特許第6880948号(P6880948)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880948
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】ノズル装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 7/08 20060101AFI20210524BHJP
   B05B 1/20 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   B05B7/08
   B05B1/20
【請求項の数】2
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-74258(P2017-74258)
(22)【出願日】2017年4月4日
(65)【公開番号】特開2018-176008(P2018-176008A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年12月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 顕
(72)【発明者】
【氏名】岡部 嵩大
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 拓也
(72)【発明者】
【氏名】山本 康弘
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−313910(JP,A)
【文献】 特開昭50−117637(JP,A)
【文献】 実開昭58−040248(JP,U)
【文献】 特開2012−183497(JP,A)
【文献】 特開2007−289900(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC B05B 1/00−3/18
7/00−9/08
B05C 5/00−5/04
B05D 1/00−7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混練容器内をスクリューによって搬送される微粉炭に向かって、液状のバインダーを拡散供給するノズル装置であって、
前記バインダーを自然流下させる流路が形成されたバインダー供給ノズルと、該バインダー供給ノズル内に延出する延出管部を有する気体供給管とを有し、
前記バインダー供給ノズルは、前記気体供給管を径方向から挟み込む一対のバインダーガイド壁部材を有しており、
前記気体供給管と前記バインダーガイド壁部材との間には、前記バインダーを自然流下させるための通路が形成されており、
前記延出管部には、自然流下する前記バインダーに向かって気体を噴出する複数の気体噴出口が、前記延出管部の下端部に沿って延びる中心線の両側に形成されており、
前記中心線を挟んだ一方に形成される複数の気体噴出口は、以下の条件1〜5を全て満足することを特徴とするノズル装置。
条件1:鉛直下向きに対する各前記気体噴出口の噴出角度をθとしたとき、噴出角度θは5°以上40°以下である。
条件2:前記延出管部の管路方向において隣接する前記気体噴出口の噴出角度θの角度差θdifは、20°以下である。
条件3:前記複数の気体噴出口のうち、前記管路方向における一端部に位置する前記気体噴出口を第1の端部気体噴出口、他端部に位置する前記気体噴出口であって、かつ、前記第1の端部気体噴出口よりも噴出角度θが大きい前記気体噴出口を第2の端部気体噴出口と定義したとき、これらの第1及び第2の端部気体噴出口の間に位置する前記気体噴出口は、前記第1の端部気体噴出口側に隣接する前記気体噴出口よりも噴出角度θが大きいか、或いは噴出角度θが同一である。
条件4:前記第1の端部気体噴出口の噴出角度θ及び前記第2の端部気体噴出口の噴出角度θの中央値をθmedとしたとき、噴出角度θが中央値θmed以下の前記気体噴出口の個数が、噴出角度θが中央値θmed超の前記気体噴出口の個数の1倍以上1.5倍以下である。
条件5:前記第1の端部気体噴出口の噴出角度θと、前記第2の端部気体噴出口の噴出角度θとの角度差が15°以上である。
【請求項2】
前記複数の気体噴出口は、前記管路方向において略等間隔に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のノズル装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微粉炭に液状のバインダーを拡散供給するノズル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原料炭を炭化室内に装入し、所定温度で加熱して乾留させることにより冶金用コークスを製造するコークス炉が広く知られている。コークス炉に装入される原料炭には、粘結性の劣る非微粘結炭が用いられる場合があり、非微粘結炭を粉砕することによって生成された微粉炭にバインダーを添加しつつ混練し、この混練物をロールで加圧して塊成炭又は成形炭とし、炭化室内に装入する方法が知られている。
【0003】
微粉炭を混練する技術として、混練容器の一端側から他端側に向かって微粉炭をスクリューで搬送しながら、バインダーを噴霧する方法が知られている。バインダーを噴霧する装置として、特許文献1には、微粉炭に液状のバインダーを拡散供給するノズル装置であって、バインダー供給ノズルと、該バインダー供給ノズル内に延出する延出管部を有する気体供給管とを有し、前記バインダー供給ノズルは、前記気体供給管を該気体供給管の径方向から挟み込む一対のバインダーガイド壁部材を有しており、前記気体供給管と前記バインダーガイド壁部材との間には、前記微粉炭に向かって前記バインダーを自然流下させるための通路が形成されており、前記延出管部には複数の気体噴出口が形成されており、前記気体噴出口から噴出される気体によって、前記バインダー供給ノズルから自然流下するバインダーを拡散させることを特徴とするノズル装置が開示されている。
【0004】
前記ノズル装置は、微粉炭とバインダーの混練時間を確保するために、混錬容器の上流側に設置されるが、過度に上流側に設置したり、気体の噴射角度が大きくバインダーの噴霧範囲が広くなりすぎると、混練容器の微粉炭供給口の直下にバインダーが噴霧されてしまう。混練容器の微粉炭供給口の直下に噴霧されるバインダーが多くなると、この位置では微粉炭がスクリューの軸よりも低いレベルまでしか貯留されていないため、バインダーがスクリューの軸に付着したり、或いは微粉炭の貯留レベルが低いために微粉炭となじむ時間が不足して混練容器の底面にバインダーが流出し、この流出したバインダーが底面に固着することによって、設備停止を起こす問題が懸念される。このため、ノズル装置は混練容器の微粉炭供給口の直下に噴霧されるバインダーが過度に多くならないように、設置位置や気体噴霧口の角度が決められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4869775号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のノズル装置は、気体噴出口が均等に配置されるとともに、これらの気体噴出口の噴射角度が互いに同一に設定されている。所定の範囲内にバインダーを噴霧するために気体噴出口の角度を小さくすると、混練容器に投入された微粉炭に対してバインダーが特定の位置に集中して噴霧されてしまい、バインダーの多い混練物と、バインダーの少ない混練物とが混在し、品質のバラツキが大きくなるおそれがある。気体噴射口の角度を大きくすると特定の位置への集中は軽減されるが、バインダーの噴霧範囲が広がり過ぎてしまい、微粉炭供給口直下のスクリューの軸に付着したり、混練容器の底面に固着するなどの問題が懸念される。
【0007】
そこで、本願発明は、微粉炭に対するバインダーの噴霧を所定の範囲内でより均一化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を鋭意検討し、気体噴出口の配列及び噴出角度を調整することが重要であることを見出した。すなわち、本願発明は、(1)混練容器内をスクリューによって搬送される微粉炭に向かって、液状のバインダーを拡散供給するノズル装置であって、前記バインダーを自然流下させる流路が形成されたバインダー供給ノズルと、該バインダー供給ノズル内に延出する延出管部を有する気体供給管とを有し、前記延出管部には、自然流下する前記バインダーに向かって気体を噴出する複数の気体噴出口が、前記延出管部の下端部に沿って延びる中心線の両側に形成されており、
前記中心線を挟んだ一方に形成される複数の気体噴出口は、以下の条件1〜5を全て満足することを特徴とする。
条件1:鉛直下向きに対する各前記気体噴出口の噴出角度をθとしたとき、噴出角度θは5°以上40°以下である。
条件2:前記延出管部の管路方向において隣接する前記気体噴出口の噴出角度θの角度差θdifは、20°以下である。
条件3:前記複数の気体噴出口のうち、前記管路方向における一端部に位置する前記気体噴出口を第1の端部気体噴出口、他端部に位置する前記気体噴出口であって、かつ、前記第1の端部気体噴出口よりも噴出角度θが大きい前記気体噴出口を第2の端部気体噴出口と定義したとき、これらの第1及び第2の端部気体噴出口の間に位置する前記気体噴出口は、前記第1の端部気体噴出口側に隣接する前記気体噴出口よりも噴出角度θが大きいか、或いは噴出角度θが同一である。
条件4:前記第1の端部気体噴出口の噴出角度θ及び前記第2の端部気体噴出口の噴出角度θの中央値をθmedとしたとき、噴出角度θが中央値θmed以下の前記気体噴出口の個数が、噴出角度θが中央値θmed超の前記気体噴出口の個数の1倍以上1.5倍以下である。
条件5:前記第1の端部気体噴出口の噴出角度θと、前記第2の端部気体噴出口の噴出角度θとの角度差が15°以上である。
【0009】
(2)前記バインダー供給ノズルは、前記気体供給管を径方向から挟み込む一対のバインダーガイド壁部材を有しており、前記気体供給管と前記バインダーガイド壁部材との間には、前記バインダーを自然流下させるための通路が形成されていることを特徴とする上記(1)に記載のノズル装置。
【0010】
(3)前記複数の気体噴出口は、前記管路方向において略等間隔に形成されていることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のノズル装置。
【発明の効果】
【0011】
上述の条件1〜条件5を満足するノズル装置によれば、バインダーを所定の範囲内でより均等に噴霧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】ノズル装置を備えた塊成炭製造装置の概略構成図である。
図2】ノズル装置の正面図である。
図3】ノズル装置の底面図である。
図4】中心線L1が延びる方向から視た延出管部の概略図である。
図5図4に対応する図であり、噴出角度θの大小がバインダーの噴霧に与える影響を説明するための図である。
図6】ノズル装置の底面図である。
図7】径方向から視た延出管部の概略図である。
図8A】気体噴出口の配置を示す延出管部の概略図である(比較例1)。
図8B】水量分布を示す棒グラフである(比較例1)。
図9A】気体噴出口の配置を示す延出管部の概略図である(比較例2)。
図9B】水量分布を示す棒グラフである(比較例2)。
図10A】気体噴出口の配置を示す延出管部の概略図である(比較例3)。
図10B】水量分布を示す棒グラフである(比較例3)。
図11A】気体噴出口の配置を示す延出管部の概略図である(実施例1)。
図11B】水量分布を示す棒グラフである(実施例1)。
図12A】気体噴出口の配置を示す延出管部の概略図である(実施例2)。
図12B】水量分布を示す棒グラフである(実施例2)。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明の一実施形態であるノズル装置を備えた混練炭製造装置の概略構成図である。混練炭製造装置は、ノズル装置1、混練容器2及び混練容器2に回転可能に収容されたスクリュー3を含む。混練容器2はスクリュー3の軸方向に延びており、一端側の上壁部には微粉炭投入シュート2aが設けられており、他端側の下壁部には排出シュート2bが設けられている。ノズル装置1は、混練容器2に投入された微粉炭にバインダーを噴霧する。ノズル装置1の詳細については、後述する。
【0014】
スクリュー3には、駆動モータ4が接続されており、この駆動モータ4を駆動することによってスクリュー3を矢印X方向に回転動作させることができる。スクリュー3は、機能的に搬送部及び混練部に分割することができる。搬送部は投入シュート2aから投入された微粉炭を混練部に向かって矢印Y方向に搬送する機能を有しており、混練部は微粉炭及びバインダーを混練しながら矢印Y方向に搬送する機能を有している。なお、矢印Y方向は、スクリュー3の軸方向と平行である。
【0015】
混練部におけるスクリュー3の外周面には、白抜きで示す送り羽根3aと、ハッチングで示す返し羽根3bとが形成されている。送り羽根3aは、微粉炭及びバインダーを矢印Y方向に送り出す機能を有しており、返し羽根3bは、矢印Y方向に繰り出される微粉炭及びバインダーを停滞させる機能を有している。これらの送り羽根3a及び返し羽根3bが協働することによって、微粉炭及びバインダーを混練しながら、搬送することができる。
【0016】
微粉炭とバインダーの混練物は、排出シュート2bから排出され、ロールコンパクターにおいて塊成化又は成形化され、石炭塔へ搬送され炭化室に装入されたのち、コークス炉で乾留される。
【0017】
ノズル装置1は、混練物の搬送方向(矢印Y方向)において、より上流側に設置することが好ましい。設置位置が下流側になると、微粉炭及びバインダーの混練時間を確保するために、混練物の搬送距離を長くしなければならないため、設備が大型化する。但し、前述したように混練容器2の微粉炭投入シュート2aの直下に噴霧されるバインダーが過度に多くならないようにノズル装置1を配置する。
【0018】
図2及び図3を参照しながら、ノズル装置の構成について詳細に説明する。図2は、ノズル装置の正面図であり、紙面法線方向が矢印Y方向(つまり、混練物の搬送方向)に対応している。図3は、ノズル装置の底面図であり、矢印Y方向の定義は図1と同様である。
【0019】
ノズル装置1は、気体供給管11、バインダー供給ユニット12を含む。気体供給管11は、上下方向に延びており、下端部にはバインダー供給ユニット12に向かって延出する延出管部110が水平方向に延びて形成されている。図3の一点鎖線L1は、延出管部110の中心軸を延出管部110の外面にトレースした中心線であり(以下、中心線L1という)、言い換えると、延出管部110の下端部の位置を示している。延出管部110には複数の気体噴出口110aが形成されている。図3において、矢印Y方向に並ぶ一方の気体噴出口110aの角度をθ1、他方の気体噴出口110aの角度をθ2としたとき、θ1+θ2がどの位置でも同一となるように、複数の気体噴出口110aは形成されている。説明の便宜上、中心線L1を挟んで一方の領域に形成された複数の気体噴出口110aをそれぞれS1〜S7と定義する。ただし、気体噴出口S1〜S7を特に区別する必要がない場合には、これらを纏めて気体噴出口110aと記載する。
【0020】
バインダー供給ユニット12は、主バインダー供給管121と、この主バインダー供給管121の下端側に溶接固定された一対のガイド壁部材122とを含む。一対のガイド壁部材122は、気体供給管11の延出管部110を径方向の外側から挟み込んでおり、各ガイド壁部材122の端部にはそれぞれ、延出管部110の中心側に向かって折れ曲がった曲げ部122aが形成されている。曲げ部122aは、延出管部110の外周面に溶接固定されている。
【0021】
図3においてハッチングで示す要素はバインダーであり、延出管部110とガイド壁部材122との間に形成された通路内をバインダーが自然流下する。これにより、気体噴出口110aから噴出される気体を、バインダー供給ユニット12の内部を自然流下するバインダーに対して、衝突させることができる。
【0022】
ガイド壁部材122の下端部は、延出管部110の下端部よりも上側に形成されている。これにより、各気体噴出口110aから噴出する気体がガイド壁部材122に衝突することが防止され、バインダーをより広い範囲に噴霧することができる。
【0023】
ここで、バインダーは主バインダー供給管121の内部を自然流下しており、バインダーを強制的に供給する駆動装置が不要となるから、コストを削減することができる。また、本発明では、気体及びバインダーを混合した状態でノズル装置から排出するのではなく、自然流下するバインダーに向かって気体噴出口110aから気体を噴出しているため、バインダーに含まれるスラッジによって気体噴出口110aが目詰まりを起こすことを防止できる。
【0024】
図4は中心線L1が延びる方向から視た延出管部110の概略図であり、二点鎖線で示すL2は中心線L1を通って鉛直方向に延びる基準線を示しており、矢印で示すL3は気体の噴出方向を示しており、θは基準線L2と噴出方向L3とのなす角度(以下、噴出角度と称する)を示している。
【0025】
図2図4を参照して、気体噴出口S1〜S7は延出管部110の中心線L1方向において、この順序で配列されており、気体噴出口S1〜S3は互いに同一の噴出角度θに設定されており、気体噴出口S5〜S7は互いに同一の噴出角度θに設定されており、気体噴出口S4はこれらとは異なる噴出角度θに設定されている。バインダーをより均一に噴霧するために、気体噴出口110aは、以下の条件1〜5を満足しなければならない。
【0026】
(条件1)
噴出角度θは、5°以上40°以下でなければならない。噴出角度θが5°未満になると、気体の噴出方向が過度に下向きとなるため、混練物の搬送方向(矢印Y方向)にバインダーを広く噴霧することができない。噴出角度θが40°超になると、気体の噴出方向が過度に横向きとなるため、混練容器2の内壁にバインダーが過剰に付着するおそれがある。
【0027】
(条件2)
中心線L1方向において隣接する気体噴出口110aの噴出角度θの角度差θdifは、20°以下でなければならない。角度差θdifの限定理由を、図5を参照しながら、詳細に説明する。図5図4に対応する図であり、自然流下するバインダーをハッチングで示している。L3及びL3は中心線L1方向において互いに隣接する気体噴出口110aのそれぞれの噴出方向を示しており、L32はL31よりも噴出角度θが大きく設定されている。バインダー供給管121から流下するバインダーには噴出角度θのより大きいL32の気体が先に当たり、L32方向に位置するバインダーは気体の噴出方向に噴霧される。L31方向に位置するバインダーはL32方向に位置するバインダーに引っ張られ、延出管部110から離隔したルートを流下するようになる。角度差θdifが20°超になると、L31方向に位置するバインダーは延出管部110からより離隔したルートを流下し、L31方向に気体を噴射する気体噴出口110aからの距離が長くなるため、バインダーと接触する時点では噴出エネルギーが低下して噴霧力不足となり、噴霧されずに滴下してしまう。
【0028】
(条件3)
複数の気体噴出口110aのうち、中心線L1方向における一端部に位置する気体噴出口110aを第1の端部気体噴出口と定義し、他端部に位置する気体噴出口110aであって、かつ、第1の端部気体噴出口110aよりも噴出角度θが大きい気体噴出口110aを第2の端部気体噴出口と定義したとき、これらの第1及び第2の端部気体噴出口の間に位置する気体噴出口110aは、第1の端部気体噴出口110a側に隣接する気体噴出口110aよりも噴出角度θが大きいか、或いは噴出角度θが同一でなければならない。条件3を満足することによって、バインダーをより均一に噴霧できるようになる。
【0029】
本実施形態では、第1の端部気体噴出口が気体噴出口S7に相当し、第2の端部気体噴出口が気体噴出口S1に相当する。また、気体噴出口S2は、気体噴出口S1と噴出角度θが同一であり、気体噴出口S3は気体噴出口S2と噴出角度θが同一であり、気体噴出口S4は気体噴出口S3よりも噴出角度θが小さく、気体噴出口S5は気体噴出口S4よりも噴出角度θが小さく、気体噴出口S6は気体噴出口S5と噴出角度θが同一であり、気体噴出口S7は気体噴出口S6と噴出角度θが同一であるから、条件3を満足する。なお、気体噴出口S1〜S7の配列方向が反対であっても、条件3を満足することは言うまでもない。
【0030】
ここで、図6は、ノズル装置の底面図であり、気体噴出口110aを形成する位置が図3の構成と異なる。説明の便宜上、中心線L1を挟んで一方の領域に形成された複数の気体噴出口110aをそれぞれS1´〜S7´と定義する。図6に図示する構成では、気体噴出口S1´〜S7´がいわゆるV字状に配列されており、条件3を満足しない。
【0031】
図7は、径方向から視た図6の噴出口S1´〜S7´の配置図であり、ハッチングで示す三角の領域は、気体噴出口S1´、S4´及びS7´から噴出する気体の影響力(噴霧力)が及ぶ範囲を模式的に示している。気体噴出口S1´〜S7´をV字状に配列した場合、端部に位置する噴出角度θの最も大きい気体噴出口S1´及び気体噴出口S7´の噴霧力が支配的になり、自然流下するバインダーが全体的に気体噴出口S1´及び気体噴出口S7´の噴出方向に引っ張られるため、噴出角度θの最も小さい気体噴出口S4´によって噴霧すべきバインダーが、噴霧されずに滴下してしまう。したがって、条件3を満足しない図6の構成では、バインダーを均一に噴霧することができない。
【0032】
(条件4)
第1の端部気体噴出口の噴出角度θ及び第2の端部気体噴出口の噴出角度θの中央値をθmedとしたとき、噴出角度θが中央値θmed以下の気体噴出口110aの個数が、噴出角度θが中央値θmed超の気体噴出口110aの個数の1倍以上1.5倍以下でなければならない。噴出角度θが中央値θmed超の気体噴出口110aの個数が多くなると、条件2で説明したように、噴出角度θの大きい気体が支配的になり、噴出角度θの小さい位置のバインダーは噴霧されずに滴下してしまう。一方、噴出角度θが中央値θmed以下の気体噴出口110aの個数が多くなり過ぎると、特定の位置へ噴霧されるバインダーが多くなり均一に噴霧することができない。
【0033】
(条件5)
条件3で定義した第1の端部気体噴出口の噴出角度θ及び第2の端部気体噴出口の噴出角度θの角度差が、15°以上でなければならない。角度差が15°未満になると、噴霧角度の範囲が狭くなり、バインダーの噴霧に偏りが生じる。
【0034】
条件5から、「複数の気体噴出口110aには、噴出角度θが互いに異なる気体噴出口110aが含まれていなければならない」という条件を導くことができる。気体噴出口110aの噴出角度θを全て同じに設定すると、特定の方向にバインダーが噴霧されてしまい、混練物の搬送方向(Y方向)にバインダーを広く噴霧することができない。例えば、気体噴出口110aの噴出角度θを全て40°に設定した場合、ノズル装置1の直下及び近傍に噴霧されるバインダーの割合が過度に少なくなるため、バインダーの割合が低い混練物とバインダーの割合が高い混練物とが生成されてしまう。また、噴霧されたバインダーが、スクリュー3の軸に付着する問題も懸念される。本実施形態では、気体噴出口S1〜S3、気体噴出口S4及び気体噴出口S5〜S7の噴出角度θが互いに異なっている。
【0035】
次に、実施例を示して本発明についてより具体的に説明する。実機相当サイズのノズル装置を用いて、気体噴出口110aの角度、配列方法を種々変更しながら、均一噴霧性を評価した。気体にはNガスを使用した。Nガスの圧力、流量は実機相当の範囲で適宜選択した。混練装置に添加するバインダーは加温されており、その粘度は常温の水の粘度と同等であるため、バインダーの代わりに、常温の水を使用した。水の流量は実機相当の範囲で適宜選択した。ノズル装置から噴射される水の水量分布を水量分布測定機で測定して、均一噴霧性を評価した。具体的には、ノズル装置の直下から−640mm〜+640mmの範囲における水量分布を測定し、−240mm〜+240mmの範囲(以下、分布評価範囲と称する)に入る割合と分布評価範囲内の各位置での水量分布のバラツキによって、均一噴霧性を評価した。
【0036】
図8Aは比較例1の気体噴出口110aの配置を示す延出管部の概略図である。ただし、図面を簡略化するため、中心線L1を挟んだ一方に形成される気体噴出口110aのみを図示しており、他方に形成される気体噴出口110aについては省略して図示する(図9A図11Aについても同様である)。図8Bは比較例1の水量分布を示した棒グラフであり、双方向矢印は分布評価範囲を示している。双方向矢印の定義は、図9B図11Bにおいても、同様である。比較例1では、噴出角度θが全て45°であるため、水が横方向に拡散し、分布評価範囲に噴霧された水が僅か26.0%であった。
【0037】
図9Aは比較例2の気体噴出口110aの配置を示す延出管部の概略図である。図9Bは比較例2の水量分布を示した棒グラフである。比較例2では、噴出角度θを全て25°に設定した。比較例1に対して、噴出角度θが小さくなったため、分布評価範囲に噴霧された水の割合が89.8%に増加した。しかしながら、分布評価範囲の端部における水量分布の割合が10%を超えて大きくなり、水量分布のバラツキが大きくなった。
【0038】
図10Aは比較例3の気体噴出口110aの配置を示す延出管部の概略図である。図10Bは比較例3の水量分布を示した棒グラフである。比較例3では、気体噴出口110aの配列を図6と同様に設定し、噴出角度θをV字の頂部から順に0°、5°、15°及び25°に設定した。分布評価範囲に噴霧された水の割合が90.7%に増加したが、分布評価範囲の中央から120mm〜160mm位置における水量分布の割合が10%を超えて大きくなった。また、搬送方向位置0mmの付近では噴霧されずに滴下した水が見られたため、噴霧状態が悪化した。
【0039】
図11Aは実施例1の気体噴出口110aの配置を示す延出管部の概略図である。図11Bは実施例1の水量分布を示した棒グラフである。実施例1では、気体噴出口110aの配列及び噴出角度θを図3と同様に設定した。分布評価範囲に噴霧された水の割合が72.5%に増加し、かつ、分布評価範囲における水量も何れの位置でも10%以下と水量分布のバラツキも小さくなった。
【0040】
図12Aは実施例2の気体噴出口110aの配置を示す延出管部の概略図である。図12Bは実施例2の水量分布を示した棒グラフである。実施例2では、中心線L1方向に対して略斜めに気体噴出口110aを配列した。気体噴出口110aの最低値は5°に設定し、最大値は30°に設定した。分布評価範囲に噴霧された水の割合が73.5%に増加し、かつ、分布評価範囲における水量も何れの位置でも10%以下と水量分布のバラツキも小さくなった。
【0041】
(変形例1)
本実施形態では、中心線L1を挟んで一方に形成される気体噴出口110aの個数を7個としたが、本発明はこれに限るものではなく、3個以上の任意の個数とすることができる。
【0042】
(変形例2)
本実施形態では、中心線L1を挟んで一方の気体噴出口110aの角度をθ1、他方の気体噴出口110aの角度をθ2としたとき、θ1+θ2がどの位置でも同一となるようにしたが、本発明はこれに限るものではなく、中心線L1を挟んだ一方に形成される複数の気体噴出口110aがそれぞれ条件1〜5を満足していればよい。例えば、一方の気体噴出口110aが11Aに示すように配置され、もう一方の気体噴出口110aが図12Aに示すように配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 ノズル装置
2 混錬容器
3 スクリュー
4 駆動モータ
11 気体供給管
12 バインダー供給ユニット
110 延出管部
110a S1〜S7 S1´〜S7´ 気体噴出口
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B