先端部21において、内側電極25が形成されている。内側電極25は、PtまたはPt合金を多孔質に形成した電極である。また、素子本体22の内周面には、内側電極25からガスセンサ素子2の後端側へ向かって延びる図示しないリード部が形成されている。
【0030】
外側電極24と内側電極25は、ガスセンサ素子2の先端部21において、素子本体22を挟み込むように配置されている。素子本体22および一対の電極(すなわち、外側電極24および内側電極25)は、酸素濃淡電池を構成して、排気ガス中の酸素濃度に応じた起電力を発生させる。つまり、ガスセンサ素子2の先端部21において、外側電極24が排気ガスに晒され、内側電極25が基準ガスに晒されることで、ガスセンサ素子2は、排気ガス中の酸素濃度を検出する。
【0031】
また、素子本体22の外周面には、ガスセンサ素子2の先端部21から素子鍔部23の付近までの領域において、外側電極24を覆うガス制限層26が形成されている。ガス制限層26は、例えばスピネル等のセラミックを多孔質に形成した層であり、溶射により形成される。ガス制限層26は、外側電極24に流入する排気ガスの量を制限する。
【0032】
また、素子本体22の外周面には、ガスセンサ素子2の先端部21において、ガス制限層26を介して外側電極24を覆う多孔質保護層27が形成されている。多孔質保護層27は、内側保護層28と、外側保護層29とを備える。
【0033】
内側保護層28は、ガスセンサ素子2の先端部21から外側電極24よりも後端側まで延びるように形成されている。内側保護層28は、例えばアルミナ、スピネル、ジルコニア、ムライト、ジルコンおよびコージェライトの群から選ばれる1種以上のセラミック粒子を焼成等により結合して形成することができる。
【0034】
外側保護層29は、ガスセンサ素子2の先端部21から内側保護層28よりも後端側まで延びて、内側保護層28を覆うように形成されている。外側保護層29は、例えばアルミナ、スピネル、ジルコニア、ムライト、ジルコンおよびコージェライトの群から選ばれる1種以上のセラミック粒子を焼成して形成することができる。
【0035】
外側保護層29には、白金(Pt)とロジウム(Rh)が含まれている。白金およびロジウムは、排気ガスに含まれる未燃ガス成分の燃焼を促進するための触媒として機能する。なお、1つの外側保護層29に白金とロジウム両方を含むことで、外側保護層29は、白金の酸化能力とロジウムの還元能力との両方の触媒機能を有することができる。ここで、外側保護層29において、貴金属全体(すなわち、白金とロジウム)に対するロジウムの含有量は、30mol%以上かつ100mol%より少ない、好ましくは55mol%以上であり90mol%以下、より好ましくは60mol%以上であり85mol%以下とする。
【0036】
次に、ガスセンサ素子2の製造方法を説明する。
【0037】
第1工程では、素子本体22の材料である固体電解質(例えば、ジルコニア(ZrO
2)にイットリア(Y
2O
3)を5mol%添加した部分安定化ジルコニア)の材料をスラリーとし、このスラリーを、スプレードライにより乾燥造粒することで、材料粉末を得る。そして、この材料粉末をプレス加工した後に切削加工を実施することで、未焼結成形体を得る。さらに、この未焼結成形体を、例えば1500℃で焼成することにより、素子本体22を得る。
【0038】
第2工程では、無電解メッキ法により、素子本体22の内周面に内側電極25を形成する。また、無電解メッキ法により、素子本体22の外周面に外側電極24を形成する。
【0039】
第3工程では、溶射により、外側電極24を覆うようにガス制限層26を形成する。
【0040】
第4工程では、内側保護層28の材料を含むペーストをガス制限層26上に塗布し、焼成する。さらに、外側保護層29の材料を含むペーストを内側保護層28上に塗布し、焼成する。
【0041】
第5工程では、外側保護層29の形成部分を、Rh溶液とPt溶液とを混合した混合液に浸漬した後に、乾燥処理および焼成工程を施す。
【0042】
上記の各工程を実施することで、ガスセンサ素子2を製造することができる。
【0043】
ここで、白金やロジウムが未燃ガスの燃焼を促進する触媒として機能することは周知であるが、ガスセンサの使用による触媒機能の低下という問題があった。本発明者は鋭意研究の結果、ロジウムとロジウム以外の貴金属とを触媒として用いた際に、貴金属全体に対するロジウム割合と触媒機能の低下とに関係があることをつきとめた。そこで以下に、ガスセンサ素子2におけるエンジン高温耐久後のセンサ出力を評価するために実施した評価試験と、その試験結果について説明する。エンジン高温耐久とは、エンジン回転数3400rpmで30分、次いでエンジン回転数2800rpmで20分、次いでアイドリング(エンジン回転数700rpm)で10分を1サイクルとし、複数サイクルを行う試験である。本試験では50サイクルの試験結果を示す。
【0044】
本試験では、自動車の排気管に劣化触媒を取り付けるとともに、排気管における劣化触媒の下流に酸素センサ1を取り付けて、空気過剰率λが1未満(すなわち、リッチ)であるときにおける酸素センサ1のセンサ出力を測定した。
【0045】
本試験では、外側保護層29において貴金属全体に対するロジウムの含有量が10,20,30,40,50,55,60,65,70,80,85,90,95mol%に設定されたガスセンサ素子2を用いた。また、比較例としてRhを含有しないガスセンサ素子を用いた。貴金属全体に対するロジウムの含有量は、上記の混合液におけるRh溶液およびPt溶液の割合を変化させることにより調整した。
【0046】
エンジン高温耐久後のセンサ出力の評価結果を表1に記載した。表1では、評価結果として、リッチにおけるエンジン高温耐久後の酸素センサ1のセンサ出力が、エンジン高温耐久前と比較してほぼ低下しなかった場合に「◎」、出力の低下は確認できるものの小さい場合は「○」、出力の低下が確認できるものの実使用上問題ないものを「△」、実使用上問題があるレベルまで低下した場合に「×」とした。ここで、ほぼ低下しないとは、サンプル間の初期出力ばらつき内である事を意味し、実使用上問題があるとは初期と耐久後で出力低下が10%以上あることを意味する。そして、出力の低下は確認できるものの小さい場合とは、初期と耐久後で出力低下が10%未満であることを意味する。
【0047】
【表1】
表1の結果から、酸素イオン伝導性を有するZrO
2を含む素子本体22と、素子本体22上に配置されて排気ガスに晒される外側電極24と、素子本体22上に配置されて基準ガスに晒される内側電極25とを備えて、さらに、外側電極24を覆うように形成される外側保護層29を備えるガスセンサ素子2において、外側保護層29は、ロジウムと、白金とを含み、貴金属全体に対するロジウムの含有量が60mol%以上であり85mol%以下である例7から例11は◎となり、耐久性に優れることが確認できた。また、ロジウム含有量が55mol%の例6と90mol%の例12とは○となり耐久性が良いことが確認できた。さらにロジウム含有量が30mol%以上であり50mol%以下である例3から例5と95mol%の例13とは△となり、実使用上は問題がないことが確認できた。一方、ロジウムを含有しない比較例やロジウム含有量が10mol%以上であり20mol%以下である例1、例2は×となり、耐久性が悪いことが確認できた。
【0048】
以上の結果から、触媒層に含まれる貴金属全体に対するロジウムの含有量は、30mol%以上かつ100mol%より少ない、好ましくは55mol%以上であり90mol%以下、より好ましくは60mol%以上であり85mol%以下とする。
【0049】
このように構成されたガスセンサ素子2は、ガスセンサ素子2を長期間使用することに起因するセンサ出力の低下を抑制し、ガスセンサ素子2の耐久性を向上させることができる。
【0050】
以上説明した実施形態において、素子本体22は固体電解質体に相当し、外側電極24は測定電極に相当し、内側電極25は基準電極に相当し、排気ガスは被測定ガスに相当し、酸素は特定ガスに相当し、外側保護層29は触媒層に相当する。
【0051】
(第2実施形態)
以下に本開示の第2実施形態を図面とともに説明する。
【0052】
本実施形態の板型ガスセンサ素子100は、
図3に示すように、素子本体101と、多孔質保護層120とを備える。
【0053】
素子本体101は、
図4に示すように、酸素濃度検出セル130と、補強保護層111と、大気導入孔層107と、下面層103とを備える。なお、
図4では多孔質保護層120の図示を省略している。
【0054】
酸素濃度検出セル130は、基準電極104と、固体電解質体105と、測定電極106とを備える。基準電極104および測定電極106は、固体電解質体105を挟み込むように配置されている。
【0055】
基準電極104は、基準電極部104aと、基準リード部104Lとを備える。基準リード部104Lは、基準電極部104aから固体電解質体105の長手方向に沿って延びるように形成されている。
【0056】
測定電極106は、測定電極部106aと、検知リード部106Lとを備える。検知リード部106Lは、測定電極部106aから固体電解質体105の長手方向に沿って延びるように形成されている。
【0057】
補強保護層111は、補強部112と、電極保護部113aとを備える。
【0058】
補強部112は、固体電解質体105との間で検知リード部106Lを挟み込むようにして、固体電解質体105を保護するための板状の部材である。補強部112は、固体電解質体105と同じ材料で形成されており、板の厚さ方向に貫通する保護部配置空間112aを備える。
【0059】
電極保護部113aは、多孔質材料で形成されており、保護部配置空間112aに配置される。電極保護部113aは、固体電解質体105との間で測定電極部106aを挟み込むようにして、測定電極部106aを保護する。
【0060】
なお、本実施形態の板型ガスセンサ素子100は、いわゆる酸素濃淡起電力式のガスセンサであり、酸素濃度検出セル130の電極間に生じる電圧(すなわち、起電力)の値を用いて酸素濃度を検出することができる。
【0061】
下面層103および大気導入孔層107は、固体電解質体105との間で基準電極104を挟み込むようにして、基準電極104に積層されている。大気導入孔層107は、後端側が開口する略U字状に形成されている。固体電解質体105、大気導入孔層107および下面層103で囲まれた内部空間は、大気導入孔107hである。基準電極104は、大気導入孔107hに導入される大気に晒されるように配置されている。
【0062】
このように、素子本体101は、下面層103、大気導入孔層107、基準電極104、固体電解質体105、測定電極106および補強保護層111が積層された積層体である。素子本体101は、板状に形成されている。
【0063】
基準リード部104Lの端末は、固体電解質体105に設けられるスルーホール105aに形成される導体を介して、固体電解質体105上の検出素子側パッド121と電気的に接続されている。補強保護層111は、検知リード部106Lの端末よりも軸線方向(すなわち、
図4における左右方向)の寸法が短く形成されている。検出素子側パッド121および検知リード部106Lの端末は、補強保護層111の後端から外部に露出し、外部回路接続用の不図示の外部端子と電気的に接続される。
【0064】
多孔質保護層120は、
図3に示すように、素子本体101の先端側の全周を覆って設けられている。
【0065】
図5に示すように、多孔質保護層120は、素子本体101の先端面を含み、軸線方向(すなわち、
図5における左右方向)に沿って後端側に延びるように形成されている。
【0066】
さらに多孔質保護層120は、軸線方向において、素子本体101のうち少なくとも基準電極部104aおよび測定電極部106aを包含する領域を覆うように形成されている。
【0067】
板型ガスセンサ素子100は、排気ガス中に含まれるシリコンおよびリンなどの被毒物質に晒されたり、排気ガス中の水滴が付着したりすることがある。そこで、板型ガスセンサ素子100の外表面に多孔質保護層120を被覆することで、被毒物質を捕捉したり、水滴が板型ガスセンサ素子100に直接接触したりすることを抑制できる。
【0068】
固体電解質体105は、ジルコニア(ZrO
2)に安定化剤としてイットリア(Y
2O
3)またはカルシア(CaO)を添加してなる部分安定化ジルコニア焼結体から構成されている。固体電解質体105は、ジルコニアを主成分とし、ジルコニアの50〜83.3質量%が正方晶ジルコニアである。
【0069】
基準電極104および測定電極106は、Ptを主成分とし、かつ単斜晶ジルコニアを含む。基準電極104および測定電極106はセラミック成分を含有してもよい。
【0070】
なお、「主成分」とは、対象となる部位(すなわち、固体電解質体105および測定電極106など)を構成する全成分に対し、50質量%を超える成分をいう。
【0071】
多孔質保護層120のうち、少なくとも測定電極106を覆う部位は、スピネル(MgAl
2O
4)およびチタニア(TiO
2)で形成されているとともに、白金(Pt)とロジウム(Rh)が含まれている。多孔質保護層120において、貴金属全体(すなわち、白金とロジウム)に対するロジウムの含有量は、30mol%以上かつ100mol%より少ない、好ましくは55mol%以上であり90mol%以下、より好ましくは60mol%以上であり85mol%以下とする。この貴金属は、排気ガスに含まれる未燃ガス成分の燃焼を促進するための触媒として機能する。なお、多孔質保護層120のうち、少なくとも測定電極106を覆う部位とは、素子本体101の積層方向において測定電極106と重なる部位をいう。
【0072】
このように板型ガスセンサ素子100は、酸素イオン伝導性を有するZrO
2を含む固体電解質体105と、固体電解質体105上に配置されて排気ガスに晒される測定電極106と、固体電解質体105上に配置されて大気に晒される基準電極104とを備えて、排気ガスに含まれる酸素を検出する。
【0073】
板型ガスセンサ素子100は、測定電極106を覆うように形成される多孔質保護層120を備える。多孔質保護層120は、ロジウムと、白金とを含む。また多孔質保護層120において、多孔質保護層120に含まれる貴金属全体に対するロジウムの含有量は、30mol%以上かつ100mol%より少ない、好ましくは55mol%以上であり90mol%以下、より好ましくは60mol%以上であり85mol%以下とする。
【0074】
このように構成された板型ガスセンサ素子100は、第1実施形態のガスセンサ素子2と同様の効果を得ることができる。
【0075】
以上説明した実施形態において、板型ガスセンサ素子100はガスセンサ素子に相当し、固体電解質体105は固体電解質体に相当し、多孔質保護層120は触媒層に相当する。
【0076】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、種々変形して実施することができる。
【0077】
例えば上記第1実施形態では、ガスセンサとして、筒型のガスセンサ素子を備えるガスセンサについて説明したが、上記第2実施形態の板型ガスセンサ素子を備えるガスセンサであってもよい。なお、板型ガスセンサ素子を備えるガスセンサは公知であるため、詳細な構成についての説明は省略する。
【0078】
また、上記実施形態では酸素濃度検知ガスセンサについて説明したが、これに限られず、例えばNOx検知等のガスセンサであってもよい。また上記実施形態では多孔質保護層が内側保護層と外側保護層とを有し、外側保護層が触媒を有していたが、これに限られず、例えば内側保護層が触媒を有していてもよいし、内側および外側保護層ともに触媒を有していてもよいし、多孔質保護層が1層で触媒を有していてもよい。また、多孔質保護層はガスセンサ素子外周面全周を覆わず、測定電極の少なくとも一部を覆えばよい。
【0079】
また上記第1実施形態では、外側保護層29に白金とロジウムとが含まれている形態を示したが、ロジウム以外に含まれる貴金属としては、白金以外の貴金属が含まれているようにしてもよい。白金以外の貴金属として、パラジウム(Pd)、ルテニウム(Ru)およびイリジウム(Ir)が挙げられる。パラジウム、ルテニウム、イリジウムはいずれも白金と同様の触媒機能を有する。また、外側保護層29に、ロジウム以外の貴金属が2つ以上含まれるようにしてもよい。例えば、外側保護層29に白金とパラジウムとロジウムとが含まれるようにしてもよい。なお、外側保護層29に、ロジウムを含め、3つ以上の貴金属が含まれる場合も、貴金属全体に対するロジウム含有量を本開示のように規定することで、ロジウムと白金を含む場合と同等の効果が得られる。
【0080】
また上記第1実施形態では、外側保護層29に白金とロジウムとが含まれている形態を示したが、
図6に示すように、白金とロジウムとが含まれている触媒層を多孔質保護層で覆うようにしてもよい。
【0081】
図6に示すガスセンサ素子2では、素子本体22の外周面において、外側電極24と、ガス制限層201、触媒層202および多孔質保護層203が形成されている。
【0082】
ガス制限層201は、ガス制限層26と同様に、例えばスピネル等のセラミックを多孔質に形成した層である。ガス制限層201は、ガスセンサ素子2の先端部21から外側電極24よりも後端側まで延びて、外側電極24を覆うように形成されている。
【0083】
触媒層202は、貴金属が担持された金属酸化物粒子と、貴金属が担持された金属酸化物粒子により形成された顆粒体とにより形成された層である。触媒層202は、ガスセンサ素子2の先端部21からガス制限層201よりも後端側まで延びて、ガス制限層201を覆うように形成されている。触媒層202には、貴金属として、白金とロジウムとが含まれている。触媒層202において、貴金属全体(すなわち、白金とロジウム)に対するロジウムの含有量は、30mol%以上かつ100mol%より少ない、好ましくは55mol%以上であり90mol%以下、より好ましくは60mol%以上であり85mol%以下とする。
【0084】
多孔質保護層203は、ガスセンサ素子2の先端部21から触媒層202よりも後端側まで延びるように形成されている。多孔質保護層203は、例えばアルミナ、スピネル、ジルコニア、ムライト、ジルコンおよびコージェライトの群から選ばれる1種以上のセラミック粒子を焼成等により結合して形成することができる。
【0085】
このように構成されたガスセンサ素子2は、触媒層202を覆い、内部を排気ガスが通過可能に形成された多孔質保護層203を備える。これにより、ガスセンサ素子2は、触媒層202を排気ガスに直接晒されないようにすることができ、触媒層202の劣化を抑制することができる。
【0086】
上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を、省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。なお、請求の範囲に記載の文言から特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。