特許第6880951号(P6880951)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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  • 特許6880951-含炭塊成鉱の製造方法及び含炭塊成鉱 図000005
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6880951
(24)【登録日】2021年5月10日
(45)【発行日】2021年6月2日
(54)【発明の名称】含炭塊成鉱の製造方法及び含炭塊成鉱
(51)【国際特許分類】
   C22B 1/243 20060101AFI20210524BHJP
   C21B 5/00 20060101ALI20210524BHJP
【FI】
   C22B1/243
   C21B5/00 302
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2017-75898(P2017-75898)
(22)【出願日】2017年4月6日
(65)【公開番号】特開2018-53355(P2018-53355A)
(43)【公開日】2018年4月5日
【審査請求日】2019年12月4日
(31)【優先権主張番号】特願2016-184137(P2016-184137)
(32)【優先日】2016年9月21日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】藤坂 岳之
【審査官】 河口 展明
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭52−018403(JP,A)
【文献】 特開2014−136818(JP,A)
【文献】 特開2013−216938(JP,A)
【文献】 特開2016−104901(JP,A)
【文献】 特開2012−207256(JP,A)
【文献】 特開2005−154825(JP,A)
【文献】 特開2005−290456(JP,A)
【文献】 特開2004−360002(JP,A)
【文献】 特開2011−214147(JP,A)
【文献】 特開2012−172206(JP,A)
【文献】 特開2014−122417(JP,A)
【文献】 特開2014−196548(JP,A)
【文献】 特開2002−60851(JP,A)
【文献】 特開平4−210433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22B 1/00−1/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
含鉄物質、炭材、及び水硬性バインダの水和物を含む一重構造の含炭塊成鉱であって、
前記炭材は、粒子径が1mm未満であり、150μm以下の炭材粒子の割合が8質量%以下であることを特徴とする、含炭塊成鉱。
【請求項2】
請求項1記載の含炭塊成鉱を製造する含炭塊成鉱の製造方法であって、
粒子径が1mm未満の炭材を、粒子径がメジアン径以上の炭材粒子を含む粗粒部と、粒子径がメジアン径未満の炭材粒子を含む細粒部の2区分に分級し、
前記粗粒部、含鉄物質、及び水硬性バインダを含む配合原料を用いて含炭塊成鉱を作製し、
前記粗粒部は、粒子径が150μm以下の炭材粒子の割合が8質量%以下であることを特徴とする含炭塊成鉱の製造方法。
【請求項3】
前記含鉄物質が、粒子径が44μm以下の粒子を60質量%以上の割合で含むことを特徴とする、請求項に記載の含炭塊成鉱の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含炭塊成鉱の製造方法及び含炭塊成鉱に関する。
【背景技術】
【0002】
高炉においては、炉頂から鉄系原料(酸化鉄を含む原料。主として、焼結鉱)及びコークスを層状に装入し、高炉下部の羽口から熱風を送風する。これにより、高炉内を降下する酸化鉄を加熱するともに、主としてCOからなる還元ガスにより還元する。すなわち、銑鉄を製造する。
【0003】
このような高炉操業において、省エネルギーなどの観点から還元材比を低減する技術について検討が重ねられている。ここで、還元材比は、例えば高炉に導入される全ての還元材の原単位、代表的には、コークスの原単位及び羽口から吹き込まれる微粉炭の原単位の総和として示される。
【0004】
特許文献1〜3には、このような技術の一例として、含炭塊成鉱が開示されている。含炭塊成鉱は、含鉄物質、炭材、及び水硬性バインダを含む配合原料を水とともに造粒し、その後造粒物を養生することで作製される。養生時に水硬性バインダが水和し、固化する。したがって、水硬性バインダは含炭塊成鉱のバインダとして機能する。すなわち、含炭塊成鉱が高炉への輸送中、あるいは高炉への投入時に粉化すると、高炉内でガスの流動性が低下する可能性がある。粉化した含炭塊成鉱が高炉内で目詰りを起こす可能性があるからである。そこで、水硬性バインダを用いて含炭塊成鉱の強度(具体的には、養生後強度)を維持し、粉化を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−95177号公報
【特許文献2】特開2012−211363号公報
【特許文献3】特開2014−25135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、このような水硬性バインダは、高炉からスラグとして排出される。このため、スラグ量低減、及び含炭塊成鉱製造コスト削減の観点から、含炭塊成鉱中の水硬性バインダ量を低減することが求められていた。
【0007】
この点、含炭塊成鉱中の水硬性バインダ量を単に減らしただけでは、含炭塊成鉱の養生後強度が低下してしまうという問題があった。含炭塊成鉱の養生後強度が低下すると、含炭塊成鉱が高炉への移送中、あるいは高炉への投入時に粉化する可能性が高くなってしまう。
【0008】
一方、含炭塊成鉱中に含まれる炭材の量を減らすと、含炭塊成鉱の養生後強度が高まることが知られている。したがって、含炭塊成鉱中の炭材量を減らすことも考えられるが、この方法では、含炭塊成鉱の本来の目的である還元材比低減という目的を十分に達成することができない。
【0009】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、含炭塊成鉱の炭材量及び養生後強度を維持しつつ、水硬性バインダ量を低減することが可能な、新規かつ改良された含炭塊成鉱の製造方法及び含炭塊成鉱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、含鉄物質、炭材、及び水硬性バインダの水和物を含む一重構造の含炭塊成鉱であって、炭材は、粒子径が1mm未満であり、150μm以下の炭材粒子の割合が8質量%以下であることを特徴とする、含炭塊成鉱が提供される。
本発明の他の観点によれば、上記含炭塊成鉱を製造する含炭塊成鉱の製造方法であって、粒子径が1mm未満の炭材を、粒子径がメジアン径以上の炭材粒子を含む粗粒部と、粒子径がメジアン径未満の炭材粒子を含む細粒部の2区分に分級し、粗粒部、含鉄物質、及び水硬性バインダを含む配合原料を用いて含炭塊成鉱を作製し、粗粒部は、粒子径が150μm以下の炭材粒子の割合が8質量%以下であることを特徴とする、含炭塊成鉱の製造方法が提供される。
【0012】
また、含鉄物質が、粒子径が44μm以下の粒子を60質量%以上の割合で含んでいても良い。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、炭材を粗粒部及び細粒部に分級し、粗粒部を用いて含炭塊成鉱を作製する。したがって、含炭塊成鉱中の炭材の表面積、言い換えれば結合強度の弱い炭材/水硬性バインダの水和物の界面の面積を小さくすることができる。したがって、含炭塊成鉱の養生後強度を高めることができる。このため、含炭塊成鉱の養生後強度をある目標値にするために必要な水硬性バインダ量を低減することができる。また、含炭塊成鉱の養生後強度を目標値にするために含炭塊成鉱中の炭材量を低減する必要がない。したがって、含炭塊成鉱の炭材量及び養生後強度を維持しつつ、水硬性バインダ量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係る含炭塊成鉱の製造方法の処理手順を示すフローチャートである。
図2】各材料の粒子径分布を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
<1.本発明者による検討>
本発明者は、含炭塊成鉱に含まれる各成分の特性について鋭意検討し、この結果、本実施形態に係る含炭塊成鉱の製造方法に想到した。以下、本発明者による検討内容について説明する。
【0018】
含炭塊成鉱は、含鉄物質及び炭材の粒子間に水硬性バインダの水和物が充填された構造を有する。したがって、含炭塊成鉱の養生後強度は、水硬性バインダの水和物自体の強度(すなわち、基質強度)、水硬性バインダの水和物/含鉄物質界面の結合力、及び水硬性バインダの水和物/炭材界面の結合力に依存すると考えられる。
【0019】
ところで、炭材は疎水性を示すことが多い。このため、含鉄物質、炭材、及び水硬性バインダを含む配合原料を水とともに造粒した場合、造粒物中の炭材粒子の表面に存在する水は、含鉄物質粒子の表面に存在する水よりも少ないと考えられる。そして、水硬性バインダの水和反応は、水硬性バインダと水が存在する箇所で起こる。したがって、炭素の表面に形成される水硬性バインダの水和物の量は、含鉄物質の表面に形成される水硬性バインダの水和物の量よりも少ないと考えられる。したがって、水硬性バインダの水和物/炭材界面の結合力は、水硬性バインダの水和物/含鉄物質界面の結合力よりも弱いと考えられる。この理由により、含炭塊成鉱中に含まれる炭材の量を減らすと、含炭塊成鉱の養生後強度が高まると考えられる。
【0020】
そこで、本発明者は、含炭塊成鉱中の炭材粒子の表面積を低減させることができれば、含炭塊成鉱の養生後強度を高めることができると考えた。そして、本発明者は、含炭塊成鉱中の炭材粒子の表面積を低減させる手段として、予め細粒部を除去した炭材を用いて含炭塊成鉱を作製することに想到した。本発明者は、このような知見に基づいて、本発明を完成させた。
【0021】
<2.含炭塊成鉱の製造方法>
つぎに、図1に基づいて、本実施形態に係る含炭塊成鉱の製造方法について説明する。ステップS10において、炭材を、粒子径がメジアン径以上の炭材粒子を含む粗粒部と、粒子径がメジアン径未満の炭材粒子を含む細粒部の2区分に分級する。
【0022】
ここで、含炭塊成鉱の原料となる炭材の種類は特に制限されず、従来の含炭塊成鉱に使用される炭材を本実施形態でも好適に使用することができる。例えば、炭材としては、コークス、石炭、無煙炭、コークスダスト(コークスの製造過程で生じるダスト)、石炭チャー等が挙げられる。
【0023】
炭材を分級する方法も特に制限されず、微細な粉体を分級する方法であれば本実施形態でも好適に使用することができる。炭材を分級する方法としては、例えば、湿式篩、乾式篩、風力分級、液体サイクロン分級等が挙げられる。湿式篩は、液体(例えば水)を用いて炭材を流動させながら篩に掛ける方法である。乾式篩は、このような流体を用いずに炭材を篩に掛ける方法である。乾式篩の例としては、電熱篩、ロータップ式篩等が挙げられる。電熱篩は、炭材を電気エネルギーで熱しながら篩に掛ける方法である。この方法では、炭材を熱して炭材中の水分を除去しながら炭材を分級するので、篩の目詰まりを防止できる。ロータップ式篩では、篩をハンマーによりタップしながら炭材を篩に掛ける。風力分級は、風力を用いて石炭粒子を分級する方法である。この方法では、石炭粒子の比重差により石炭粒子が分級される。液体サイクロン分級は、液体(例えば水)を用いた風力分級である。
【0024】
粗粒部は、粒子径がメジアン径以上の炭材粒子を含み、細粒部は、粒子径がメジアン径未満の炭材粒子を含む。炭材のメジアン径は、炭材の粒子径分布から算出可能である。炭材の粒子径分布は、例えば、レーザ回折散乱法により測定することができる。例えば炭材を篩に掛けた場合、篩に残る炭材粒子は粗粒部となり、篩から落ちた炭材粒子は細粒部となる。篩の目開きは、分級する前の炭材粒子の最大粒子径よりも小さければ良い。篩の目開きがこの条件を満たす場合、篩には、メジアン径以上の粒子径を有する石炭が必ず残り、細粒部には、メジアン径未満の粒子径を有する炭材粒子が必ず含まれる。また、本実施形態では、粒子径は、いわゆる球相当直径を意味するものとする。また、粗粒部の最大粒子径は特に制限されないが、1mm未満であってもよい。このときの篩の目開きは、0.1mm〜0.5mmの範囲であってもよい。
【0025】
ここで、粗粒部は、粒子径が150μm以下(以下、「150μm以下」を「−150μm」とも称する)の炭材粒子を42質量%以下の割合で含むことが好ましい。さらに好ましくは、粗粒部は、−150μmの炭材粒子を36質量%以下の割合で含む。後述する実施例に示される通り、この条件が満たされる場合に、含炭塊成鉱の養生後強度がより向上する。なお、篩の目開き、風力分級の設定条件等を調整することで、粗粒部の粒子径分布を調整することができる。ここに、分級操作の特性上、用いる篩の篩目が小さいほど、また、時間当たりの処理量が多いほど分級後の篩上(粗粒部)の粒度は大きくなる。
【0026】
ステップS20において、含鉄物質、粗粒部、及び水硬性バインダを含む配合原料を水と混合し、混練する。このように、本実施形態では、炭材を粗粒部及び細粒部に分級し、粗粒部を用いて含炭塊成鉱を作製する。したがって、含炭塊成鉱中の炭材の表面積、言い換えれば結合強度の弱い炭材/水硬性バインダの水和物の界面の面積を小さくすることができる。したがって、含炭塊成鉱の養生後強度を高めることができる。このため、含炭塊成鉱の養生後強度をある目標値にするために必要な水硬性バインダ量を低減することができる。また、含炭塊成鉱の養生後強度を目標値にするために含炭塊成鉱中の炭材量を低減する必要がない。したがって、含炭塊成鉱の炭材量及び養生後強度を維持しつつ、水硬性バインダ量を低減することができる。
【0027】
含鉄物質の種類は特に制限されず、従来の含炭塊成鉱に使用される含鉄物質を本実施形態でも好適に使用することができる。このような含鉄物質としては、例えば、鉄鉱石、高炉ダスト、製鉄の過程で生じる含鉄ダスト、スラッジ、スケール等が挙げられる。また、含鉄物質の粒子径は特に制限されず、含炭塊成鉱に求められる特性等に応じて適宜調整すれば良い。例えば、含鉄物質の粒子径は0.1mm未満であってもよい。
【0028】
ここで、含鉄物質は、粒子径が44μm以下の粒子を含鉄物質の総質量に対して60質量%以上の割合で含むことが好ましい。なお、含鉄物質の粒子径分布は、例えば、レーザ回折散乱法により測定することができる。使用予定の含鉄物質の44μm以下の粒子割合が60質量%未満の場合には、含鉄物質を予めボールミルなどを用いて所望の粒度まで粉砕すればよい。このように含鉄物質の粒子径分布を調整することによって、含炭塊成鉱の還元後強度をさらに改善できる。これは、含炭塊成鉱の還元後強度が還元時に生成する金属鉄および配合原料に含まれる金属鉄の結合状態に依存し、金属鉄が細かく分散しているほど還元後強度が向上することに起因する。
【0029】
水硬性バインダの種類も特に制限されず、従来の含炭塊成鉱に使用される水硬性バインダを本実施形態でも好適に使用することができる。例えば、水硬性バインダは、ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、アルミナセメント、高炉セメント等であってもよい。水硬性バインダには高炉スラグの粉末が含まれていてもよい。
【0030】
含鉄物質、粗粒部、及び水硬性バインダを含む配合原料は、水と混合され、混練される。ここで、含鉄物質、粗粒部、水硬性バインダ、及び水の配合比は特に制限されず、含炭塊成鉱に求められる特性等に応じて適宜決定すれば良い。例えば、粗粒部の配合比は、含鉄物質、粗粒部、及び水硬性バインダの総質量に対して5〜30質量%であってもよい。また、水硬性バインダは、含鉄物質、粗粒部、及び水硬性バインダの総質量に対して5〜10質量%であってもよい。配合原料の残部(粗粒部及び水硬性バインダ以外の部分)は全て含鉄物質であってもよい。水は配合原料の総質量に対して10質量%程度であってもよい。
【0031】
ステップS30において、配合原料の混練物を造粒することで、配合原料の造粒物を作製する。ここで、造粒方法は特に問われず、従来の含炭塊成鉱の造粒に使用される方法であれば本実施形態でも好適に使用される。例えば、造粒物は、パンペレタイザ、ドラムペレタイザ、成型用の凹みを有する1対の成型ロールなどであっても良い。ペレタイザによって作製される造粒物はいわゆるペレットであり、成型ロールによって作製される造粒物は、いわゆるブリケットである。
【0032】
ステップS40において、造粒物を養生する。これにより、水硬性バインダが水和反応を起こし、固化する。以上の工程により、含炭塊成鉱を作製する。
【0033】
このように、本実施形態では、細粒部を除いた炭材を用いて含炭塊成鉱を作製するので、含炭塊成鉱中の炭材の表面積を小さくすることができる。したがって、含炭塊成鉱の養生後強度を高めることができる。言い換えれば、含炭塊成鉱の養生後強度をある目標値にするために必要な水硬性バインダ量を低減することができる。また、含炭塊成鉱の養生後強度を目標値にするために含炭塊成鉱中の炭材量を低減する必要がない。したがって、含炭塊成鉱の炭材量及び養生後強度を維持しつつ、水硬性バインダ量を低減することができる。
【0034】
<3.含炭塊成鉱の構成>
上記工程の結果物として得られる含炭塊成鉱は、含鉄物質、炭材(具体的には、上述した粗粒部)、及び水硬性バインダの水和物を含む。炭材は、粒子径が150μm以下の炭材粒子を42質量%以下の割合で含むことが好ましい。さらに好ましくは、炭材は、粒子径が150μm以下の炭材粒子を36質量%以下の割合で含む。
【実施例】
【0035】
(実験1)
つぎに、本実施形態の実施例を説明する。実験1では、まず、表1に示す原料を準備した。具体的には、コークス粉をロータップ式ふるい振とう機(回転数300rpm、ハンマー打数150tpm)により20分間乾式ふるい分けすることで、粒子径分布の異なる5種類のコークス粉を調製した。コークス粉Aは篩目開き106μmで篩分けした際の篩下で、コークス粉Dはその篩上である。コークス粉Bは粒子径調製していないものである。コークス粉Cは、コークス粉AおよびDを1:9の質量比で混合したものである。コークス粉Eは篩目開き125μmで篩分けした際の篩上である。図2に、各原料の粒子径分布をレーザ回折散乱法により測定したデータを示す。横軸は粒子径、縦軸は積算分布(質量%)を示す
【0036】
【表1】
【0037】
ついで、早強ポルトランドセメント:炭材(コークス粉A〜Eのいずれか):含鉄物質を7:10:83の質量比で混合することで、配合原料を作製した。ここで、含鉄物質は、カナダ産鉱石Aとブラジル産鉱石Bを質量比で3:1に混合したものを用いた。
【0038】
ついで、配合原料に水を8質量%添加した後、混合攪拌機で混練することで、混練物を得た。ついで、この混練物をパンペレタイザで造粒することで、生ペレットを製造した。生ペレットは密閉容器に入れ、50℃で2日間、養生した。これにより、含炭塊成鉱を作製した。
【0039】
得られた含炭塊成鉱を、9.5〜11.2mm(9.5mm以上11.2mm未満)のの粒子径を有する含炭塊成鉱にふるい分けた。ついで、この範囲内の粒子径を有する含炭塊成鉱を10個取得し、これらの圧潰強度を測定した。そして、測定値の平均値を養生後強度として採用した。圧潰強度試験方法はJIS M8718に準拠した。すなわち、含炭塊成鉱1個に規定の加圧盤速度で圧縮荷重をかけ、ペレットが破壊した時点の圧縮荷重の最大値を圧潰強度とした。なお、加圧盤速度は12mm/minとした。また、各含炭塊成鉱のT.Fe(全鉄の質量%)を蛍光X線分析、T.C(炭素原子の質量%)を燃焼赤外線吸収法により測定した。表2に含炭塊成鉱の評価結果を示す。
【0040】
【表2】
【0041】
比較例1は、コークス粉A(炭材中の粗粒部を除去)を用いたもので、養生後強度が非常に低くなった。比較例2は、炭材を粒子径調製せずそのまま用いたもので、比較例1より養生後強度が向上しているものの依然として養生後強度が低かった。実施例1では、細粒部を除去しており、かつ、粒子径が−150μmとなる炭材粒子の比率が36質量%以下であった。したがって、養生後強度が非常に高くなった。実施例2では、実施例1よりも粒子径が−150μmとなる炭材粒子の比率をさらに低下させた。このため、さらに養生後強度が大きくなった。実施例3では、粒子径が−150μmとなる炭材粒子の比率が42質量%以下であった。実施例3でも、細粒部を除去しているので、比較例1、2に比べて養生後強度が高くなった。しかし、−150μmとなる炭材粒子の比率が36質量%を超えているので、養生後強度が実施例1、2よりも低下した。
【0042】
(実験2)
つぎに、実施例1において含炭塊成鉱の還元後強度を向上させるため、含鉄物質の粒度を調整した。含鉄物質の粒度はカナダ産鉱石Aとブラジル産鉱石Bの配合比を変化させることで調整した。粒度分布は、レーザ回折散乱法により測定した。還元後強度測定は、特許文献3に記載の鉱石の荷重軟化試験方法に準じて行い、900℃における還元後圧潰強度で評価した。圧潰強度は前記と同様の方法で測定した。結果を表3に示す。
【0043】
【表3】
【0044】
実施例1は、カナダ産鉱石Aとブラジル産鉱石Bを3:1の質量比で配合した含鉄物質を用いたもので、前述の(実験1)の実施例1に同じである。実施例1の含鉄物質中の−44μm(44μm以下)となる粒子の比率は概ね21質量%であった。
【0045】
実施例4は、カナダ産鉱石Aとブラジル産鉱石Bを1:2の質量比で配合した含鉄物質を用いたもので、含鉄物質中の−44μmとなる粒子の比率が概ね54質量%であった。還元後強度は実施例1の3.9daNからやや改善し、4.4daNだった。
【0046】
実施例5は、カナダ産鉱石Aとブラジル産鉱石Bを1:3の質量比で配合した含鉄物質を用いたもので、含鉄物質中の−44μmとなる粒子の比率が概ね60質量%であった。還元後強度は実施例4の4.4daNから大幅に改善し、7.9daNに達した。
【0047】
実施例6は、含鉄物質としてブラジル産鉱石Bのみを用いたもので、実施例5よりも含鉄物質中の−44μmとなる粒子の比率をさらに増加させた。このため、さらに還元後強度が向上した。尚、実験2において、含鉄物質の微細化にともなって、養生後強度も改善傾向であった。
【0048】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
図1
図2